説明

カード管理システム及びカード管理方法

【課題】在庫管理及びセキュリティの面で、より適切なカード管理を行うことである。
【解決手段】本発明のカード管理システムは、利用前の複数のカードを保管すると共に、複数のカードの中から所定枚数のカードを取り出すカード管理システムであって、複数のカードを収納した収納部と、該収納部に収納された複数のカードの中から一枚取り出す取出処理を実行するカード取出機構と、該カード取出機構に取出処理を実行させるために操作者が行う操作を受け付けて、当該操作の内容を示す情報を発信する情報発信部と、該情報発信部が新たな情報を発信すると、新たな情報を記憶する記憶部と、該記憶部が新たな情報を記憶すると、新たな情報を記憶部から読み出して、新たな情報に応じた回数だけ、カード取出機構に取出処理を実行させるコントローラと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード管理システム及びカード管理方法に係り、特に、利用前の複数のカードを保管すると共に、カードの利用に際して複数のカードの中から所定枚数のカードを取り出すことが可能なカード管理システム及びカード管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
クレジットカードやキャッシュカード等について、利用前のカードを所定の場所に複数枚保管しておき、利用に際して当該保管場所に保管された複数のカードの中から所定枚数だけカードを取り出すカード管理については既に知られている。カード管理の中には、複数のカードを集積して保管し、集積された状態(すなわち、束となった状態)で保管されているカードの中から所定の枚数だけ取り出すこともある。このようなカード管理は例えばカード管理会社の従業員によって行われ、当該従業員は、カードの利用者からの要望に応じて集積された状態のカード群の中から要求に応じた枚数だけ取り出す。
【0003】
ただし、以上のようなカード管理が作業員等の人手によって行われる状況では、保管されているカードの残数を把握すること、すなわち、管理カードの在庫管理が困難となる。また、人手によるカード管理においては、誤操作等により必要な枚数以上のカードを取り出してしまうおそれもある。さらに、集積された状態で保管されている複数のカードの中から人手により所定の枚数を取り出すことが可能な構成では、カードが領得される等、セキュリティ上の問題も生じる。
【0004】
一方、複数のカードについて一枚ずつ個別に保管すると共に、カードを一枚ずつ排出することが可能な装置が既に開示されている(例えば、特許文献1参照)。当該装置を用いれば、カードの個別管理が可能となり、必要な枚数以上のカードを取り出してしまうのを回避することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−243790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の装置に保管可能なカードの枚数は少なく、例えば、多量の枚数を管理する場合には不適切である。また、当該装置を用いたとしても、カードの残数を人手によって確認する場合には適切な在庫管理が困難となる。このため、保管されている複数のカードの中から一枚ずつカードを取り出すことに加え、適切にカードの在庫管理することが可能なカード管理システムの構築が求められている。さらに、当該カード管理システムについては、セキュリティの面でも適切なカード管理が実行可能なものが求められている。
【0007】
そこで、本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、在庫管理及びセキュリティの面で、より適切なカード管理を行うことが可能なカード管理システム及びカード管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、本発明のカード管理システムによれば、利用前の複数のカードを保管すると共に、複数の前記カードの中から所定枚数の前記カードを取り出すカード管理システムであって、複数の前記カードを収納した収納部と、該収納部に収納された複数の前記カードの中から一枚取り出す取出処理を実行するカード取出機構と、該カード取出機構に前記取出処理を実行させるために操作者が行う操作を受け付けて、当該操作の内容を示す情報を発信する情報発信部と、該情報発信部が新たな前記情報を発信すると、新たな前記情報を記憶する記憶部と、該記憶部が新たな前記情報を記憶すると、新たな前記情報を前記記憶部から読み出して、新たな前記情報に応じた回数だけ、前記カード取出機構に前記取出処理を実行させるコントローラと、を備えることにより解決される。
かかるカード管理システムによれば、収納部に収納された複数のカードの中から一枚ずつ取り出す取出処理の実行回数がコントローラにより制御可能となる。すなわち、操作者の操作を受け付けた上で、当該操作の内容を示す情報に基づき、その情報に応じた回数だけコントローラがカード取出機構に取出処理を実行させる。このように、本発明のカード管理システムにおいて、カードを取り出す取出処理、特にその実行回数がコントローラにより適切に制御される結果、在庫管理及びセキュリティの面において、より適切なカード管理が実現されることになる。
【0009】
また、上記のカード管理システムにおいて、前記収納部は前記カードの種類別に設けられ、前記情報発信部は、前記カード取出機構に前記取出処理を実行させるために操作者が行う操作として、前記カードのユーザーに関する事項、取り出す前記カードの枚数に関する事項、及び、取り出す前記カードの種類に関する事項のうち、少なくとも1つを含む入力事項を入力する入力操作を受け付けて、前記入力事項を示す情報を発信し、(A)前記入力事項が前記ユーザーに関する事項を含んでいる場合、前記コントローラは、当該事項から特定される前記ユーザーが登録された前記ユーザーである場合に限り、前記カード取出機構に前記取出処理を実行させ、(B)前記入力事項が前記枚数に関する事項を含んでいる場合、前記コントローラは、当該事項から特定される前記枚数に応じた回数だけ、前記カード取出機構に前記取出処理を実行させ、(C)前記入力事項が前記種類に関する事項を含んでいる場合、前記コントローラは、当該事項から特定される前記種類に対応した前記収納部に収納された前記カードを取り出す前記取出処理を、前記カード取出機構に実行させると好適である。
かかる構成であれば、コントローラが、カード取出機構による取出処理の実行を入力操作に応じて適切に制御するようになる。すなわち、入力された事項から特定されるユーザーが登録されたユーザーである場合に限って取出処理の実行を認めることとすれば、セキュリティ性を向上させることが可能になる。同様に、取り出すカードの枚数や種類が入力され、当該入力事項に応じて取出処理を実行させることにすれば、入力時に指定された枚数や種類に限定してカードが取り出されるので、セキュリティ性を向上させると共に、カードの在庫管理がより容易になる。
