説明

カード

【課題】 ホログラム転写箔の使用によるカードに損傷が生じやすい点を防止し、ホログラム画像を十分に保護でき、カード表面の耐久性が高く、またカード両面に、情報を付加でき、意匠性、装飾性及び偽造防止性の高いホログラム画像を有するカードを提供する。
【解決手段】 基材フィルム11上に、剥離層12、ホログラム形成層3、ホログラム効果層4が、この順に形成された基材フィルム積層体13のホログラム効果層4と、カード基材7とが接するように、接着層6により貼り合わせて構成した積層体2から、前記基材フィルム11を剥がし、剥がされた積層体のホログラム形成層3の上に、アンカー層5が設けられている構成のカード1とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラム画像を有するカードに関し、特にホログラム形成層、ホログラム効果層が、この順に形成された基材フィルムと、受像層が一方の面に形成されたカード基材とが、ホログラム効果層とカード基材側とが接するように、接着層により貼り合わせられたカードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
運転免許証、クレジットカード、社員証等のカード類の意匠性や装飾性を高めるため、また偽造防止性を高めるために、特許文献1に示すように、ホログラムや回折格子パターン等の光回折体をカード表面に転写形成する技術が知られている。これは、基材シート上に、ホログラムを構成する層を転写可能に設けたホログラム転写箔(ホログラム転写シート)を用いて、被転写体であるカードに、ホログラムを転写して形成するものである。
【0003】
しかし、上記の場合、ホログラム転写箔からホログラムを、カードに転写する工程と、ホログラム転写箔の基材シートをカードから剥離する工程が必要であり、カード上にホログラム画像を形成する際に、熱転写のための熱圧の負荷が高くかかってしまい、カードに損傷が生じやすい等の問題がある。また、ホログラム転写箔によりホログラムを転写形成されたカードでは、ホログラム画像が十分に保護されていなく、カードの表面における耐久性が低いという問題がある。
【0004】
一方では、ホログラム画像を有するカードにおいて、固定された情報だけでなく、カード毎に可変情報を印刷あるいは記録したい要求があり、例えば特許文献2ではカード基材シートの上に、ホログラム層を設け、該ホログラム層の上に熱溶融型熱転写シートのインキ受容層を設け、さらに該インキ受容層の上に、印刷模様が形成されたカードが示されている。しかし、このカードでは、カード基材シートの他方の面(裏面)は磁気層であり、目視で判読できる可変情報を裏面側に設けることができない。すなわち、カードとして目視で判読できる情報(固定情報、可変情報を問わずに)が、カードの両面に形成できる、ホログラム画像を有するカードが実用されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−162206号公報
【特許文献2】特開2004−188799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は上記に挙げた課題である、ホログラム転写箔を使用することによるカードに損傷が生じやすい点を防止し、ホログラム画像を十分に保護でき、カード表面の耐久性が高く、またカード両面に、情報を付加でき、意匠性、装飾性及び偽造防止性の高いホログラム画像を有するカードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、請求項1で規定したカードは、基材フィルム上に、剥離層、ホログラム形成層、ホログラム効果層が、この順に形成された基材フィルム積層体のホログラム効果層と、カード基材とが接するように、接着層により貼り合わせて構成した積層体から、前記基材フィルムを剥がし、剥がされた積層体のホログラム形成層の上に、アンカー層が設けられていることを特徴とするものである。この構成のカードは、アンカー層/ホログラム形成層/ホログラム効果層/接着層/カード基材の層構成であり、ホログラム転写箔を使用せずに作製されているので、カードに損傷が生じやすい点を防止でき、またホログラム形成層の上に、アンカー層を設けているので、ホログラム画像を十分に保護でき、さらに、そのアンカー層の上に、情報を付与しやすいものである。また、カード基材の露出された裏面にも、情報を付与できて、カード両面に、情報を付加でき、意匠性、装飾性及び偽造防止性の高い、非常に有用なホログラム画像を有するカードが得られる。
【0008】
また、請求項2として、前記のカード基材の接着層の設けている面と反対側に、受像層が設けられてことを特徴とするものである。この構成のカードは、アンカー層/ホログラム形成層/ホログラム効果層/接着層/カード基材/受像層の層構成であり、上記のカードと比べ、カード基材に直接、情報を付与するものではなく、受像層に情報を付与することで、オフセット印刷等のインキ定着性に優れ、またノンインパクト記録である熱溶融転写型の熱転写インキ等の定着性に優れる。
