説明

ガイド装置

【課題】ガイドローラーの設置箇所の自由度を大きくし、交換作業を容易に行うことができるガイド装置を提供すること。
【解決手段】圧延機に対して圧延材料を導入または導出するためのガイドローラーを具えるガイド装置において、ガイドローラーは、ガイド装置の本体に設けた収納部に収納配置されるローラー部材と、そのローラー部材を回転可能に支持するローラーシャフトとを予め一体に組付けてなるローラーユニットから構成され、
そのローラーユニットをガイド装置の本体に対してワンタッチで着脱させるように構成されたローラー保持ユニット機構が、予めローラーユニットと一体に組付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧延機の入側または出側に配設され、圧延材料を所定方向に案内かつ搬送するためのガイドローラーを具えるガイド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のガイド装置、たとえば、サイドガイド装置は、ガイド面が圧延ラインと平行にして、かつ、圧延ラインに対して直角方向に開閉可能に設けられた左右1対のサイドガイドを有し、それらの左右のサイドガイドのそれぞれには、圧延材料からの荷重をそれぞれの出側と入り側、あるいは入側と出側とで受けるようにしたローラー部材、即ち、ガイドローラーが配設されている。
このようなガイドローラーは、ガイド装置本体に様々な方法で取り付けられるが、圧延する製品の種類及びそのサイズの違いにより、形状が異なるガイドローラーを交換しながら用いることが多い。即ち、圧延する製品の種類及びそのサイズの違いにより、ガイドローラーを交換することが頻繁に行なわれることが通常である。
【0003】
例えば、ガイドローラー1は、図6に示すように、ガイド装置、例えばサイドガイド2の本体に垂直方向に設けた貫通穴に挿入・固定されたローラーシャフト3に対してころ軸受け4を介して回転可能に取付られると共に、そのガイドローラー1の下端および上端に配設した下部スラストワッシャー5および上部スラストワッシャー6によって軸方向への移動を抑制された状態で、ローラーシャフト3が挿通される貫通穴に交差するような断面コ字型の収容部2A内に収納された構成をとる場合が多い。このような構成では、下部スラストワッシャー5は、ガイド装置本体2に設けた貫通穴の下部に嵌合固定される下部ブッシュ7によって押さえられ、一方、上部スラストワッシャー6は、ガイド装置本体2に設けた貫通穴の上部に嵌合固定される上部ブッシュ8によって押さえられている。上部ブッシュ8は、その下端が上部スラストワッシャー6に接触していると共に、その上端がローラーシャフト3の上端9に接触するように構成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような従来技術にかかるガイドローラー1を交換する際には、ガイド装置を圧延機に取り付けたままのオンラインで交換する場合と、ガイド装置を圧延機から取り外し、オフラインで交換する場合がある。
例えば、ガイドローラー1をオンラインで交換するには、図6に示すように、ローラーシャフト3をガイド装置の本体2に設けた貫通穴から垂直上方に引き抜いた後、ガイドローラー1をローラーシャフト3と直角な方向、即ち、水平方向に取り外すことによって行われる。この際、ころ軸受4やガイドローラー1の下側に挿入されている下部スラストワッシャー5の落下を阻止するために、ガイドローラー1の下面を支えながら作業を行う必要がある。また、ガイドローラー1の取り外しに際して、ころ軸受4が落下しないように、それに与圧を与えるような構造を採用することもできるが、作業性が非常に悪くなるため、そのような構造は採用されていないのが通常である。
【0005】
さらに、このようなオンラインでの交換では、ガイド装置の取り外し等の作業がないので作業時間をある程度短縮することができるが、ガイド装置自体は圧延機のフレームの中に組み込まれるので、スペースと作業性の観点からガイドローラーの設置位置や取り付け方法に大きな制限が生じるという問題がある。
【0006】
例えば、平鋼のように製品の幅と厚みの種類が多い場合は、サイズ替えの時間を短縮するために、製品の幅方向を拘束するガイドローラーが設置されたサイドガイドを製品幅方向に可変式とし、製品幅の多様性に対応しているのが現状である。
