説明

カード知育具

【課題】 表面に質問事項を、裏面に答を表示したカードを箱体内で一旦保持し、児童に思考時間を与えた後、カードを反転して箱体の取出し口に落下させるカード知育具を提供すること。
【解決手段】 箱体の上部にスリット状のカードの投入口を、箱体の前面の下部にカードの透視兼用の取出し口を形成し、箱体内の上部には、投入されたカードを保持し、且つ一時的に保持したカードを箱体の下部に反転状態で落下させる断面V字型の回転体の両端を水平軸により架設し、箱体から突出した水平軸の外端にはハンドルを固定し、箱体内の下部には反転状態で落下したカードを、取出し口より透視可能に支持するカードの支持板を配設したことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に問題を、裏面に答を表示したカードを用いて、児童に数字や文字を楽しく学ばせるカード知育具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表面に加減乗除の計算式を、裏面に計算値を表示したカードや、表面に漢字を、裏面にその読み方を表示したカードや、表面に外国の国旗を、裏面に国名を表示したカードを用意し、このカードを、図6に示すように箱体21の天板にスリット状の投入口22に挿入し、箱体21の前面下部に設けた取出し口23に反転したカード24を露出させることにより、児童を楽しませながら算数や国語や社会の勉強をさせようとするカード知育具が公知である。
【0003】
このカード知育具は、カードの投入口22の後端より箱体21内の中間部に亘り、下端が後方へやや傾斜した縦面25と、この縦面25の下端より前方へ僅かに突出した水平面26と、更にこの水平面26の前端より前記カード24の取出し口23の下端に亘って形成した傾斜面27とにより構成している。
【0004】
上記従来のカード知育具は、カードの表面に表示した質問事項を児童に見せながら、表面を手前にして箱体21の投入口22に挿入すると、カード24は箱体21内で直ちに反転して取出し口23に落下し、児童が考えている間に答が表示されしまうという問題点があった。
【0005】
また、カード24を傾けて箱体21内に投入するときは、カード24が反転することなく傾斜面27に沿って落下し、取出し口23に質問事項が表示されてしまうことがあった。更に、投入口22から投入されたカード24が、下端を水平面に支持され、上端を縦面5に支持されて起立状態となり、取出し口23に落下しないことがあった。
【非特許文献1】岡田 進著 「楽しい算数 ゲーム&ドリル」日本書籍株式会社出版1993年7月30日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、表面に質問事項を、裏面に答を表示したカードを箱体内で一旦保持し、児童に思考時間を与えた後、カードを反転して箱体の取出し口に落下させるカード知育具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る請求項1のカード知育具は、箱体の上部にスリット状のカードの投入口を、箱体の前面の下部にカードの透視兼用の取出し口を形成し、箱体内の上部には、投入されたカードを保持し、且つ一時的に保持したカードを箱体の下部に反転状態で落下させる断面V字型の回転体の両端を水平軸により架設し、箱体から突出した水平軸の外端にはハンドルを固定し、箱体内の下部には反転状態で落下したカードを、取出し口より透視可能に支持するカードの支持板を配設したことを特徴としている。
【0008】
表面に、児童に質問しようとする文字や数字を表示し、裏面に上下を逆にして答を表示したカードを用意し、その表面の文字や数字を児童に見せた後、表面を手前にして箱体のカード投入口に挿入すると、カードは断面V字型の回転体に保持される。児童に考える時間を与えた後、ハンドルを操作して回転体を回動させると、カードは反転しながら下方へ滑り落ちて支持板の前面に支持され、カードの裏面に表示された答が箱体の取出し口より確認されるのである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る請求項1のカード知育具は、投入口より箱体内に投入したカードは、断面V字型の回転体に保持され、ハンドル操作による回転体の回動により、反転して取出し口に落下するため、児童に十分なに思考時間を与え、予め自分が考えた答が正解であったか否かを確認することができる。
【0010】
