説明

カーボンナノチューブを基本構造としたエアロゲル

本発明は、凝集したカーボンナノチューブからカーボンエアロゲルを生産する方法であって、以下の工程、すなわち、(A)分散剤の存在下、水の中でカーボンナノチューブの水分散液を作る工程、(B)発泡剤の存在下、ガスの作用で拡張することによって、その工程(A)のナノチューブ水分散液から泡を形成する工程、及び、(C)その工程(B)で得られたその泡を凍結し、昇華によってその水を取り除く工程を含む方法に関する。また、本発明はこのようにして得られたカーボンエアロゲルに関し、さらに、本質的に、分離材料又はバイオマテリアルとしての使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な材料のカーボンエアロゲルタイプに関し、特には、分離材として有用であることを見出したカーボンエアロゲルタイプに関し、更に特には、液体媒介物をろ過するのに最適である分離材として有用であることを見出したカーボンエアロゲルタイプに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、「カーボンエアロゲル」として表される材料は、実質的に(そして、一般的には全て)カーボンから構成され、非常に多孔性的な構造を有する巨視的な材料であり、結果として、非常に低い見掛け密度を有することになる。典型的には、カーボンエアロゲルにおいて、ポアによって占められる容積は、材料の全容積の少なくとも70%となり、一般的には0.6g/cm3未満の見掛け密度に対応することになる。カーボンエアロゲルタイプの構造に関して、更に詳細に述べられているものとして、特に、L.Kocon及びT.Piquero著による、L’actualite Chimique, No.245−246、pp.119−123(3月−4月 2006)中の「les aerogels et le structure alveolaires:deux exemples de mousses de carbone」が挙げられる。
【0003】
カーボンエアロゲルは、一般的には、いわゆる「テンプレート」方法によって得られる。概して、そのような方法において、カーボン又はカーボンプレカーサーの三次元多孔性構造は、好ましい構造のための「モールド」として、固体構造又は液晶タイプの分子組織を利用することによって形成される。「テンプレート」と呼ばれる、その「モールド」は、利用される方法次第で異なる形態を有してよい。この記載において、カーボンエアロゲルを生成するテンプレート方法について、大きく分けて3つの方法がある。
【0004】
(1)固体テンプレートとして、マイクロ又はメソ多孔性固体の利用
この生産方法によると、エアロゲルは、型として用いられる多孔性材料のポアをカーボンで充填することによって合成される。典型的には、アルミニウム、シリカ又はアルミノケイ酸塩タイプの材料が、マイクロ多孔性又はメソ多孔性材料(例えば、ゼオライト又はメソ構造のタイプMCM−41)の形態で利用される。その後、その型は、一般的には、酸の攻撃によって破壊されて、それによって、カーボンによって全体的に形成された型の痕跡が回収される。これらの技術において、テンプレート材料にカーボンを初期導入することは、カーボンの直接蒸着によって実行されよく、一般的には、気相中での化学蒸着、特には化学気相蒸着(CVD)によって実行されよく、又は代替的に、ポア内に有機溶液を含浸することによって実行されてよく、含浸後に、カーボンに変換されるためにその液は焼成される。この方法によるエアロゲルを生産する方法の例示は、L’実在の(実際の)ite chimique、no.245−246、pp.124−128(3月−4月 2006)中に、C.Vix−Guterl、J.Parmentier及びP.Delhaes著の「Nouveaux concepts d’elaboration de materiaux carbones poreux」の記事、並びに、The Journal of Physical chemistry B、103(37)、pp.7743−77468(1999)中に、R.Ryoo、S.−H.Soo及びS.Jun著の「Synthesis of highly ordered carbonmolecular sieves via template−mediated structural transformation」の記事に特に述べられている。
【0005】
(2)液化又はゲル化媒介物中でのカーボンのテンプレート
他のここでの実施態様によると、エアロゲル形態中のカーボンの組織化は、液体又はゲル化媒介物内で実行され、典型的には液晶の形態で実行される。この場合に、用いられる「モールド」は、本来固体ではないが、それにもかかわらず、合成されるカーボン構造に組織化した構造を提供する。
【0006】
この記載内で用いられるエアロゲルは、一般的には、カーボン含有のメソ相を直接的に構造化することによって得られ、続いて、構造を形成するために媒介物をカーボン化し、特には、J.Klett et al著によるcarbon、38、pp.153−173(2000)中の「High−thermal conductivity、mesophase pitch−derived foams:effect of precursors on structure and properties」記事又はT.Beechem及びK.Lafdi著によるcarbon、44、pp.1548−1549(2002)中の「Novel high strength graphitic foams」記事に述べられている技術を実行する。