【0010】
また、上記のカード管理システムにおいて、前記カード取出機構により取り出された前記カードを受け取り、前記カードを搬送路に沿って搬送する搬送機構と、前記カードが前記搬送路内に位置する間に前記カードの異常の有無を判別する判別部と、を備え、前記コントローラは、前記判別部の判別結果に応じて前記搬送機構を制御すると、より好適である。
かかる構成であれば、カードの異常の有無に応じて搬送機構による搬送処理を制御することにより、カードを適切に搬送することが可能になる。
【0011】
また、上記のカード管理システムにおいて、前記搬送機構は、異常が有る前記カードを回収するための回収先に向けて搬送するための第1搬送路と、異常が無い前記カードを前記回収先とは異なる非回収先に向けて搬送するための第2搬送路と、前記第1搬送路を開いている間は前記第2搬送路を閉じ、前記第2搬送路を開いている間は前記第1搬送路を閉じる搬送路切替機構と、を有し、前記コントローラは、前記判別部が前記カードに異常が無いと判別した場合には前記第2搬送路を開いて前記第1搬送路を閉じるように前記搬送路切替機構を制御し、前記判別部が前記カードに異常が有ると判別した場合には前記第1搬送路を開いて前記第2搬送路を閉じるように前記搬送路切替機構を制御すると、より一層好適である。
かかる構成であれば、比較的簡易な構成により、カードの搬送路を切替えることが可能になる。
【0012】
また、上記のカード管理システムにおいて、前記搬送機構が搬送した前記カードの中に、前記第1搬送路に沿って搬送された前記カードが存在した場合、前記コントローラは、前記第1搬送路に沿って搬送された前記カードの枚数分だけ、再び前記カード取出機構に前記取出処理を実行させると、さらに好適である。
かかる構成であれば、取り出されたカードの中に異常なカードがあったとしても、最終的には、カードを取り出すための操作を行った操作者に所望の枚数分だけカードが渡るように、取出処理の実行回数を制御することが可能になる。
【0013】
また、上記のカード管理システムにおいて、前記搬送機構は、前記第1搬送路及び前記第2搬送路よりも上流側に位置する第3搬送路を更に有し、前記判別部は、前記カードが前記第3搬送路内に位置する間に、前記カードに取り付けられたICチップの異常の有無を判別すると、さらに好適である。
ICチップの異常の有無は、カードの品質として特に重要視される。したがって、上記の如くICチップの異常の有無に応じて搬送路を切替えるという構成は、搬送路を切替えてカードを適切に搬送するものとして特に有効となる。
【0014】
また、上記のカード管理システムにおいて、前記収納部、前記カード取出機構、前記搬送機構、及び、前記判別部は、それぞれ前記カードの種類別に設けられていると、さらに好適である。
かかる構成では、所望の種類のカードを取り出すための制御が容易になる。
【0015】
また、上記のカード管理システムにおいて、前記記憶部は、前記収納部に収納された前記カードの残数を示す残数情報を記憶し、前記コントローラは、前記カード取出機構に前記取出処理を実行させた後に、前記取出処理の実行回数分だけ前記残数が減るように前記残数情報を更新すると、さらに好適である。
かかる構成であれば、カード取出機構による取出処理の実行と連動して残数情報が自動更新されるので、(例えば、残数情報を手入力で更新する場合に比して)より適切な在庫管理を実現することが可能になる。
【0016】
また、上述した課題は、本発明のカード管理方法によれば、利用前の複数のカードを保管すると共に、複数の該カードの中から所定枚数の該カードを取り出すカード管理方法であって、(A)収納部に収納された複数の前記カードの中から一枚取り出す取出処理を実行するカード取出機構、に前記取出処理を実行させるために操作者が行う操作を第1の端末にて受け付けて、当該操作の内容を示す情報を前記第1の端末から第2の端末に向けて発信する情報発信工程と、(B)該情報発信工程において前記第1の端末から発信された新たな前記情報が前記第2の端末に受信されると、前記第2の端末に設けられた記憶部が新たな前記情報を記憶する記憶工程と、(C)該記憶工程において前記記憶部が新たな前記情報を記憶すると、前記第2の端末に設けられたコントローラが前記記憶部から新たな前記情報を読み出して、新たな前記情報に応じた回数だけ、前記カード取出機構に前記取出処理を実行させる取出処理実行工程と、を備えることにより解決される。
かかる方法によれば、上述したように、在庫管理及びセキュリティの面で、より適切なカード管理を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のカード管理システム及びカード管理方法によれば、収納部に収納された複数のカードの中から一枚ずつ取り出す取出処理の実行回数が制御可能となる結果、在庫管理及びセキュリティの面において、より適切なカード管理が実現されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態に係るカード管理システムの構成図である。
【図2】本実施形態に係る収納部を示す模式図である。
【図3】本実施形態に係るカード取出機構を示す模式図である。
【図4】本実施形態に係る搬送機構を示す模式図である。
【図5】情報入力用端末5の構成を示すブロック図である。
【図6】操作者が入力事項を入力する際の画面の一例である。
【図7】管理用端末6の構成を示すブロック図である。
【図8】本実施形態に係るカード管理システムを説明するためのフロー図である(その1)。
【図9】本実施形態に係るカード管理システムを説明するためのフロー図である(その2)。
【図10】本実施形態に係るカード管理システムを説明するためのフロー図である(その3)。
【図11】変形例に係る収納部を示す模式図である。
【図12】変形例に係るカード取出機構を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本実施形態に係るカード管理システム及びカード管理方法について、図1〜図10を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係るカード管理システムの構成図である。図2は、本実施形態に係る収納部を示す模式図であり、同図中には、収納部に収納されるカードが併せて図示されている。図3は、本実施形態に係るカード取出機構を示す模式図である。図4は、本実施形態に係る搬送機構を示す模式図である。図5は、後述の情報入力用端末5の構成を示すブロック図である。図6は、操作者が入力事項を入力する際の画面の一例である。図7は、後述の管理用端末6の構成を示すブロック図である。図8〜図10は、本実施形態に係るカード管理システムを説明するためのフロー図である。