しかも、箱体内に投入されたカードは断面V字型の回転体内に確実に保持されるため、反転しないまま落下することがない。また、カードが取出し口に落下しないということもないので、安心して使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図1〜5を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係るカード知育具の斜視図、図2は同上側面図、図3は同上縦断面図、図4はカードの表面図、図5は同カードを上下反転させた状態の裏面図である。
【0012】
符号1は箱体であり、この箱体1の天板には左右に長いスリット状のカード2の投入口3を形成し、箱体1の前面下部にはカード2の透視兼用の取出し口4を形成している。上記カード2の表面には、掛け算の数式「8×2」を表示し、裏面には答の数字「16」を上下を逆にして表示している。またカード2の上端には、上下確認用の切欠きaを設けている。
【0013】
上記箱体1内には、カード2の投入口3の下側に、断面V字型の回転体Aを装着している。この回転体Aは、後側にやや傾斜し且つ前面が投入口3の直下に位置した縦板5と、縦板5の下端より前方へ上向きに傾斜した横板6とにより形成し、その左右両端を水平軸7により箱体1の左右両側板8に軸着している。また横板6の下端を後方へ延長し、この延長部9に回転体Aを後側に付勢するための重り10を固定している。
【0014】
前記箱体1から突出した水平軸7の外端には、ハンドル11を固定している。箱体1の外壁面には、ハンドル11の回動範囲を規制するための一対の突起12と13を突出している。また取出し口4の内側には、回転体Aより裏返しの状態で落下したカード2を支持する支持板12を斜設している。尚、符号15は取出し口4からのカード2の飛び出し防止板である。また符号16は箱体の背面に形成したカード2の排出口である。この排出口16は、カード2を投入する前に、誤って回転体Aを回動したとき、箱体1内の後部に落下したカード2を取り出すのである。
【0015】
表面に掛け算の数式を、裏面にその答を上下逆向きに表示したカード2を児童に見せ、暗算により計算させながら、図1に示すように箱体1の投入口3に挿入すると、カード2は図3に示すように回動体Aにおける縦板5の前面に保持される。適度の時間が経過した後、図2に示すようにハンドル11を、重り11による荷重に抗して下方に回動すると、回転体Aは図3に実線で示す状態から鎖線で示す状態に回動し、カード2は反転しながら落下して支持板14の前面に支持される。児童は、この支持板14に支持されたカード2の答を取出し口4から透視し、自分が考えた答が正解であったか否かを確認するのである。
【0016】
上記実施形態におけるカード2は、児童に掛け算を学習させる場合のものであるが、漢字とその読み方を示す平仮名を表示した国語学習用のもの、国旗と国名を表示したり、地図と地名を表示した社会科学習のもの等がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るカード知育具の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】同上実施の形態の側面図である。
【図3】同上実施の形態の縦断面図である。
【図4】同上実施の形態におけるカードの表面図である。
【図5】同上カードを上下反転させた状態の裏面図である。
【図6】従来のカード知育具の縦断面図である。
【符号の説明】
【0018】
1 箱 体
2 カード
a 切欠き
3 投入口
4 取出し口
A 回転体
5 縦 板
6 横 体
7 水平軸
8 側 板
9 延長部
10 重り
11 ハンドル
12 突 起
13 突 起
14 支持板
15 飛び出し防止板
16 排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱体の上部にスリット状のカードの投入口を、箱体の前面の下部にカードの透視兼用の取出し口を形成し、箱体内の上部には、投入されたカードを保持し、且つ一時的に保持したカードを箱体の下部に反転状態で落下させる断面V字型の回転体の両端を水平軸により架設し、箱体から突出した水平軸の外端にはハンドルを固定し、箱体内の下部には反転状態で落下したカードを、取出し口より透視可能に支持するカードの支持板を配設したことを特徴とするカード知育具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−149433(P2006−149433A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−340424(P2004−340424)
【出願日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(000134800)株式会社ナナミ (16)
【Fターム(参考)】