説明

カール矯正装置及び画像形成装置。

【課題】一方向のカールのみを矯正することができるカール矯正手段を1台備えるだけで、上向きカール及び下向きカールを矯正することができるカール矯正装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成ユニット300から排出された用紙Pは、中継搬送ユニット500内の導入路71へ導き入れられ、固定ガイド57が設けた分岐点Dへ搬送される。固定ガイド57は、上向きカールが生じた用紙Pを第1搬送路72へ搬送し、下向きカールが生じた用紙Pを第2搬送路73へ案内する。第1搬送路72に搬送された用紙Pは、用紙Pに生じた上向きカールを矯正するカール矯正部54を経て、後処理ユニット600へ排出される。第2搬送路73に搬送された用紙Pは、スイッチバック機能により、表裏を反転して、上向きカールとなる。用紙Pは、分岐点Dを経て、第1搬送路72へ搬送されて、カール矯正が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
用紙に生じたカールを矯正する、カール矯正装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、画像形成装置では、トナーを用紙に定着して画像を形成している。このため、定着後のトナーの収縮により用紙の先端にカールが生じ、ソーター内で紙詰まりを起こしてしまうという問題がある。そこで、カールを矯正する装置が各種提案されている(特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1に記載の画像形成装置では、定着装置から排出された用紙の表裏反転を行うことで用紙のページ順を正順とした後、カール除去手段により用紙の上向きカールを除去して、当該用紙を後処理装置へ排出している。
【0004】
特許文献2に記載の画像形成装置は、定着ローラ対から排出された用紙のカールが、上向きカールの場合に、上向きカール用のカール修正手段を備えた搬送路へ搬送して上向きカールを修正し、下向きカールの場合に、下向きカール用のカール修正手段を備えた搬送路へ搬送して下向きカールを修正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−267454号公報
【特許文献2】特開平6−199459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の画像形成装置では、用紙の上向きカールのみを除去する構成であるため、用紙に生じた下向きカールを除去することができない。
【0007】
特許文献2に記載した画像形成装置では、上向きカール用のカール修正手段、及び下向きカール用のカール修正手段を設けており、2台のカール修正手段を設けることが無駄であった。
【0008】
そこで、一方向のカールのみを矯正することができるカール矯正手段を1台備えることで、上向きカール及び下向きカールを矯正することができるカール矯正装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のカール矯正装置は、例えば、用紙に生じた上方向のカールのみ矯正するカール矯正手段と、用紙の表裏を反転する反転手段と、を備える。カール矯正装置は、用紙に生じた向きに応じて用紙の向きを表裏反転する(例えば、下向きカールの用紙のみを反転して、全て上向きカールの用紙とする)。そして、カール矯正装置は、カールの向きが揃った用紙のカール矯正をカール矯正手段にて行う。
【0010】
これにより、カール矯正装置は、一方向のみのカールを矯正するカール矯正手段を1台備えるだけで、用紙に生じた上向きカール及び下向きカールの矯正を確実に行うことができる。
【0011】
また、この発明のカール矯正手段は、第1用紙搬送路にカール矯正手段を設け、第2用紙搬送路に反転手段を設け、用紙を搬送する用紙搬送路を分岐点にて第1用紙搬送路及び第2用紙搬送路に分岐する構成としてもよい。この場合、用紙搬送路を搬送されている用紙は、用紙に生じた向きに応じて、第1用紙搬送路または第2用紙搬送路に搬送される。例えば、カール矯正手段が上向きカールのみを矯正する場合は、上向きカールが生じた用紙を第1用紙搬送路に搬送してカールの矯正を行い、下向きカールが生じた用紙を第2用紙搬送路に搬送して、用紙を反転する。そして、カール矯正装置は、第2用紙搬送路に搬送した用紙を分岐位置へ戻して、当該用紙に生じた向きに応じて、第1用紙搬送路または第2用紙搬送路へ搬送する。すなわち、カール矯正装置は、第2用紙搬送路に搬送した用紙の表裏を反転することで、当該用紙に生じたカールの向きを反転するため、当該用紙を第1用紙搬送路へ搬送して、カールの矯正を行う。