【0020】
<<本実施形態に係るカード管理システムについて>>
先ず、本実施形態に係るカード管理システム(以下、本システムS)の全体構成について概説する。
本システムSは、利用前の複数のカードを保管すると共に、必要に応じて複数のカードの中から所定枚数のカードを取り出すためのものである。すなわち、本システムSは、例えばカード発行会社としての銀行等において用いられるものであり、発行されてからカードの利用者であるユーザーに提供するまでの間、当該カードを管理しておくためのシステムである。
【0021】
より具体的に説明すると、本システムSは、キャッシュカードやクレジットカード等のカードが複数発行される環境において、当該カードをユーザーに提供するまでの間保管すると共に、操作者の操作に応じて適宜カードを取り出すために構築されたシステムである。ここで、操作者とは、所定のカードをそのユーザーに提供するにあたって本システムSを操作する者である。操作者の操作とは、本実施形態に係るカード取出機構(具体的には、後述のカード取出ユニット2)にカードの取出処理を実行させるための操作であり、本実施形態では所定の事項を入力する入力操作である。当該入力操作については後に詳述する。
【0022】
また、本実施形態において、本システムSが管理するカードは、ICチップが取り付けられたカード(いわゆるICカード)である。本実施形態に係るICチップは、所定の読取装置や書込装置と非接触形式で通信することが可能である。さらに、本実施形態において、本システムSは複数種のカードを管理しており、各カードについては、種類別に保管されると共に、取り出される際には操作者の操作に応じた種類のカードが取り出される。
【0023】
本システムSは、図1に示すように、収納部としてのホッパー1と、カード取出機構としてのカード取出ユニット2と、搬送機構としての搬送ユニット3と、判別部としての判別ユニット4と、第1の端末としての情報入力用端末5と、第2の端末としての管理用端末6と、を備えている。また、上述したように、本システムSは複数種のカードを管理するものであり、本実施形態では、ホッパー1、カード取出ユニット2、搬送ユニット3、及び、判別ユニット4が、それぞれカードの種類別に設けられている。なお、図1では、ホッパー1、カード取出ユニット2、搬送ユニット3、及び、判別ユニット4がそれぞれ2個ずつ記載されているが、これに限定されず、これらの機器の数はカードの種類の数に応じて適切に決定された数とする。
以下、本システムSの各構成要素について説明する。
【0024】
<ホッパー1について>
ホッパー1は、その内部に複数のカードを収納するものである。本実施形態に係るホッパー1は、複数のカードを一枚ずつ個別に収納することが可能な構成である。具体的に説明すると、図2に示すように、ホッパー1内部は仕切板11により複数の個別空間(以下、チャンバ12)に区画されており、各チャンバ12に1枚ずつカードが収納される。本実施形態において、各チャンバ12は上下方向に積み重なっており、各チャンバ12の前端と後端には開閉自在な扉13a、13bが設けられている。
【0025】
以上の構成のホッパー1は、セキュリティの面から、例えば特定の人のみに入室が認められている部屋内に配置されている。なお、ホッパー1へのカードの供給は、人手によって行われることとしてもよく、あるいは、不図示のカード供給機構により自動的に行われることとしてもよい。カード供給機構の構成は、特に限定されるものではなく、各チャンバ12の扉13a、13bを開けて各チャンバ12内にカードを補給するものであればよい。また、各チャンバ12の扉13a、13bは、各チャンバ12内からカードを簡単には取り出すことができないように、カードの補給時を除き人手では容易に開けることができない構成となっている。
【0026】
<カード取出ユニット2について>
カード取出ユニット2は、ホッパー1近傍に配置され、ホッパー1に収納された複数のカードの中から一枚取り出す取出処理を実行する機構である。本実施形態に係るカード取出ユニット2は、図3に示すように、主たる構成要素として押出装置21と、押出装置スライド機構22とを有する。
【0027】
押出装置21は、ケーシング21aと、ケーシング21a内に格納されており一部がケーシング21aの外に突出している押出ピン21bとを有している。この押出ピン21bは、その延出方向に沿って進退自在に構成されており、不図示の駆動機構により押出ピン21bの進退動作が自動的に行われる。押出装置スライド機構22は、押出装置21を上下方向に沿ってスライド自在に支持すると共に、押出装置21のスライド動作を実行するための機構である。
【0028】
次に、カード取出ユニット2の動作例について説明する。取出処理が開始されると、先ず、押出装置スライド機構22が押出装置21を上下方向に沿ってスライドさせて、上下方向に並んだ複数のチャンバ12のうち、一のチャンバ12(例えば、最上段のチャンバ12)と上下方向において同位置に位置するまで押出装置21を移動させる。これにより、押出装置21の押出ピン21bは、一のチャンバ12に設けられた後側の扉13bと対向するようになる。かかる状態において、押出ピン21bが前方に向かって延伸し、やがて一のチャンバ12に設けられた後側の扉13bに当接して当該扉13bを押圧するようになる。この押圧力により後側の扉13bが押し開けられ、押出ピン21bの先端部が一のチャンバ12内に進入するようになる。
【0029】
その後、押出ピン21bは更に前方に延伸するが、この際、チャンバ12内に収納された一枚のカードを押しながら延伸する。当該カードは、押出ピン21bに押されることにより前進し、やがて前側の扉13aに当接して当該扉13aを押圧するようになる。この押圧力により上記の扉13aが押し開けられ、カードがチャンバ12外に排出されるようになる。排出されたカードは搬送ユニット3に引き渡され、以降、搬送ユニット3により所定の搬送先へ向けて搬送される。
【0030】
以上のような構成のカード取出ユニット2が取出処理を行うことにより、当該処理では、ホッパー1に収納された複数のカードの中からカードが一枚ずつ取り出され、取り出されたカードは一枚ずつ確実に搬送ユニット3に引き渡されるようになる。
【0031】
<搬送ユニット3について>
搬送ユニット3は、カード取出ユニット2により取り出されたカードを受け取り、当該カードを搬送路31に沿って搬送する搬送処理を実行する機構であり、搬送ローラやベルトコンベア等により構成されている。搬送ユニット3は、図4に示すように、板金等の搬送路形成部材によって形成された搬送路31を有しており、この搬送路31は、カード取出ユニット2からカードを受け取る受取位置から延出しており、中途位置で二方向に分岐している。
【0032】