【0007】
(3)液化又はゲル化媒介物中でのカーボン含有プレカーサーのテンプレート
他のここでの変更例によると、エアロゲルは、前述の変形例のようなカーボンではなく、有機構成要素を直接的に構造化することによって形成され、それによって、有機エアロゲルが得られ、その後、好ましいカーボンエアロゲルを生成するために熱処理によって、カーボン化される。この記載内で、D.Wu、R.Fu、M.S.Dresselhaus及びG.Dresselhaus著による、carbon、44、pp.675−680(2005)中の「Fabrication of nano−structure contol of carbon arerogels via microemulsion templatted sol−gel polymerisation method」記事、又はS.A.Al−Muthtsabeb及びJ.A.Ritter著による、Adv.Mater.、15(2)、pp.101−104(2003)中の「Preparation and propertied of resorcinol formaldehyde organic and carbon gels」記事に述べられている方法を特に利用することは可能である。
【0008】
上述されたテンプレート方法によって得られたカーボンエアロゲルは、価値ある特性を有する材料であって、多くの用途を有する材料である。一般的に、それらは、実際上、エアロゲルタイプ材料についての公知である全用途において利用され得る。その利用は、エアロゲルの高多孔度及び比較的高い特有の表面域から成り立ち得る。特に、多くの試薬に対して化学的不活性であること及び良好な熱安定性によって、カーボンエアロゲルは、特に触媒支持体として、又は特に還元性媒質としての価値ある材料となる。また、カーボンエアロゲルは、比較的良好な機械的強度を鑑みて、遮音材又は防振材料として利用され得る。
【0009】
それにもかかわらず、これらの利点とは別に、カーボンエアロゲルは、エアロゲルの他の公知の用途、例えば、分離技術分野及び特に、固体/液体のろ過の技術分野において不適切であることが確認されている。カーボンエアロゲルが分離効率性(精度)及び分離スピードの両方に関して良好な特性を有することに関して現時点で知られていないことは事実である。
【0010】
更に正確に述べると、 大多数の現行エアロゲルは、約平均値数であって、比較的狭い分布を有するポア群を備え、そのことは、分離効率性及び分離スピードの両方についての最適化を阻害する。分離が、比較的均一なサイズの孔群を備える多孔性材料を用いて実行される場合に、分離の効率性は上がり、孔の平均サイズが小さくなる時に更に一層効率性は上がる。しかし、逆に、分離スピードは、平均孔サイズが大きくなるとともに大きくなる。言い換えると、現行のエアロゲルを用いると、孔の平均サイズ値が小さい場合に、エアロゲルは、効率的な分離に対しては適切であるが、分離スピードは小さくなる。一方、孔の平均サイズ値が大きい場合に、エアロゲルは、分離スピードが大きい結果となる。しかし、効率性は落ちることになる。以上のことから、現時点では、大きくも小さくもない値に制限されたサイズの孔を有するエアロゲルを用いることによって譲歩することが唯一の可能性として残り、分離効率性及び分離スピードに関して、特には、漏出曲線に関してあまり良好ではない結果となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、とりわけ、分離材として有効であるカーボンエアロゲルを提供することであり、特には、分離効率性及び分離スピードの両方に関し、有益な結果を生む出すことが可能であるカーボンエアロゲルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そのために、本発明の主題は、気泡構造形態でカーボンナノチューブを凝固することによって得られる新規なタイプのカーボンエアロゲルである。
【0013】
更に正確に述べると、本発明のエアロゲルは、特別な方法によって得られ、その方法は、本発明についてのもう一つ特別な目的を構成する。その方法は次の工程、すなわち、
(A)分散用界面活性剤(一般的には、イオン性、好ましくはアニオン性)を用いることによってカーボンナノチューブの水分散液を作る工程、
(B)発泡剤の存在下、ガスの作用でその分散液を膨張させることによって、工程(A)で得られたナノチューブのその水分散液から泡を作り出す工程、並びに
(C)工程(B)で得られた泡を凍結し、その後、昇華、一般的には、低温フリーズドライによってその水を取り除く工程を、
含む。
【0014】
有利なこととして、本発明の方法は、工程(A)〜(C)の終了後に、工程(D)を追加的に含んでよい。工程(D)において、工程(C)の終了後に得られた材料は、典型的には、400℃以上の温度で熱処理を受け、例えば、少なくとも600℃で熱処理を受け、特には、少なくとも800℃又は少なくとも1000℃で熱処理を受ける。
【0015】
追加的な工程(D)は、工程(A)と(B)で利用される界面活性剤及び発泡剤の少なくともある幾つかの量(そして、好ましくは全量)を、(熱分解によって)取り除くことが可能である。その方法の終了後に、実質的にカーボンで構成された材料を得る目的のために、これら全ての試薬を取り除くことが好ましい場合に、工程(D)が1200℃以上の温度で実行されることが有利であり、そのことによって、最初に存在する有機種が完全にカーボン化されることを保証することが可能である。