【0012】
また、この発明のカール矯正装置は、用紙に生じたカールの向きに応じて第1用紙搬送路または第2用紙搬送路へ案内する固定ガイドを分岐位置に設ける構成としてもよい。この固定ガイドは、先端が鋭角であったり、先端が丸みを帯び、先端を形成する2面が鋭角となるような形状である。
【0013】
これにより、カール矯正装置は、用紙の先端(カールが生じた部分)が固定ガイドに当接するだけで、用紙に生じたカールの向きに応じて、第1用紙搬送路または第2用紙搬送路へ用紙を搬送することができる。
【0014】
また、この発明のカール矯正装置は、固定ガイドにより第1用紙搬送路及び第2用紙搬送路を上下の方向に分岐する構成としてもよい。この場合、カール矯正装置は、固定ガイドの先端部は、固定ガイドの上流に設けた搬送ローラ対のニップ位置より下方に設ける。
【0015】
これにより、カール矯正装置は、固定ガイドの上流から搬送された用紙の先端が自重により垂れ下がったとしても、用紙の先端が固定ガイドより大幅に下方となることがない。このため、カール矯正装置は、用紙に生じたカールの向きに応じて、用紙を第1用紙搬送路または第2用紙搬送路へ正しく搬送することができる。
【0016】
また、この発明のカール矯正装置は、分岐位置の上流に複数の搬送ローラ対を配置する構成としてもよい。
【0017】
これにより、カール矯正装置には、複数の搬送ローラ対を通過した用紙が導き入れられるため、当該用紙は安定した状態で分岐位置に搬送される。このため、カール矯正装置は、用紙のカールの向きを正確に判断することができ、用紙に生じたカールの向きに応じて、用紙を第1用紙搬送路または第2用紙搬送路へ正しく搬送することができる。
【0018】
また、この発明の画像形成装置は、上述のカール矯正装置を定着装置の下流側に設ける。これにより、画像形成装置は、定着装置がトナーを用紙に定着した後、トナーの収縮により用紙の先端にカールが生じることがあるが、定着装置の下流側にカール矯正装置が設けられているため、用紙の先端に生じたカールを矯正することができる。画像形成装置は、用紙のカールを矯正することができるため、用紙に生じたカールが原因となるソーター内での紙詰まりの発生を減少することができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明のカール矯正装置および画像形成装置は、一方向のカールのみを矯正することができるカール矯正手段を1台備えるだけで、上向きカール及び下向きカールを矯正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】画像形成装置の断面を示す説明図である。
【図2】中継搬送ユニットの構成を示す図である。
【図3】固定ガイド周辺の構成を示す図である。
【図4】用紙の搬送処理の一例を示す図である。
【図5】カール矯正部の構成を示す図である。
【図6】用紙の表裏反転機能の実現構成を示す図である。
【図7】中継搬送ユニットの第2実施形態を示す。
【図8】中継搬送ユニットの第3実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0021】
この発明の実施形態に係るカール矯正装置及び画像形成装置100について、図を参照して説明する。図1は、画像形成装置の断面を示す説明図である。図1では、切断面の画面表記を省略している。図1に示すように、画像形成装置100は、原稿の画像を読み取って画像データを生成するスキャナ装置200を上部に備え、用紙Pに対して画像形成処理を実行する画像形成ユニット300、画像形成ユニット300に対して順次的に用紙Pを供給する給紙ユニット400、画像形成ユニットから排出された用紙Pを後処理ユニットへ中継する中継搬送ユニット(本発明のカール矯正装置に相当する。)500、及び画像形成処理が施された用紙Pに対して後処理を実行する後処理ユニット600を内部に備える。