分岐した2つの路のうちの一方は、異常が有るカード(すなわち、不良なカード)を回収するための回収先に向けて搬送するための路であり、以下、第1搬送路32と称する。分岐した2つの路のうちの他方は、異常が無いカード(すなわち、正常なカード)を上記回収先とは異なる非回収先に向けて搬送するための路であり、以下、第2搬送路33と称する。なお、本実施形態において、第2搬送路33は、操作者がカードを取得する位置まで延出している(換言すると、本実施形態において、非回収先とはカードの取得位置を意味する)。一方、第1搬送路32が向かう回収先は、不良なカードを溜めて置くための回収ボックス(不図示)であり、回収ボックス内に溜め置かれたカードは適宜廃棄される。
【0033】
また、搬送路31の中には、第1搬送路32及び第2搬送路33よりも上流側に位置する第3搬送路34が設けられている。すなわち、第3搬送路34は、搬送路31のうち、カード取出ユニット2からカードを受け取る受取位置から上記の分岐位置まで亘った部分である。
【0034】
さらに、搬送ユニット3は、図4に示すように、搬送路31の分岐位置の直前に搬送路切替機構35を有している。この搬送路切替機構35は、切替ダンパー35aを用いて、第1搬送路32を開いている間は第2搬送路33を閉じ、第2搬送路33を開いている間は第1搬送路32を閉じるものである。そして、搬送路切替機構35により、正常なカードは第2搬送路33上にて搬送されるようになり、不良なカードは第1搬送路32上にて搬送されるようになる。
なお、本実施形態において、搬送路切替機構35は、通常、第2搬送路33を開き、かつ、第1搬送路32を閉じる位置(図4にて実線で示す位置)に切替ダンパー35aを配置させており、不良なカードを搬送する場合には、第2搬送路33を閉じ、かつ、第1搬送路32を開く位置(図4にて二点鎖線で示す位置)に切替ダンパー35aを移動させる。
【0035】
<判別ユニット4について>
判別ユニット4は、カードが搬送路31内に位置する間にカードの異常の有無を判別するものである。特に、本実施形態に係る判別ユニット4は、カードが第3搬送路34内に位置する間に、カードに取り付けられたICチップの異常の有無を判別するものである。
具体的に説明すると、判別ユニット4は、カードに取り付けられたICチップと通信するための通信機構41を備えており、通信機構41は第3搬送路34の中途位置に設置されている。そして、通信機構41の設置位置をカードが通過する際、そのカードに取り付けられたICチップが通信機構41と正常に通信することができた場合には、当該カードは正常なカードとして識別される。一方、ICチップが通信機構41と通信不能であった場合には、当該ICチップが取り付けられているカードは不良なカードとして識別される。
【0036】
以上の構成により判別ユニット4は、搬送ユニット3によって搬送されているカードについて、取り付けられたICチップの異常の有無を判別する。そして、判別ユニット4による判別結果については、当該判別結果を示す情報が生成され、当該情報が判別ユニット4から後述の管理用端末6に向けて発信されることになっている。
【0037】
なお、本実施形態において、判別ユニット4は、カードを搬送させながら当該カードの異常の有無を判別する構成であるが、これに限定されるものではなく、例えば、第3搬送路34に沿って移動してきたカードを所定位置で留めておき、当該所定位置にてカードの異常の有無を判別する構成であってもよい。
【0038】
<情報入力用端末5について>
情報入力用端末5は、情報発信部の一例であり、カード取出ユニット2に取出処理を実行させるために操作者が行う操作を受け付けて、当該操作の内容を示す情報を発信するものである。特に、本実施形態に係る情報入力用端末5は、カード取出ユニット2に取出処理を実行させるために操作者が行う操作として、カードのユーザーに関する事項、取り出すカードの枚数に関する事項、及び、取り出すカードの種類に関する事項のうち、少なくとも1つを含む入力事項を入力する入力操作を受け付けて、入力事項を示す情報を発信する。
【0039】
具体的に説明すると、情報入力用端末5は、図5に示すように、CPU51やメモリ52のほか、ディスプレイ等の出力装置53、キーボードやマウス又はタッチパネル等の入力装置54、及び情報発信用のインターフェース55を備えている。また、情報入力用端末5には、情報発信部としての機能を発揮するためのプログラムがインストールされている。
【0040】
そして、操作者が入力装置54を通じて上記の入力事項を入力すると、情報入力用端末5が当該入力操作を受け付ける。ここで、入力操作を受け付けるとは、入力操作に応じた電気信号が入力装置54からメモリ52等に伝送されることを意味する。その後、上記電気信号に応じた情報、すなわち、入力事項を示す情報が情報入力用端末5内で生成されると共に、インターフェース55を通じて管理用端末6に向けて発信される。
【0041】
なお、本実施形態において、情報入力用端末5を用いて操作者が入力する入力事項としては、カードのユーザーに関する事項、取り出すカードの枚数に関する事項、及び、取り出すカードの種類に関する事項のすべての事項である。カードのユーザーに関する事項とは、ユーザー名やユーザーを特定するための番号等である。取り出すカードの枚数に関する事項とは、枚数を示す数値、あるいは所定の枚数に対して割り当てられた記号等である。取り出すカードの種類に関する事項とは、カードのユーザーが提供を求めるカード、すなわち、取出処理の対象となるカードの種類を特定するための事項である。これらの事項の入力は、出力装置53であるディスプレイに図6に示す画面を表示させた状態で行われる。
ただし、カード取出ユニット2に取出処理を実行させるために操作者が入力する事項は、上記の事項に限られるものではなく、上述した3つの事項のうち、少なくとも1つを含む限り、他の事項を含むものであってもよい。
【0042】
また、セキュリティ性を考慮し、情報入力用端末5での入力操作に関しては、情報入力用端末5を利用することができる操作者を限定したり、入力画面を表示させるためのパスワードを設定したりする等して、操作制限を設けておくことが好適である。
【0043】
<管理用端末6について>
管理用端末6は、制御回路61を介して本システムS各部を制御する機器であり、図7に示すように、当該制御回路61、CPU62、メモリ63、HDD等の補助記憶装置64、プリンタやディスプレイ等の出力部65、及び、情報送受信用のインターフェース66を備えている。また、管理用端末6には、管理用端末6各部の機能を発揮させるためのプログラムがインストールされている。
【0044】
上述した管理用端末6の構成を機能面から改めて説明すると、管理用端末6には、情報を受信する受信部6aと、情報を記憶する記憶部6bと、情報に基づいて本システムS各部を制御する制御部6cと、を有している。