【0016】
また、熱処理の工程(D)は、フリーズドライの工程(C)の終了後に、得られる構造物を機械的に圧密化することが可能である。そのような圧密効果を得るために、有機化合物の存在下であり(一般的には、工程(A)と(B)とにおける界面活性剤及び/又は発泡剤が、たいていの場合、有機化合物である。)、そして有利なこととしては、800℃超、有利なこととしては、1000℃超、例えば、1200℃以上の温度で、工程(D)が実行されることが有利である。この中で、カーボンナノチューブを結合させることが可能であるカーボンを形成するまで、その有機化合物は、誘導、熱分解によって有機プレカーサーとして作動する可能性がある。
【0017】
本発明の方法が終了すると、凝集した(凝固した)カーボンナノチューブに基づく材料が得られ、その材料は、一般的には、モノシリック構造であり、その材料の構造は、工程(B)で作られた泡壁構造を再生する。一般的に、そのように得られたカーボンエアロゲルは、非常に特異な構造を有し、実質的に開口した多孔質を備えて、その多孔性は一般的には、次の二つを含む。
【0018】
すなわち、40μm超の平均サイズ、更に一般的には、50μm以上の平均サイズを有する気泡(又は「マクロポア」)で構成された「マクロ多孔質」を含み、そのマクロ多孔質は、工程(B)で形成された泡の構造に影響を与え、このマクロ多孔質の大半のポアは、典型的には、50μmから600μmのサイズを有する。
【0019】
さらに、「スーパーメソ多孔質」を含み、そのスーパーメソ多孔質は、上述したマクロ多孔質の気泡の壁内に実質的に配置され、このナノ多孔質は、60nm未満の平均サイズを有して、工程(B)で形成された泡の壁内に存在するナノチューブ内のポアに実質的に対応する。
【0020】
この本発明のエアロゲルの特定構造は、走査型電子顕微鏡(SEM)によって得られる、その材料の写真で特に実証され得る。その写真の例は、添付した図において表される。ほとんどの場合において、走査型電子顕微鏡によって得られる写真は、結果として得られる構造の壁がナノチューブを含み、そのナノチューブは実質的に一直線に並ぶ(そのことは、おそらく、特に部分的には、水の流れ(又はドレナージ)から生じるせん断現象のためであり、そのせん断現象は、工程(B)のプロセスの泡形成中に起こる。)。走査型電子顕微鏡によって、ポアのサイズを測定することが可能となる。
【0021】
さらに、本発明のエアロゲルの特定構造により、非常に低い見掛け密度となる。とりわけ、その密度は、現行において公知である多くのカーボンエアロゲルの密度より非常に低くなる。したがって、一般的には、本発明にしたがって得られるようなエアロゲルは、たいていの場合、0.25g/cm3以下の見掛け密度を有し、一般的には0.2g/cm3以下の見掛け密度を有し、典型的には約0.2g/cm3の見かけ密度(グラファイトタイプカーボンの密度のたった1/10である)を有し、例えば0.18g/cm3から0。22g/cm3の見掛け密度を有する。
【0022】
この非常に低い見掛け密度は、本発明のエアロゲルの非常に高いポア容積に関連し、本発明において、ポアによって占められる容積は、たいていの場合、その材料の全容積中少なくとも80%を示し、一般的には、少なくとも90%又は更に少なくとも95%を示す。
【0023】
さらに、本発明のエアロゲルの多孔質は、一般的には、実質的に開口した多孔質である。ヘリウム比重びん法によってその材料の密度を測定することによって、この特定の特徴は、特に実証され得る。このタイプの測定において、試験されたエアロゲルは気体状ヘリウム中に入れられ、そのヘリウムが到達可能な全てのポアを充填し、ヘリウムで充填されていない容積を占める材料の密度が決定されることが可能である。その後、本発明のエアロゲルの場合において、グラファイトカーボンの密度のオーダー(オーダー2)は、その後確認され、それは、実質的に(そして、一般的には、ほとんど全てにわたって)その材料の全ポアが到達可能であることを示し、そしてナノチューブの内部空間が到達可能な状態のままである。
【0024】
したがって、本発明のエアロゲルは、一般的には、25〜300m2/gであって高い特有表面域をたいていの場合は有し、有利なこととしては、その特有の表面域は30m2/g超であって、好ましくは、少なくとも35m2/gである。本発明が述べている範囲内において、「特有表面域」の表現は、窒素吸着によって決定されるように特有のBET表面域を表し、特有のBET表面域は、公知のいわゆるBRUNAUER−EMMET−TELLER方法にしたがう。その方法は、The Journal of the American Chemical Society, Volume 60、ページ309(1938)において述べられ、国際標準ISO5794/1(付属書類D)に対応する。
【0025】
本発明にしたがって得られるカーボンエアロゲルの特有構造によって、カーボンエアロゲルが分離材として特に適することになり、特に、固体/液体タイプを分離することの実行をするのに適する。この状況下において、マクロ多孔質によって、構成要素の良好な拡散が得られることが可能となり、このようにして、高い分離スピードを含むことが可能となり、一方、ナノ多孔質によって、良好な効率性が得られることが可能となる。この状況下において、本発明のエアロゲルは、典型的には、膜又はろ過材料を構成するために用いることが可能となり、特には、生体媒質(例えば、血液)のろ過又は代替的には、(化学的及び/又は細菌学的)な廃水浄化に対して適する。また、本発明のエアロゲルは、液体クロマトグラフィーのカラム充填剤として利用され得る。
