ガスコンロ
【課題】複数の加熱部にて消費するガス消費量の総和が設定最大量を超えないようにしながらも、自動調理を適正通り行うことができるガスコンロを提供する。
【解決手段】複数の加熱部の燃焼を制御する運転制御手段Hが、複数の点消火指令手段Uの指令情報に基づいて、複数の加熱部についての点火及び消火を行う点消火処理、複数の加熱状態設定手段Uの目標火力設定情報に基づいて、複数の加熱部についての燃料供給量調節手段を制御する火力調節処理、自動調理設定手段D、Eにて設定された自動調理情報に基づいて、自動調理用の加熱部1A、1B、10の燃料供給量調節手段を制御する自動調理処理、及び、複数の加熱部にて消費するガス消費量の総和が設定最大量を越えないように、複数の加熱部のうちの自動調理用の加熱部1A、1B、10とは異なる消費制限用の加熱部1Dについてのガス消費量を制限する消費量制限処理を実行する。
【解決手段】複数の加熱部の燃焼を制御する運転制御手段Hが、複数の点消火指令手段Uの指令情報に基づいて、複数の加熱部についての点火及び消火を行う点消火処理、複数の加熱状態設定手段Uの目標火力設定情報に基づいて、複数の加熱部についての燃料供給量調節手段を制御する火力調節処理、自動調理設定手段D、Eにて設定された自動調理情報に基づいて、自動調理用の加熱部1A、1B、10の燃料供給量調節手段を制御する自動調理処理、及び、複数の加熱部にて消費するガス消費量の総和が設定最大量を越えないように、複数の加熱部のうちの自動調理用の加熱部1A、1B、10とは異なる消費制限用の加熱部1Dについてのガス消費量を制限する消費量制限処理を実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス燃焼式の複数の加熱部の夫々に対して点火及び消火を指令し、且つ、前記複数の加熱部の夫々についての目標火力を設定する手動操作式の複数の加熱状態設定手段、前記複数の加熱部のうちの自動調理を行うものとして定められた自動調理用の加熱部に対して自動調理情報を設定する手動操作式の自動調理設定手段、及び、前記複数の加熱部の燃焼を制御する運転制御手段が設けられ、
前記運転制御手段が、前記複数の加熱状態設定手段の点火及び消火の指令情報に基づいて、前記複数の加熱部についての点火及び消火を行う点消火処理、前記複数の加熱状態設定手段の目標火力の設定情報に基づいて、前記複数の加熱部についての燃料供給量調節手段を制御する火力調節処理、及び、前記自動調理設定手段にて設定された自動調理情報に基づいて、前記自動調理用の加熱部の前記燃料供給量調節手段を制御する自動調理処理を実行するように構成されたガスコンロに関する。
【背景技術】
【0002】
かかるガスコンロは、複数の加熱部のうちで、使用するものを選択して点火及び消火することができ、また、その選択した加熱部に対する火力を必要とする目標火力に調節でき、さらには、自動調理用の加熱部に対して自動調理情報を設定することにより、自動調理用の加熱部の火力を自動的に調節しながら自動調理を行わせることができる。
【0003】
複数の加熱部としては、複数のコンロバーナに加えて、一般には、グリルバーナを備えさせることになる。
ちなみに、複数のコンロバーナを備えさせるにあたり、一般には、その最大火力(最大ガス消費量)が異なる複数種類のコンロバーナを備えさせることになる。
【0004】
そして、コンロバーナを用いる自動調理としては、変更設定された設定時間が経過すると自動的に消火するタイマ運転処理、加熱される鍋等の被加熱物の温度を検出する被加熱物検出センサにて検出される温度が変更設定される目標温度に維持するように火力を高火力状態と低火力状態とに繰り返し切換える揚げもの運転処理、被加熱物検出センサにて検出される温度が沸騰を検出すると消火する湯わかし運転処理、及び、運転開始からの時間経過に伴って火力を設定パターンにて変更させる炊飯運転処理等がある。
また、グリルバーナを用いる自動調理としては、変更設定された設定時間が経過すると自動的に消火するグリル用タイマ運転処理がある。
【0005】
尚、湯わかし運転処理としては、一般には、沸騰検出するまでは最大火力(最大ガス消費量)で加熱した後、沸騰検出後に直ちに消火するモード(沸騰消火モード)と、加熱開始から沸騰が検出するまでは最大火力状態(最大ガス消費量)で加熱し、沸騰が検出されたのちは、小火力状態(少ガス消費量)にして、設定時間(5分間)が経過すると消火するモード(5分保温モード)とを備えさせて、これらモードを選択できるようにすることが多い。
【0006】
このようなガスコンロにおいては、複数の加熱部の全てを最大火力(最大ガス消費量)にて使用すると、燃焼排ガス量が多くなって、このガスコンロが設置されている設置箇所の空気環境が悪化する虞がある。つまり、ガスコンロが設置されることになる一般家庭においては、一般には、大掛かりな排気設備(換気設備)を備えない場合が多いが、このような場合において、燃焼排ガス量が多くなると、空気環境が悪化する虞がある。
特に、近年では、使用者の要求に応じて各加熱部の最大火力(最大ガス消費量)を大きくする傾向にあるため、上記の問題が顕著になる傾向にある。
【0007】
そこで、複数の加熱部のガス消費量の総和が設定最大量を超えないようにするために、最後に燃焼させる加熱部のガス消費量(火力)を制限することが考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
ちなみに、この特許文献1においては、複数のコンロバーナに対する燃焼用空気の供給量が不足することがないようにすることを目的として、複数の加熱部のガス消費量の総和が設定最大量を超えないようにすることが記載されているが、このように複数の加熱部のガス消費量の総和が設定最大量を超えないようにすることにより、大掛かりな排気設備を設置していない一般家庭において、燃焼排ガス量が過大になることを回避できるものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−317064号公報(第6頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のガスコンロにおいては、複数の加熱部のガス消費量の総和が設定最大量を超えないようにするにあたり、最後に燃焼させる加熱部のガス消費量(火力)を制限するものであるが、この場合、最後に燃焼させる加熱部が、自動調理用の加熱部となり、その自動調理用の加熱部のガス消費量(火力)が制限される場合がある。
しかしながら、自動調理用の加熱部のガス消費量(火力)が制限されると、自動調理を適正通り行えない虞があり、改善が望まれるものであった。
【0010】
つまり、自動調理として、例えば、沸騰検出するまでは最大火力(最大ガス消費量)で加熱した後、沸騰検出後に直ちに消火する湯わかし運転処理を行う場合において、本来は最大火力にて加熱すべきところが、最大火力よりも小さな火力に制限されることになるため、沸騰が検出するまでの時間が、通常の時間よりも長くなり、使用者に不便を感じさせるものとなる虞がある。
また、自動調理として、揚げもの運転処理を行う場合において、火力(ガス消費量)が制限されると、被加熱物(てんぷら油)を迅速に昇温させることができないばかりか、十分な高温に昇温させることができないものとなって、所望通りの調理を行えないものとなる。
【0011】
このように自動調理用の加熱部のガス消費量(火力)が制限されると、自動調理を適正通り行えない虞があるにも拘わらず、従来では、自動調理用の加熱部のガス消費量(火力)が制限される虞があるため、改善が望まれるものであった。
【0012】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、複数の加熱部にて消費するガス消費量の総和が設定最大量を超えないようにしながらも、自動調理を適正通り行うことができるガスコンロを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のガスコンロは、ガス燃焼式の複数の加熱部の夫々に対して点火及び消火を指令し、且つ、前記複数の加熱部の夫々についての目標火力を設定する手動操作式の複数の加熱状態設定手段、
前記複数の加熱部のうちの自動調理を行うものとして定められた自動調理用の加熱部に対して自動調理情報を設定する手動操作式の自動調理設定手段、及び、
前記複数の加熱部の燃焼を制御する運転制御手段が設けられ、
前記運転制御手段が、
前記複数の加熱状態設定手段の点火及び消火の指令情報に基づいて、前記複数の加熱部についての点火及び消火を行う点消火処理、
前記複数の加熱状態設定手段の目標火力の設定情報に基づいて、前記複数の加熱部についての燃料供給量調節手段を制御する火力調節処理、及び、
前記自動調理設定手段にて設定された自動調理情報に基づいて、前記自動調理用の加熱部の前記燃料供給量調節手段を制御する自動調理処理を実行するように構成されたものであって、その第1特徴構成は、
前記運転制御手段が、前記複数の加熱部にて消費するガス消費量の総和が設定最大量を越えないように、前記複数の加熱部のうちの前記自動調理用の加熱部とは異なる消費制限用の加熱部についてのガス消費量を制限する消費量制限処理を実行するように構成されている点を特徴とする。
【0014】
すなわち、複数の加熱部にて消費するガス消費量の総和が設定最大量を超えないようにするために、運転制御手段が、複数の加熱部のうちで、自動調理を行うものとして定められた自動調理用の加熱部とは異なる消費制限用の加熱部について、そのガス消費量を制限する消費量制限処理を実行することになる。
【0015】
このように自動調理用の加熱部とは異なる消費制限用の加熱部のガス消費量を制限することにより、複数の加熱部にて消費するガス消費量の総和が設定最大量を超えないようにするものであるから、自動調理用の加熱部に対するガス消費量が制限されることがないため、自動調理用の加熱部を用いた自動調理を適正通り良好に行えるものとなる。
【0016】
要するに、本発明の第1特徴構成によれば、複数の加熱部にて消費するガス消費量の総和が設定最大量を超えないようにしながらも、自動調理を適正通り行うことができるガスコンロを提供できる。
【0017】
本発明の第2特徴構成は、上記した第1特徴構成に加えて、
前記運転制御手段が、前記消費量制限処理として、
前記複数の加熱部のうちの前記消費制限用の加熱部を除いた消費非制限用の加熱部についてのガス消費量の総和を求めて、前記消費制限用の加熱部についてのガス消費量を、前記設定最大量と前記消費非制限用の加熱部ついてのガス消費量の総和との差に相当するガス消費量に制限するように構成されている点を特徴とする。
【0018】
すなわち、運転制御手段は、複数の加熱部のうちの消費制限用の加熱部を除いた消費非制限用の加熱部についてのガス消費量の総和を求めて、消費制限用の加熱部についてのガス消費量を、設定最大量と消費非制限用の加熱部ついてのガス消費量の総和との差に相当するガス消費量に制限する形態で、消費量制限処理を行うことになる。
【0019】
そして、設定最大量と消費非制限用の加熱部ついてのガス消費量の総和との差に相当する消費量は、複数の加熱部にて消費するガス消費量の総和が設定最大量を超えないようにしながらも、消費制限用の加熱部に消費することが可能な最大量であるから、消費制限用の加熱部のガス消費量を極力大きくすることができるものとなり、消費制限用の加熱部の使用勝手が悪くなるのを極力抑制することができる。
【0020】
つまり、複数の加熱部にて消費するガス消費量の総和が設定最大量を超えないようにするにあたり、複数の加熱部が同時に使用されている場合には、複数の加熱部にて消費するガス消費量の総和が設定最大量を超えるおそれがあるものとして、消費制限用の加熱部のガス消費量を予め設定した制限用ガス消費量に画一的に制限することが考えられる。
尚、消費制限用の加熱部について設定する制限用ガス消費量は、消費非制限用の加熱部の全てを最大ガス消費量にて使用した場合において、消費制限用の加熱部にて消費可能な最大ガス消費量を設定することになる。
【0021】
このように、複数の加熱部が同時に使用されているときの消費制限用の加熱部のガス消費量を予め設定した制限用ガス消費量に画一的に制限する場合には、消費制限用の加熱部のガス消費量を制限用ガス消費量よりも増加させても、複数の加熱部にて消費するガス消費量の総和が設定最大量を超えないようにすることができるときにも、消費制限用の加熱部のガス消費量を予め設定した制限用ガス消費量に制限するものとなり、消費制限用の加熱部の使用勝手が悪くなる不都合がある。
【0022】
要するに、本発明の第2特徴構成によれば、上記した第1特徴構成による作用効果に加えて、消費制限用の加熱部の使用勝手が悪くなるのを極力抑制できるガスコンロを提供できる。
【0023】
本発明の第3特徴構成は、上記した第2特徴構成に加えて、
前記運転制御手段が、
前記自動調理設定手段にて設定される複数種の自動調理のうちの少なくともひとつに対する前記自動調理処理として、前記自動調理用の加熱部に対する火力を高火力状態と低火力状態とに繰り返して切換えるように、前記燃料供給量調節手段を制御する火力繰り返し変更処理を行うように構成され、且つ、
前記消費量制限処理おいて、前記自動調理処理として前記火力繰り返し変更処理を行う場合における前記自動調理用の加熱部のガス消費量を、前記高火力状態に対応するガス消費量とする形態で、前記消費非制限用の加熱部についてのガス消費量の総和を求めるように構成されている点を特徴とする。
【0024】
すなわち、自動調理処理として、自動調理用の加熱部に対する火力を高火力状態と低火力状態とに繰り返して切換えるように、燃料供給量調節手段を制御する火力繰り返し変更処理を行う場合においては、運転制御手段は、自動調理処理を実行中の自動調理用の加熱部のガス消費量を、高火力状態に対応するガス消費量とする形態で、前記消費非制限用の加熱部についてのガス消費量の総和を求めて、消費量制限処理を行うことになる。
【0025】
このように、消費量制限処理を行うために消費非制限用の加熱部についてのガス消費量の総和を求めるにあたり、自動調理処理として、火力繰り返し変更処理を行う場合には、自動調理処理を実行中の自動調理用の加熱部のガス消費量を、高火力状態に対応するガス消費量とするものであるから、消費制限用の加熱部について使用できるガス消費量が頻繁に変化することを抑制して、消費制限用の加熱部の使い勝手を向上できる。
【0026】
説明を加えると、自動調理処理が実行されている自動調理用の加熱部の火力が、高火力状態と低火力状態とに切換えられるのに応じて、自動調理処理を実行中の自動調理用の加熱部のガス消費量を、高火力状態に対応するガス消費量と低火力状態に対応するガス消費量とする形態で、消費非制限用の加熱部についてのガス消費量の総和を求めて、消費制限用の加熱部について制限するガス消費量を増減させることが考えられるが、この場合には、消費制限用の加熱部にて使用できるガス消費量(火力)が、自動調理用の加熱部の火力が高火力状態と低火力状態とに切換えられるのに応じて変化して、消費制限用の加熱部が使用し難いものとなる。
【0027】
要するに、本発明の第3特徴構成によれば、上記第2特徴構成による作用効果に加えて、消費制限用の加熱部の使い勝手を向上できるガスコンロを提供できる。
【0028】
本発明の第4特徴構成は、上記した第2特徴構成又は第3特徴構成に加えて、
前記運転制御手段が、
前記消費量制限処理として、前記消費制限用の加熱部の燃焼中において、前記加熱状態設定手段の目標火力設定情報に基づいて前記消費非制限用の加熱部の火力を高火力側に調節したならば前記複数の加熱部のガス消費量の総和が前記設定最大量を超えることなる状態になった場合には、前記消費制限用の加熱部についてのガス消費量を、前記設定最大量と火力を高火力側に調節したと仮定したときの前記消費非制限用の加熱部についてのガス消費量の総和との差に相当する消費量に減少したのちに、前記消費非制限用の加熱部についてのガス消費量を増加させるように構成されている点を特徴とする。
【0029】