受信部6aは、インターフェース66を主たる要素として構成され、情報入力用端末5からの情報(すなわち、カード取出ユニット2に取出処理を実行させるために操作者が入力した入力事項を示す情報)や、判別ユニット4による判別結果を示す情報(すなわち、ICチップの異常の有無を示す情報)を受信する。
【0045】
記憶部6bは、メモリ63や補助記憶装置64を主たる要素として構成され、情報入力用端末5からの情報や判別ユニット4による判別結果を示す情報など、受信部6aが受信してきた情報を記憶する。つまり、記憶部6bは、情報入力用端末5や判別ユニット4が新たな情報を発信すると、当該新たな情報を受信部6aが受信した後に所定の記憶領域に記憶する。
また、記憶部6bには、カードの利用者(ユーザー)に関して登録された情報(以下、ユーザーID情報)が予め記憶されており、さらには、ホッパー1に収納されたカードの残数を示す残数情報が記憶されている。特に本実施形態において、ユーザーID情報及びカードの残数情報は、カードの種類別に記憶部6bに記憶されている。
【0046】
制御部6cは、コントローラの一例であり、制御回路61、CPU62、メモリ63及びインストールされたプログラムを主たる要素として構成され、本システムS各部、具体的にはカード取出ユニット2や搬送ユニット3を制御する。
カード取出ユニット2の制御について説明すると、制御部6cは、情報入力用端末5からの情報に基づいて、カード取出ユニット2による取出処理の実行を制御する。すなわち、記憶部6bが情報入力用端末5からの新たな情報を記憶すると、制御部6cは、当該新たな情報を記憶部6bから読み出して、当該新たな情報に応じた回数だけ、カード取出ユニット2に取出処理を実行させる。
【0047】
より詳しく説明すると、制御部6cは、カード取出ユニット2に取出処理を実行させるために操作者が入力した入力事項を示す情報に応じて、カード取出ユニット2に取出処理を実行させる。例えば、入力事項がユーザーに関する事項を含んでいる場合、制御部6cは、当該事項から特定されるユーザーが登録されたユーザーである場合に限り、カード取出ユニット2に取出処理を実行させる。このように、入力された事項から特定されるユーザーが登録されたユーザーである場合に限って取出処理の実行を認めることとすれば、セキュリティ性を向上させることが可能になる。なお、ユーザーの照合については、記憶部6bに記憶されたユーザーID情報を参照し、カードを取り出すにあたり操作者が入力したユーザーに関する事項とユーザーID情報とを対比してユーザーの同一性を確認することにより行われる。
【0048】
一方、入力事項が取り出すカードの枚数に関する事項を含んでいる場合、制御部6cは、当該事項から特定される枚数に応じた回数だけ、カード取出ユニット2に取出処理を実行させる。また、入力事項が取り出すカードの種類に関する事項を含んでいる場合、制御部6cは、当該事項から特定される前記種類に対応したホッパー1に収納されたカードを取り出す取出処理を、カード取出ユニット2に実行させる。このように入力時に指定された枚数や種類に限定してカードが取り出されるので、セキュリティ性を向上させると共に、カードの在庫管理がより容易になる。
【0049】
以上のように、本実施形態では、操作者の入力操作に応じて、制御部6cがカード取出ユニット2による取出処理の実行を適切に制御する。
【0050】
次に、搬送ユニット3の制御について説明すると、制御部6cは、カード取出ユニット2に取出処理を実行させた場合には、搬送ユニット3に搬送処理を実行させる。つまり、本実施形態では、取出処理が実行される度に搬送処理が実行されることになる。そして、制御部6cは、判別ユニット4からの情報に基づいて搬送ユニット3を制御する。すなわち、記憶部6bが判別ユニット4からの新たな情報を記憶すると、制御部6cは、当該新たな情報を記憶部6bから読み出し、判別ユニット4の判別結果に応じて搬送ユニット3を制御する。
【0051】
より詳しく説明すると、判別ユニット4がカードのICチップに異常が無いと判別した場合には、制御部6cは、当該判別結果に応じて、第2搬送路33を開いて第1搬送路32を閉じるように搬送路切替機構35を制御する。これにより、正常なカードについては、操作者が取得して最終的にユーザーの手に渡るように搬送処理が実行される。
一方、判別ユニット4がカードのICチップに異常が有ると判別した場合には、制御部6cは、当該判別結果に応じて、第1搬送路32を開いて第2搬送路33を閉じるように搬送路切替機構35を制御する。これにより、不良なカードについては最終的に既述の回収ボックスへ向かうように搬送処理が実行される。
なお、前述したように、搬送路切替機構35は、通常、第2搬送路33を開き、かつ、第1搬送路32を閉じる位置に切替ダンパー35aを配置させており、不良なカードを搬送する場合に、第2搬送路33を閉じ、かつ、第1搬送路32を開く位置に切替ダンパー35aを移動させる。
【0052】
また、本実施形態に係る制御部6cは、第1搬送路32に沿ってカードを搬送する搬送処理を搬送ユニット3に実行させた場合には、再度、カード取出ユニット2に取出処理を実行させると共に、当該取出処理に付随して搬送処理を搬送ユニット3に実行させる。このように、本実施形態において、制御部6cは、搬送ユニット3が搬送したカードの中に、第1搬送路32に沿って搬送されたカードが存在していたかどうかを判定し、当該カードが存在していた場合には、第1搬送路32に沿って搬送されたカードの枚数分だけ、再びカード取出ユニット2に取出処理を実行させることになっている。これにより、操作者の入力事項から特定されるカードの枚数に相当する枚数だけ、正常なカードが取り出され、かつ、操作者に取得されるようになる。
【0053】
以上のように、本実施形態では、カードの異常の有無に応じて搬送ユニット3による搬送処理を制御することにより、カードを適切に搬送することが可能になる。また、上記の構成であれば、比較的簡易な構成により、カードの搬送路を適切に切替えることが可能になる。つまり、本実施形態では、カードの異常の有無に応じて切替ダンパー35aの配置位置を切替えることにより、カードの搬送路を、正常なカードを搬送するための路と、不良なカードを搬送するための路との間で切替えることが可能になる。
【0054】
さらに、制御部6cは、カード取出ユニット2に取出処理を実行させた後に、記憶部6bに記憶されたカードの残数情報を更新する。分かりやすく説明すると、制御部6cは、カード取出ユニット2に取出処理を実行させた後に、取出処理の実行回数分だけホッパー1内のカードの残数が減るように上記の残数情報を更新する。
このように、本実施形態では、カード取出ユニット2による取出処理の実行と連動して残数情報が自動更新されるので、例えば、残数情報を手入力で更新する場合に比して、より適切な在庫管理を実現することが可能である。