しかしながら、ある種の平鋼の場合は、コバの直角度等を出すために使用されるガイド装置があり、幅方向の可変式と同時に圧延する製品の厚みに応じた形状のガイドローラーを使用する必要があるため、製品の厚みに応じてガイドローラーを交換することが不可欠である。この場合、ガイドローラーの交換は、通常、稼働率を上げるためオンラインで行なわれるが、ガイドローラーの設置場所は、作業性等の観点から、サイドガイドにおける、圧延機のフレームから外れた箇所となる。しかしながら、このような位置は、圧延ロールからも遠く離れ、サイドガイドの固定場所(クランプ位置の範囲内)からも外れた位置になるので、ガイドそのものの機能を十分に発揮することができなくなると共に、強度的な問題が発生することにもなる。
【0007】
一般的に、ガイドローラー自体を駆動することなく、圧延ロールが材料を押し出す推力だけで圧延材料がガイドローラー間を通過しなければならないので、圧延材料が圧延ロールから外れた場合はその惰性だけで通過することになる。従って、ガイドローラーの設置位置が圧延ロールから離れれば離れるほどガイドローラーの拘束力を小さくしなければ、圧延材料がガイドローラー間を通過しずらくなるという矛盾が生じる。
【0008】
また、ガイドローラーが、例えば図7に示すように、サイドガイドの先端部(あるいは後端部)に設置されるような場合には、サイドガイドを固定するクランプ位置から外れることになり、サイドガイド自体に高い剛性が要求される。しかしながら、スペース等の問題で寸法に制約があるため、多くの場合、必要な剛性が得られないという問題がある。このような場合には、通常、何らかの補助機構、例えば、図7に示すようなシリンダー等を用いた補助機構が必要となるが、コスト高となるだけでなく、作業性も悪くなるという問題がある。
【0009】
一方、ガイドローラーをオフラインで交換する場合は、ガイドローラーの設置位置の束縛が少なくなるが、圧延機からガイド装置を取り外す作業や、ガイドローラーの交換作業、圧延機にガイド装置を取り付ける作業等が必要であるために、作業時間がかかり、稼働率が減少するという問題がある。
【0010】
また、ガイドローラーを交換する際に、ガイド装置の一部を分解しなければならない場合もある。この様な作業時間を短縮するために、予備のガイド装置を用意し、予め次に生産する製品のサイズに応じたガイドローラーを取り付けておく場合もあるが、多大な設備投資を必要とし、コスト高になるという問題もある。
【0011】
そこで、本発明は、従来技術が抱える上記問題点を解消して、ガイドローラーの設置箇所の自由度を大幅に大きくすることができると共に、ガイドローラーの交換作業を極めて容易に行うことができるガイド装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記目的を実現するために鋭意研究を重ねた結果、ガイドローラーを、ローラー部材と、そのローラー部材を回転可能に支持するローラーシャフトとを予め一体に組付けてなるローラーユニットから構成し、そのローラーユニットをガイド装置の本体に対してワンタッチで着脱させることができるようなローラーユニット保持機構を有してなるガイド装置を創出した。
【0013】
すなわち、本発明は、圧延機に対して圧延材料を導入または導出するためのガイドローラーを具えるガイド装置において、
前記ガイドローラーは、前記ガイド装置の本体に設けた収納部に収納配置されるローラー部材と、そのローラー部材を回転可能に支持するローラーシャフトとを予め一体に組付けてなるローラーユニットから構成され、
そのローラーユニットを前記ガイド装置の本体に対してワンタッチで着脱させるように構成されたローラー保持ユニット機構が、予めローラーユニットと一体に組付けられていることを特徴とするガイド装置である。
【0014】
本発明において、前記ガイドローラーは、形状の異なる複数のローラー部材と、それらの各ローラー部材を回転可能に支持する複数のローラーシャフトとを、予め一体に組付けてなる複数の交換可能なローラーユニットから構成され、それらの各ローラーユニットを前記ガイド装置の本体に対してワンタッチで着脱させるように構成された共通のローラー保持ユニット機構を、予め各ローラーユニットに対して一体に組付けておくことができる。
【0015】
本発明において、ローラーユニット保持機構は、ローラー部材に対応するローラーシャフトの一端に設けた第1のねじ部と、その第1のねじ部に螺合する第2のねじ部を有するセッティングシャフトと、そのセッティングシャフトの一端に固定され、かつセッティングシャフトに回転を与えるように形成された回転操作部と、セッティングシャフトに対して回転可能に支持され、かつセッティングシャフトの軸方向への移動によって、ガイド装置の本体に係合するような係合部を有するセッティングバーとから構成することができる。
【0016】