【0009】
また、請求項3として、前記のホログラム効果層がアルミニウム蒸着層であることを特徴とするものである。そのアルミニウム蒸着層による反射により、ホログラム画像が、目立ってきて、意匠性、装飾性により優れたものとなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、上記構成のカードとすることにより、ホログラム転写箔を使用することによるカードに損傷が生じやすい点を防止し、ホログラム画像を十分に保護でき、カード表面の耐久性が高く、またカード両面に、情報を付加でき、意匠性、装飾性及び偽造防止性の高いホログラム画像を有するカードを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のカードの一つの実施形態を示す概略の断面図である。
【図2】本発明のカードを製造する方法を概略説明する図である。
【図3】本発明のカードにおける最表面に情報を付加した一つの実施形態を示す概略の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、発明の実施の形態について、詳述する。
図1に本発明のカードである一つの実施形態を示す。カード1は、カード基材7の一方の面に、接着層6、ホログラム効果層4、ホログラム形成層3、アンカー層5が順次設けられていて、またカード基材7の他方の面には、受像層8が形成された構成である。この構成をとることで、カード1の最表面は、アンカー層5と受像層8が位置し、カードの両面に、情報を安定して、定着性を良好に、付加できる。尚、カード基材の表面に易接着処理などが施されていれば、受像層を設ける必要はない。
【0013】
図2は、本発明のカードを製造する方法を概略説明するもので、図2の1)に示すように、基材フィルム11上に、剥離層12、ホログラム形成層3、ホログラム効果層4が順に積層された基材フィルム積層体13と、カード基材7とが、ホログラム効果層4とカード基材7とが接するように、接着層6により貼り合わせた(ラミネートした)積層体2を用意する。
次に、図2の2)に示すように、その積層体2から、基材フィルム11を剥がして、カード基材7の上に、接着層6、ホログラム効果層4、ホログラム形成層3が順に形成された積層体となる。但し、基材フィルム11に設けられていた剥離層12は、基材フィルム11に付着して、積層体2から剥がれても、あるいは積層体2のホログラム形成層3の上に残存していても、また基材フィルム11とホログラム形成層3の両方に残っていてもよい。
【0014】
次に、図2の3)に示すように、上記のカード基材7/接着層6/ホログラム効果層4/ホログラム形成層3の積層体で、ホログラム形成層3の上に、アンカー層5を設けることにより、本発明のカードが形成できる。尚、図2では示していないが、カード基材7の接着層6の設けている面と反対側に、受像層を設けることが好ましい。
【0015】
図3は本発明のカードにおける最表面に情報を付加した一つの実施形態を示す。この図示したものは、図1におけるカード1で、アンカー層5に、オフセット印刷等による印刷で、固定情報9を形成し、さらに受像層8に熱溶融転写型の熱転写インキ等により、可変情報10を形成したものである。カードとして、固定情報9は複数枚のカードで共通した情報(固定情報)が形成され、可変情報10はカード1枚ずつで、異なる情報、例えば、個人名、住所などが記録される。このようにして、偽造防止性に優れたカードが形成できる。
【0016】
以下、本発明のカードを構成する各要素及び各層について、詳細に説明する。
但し、本発明のカードは、剥離層、ホログラム形成層、ホログラム効果層が、この順に形成された基材フィルムと、カード基材とが、ホログラム効果層とカード基材側とが接するように、接着層により貼り合わせて構成した積層体から、作製されるので、まず、その積層体を構成する各要素及び各層について、詳細に説明する。
【0017】
(基材フィルム)
上記積層体2を構成する基材フィルム11は、通常厚み約12〜100μm程度の透明または不透明のポリエチレンテレフタレートフィルム、またはポリエチレンナフタレートフィルムが用いられる。その厚さが大きくなると、作業の取扱い性が悪く、また最終的には剥がすもので、無駄なものとなり、また厚さが小さすぎると、その上に設けるホログラム形成層などの均一性が低下してくる。
【0018】
(剥離層)
剥離層12は、必要に応じて適当な離型剤を含むアクリル系樹脂などから厚み約0.5〜4μm程度に形成する。
【0019】
(ホログラム形成層)