なお、上述したように、残数情報はカードの種類別に記憶部6bに記憶されており、残数情報の更新についてもカードの種類別に行われることが好適である(すなわち、操作者の入力事項から特定されるカードの種類に対応させて、残数情報が更新されることが望ましい)。
【0055】
以上までに説明してきたように、本システムSは、ホッパー1に収納された複数のカードの中から一枚ずつ取り出すことが可能なカード取出ユニット2を備えており、比較的簡易な構成で多量のカードを取り扱うことが可能である。
また、カード取出ユニット2による取出処理は、操作者の入力操作を受け付けた上で、当該入力操作の内容を示す情報に基づき、その情報に応じた回数だけ実行される。すなわち、本システムSにおいてホッパー1内からカードを取り出すためには適当な操作を行う必要があり、また、カードを取り出す取出処理については、上記操作により発信される情報に応じた回数だけ実行される。これにより、必要以上に取出処理が実行されるのを回避することが可能になり、カード管理におけるセキュリティが向上する。さらに、取出処理の実行回数が制御されるので、当該実行回数分だけホッパー1におけるカード残数を減らすようにカードの在庫管理を行えばよく、当該在庫管理が適切に行われるようになる。
以上の結果、本実施形態では、在庫管理及びセキュリティの面でより適切なカード管理を行うことが可能になる。
【0056】
<<本実施形態に係るカード管理方法について>>
次に、本実施形態に係るカード管理方法の説明として、上記構成のカード管理システム(本システムS)の動作例について図8を参照しながら説明する。
本システムSの動作は、カードの利用者であるユーザーにカードを提供するにあたり、操作者が情報入力用端末5の入力装置54を通じて、カード取出ユニット2に取出処理を実行させるための入力操作を行うことを契機として開始される。なお、本実施形態において入力操作において入力する入力事項は、前述したように、ユーザーに関する事項、取り出すカードの枚数に関する事項、及び、取り出すカードの種類に関する事項である。
【0057】
先ず、情報入力用端末5により、上記の入力操作を受け付けて、当該入力操作の内容を示す情報(換言すると、入力操作において入力された入力事項を示す情報)を情報入力用端末5から管理用端末6に向けて発信する情報発信工程が行われる(S001、S002)。そして、本工程にて情報入力用端末5から新たな情報が発信されると、管理用端末6が、当該新たな情報を受信した上で、管理用端末6に備えられた記憶部6bが当該新たな情報を記憶する記憶工程を実行するようになる(S003、S004)。
【0058】
記憶工程S004において新たな情報が記憶部6bに記憶されると、管理用端末6では、制御部6cが記憶部6bから当該新たな情報を読み出し、当該新たな情報に基づいて、カード取出ユニット2に取出処理を実行させる取出処理実行工程が行われる(S005)。
【0059】
取出処理実行工程について図9を参照しながらより詳しく説明する。本実施形態において、記憶部6bから読み出した情報入力用端末5からの情報は、操作者の入力事項を示すものであり、当該入力事項としては、ユーザーに関する事項、取り出すカードの枚数に関する事項、及び、取り出すカードの種類に関する事項が含まれている。取出処理実行工程において、制御部6cは、先ず、入力されたユーザーに関する事項からユーザーを、記憶部6bに記憶されたユーザーID情報から登録されたユーザーを、それぞれ特定し、両者間の同一性を確認する(S011)。そして、両者が一致する場合には(S011:Yes)、カード取出ユニット2に取出処理を実行させる。他方、両者が相違する場合には(S011:No)、取出処理の実行を中止する(S012)。
【0060】
取出処理の実行に際し、制御部6cは、記憶部6bから読み出した情報入力用端末5からの情報に基づいて、取り出すカードの種類を特定し(S013)、当該種類に対応するカード取出ユニット2に取出処理を実行させる。ここで、カードの種類に対応するカード取出ユニット2とは、該当する種類のカードが収納されているホッパー1からカードを取り出すカード取出ユニット2のことである。
【0061】
さらに、制御部6cは、記憶部6bから読み出した情報入力用端末5からの情報に基づいて、取り出すカードの枚数を特定し(S014)、当該枚数に相当する回数だけ、カード取出ユニット2に取出処理を実行させる(S015、S016)。以上のように、本実施形態では、記憶部6bから読み出した情報入力用端末5からの情報に応じた回数だけ、カード取出ユニット2に取出処理を実行させる。そして、取出処理によりホッパー1から取り出された各カードは、当該カードの種類に対応する搬送ユニット3に引き渡される。ここで、カードの種類に対応する搬送ユニット3とは、該当する種類のカードを搬送する搬送ユニット3である。
【0062】
制御部6cは、取出処理の実行に伴い、当該取出処理によりホッパー1から取り出されたカードを搬送する搬送処理を搬送ユニット3に実行させる(S006)。搬送ユニット3の動作によりカードは搬送路31に沿って搬送され、カードが搬送路31の分岐位置の直前位置(換言すると、第3搬送路34の末端位置)を通過する時点で、判別ユニット4により当該カードの異常の有無、具体的には、当該カードに取り付けられたICチップの異常の有無が判別される。そして、搬送ユニット3は、判別結果に応じて、カードを適当な搬送先に向けて搬送するようになる。
【0063】
図10を参照しながらより詳しく説明すると、異常が無いと判別されたカードについては(S021:No)、第2搬送路33に沿って搬送される(S022)。つまり、判別ユニット4がカードのICチップに異常が無いと判別した場合には、制御部6cは、当該判別結果に応じて、第2搬送路33を開いて第1搬送路32を閉じるように搬送路切替機構35を制御し、切替ダンパー35aを通常位置(第2搬送路33を開き、かつ、第1搬送路32を閉じる位置)に配置させておく。これにより、正常なカードについては、操作者が取得して最終的にユーザーの手に渡るように搬送処理が実行される。
【0064】
一方、判別ユニット4は、カードのICチップに異常が有ると判別した場合には、判別結果を示す情報を管理用端末6に発信する。管理用端末6は、当該情報を受信すると、記憶部6bに当該情報を記憶する。そして、制御部6cが、記憶部6bから当該情報を読み出し、当該情報が示す判別結果に応じて、第1搬送路32を開いて第2搬送路33を閉じるように搬送路切替機構35を制御し、カードが搬送される路を第1搬送路32に切替える(S023)。具体的には、第2搬送路33を閉じ、かつ、第1搬送路32を開く位置に切替ダンパー35aを移動させる。これにより、不良なカードについては、第1搬送路32に沿って搬送され、既述の回収ボックスへ向かうようになる(S024)。
【0065】