また、本発明にかかるガイド装置の本体には、セッティングバーの係合部に係合するような突出壁部を形成することができ、その突出壁部は、少なくともセッティングバーのセッティングシャフトの軸方向への移動を制限するような水平壁から構成することができる、また、水平壁に加えて、セッティングバーのセッティングシャフトの軸周りの回転を制限するような垂直壁から構成することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ローラー部材と、ローラー部材を回転可能に支持するローラーシャフトとを予め一体に組付けることによって、ガイドローラーをユニット化し、そのユニット化されたローラー部材をガイド装置の本体に対してワンタッチで着脱させるように構成したローラーユニット保持機構をローラーユニットに対して予め一体的に設けたので、ガイドローラーを交換する際の労力が軽減されると共に、交換時間が短縮化される。したがって、ガイドローラーの交換の作業性を大幅に向上させることができる。
【0018】
また、ガイドローラーの交換作業、即ち、ガイドローラーの取付けおよび取り外しに際して、従来技術のように、ローラーシャフトに対して直角な方向に移動させる必要がなくなるので、周辺機材の設置による制限を受けることなく、任意の方向からガイドローラーをガイド装置の本体に取付けまたは取り外しをすることができる。
したがって、ガイドローラーを設置する箇所を設定する上での自由度を極めて大きくすることができるので、ガイドローラーを圧延ロールに対して極限まで近づけた箇所に設置することができ、ガイドローラーとしての機能を十分に発揮しつつ、高い剛性を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明にかかるガイド装置の実施形態について、添付図面を参照にして詳細に説明する。
図1は、本発明のガイド装置を圧延機の出側に配置されるサイドガイド装置に適用した場合の一実施の形態を示す平面図、図2は、同じく側面図、図3は、図2における要部拡大断面図、図4(a)〜(b)は、ユニット化されたガイドローラーおよびそれに一体的に組付けられた共通のローラーユニット保持機構の一形態を示す図、図5(a)〜(b)は、図4(a)〜(b)に示されるローラー部材と異なる形状を有するローラー部材を具えるガイドローラーおよびそれに一体的に組付けられた共通のローラーユニット保持機構の他の形態を示す図である。
【0020】
本発明にかかるガイド装置の一実施の形態は、圧延機の上下に対をなす圧延ロール11間から送り出される圧延材料を案内する一対のガイド部材、即ち、サイドガイド10、12を有し、これらのサイドガイド10、12は、圧延方向(図において矢印Xで示す)に沿って延在した細長の形態に形成されている。各サイドガイド10、12は、圧延材料を挟んだ状態で案内できるように適切な数のガイドローラー14をそれぞれ有して、ベース18上を圧延方向と直交する方向に移動可能に取付けられている。
【0021】
上記サイドガイド10、12は、ベース18上を圧延方向にほぼ直交する方向に移動可能に配設され、これらガイド部材間の距離、すなわちガイド幅は、例えば、ベース18に対して回転可能に支持された2つの調整ねじ部材(図示を省略)を、ベース18に取付けた駆動手段によって同期回転させるによって所定の幅まで変化させると共に、図2に示されるように、圧延材料の移動方向に対して前方に位置する個所にクランプ手段15を配設し、そのクランプ手段15を作動させることによって、ガイド部材間の幅が所定値に保持されるように構成される。
【0022】
この実施形態において、各サイドガイド10、12にそれぞれ設けられるガイドローラー14は、各サイドガイド本体の最も圧延ロール11側に位置する箇所にほぼ垂直方向に延設された収容部22内に収納配置されるように形成されている。即ち、各ガイドローラー14は、前記収容部22内に収納され得るような形状のローラー部材30と、そのローラー部材30を回転可能に支持するローラーシャフト32とが予め一体に組付けられてなるローラーユニット34から構成され、さらに、後述するような、ローラーユニット34を各サイドガイド10、12の本体に対してワンタッチで着脱させるように形成されたローラーユニット保持機構70が、ローラーユニット34に対して予め一体に組付けてられている。
【0023】
本発明におけるガイドローラー14は、形状の異なる複数のローラー部材30と、それらの各ローラー部材30を回転可能に支持する複数のローラーシャフト32とを、それぞれ予め一体に組付けてなる複数の交換可能なローラーユニット34から構成され、それらの各ローラーユニット34をサイドガイド本体に対してワンタッチで着脱させるように構成された共通のローラー保持ユニット機構70を、交換可能な各ローラーユニット34に対して予め一体に組付けておく。