【0026】
エアロゲルの特有構造を考慮すると、本発明のエアロゲルは、また、他の用途に対しても高い適用性がある。特に、カーボンが生体適合性を有するため、エアロゲルは、特にバイオマテリアル又は細胞成長のための支持体として利用することが可能であり、そして線維芽細胞又は骨芽細胞のために利用することが可能である。このタイプの用途において、材料の特定の多孔質は最適なコロニー形成を保証する。マクロ多孔質は、細胞の拡散を保証して、細胞は、材料の全体表面に実質的に到達することができる。そして、ナノ多孔質は、材料の表面の不規則性を引き起こして、その不規則性は、細胞がエアロゲルに確実に固定されることを保証する。本発明のエアロゲルは、骨組織の代替品の範囲内で特に利用することができる。
【0027】
更に一般的には、本発明のエアロゲルが、材料上の特有な利点、特には高い化学的不活性、還元剤性、及び2000℃超(非酸化媒介物中)までの高い熱的安定性を有し、さらに、非常に良好な熱的及び電気的伝導性をも有する限りにおいては、カーボンを基本骨格としたエアロゲルについての大半の公知の用途において、本発明のエアロゲルは利用され得る。
【0028】
したがって、本発明のエアロゲルは、触媒種の支持体として特には利用され、例えば、還元媒介物中での触媒反応の支持体として、特には高温において利用され得る。本発明のエアロゲルは、たいていの場合、超圧縮性である有利な点を有するために、なおさらいっそう、そのように利用され得る。
【0029】
また、本発明のエアロゲルは、非湿潤液の保存のために利用され、特には、燃料電池膜の高ネネルギー液の保存のために利用され、又はリチウム電池の負極として利用され得る。
【0030】
また、本発明によるエアロゲルは、遮音材又は防振材料として利用され得る。この特有の状況下において、上述した工程(D)の終了後に得られるような、機械的に圧密化したエアロゲルを用いることが好ましく、有利なこととしては、カーボン含有プレカーサーとして作動する有機化合物の熱分解から導かれるカーボンと結合するナノチューブを有するエアロゲルを利用することが好ましい。
【0031】
本発明における、エアロゲルのこれらの様々な使用は、更に特定の本発明の目的を構成する。
【0032】
驚くべきことには、本発明のカーボンエアロゲルとその特有の有利点は、本発明の方法の一連の工程である工程(A)〜(C)と適宜、工程(D)を実施することによってのみ。非常に簡易に得られる。
【0033】
本発明の方法は、とりわけ、実行するのに簡便であって、安価である有利な点を有する。さらに、その方法は水溶性媒介物で実行され、一般的には、特定処理を条件とする不良工程を含まない。そのことによって、その方法が工業規模で利用され得る方法となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
(原文記載なし)
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の方法における様々な有利な特徴と実施態様は、ここにおいて、非常に詳細に述べられるだろう。
【0036】
本発明の方法の工程(A)は、ナノチューブの水分散液の生産を含む。本明細書等の記載の記囲内において、「ナノチューブ」は、チューブ状のカーボンを基本にした構造として理解され、その構造は、一般的には、グラフェンシートの形態で実質的にはカーボンに基づくものであり、1〜200nmの直径(寸法は、透過型電子顕微鏡写真によって特に測定することができる。)を有する。これらの化合物は、いわゆる「ナノ構造材料」のファミリーに属し、そのナノ構造材料は、ナノメートルオーダーの少なくとも一つの特徴的なディメンションを有する。これらの材料とその合成方法に関するさらに詳細内容について、参考文献は、特に、P.M.Ajayanによる「Nanotubes from carbon」(Chem.Rev.,Vol.99,p.1787,1999)、及びK.deJongとJ.W.Geusとによる「Carbon nanofibers:catalytic synthesis and application」(Catal.Rev.Sci.Eng.,Vol.42, p.481, 2000)が挙げられる。
【0037】
本発明の方法において利用されるナノチューブは、典型的には、多壁タイプのナノチューブであり、すなわち、グラフェンシート自身を巻き上げたものに基づく空洞のあるシリンダー構造で、複数の同心のグラフェンを基本骨格にシリンダーを含むナノチューブである。
【0038】
有利なこととして、平均径が10〜100nmであって、たいていの場合は少なくとも30nm、例えば、50〜80nmである、多壁タイプのナノチューブが、工程(A)において用いられる。さらに、工程(A)において用いられる、ナノチューブの平均長は、一般的には、1〜20μm、典型的には、5〜15μm(例えば10μmのオーダーである)。
【0039】
工程(A)において、ナノチューブの水溶液中での分散は、適切な界面活性剤の存在下で実行され、すなわち、ナノチューブ/水の界面を安定化させるために適切である界面活性剤の存在下で実行される。
【0040】