ホログラム形成層3は、好ましくは紫外線硬化性または電子線硬化性樹脂から厚み(乾燥状態)約1〜10μm程度に形成し、ホログラムの凹凸形状(回折格子)を有する原版を用いて、エンボスなどで、表面凹凸を有するホログラム画像を表面に形成し、その後に完全硬化させる。
【0020】
(エンボス)
上記に説明したホログラム形成層の表面に、エンボス加工が施されて、微細な凹凸であるレリーフ形状を有するホログラム画像が形成される。そのレリーフ形状を賦形する方法は、回折格子や干渉縞が凹凸の形で記録された原版をプレス型(スタンパという)として用い、上記透明な生分解性を有するプラスチックフィルム又はシートが表面に積層されたカード類1上に、前記原版を重ねて加熱ロールなどの適宜手段により、両者を加熱圧着することにより、原版の凹凸模様を複製することができる。形成するホログラムパターンは単独でも、複数でもよい。
【0021】
上記の極めて微細な形状を精密に再現するために、また、複製後の熱収縮などの歪みや変形を最小とするため、原版は金属を使用し、低温・高圧下で複製を行う。原版は、Niなどの硬度の高い金属を用いる。光学的撮影もしくは、電子線描画などにより形成したガラスマスターなどの表面にCr、Ni薄膜を真空蒸着法、スパッタリングなどにより5〜50nm形成後、Niなどを電着法(電気めっき、無電解めっき、さらには複合めっきなど)により50〜1000μm形成した後、金属を剥離することで作ることができる。高圧回転式の複製に用いるためには、このNi層の厚み精度を高くする必要があり、通常±10μm、好ましくは、±1μmとする。このため、裏面の研磨や、平坦化方法を用いてもよい。
【0022】
複製方式は、高圧とするため、平板式でなく、回転式を用い、線圧0.1トン/m〜10トン/m、好ましくは、5トン/m以上とする。複製用シリンダーは、その直径が小さいと、レリーフの再現性が低下するため、複製シリンダー直径は大きい方が好ましく、通常、直径0.1m〜2.0m、好ましくは、1.0m以上の弧を使用する。基材フィルム上のホログラム形成層を、この複製用シリンダーに沿って押し当て、裏面より金属製シリンダーにより上記圧力にて複製を実施する。複製後の熱収縮などの歪みや変形を最小限とするためには、基材フィルム全体を加熱するのではなく、基材フィルムの表面側の一部のみを加熱する方法が望ましい。通常60℃〜110℃に加熱する。さらには、裏面の金属製シリンダーを常温に保つ、もしくは冷却することで、さらにその精度を向上させることができる。
【0023】
上記のレリーフ形状は、ホログラムを再現もしくは再生する光もしくは光源の波長(域)と、再現もしくは再生する方向、及び強度によって、その凹凸のピッチや、深さ、もしくは特定の周期的形状が設計される。凹凸のピッチ(周期)は再現もしくは再生角度に依存するが、通常0.1μm〜数μmであり、凹凸の深さは、再現もしくは再生強度に大きな影響を与える要素であるが、通常0.1μm〜1μmである。
【0024】
(ホログラム効果層)
ホログラム効果層4は、アルミニウムの蒸着(反射型ホログラム)、金属酸化物のスパッタリング(透明型ホログラム)などにより厚み約100〜2,000Å程度に形成する。なお、透明型のホログラム効果層の下に、ホログラム画像のバックグラウンドとなる色印刷が施されていてもよい。該ホログラム効果層の表面にはホログラム効果層の保護およびホログラム効果層と接着層との密着性を確保するためにアンカー層を形成することが好ましい。ホログラム効果層として、アルミニウム蒸着層を適用することが好ましく、そのアルミニウム蒸着層による反射により、ホログラム画像が、目立ってきて、意匠性、装飾性により優れたものとなるからである。
【0025】
(接着層)
上記の基材フィルムの上に設けたホログラム効果層と、カード基材とを積層させるための接着層6は、接着剤を主体として構成される。その接着剤としては、接着機能を有するものであれば、特に制限はなく、例えば、ウレタン系樹脂、α−オレフィン−無水マレイン酸樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウリア系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、シアノアクリレート系樹脂等が使用できる。中でもアクリル系樹脂の反応型のものや、変成したもの等が好ましく使用することができる。また、接着剤を硬化剤により硬化させると、接着力も向上し、耐熱性も上がるために好ましい。硬化剤としては、イソシアネート化合物が一般的であるが、脂肪族アミン、環状脂肪族アミン、芳香族アミン、酸無水物等を使用することができる。
【0026】
本発明では、剥離層、ホログラム形成層、ホログラム効果層が、この順に形成された基材フィルムと、カード基材とが、ホログラム効果層とカード基材側とが接するように、接着層により貼り合わせて構成した積層体から、カードを作製するが、その貼り合わせの方法は、ドライラミネーション、ウェットラミネーション、ノンソルベントラミネーション、ECラミネーション、ヒートシール等公知の方法を使用することができる。本発明では、上記接着層をドライラミ方式で、貼り合わせることが好ましい。それは、ラミネートの際に、加熱することがなく、カードに対して熱的負荷を与えないからである。その接着層は乾燥時1〜10μm程度の厚みに形成する。