すなわち、消費制限用の加熱部の燃焼中において、加熱状態設定手段の目標火力設定情報に基づいて前記消費非制限用の加熱部の火力を高火力側に調節したならば複数の加熱部のガス消費量の総和が設定最大量を超える状態になった場合には、つまり、消費制限用の加熱部の燃焼中において、燃焼停止中の消費非制限用の加熱部の燃焼が開始されて、その加熱部の火力が高火力側に調節されるときや、既に燃焼中の消費非制限用の加熱部の火力が高火力側に調節されるときに、その高火力側への調節を行うと、複数の加熱部のガス消費量の総和が前記設定最大量を超えることになる場合には、先ず、消費制限用の加熱部についてのガス消費量を、設定最大量と火力を高火力側に調節したと仮定したときの消費非制限用の加熱部ついてのガス消費量の総和との差に相当する消費量に減少することが行われる。
そして、消費制限用の加熱部についてのガス消費量を減少することを行ったのちに、消費非制限用の加熱部についてのガス消費量を増加させるが行われる。
【0030】
このように消費制限用の加熱部についてのガス消費量を、設定最大量と火力を高火力側に調節したと仮定したときの消費非制限用の加熱部ついてのガス消費量の総和との差に相当する消費量に減少することを行ったのちに、消費非制限用の加熱部についてのガス消費量を増加させるものであるから、複数の加熱部のガス消費量の総和が設定最大量を超えることが、的確に抑制できるものとなる。
【0031】
つまり、消費制限用の加熱部についてのガス消費量を、設定最大量と火力を高火力側に調節したときの消費非制限用の加熱部ついてのガス消費量の総和との差に相当する消費量に減少することと、消費非制限用の加熱部についてのガス消費量を増加させることとを同時に行うようにすると、一時的に、複数の加熱部のガス消費量の総和が設定最大量を超える事態を生じる虞があるが、このような事態が発生することを的確に抑制できるものとなる。
【0032】
要するに、本発明の第4特徴構成によれば、上記第2特徴構成又は第3特徴構成による作用効果に加えて、複数の加熱部のガス消費量の総和が設定最大量を超えることを的確に抑制できるガスコンロを提供できる。
【0033】
本発明の第5特徴構成は、上記第2〜第4特徴構成のいずれかに加えて、
前記運転制御手段が、
前記消費量制限処理として、前記消費制限用の加熱部についてのガス消費量を、前記加熱状態設定手段にて設定された目標火力に対応するガス消費量よりも減少させているときに、前記消費制限用の加熱部についてのガス消費量を増加させても前記複数の加熱部のガス消費量の総和が前記設定最大量を超えない状態になった場合において、前記消費制限用の加熱部についての前記加熱状態設定手段が火力減少側に操作されたのちに火力増大側に操作されると、その加熱状態設定手段の目標火力設定情報に基づいて、前記消費制限用の加熱部についてのガス消費量を増加させるように構成されている点を特徴とする。
【0034】
すなわち、消費制限用の加熱部についてのガス消費量を、加熱状態設定手段にて設定された目標火力に対応するガス消費量よりも減少させているときに、消費非制限用の加熱部についての火力(ガス消費量)が減少することにより、消費制限用の加熱部についてのガス消費量を増加させても複数の加熱部のガス消費量の総和が設定最大量を超えない状態になった場合においては、消費制限用の加熱部についての加熱状態設定手段が火力減少側に操作されたのちに火力増大側に操作されると、その後、その加熱状態設定手段の目標火力設定情報に基づいて、消費制限用の加熱部についてのガス消費量(火力)が増加されることになる。
【0035】
このように、消費制限用の加熱部についてのガス消費量を、加熱状態設定手段にて設定された目標火力に対応するガス消費量よりも減少させているときに、消費制限用の加熱部についてのガス消費量を増加させても複数の加熱部のガス消費量の総和が設定最大量を超えない状態になった場合において、直ちに、加熱状態設定手段の目標火力設定情報に基づいて、消費制限用の加熱部についてのガス消費量(火力)が増加させずに、費制限用の加熱部についての加熱状態設定手段が火力減少側に操作されたのちに火力増大側に操作されると、その加熱状態設定手段の目標火力設定情報に基づいて、消費制限用の加熱部についてのガス消費量(火力)を増加させるものであるから、消費制限用の加熱部のガス消費量(火力)が、使用者の意図に反して増加する不都合を抑制できるものとなる。
【0036】
つまり、消費制限用の加熱部についてのガス消費量を、加熱状態設定手段にて設定された目標火力に対応するガス消費量よりも減少させているときに、消費制限用の加熱部についてのガス消費量を増加させても複数の加熱部のガス消費量の総和が設定最大量を超えない状態になった場合において、直ちに、加熱状態設定手段の目標火力設定情報に基づいて、消費制限用の加熱部についてのガス消費量(火力)が増加されるようにすると、消費制限用の加熱部についてのガス消費量を制限している間に、加熱状態設定手段が誤操作される等により、加熱状態設定手段が必要とする火力とは異なる目標火力となるように設定されている場合等においては、消費制限用の加熱部のガス消費量(火力)が、使用者の意図に反して増加する不都合を招く虞があるが、このような不都合の発生を抑制できるものとなる。
【0037】
要するに、本発明の第5特徴構成によれば、上記第2〜第4特徴構成による作用効果に加えて、消費制限用の加熱部のガス消費量(火力)が使用者の意図に反して増加する不都合を抑制できるガスコンロを提供できる。
【0038】
本発明の第6特徴構成は、上記第1〜第5特徴構成のいずれかに加えて、
前記消費制限用の加熱部の変更を指令する変更指令手段が設けられ、
前記運転制御手段が、前記変更指令手段の変更指令情報に基づいて、前記複数の加熱部のうちに定める前記消費制限用の加熱部を変更するように構成されている点を特徴とする。
【0039】
すなわち、変更指令手段にて消費制限用の加熱部の変更を指令することにより、運転制御手段が、複数の加熱部のうちに定める消費制限用の加熱部を変更することになる。
このように消費制限用の加熱部を変更できるものであるから、使用者のガスコンロの使用状況に合わせて、複数の加熱部のうちに消費制限用の加熱部を定めることができるものとなり、利便性を向上できる。
【0040】
要するに、本発明の第6特徴構成によれば、上記第1〜第5特徴構成による作用効果に加えて、利便性を向上できるガスコンロを提供できる。
【0041】
本発明の第7特徴構成は、上記第6特徴構成に加えて、
前記運転制御手段は、前記自動調理用の加熱部が前記消費制限用の加熱部に変更された場合には、その自動調理用の加熱部に対する自動調理処理を実行しないように構成されている点を特徴とする。
【0042】
すなわち、自動調理用の加熱部が消費制限用の加熱部に変更された場合には、運転制御手段は、その自動調理用の加熱部に対する自動調理処理を実行しないことになる。
このように、自動調理用の加熱部が消費制限用の加熱部に変更された場合には、その自動調理用の加熱部に対する自動調理処理が行われないものとなるから、その自動調理用の加熱部にて自動調理を行う場合の不都合、つまり、ガス消費量(火力)が制限されることにより、自動調理を適正通り行えない不都合が生じることを回避できる。
【0043】
要するに、本発明の第7特徴構成によれば、上記第6特徴構成による作用効果に加えて、自動調理を適正通り行えない不都合の発生を回避できるガスコンロを提供できる。
【0044】
本発明の第8特徴構成は、上記第1特徴構成〜第7特徴構成のいずれかに加えて、
前記運転制御手段が、前記消費量制限処理を実行する状態と前記消費量制限処理を実行しない状態とに切換え自在に構成されている点を特徴とする。
【0045】
すなわち、運転制御手段を、消費量制限処理を実行する状態と消費量制限処理を実行しない状態とに切換えることができるから、消費量制限処理を必要とするときには、消費量制限処理を実行する状態に切換え、消費量制限処理を必要としないときには、消費量制限処理を実行しない状態に切換えることができる。
【0046】
つまり、ガスコンロの設置箇所が、十分な換気機能を備えているような場合には、消費量制限処理が不要であるから、消費量制限処理を実行しない状態に運転制御手段を切換えることによって、全ての加熱部についてガス消費量を制限することなく使用できるものとなる。
もちろん、ガスコンロの設置箇所が、十分な換気機能を備えていない場合には、消費量制限処理が必要であるから、消費量制限処理を実行する状態に運転制御手段を切換えることによって、ガスコンロを良好に使用できるものとなる。
【0047】
要するに、本発明の第8特徴構成によれば、上記第1特徴構成〜第7特徴構成のいずれかによる作用効果に加えて、ガスコンロの設置箇所に応じて消費量制限処理を実行する状態と消費量制限処理を実行しない状態とを選択できるガスコンロを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】ガスコンロの斜視図
【図2】ガスコンロの側面図
【図3】ガス燃料の流路構成を示す概略図
【図4】コンロバーナを示す縦断側面図
【図5】制御構成を示すブロック図
【図6】調理入力部を示す正面図
【図7】制御作動を示すフローチャート
【図8】制御作動を示すフローチャート
【図9】制御作動を示すフローチャート
【図10】制御作動を示すフローチャート
【図11】制御作動を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0049】
〔実施形態〕
本発明にかかるガス燃焼機器の火力調節装置を、ガス燃焼機器の一例としてのガスコンロに適用した場合の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、例示するガスコンロは、コンロ本体の上面部に備えられる4つのコンロバーナ1A、1B、1C、1D、及び、グリル部Gに備えられるグリルバーナ2(図3参照)を備え、そして、キッチンカウンターに組み込まれるビルトインタイプに構成されている。
本実施形態においては、4つのコンロバーナ1A、1B、1C、1D、及び、グリルバーナ2が、ガス燃焼式の複数の加熱部Bに相当する。
【0050】
4つのコンロバーナ1A〜1Dは、左側に配設される高火力バーナ1A、右側に配設される第1標準バーナ1B、横幅方向の中央の手前側箇所に配設される小火力バーナ1C、及び、横幅方向の中央の奥側箇所に配設される第2標準バーナ1Dから構成されている。
【0051】
ガスコンロの上面は、ガラス製のトッププレート3にて覆われ、ガスコンロの上面の後部側には、グリル部Gの燃焼排ガスを排気するためのグリル排気口4が形成されている。
また、トッププレート3の上部には、4つのコンロバーナ1A〜1Dの夫々にて加熱される鍋等の被加熱物を載置するための五徳5が設けられている。
この五徳5は、ガスコンロの上面を全体を覆う状態で設けられ、かつ、各コンロバーナ1A〜1Dの夫々に対応するコンロ対応部分に分割される状態に形成されている。
【0052】
トッププレート3の手前側箇所には、4つのコンロバーナBに対する操作部Jが設けられ、その操作部Jには、左側から右側に向けて、高火力バーナ1Aに対する高火力用操作具6A、小火力バーナ1Cに対する小火力用操作具6C、第2標準バーナ1Dに対する第2標準用操作具6D、及び、第1標準バーナ1Bに対する第1標準用操作具6Bが配設されている。
尚、以下に記載において、高火力用操作具6A、小火力用操作具1C、第2標準用操作具6D、及び、第1標準用操作具6Bを区別して記載する必要がないときには、単に、操作具6A〜6Dと記載する。
【0053】
各操作具6A〜6Dは、対応するコンロバーナ1A〜1Dに対して点火及び消火を指令し且つ対応するバーナ1A〜1Dの夫々についての目標火力を設定するために使用されるものであって、具体的には、コンロ奥側ほど下方に向かう傾斜軸心Q周りで往復回動操作自在に装備されて、消火指令位置、点火指令位置、及び、火力調節範囲に回動操作されるように構成されている。
【0054】
そして、各操作具6A〜6Dの夫々に対して、その回動位置を検出する位置検出センサ7A、7B、7C、7D(図5参照)が設けられている。
これらの位置検出センサ7A〜7Dは、アブソリュート型のエンコーダを用いて構成され、そして、その検出情報が、運転制御手段としての運転制御部H(図5参照)に入力されている。
この運転制御部Hは、マイクロコンピュータを主要部として構成されて、ガスコンロの運転を制御するものであり、各位置検出センサ7A〜7Dの検出情報に基づいて、各操作具6A〜6Dの位置が消火指令位置、点火指令位置、及び、火力調節範囲のどのような位置であるかを判別するように構成されている。
【0055】
つまり、本実施形態においては、各操作具6A〜6D及び各位置検出センサ7A〜7Dにて、加熱手段Bとしての4つのコンロバーナ1A〜1Dに対して点火及び消火を指令し且つ対応するバーナ1A〜1Dの夫々についての目標火力を設定する手動操作式の加熱状態設定手段Uが構成されている。
ちなみに、各操作具6A〜6Dの後方箇所には、後述の如く、運転制御部Hの指令により点灯及び点滅作動される点灯器8A〜8Dが設けられている。尚、これら点灯器8A〜8Dは、LED(発光ダイオード)を用いて構成されている。
【0056】
ガスコンロの前面の左側箇所、つまり、中央側に位置するグリルGの左側箇所には、グリルバーナ2に対するグリル操作具9が配設されている。
このグリル操作具9は、グリルバーナ2に対する点火及び消火を指令し且つグリルバーナ2についての目標火力を設定するのに使用されるものであって、具体的には、前後方向に沿う前後軸心R周りで往復回動操作自在に装備されて、消火指令位置、点火指令位置、及び、火力調節範囲に回動操作されるように構成されている。
【0057】
そして、図5に示すように、グリル操作具9の回動位置を検出する位置検出センサ10が設けられている。この位置検出センサ10は、アブソリュート型のエンコーダを用いて構成されて、その検出情報が、上述した運転制御部Hに入力されている。
運転制御部Hが、位置検出センサ10の検出情報に基づいて、グリル操作具9の位置が消火指令位置、点火指令位置、及び、火力調節範囲のどのような位置であるかを判別するように構成されている。
つまり、本実施形態においては、グリル操作具9及び各位置検出センサ10にて、加熱手段Bとしてのグリルバーナ2に対して点火及び消火を指令し且つグリルバーナ2についての目標火力を設定する手動操作式の加熱状態設定手段Uが構成されている。
【0058】
また、ガスコンロの前面の右側箇所、つまり、中央側に位置するグリルGの右側箇所には、自動調理情報等の種々の情報を入力するコンロ用設定操作部Dが設けられ、グリル操作具9の上方箇所には、自動調理情報等の種々の情報を入力するグリル用設定操作部Eが設けられている。
尚、コンロ用設定操作部Dの上方箇所には、電源スイッチ11が設けられている。
ちなみに、本実施形態においては、コンロ用設定操作部D及びグリル用設定操作部Eの夫々は、手動操作式の自動調理設定手段に相当する。
【0059】
図3に示すように、都市ガス等のガス燃料が供給される元ガス供給路15に、4つのコンロバーナ1A〜1Dに対する4つのコンロ用分岐路16A、16B、16C、16D、及び、グリルバーナ2に対するグリル用分岐路17が接続されている。
尚、グリルバーナ2は、一般に、被加熱物を上方から加熱する上バーナと被加熱物を下方から加熱する下バーナとを備えさせることになるが、本実施形態では、上バーナのみが備えられるものとして説明する。
【0060】
そして、元ガス供給路15には、閉じ付勢された電磁式の元ガス弁18が配設され、4つのコンロ用分岐路16A〜16Dの夫々には、4つのコンロバーナ1A〜1Dに供給するガス燃料の供給量を調節するコンロ用流量調節弁19A、19B、19C、19Dが配設され、さらに、グリル用分岐路17には、グリルバーナ2に供給するガス燃料の供給量を調節するグリル用流量調節弁20が配設されている。
【0061】