分散は、本来的に公知である任意の手段によって実行され得る。分散は、典型的には、水/ナノチューブ/界面活性剤の混合物を充分にせん断することによって効果を奏し、有利なこととしては、その混合物を超音波処理(超音波分解処理)をすることによって、効果を奏する。
【0041】
分散を完成させるために用いられる界面活性剤は、イオン性界面活性剤であることが好ましい。特に、硫酸塩、スルホン酸塩又はカルボン酸塩タイプのアニオン性界面活性剤、例えば、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、カルボキシメチルセルロース塩(特に、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩)は、本発明を実行するのに特に適することが見出されている。一般に、工程(A)で用いられる界面活性剤は、臨界ミセル濃度(CMC)より低い濃度であり、かつ、ナノチューブが枯渇相互作用によって凝集する傾向である閾値より高い濃度で、ナノチューブ分散液中で用いられる。
【0042】
工程(A)の分散液中のナノチューブの濃度は、用いられる界面活性剤の機能として、適性に広く変化をもたらすことができる。それにもかかわらず、最も一般的な場合において、工程(A)で調製された分散液が、1リットル当たり少なくとも0.5gのナノチューブを含むことが好ましく、1リットル当たり少なくとも1gのナノチューブを含むことが更に有利なことであり、1リットル当たり少なくとも5g又は少なくとも10gのナノチューブを含むことが更に有利なことである。そして、たいていの場合において、ナノチューブの濃度は、1リットル当たり1〜15gである。
【0043】
ある界面活性剤が用いられる場合に、ナノチューブの濃度は制限されることに留意されたい。例えば、最大濃度が1リットル当たり1gのナノチューブである場合には、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)のような界面活性剤を用いることによって目標が達せられる。
【0044】
一方、他の界面活性剤を用いることによって、より高い濃度に達することが可能となる。それゆえ、有利な実施形態によると、工程(A)で用いられる界面活性剤は、カルボキシメチルセルロース塩、特には ナトリウム塩であり、均質な分散が維持されながら、1リットル当たりでナノチューブ15gまでのナノチューブ濃度を得ることが可能となる。
【0045】
本発明の方法の工程(B)において、ガスの作用下で膨張させることによって、泡は工程(A)調製された分散液から作られる。膨張は、たいていの場合、工程(A)作られた分散液の中を通ってガスを泡立てることによって実行される。ガスは、焼結ガラスの中を通って運搬されることが有利なことである。
【0046】
工程(B)の範囲内で作られる泡は、液体/ガスタイプの泡であって、エアロゲルの完成品の形態を決定付ける構造物である。
【0047】
泡は、発泡剤、すなわち、形成される泡の水/ガスの界面を安定化させることが可能な試薬の存在下で形成される。
【0048】
そのためには、発泡剤は、一般的には、工程(A)の終了後に得られる分散液に添加される。発泡剤としては、例えば、その目的に適する界面活性剤、例えば、Tergitol(特に、Tergitol NP9(一般式C1524O(C24O)9を有する))のような非イオン性のエトキシ化界面活性剤が挙げられる。
【0049】
本発明方法の興味深い実施形態によると、工程(B)で利用される発泡剤として、 スターチ又は、代替的には、糖類、例えば、ポリサッカリドが利用され得る。スターチ又は糖類、特にポリサッカリドタイプの利用は、特に工程(D)が実行される場合に有利であることが見出されている。工程(B)で導入されるスターチは、実際には、工程(C)の終了後に得られる材料中に確認される。工程(D)が実行される時に、少なくとも幾らかの量のスターチがカーボン化され、そのことによって、一般的には、材料を構成するナノチューブと結合することとなり、材料の凝集力の増大に結び付き、それゆえ機械的特性の改良へとつながる。その改良は、特にヤングの弾性率によって測定可能である。スターチを使用する場合に、機械的特性を改良ことのそのような効果を得るために、工程(D)が少なくとも600℃の温度で実行されることが好ましく、少なくとも800℃の温度で実行されることがより好ましく、少なくとも1000℃又は少なくとも1200℃の温度で実行されることが更に好ましい。
【0050】
いくつかの場合において、工程(A)で用いられる界面活性剤は、工程(B)の泡を安定化させる効果を提供することができる。これは、特にSDSについての場合であり、SDSは、工程(A)における水/ナノチューブの安定化と工程(B)における界面(水/ガス)を安定化との両方のための界面活性剤として有用であることが見出されている。この特定の場合において、工程(A)作られた分散液に発泡剤は添加されないが、ナノチューブが分散液中で安定化することを保証するために、必要とされる量よりも過剰な量で工程(A)の界面活性剤を使用することは有利であることが分かっている。したがって、例えば、SDSの場合に、界面活性剤が、1g/l超又は2g/l超の量で工程(A)の分散液で利用されることが有利なことである。それにもかかわらず、一般的には、臨界ミセル濃度(CMC)より低い濃度であり、かつ、ナノチューブが枯渇相互作用によって凝集する閾値より高い濃度で、SDSは用いられる。
【0051】