【0022】
スキャナ装置200は、原稿台21上の原稿の画像を読み取るように構成された光学系ユニット220、および原稿載置台上の原稿を原稿台21の原稿読取位置に順次的に搬送する自動原稿搬送ユニット210を備える。
【0023】
画像形成ユニット300は、用紙搬送路70に接するように配置された像担持体としての感光体ドラム31を備える。感光体ドラム31の周囲には、露光装置32、現像装置33、および転写装置34等が配置される。露光装置32は、感光体ドラム31を露光することによって感光体ドラム31上に静電潜像を形成する。現像装置33は、感光体ドラム31に現像剤を供給することによって、感光体ドラム31上の静電潜像を現像する。転写装置34は、感光体ドラム31上のトナーを用紙Pに転写する。
【0024】
画像形成ユニット300は、はさらに、用紙搬送路70における感光体ドラム31の下流に定着装置35を備える。定着装置35は、用紙Pに転写されたトナーを熱と圧力とによって用紙Pに定着する。用紙搬送路70における定着装置35の下流には、画像形成処理された用紙Pを中継搬送ユニット500に排出する排出ローラ対36が設けられる。
【0025】
画像形成ユニット300は、さらに用紙P(図4参照)を収容する給紙カセット37を備え、給紙カセット37には、用紙Pを1枚ずつ用紙搬送路70に送り出す送り出し機構が設けられる。画像形成ユニット300はさらに、用紙Pを感光体ドラム31へ供給するタイミングを調整するための1対のレジストローラ対38を備える。
【0026】
給紙ユニット400は、用紙Pを収容する用紙収容カセット41〜43を備える。用紙収容カセット41〜43には、用紙Pを1枚ずつ用紙搬送路70に送り出す送り出し機構が設けられる。
【0027】
中継搬送ユニット500は、画像形成ユニット300から排出された画像形成済みの用紙Pに対して、カール矯正処理を行い、後処理ユニット600へ排出する。中継搬送ユニット500の構成については、後述する。
【0028】
後処理ユニット600は、中継搬送ユニット500から排出された画像形成済みの用紙を搬入ローラ対61で導き入れて、用紙Pに対してステープル処理、ソート処理等の後処理を行う。
【0029】
後処理ユニット600には、ステープルトレイ62、排紙トレイ63、及び排紙トレイ64を備えている。後処理ユニット600は、搬入ローラ対61から導かれた用紙Pをそのまま排紙トレイ63へ排出する。後処理ユニット600は、搬入ローラ対61から導かれた用紙Pをステープルトレイ62でステープルを施した後に排紙トレイ64へ排出する。このように、後処理ユニット600は、用紙Pに施した処理に応じて、排紙トレイ63、排紙トレイ64に区別して排出する。
【0030】
次に、中継搬送ユニット500の詳細について図2〜6を参照して説明する。図2は、中継搬送ユニットの構成を示す図である。図2に示すように、中継搬送ユニット500は、画像形成ユニット300の排出ローラ対36から排出された用紙Pが導き入れられる導入路71と、導入路71から分岐点D(本発明の分岐位置に相当する。)で分岐された第1搬送路72及び第2搬送路73と、第2搬送路73から導入路71へ戻るための復帰路74と、を備える。
【0031】
導入路71は、導入ローラ対51から3連結ローラ52の上ローラ52A及び中央ローラ52Bを経て分岐点Dまで形成されている。第1搬送路72は、分岐点Dから搬送ローラ対53、カール矯正部54、及び排出ローラ対55まで形成されている。第2搬送路73は、分岐点Dから正逆回転ローラ対56を経て、終点Fまで形成されている。復帰路74は、正逆回転ローラ対56から3連結ローラ52の中央ローラ52B及び下ローラ52Cを経て、導入路71まで形成されている。
【0032】
なお、本発明の第1用紙搬送路は、第1搬送路72に相当する。本発明の第2用紙搬送路は、第2搬送路73、復帰路74及び、復帰路74が導入路71に合流する位置から分岐点Dまでの導入路71に相当する。
【0033】
画像形成ユニット300の排出ローラ対36から排出された用紙Pは、導入ローラ対51により中継搬送ユニット500内の導入路71へ導き入れられ、3連結ローラ52の上ローラ52A及び中央ローラ52Bにより、分岐点Dへ搬送される。
【0034】