コンロ用流量調節弁19A〜19Dは、コンロ用のステッピングモータ21A、21B、21C、21Dにて操作されるように構成され、同様に、グリル用流量調節弁20が、グリル用のステッピングモータ22にて操作されるように構成されている。
ちなみに、本実施形態においては、コンロ用流量調節弁19A〜19Dが、加熱部Bとしての4つのコンロバーナ1A〜1Dに対する燃料供給量調節手段Nに相当し、グリル用流量調節弁20が、加熱部Bとしてのグリルバーナ2に対する燃料供給量調節手段Nに相当する。
【0062】
図3及び図4に示すように、4つのコンロバーナ1A〜1D及びグリルバーナ2の夫々に対して、点火用の点火プラグP、熱電対等を用いて構成される着火状態検出用の着火センサFが装備されている。
尚、グリルバーナ2として、上バーナと下バーナとを備えさせる場合には、夫々のバーナに対して、点火プラグP及び着火センサFが装備されることになる。
ちなみに、図4は、4つのコンロバーナ1A〜1Dのうちの、第1標準バーナ1Bを代表として例示するものである。
【0063】
また、4つのコンロバーナ1A〜1Dの夫々に対して、鍋等の被加熱物の存否を検出し且つその温度を検出する被加熱物検出センサSが装備されている。
この被加熱物検出センサSは、上下方向に伸縮自在でかつ上方に復帰付勢された伸縮体S1を備えて、この伸縮体S1が被加熱物に押されて下方に移動したことを伸縮検知部S2にて検出することにより被加熱物の存在を検出するように構成され、また、伸縮体S1の上端部に設けた温度検知部S3が、被加熱物に接触してその温度を検出するように構成されている。
【0064】
図5に示すように、運転制御部Hには、上述の如く、コンロ用操作具6A〜6Dの位置検出センサ7A〜7Dの検出情報及びグリル操作具9の位置検出センサ10の検出情報が入力され、さらには、コンロ用設定操作部Dの設定情報やグリル用設定操作部Eの設定情報等、種々の情報が入力され、そして、運転制御部Hは、その入力情報に基づいて、ガスコンロの運転のために各種の処理を実行するように構成されている。
【0065】
すなわち、運転制御部Hは、基本的な処理として、点火処理、消火処理、火力調節処理、高温停止処理、及び、非常停止処理を実行するように構成されている。
点火処理は、コンロ用操作具6A〜6Dやグリル用操作具9を点火位置に操作する点火操作に基づいて、コンロバーナ1A〜1Dやグリルバーナ2に対して点火用流量にてガス燃料を供給すべく、コンロ用流量調節弁19A〜19Dやグリル用流量調節弁20を操作したのち、コンロバーナ1A〜1Dやグリルバーナ2に対する点火プラグPを作動させ且つ着火センサFにて着火を検出する処理である。
尚、運転制御部Hは、点火処理を行うときに、元ガス弁18が閉じているときには、この元ガス弁18を開き操作することになる。
【0066】
消火処理は、コンロ用操作具6A〜6Dやグリル用操作具9を消火位置に操作する消火操作に基づいて、コンロバーナ1A〜1Dやグリルバーナ2に対するガス燃料の供給を停止すべく、コンロ用流量調節弁19A〜19Dやグリル用流量調節弁20を操作する処理である。
尚、運転制御部Hは、消火処理を行うときに、4つのコンロバーナ1A〜1D及びグリルバーナ2の全てが消火される状態になるときには、元ガス弁18を閉じ操作することになる。
【0067】
火力調節処理は、コンロバーナ1A〜1Dやグリルバーナ2の火力がコンロ用操作具6A〜6Dやグリル用操作具9にて設定される目標火力になるように、コンロ用流量調節弁19A〜19Dやグリル用流量調節弁20を操作する処理である。
【0068】
高温停止処理は、コンロバーナ1A〜1Dの燃焼中において、被加熱物が高温になって被加熱物検出センサSの温度検知部S3が設定停止温度を検出すると、コンロバーナ1A〜1Dに対するガス燃料の供給を停止すべく、コンロ用流量調節弁19A〜19Dを操作する処理である。
【0069】
非常停止処理は、コンロバーナ1A〜1Dやグリルバーナ2の燃焼中において着火センサFにて着火が検出されなくなると、コンロバーナ1A〜1Dやグリルバーナ2に対するガス燃料の供給を停止すべく、コンロ用流量調節弁19A〜19Dやグリル用流量調節弁20を操作する処理である。尚、この非常停止処理においては、元ガス弁18を閉じ操作することになる。
【0070】
さらに、運転制御部Hは、コンロ用設定操作部Dの設定情報や被加熱物検出センサSの検出情報等に基づいて、コンロ用流量調節弁19A〜19Dを操作して、4つのコンロバーナ1A〜1Dに対するガス燃料供給量の調節やコンロバーナ1A〜1Dへの燃料供給を停止するコンロ用の自動運転処理を実行し、さらに、グリル用設定操作部Eの設定情報等に基づいて、グリル用流量調節弁20を操作して、グリルバーナ2に対する燃料供給量の調節やグリルバーナ2に対する燃料供給を停止するグリル用の自動運転処理を実行するように構成されている。
【0071】
運転制御部Hが実行するコンロ用の自動運転処理としては、変更設定された設定時間が経過すると自動的に消火するタイマー運転処理、被加熱物検出センサSにて検出される温度を変更設定される目標温度に維持するように火力を高低に調整する揚げもの運転処理、被加熱物検出センサSにて検出される温度が沸騰を検出すると消火する湯わかし運転処理、及び、運転開始からの時間経過に伴って火力を設定パターンにて変更させる炊飯運転処理等がある。
ちなみに、本実施形態においては、揚げもの運転処理、湯わかし運転処理、炊飯運転処理は、火力が不測に低下することを回避する必要がある自動調理処理に相当する。
【0072】
また、制御部Hが実行するグリル用の自動運転処理としては、変更設定された設定時間が経過すると自動的に消火するグリル用タイマー運転処理がある。ちなみに、グリル用タイマー運転処理においては、加熱開始から設定時間が経過するまで高火力状態に維持する高火力モードと、加熱開始からの主調理期間においては高火力状態し、この主調理期間に続く終期調理期間においては低火力状態にする火力変更モードとがあり、これらモードは調理物に応じて選択されることになる。
ちなみに、本実施形態においては、グリル用タイマー運転処理は、火力が不測に低下することを回避する必要がある自動調理処理に相当する。
【0073】
次に、4つのコンロバーナ1A〜1Dにて行うコンロ用の自動運転処理について説明を加える。
コンロ用設定操作部Dには、図6に示す如く、4つのコンロバーナ1A〜1Dに対する調理時間を入力するためのタイマー入力部D1、揚げもの、炊飯、湯わかしの調理メニューを設定するための調理入力部D2、及び、炒めもの調理等において、上述した高温停止処理の実行を予め設定した設定時間停止して高温運転を行うことを指令するための高温設定入力部D3が設けられている。
したがって、本実施形態においては、コンロ用設定操作部Dにて設定される複数種の自動調理として、タイマー運転、高温運転、並びに、調理メニューとして設定される、揚げもの運転、炊飯運転、及び、湯沸し運転が存在することになる。
【0074】
ちなみに、図6においては、高火力バーナ1Aを左コンロと記載し、第1標準バーナ1Bを右コンロとして記載している。そして、本実施形態においては、調理入力部D2にて調理メニューが設定されるコンロバーナは、高火力バーナ1A(左コンロ)と、第1標準バーナ1B(右コンロ)とが対象となり、また、高温設定入力部D3にて高温停止処理の実行が停止されるコンロバーナは、高火力バーナ1A(左コンロ)と、第1標準バーナ1B(右コンロ)とが対象となるように構成されている。
【0075】
調理入力部D2には、選択された調理メニューを行うコンロバーナとして、高火力バーナ1A(左コンロ)を選択する左コンロ選択スイッチ25Aと、第1標準バーナ1B(右コンロ)を選択する右コンロ選択スイッチ25Bとが設けられ、左コンロ選択スイッチ25Aが選択されると点灯する左コンロ表示部25a及び右コンロ選択スイッチ25Bが選択されると点灯する右コンロ表示部25bが設けられ、さらに、選択されたコンロバーナにて行う調理メニュー選択するスイッチとして、揚げものを指令する揚げものスイッチ26A、炊飯を指令する炊飯スイッチ26B、及び、湯わかしを指令する湯わかしスイッチ26Cが設けられている。
【0076】
揚げものスイッチ26Cは、押し操作されるごとに、200℃、180℃、160℃といった複数の揚げもの調理用の目標温度を順次選択して設定できるように構成され、そして、調理入力部D2には、設定された揚げもの調理用温度を点灯により表示する温度表示部27A、27B、27Cが設けられている。
【0077】
炊飯スイッチ26Bは、押し操作されるごとに、ごはんの処理とおかゆの処理との異なる炊飯調理を選択して設定できるように構成され、設定された炊飯調理がごはんの処理であることを点灯により表示するごはん表示部28Aと、設定された炊飯調理がおかゆの処理であることを点灯により表示するおかゆ表示部28Bとが、調理入力部D2に設けられている。
【0078】
湯わかしスイッチ26Cは、押し操作されるごとに、自動消火モード(沸騰検出するまでは最大ガス消費量で加熱した後、沸騰検出後に直ちに消火するモード)と、5分保温モード(沸騰検出するまでは最大ガス消費量で加熱した後、沸騰検出後にガス消費量を0.64kwに減少させ、その後5分間加熱した後に消火するモード)とを選択して設定できるように構成され、設定されたモードが自動消火モードであることを点灯にて表示する自動消火表示部29Aと、設定されたモードが5分保温モードであることを点灯にて表示する5分保温表示部29Bとが、調理入力部D2に設けられている。
【0079】
したがって、運転制御部Hは、調理入力部D2にて揚げもの運転、炊飯運転、及び、湯沸し運転が設定されると、操作具6A、6Bの点火指令により、高火力バーナ1A(左コンロ)又は第1標準バーナ1B(右コンロ)を点火して燃焼させた状態において、調理入力部D2の設定情報に基づいて、揚げもの運転処理、湯わかし運転処理、及び、炊飯運転処理を行うことになり、そして、揚げもの運転処理や炊飯運転処理においては、高火力バーナ1A(左コンロ)や第1標準バーナ1B(右コンロ)の火力を、高火力状態と低火力状態とに繰り返し切換えるように、コンロ用流量調節弁19A、19Bを操作する火力繰り返し変更処理を行うことになる。
【0080】
高温設定入力部D3には、高温停止処理の実行を予め設定した設定時間の間停止するコンロバーナとして、高火力バーナ1A(左コンロ)を選択する左コンロ選択スイッチ30Aと、第1標準バーナ1B(右コンロ)を選択する右コンロ選択スイッチ30Bとが設けられ、左コンロ選択スイッチ30Aが選択されると点灯する左コンロ表示部30a及び右コンロ選択スイッチ30Bが選択されると点灯する右コンロ表示部30bが設けられている。
具体的には、左コンロ選択スイッチ30A又は右コンロ選択スイッチ30Bを3秒間押し続けると、高温停止処理の実行を予め設定した設定時間停止することが設定されることになる。
【0081】
したがって、運転制御部Hは、コンロ用操作具6A、6Bの点火指令により、高火力バーナ1A(左コンロ)又は第1標準バーナ1B(右コンロ)を点火して燃焼させた状態において、高温設定入力部D3にて高温停止処理の実行の停止が設定されると、被加熱物検出センサSの温度検知部S3が設定停止温度以上の温度を検出しても、設定時間の間は燃焼を継続することになる。ちなみに、設定時間が経過したのちにおいて、被加熱物検出センサSの温度検知部S3が設定停止温度以上の温度を検出すると、高火力バーナ1A(左コンロ)又は第1標準バーナ1B(右コンロ)の燃焼を停止させることは勿論である。
【0082】
タイマー入力部D1には、タイマー機能を使用するコンロバーナ1A〜1Dを選択するタイマー選択スイッチ31、選択されたコンロバーナ1A〜1Dを表示するコンロ表示部32a、32b、32c、32d、時間増加スイッチ33A、時間減少スイッチ33B、及び、時間表示部34が備えられている。
【0083】
そして、タイマー機能を使用する際には、先ず、タイマー機能を使用するコンロバーナ1A〜1D(左、右、前、後)をタイマー選択スイッチ31にて選択する。具体的には、タイマー選択スイッチ31を押すごとに、高火力バーナ1A(左)、第1標準バーナ1B(右)、第2標準バーナ(後)、小火力バーナ1C(前)の順序で選択され、そして、その選択されたコンロバーナ1A〜1D(左、右、前、後)がコンロ表示部32a、32b、32c、32dにて点灯表示されることになる。
【0084】
次に、時間増加スイッチ33A及び時間減少スイッチ33Bにてタイマー時間(設定時間)を設定することになる。具体的には、上述の如くタイマー選択スイッチ31が操作されると、時間表示部34に予め設定された初期時間(例えば8分)が表示される。そして、時間を増加するときには時間増加スイッチ33Aを押し操作し、時間を減少させるときには時間減少スイッチ33Bを押し操作することになり、そして、その押し操作ごとに、時間表示部34にて表示されるタイマー時間が、設定単位(例えば、1分単位等)で増減して、タイマー時間が設定されることになる。
ちなみに、時間表示部34にて表示されるタイマー時間(設定時間)は、設定後の時間経過に伴って減少することになり、いわゆる残時間が表示されることになる。
【0085】
したがって、運転制御部Hは、コンロ用操作具6A〜6Dの点火指令に基づいてコンロバーナ1A〜1D(左、右、前、後)を点火して燃焼させた状態において、コンロ用設定操作部Dにて入力されることになる設定情報に基づいて、選択されたコンロバーナ1A〜1D(左、右、前、後)に対して設定された設定時間(タイマー時間)が経過すると、選択されたコンロバーナ1A〜1D(左、右、前、後)を自動的に消火する形態でタイマー運転処理を実行することになる。
【0086】
また、運転制御部Hは、各操作具6A〜6D及びグリル操作具9による目標火力の設定による火力調節、コンロ用設定操作部Dにて設定に基づくコンロ用の自動調理処理の実行に伴う火力調節、及び、グリル用設定操作部Eに設定に基づくグリル用の自動調理処理の実行に伴う火力調節を行うにあたり、複数の加熱部Bとしての、4つのコンロバーナ1A〜1Dとグリルバーナ2とで消費するガス消費量の総和が、設定最大量を越えないように、第2標準バーナ1Dにて消費するガス燃料を制限する消費量制限処理を行うことにより、消費ガス燃料の総和が設定最大量を越えることを抑制するように構成されている。
【0087】
つまり、第2標準バーナ1Dを使用せずに、残りの3つのコンロバーナ1A〜1Cとグリルバーナ2を最大燃焼量にて使用しても、消費ガス燃料の総和が設定最大量を越えることは無いが、第2標準バーナ1Dを最大燃焼量にて燃焼させると、消費ガス燃料の総和が設定最大量を越えるものとなるため、自動調理を行うことのない第2標準バーナ1Dにて消費するガス燃料を制限するように構成されている。
【0088】
説明を加えると、本実施形態の場合においては、複数の加熱部Bとしての、4つのコンロバーナ1A〜1D及びグリルバーナ2は、その火力を最大に設定したときには下記のガス消費量を消費する。
すなわち、高火力バーナ1Aは、4.2kwであり、第1標準バーナ1Bは、2.97kwであり、小火力バーナ1Cは、1.28kwであり、第2標準バーナ1Dは、2.97kwであり、グリルバーナ2は、2.15kwである。
したがって、4つのコンロバーナ1A〜1D及びグリルバーナ2を最大火力で使用すると、設定最大量としての12kwを超えて、ガス消費量の総和が13.57kwとなる。
そこで、4つのコンロバーナ1A〜1D及びグリルバーナ2のガス消費量が設定最大量としての12kwを超えないようにするために、第2標準バーナ1Dのガス消費量を制限することになる。
【0089】
このように、ガス消費量の総和が12kwを超えることがないように第2標準バーナ1Dのガス消費量を制限するから、特別な排気設備(換気設備)を設置しない一般家庭においてもガスの燃焼に伴う空気環境の悪化を回避できるものとなる。
ちなみに、本実施形態では、自動調理処理を行う加熱部が、高火力バーナ1A、第1標準バーナ1B及びグリルバーナ2であり、自動調理用の加熱部とは異なる消費制限用の加熱部が、上述の如く、第2標準バーナ1Dである。