工程(B)で用いられる発泡剤の性能が何であろうとも、その工程における泡の形成は、工程(A)の終了後に得られる分散液の中にガス気泡を注入することによって実行されることが有利なことであり、必要に応じて、(ほとんどの場合そうであるが)発泡剤を添加しながら、分散液の下部に配置された焼結ガラスのような多孔性膜の中を通って、ガス気泡の注入が実行されることが有利なことである。その場合に、溶液は、一般的には、充分な大きさであって、泡を膨張させることできるような形状の容器の底部に配置される。底部(底)に焼結ガラスタイプの多孔性膜を備えたチューブ上のシリンダー容器が典型的には用いられ、容器の体積は、泡立ち前の最初の分散液の体積の少なくとも20倍である。
【0052】
工程(B)において、泡立ちを実行するために用いられるガスは、適性であれば大幅に変更することできる。そのガスが、例えばペルフルオロヘキサンのような疎水性の有機化合物が適宜添加され得る、空気又は窒素であることが有利である。この追加的な有機化合物は、泡の空気/水界面を安定化させるために特に役に立ち、このようにして、新たに形成された泡を不安定にするオストワルド熟成及び合一現象を最小限にする。
【0053】
工程(B)で得られる泡の形態は、幾つかのパラメーター、特には以下のことを作動させることによって制御することができる。
【0054】
泡の湿潤度
泡立ちをもたらすガスの作用で泡が出来上がるので、形成する泡は、重力によって水を失う傾向があり、その水は下向きに流れる傾向がある。この現象は、多角形形状で比較的不安定な非球状の空洞である比較的「乾燥した」泡を形成する傾向がある。球状の空洞を更に得て、安定性を改良する目的で、泡中の水分度を増加してよく、特に、泡の上部に、水を有する成長中の泡を供給することによって重力による水のロスを補うことによって増加する。このため、泡の組成が同時に変わらないように、工程(B)の成長中の泡の上部は、膨張することによって泡立ちする分散液と同一の組成を有する分散液でまき散らされてよく、散布は一定の流量で実行されることが好ましい。そのことによって、任意の合一現象を追加的に回避しながら、均一な組成の泡が得られる。
【0055】
したがって、工程(B)において、泡中の水の容積率を制御することは、作られる気泡の形状を制御する良好な方法である。低い容積率の水を有する泡(乾燥泡)は、多角形形状の気泡を有し、一方、高い容積率の水を有する泡(モイスト泡)は、非常に球形状である気泡を有する。さらに、また、開始時の泡の水分の容積率を制御することによって、気泡壁の幅(いわゆる「プラトーボーダー」)を制御することが可能となる。
【0056】
形成される泡の空洞(気泡)の大きさ
この大きさは、用いられるガスの流量は勿論こと、膨張を実行するために最初に導入されるガスの泡の大きさに作用することによって(特には、用いられる多孔性膜のポアの大きさに作用することによって)制御され得る。一定のガス流量である場合、注入されるガスの泡が大きければ大きいほど、結果物の泡の空洞の大きさは、一般的には、大きくなる。例えば、0.1〜1ml/sのオーダーの一定の流量と10〜250μmのオーダーのポアの多孔性膜を用いて、結果として得られた泡の気泡の平均サイズは、典型的には、50〜600μmまで変わる。
【0057】
液体/ガスの体積比が0.1以下、典型的には、比が0.01〜0.1である泡は、工程(B)において一般的に得られる。
【0058】
概して、その方法の工程(C)の目的は、工程(B)で得られた泡の構造を固定することである。
【0059】
工程(B)の終了後に得られる泡は、比較的安定であるが、蒸発による泡の乾燥を考慮すると充分ではない。したがって、工程(C)において、水分は、フリージングとその後のフリーズドライによって取り除かれる。
【0060】
フリージングの工程(C)は、出来るだけ迅速に泡の構造を固定して全ての合一現象を回避するために実行されることが有利なことである。このため、フリージングは、−50℃より低温状態で、より有利なこととしては−80℃より低温状態で、工程(B)で得られた泡を配置することによって実行されることが有利なことである。
【0061】
たいていの場合、昇華工程は、本質的に公知である任意の手段(特には、例えば、www.lyo-san.ca/lyophilisation/htmのサイトで述べられている従来技術にしたがう)によって実行される低温フリーズドライである。
【0062】
任意の工程である、熱処理工程(D)は、特にホットキャビネット又はオーブンで実行することができ、 一般的には不活性であって非酸化性雰囲気下で実行することができ、緩やかな昇温と徐冷却で実行することができるのが好ましく、 典型的には、1分間当たり数℃のオーダーで温度が昇温し、降温する状況下で実行することができる。
【0063】
この工程を最適化するために、熱処理を受ける材料が、カーボンプレカーサーとして用いられるカーボン含有アジュバント剤を含むことが有利な可能性がある。熱処理中に、これらのカーボン含有アジュバント剤がカーボン中で分解して、それによって、それは、形成される構造中でナノチューブと結合することができる。このようにして、完成した材料の凝集力と機械的な特性を改良することができることになる。
【0064】