【0027】
(カード基材)
本発明で使用するカード基材7は、例えば、紙やプラスチック( ポリエチレンテレフタレート(PET)、塩化ビニル樹脂、)、植物を原料として用いた植物由来フィルム等で構成できる。上記のプラスチックは、透明タイプだけでなく、白色タイプでも使用できる。カード基材は、通常厚み約50〜500μm程度のものが使用される。
【0028】
(受像層)
カード基材に設ける受像層8は、熱溶融転写型の熱転写記録、電子写真方式の記録、あるいはインクジェットによる記録におけるノンインパクト方式の記録材(インキ、トナーなど)の受理性、定着性を向上させるものである。その受像層は、熱溶融転写記録、昇華転写記録、電子写真記録、あるいはインクジェット記録の各記録方式の違いにより、受像層の構成(成分)が異なるが、従来から知られた各記録方式に応じた受像層を用いることが出来る。
【0029】
以下に、熱溶融転写型熱転写インキの受像層について説明する。その受像層8は、通常ヒートシール剤などの如く接着性に優れた熱可塑性樹脂、例えば、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、あるいはこれらの混合物を用いて、乾燥時厚みで約0.5〜3.0g/m2に設けることが好ましい。形成される受像層は場合によっては、ポリイソシアネートなどの架橋剤を添加して形成することで、その受像層の皮膜硬度を向上させることができる。
【0030】
上記に、本発明のカードを作製するために必要な積層体の構成する各層、各要素を説明したが、その積層体から基材フィルム11を剥がし、その剥がされた積層体のホログラム形成層の上に、アンカー層を設けて、カードが得られる。したがって、上記の積層体を構成する各要素及び各層で、カードとして構成される要素及び層で共通するものは、上記のとおりである。
【0031】
カードを構成するアンカー層については、上記の積層体の構成する層ではないので、以下に、詳細に説明する。
(アンカー層)
アンカー層5は、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレートなどの紫外線硬化型樹脂や、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などの主としてオフセット印刷インキに対して良好な密着性を有する樹脂から構成することが好ましい。その厚みは、乾燥時で1〜4μm程度に形成する。尚、上記説明では、アンカー層に情報を付加する手段として、オフセット印刷であるが、それに限らず、活版印刷、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷等を行なって、複数枚のカードで共通した情報である、会社名、有効期限などの固定情報を印刷形成できる。
【0032】
また、上記アンカー層には、後で説明する熱溶融転写型の熱転写インキ等を熱転写して記録する、あるいは電子写真方式の記録をする、あるいはインクジェットによる記録を行なうなど、ノンインパクト記録を行なうことができる。カードのアンカー層の下にあるホログラム画像に損傷を与えないように、インパクト記録ではなく、上記のノンインパクト記録が好ましい。上記のノンインパクト記録により、例えば、個人名、住所などのカード1枚ずつで、異なる情報を可変情報を付加させることができる。
【実施例】
【0033】
次に実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。以下、特に断りのない限り、部又は%は質量基準である。
(実施例1)
厚さ25μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET、東レ(株)製、ルミラーT60)の基材フィルム11の一方の面に、ポリメチルメタクリレート系樹脂8部、塩化ビニル/ 酢酸ビニル共重合樹脂2部、およびポリエチレンワックス0.1部を含む塗工液をグラビアリバース法で1.5g/m2(固形分)の塗布量で塗布および乾燥して剥離層12を形成した。その剥離層の上に、アクリル系架橋性紫外線硬化性樹脂であるインクテック(株)製MHX405を100部に対し、メチルイソブチルケトンを12部、メチルエチルケトンを20部で溶解ないし分散させた塗工液を用いて、グラビアリバース法で、乾燥時の厚さが2.0μmになるように、塗布および乾燥してホログラム形成層3を形成した。但し、乾燥温度は、100℃である。そのホログラム形成層の表面にホログラムの凹凸形状(回折格子)を、ホログラム原版を用いて形成し、その後に紫外線照射して、完全硬化させた。次にホログラム形成層の表面にコロナ処理を行った後、アルミニウムを35nm(350Å)の厚みに真空蒸着法により、蒸着して、反射型ホログラム効果層4を形成した。