尚、本実施形態においては、自動調理処理を行う加熱部としての高火力バーナ1A、第1標準バーナ1B及びグリルバーナ2とは異なるバーナとしては、小火力バーナ1Cが存在するが、その小火力バーナ1Cは、その火力を最大に設定したときのガス消費量が1.28kwであり、ガス消費量を減少できる量が不足するため、消費制限用の加熱部としては用いるには適するものではない。
【0090】
ところで、第2標準バーナ1Dにて消費するガス燃料を制限するにあたり、4つのコンロバーナ1A〜1D及びグリルバーナ2が同時に使用されると、第2標準バーナ1Dのガス消費量を設定値(例えば1.28kw)に制限することにより、ガス消費量の総和を設定量(11.88kw)に制限して、設定最大量(12kw)を超えることがないようにすることができるが、本実施形態では、運転制御部Hが、消費量制限処理として、4つのコンロバーナ1A〜1D及びグリルバーナ2のうちの、消費制限用の加熱部としての第2標準バーナ1Dを除いた消費非制限用の加熱部、つまり、3つのコンロバーナ1A〜1C及びグリルバーナ2についてのガス消費量の総和を求めて、第2標準バーナ1Dについてのガス消費量を、設定最大量と消費非制限用の加熱部としての、3つのコンロバーナ1A〜1C及びグリルバーナ2ついてのガス消費量の総和との差に相当するガス消費量に制限するように構成されている。
【0091】
つまり、第2標準バーナ1Dのガス消費量が、設定最大量と3つのコンロバーナ1A〜1C及びグリルバーナ2ついてのガス消費量の総和との差に相当するガス消費量を超えないように、第2標準バーナ1Dのガス消費量を制限することになる。
具体的には、操作具6Dにて、設定最大量と3つのコンロバーナ1A〜1C及びグリルバーナ2ついてのガス消費量の総和との差に相当するガス消費量を超える目標火力が設定されても、第2標準バーナ1Dのガス消費量が、設定最大量と3つのコンロバーナ1A〜1C及びグリルバーナ2ついてのガス消費量の総和との差に相当するガス消費量を超えないように、運転制御部Hが、コンロ用流量調節弁19Dを操作するように構成されている。
【0092】
そして、第2標準バーナ1Dに対する火力(ガス消費量)をコンロ用操作具6Dにて設定された目標火力よりも低下させるときには、運転制御部Hが、第2標準バーナ1Dに対応するコンロ用操作具6Dの上部に設けられた点灯器8Dを低速で点滅(点滅周期1秒)させるように構成されている。
【0093】
また、運転制御部Hは、消費量制限処理おいて、自動調理処理として火力繰り返し変更処理を行う場合、つまり、揚げもの運転処理や炊飯運転処理を行う場合においては、高火力バーナ1A(左コンロ)や第1標準バーナ1B(右コンロ)のガス消費量を、高火力状態(最大火力)に対応するガス消費量とする形態で、消費非制限用の加熱部としての、3つのコンロバーナ1A〜1C及びグリルバーナ2ついてのガス消費量の総和を求めるように構成されている。
【0094】
また、運転制御部は、消費量制限処理として、消費制限用の加熱部としての第2標準バーナ1Dの燃焼中において、操作具6A〜6C及びグリル操作具9の目標火力設定情報に基づいて3つのコンロバーナ1A〜1C及びグリルバーナ2の火力を高火力側に調節したならば、4つのコンロバーナ1A〜1D及びグリルバーナ2のガス消費量の総和が設定最大量を超えることなる状態になった場合には、先ず、第2標準バーナ1Dについてのガス消費量を、設定最大量と火力を高火力側に調節したと仮定したときの3つのコンロバーナ1A〜1C及びグリルバーナ2のガス消費量の総和との差に相当する消費量に減少したのちに、3つのコンロバーナ1A〜1C及びグリルバーナ2のついてのガス消費量を増加させるように構成されている。
【0095】
また、運転制御部Hが、消費量制限処理として、消費制限用の加熱部としての第2標準バーナ1Dについてのガス消費量を、コンロ用操作具6Dにて設定された目標火力に対応するガス消費量よりも減少させているときに、第2標準バーナ1Dについてのガス消費量を増加させても4つのコンロバーナ1A〜1D及びグリルバーナ2のガス消費量の総和が設定最大量を超えない状態になった場合において、コンロ用操作具6Dが火力減少側に操作されたのちに火力増大側に操作されると、そのコンロ用操作具6Dの目標火力設定情報に基づいて、第2標準バーナ1Dについてのガス消費量を増加させるように構成されている。
【0096】
そして、第2標準バーナ1Dについてのガス消費量を、コンロ用操作具6Dにて設定された目標火力に対応するガス消費量よりも減少させているときに、第2標準バーナ1Dについてのガス消費量を増加させても4つのコンロバーナ1A〜1D及びグリルバーナ2のガス消費量の総和が設定最大量を超えない状態になった場合において、運転制御部Hが、第2標準バーナ1Dに対応するコンロ用操作具6Dの上部に設けられた点灯器8Dを高速の点滅(点滅周期0.25秒)させるように構成されている。また、運転制御部Hは、点灯器8Dを高速の点滅(点滅周期0.25秒)させることに加えて、圧電ブザー(図示せず)を鳴動させるように構成されている。
【0097】
また、工場出荷時においては、消費制限用の加熱部が第2標準バーナ1Dに設定されているが、消費制限用の加熱部を、他のコンロバーナ1A〜1Cに変更できるように構成されている。
つまり、タイマー入力部D1に装備した時間増加スイッチ33Aと時間減少スイッチ33Bとを同時に操作した状態において、タイマー選択スイッチ31を押し操作することにより、消費制限用の加熱部を、第2標準バーナ1D、小火力バーナ1C、第1標準バーナ1B、高火力バーナ1Dの順に変更できるように構成されている。
つまり、本実施形態においては、タイマー入力部D1が、消費制限用の加熱部の変更を指令する変更指令手段として用いられて、運転制御部Hが、タイマー入力部D1の変更指令情報に基づいて、4つのコンロバーナ1A〜1Dのうちに定める消費制限用の加熱部を変更するように構成されている。
【0098】
そして、運転制御部Hは、自動調理用の加熱部としての高火力バーナ1A(左コンロ)や第1標準バーナ1B(右コンロ)が消費制限用の加熱部に変更された場合には、その自動調理用の加熱部に対する自動調理処理を実行しないように構成されている。
【0099】
また、運転制御部Hが、消費量制限処理を実行する状態と消費量制限処理を実行しない状態とに切換え自在に構成されている。
すなわち、運転制御部Hは、工場出荷時においては、消費量制限処理を実行する状態にしてあるが、ガスコンロの設置箇所の給排気設備の能力が十分あり最大ガス消費量の制限が不要な場合には、専用の入力装置W(図5参照)をデータ通信可能な状態で運転制御部Hに接続して、消費量制限処理を実行しない状態に切換えるための解除データを入力すると、運転制御部Hが、その解除データに基づいて、消費量制限処理を実行しない状態となるように構成されている。
【0100】
解除データは、その解除データを管理する管理センターが発行されるものであり、ガスコンロを管理する管理作業者が、消費量制限処理を実行しない状態に切換えることを使用者から要求された場合には、給排気設備(換気設備)の能力が十分あることを確認したのち、管理センターに問い合わせて解除データを取得し、専用の入力装置Wにて運転制御部Hに入力することになる。解除データは、ガスコンロ本機のロット番号と解除指令情報とを組み合わせたデータとして構成される。
【0101】
以下、運転制御部Hの制御作動についてフローチャートを参照にして説明する。
図7に示すように、運転制御部Hは、先ず、入力される各種の情報を読み取る情報読取処理(#1)を行う。
次に、運転制御部Hは、消費量制限処理を実行しない状態に切換える制限解除設定処理(#2)、及び、消費量制限処理を行う際にガス消費量を制限することになる消費制限用の加熱部を変更する制限対象変更処理(#3)を順次行う。
【0102】
その後、運転制御部Hは、上述した点火処理、消火処理、火力調節処理、高温停止処理、非常停止処理、コンロ用の自動運転処理、グリル用の自動運転処理、及び、消費量制限処理を構成する具体的処理として、出力設定処理(#4)、火力設定処理(#5)、ガス消費量設定処理(#6)、出力処理(#7)、及び、火力変更処理(#8)を行う。
【0103】
以下、運転制御部Hが実行する各処理について説明を加える。
情報読取処理は、コンロ用設定操作部D、グリル用設定操作部E、位置センサ7A〜7D、10、及び、被加熱検出センサSの情報を読み取り、並びに、専用の入力装置Wが通信可能な状態に接続されているか否かを判断することになる。
ちなみに、高火力バーナ1A(左コンロ)や第1標準バーナ1B(右コンロ)が消費制限用の加熱部に変更された場合において、そのバーナについて自動調理処理を行うことがコンロ用設定操作部Dにて設定されようとしたときには、その設定を無効にし、且つ、警報ブザー(図示せず)を作動させる。
【0104】
図8に示すように、制限解除設定処理は、先ず、専用の入力装置Wが接続されて、制御解除通信モードになったか否かを判別し(#11)、制御解除通信モードでないときには、次の制限対象変更処理に移行することになる。
制御解除通信モードであると判別したときには、専用の入力装置Wにて入力された解除データがガスコンロ本機のロット番号に対応するものであるか否かを判別し(#12)、
対応するものである場合には、制限解除指令であるか否かを判別する(#13)。
【0105】
専用の入力装置Wにて入力された解除データがガスコンロ本機のロット番号に対応するものであり、しかも、制限解除指令である場合には、消費量制限処理を実行しない状態に定めることになる制限解除フラグを「1」に設定する(#14)。
【0106】
ステップ#12にて、入力された解除データがロット番号に対応するものでないと判別したとき、ステップ#13にて、制限解除指令でないと判別したとき、及び、ステップ#15にて、制限解除フラグを「1」ときには、次に、専用の入力装置Wとの通信が完了した場合及び通信が切断した場合の終了状態であるか否かを判別し(#15)、終了状態であるときには、制限対象変更処理に移行することになり、終了状態でないときには、ステップ#12からの処理を繰り返すことになる。
【0107】
図9に示すように、制限対象変更処理は、先ず、上述の制限解除設定処理にて設定されることになる制限解除フラグが「1」であるか否かを判別する(#21)。
制限解除フラグが「1」であるときには、高火力バーナ制限フラグ、第1標準バーナ制限フラグ、小火力バーナ制限フラグ、第2標準バーナ制限フラグ、及び、グリルバーナ制限フラグの夫々を「0」に設定し(#22)、次のガス消費量設定処理に移行する。
尚、各制限フラグは、ガス消費量設定処理及び火力設定処理において、消費量制限を行うバーナであるか否かを判別するために用いられることになり、「1」にて消費量制限を行うバーナに設定され、「0」にて消費量制限を行わないバーナに設定される。
【0108】
ステップ#21にて、制限解除フラグが「1」でないと判別したときには、高火力バーナ制限フラグ、第1標準バーナ制限フラグ、小火力バーナ制限フラグ、及び、グリルバーナ制限フラグの夫々を「0」に設定し、且つ、第2標準バーナ制限フラグを「1」に設定する。
【0109】
次に、タイマー入力部D1の時間増加スイッチ33Aと時間減少スイッチ33Bとが同時に押されたか否かを判別し、同時押しでないときには、次のガス消費量設定処理に移行する。
同時押しであるときには、時間増加スイッチ33Aと時間減少スイッチ33Bとが同時に押されている間に、タイマー選択スイッチ31が操作されたか否かを判別し(#25)、タイマー選択スイッチ31が押し操作されるごとに、高火力バーナ1A、第1標準バーナ1B、第2標準バーナ1D、小火力バーナ1Cが順次選択されたものと判断する(#26〜#32)。
【0110】
そして、高火力バーナ1Aが選択された場合には、高火力バーナ制限フラグを「1」に設定し、かつ、他のバーナの制限フラグを「0」に設定し(#27)、第1標準バーナ1Bが選択された場合には、第1標準バーナ制限フラグを「1」に設定し、かつ、他のバーナの制限フラグを「0」に設定し(#29)、第2標準バーナ1Dが選択された場合には、第2標準バーナ制限フラグを「1」に設定し、かつ、他のバーナの制限フラグを「0」に設定する(#31)。
また、小火力バーナ1Cが選択された場合には、小火力バーナ1Cは、消費量制限のために用いることができないので、制限フラグ変更なしとする(#33)。
【0111】
ステップ#25にて、同時押しが判別されないときや、ステップ#27、#29、#31、#33にて、制限フラグの設定をしたのちは、時間増加スイッチ33Aと時間減少スイッチ33Bとが同時に押されてからの経過時間が30秒経過したか否かを判別し(#34)、経過していないときには、ステップ#25からの処理を繰り返し、また、経過しているときには、次のガス消費量設定処理に移行する。
【0112】
出力設定処理は、情報読取処理にて読み取った読取情報、及び、現在の運転状態に基づいて、点火プラグPの点火作動、点灯器8A〜8Dの点灯作動、元ガス弁18の開閉作動等の各種アクチュエータの目標作動状態を設定することになる。
ちなみに、現在の運転状態とは、コンロ用の自動運転処理や、グリル用の自動運転処理の進行状況である。
【0113】
火力設定処理は、情報読取処理にて読み取った読取情報及び現在の運転状態に基づいて、4つのコンロバーナ1A〜1D及びグリルバーナ2ついての目標火力(設定火力)を定めることになる。
ちなみに、目標火力(設定火力)とは、基本的には、操作具6A〜6Dやグリル操作具9にて設定される火力であるが、コンロ用設定操作部D及びグリル用設定操作部Eの設定情報に基づいて、運転制御部Hが、コンロ用の自動運転処理やグリル用の自動運転処理を実行するために、操作具6A〜6Dやグリル操作具9にて設定される火力とは異なる火力に定める場合には、その運転制御部Hにて定める火力が、目標火力(設定火力)となる。
さらに、自動調理処理として火力繰り返し変更処理を行う場合、つまり、揚げもの運転処理や炊飯運転処理を行う場合においては、高火力バーナ1A(左コンロ)や第1標準バーナ1B(右コンロ)の目標火力(設定火力)は、高火力状態(最大火力)に設定される。
【0114】
図10に示すように、ガス消費量設定処理は、先ず、高火力バーナ1A、第1標準バーナ1B、小火力バーナ1C、第2標準バーナ制限1D、及び、グリルバーナ2を定めるためのカウント値n(図面中では、バーナnと記載)を加算する処理を行う(#41)。
尚、このカウント値nを加算する処理(#41)は、ステップ#48にて「5」が判別されるまで、繰り返し行われ、且つ、ステップ#48にて「5」が判別されると、カウント値nは「0」に設定されて、次の出力処理に移行する。
【0115】
ステップ#41の処理のあとは、カウント値nのバーナの制限フラグが「1」であるか否かを判別し(#42)、制限フラグが「1」でない場合には、カウント値nのバーナの専有消費量を、火力設定処理にて定めた目標火力(設定火力)に対応するガス消費量に定める(#43)。
【0116】
ステップ42にて、制限フラグが「1」であると判別した場合には、バーナの設定火力の総和が設定最大量よりも大きいか否かを判別し(#44)、大きくない場合には、ステップ#43の処理を実行する。
そして、バーナの設定火力の総和が設定最大量よりも大きいと判別した場合には、カウント値nのバーナの専有消費量を、設定最大量と他の3つのバーナ及びグリルバーナついてのガス消費量の総和との差に相当するガス消費量に定める(#45)。
【0117】
次に、カウント値nのバーナについて火力設定処理にて定めた目標火力(設定火力)がカウント値nのバーナの専有消費量よりも大きいか否かを判別し(#46)、大きくない場合には、ステップ#48に移行する。
また、ステップ#46にて大きいと判別した場合には、そのカウント値nのバーナに対応する点灯器を低速で点滅することを設定し(#47)、ステップ#48に移行する。
【0118】
出力処理は、上述の出力設定処理にて設定した目標作動情報に基づいて、点火プラグPの点火作動、点灯器8A〜8Dの点灯作動、元ガス弁18の開閉作動等の各種アクチュエータを作動させることになる。