分岐点Dには、固定ガイド57が設けられている。固定ガイド57は、用紙Pのカールの方向に応じて、用紙を第1搬送路72または第2搬送路73へ搬送する。固定ガイド57は、上向きカールが生じた用紙Pを第1搬送路72へ搬送し、下向きカールが生じた用紙Pを第2搬送路73へ搬送する。固定ガイド57による用紙Pの搬送処理の詳細については後述する。
【0035】
第1搬送路72に搬送された用紙Pは、搬送ローラ対53、カール矯正部54、及び排出ローラ対55を経て、後処理ユニット600へ排出される。カール矯正部54は、用紙Pに生じた上向きカールを矯正する。カール矯正部54の構成については、後述する。
【0036】
第2搬送路73に搬送された用紙Pは、正逆回転ローラ対56により、復帰路74へ搬送される。復帰路74へ搬送された用紙Pは、3連結ローラ52の中央ローラ52B及び下ローラ52Cにより導入路71へ搬送され、3連結ローラ52の上ローラ52A及び中央ローラ52Bにより分岐点Dへ搬送される。すなわち、第2搬送路73へ搬送された用紙P(下向きカール)は、表裏反転されることで上向きカールとなり、分岐点Dで第1搬送路72へ搬送されて、カール矯正が行われる。この表裏反転機能(本発明の反転手段に相当する。)の実現方法の詳細については、後述する。
【0037】
次に、固定ガイド57による用紙Pの搬送処理の詳細について、図3、図4を参照して説明する。図3は、固定ガイド周辺の構成を示す図である。図4は、用紙の搬送処理の一例を示す図である。図4(A)は、第1搬送路への搬送処理を示し、図4(B)は、第2搬送路への搬送処理を示す。
【0038】
図3に示すように、導入路71は、分岐点Dにて上下の方向に分岐される。この際、上方向への分岐路は第1搬送路72であり、下方向への分岐路は第2搬送路73である。
【0039】
分岐点Dには、固定ガイド57が設けられている。固定ガイド57の先端部は、鋭角に形成されており、3連結ローラ52の上ローラ52A及び中央ローラ52Bのニップ位置Nから距離Lだけ離して、当該ニップ位置Nよりも下方に設けられる。なお、固定ガイド57の先端部は、鋭角でなくてもよく、丸みを帯びていても良い。固定ガイド57は、先端部の成す角が鋭角となるような2面を含む形状であればよい。
【0040】
図4に示すように、固定ガイド57は、自身の上流に複数の搬送ローラ対が設けられているため、安定した状態で(例えば、上流に設けられた画像形成ユニット300による振動の影響を受けずに)用紙Pが導き入れられる。このため、固定ガイド57は、用紙Pのカールの向きを正確に判断することができ、上向きカールの用紙Pを第1搬送路72へ案内し、下向きカールの用紙Pを第2搬送路73へ案内することができる。
【0041】
また、固定ガイド57は、先端部の成す角が鋭角となるような2面を含む形状であるため、用紙Pの先端が先端部に当接するだけで、上向きカールの用紙Pを第1搬送路72へ案内し、下向きカールの用紙Pを、第2搬送路73へ案内することができる。
【0042】
また、固定ガイド57は、先端部が3連結ローラ52の上ローラ52A及び中央ローラ52Bのニップ位置Nよりも下方に設けられているため、用紙Pの先端が自重により下方へ垂れ下がったとしても、上向きカールの用紙Pを第1搬送路72へ案内し、下向きカールの用紙Pを第2搬送路73へ案内することができる。
【0043】
また、固定ガイド57は、先端部から3連結ローラ52の上ローラ52A及び中央ローラ52Bのニップ位置Nまでの距離Lを所定距離だけ離れているため、3連結ローラ52の上ローラ52A及び中央ローラ52Bによる振動の影響を受けずに、用紙Pのカールの向きをより正確に判断することができ、上向きカールの用紙Pを第1搬送路72へ案内し、下向きカールの用紙Pを第2搬送路73へ案内することができる。
【0044】
次に、カール矯正部54の構成について、図5を参照して説明する。図5は、カール矯正部の構成を示す図である。
【0045】
図5に示すように、カール矯正部54は、上ローラ54A及び下ローラ54Bを備える。上ローラ54Aは、スポンジ等の軟質の素材で形成された軟質ローラであり、下ローラ54Bは、硬質ゴム等の硬質の素材で形成された硬質ローラである。また、上ローラ54Aの径は、下ローラ54Bの径より大きい。
【0046】