【0024】
例えば、図4および図5には、形状の異なる2種類のローラー部材30aおよび30bと、それらの各ローラー部材を回転可能に支持するローラーシャフト32aおよび32bとからなる交換可能なローラーユニット34aおよび34bがそれぞれ示され、これらの各ローラーユニット34aおよび34bには、共通のローラーユニット保持機構70が一体に組付けられている。
なお、使用の際には、圧延材料の種類(形状)に応じて、いずれか一種類のローラーユニット34と共通のローラーユニット保持機構70とが一体に組付けられてなるガイドローラー14が選択的に用いられる。
【0025】
上記ローラーユニット34を構成するローラー部材30は、図3に示すように、ローラーシャフト32に対してころ軸受36を介して回転可能に取付られると共に、ローラー部材30の下端および上端に配設した下部スラストワッシャー38および上部スラストワッシャー40によって、ローラーシャフト32の軸方向への移動を抑制されている。さらに、下部スラストワッシャー38は、サイドガイド本体の収納部22の底部に設けた穴42に嵌合固定される下部偏芯ブッシュ44によって押さえられている。
【0026】
一方、上部スラストワッシャー40は、取付板48の下面側に接触する上部偏芯ブッシュ46によって押さえられている。この取付け板48は、収納部22の上部開口に合わせた形状を有し、かつその開口の内側周縁部に接触し、受けられている。
また、前記下部偏芯ブッシュ44は、その一端が下部スラストワッシャー38に接触していると共に、その他端がローラーシャフト32の下端に形成した雄ねじ部に遊嵌された座金52に接触している。この座金52は、雄ねじ部に螺合するナット部材(六角ナット)54の締付け力を調整することによって、ローラー部材30を支持する軸受けに適度な与圧をかけるように構成されている。したがって、ローラー部材30にかかる荷重は、上部偏心ブッシュ46、取付板48および下部偏心ブッシュ44を介してサイドガイド本体に伝えられるようになっている。
【0027】
なお、下部および上部の偏芯ブッシュ44および46は、ローラー部材30が摩耗した場合に、そのローラー部材30の外径を切削し、再度使用する際のサイドガイドからのローラー部材30の出代を一定にするために設けられる。
【0028】
前記取付板48の上面から突出するローラーシャフト32には、ほぼ矩形の偏芯レバー56が回動可能に取付けられると共に、その偏芯レバー56の回動中心から離間した箇所には位置決めピン58を挿通させるピン穴59が形成されている。
【0029】
本発明においては、上述したような各ローラーユニット34を、左右のサイドガイド10、12に対してそれぞれワンタッチで着脱させることができるように構成された共通のローラーユニット保持機構70が設けられている。
【0030】
このローラーユニット保持機構70は、ローラーシャフト32の先端(上端)に形成した雄ねじ部に螺合する雌ねじ部72を有するセッティングシャフト74と、そのセッティングシャフト74の上端に固定され、かつセッティングシャフト74を回転させるように形成された操作部を有するハンドル76と、セッティングシャフト74に回動可能に支持され、かつ、セッティングシャフト74の回転による軸方向への移動によって、サイドガイドの本体に係合するような係合部78を有するセッティングバー80とから構成される。
【0031】
前記セッティングバー80は、その中央部がほぼ水平面に形成されると共に、その中央部においてセッティングシャフト74が貫通する穴が形成され、その穴を貫通するセッティングシャフト74には座金82が遊嵌され、その座金82は、セッティングシャフト74の上部に形成した雄ねじ部に螺合しているナット部材(六角ナット)86によってセッティングシャフト74に対して固定されている。この状態では、セッティングバー80の上面と座金82との間には、若干の隙間が形成されているので、セッティングバー80はそのような隙間の範囲内でしか上下方向の移動ができないように制限され、かつ、セッティングシャフト74の周りに回動可能に支持されている。
【0032】
また、セッティングシャフト74を回転させる操作部を有するハンドル76は、例えば、その中央部にセッティングシャフト74が挿通される穴が形成され、ハンドル76を、例えば、平行キーによってセッティングシャフト74に固定すると共に、ハンドル76の中央部でセッティングシャフト74を覆って配設したハンドルキャップ98からセッティングシャフト74の先端部にボルト締めすることによって固定されている。