そのようなカーボン含有アジュバント剤を、例えば、工程(A)及び/又は(B)中に導入することができる。このため、以上、強調して述べたとおり、スターチ又は糖類(例えばポリサッカリド)が、工程(B)で発泡剤として利用されることは有利なことである。カーボン含有アジュバント剤が好ましい泡の形成の障害とならない条件で、工程(A)及び/又は(B)中に他のカーボン含有アジュバント剤を導入することも可能である。他のカーボン含有アジュバント剤として、例えば、サッカロース、メラミン、又はフェノール性樹脂が挙げられる。
【0065】
代替的に、そのようなカーボン含有アジュバント剤を、工程(C)後であって工程(D)前に導入することができ、例えば、工程(C)の終了後に得られる構造物を、工程(D)の熱処理前に含浸することによって導入することができる。
【0066】
これらの様々な工程の終了後に、一般的には、モノリシック構造であって、巨視的な材料の形態であり、典型的には、数センチメートル又は約10センチメートル若しくはそれ以上のオーダーの寸法であるもののエアロゲルが一般的には得られる。
【0067】
これらのエアロゲル中に、ナノチューブが結合していることが有利なことであり、その材料が、5MPa以上、例えば5〜10MPaのヤングの弾性率を有することが好ましい。
【0068】
いくつかの適用として、結果として得られたエアロゲルは前処理され得る。例えば、触媒種で含浸する目的のために前処理され得る。
【0069】
本発明は、下記の典型的な実施形態考慮し、及び添付した図1と図2とを参照して更に明確に述べられるだろう。その図は、実施例で生産された材料の走査型電子顕微鏡写真であり、得られた、非常に特有な多孔質を示す。
【実施例】
【0070】
本発明にしたがったエアロゲルは、次の条件下で調製される。
【0071】
ナノチューブ水分散液(d)の調製
この特定の実施例の範囲内において、多壁のカーボンナノチューブが用いられる(市販のPyrographIII、PR−24−PSタイプ)。
【0072】
これらのナノチューブの水分散液は、分散した界面活性剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム塩を用いて生産された。
【0073】
これを受けて、1gカルボキシメチルセルロースナトリウム塩の100ml水溶液が150ml三角フラスコに投入された。その後、10gのナノチューブが、その混合物中に投入された。
【0074】
その出来上がった媒介物は、0℃の水浴槽(液体水と氷)に配置され、その後、12プローブタイプを備えたBranson250のソニケーターを使用して超音波分解処理を受けた。その終了後には、3mm径の大きさになった(80%パルス継続時間−20Wパワー)。その水と氷との水浴層は、超音波分解中に熱の発生を防ぐために利用される。
【0075】
10質量%のナノチューブと1質量%の界面活性剤とを含む分散液(d)は、このようにして得られ、そして12時間撹拌された。
【0076】
泡(m)の生成
1gのTergitol NP9(1質量%濃度 のTergitol溶液に対応する)が、前工程で調製された分散液(d)に加えられた。
【0077】
そのように得られた分散液は、縦型のPVCカラム(高さ:60cm、直径: 5cm)によって構成されてポア径30μmである焼結ガラス底面部を備えた泡立て機に配置された。その泡立て機を通る窒素が、0.2ml/sの一定流量で注入された。その分散液は、カラム上部のパイプを中を通って導入され、蠕動ポンプによって供給された。
【0078】
15分後、比較的安定である泡(m)が得られた。その後、スパチュラを用いて回収され、素早くビーカーに移された。
【0079】
泡(m)からのエアロゲルの生産
そのビーカーは、−80℃条件下に素早く置かれて5時間その温度で放置された。
【0080】
このフリージングの終了後に、凍結した泡は、低温フリーズドライヤー(真空容器)を用いてフリーズドライされた。このようにして、水は 昇華によって取り除かれて、エアロゲルを生成した。
【0081】
熱処理による圧密化
前工程で得られたエアロゲルが、次の条件下で熱処理された。
2時間かけて、室温(25℃)から400℃まで昇温し、
1時間、400℃で安定に保ち、
2時間かけて、400℃から室温(25℃)まで降温する。
【0082】
このようにして、次の特性を有する材料が得られた。
見掛け密度:0.2、
実際の密度(濃度):2.1、
特有のBET表面域:36m2/g、
寸法上約50μmのポアを有する多孔性マクロ構造であって、そのマクロ構造の内壁に2〜50nmのポアを有した多孔質。
【図1】

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンエアロゲルを生産する方法であって、
(A)分散用界面活性剤を用いることによって、カーボンナノチューブの水分散液を作る工程、
(B)発泡剤の存在下、ガスの作用で該分散液を膨張させることによって、該工程(A)で得られたナノチューブの該水分散液から泡を作り出す工程、及び、
(C)該工程(B)で得られた該泡を凍結し、その後、昇華によって該水を取り除く工程を、
含む、方法。
【請求項2】