尚、点灯器8A〜8Dは、上述のガス消費量設定処理にて低速で点滅することが設定されると、低速で点滅し、また、後述の火力変更処理にて高速で点滅することが設定されると、高速で点滅することになる。
【0119】
図11に示すように、火力変更処理は、先ず、高火力バーナ1A、第1標準バーナ1B、小火力バーナ1C、第2標準バーナ制限1D、及び、グリルバーナ2を定めるためのカウント値n(図面中では、バーナnと記載)を加算する処理を行う(#51)。
尚、このカウント値nを加算する処理(#51)は、ステップ#55にて「5」が判別されるまで、繰り返し行われ、且つ、ステップ#55にて「5」が判別されると、カウント値nは「0」に設定されて、次の情報読取処理に移行する。
【0120】
ステップ#51のあとは、高火力バーナ1A、第1標準バーナ1B、小火力バーナ1C、第2標準バーナ制限1D、及び、グリルバーナ2に対して火力設定処理にて定めた目標火力(設定火力)の総和が、設定最大量であるか否かを判別する(#52)。
ステップ#52にて、総和が設定最大量よりも大きくないと判別したときには、カウント値nのバーナの現在の火力がガス消費量設定処理にて設定した専有消費量よりも小であるか否かを判別する(#53)。
その判別にて小で無いと判別し場合には、カウント値nのバーナの火力を、ガス消費量設定処理にて設定したそのカウント値nのバーナの専有消費量に調節すべく、そのカウント値nのバーナに対応する流量調節弁のステッピングモータを作動させる火力調節を行い(#54)、ステップ#55に移行する。
【0121】
ステップ#53にて小であると判別した場合には、そのカウント値nのバーナの制限フラグが「1」であるか否かを判別し(#58)、「1」で無い場合には、ステップ#54に移行して、火力調節を行う。
ステップ#58にて制限フラグが「1」であると判別した場合には、そのカウント値nのバーナのガス消費量を制限中であったか否かを、つまり、全てのバーナのガス消費量の総和が設定最大量を超えないようにするために、今まで、そのカウント値nのバーナのガス消費量を目標火力(設定火力)よりも減少させる制限中であったか否かを判別し(#59)、制限中でなかった場合には、ステップ#54に移行する。
【0122】
ステップ#59にて制限中であったと判別した場合には、そのカウント値nのバーナに対応する点灯器を高速で点滅することを設定し(#60)、次に、そのカウント値nのバーナの火力が、火力減少側に操作された後に大火力側に操作された状態であるか否かを判断する(#61)。
そして、#61にて、火力減少側に操作された後に大火力側に操作された状態であると判別した場合には、ステップ#54に移行し、火力減少側に操作された後に大火力側に操作された状態で無い場合には、ステップ#55に移行する。
【0123】
ステップ#52にて、高火力バーナ1A、第1標準バーナ1B、小火力バーナ1C、第2標準バーナ制限1D、及び、グリルバーナ2に対して火力設定処理にて定めた目標火力(設定火力)の総和が、設定最大量よりも大きいと判別した場合には、そのカウント値nのバーナを除いたバーナについての現在の火力の総和とそのカウント値nのバーナの専有消費量を加えた値が、設定最大量よりも大きいか否かを判別し(#57)、大きくない場合には、ガス消費量を制限するバーナであるとして、#54に移行する。
また、ステップ#57にて、大きいと判別した場合には、ガス消費量を制限するバーナではないため、ガス消費量を制限するバーナのガス消費量が減少されるまでは火力調節を行わないようにすべく、ステップ#55に移行する。
【0124】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、消費制限用の加熱部にて消費するガス消費量を制限する消費量制限処理として、全ての加熱部のうちの、消費制限用の加熱部を除いた消費非制限用の加熱部についてのガス消費量の総和を求めて、消費制限用の加熱部についてのガス消費量を、設定最大量と消費非制限用の加熱部についてのガス消費量の総和との差に相当するガス消費量に制限する場合を例示したが、単に、全ての加熱部が同時に使用されると、消費制限用の加熱部のガス消費量を設定値に制限する形態で実施しても良い。
その場合、自動運転処理として、5分間保温モードにて湯わかし運転処理を行っているときに、大火力状態(最大火力)加熱して沸騰が検知されて、火力を小火力状態に切換えたときには、その後、その5分間保温モードにおいては大火力状態に切換えられることはなく、消費量制御処理を解除できる状態であるとみなせるから、火力を小火力状態に切換えたときには、消費量制限処理を解除しても良い。
【0125】
(2)上記実施形態では、消費非制限用の加熱部として、グリルバーナを備えさせるガスコンロを例示したが、本願発明は、グリルバーナを装備しないガスコンロに適用できることは勿論である。
【0126】
(3)上記実施形態では、コンロ用のバーナとして、4つのバーナを備えさせる場合を例示したが、本願発明は、3つのバーナを備えるものや、5つ以上のバーナを備えるガスコンロにも適用できる。
【0127】
(4)上記実施形態では、加熱状態設定手段が、点火及び消火の指令と目標火力の設定とを兼用の操作具にて行うように構成される場合を例示したが、点火及び消火の指令操作具と、目標火力を設定する操作具とを各別に設ける形態で実施しても良い。
【0128】
(5)本願発明を実施するに、自動調理用の加熱部にて行う自動調理は、上記実施形態で述べた種類の自動調理以外のものを備えさせてもよく、また、上記実施形態で述べた種類の自動調理のうちの一部を備えさせてもよい。
【符号の説明】
【0129】
B 加熱部
U 加熱状態設定手段
D、E 自動調理設定手段
D1 変更指令手段
H 運転制御手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス燃焼式の複数の加熱部の夫々に対して点火及び消火を指令し、且つ、前記複数の加熱部の夫々についての目標火力を設定する手動操作式の複数の加熱状態設定手段、前記複数の加熱部のうちの自動調理を行うものとして定められた自動調理用の加熱部に対して自動調理情報を設定する手動操作式の自動調理設定手段、及び、前記複数の加熱部の燃焼を制御する運転制御手段が設けられ、
前記運転制御手段が、前記複数の加熱状態設定手段の点火及び消火の指令情報に基づいて、前記複数の加熱部についての点火及び消火を行う点消火処理、前記複数の加熱状態設定手段の目標火力の設定情報に基づいて、前記複数の加熱部についての燃料供給量調節手段を制御する火力調節処理、及び、前記自動調理設定手段にて設定された自動調理情報に基づいて、前記自動調理用の加熱部の前記燃料供給量調節手段を制御する自動調理処理を実行するように構成されたガスコンロに関する。
【背景技術】
【0002】
かかるガスコンロは、複数の加熱部のうちで、使用するものを選択して点火及び消火することができ、また、その選択した加熱部に対する火力を必要とする目標火力に調節でき、さらには、自動調理用の加熱部に対して自動調理情報を設定することにより、自動調理用の加熱部の火力を自動的に調節しながら自動調理を行わせることができる。
【0003】
複数の加熱部としては、複数のコンロバーナに加えて、一般には、グリルバーナを備えさせることになる。
ちなみに、複数のコンロバーナを備えさせるにあたり、一般には、その最大火力(最大ガス消費量)が異なる複数種類のコンロバーナを備えさせることになる。
【0004】
そして、コンロバーナを用いる自動調理としては、変更設定された設定時間が経過すると自動的に消火するタイマ運転処理、加熱される鍋等の被加熱物の温度を検出する被加熱物検出センサにて検出される温度が変更設定される目標温度に維持するように火力を高火力状態と低火力状態とに繰り返し切換える揚げもの運転処理、被加熱物検出センサにて検出される温度が沸騰を検出すると消火する湯わかし運転処理、及び、運転開始からの時間経過に伴って火力を設定パターンにて変更させる炊飯運転処理等がある。
また、グリルバーナを用いる自動調理としては、変更設定された設定時間が経過すると自動的に消火するグリル用タイマ運転処理がある。
【0005】
尚、湯わかし運転処理としては、一般には、沸騰検出するまでは最大火力(最大ガス消費量)で加熱した後、沸騰検出後に直ちに消火するモード(沸騰消火モード)と、加熱開始から沸騰が検出するまでは最大火力状態(最大ガス消費量)で加熱し、沸騰が検出されたのちは、小火力状態(少ガス消費量)にして、設定時間(5分間)が経過すると消火するモード(5分保温モード)とを備えさせて、これらモードを選択できるようにすることが多い。
【0006】
このようなガスコンロにおいては、複数の加熱部の全てを最大火力(最大ガス消費量)にて使用すると、燃焼排ガス量が多くなって、このガスコンロが設置されている設置箇所の空気環境が悪化する虞がある。つまり、ガスコンロが設置されることになる一般家庭においては、一般には、大掛かりな排気設備(換気設備)を備えない場合が多いが、このような場合において、燃焼排ガス量が多くなると、空気環境が悪化する虞がある。
特に、近年では、使用者の要求に応じて各加熱部の最大火力(最大ガス消費量)を大きくする傾向にあるため、上記の問題が顕著になる傾向にある。
【0007】
そこで、複数の加熱部のガス消費量の総和が設定最大量を超えないようにするために、最後に燃焼させる加熱部のガス消費量(火力)を制限することが考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
ちなみに、この特許文献1においては、複数のコンロバーナに対する燃焼用空気の供給量が不足することがないようにすることを目的として、複数の加熱部のガス消費量の総和が設定最大量を超えないようにすることが記載されているが、このように複数の加熱部のガス消費量の総和が設定最大量を超えないようにすることにより、大掛かりな排気設備を設置していない一般家庭において、燃焼排ガス量が過大になることを回避できるものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−317064号公報(第6頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のガスコンロにおいては、複数の加熱部のガス消費量の総和が設定最大量を超えないようにするにあたり、最後に燃焼させる加熱部のガス消費量(火力)を制限するものであるが、この場合、最後に燃焼させる加熱部が、自動調理用の加熱部となり、その自動調理用の加熱部のガス消費量(火力)が制限される場合がある。
しかしながら、自動調理用の加熱部のガス消費量(火力)が制限されると、自動調理を適正通り行えない虞があり、改善が望まれるものであった。
【0010】
つまり、自動調理として、例えば、沸騰検出するまでは最大火力(最大ガス消費量)で加熱した後、沸騰検出後に直ちに消火する湯わかし運転処理を行う場合において、本来は最大火力にて加熱すべきところが、最大火力よりも小さな火力に制限されることになるため、沸騰が検出するまでの時間が、通常の時間よりも長くなり、使用者に不便を感じさせるものとなる虞がある。
また、自動調理として、揚げもの運転処理を行う場合において、火力(ガス消費量)が制限されると、被加熱物(てんぷら油)を迅速に昇温させることができないばかりか、十分な高温に昇温させることができないものとなって、所望通りの調理を行えないものとなる。
【0011】
このように自動調理用の加熱部のガス消費量(火力)が制限されると、自動調理を適正通り行えない虞があるにも拘わらず、従来では、自動調理用の加熱部のガス消費量(火力)が制限される虞があるため、改善が望まれるものであった。
【0012】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、複数の加熱部にて消費するガス消費量の総和が設定最大量を超えないようにしながらも、自動調理を適正通り行うことができるガスコンロを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のガスコンロは、ガス燃焼式の複数の加熱部の夫々に対して点火及び消火を指令し、且つ、前記複数の加熱部の夫々についての目標火力を設定する手動操作式の複数の加熱状態設定手段、
前記複数の加熱部のうちの自動調理を行うものとして定められた自動調理用の加熱部に対して自動調理情報を設定する手動操作式の自動調理設定手段、及び、
前記複数の加熱部の燃焼を制御する運転制御手段が設けられ、
前記運転制御手段が、
前記複数の加熱状態設定手段の点火及び消火の指令情報に基づいて、前記複数の加熱部についての点火及び消火を行う点消火処理、
前記複数の加熱状態設定手段の目標火力の設定情報に基づいて、前記複数の加熱部についての燃料供給量調節手段を制御する火力調節処理、及び、
前記自動調理設定手段にて設定された自動調理情報に基づいて、前記自動調理用の加熱部の前記燃料供給量調節手段を制御する自動調理処理を実行するように構成されたものであって、その第1特徴構成は、
前記運転制御手段が、前記複数の加熱部にて消費するガス消費量の総和が設定最大量を越えないように、前記複数の加熱部のうちの前記自動調理用の加熱部とは異なる消費制限用の加熱部についてのガス消費量を制限する消費量制限処理を実行するように構成されている点を特徴とする。
【0014】
すなわち、複数の加熱部にて消費するガス消費量の総和が設定最大量を超えないようにするために、運転制御手段が、複数の加熱部のうちで、自動調理を行うものとして定められた自動調理用の加熱部とは異なる消費制限用の加熱部について、そのガス消費量を制限する消費量制限処理を実行することになる。
【0015】
このように自動調理用の加熱部とは異なる消費制限用の加熱部のガス消費量を制限することにより、複数の加熱部にて消費するガス消費量の総和が設定最大量を超えないようにするものであるから、自動調理用の加熱部に対するガス消費量が制限されることがないため、自動調理用の加熱部を用いた自動調理を適正通り良好に行えるものとなる。
【0016】
要するに、本発明の第1特徴構成によれば、複数の加熱部にて消費するガス消費量の総和が設定最大量を超えないようにしながらも、自動調理を適正通り行うことができるガスコンロを提供できる。
【0017】
本発明の第2特徴構成は、上記した第1特徴構成に加えて、
前記運転制御手段が、前記消費量制限処理として、
前記複数の加熱部のうちの前記消費制限用の加熱部を除いた消費非制限用の加熱部についてのガス消費量の総和を求めて、前記消費制限用の加熱部についてのガス消費量を、前記設定最大量と前記消費非制限用の加熱部ついてのガス消費量の総和との差に相当するガス消費量に制限するように構成されている点を特徴とする。
【0018】
すなわち、運転制御手段は、複数の加熱部のうちの消費制限用の加熱部を除いた消費非制限用の加熱部についてのガス消費量の総和を求めて、消費制限用の加熱部についてのガス消費量を、設定最大量と消費非制限用の加熱部ついてのガス消費量の総和との差に相当するガス消費量に制限する形態で、消費量制限処理を行うことになる。
【0019】
そして、設定最大量と消費非制限用の加熱部ついてのガス消費量の総和との差に相当する消費量は、複数の加熱部にて消費するガス消費量の総和が設定最大量を超えないようにしながらも、消費制限用の加熱部に消費することが可能な最大量であるから、消費制限用の加熱部のガス消費量を極力大きくすることができるものとなり、消費制限用の加熱部の使用勝手が悪くなるのを極力抑制することができる。
【0020】
つまり、複数の加熱部にて消費するガス消費量の総和が設定最大量を超えないようにするにあたり、複数の加熱部が同時に使用されている場合には、複数の加熱部にて消費するガス消費量の総和が設定最大量を超えるおそれがあるものとして、消費制限用の加熱部のガス消費量を予め設定した制限用ガス消費量に画一的に制限することが考えられる。
尚、消費制限用の加熱部について設定する制限用ガス消費量は、消費非制限用の加熱部の全てを最大ガス消費量にて使用した場合において、消費制限用の加熱部にて消費可能な最大ガス消費量を設定することになる。