【0034】
厚さ250μmのポリエチレンテレフタレートフィルムのカード基材7に、下記組成の接着層塗工液をグラビアリバース法で、乾燥時厚みで6.0g/m2になるように、塗布及び乾燥して、接着層6を形成した。
(接着層塗工液)
タケラックA511(ポリオール、武田薬品工業(株)製) 100部
タケネートA−50(ポリイソシアネート、武田薬品工業(株)製) 10部
酢酸エチル 70部
【0035】
上記の接着層6が形成されたカード基材7と、上記の基材フィルム11上に、剥離層12、ホログラム形成層3、ホログラム効果層4の形成された基材フィルム積層体13とを、ホログラム効果層4とカード基材7の接着層6とが接するように、ドライラミネート方式で、貼り合わせて、積層体2を作製した。その積層体2から、基材フィルム11を剥がし、剥がされた積層体のホログラム形成層3の上に、ポリエステル系樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂の混合品であるTHFプライマー(ザ・インクテック(株)製)をグラビアリバース法で、乾燥時厚みで2.0μmになるように、塗布及び乾燥して、アンカー層5を形成した。
【0036】
また、上記の積層体のカード基材表面に、下記組成の受像層用インキをグラビアリバース法で、乾燥時厚みで1.5g/m2になるように、塗布及び乾燥して、受像層8を形成して、実施例1のカードを作製した。
(受像層塗工液)
ポリエステル樹脂/ウレタン樹脂の混合ワニス(60%MEK/トルエン=1/1(質量比)) 300部
キシリデンジイソシアネート硬化剤(25%酢酸エチル含有) 2部
ポリエチレンワックス分散液(70%トルエン含有) 3部
MEK/トルエン(質量比1/1混合溶剤) 100部
【0037】
上記実施例1のカードに対して、アンカー層5の上に、イエロー、マゼンタ、シアン、墨の4色の周知の紫外線硬化性オフセット印刷インキで常法に従って、図3に示すように、固定情報9を、印刷形成する。その印刷の厚みは、乾燥時で2μmである。また、上記のカードの受像層8の上に、市販された熱溶融転写型の熱転写シートを用いて、サーマルヘッドによる加熱で、図3に示すように、可変情報10を転写して形成した。得られた固定情報及び可変情報が記録されたカードは、ホログラム転写箔を使用して作製されたものでないので、カードに損傷が生じやすい点を防止でき、またホログラム形成層の上に、アンカー層を設けているので、ホログラム画像を十分に保護したものであり、カード表面の耐久性が高いものである。またカード両面には、固定情報及び可変情報が記録され、偽造防止性が高く、またホログラム画像が、ホログラム効果層のアルミニウム蒸着層で反射され、非常に鮮明であり、意匠性及び装飾性が高く、有用なものであった。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明のカードは、カードを構成する要素に、用途に応じた部材を追加する、また、そのカードの種類に応じた固定情報、可変情報を付加する等をして、定期券、磁気カード、IDカード、会員カード、キャッシュカード、クレジットカード、またプリペイドカード全般等に、広く適用できるものである。
【符号の説明】
【0039】
1 カード
2 積層体
3 ホログラム形成層
4 ホログラム効果層
5 アンカー層
6 接着層
7 カード基材
8 受像層
9 固定情報
10 可変情報
11 基材フィルム
12 剥離層
13 基材フィルム積層体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルム上に、剥離層、ホログラム形成層、ホログラム効果層が、この順に形成された基材フィルム積層体のホログラム効果層と、カード基材とが接するように、接着層により貼り合わせて構成した積層体から、前記基材フィルムを剥がし、剥がされた積層体のホログラム形成層の上に、アンカー層が設けられていることを特徴とするカード。
【請求項2】
前記のカード基材の接着層の設けている面と反対側に、受像層が設けられてことを特徴とする請求項1に記載するカード。
【請求項3】
前記のホログラム効果層がアルミニウム蒸着層であることを特徴とする請求項1または2に記載するカード。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−73256(P2011−73256A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226515(P2009−226515)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】