【0033】
さらに、前記セッティングバー80は、その中央部から両端部に向かって傾斜すると共に、その両端部はほぼ水平面に形成され、その水平面がサイドガイドの本体に係合するような一対の係合部78を形成するように構成される。
【0034】
一方、各サイドガイド10、12には、セッティングバー80の一対の係合部78がそれぞれ係合するような一対の突出壁部88が形成される。これらの各突出壁部88は、少なくともセッティングシャフト74の軸方向へのセッティングバー80の移動を制限するように水平方向に延設された水平壁90の形態に形成され、さらに、セッティングバー80の軸周りの回転を制限するようにほぼ垂直方向に延設された垂直壁92を有して形成されている。
【0035】
なお、前記セッティングバー80の傾斜部分には中央部からほぼ等距離の箇所に一対のアイボルト94が固定され、ローラーユニット34とローラーユニット保持機構70とが一体に組み付けられたものを、ワイヤやチェーン等を用いて容易に移動できるようになっている。
【0036】
上述したような共通のローラーユニット保持機構70を各ローラーユニット34に対して組み付けるには、ハンドル76を手動により、例えば左回りに回転させて、セッティングシャフト74をローラーシャフト32の先端に形成した雄ねじ部60に螺合させることによって行われる。セッティングバー80は、セッティングシャフト74が最大下降位置まで雄ねじ部60に螺合した状態では、その一対の係合部78を、各サイドガイド10、12に形成した一対の突出壁部88の水平壁90に接触しないような位置(組付け位置)に予め回動させておくことが必要である。
【0037】
そして、一体化されたローラーユニット34とローラーユニット保持機構70とを、左右のサイドガイド10、12に形成した収納部22に収納した後に、ハンドル76の手動操作部を、例えば右回りに回転させていくと、セッティングシャフト74が下降位置から回転しながら上昇すると共に、セッティングバー80はその自重によるセッティングシャフト74との摩擦力により回転しながら上昇する。そうすると、セッティングバー80の一対の係合部78が、まず、各サイドガイド10、12に設けた垂直壁部92に接触し、その回転が垂直壁92により阻止されると共に、水平壁90に対向するような位置(係合位置)に保持された状態となる。
このような状態から、更にハンドル76を右回りに回転させていくと、セッティングシャフト74は、更に回転しながら上昇し、一方、セッティングバー80もその回転を垂直壁部92によって阻止された状態で上昇するので、セッティングバー80の一対の係合部78が各サイドガイド10、12の一対の突出壁部88に係合するようになる。これによって、取付板48が反力によって下方に押え付けられるので、収納部22の内側周縁部にしっかりと固定される。
【0038】
したがって、ローラーユニット34とローラーユニット保持機構70とを予め一体化したものを、ローラーユニット保持機構70のアイボルト94にワイヤまたはチェーン等を通し、クレーン等の移動手段を用いて、所定の箇所からサイドガイド本体の収容部22の真上位置まで移動させると共に、その収容部22内に収納させた後、ローラーユニット保持機構70を構成するハンドル76の操作部を所定の方向に回転させるだけで、サイドガイド本体に対してしっかりと固定することができる、即ち、ワンタッチで装着することができる。
【0039】
また、ガイドローラーを交換する場合には、ハンドル76の操作部を反対方向に回転させるだけで、セッティングバー80の一対の係合部78と各サイドガイド10、12の一対の突出壁部88の水平壁90との係合を解除することができるので、ローラーユニット34とローラーユニット保持機構70とを予め一体化したものを、サイドガイド本体の収容部22から容易に取り外すことができる。
【0040】
以上説明したように、本発明にかかるサイドガイド装置によれば、ガイドローラーを交換する際の労力を軽減させ、交換時間を短縮することができるので、ガイドローラーを交換する際の作業性を大幅に向上させることができる。また、ガイドローラーを、従来技術のように、ローラーシャフトに対して直角な方向に移動させる必要がなくなるので、周辺機材の設置による制限を受けることなく、任意の方向からガイドローラーの取り外しまたは取付けが可能となる。したがって、ガイドローラーを設置する箇所を設定する上での自由度が極めて大きくなるので、ガイドローラーを圧延ロールに対して極限まで近づけた箇所に設置することができ、ガイドローラーとしての機能を十分に発揮しつつ、高い剛性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明のガイド装置を圧延機の出側に配置されるサイドガイド装置に適用した場合の一実施の形態を示す平面図である。