【0021】
このように、複数の加熱部が同時に使用されているときの消費制限用の加熱部のガス消費量を予め設定した制限用ガス消費量に画一的に制限する場合には、消費制限用の加熱部のガス消費量を制限用ガス消費量よりも増加させても、複数の加熱部にて消費するガス消費量の総和が設定最大量を超えないようにすることができるときにも、消費制限用の加熱部のガス消費量を予め設定した制限用ガス消費量に制限するものとなり、消費制限用の加熱部の使用勝手が悪くなる不都合がある。
【0022】
要するに、本発明の第2特徴構成によれば、上記した第1特徴構成による作用効果に加えて、消費制限用の加熱部の使用勝手が悪くなるのを極力抑制できるガスコンロを提供できる。
【0023】
本発明の第3特徴構成は、上記した第2特徴構成に加えて、
前記運転制御手段が、
前記自動調理設定手段にて設定される複数種の自動調理のうちの少なくともひとつに対する前記自動調理処理として、前記自動調理用の加熱部に対する火力を高火力状態と低火力状態とに繰り返して切換えるように、前記燃料供給量調節手段を制御する火力繰り返し変更処理を行うように構成され、且つ、
前記消費量制限処理おいて、前記自動調理処理として前記火力繰り返し変更処理を行う場合における前記自動調理用の加熱部のガス消費量を、前記高火力状態に対応するガス消費量とする形態で、前記消費非制限用の加熱部についてのガス消費量の総和を求めるように構成されている点を特徴とする。
【0024】
すなわち、自動調理処理として、自動調理用の加熱部に対する火力を高火力状態と低火力状態とに繰り返して切換えるように、燃料供給量調節手段を制御する火力繰り返し変更処理を行う場合においては、運転制御手段は、自動調理処理を実行中の自動調理用の加熱部のガス消費量を、高火力状態に対応するガス消費量とする形態で、前記消費非制限用の加熱部についてのガス消費量の総和を求めて、消費量制限処理を行うことになる。
【0025】
このように、消費量制限処理を行うために消費非制限用の加熱部についてのガス消費量の総和を求めるにあたり、自動調理処理として、火力繰り返し変更処理を行う場合には、自動調理処理を実行中の自動調理用の加熱部のガス消費量を、高火力状態に対応するガス消費量とするものであるから、消費制限用の加熱部について使用できるガス消費量が頻繁に変化することを抑制して、消費制限用の加熱部の使い勝手を向上できる。
【0026】
説明を加えると、自動調理処理が実行されている自動調理用の加熱部の火力が、高火力状態と低火力状態とに切換えられるのに応じて、自動調理処理を実行中の自動調理用の加熱部のガス消費量を、高火力状態に対応するガス消費量と低火力状態に対応するガス消費量とする形態で、消費非制限用の加熱部についてのガス消費量の総和を求めて、消費制限用の加熱部について制限するガス消費量を増減させることが考えられるが、この場合には、消費制限用の加熱部にて使用できるガス消費量(火力)が、自動調理用の加熱部の火力が高火力状態と低火力状態とに切換えられるのに応じて変化して、消費制限用の加熱部が使用し難いものとなる。
【0027】
要するに、本発明の第3特徴構成によれば、上記第2特徴構成による作用効果に加えて、消費制限用の加熱部の使い勝手を向上できるガスコンロを提供できる。
【0028】
本発明の第4特徴構成は、上記した第2特徴構成又は第3特徴構成に加えて、
前記運転制御手段が、
前記消費量制限処理として、前記消費制限用の加熱部の燃焼中において、前記加熱状態設定手段の目標火力設定情報に基づいて前記消費非制限用の加熱部の火力を高火力側に調節したならば前記複数の加熱部のガス消費量の総和が前記設定最大量を超えることなる状態になった場合には、前記消費制限用の加熱部についてのガス消費量を、前記設定最大量と火力を高火力側に調節したと仮定したときの前記消費非制限用の加熱部についてのガス消費量の総和との差に相当する消費量に減少したのちに、前記消費非制限用の加熱部についてのガス消費量を増加させるように構成されている点を特徴とする。
【0029】
すなわち、消費制限用の加熱部の燃焼中において、加熱状態設定手段の目標火力設定情報に基づいて前記消費非制限用の加熱部の火力を高火力側に調節したならば複数の加熱部のガス消費量の総和が設定最大量を超える状態になった場合には、つまり、消費制限用の加熱部の燃焼中において、燃焼停止中の消費非制限用の加熱部の燃焼が開始されて、その加熱部の火力が高火力側に調節されるときや、既に燃焼中の消費非制限用の加熱部の火力が高火力側に調節されるときに、その高火力側への調節を行うと、複数の加熱部のガス消費量の総和が前記設定最大量を超えることになる場合には、先ず、消費制限用の加熱部についてのガス消費量を、設定最大量と火力を高火力側に調節したと仮定したときの消費非制限用の加熱部ついてのガス消費量の総和との差に相当する消費量に減少することが行われる。
そして、消費制限用の加熱部についてのガス消費量を減少することを行ったのちに、消費非制限用の加熱部についてのガス消費量を増加させるが行われる。
【0030】
このように消費制限用の加熱部についてのガス消費量を、設定最大量と火力を高火力側に調節したと仮定したときの消費非制限用の加熱部ついてのガス消費量の総和との差に相当する消費量に減少することを行ったのちに、消費非制限用の加熱部についてのガス消費量を増加させるものであるから、複数の加熱部のガス消費量の総和が設定最大量を超えることが、的確に抑制できるものとなる。
【0031】
つまり、消費制限用の加熱部についてのガス消費量を、設定最大量と火力を高火力側に調節したときの消費非制限用の加熱部ついてのガス消費量の総和との差に相当する消費量に減少することと、消費非制限用の加熱部についてのガス消費量を増加させることとを同時に行うようにすると、一時的に、複数の加熱部のガス消費量の総和が設定最大量を超える事態を生じる虞があるが、このような事態が発生することを的確に抑制できるものとなる。
【0032】
要するに、本発明の第4特徴構成によれば、上記第2特徴構成又は第3特徴構成による作用効果に加えて、複数の加熱部のガス消費量の総和が設定最大量を超えることを的確に抑制できるガスコンロを提供できる。
【0033】
本発明の第5特徴構成は、上記第2〜第4特徴構成のいずれかに加えて、
前記運転制御手段が、
前記消費量制限処理として、前記消費制限用の加熱部についてのガス消費量を、前記加熱状態設定手段にて設定された目標火力に対応するガス消費量よりも減少させているときに、前記消費制限用の加熱部についてのガス消費量を増加させても前記複数の加熱部のガス消費量の総和が前記設定最大量を超えない状態になった場合において、前記消費制限用の加熱部についての前記加熱状態設定手段が火力減少側に操作されたのちに火力増大側に操作されると、その加熱状態設定手段の目標火力設定情報に基づいて、前記消費制限用の加熱部についてのガス消費量を増加させるように構成されている点を特徴とする。
【0034】
すなわち、消費制限用の加熱部についてのガス消費量を、加熱状態設定手段にて設定された目標火力に対応するガス消費量よりも減少させているときに、消費非制限用の加熱部についての火力(ガス消費量)が減少することにより、消費制限用の加熱部についてのガス消費量を増加させても複数の加熱部のガス消費量の総和が設定最大量を超えない状態になった場合においては、消費制限用の加熱部についての加熱状態設定手段が火力減少側に操作されたのちに火力増大側に操作されると、その後、その加熱状態設定手段の目標火力設定情報に基づいて、消費制限用の加熱部についてのガス消費量(火力)が増加されることになる。
【0035】
このように、消費制限用の加熱部についてのガス消費量を、加熱状態設定手段にて設定された目標火力に対応するガス消費量よりも減少させているときに、消費制限用の加熱部についてのガス消費量を増加させても複数の加熱部のガス消費量の総和が設定最大量を超えない状態になった場合において、直ちに、加熱状態設定手段の目標火力設定情報に基づいて、消費制限用の加熱部についてのガス消費量(火力)が増加させずに、費制限用の加熱部についての加熱状態設定手段が火力減少側に操作されたのちに火力増大側に操作されると、その加熱状態設定手段の目標火力設定情報に基づいて、消費制限用の加熱部についてのガス消費量(火力)を増加させるものであるから、消費制限用の加熱部のガス消費量(火力)が、使用者の意図に反して増加する不都合を抑制できるものとなる。
【0036】
つまり、消費制限用の加熱部についてのガス消費量を、加熱状態設定手段にて設定された目標火力に対応するガス消費量よりも減少させているときに、消費制限用の加熱部についてのガス消費量を増加させても複数の加熱部のガス消費量の総和が設定最大量を超えない状態になった場合において、直ちに、加熱状態設定手段の目標火力設定情報に基づいて、消費制限用の加熱部についてのガス消費量(火力)が増加されるようにすると、消費制限用の加熱部についてのガス消費量を制限している間に、加熱状態設定手段が誤操作される等により、加熱状態設定手段が必要とする火力とは異なる目標火力となるように設定されている場合等においては、消費制限用の加熱部のガス消費量(火力)が、使用者の意図に反して増加する不都合を招く虞があるが、このような不都合の発生を抑制できるものとなる。
【0037】
要するに、本発明の第5特徴構成によれば、上記第2〜第4特徴構成による作用効果に加えて、消費制限用の加熱部のガス消費量(火力)が使用者の意図に反して増加する不都合を抑制できるガスコンロを提供できる。
【0038】
本発明の第6特徴構成は、上記第1〜第5特徴構成のいずれかに加えて、
前記消費制限用の加熱部の変更を指令する変更指令手段が設けられ、
前記運転制御手段が、前記変更指令手段の変更指令情報に基づいて、前記複数の加熱部のうちに定める前記消費制限用の加熱部を変更するように構成されている点を特徴とする。
【0039】
すなわち、変更指令手段にて消費制限用の加熱部の変更を指令することにより、運転制御手段が、複数の加熱部のうちに定める消費制限用の加熱部を変更することになる。
このように消費制限用の加熱部を変更できるものであるから、使用者のガスコンロの使用状況に合わせて、複数の加熱部のうちに消費制限用の加熱部を定めることができるものとなり、利便性を向上できる。
【0040】
要するに、本発明の第6特徴構成によれば、上記第1〜第5特徴構成による作用効果に加えて、利便性を向上できるガスコンロを提供できる。
【0041】
本発明の第7特徴構成は、上記第6特徴構成に加えて、
前記運転制御手段は、前記自動調理用の加熱部が前記消費制限用の加熱部に変更された場合には、その自動調理用の加熱部に対する自動調理処理を実行しないように構成されている点を特徴とする。
【0042】
すなわち、自動調理用の加熱部が消費制限用の加熱部に変更された場合には、運転制御手段は、その自動調理用の加熱部に対する自動調理処理を実行しないことになる。
このように、自動調理用の加熱部が消費制限用の加熱部に変更された場合には、その自動調理用の加熱部に対する自動調理処理が行われないものとなるから、その自動調理用の加熱部にて自動調理を行う場合の不都合、つまり、ガス消費量(火力)が制限されることにより、自動調理を適正通り行えない不都合が生じることを回避できる。
【0043】
要するに、本発明の第7特徴構成によれば、上記第6特徴構成による作用効果に加えて、自動調理を適正通り行えない不都合の発生を回避できるガスコンロを提供できる。
【0044】
本発明の第8特徴構成は、上記第1特徴構成〜第7特徴構成のいずれかに加えて、
前記運転制御手段が、前記消費量制限処理を実行する状態と前記消費量制限処理を実行しない状態とに切換え自在に構成されている点を特徴とする。
【0045】
すなわち、運転制御手段を、消費量制限処理を実行する状態と消費量制限処理を実行しない状態とに切換えることができるから、消費量制限処理を必要とするときには、消費量制限処理を実行する状態に切換え、消費量制限処理を必要としないときには、消費量制限処理を実行しない状態に切換えることができる。
【0046】
つまり、ガスコンロの設置箇所が、十分な換気機能を備えているような場合には、消費量制限処理が不要であるから、消費量制限処理を実行しない状態に運転制御手段を切換えることによって、全ての加熱部についてガス消費量を制限することなく使用できるものとなる。
もちろん、ガスコンロの設置箇所が、十分な換気機能を備えていない場合には、消費量制限処理が必要であるから、消費量制限処理を実行する状態に運転制御手段を切換えることによって、ガスコンロを良好に使用できるものとなる。
【0047】
要するに、本発明の第8特徴構成によれば、上記第1特徴構成〜第7特徴構成のいずれかによる作用効果に加えて、ガスコンロの設置箇所に応じて消費量制限処理を実行する状態と消費量制限処理を実行しない状態とを選択できるガスコンロを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】ガスコンロの斜視図
【図2】ガスコンロの側面図
【図3】ガス燃料の流路構成を示す概略図
【図4】コンロバーナを示す縦断側面図
【図5】制御構成を示すブロック図
【図6】調理入力部を示す正面図
【図7】制御作動を示すフローチャート
【図8】制御作動を示すフローチャート
【図9】制御作動を示すフローチャート
【図10】制御作動を示すフローチャート
【図11】制御作動を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0049】
〔実施形態〕
本発明にかかるガス燃焼機器の火力調節装置を、ガス燃焼機器の一例としてのガスコンロに適用した場合の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、例示するガスコンロは、コンロ本体の上面部に備えられる4つのコンロバーナ1A、1B、1C、1D、及び、グリル部Gに備えられるグリルバーナ2(図3参照)を備え、そして、キッチンカウンターに組み込まれるビルトインタイプに構成されている。
本実施形態においては、4つのコンロバーナ1A、1B、1C、1D、及び、グリルバーナ2が、ガス燃焼式の複数の加熱部Bに相当する。
【0050】
4つのコンロバーナ1A〜1Dは、左側に配設される高火力バーナ1A、右側に配設される第1標準バーナ1B、横幅方向の中央の手前側箇所に配設される小火力バーナ1C、及び、横幅方向の中央の奥側箇所に配設される第2標準バーナ1Dから構成されている。
【0051】
ガスコンロの上面は、ガラス製のトッププレート3にて覆われ、ガスコンロの上面の後部側には、グリル部Gの燃焼排ガスを排気するためのグリル排気口4が形成されている。
また、トッププレート3の上部には、4つのコンロバーナ1A〜1Dの夫々にて加熱される鍋等の被加熱物を載置するための五徳5が設けられている。
この五徳5は、ガスコンロの上面を全体を覆う状態で設けられ、かつ、各コンロバーナ1A〜1Dの夫々に対応するコンロ対応部分に分割される状態に形成されている。
【0052】
トッププレート3の手前側箇所には、4つのコンロバーナBに対する操作部Jが設けられ、その操作部Jには、左側から右側に向けて、高火力バーナ1Aに対する高火力用操作具6A、小火力バーナ1Cに対する小火力用操作具6C、第2標準バーナ1Dに対する第2標準用操作具6D、及び、第1標準バーナ1Bに対する第1標準用操作具6Bが配設されている。
尚、以下に記載において、高火力用操作具6A、小火力用操作具1C、第2標準用操作具6D、及び、第1標準用操作具6Bを区別して記載する必要がないときには、単に、操作具6A〜6Dと記載する。
【0053】
各操作具6A〜6Dは、対応するコンロバーナ1A〜1Dに対して点火及び消火を指令し且つ対応するバーナ1A〜1Dの夫々についての目標火力を設定するために使用されるものであって、具体的には、コンロ奥側ほど下方に向かう傾斜軸心Q周りで往復回動操作自在に装備されて、消火指令位置、点火指令位置、及び、火力調節範囲に回動操作されるように構成されている。