そして、取出処理にてホッパー1から取り出されたカードをすべて搬送し終えた後、制御部6cは、搬送ユニット3が搬送したカードの中に、第1搬送路32に沿って搬送されたカード(すなわち、不良なカード)が存在していたかどうかを判定する(S007)。第1搬送路32に沿って搬送されたカードが存在していたと判定した場合には(S007:Yes)、制御部6cは、当該カードの枚数分だけ、再度、カード取出ユニット2に取出処理を実行させると共に、搬送処理を搬送ユニット3に実行させる。
他方、第1搬送路32に沿って搬送されたカードが存在していなかったと判定された場合には(S007:No)、次の工程に進む。
【0066】
以上までの工程が完了した後、制御部6cは、記憶部6bに記憶された情報のうち、ホッパー1内のカードの残数を示す残数情報にアクセスし、カード取出ユニット2が取出処理を実行した回数分だけ上記の残数が減るように残数情報を更新する(S008)。この際、残数情報をカードの種類別に管理し、取出処理により取り出されたカードの種類に対応させて残数情報を更新することが望ましい。
【0067】
以上までに説明してきた手順により、本実施形態のカード管理方法が実現される。そして、当該カード管理方法によれば、カード取出ユニット2を用いてホッパー1に収納された複数のカードの中から一枚ずつ取り出すので、比較的簡易な構成で多量のカードを取り扱うことが可能となる。また、カード取出ユニット2に取出処理を実行させる上で操作者の入力操作を要し、取出処理の実行回数についても、当該入力操作の内容を示す情報に応じた回数に規制される。この結果、在庫管理及びセキュリティの面で、より適切なカード管理を行うことが可能となる。
【0068】
<<その他の実施形態>>
上記の実施形態には、主として本発明のカード管理システム及びカード管理方法について説明した。しかし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【0069】
特に、カード管理システムを構成する機器のうち、収納部やカード取出機構については、上記の実施形態以外のものであってもよい。具体的に説明すると、上記の実施形態では、複数の個別空間(すなわち、チャンバ12)が形成されるように内部を区画して各個別空間に一枚ずつカードを収納するホッパー1を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図11に示すように、上端及び前端が開口端となった略箱状のケース14により構成されるホッパー1であってもよい。すなわち、上記の実施形態のような一枚ずつカードを収納する構成に限らず、複数のカードを積み重ねて束状にまとめた状態で収納する構成であってもよい。図11は、変形例に係る収納部を示した模式図である。
【0070】
また、上記の実施形態では、ホッパー1に収納された複数のカードの中から一枚ずつカードを押し出して取り出す構成のカード取出ユニット2について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、図12に示すようなカード取出ユニット2であってもよい。図12は、変形例に係るカード取出機構を示した模式図である。
図12に示すカード取出ユニット2は、特に、図11に示すホッパー1からカードを1枚ずつ取り出すための構成であり、主たる構成要素として取出ローラ23と、駆動レバー24と、一対のガイドローラ25a,25bとを有している。取出ローラ23は、駆動レバー24に回転自在に支持されており、不図示のモータにより回転している間にその周面を、積層された複数のカード中で最も上側に位置するカードに摺擦させて、摩擦力により当該カードのみを引き出すものである。駆動レバー24は、取出ローラ23を支持した状態で、取出ローラ23と一体的に揺動する部材である。駆動レバー24の揺動により、取出ローラ23は、取出処理の実行時には周面がカードに摺擦する位置に、待機時(取出処理の未実行時)にはカードから離間した位置に、それぞれ配置される。一対のガイドローラ25a、25bは、上下方向に並んでおり、その間にはカード一枚分の厚み程度の隙間が形成されている。取出ローラ23により取り出されたカードは、ガイドローラ25a、25bに挟まれながら上記の隙間を通過した後、搬送ユニット3に引き渡されるようになる。
【0071】
以上のような構成のカード取出ユニット2についても、取出処理において、ホッパー1に収納された複数のカードの中からカードが一枚ずつ取り出すことが可能である。なお、カード取出ユニット2については、ホッパー1に収納された複数のカードの中から一枚だけ取り出すものである限り、他のいかなる構成であってもよい。例えば、ホッパー1に収納された複数のカードの中からカードを1枚ずつ摘み上げて取り出す構成のものや、吸引や磁力等によってカードを1枚ずつ拾い上げて取り出す構成のものであってもよい。
【0072】
また、上記の実施形態では、管理対象のカードが、ICチップが取り付けられたカードであることとした。上記の実施形態では、また、カードの異常の有無としてICチップの異常の有無を判別し、判別結果に応じてカードの搬送路を切替えることとした。ICチップの異常の有無はカードの品質として特に重要視されるため、上記の実施形態のように、ICチップの異常の有無に応じて搬送路を切替えるという構成は、搬送路を切替えてカードを適切に搬送するものとして特に有効となる。但し、これに限定されるものではなく、ICチップの有無を問わず、本発明のカード管理システム及び管理方法は利用可能である。
【0073】
また、上記の実施形態では、ホッパー1、カード取出ユニット2、搬送ユニット3及び判別ユニット4が、それぞれカードの種類別に設けられていることとしたが、これらの機器が、全種類のカードに共通のものとして、それぞれ1つずつ備えられている構成であってもよい。ただし、機器点数は増えるものの、所望の種類のカードを取り出すための制御が容易になり、カードの管理が容易になる点においては上記の実施形態の方が望ましい。
【0074】
同様に、上記の実施形態では、カードの残数を示す残数情報がカードの種類別に記憶部6bに記憶されていることとしたが、これに限定されるものではなく、全種類のカードについて共通の残数情報が記憶されていることとしてもよい(すなわち、種類を問わず、カードの残数を一括管理することとしてもよい)。ただし、カードの種類別に在庫管理する上では、上記の実施形態(種類別に残数情報を記憶する形態)の方が望ましい。一方、記憶部6bに記憶する情報量を少なくする点では、全種類のカードについて共通の残数情報を記憶する形態の方が望ましい。
【0075】
また、上記の実施形態では、制御部6cが、カード取出ユニット2に取出処理を実行させた後に、取出処理の実行回数分だけ残数が減るように上記の残数情報を更新することとした。すなわち、上記の実施形態では、カード取出ユニット2による取出処理の実行と連動して残数情報が自動更新されることとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、操作者が残数情報を手入力で更新することとしてもよい。ただし、より適切な在庫管理を実現することが可能になる点では、上記の実施形態の方が望ましい。