上ローラ54Aは、第1搬送路72の上方側に配置され、下ローラ54Bは、第1搬送路72の下方側に配置される。上ローラ54Aと下ローラ54Bとは、上ローラ54Aの中心Oと下ローラ54Bの中心O’とを結ぶ線分が第1搬送路72とほぼ垂直となるように配置される。また、上ローラ54Aと下ローラ54Bとは、上ローラ54Aの半径と下ローラ54Bの半径とを加算した距離より、上ローラ54Aの中心Oと下ローラ54Bの中心O’との距離が所定量だけ短くなるように配置する。
【0047】
以上より、カール矯正部54は、上ローラ54Aと下ローラ54Bとのニップが凸形状となるように形成されるため、用紙Pは上方に押し付けられ、用紙Pに生じる上向きカールを矯正することができる。
【0048】
次に、用紙Pの表裏反転機能の実現方法について、図6を参照して説明する。図6は、用紙の表裏反転機能の実現構成を示す図である。図6(A)は、折り返し前を示し、図6(B)は、折り返し後を示す。まず、表裏反転機能を実現する構成を説明し、次に用紙Pの流れを説明する。
【0049】
まず、表裏反転機能を実現する構成について説明する。
【0050】
図6に示すように、第2搬送路73は、分岐点Dから通過点Eまで斜め下方向に形成され、通過点Eから終点Fに向けて水平方向に形成される。第2搬送路73の通過点Eの上流側には、センサSが配置され、第2搬送路73の通過点Eの下流側には、正逆回転ローラ対56が配置される。センサSは、用紙Pの通過を検出する。
【0051】
通過点Eには、分岐点Dから通過点Eまでの第2搬送路73と、通過点Eから水平方向に形成された復帰路74と、を備えた分岐路が形成される。この復帰路74は、通過点Eから終点Fに向けて形成された第2搬送路73と同一平面上に形成される。
【0052】
復帰路74には、通過点Eから正逆回転ローラ対56の付近まで復帰路74の内壁面に沿うようにシートガイド58が設けられる。また、このシートガイド58の正逆回転ローラ対56側の先端は、分岐点Dから通過点Eまでの第2搬送路73に当接しないように設けられている。このシートガイド58の正逆回転ローラ対56側の先端は、正逆回転ローラ対56のニップ位置より所定距離だけ上ローラ56A側に設けられる。
【0053】
シートガイド58は、正逆回転ローラ対56側の先端と、分岐点Dから通過点Eまでの第2搬送路73と、の間に所定の隙間が設けているため、この隙間に用紙Pを通して、正逆回転ローラ対56へ搬送する。この際、用紙Pは、3点連結ローラ52の上ローラ52A及び中央ローラ52Bにより搬送されるため、僅かな隙間であっても通過することができる。
【0054】
また、シートガイド58は、復帰路74の内壁面に沿って設けられているため、分岐点Dから正逆回転ローラ対56への搬送中、第2搬送路が狭くならないため、用紙Pの搬送を邪魔しない。また、シートガイドは、正逆回転ローラ対56から3点連結ローラ52への搬送中、復帰路74が狭くならないため、用紙Pの搬送を邪魔しない。
【0055】
更に、シートガイド58は、正逆回転ローラ対56側の先端が、正逆回転ローラ対56のニップ位置より所定距離だけ上ローラ56A側に設けられているため、正逆回転ローラ対56から搬送される用紙P(下向きカール)は、復帰路74へ搬送される。
【0056】
次に用紙Pの流れについて説明する。
【0057】
図6(A)に示すように、分岐点Dから第2搬送路73へ搬送された下向きカールの用紙Pは、第2搬送路73とシートガイド58との間を通り、正逆回転ローラ対56へ搬送される。この時、正逆回転ローラ対56は、用紙Pを通過点Eから終点Fへ搬送する方向に回転(以下、正回転と称す。)するよう制御される。すなわち、上ローラ56Aは、紙面向かって時計周りの方向に回転し、下ローラ56Bは、紙面向かって逆時計周りの方向に回転する。
【0058】
また、正逆回転ローラ対56は、用紙Pの後端がセンサSを通過してから所定時間経過すると、回転を反転して、用紙Pを終点Fから復帰路74へ搬送する方向に回転(以下、逆回転と称す。)するよう制御される。正逆回転ローラ対56から搬送された用紙Pは、下向きカールであるため、用紙Pの先端がシートガイド58より下方向を向く。このため、用紙Pは、シートガイド58に沿うように、復帰路74へ搬送され、3連結ローラ52の中央ローラ52B及び下ローラ52Cへ導き入れられる。用紙Pは、中央ローラ52Bに沿うように、3連結ローラ52の上ローラ52A及び中央ローラ52Bを経て、分岐点Dへ搬送される。この結果、用紙Pは、表裏が反転され、上向きカールとなる。