【0054】
そして、各操作具6A〜6Dの夫々に対して、その回動位置を検出する位置検出センサ7A、7B、7C、7D(図5参照)が設けられている。
これらの位置検出センサ7A〜7Dは、アブソリュート型のエンコーダを用いて構成され、そして、その検出情報が、運転制御手段としての運転制御部H(図5参照)に入力されている。
この運転制御部Hは、マイクロコンピュータを主要部として構成されて、ガスコンロの運転を制御するものであり、各位置検出センサ7A〜7Dの検出情報に基づいて、各操作具6A〜6Dの位置が消火指令位置、点火指令位置、及び、火力調節範囲のどのような位置であるかを判別するように構成されている。
【0055】
つまり、本実施形態においては、各操作具6A〜6D及び各位置検出センサ7A〜7Dにて、加熱手段Bとしての4つのコンロバーナ1A〜1Dに対して点火及び消火を指令し且つ対応するバーナ1A〜1Dの夫々についての目標火力を設定する手動操作式の加熱状態設定手段Uが構成されている。
ちなみに、各操作具6A〜6Dの後方箇所には、後述の如く、運転制御部Hの指令により点灯及び点滅作動される点灯器8A〜8Dが設けられている。尚、これら点灯器8A〜8Dは、LED(発光ダイオード)を用いて構成されている。
【0056】
ガスコンロの前面の左側箇所、つまり、中央側に位置するグリルGの左側箇所には、グリルバーナ2に対するグリル操作具9が配設されている。
このグリル操作具9は、グリルバーナ2に対する点火及び消火を指令し且つグリルバーナ2についての目標火力を設定するのに使用されるものであって、具体的には、前後方向に沿う前後軸心R周りで往復回動操作自在に装備されて、消火指令位置、点火指令位置、及び、火力調節範囲に回動操作されるように構成されている。
【0057】
そして、図5に示すように、グリル操作具9の回動位置を検出する位置検出センサ10が設けられている。この位置検出センサ10は、アブソリュート型のエンコーダを用いて構成されて、その検出情報が、上述した運転制御部Hに入力されている。
運転制御部Hが、位置検出センサ10の検出情報に基づいて、グリル操作具9の位置が消火指令位置、点火指令位置、及び、火力調節範囲のどのような位置であるかを判別するように構成されている。
つまり、本実施形態においては、グリル操作具9及び各位置検出センサ10にて、加熱手段Bとしてのグリルバーナ2に対して点火及び消火を指令し且つグリルバーナ2についての目標火力を設定する手動操作式の加熱状態設定手段Uが構成されている。
【0058】
また、ガスコンロの前面の右側箇所、つまり、中央側に位置するグリルGの右側箇所には、自動調理情報等の種々の情報を入力するコンロ用設定操作部Dが設けられ、グリル操作具9の上方箇所には、自動調理情報等の種々の情報を入力するグリル用設定操作部Eが設けられている。
尚、コンロ用設定操作部Dの上方箇所には、電源スイッチ11が設けられている。
ちなみに、本実施形態においては、コンロ用設定操作部D及びグリル用設定操作部Eの夫々は、手動操作式の自動調理設定手段に相当する。
【0059】
図3に示すように、都市ガス等のガス燃料が供給される元ガス供給路15に、4つのコンロバーナ1A〜1Dに対する4つのコンロ用分岐路16A、16B、16C、16D、及び、グリルバーナ2に対するグリル用分岐路17が接続されている。
尚、グリルバーナ2は、一般に、被加熱物を上方から加熱する上バーナと被加熱物を下方から加熱する下バーナとを備えさせることになるが、本実施形態では、上バーナのみが備えられるものとして説明する。
【0060】
そして、元ガス供給路15には、閉じ付勢された電磁式の元ガス弁18が配設され、4つのコンロ用分岐路16A〜16Dの夫々には、4つのコンロバーナ1A〜1Dに供給するガス燃料の供給量を調節するコンロ用流量調節弁19A、19B、19C、19Dが配設され、さらに、グリル用分岐路17には、グリルバーナ2に供給するガス燃料の供給量を調節するグリル用流量調節弁20が配設されている。
【0061】
コンロ用流量調節弁19A〜19Dは、コンロ用のステッピングモータ21A、21B、21C、21Dにて操作されるように構成され、同様に、グリル用流量調節弁20が、グリル用のステッピングモータ22にて操作されるように構成されている。
ちなみに、本実施形態においては、コンロ用流量調節弁19A〜19Dが、加熱部Bとしての4つのコンロバーナ1A〜1Dに対する燃料供給量調節手段Nに相当し、グリル用流量調節弁20が、加熱部Bとしてのグリルバーナ2に対する燃料供給量調節手段Nに相当する。
【0062】
図3及び図4に示すように、4つのコンロバーナ1A〜1D及びグリルバーナ2の夫々に対して、点火用の点火プラグP、熱電対等を用いて構成される着火状態検出用の着火センサFが装備されている。
尚、グリルバーナ2として、上バーナと下バーナとを備えさせる場合には、夫々のバーナに対して、点火プラグP及び着火センサFが装備されることになる。
ちなみに、図4は、4つのコンロバーナ1A〜1Dのうちの、第1標準バーナ1Bを代表として例示するものである。
【0063】
また、4つのコンロバーナ1A〜1Dの夫々に対して、鍋等の被加熱物の存否を検出し且つその温度を検出する被加熱物検出センサSが装備されている。
この被加熱物検出センサSは、上下方向に伸縮自在でかつ上方に復帰付勢された伸縮体S1を備えて、この伸縮体S1が被加熱物に押されて下方に移動したことを伸縮検知部S2にて検出することにより被加熱物の存在を検出するように構成され、また、伸縮体S1の上端部に設けた温度検知部S3が、被加熱物に接触してその温度を検出するように構成されている。
【0064】
図5に示すように、運転制御部Hには、上述の如く、コンロ用操作具6A〜6Dの位置検出センサ7A〜7Dの検出情報及びグリル操作具9の位置検出センサ10の検出情報が入力され、さらには、コンロ用設定操作部Dの設定情報やグリル用設定操作部Eの設定情報等、種々の情報が入力され、そして、運転制御部Hは、その入力情報に基づいて、ガスコンロの運転のために各種の処理を実行するように構成されている。
【0065】
すなわち、運転制御部Hは、基本的な処理として、点火処理、消火処理、火力調節処理、高温停止処理、及び、非常停止処理を実行するように構成されている。
点火処理は、コンロ用操作具6A〜6Dやグリル用操作具9を点火位置に操作する点火操作に基づいて、コンロバーナ1A〜1Dやグリルバーナ2に対して点火用流量にてガス燃料を供給すべく、コンロ用流量調節弁19A〜19Dやグリル用流量調節弁20を操作したのち、コンロバーナ1A〜1Dやグリルバーナ2に対する点火プラグPを作動させ且つ着火センサFにて着火を検出する処理である。
尚、運転制御部Hは、点火処理を行うときに、元ガス弁18が閉じているときには、この元ガス弁18を開き操作することになる。
【0066】
消火処理は、コンロ用操作具6A〜6Dやグリル用操作具9を消火位置に操作する消火操作に基づいて、コンロバーナ1A〜1Dやグリルバーナ2に対するガス燃料の供給を停止すべく、コンロ用流量調節弁19A〜19Dやグリル用流量調節弁20を操作する処理である。
尚、運転制御部Hは、消火処理を行うときに、4つのコンロバーナ1A〜1D及びグリルバーナ2の全てが消火される状態になるときには、元ガス弁18を閉じ操作することになる。
【0067】
火力調節処理は、コンロバーナ1A〜1Dやグリルバーナ2の火力がコンロ用操作具6A〜6Dやグリル用操作具9にて設定される目標火力になるように、コンロ用流量調節弁19A〜19Dやグリル用流量調節弁20を操作する処理である。
【0068】
高温停止処理は、コンロバーナ1A〜1Dの燃焼中において、被加熱物が高温になって被加熱物検出センサSの温度検知部S3が設定停止温度を検出すると、コンロバーナ1A〜1Dに対するガス燃料の供給を停止すべく、コンロ用流量調節弁19A〜19Dを操作する処理である。
【0069】
非常停止処理は、コンロバーナ1A〜1Dやグリルバーナ2の燃焼中において着火センサFにて着火が検出されなくなると、コンロバーナ1A〜1Dやグリルバーナ2に対するガス燃料の供給を停止すべく、コンロ用流量調節弁19A〜19Dやグリル用流量調節弁20を操作する処理である。尚、この非常停止処理においては、元ガス弁18を閉じ操作することになる。
【0070】
さらに、運転制御部Hは、コンロ用設定操作部Dの設定情報や被加熱物検出センサSの検出情報等に基づいて、コンロ用流量調節弁19A〜19Dを操作して、4つのコンロバーナ1A〜1Dに対するガス燃料供給量の調節やコンロバーナ1A〜1Dへの燃料供給を停止するコンロ用の自動運転処理を実行し、さらに、グリル用設定操作部Eの設定情報等に基づいて、グリル用流量調節弁20を操作して、グリルバーナ2に対する燃料供給量の調節やグリルバーナ2に対する燃料供給を停止するグリル用の自動運転処理を実行するように構成されている。
【0071】
運転制御部Hが実行するコンロ用の自動運転処理としては、変更設定された設定時間が経過すると自動的に消火するタイマー運転処理、被加熱物検出センサSにて検出される温度を変更設定される目標温度に維持するように火力を高低に調整する揚げもの運転処理、被加熱物検出センサSにて検出される温度が沸騰を検出すると消火する湯わかし運転処理、及び、運転開始からの時間経過に伴って火力を設定パターンにて変更させる炊飯運転処理等がある。
ちなみに、本実施形態においては、揚げもの運転処理、湯わかし運転処理、炊飯運転処理は、火力が不測に低下することを回避する必要がある自動調理処理に相当する。
【0072】
また、制御部Hが実行するグリル用の自動運転処理としては、変更設定された設定時間が経過すると自動的に消火するグリル用タイマー運転処理がある。ちなみに、グリル用タイマー運転処理においては、加熱開始から設定時間が経過するまで高火力状態に維持する高火力モードと、加熱開始からの主調理期間においては高火力状態し、この主調理期間に続く終期調理期間においては低火力状態にする火力変更モードとがあり、これらモードは調理物に応じて選択されることになる。
ちなみに、本実施形態においては、グリル用タイマー運転処理は、火力が不測に低下することを回避する必要がある自動調理処理に相当する。
【0073】
次に、4つのコンロバーナ1A〜1Dにて行うコンロ用の自動運転処理について説明を加える。
コンロ用設定操作部Dには、図6に示す如く、4つのコンロバーナ1A〜1Dに対する調理時間を入力するためのタイマー入力部D1、揚げもの、炊飯、湯わかしの調理メニューを設定するための調理入力部D2、及び、炒めもの調理等において、上述した高温停止処理の実行を予め設定した設定時間停止して高温運転を行うことを指令するための高温設定入力部D3が設けられている。
したがって、本実施形態においては、コンロ用設定操作部Dにて設定される複数種の自動調理として、タイマー運転、高温運転、並びに、調理メニューとして設定される、揚げもの運転、炊飯運転、及び、湯沸し運転が存在することになる。
【0074】
ちなみに、図6においては、高火力バーナ1Aを左コンロと記載し、第1標準バーナ1Bを右コンロとして記載している。そして、本実施形態においては、調理入力部D2にて調理メニューが設定されるコンロバーナは、高火力バーナ1A(左コンロ)と、第1標準バーナ1B(右コンロ)とが対象となり、また、高温設定入力部D3にて高温停止処理の実行が停止されるコンロバーナは、高火力バーナ1A(左コンロ)と、第1標準バーナ1B(右コンロ)とが対象となるように構成されている。
【0075】
調理入力部D2には、選択された調理メニューを行うコンロバーナとして、高火力バーナ1A(左コンロ)を選択する左コンロ選択スイッチ25Aと、第1標準バーナ1B(右コンロ)を選択する右コンロ選択スイッチ25Bとが設けられ、左コンロ選択スイッチ25Aが選択されると点灯する左コンロ表示部25a及び右コンロ選択スイッチ25Bが選択されると点灯する右コンロ表示部25bが設けられ、さらに、選択されたコンロバーナにて行う調理メニュー選択するスイッチとして、揚げものを指令する揚げものスイッチ26A、炊飯を指令する炊飯スイッチ26B、及び、湯わかしを指令する湯わかしスイッチ26Cが設けられている。
【0076】
揚げものスイッチ26Cは、押し操作されるごとに、200℃、180℃、160℃といった複数の揚げもの調理用の目標温度を順次選択して設定できるように構成され、そして、調理入力部D2には、設定された揚げもの調理用温度を点灯により表示する温度表示部27A、27B、27Cが設けられている。
【0077】
炊飯スイッチ26Bは、押し操作されるごとに、ごはんの処理とおかゆの処理との異なる炊飯調理を選択して設定できるように構成され、設定された炊飯調理がごはんの処理であることを点灯により表示するごはん表示部28Aと、設定された炊飯調理がおかゆの処理であることを点灯により表示するおかゆ表示部28Bとが、調理入力部D2に設けられている。
【0078】
湯わかしスイッチ26Cは、押し操作されるごとに、自動消火モード(沸騰検出するまでは最大ガス消費量で加熱した後、沸騰検出後に直ちに消火するモード)と、5分保温モード(沸騰検出するまでは最大ガス消費量で加熱した後、沸騰検出後にガス消費量を0.64kwに減少させ、その後5分間加熱した後に消火するモード)とを選択して設定できるように構成され、設定されたモードが自動消火モードであることを点灯にて表示する自動消火表示部29Aと、設定されたモードが5分保温モードであることを点灯にて表示する5分保温表示部29Bとが、調理入力部D2に設けられている。
【0079】
したがって、運転制御部Hは、調理入力部D2にて揚げもの運転、炊飯運転、及び、湯沸し運転が設定されると、操作具6A、6Bの点火指令により、高火力バーナ1A(左コンロ)又は第1標準バーナ1B(右コンロ)を点火して燃焼させた状態において、調理入力部D2の設定情報に基づいて、揚げもの運転処理、湯わかし運転処理、及び、炊飯運転処理を行うことになり、そして、揚げもの運転処理や炊飯運転処理においては、高火力バーナ1A(左コンロ)や第1標準バーナ1B(右コンロ)の火力を、高火力状態と低火力状態とに繰り返し切換えるように、コンロ用流量調節弁19A、19Bを操作する火力繰り返し変更処理を行うことになる。
【0080】
高温設定入力部D3には、高温停止処理の実行を予め設定した設定時間の間停止するコンロバーナとして、高火力バーナ1A(左コンロ)を選択する左コンロ選択スイッチ30Aと、第1標準バーナ1B(右コンロ)を選択する右コンロ選択スイッチ30Bとが設けられ、左コンロ選択スイッチ30Aが選択されると点灯する左コンロ表示部30a及び右コンロ選択スイッチ30Bが選択されると点灯する右コンロ表示部30bが設けられている。
具体的には、左コンロ選択スイッチ30A又は右コンロ選択スイッチ30Bを3秒間押し続けると、高温停止処理の実行を予め設定した設定時間停止することが設定されることになる。
【0081】
したがって、運転制御部Hは、コンロ用操作具6A、6Bの点火指令により、高火力バーナ1A(左コンロ)又は第1標準バーナ1B(右コンロ)を点火して燃焼させた状態において、高温設定入力部D3にて高温停止処理の実行の停止が設定されると、被加熱物検出センサSの温度検知部S3が設定停止温度以上の温度を検出しても、設定時間の間は燃焼を継続することになる。ちなみに、設定時間が経過したのちにおいて、被加熱物検出センサSの温度検知部S3が設定停止温度以上の温度を検出すると、高火力バーナ1A(左コンロ)又は第1標準バーナ1B(右コンロ)の燃焼を停止させることは勿論である。
【0082】
タイマー入力部D1には、タイマー機能を使用するコンロバーナ1A〜1Dを選択するタイマー選択スイッチ31、選択されたコンロバーナ1A〜1Dを表示するコンロ表示部32a、32b、32c、32d、時間増加スイッチ33A、時間減少スイッチ33B、及び、時間表示部34が備えられている。
【0083】