【符号の説明】
【0076】
1 ホッパー、2 カード取出ユニット、3 搬送ユニット、4 判別ユニット、
5 情報入力用端末、6 管理用端末、6a 受信部、6b 記憶部、6c 制御部、
11 仕切板、12 チャンバ、13a,13b 扉、14 ケース、
21 押出装置、21a ケーシング、21b 押出ピン、22 押出装置スライド機構、23 取出ローラ、24 駆動レバー、25a,25b ガイドローラ、
31 搬送路、32 第1搬送路、33 第2搬送路、34 第3搬送路、
35 搬送路切替機構、35a 切替ダンパー、41 通信機構、
51 CPU、52 メモリ、53 出力装置、54 入力装置、
55 インターフェース、61 制御回路、62 CPU、63 メモリ、
64 補助記憶装置、65 出力部、66 インターフェース、
S 本システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用前の複数のカードを保管すると共に、複数の前記カードの中から所定枚数の前記カードを取り出すカード管理システムであって、
複数の前記カードを収納した収納部と、
該収納部に収納された複数の前記カードの中から一枚取り出す取出処理を実行するカード取出機構と、
該カード取出機構に前記取出処理を実行させるために操作者が行う操作を受け付けて、当該操作の内容を示す情報を発信する情報発信部と、
該情報発信部が新たな前記情報を発信すると、新たな前記情報を記憶する記憶部と、
該記憶部が新たな前記情報を記憶すると、新たな前記情報を前記記憶部から読み出して、新たな前記情報に応じた回数だけ、前記カード取出機構に前記取出処理を実行させるコントローラと、を備えることを特徴とするカード管理システム。
【請求項2】
前記収納部は前記カードの種類別に設けられ、
前記情報発信部は、前記カード取出機構に前記取出処理を実行させるために操作者が行う操作として、前記カードのユーザーに関する事項、取り出す前記カードの枚数に関する事項、及び、取り出す前記カードの種類に関する事項のうち、少なくとも1つを含む入力事項を入力する入力操作を受け付けて、前記入力事項を示す情報を発信し、
前記入力事項が前記ユーザーに関する事項を含んでいる場合、前記コントローラは、当該事項から特定される前記ユーザーが登録された前記ユーザーである場合に限り、前記カード取出機構に前記取出処理を実行させ、
前記入力事項が前記枚数に関する事項を含んでいる場合、前記コントローラは、当該事項から特定される前記枚数に応じた回数だけ、前記カード取出機構に前記取出処理を実行させ、
前記入力事項が前記種類に関する事項を含んでいる場合、前記コントローラは、当該事項から特定される前記種類に対応した前記収納部に収納された前記カードを取り出す前記取出処理を、前記カード取出機構に実行させることを特徴とする請求項1に記載のカード管理システム。
【請求項3】
前記カード取出機構により取り出された前記カードを受け取り、前記カードを搬送路に沿って搬送する搬送機構と、
前記カードが前記搬送路内に位置する間に前記カードの異常の有無を判別する判別部と、を備え、
前記コントローラは、前記判別部の判別結果に応じて前記搬送機構を制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカード管理システム。
【請求項4】
前記搬送機構は、異常が有る前記カードを回収するための回収先に向けて搬送するための第1搬送路と、異常が無い前記カードを前記回収先とは異なる非回収先に向けて搬送するための第2搬送路と、前記第1搬送路を開いている間は前記第2搬送路を閉じ、前記第2搬送路を開いている間は前記第1搬送路を閉じる搬送路切替機構と、を有し、
前記コントローラは、前記判別部が前記カードに異常が無いと判別した場合には前記第2搬送路を開いて前記第1搬送路を閉じるように前記搬送路切替機構を制御し、前記判別部が前記カードに異常が有ると判別した場合には前記第1搬送路を開いて前記第2搬送路を閉じるように前記搬送路切替機構を制御することを特徴とする請求項3に記載のカード管理システム。
【請求項5】
前記搬送機構が搬送した前記カードの中に、前記第1搬送路に沿って搬送された前記カードが存在した場合、前記コントローラは、前記第1搬送路に沿って搬送された前記カードの枚数分だけ、再び前記カード取出機構に前記取出処理を実行させることを特徴とする請求項4に記載のカード管理システム。
【請求項6】
前記搬送機構は、前記第1搬送路及び前記第2搬送路よりも上流側に位置する第3搬送路を更に有し、
前記判別部は、前記カードが前記第3搬送路内に位置する間に、前記カードに取り付けられたICチップの異常の有無を判別することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のカード管理システム。
【請求項7】
前記収納部、前記カード取出機構、前記搬送機構、及び、前記判別部は、それぞれ前記カードの種類別に設けられていることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載のカード管理システム。
【請求項8】
前記記憶部は、前記収納部に収納された前記カードの残数を示す残数情報を記憶し、
前記コントローラは、前記カード取出機構に前記取出処理を実行させた後に、前記取出処理の実行回数分だけ前記残数が減るように前記残数情報を更新することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のカード管理システム。
【請求項9】
利用前の複数のカードを保管すると共に、複数の前記カードの中から所定枚数の前記カードを取り出すカード管理方法であって、
収納部に収納された複数の前記カードの中から一枚取り出す取出処理を実行するカード取出機構、に前記取出処理を実行させるために操作者が行う操作を第1の端末にて受け付けて、当該操作の内容を示す情報を前記第1の端末から第2の端末に向けて発信する情報発信工程と、
該情報発信工程において前記第1の端末から発信された新たな前記情報が前記第2の端末に受信されると、前記第2の端末に設けられた記憶部が新たな前記情報を記憶する記憶工程と、
該記憶工程において前記記憶部が新たな前記情報を記憶すると、前記第2の端末に設けられたコントローラが前記記憶部から新たな前記情報を読み出して、新たな前記情報に応じた回数だけ、前記カード取出機構に前記取出処理を実行させる取出処理実行工程と、
を備えることを特徴とするカード管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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