【0059】
以上より、中継搬送ユニット500は、上向きカールの用紙Pを第1搬送路72へ搬送してカール矯正を行うことができる。中継搬送ユニット500は、下向きカールの用紙Pを第2搬送路73へ搬送して表裏反転を行い、下向きカールを上向きカールにして、第1搬送路72へ搬送してカール矯正を行うことができる。このように、中継搬送ユニット500は、一方向のカールのみを矯正することができるカール矯正部54を1台備えるだけで、上向きカール及び下向きカールの用紙Pのカール矯正を行うことができる。
【実施例2】
【0060】
中継搬送ユニットの他の実施形態について、図7を参照して説明する。図7は、中継搬送ユニットの第2実施形態を示す。図7に示すように、中継搬送ユニット500Aは、図2に示す中継搬送ユニット500の上下を反転した構成となっている。すなわち、上向きカールの用紙Pが第2搬送路73に搬送され、下向きカールの用紙Pが第1搬送路72に搬送される。また、カール矯正部54は、用紙Pに生じた下向きカールを矯正する。以下、図2に示す中継搬送ユニット500との相違点のみ説明する。
【0061】
導入路71上に導き入れられた用紙Pは、3連結ローラ52の中央ローラ52B及び下ローラ52Cにより、分岐点Dへ搬送される。導入路71は、分岐点Dにて上下の方向に分岐される。上方向への分岐路は第2搬送路73であり、下方向への分岐路は第1搬送路72である。
【0062】
分岐点Dには、固定ガイド57が設けられている。固定ガイド57の先端部は、鋭角に形成されており、3連結ローラ52の中央ローラ52B及び下ローラ52Cのニップ位置Nから距離Lだけ離して、当該ニップ位置Nよりも下方に設けられる。なお、固定ガイド57は、先端部の成す角が鋭角となるような2面を含む形状であればよい。固定ガイド57は、上向きカールの用紙Pを第2搬送路73へ案内し、下向きカールの用紙Pを第1搬送路へ案内する。
【0063】
第1搬送路72に設けたカール矯正部54は、第1搬送路72の上方側に配置された上ローラ54A、及び第1搬送路72の下方側に配置された下ローラ54Bを備える。上ローラ54Aは、硬質ゴム等の硬質の素材で形成された硬質ローラであり、下ローラ54Bは、スポンジ等の軟質の素材で形成された軟質ローラである。上ローラ54Aの径は、下ローラ54Bの径より小さい。
【0064】
上ローラ54Aと下ローラ54Bとは、上ローラ54Aの中心Oと下ローラ54Bの中心O’とを結ぶ線分が第1搬送路72とほぼ垂直となるように配置される。上ローラ54Aと下ローラ54Bとは、上ローラ54Aの半径と下ローラ54Bの半径とを加算した距離より、上ローラ54Aの中心Oと下ローラ54Bの中心O’との距離が所定量だけ短くなるように配置する。以上より、カール矯正部54は、上ローラ54Aと下ローラ54Bとのニップが凹形状となるように形成されるため、用紙Pは下方に押し付けられ、用紙Pに生じる下向きカールを矯正する。この結果、第1搬送路に搬送された用紙P(下向きカール)は、カールが矯正される。
【0065】
また、第2搬送路73は、分岐点Dから通過点Eまで斜め上方向に形成され、通過点Eから終点Fに向けて水平方向に形成される。第2搬送路73の通過点Eの上流側には、センサSが配置され、第2搬送路73の通過点Eの下流側には、正逆回転ローラ対56が配置される。
【0066】
通過点Eには、分岐点Dから通過点Eまでの第2搬送路73と、通過点Eから水平方向に形成された復帰路74と、を備えた分岐路が形成される。この復帰路74は、通過点Eから終点Fに向けて形成された第2搬送路73と同一平面上に形成される。
【0067】
復帰路74には、通過点Eから正逆回転ローラ対56の付近まで復帰路74の内壁面に沿うようにシートガイド58が設けられる。このシートガイド58の正逆回転ローラ対56側の先端は、分岐点Dから通過点Eまでの第2搬送路73に当接しないように設けられている。このシートガイド58の正逆回転ローラ対56側の先端は、正逆回転ローラ対56のニップ位置より所定距離だけ下ローラ56B側に設けられる。
【0068】