前記工程(A)から前記工程(C)まで終了した後に、更に工程(D)を含み、該工程(D)において、前記工程(C)の終了後に得られた材料が400℃超の温度で熱処理を受ける、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記工程(D)が、有機化合物の存在下で、かつ、800℃超の温度で実行される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記工程(D)が、1200℃以上の温度で実行される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記工程(A)で用いられる前記ナノチューブが、10から100nmの平均径と1から20μmの平均長とを有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記工程(A)で用いられる前記界面活性剤が、イオン性界面活性剤であり、好ましくは、硫酸塩、スルホン酸塩又はカルボン酸塩タイプのアニオン性界面活性剤である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記工程(A)の前記界面活性剤が、カルボキシメチルセルロース塩であり、特には、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記工程(A)で調製された分散液が、1リットル当たり1から15gのナノチューブを含む、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記工程(B)において、発泡剤が、前記工程(A)の終了後に得られる前記分散液に添加される、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記添加される発泡剤が非イオン性エトキシ化界面活性剤であり、例えば、Tergitolである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記添加される発泡剤がスターチ又は糖類であり、特には、ポリサッカリドである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
ドデシル硫酸ナトリウムSDSが、前記工程(A)の分散用界面活性剤と前記工程(B)の発泡剤との両方の試薬として用いられる、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の方法又は請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記工程(B)の泡の形成が、前記工程(A)の終了後に得られた分散液中にガスの気泡を注入することによって実行され、必要に応じて該ガスに前記発泡剤が添加され、該ガスの気泡の該注入が、分散液の下部に配置された焼結ガラスのような多孔性膜の中を通って実行される、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記工程(B)において、成長中の泡の上部が、膨張によって泡立ちする分散液と同一の組成を有する分散液でまき散らされる、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記工程(B)で作り出された前記泡中の液体/ガスの体積比が0.1未満である、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の方法によって得られることが可能であって、気泡構造形態でカーボンナノチューブを凝固することによって生成するカーボンエアロゲル。
【請求項17】
実質的に開口した多孔質を備えた構造を有するカーボンエアロゲルであって、
40μm超の平均サイズを有する気泡(又は「マクロポア」)で構成された「マクロ多孔質」及び、
該マクロ多孔質の気泡の壁内に実質的に配置された「スーパーメソ多孔質」であって、このナノ多孔質が60nm未満の平均サイズを有するポアを含む、「スーパーメソ多孔質」
の両方を含む、カーボンエアロゲル。
【請求項18】
0.25g/cm3以下の見掛け密度を有する、請求項16又は請求項17記載のカーボンエアロゲル。
【請求項19】
前記ポアによって占められる容積が前記材料の全容積の少なくとも80%に相当する、請求項16から請求項18のいずれか1項に記載のカーボンエアロゲル。
【請求項20】
25から300m2/gの特有表面域を有する、請求項16から請求項19のいずれか1項に記載のカーボンエアロゲル。
【請求項21】
分離材、特には、固体/液体タイプの分離を実行するための分離材としての請求項16から請求項20のいずれか1項に記載のカーボンエアロゲルの使用。
【請求項22】
バイオマテリアル、例えば細胞成長の支持体としての請求項16から請求項20のいずれか1項に記載のカーボンエアロゲルの使用。
【請求項23】
触媒種若しくは非湿潤液の保存、特には燃料電池膜中の高エネルギー液の保存のための支持体、リチウム電池の負極、又は遮音材若しくは防振材としての請求項16から請求項20のいずれか1項に記載のカーボンエアロゲルの使用。

【公表番号】特表2010−513202(P2010−513202A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542138(P2009−542138)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際出願番号】PCT/FR2007/002135
【国際公開番号】WO2008/096065
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(501089863)サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェサイアンティフィク(セエヌエールエス) (173)
【Fターム(参考)】