【図2】同じく側面図である。
【図3】図2における要部拡大断面図である。
【図4】(a)〜(b)は、ユニット化されたガイドローラーおよび各ローラー部材に一体的に設けたローラーユニット保持機構の一形態を示す図である。
【図5】(a)〜(b)は、ユニット化されたガイドローラーおよび各ローラー部材に一体的に設けたローラーユニット保持機構の他の形態を示す図である。
【図6】従来技術にかかるガイドローラーを示す断面図である。
【図7】ガイドローラーをサイドガイドの後端部に設けた従来技術にかかるサイドガイド装置を示す平面図である。
【符号の説明】
【0042】
10、12 サイドガイド
14 ガイドローラー
22 収納部
30a、30b ローラー部材
32a、32b ローラーシャフト
34a、34b ローラーユニット
36 ころ軸受
38 下部スラストワッシャー
40 上部スラストワッシャー
44 下部偏芯ブッシュ
46 上部偏芯ブッシュ
48 取付板
52 座金
54 ナット部材(六角ナット)
56 偏芯レバー
58 位置決めピン
59 ピン穴
70 ローラーユニット保持機構
72 雌ねじ部72
74 セッティングシャフト
76 ハンドル
78 係合部
80 セッティングバー
86 ナット部材(六角ナット)
88 一対の突出壁部
90 水平壁
94 アイボルト
98 ハンドルキャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧延機に対して圧延材料を導入または導出するためのガイドローラーを具えるガイド装置において、
前記ガイドローラーは、前記ガイド装置の本体に設けた収納部に収納配置されるローラー部材と、そのローラー部材を回転可能に支持するローラーシャフトとを予め一体に組付けてなるローラーユニットから構成され、
そのローラーユニットを前記ガイド装置の本体に対してワンタッチで着脱させるように構成されたローラー保持ユニット機構が、予めローラーユニットと一体に組付けられていることを特徴とするガイド装置。
【請求項2】
前記ガイドローラーは、形状の異なる複数のローラー部材と、それらの各ローラー部材を回転可能に支持する複数のローラーシャフトとを、予め一体に組付けてなる複数の交換可能なローラーユニットから構成され、
それらの各ローラーユニットを前記ガイド装置の本体に対してワンタッチで着脱させるように構成された共通のローラー保持ユニット機構が、予め各ローラーユニットと一体に組付けられていることを特徴とする請求項1に記載のガイド装置。
【請求項3】
前記ローラー保持機構は、ローラー部材に対応するローラーシャフトの一端に設けた第1のねじ部と、その第1のねじ部に螺合する第2のねじ部を有するセッティングシャフトと、そのセッティングシャフトの一端に固定され、かつ、セッティングシャフトに回転を与えるように形成された回転操作部と、前記セッティングシャフトに対して回転可能に支持され、かつ前記セッティングシャフトの軸方向への移動によって、前記ガイド装置の本体に係合するような係合部を有するセッティングバーとから構成されることを特徴とする請求項1または2に記載のガイド装置。
【請求項4】
前記ガイド装置の本体には、前記セッティングバーの係合部に係合するような突出壁部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のガイド装置。
【請求項5】
前記突出壁部は、少なくとも、前記セッティングバーの前記セッティングシャフトの軸方向への移動を制限するような水平壁を有することを特徴とする請求項4に記載のガイド装置。
【請求項6】
前記突出壁部は、前記セッティングバーの前記セッティングシャフトの軸周りの回転を制限するような垂直壁を有することを特徴とする請求項5に記載のガイド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−275907(P2007−275907A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−102217(P2006−102217)
【出願日】平成18年4月3日(2006.4.3)
【出願人】(000230227)日本ミルガイド株式会社 (1)
【出願人】(000110251)トピー工業株式会社 (255)