そして、第2搬送路73へ搬送された上向きカールの用紙Pは、第2搬送路73とシートガイド58との間を通り、正逆回転ローラ対56へ搬送される。この時、正逆回転ローラ対56は、正回転するよう制御される。また、正逆回転ローラ対56は、用紙Pの後端がセンサSを通過してから所定時間経過すると、回転を反転して、逆回転するよう制御される。正逆回転ローラ対56から搬送された用紙Pは、上向きカールであるため、用紙Pの先端がシートガイド58の上方向を向く。このため、用紙Pは、シートガイド58に沿うように、復帰路74へ搬送され、3連結ローラ52の中央ローラ52B及び下ローラ52Cへ搬送される。用紙Pは、中央ローラ52Bに沿うように、3連結ローラ52の上ローラ52A及び中央ローラ52Bを経て、分岐点Dへ搬送される。この結果、用紙Pは、表裏が反転され、下向きカールとなる。
【0069】
以上より、中継搬送ユニット500Aは、下向きカールの用紙Pを第1搬送路72へ搬送してカール矯正を行うことができる。中継搬送ユニット500Aは、上向きカールの用紙Pを第2搬送路73へ搬送して表裏反転を行い、上向きカールを下向きカールにして、第1搬送路72へ搬送してカール矯正を行うことができる。このように、中継搬送ユニット500Aは、一方向のカールのみを矯正することができるカール矯正部54を1台備えるだけで、上向きカール及び下向きカールの用紙Pのカール矯正を行うことができる。
【実施例3】
【0070】
中継搬送ユニットの他の実施形態について、図8を参照して説明する。図8は、中継搬送ユニットの第3実施形態を示す。図8に示すように、中継搬送ユニット500Bは、図2に示す中継搬送ユニット500の第2搬送路73を垂直方向下向きに配置した構成となっている。以下、図2に示す中継搬送ユニット500との相違点のみ説明する。
【0071】
導入路71上に導き入れられた用紙Pは、3連結ローラ52の上ローラ52A及び中央ローラ52Bにより、分岐点Dへ搬送される。導入路71は、分岐点Dにて水平方向と斜め下方向との2方向に分岐される。水平方向への分岐路は第1搬送路72であり、斜め下方向への分岐路は第2搬送路73である。
【0072】
分岐点Dには、固定ガイド57が設けられている。固定ガイド57の先端部は、鋭角に形成されており、3連結ローラ52の上ローラ52A及び中央ローラ52Bのニップ位置Nから距離Lだけ離して、当該ニップ位置Nよりも下方に設けられる。なお、固定ガイド57は、先端部の成す角が鋭角となるような2面を含む形状であればよい。この結果、固定ガイド57は、上向きカールの用紙Pを第1搬送路72へ案内し、下向きカールの用紙Pを第2搬送路73へ案内する。
【0073】
第2搬送路73は、分岐点Dから通過点Eまで、斜め下方向に向けて半円弧状に形成された後、第2搬送路73の高さ(搬送方向に対して垂直な方向)が徐々に狭まるように形成される。そして、第2搬送路73は、通過点Eから終点Fに向けて垂直方向に形成される。第2搬送路73の通過点Eの上流側には、センサSが配置され、第2搬送路73の通過点Eの下流側には、正逆回転ローラ対56が配置される。
【0074】
通過点Eには、分岐点Dから通過点Eまでの第2搬送路73と、通過点Eから斜め上方向に形成された復帰路74と、を備えた分岐路が形成される。復帰路74は、通過点Eから斜め上方に向けて形成されている。復帰路74は、通過点Eに向けて、復帰路74の高さ(搬送方向に対して垂直な方向)が徐々に高くなるよう形成されている。
【0075】
分岐点Dから通過点Eまでの第2搬送路73には、通過点Eから正逆回転ローラ対56の付近まで、第2搬送路73の外壁面に沿うようにシートガイド58が設けられる。また、このシートガイド58の正逆回転ローラ対56側の先端は、復帰路74に当接しないように設けられている。このシートガイド58の正逆回転ローラ対56側の先端は、正逆回転ローラ対56のニップ位置より所定距離だけ左ローラ56A側(分岐点Dから通過点Eまでの第2搬送路73側)に設けられる。
【0076】
シートガイド58は、第2搬送路73の外壁面に沿って設けられているため、分岐点Dから正逆回転ローラ対56への搬送中、第2搬送路が狭くならないため、用紙Pの搬送を邪魔しない。
【0077】
シートガイド58は、正逆回転ローラ対56側の先端が、正逆回転ローラ対56のニップ位置より所定距離だけ左ローラ56A側(分岐点Dから通過点Eまでの第2搬送路73側)に設けられているため、正逆回転ローラ対56から搬送される用紙P(下向きカール)は、復帰路74へ搬送される。
【0078】
そして、第2搬送路73へ搬送された下向きカールの用紙Pは、第2搬送路73とシートガイド58との間を通り、正逆回転ローラ対56へ搬送される。この時、正逆回転ローラ対56は、正回転するよう制御されている。
【0079】
また、正逆回転ローラ対56は、用紙Pの後端がセンサSを通過してから所定時間経過すると、回転を反転して、逆回転するよう制御される。正逆回転ローラ対56から搬送された用紙Pは、下向きカールであるため、用紙Pの先端がシートガイド58より復帰路74側に向く。このため、用紙Pは、復帰路74へ搬送され、3連結ローラ52の中央ローラ52B及び下ローラ52Cへ搬送される。用紙Pは、中央ローラ52Bに沿うようにして、3連結ローラ52の上ローラ52A及び中央ローラ52Bを経て、分岐点Dへ搬送される。この結果、用紙Pは、表裏が反転され、上向きカールとなる。
【0080】
以上より、中継搬送ユニット500Bは、上向きカールの用紙Pを第1搬送路72へ搬送してカール矯正を行うことができる。中継搬送ユニット500Bは、下向きカールの用紙Pを第2搬送路73へ搬送して表裏反転を行い、下向きカールを上向きカールにして、第1搬送路72へ搬送してカール矯正を行うことができる。このように、中継搬送ユニット500Aは、一方向のカールのみを矯正することができるカール矯正部54を1台備えるだけで、上向きカール及び下向きカールの用紙Pのカール矯正を行うことができる。
【0081】
なお、第3実施形態では、第2搬送路73を垂直方向下向きに配置したが、垂直方向上向きに配置してもよい。
【0082】
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0083】
100…画像形成装置,
500,500A,500B…中継搬送ユニット,
52…3連結ローラ,
53…搬送ローラ対,
54…カール矯正部,
55…排出ローラ対,
56…正逆回転ローラ対,
57…固定ガイド,
71…導入路,
72…第1搬送路,
73…第2搬送路,
74…復帰路,
D…分岐点,
P…用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向のカールのみを矯正するカール矯正手段と、
用紙の向きを反転する反転手段と、を備え、
用紙に生じたカールの向きに応じて前記反転手段が該用紙の表裏を反転することで、カールの向きを一方向に揃えて用紙を前記カール矯正手段に導き入れるカール矯正装置。
【請求項2】
前記用紙を搬送する用紙搬送路は、前記カール矯正手段を設けた第1用紙搬送路、及び前記反転手段を設けた第2用紙搬送路へ分岐する分岐位置を有し、
前記用紙搬送路を搬送される用紙は、該用紙に生じたカールの向きに応じて、前記第1用紙搬送路または前記第2用紙搬送路へ搬送され、
前記第2用紙搬送路へ搬送された用紙は、前記反転手段により表裏を反転した後に前記分岐位置の上流に戻される請求項1に記載のカール矯正装置。
【請求項3】
前記分岐位置には、用紙のカールの方向に応じて、前記第1用紙搬送路または前記第2用紙搬送路へ案内する固定ガイドを設け、
前記固定ガイドは、先端部の成す角が鋭角となるような2面を含む請求項2に記載のカール矯正装置。
【請求項4】
前記固定ガイドは、前記第1用紙搬送路及び前記第2用紙搬送路を上下の方向に分岐し、
前記固定ガイドの先端部は、該固定ガイドの上流に設けた搬送ローラ対のニップ位置より下方に設ける請求項3に記載のカール矯正装置。
【請求項5】
前記分岐位置の上流に搬送ローラ対を複数備えた請求項2に記載のカール矯正装置。
【請求項6】
用紙に転写された画像を定着装置にて定着させる画像形成装置において、
請求項1〜5のいずれかに記載のカール矯正装置を前記定着装置の下流側に設ける画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−280476(P2010−280476A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135169(P2009−135169)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】