そして、タイマー機能を使用する際には、先ず、タイマー機能を使用するコンロバーナ1A〜1D(左、右、前、後)をタイマー選択スイッチ31にて選択する。具体的には、タイマー選択スイッチ31を押すごとに、高火力バーナ1A(左)、第1標準バーナ1B(右)、第2標準バーナ(後)、小火力バーナ1C(前)の順序で選択され、そして、その選択されたコンロバーナ1A〜1D(左、右、前、後)がコンロ表示部32a、32b、32c、32dにて点灯表示されることになる。
【0084】
次に、時間増加スイッチ33A及び時間減少スイッチ33Bにてタイマー時間(設定時間)を設定することになる。具体的には、上述の如くタイマー選択スイッチ31が操作されると、時間表示部34に予め設定された初期時間(例えば8分)が表示される。そして、時間を増加するときには時間増加スイッチ33Aを押し操作し、時間を減少させるときには時間減少スイッチ33Bを押し操作することになり、そして、その押し操作ごとに、時間表示部34にて表示されるタイマー時間が、設定単位(例えば、1分単位等)で増減して、タイマー時間が設定されることになる。
ちなみに、時間表示部34にて表示されるタイマー時間(設定時間)は、設定後の時間経過に伴って減少することになり、いわゆる残時間が表示されることになる。
【0085】
したがって、運転制御部Hは、コンロ用操作具6A〜6Dの点火指令に基づいてコンロバーナ1A〜1D(左、右、前、後)を点火して燃焼させた状態において、コンロ用設定操作部Dにて入力されることになる設定情報に基づいて、選択されたコンロバーナ1A〜1D(左、右、前、後)に対して設定された設定時間(タイマー時間)が経過すると、選択されたコンロバーナ1A〜1D(左、右、前、後)を自動的に消火する形態でタイマー運転処理を実行することになる。
【0086】
また、運転制御部Hは、各操作具6A〜6D及びグリル操作具9による目標火力の設定による火力調節、コンロ用設定操作部Dにて設定に基づくコンロ用の自動調理処理の実行に伴う火力調節、及び、グリル用設定操作部Eに設定に基づくグリル用の自動調理処理の実行に伴う火力調節を行うにあたり、複数の加熱部Bとしての、4つのコンロバーナ1A〜1Dとグリルバーナ2とで消費するガス消費量の総和が、設定最大量を越えないように、第2標準バーナ1Dにて消費するガス燃料を制限する消費量制限処理を行うことにより、消費ガス燃料の総和が設定最大量を越えることを抑制するように構成されている。
【0087】
つまり、第2標準バーナ1Dを使用せずに、残りの3つのコンロバーナ1A〜1Cとグリルバーナ2を最大燃焼量にて使用しても、消費ガス燃料の総和が設定最大量を越えることは無いが、第2標準バーナ1Dを最大燃焼量にて燃焼させると、消費ガス燃料の総和が設定最大量を越えるものとなるため、自動調理を行うことのない第2標準バーナ1Dにて消費するガス燃料を制限するように構成されている。
【0088】
説明を加えると、本実施形態の場合においては、複数の加熱部Bとしての、4つのコンロバーナ1A〜1D及びグリルバーナ2は、その火力を最大に設定したときには下記のガス消費量を消費する。
すなわち、高火力バーナ1Aは、4.2kwであり、第1標準バーナ1Bは、2.97kwであり、小火力バーナ1Cは、1.28kwであり、第2標準バーナ1Dは、2.97kwであり、グリルバーナ2は、2.15kwである。
したがって、4つのコンロバーナ1A〜1D及びグリルバーナ2を最大火力で使用すると、設定最大量としての12kwを超えて、ガス消費量の総和が13.57kwとなる。
そこで、4つのコンロバーナ1A〜1D及びグリルバーナ2のガス消費量が設定最大量としての12kwを超えないようにするために、第2標準バーナ1Dのガス消費量を制限することになる。
【0089】
このように、ガス消費量の総和が12kwを超えることがないように第2標準バーナ1Dのガス消費量を制限するから、特別な排気設備(換気設備)を設置しない一般家庭においてもガスの燃焼に伴う空気環境の悪化を回避できるものとなる。
ちなみに、本実施形態では、自動調理処理を行う加熱部が、高火力バーナ1A、第1標準バーナ1B及びグリルバーナ2であり、自動調理用の加熱部とは異なる消費制限用の加熱部が、上述の如く、第2標準バーナ1Dである。
尚、本実施形態においては、自動調理処理を行う加熱部としての高火力バーナ1A、第1標準バーナ1B及びグリルバーナ2とは異なるバーナとしては、小火力バーナ1Cが存在するが、その小火力バーナ1Cは、その火力を最大に設定したときのガス消費量が1.28kwであり、ガス消費量を減少できる量が不足するため、消費制限用の加熱部としては用いるには適するものではない。
【0090】
ところで、第2標準バーナ1Dにて消費するガス燃料を制限するにあたり、4つのコンロバーナ1A〜1D及びグリルバーナ2が同時に使用されると、第2標準バーナ1Dのガス消費量を設定値(例えば1.28kw)に制限することにより、ガス消費量の総和を設定量(11.88kw)に制限して、設定最大量(12kw)を超えることがないようにすることができるが、本実施形態では、運転制御部Hが、消費量制限処理として、4つのコンロバーナ1A〜1D及びグリルバーナ2のうちの、消費制限用の加熱部としての第2標準バーナ1Dを除いた消費非制限用の加熱部、つまり、3つのコンロバーナ1A〜1C及びグリルバーナ2についてのガス消費量の総和を求めて、第2標準バーナ1Dについてのガス消費量を、設定最大量と消費非制限用の加熱部としての、3つのコンロバーナ1A〜1C及びグリルバーナ2ついてのガス消費量の総和との差に相当するガス消費量に制限するように構成されている。
【0091】
つまり、第2標準バーナ1Dのガス消費量が、設定最大量と3つのコンロバーナ1A〜1C及びグリルバーナ2ついてのガス消費量の総和との差に相当するガス消費量を超えないように、第2標準バーナ1Dのガス消費量を制限することになる。
具体的には、操作具6Dにて、設定最大量と3つのコンロバーナ1A〜1C及びグリルバーナ2ついてのガス消費量の総和との差に相当するガス消費量を超える目標火力が設定されても、第2標準バーナ1Dのガス消費量が、設定最大量と3つのコンロバーナ1A〜1C及びグリルバーナ2ついてのガス消費量の総和との差に相当するガス消費量を超えないように、運転制御部Hが、コンロ用流量調節弁19Dを操作するように構成されている。
【0092】
そして、第2標準バーナ1Dに対する火力(ガス消費量)をコンロ用操作具6Dにて設定された目標火力よりも低下させるときには、運転制御部Hが、第2標準バーナ1Dに対応するコンロ用操作具6Dの上部に設けられた点灯器8Dを低速で点滅(点滅周期1秒)させるように構成されている。
【0093】
また、運転制御部Hは、消費量制限処理おいて、自動調理処理として火力繰り返し変更処理を行う場合、つまり、揚げもの運転処理や炊飯運転処理を行う場合においては、高火力バーナ1A(左コンロ)や第1標準バーナ1B(右コンロ)のガス消費量を、高火力状態(最大火力)に対応するガス消費量とする形態で、消費非制限用の加熱部としての、3つのコンロバーナ1A〜1C及びグリルバーナ2ついてのガス消費量の総和を求めるように構成されている。
【0094】
また、運転制御部は、消費量制限処理として、消費制限用の加熱部としての第2標準バーナ1Dの燃焼中において、操作具6A〜6C及びグリル操作具9の目標火力設定情報に基づいて3つのコンロバーナ1A〜1C及びグリルバーナ2の火力を高火力側に調節したならば、4つのコンロバーナ1A〜1D及びグリルバーナ2のガス消費量の総和が設定最大量を超えることなる状態になった場合には、先ず、第2標準バーナ1Dについてのガス消費量を、設定最大量と火力を高火力側に調節したと仮定したときの3つのコンロバーナ1A〜1C及びグリルバーナ2のガス消費量の総和との差に相当する消費量に減少したのちに、3つのコンロバーナ1A〜1C及びグリルバーナ2のついてのガス消費量を増加させるように構成されている。
【0095】
また、運転制御部Hが、消費量制限処理として、消費制限用の加熱部としての第2標準バーナ1Dについてのガス消費量を、コンロ用操作具6Dにて設定された目標火力に対応するガス消費量よりも減少させているときに、第2標準バーナ1Dについてのガス消費量を増加させても4つのコンロバーナ1A〜1D及びグリルバーナ2のガス消費量の総和が設定最大量を超えない状態になった場合において、コンロ用操作具6Dが火力減少側に操作されたのちに火力増大側に操作されると、そのコンロ用操作具6Dの目標火力設定情報に基づいて、第2標準バーナ1Dについてのガス消費量を増加させるように構成されている。
【0096】
そして、第2標準バーナ1Dについてのガス消費量を、コンロ用操作具6Dにて設定された目標火力に対応するガス消費量よりも減少させているときに、第2標準バーナ1Dについてのガス消費量を増加させても4つのコンロバーナ1A〜1D及びグリルバーナ2のガス消費量の総和が設定最大量を超えない状態になった場合において、運転制御部Hが、第2標準バーナ1Dに対応するコンロ用操作具6Dの上部に設けられた点灯器8Dを高速の点滅(点滅周期0.25秒)させるように構成されている。また、運転制御部Hは、点灯器8Dを高速の点滅(点滅周期0.25秒)させることに加えて、圧電ブザー(図示せず)を鳴動させるように構成されている。
【0097】
また、工場出荷時においては、消費制限用の加熱部が第2標準バーナ1Dに設定されているが、消費制限用の加熱部を、他のコンロバーナ1A〜1Cに変更できるように構成されている。
つまり、タイマー入力部D1に装備した時間増加スイッチ33Aと時間減少スイッチ33Bとを同時に操作した状態において、タイマー選択スイッチ31を押し操作することにより、消費制限用の加熱部を、第2標準バーナ1D、小火力バーナ1C、第1標準バーナ1B、高火力バーナ1Dの順に変更できるように構成されている。
つまり、本実施形態においては、タイマー入力部D1が、消費制限用の加熱部の変更を指令する変更指令手段として用いられて、運転制御部Hが、タイマー入力部D1の変更指令情報に基づいて、4つのコンロバーナ1A〜1Dのうちに定める消費制限用の加熱部を変更するように構成されている。
【0098】
そして、運転制御部Hは、自動調理用の加熱部としての高火力バーナ1A(左コンロ)や第1標準バーナ1B(右コンロ)が消費制限用の加熱部に変更された場合には、その自動調理用の加熱部に対する自動調理処理を実行しないように構成されている。
【0099】
また、運転制御部Hが、消費量制限処理を実行する状態と消費量制限処理を実行しない状態とに切換え自在に構成されている。
すなわち、運転制御部Hは、工場出荷時においては、消費量制限処理を実行する状態にしてあるが、ガスコンロの設置箇所の給排気設備の能力が十分あり最大ガス消費量の制限が不要な場合には、専用の入力装置W(図5参照)をデータ通信可能な状態で運転制御部Hに接続して、消費量制限処理を実行しない状態に切換えるための解除データを入力すると、運転制御部Hが、その解除データに基づいて、消費量制限処理を実行しない状態となるように構成されている。
【0100】
解除データは、その解除データを管理する管理センターが発行されるものであり、ガスコンロを管理する管理作業者が、消費量制限処理を実行しない状態に切換えることを使用者から要求された場合には、給排気設備(換気設備)の能力が十分あることを確認したのち、管理センターに問い合わせて解除データを取得し、専用の入力装置Wにて運転制御部Hに入力することになる。解除データは、ガスコンロ本機のロット番号と解除指令情報とを組み合わせたデータとして構成される。
【0101】
以下、運転制御部Hの制御作動についてフローチャートを参照にして説明する。
図7に示すように、運転制御部Hは、先ず、入力される各種の情報を読み取る情報読取処理(#1)を行う。
次に、運転制御部Hは、消費量制限処理を実行しない状態に切換える制限解除設定処理(#2)、及び、消費量制限処理を行う際にガス消費量を制限することになる消費制限用の加熱部を変更する制限対象変更処理(#3)を順次行う。
【0102】
その後、運転制御部Hは、上述した点火処理、消火処理、火力調節処理、高温停止処理、非常停止処理、コンロ用の自動運転処理、グリル用の自動運転処理、及び、消費量制限処理を構成する具体的処理として、出力設定処理(#4)、火力設定処理(#5)、ガス消費量設定処理(#6)、出力処理(#7)、及び、火力変更処理(#8)を行う。
【0103】
以下、運転制御部Hが実行する各処理について説明を加える。
情報読取処理は、コンロ用設定操作部D、グリル用設定操作部E、位置センサ7A〜7D、10、及び、被加熱検出センサSの情報を読み取り、並びに、専用の入力装置Wが通信可能な状態に接続されているか否かを判断することになる。
ちなみに、高火力バーナ1A(左コンロ)や第1標準バーナ1B(右コンロ)が消費制限用の加熱部に変更された場合において、そのバーナについて自動調理処理を行うことがコンロ用設定操作部Dにて設定されようとしたときには、その設定を無効にし、且つ、警報ブザー(図示せず)を作動させる。
【0104】
図8に示すように、制限解除設定処理は、先ず、専用の入力装置Wが接続されて、制御解除通信モードになったか否かを判別し(#11)、制御解除通信モードでないときには、次の制限対象変更処理に移行することになる。
制御解除通信モードであると判別したときには、専用の入力装置Wにて入力された解除データがガスコンロ本機のロット番号に対応するものであるか否かを判別し(#12)、
対応するものである場合には、制限解除指令であるか否かを判別する(#13)。
【0105】
専用の入力装置Wにて入力された解除データがガスコンロ本機のロット番号に対応するものであり、しかも、制限解除指令である場合には、消費量制限処理を実行しない状態に定めることになる制限解除フラグを「1」に設定する(#14)。
【0106】
ステップ#12にて、入力された解除データがロット番号に対応するものでないと判別したとき、ステップ#13にて、制限解除指令でないと判別したとき、及び、ステップ#15にて、制限解除フラグを「1」ときには、次に、専用の入力装置Wとの通信が完了した場合及び通信が切断した場合の終了状態であるか否かを判別し(#15)、終了状態であるときには、制限対象変更処理に移行することになり、終了状態でないときには、ステップ#12からの処理を繰り返すことになる。
【0107】
図9に示すように、制限対象変更処理は、先ず、上述の制限解除設定処理にて設定されることになる制限解除フラグが「1」であるか否かを判別する(#21)。
制限解除フラグが「1」であるときには、高火力バーナ制限フラグ、第1標準バーナ制限フラグ、小火力バーナ制限フラグ、第2標準バーナ制限フラグ、及び、グリルバーナ制限フラグの夫々を「0」に設定し(#22)、次のガス消費量設定処理に移行する。
尚、各制限フラグは、ガス消費量設定処理及び火力設定処理において、消費量制限を行うバーナであるか否かを判別するために用いられることになり、「1」にて消費量制限を行うバーナに設定され、「0」にて消費量制限を行わないバーナに設定される。
【0108】
ステップ#21にて、制限解除フラグが「1」でないと判別したときには、高火力バーナ制限フラグ、第1標準バーナ制限フラグ、小火力バーナ制限フラグ、及び、グリルバーナ制限フラグの夫々を「0」に設定し、且つ、第2標準バーナ制限フラグを「1」に設定する。
【0109】
次に、タイマー入力部D1の時間増加スイッチ33Aと時間減少スイッチ33Bとが同時に押されたか否かを判別し、同時押しでないときには、次のガス消費量設定処理に移行する。
同時押しであるときには、時間増加スイッチ33Aと時間減少スイッチ33Bとが同時に押されている間に、タイマー選択スイッチ31が操作されたか否かを判別し(#25)、タイマー選択スイッチ31が押し操作されるごとに、高火力バーナ1A、第1標準バーナ1B、第2標準バーナ1D、小火力バーナ1Cが順次選択されたものと判断する(#26〜#32)。
【0110】
そして、高火力バーナ1Aが選択された場合には、高火力バーナ制限フラグを「1」に設定し、かつ、他のバーナの制限フラグを「0」に設定し(#27)、第1標準バーナ1Bが選択された場合には、第1標準バーナ制限フラグを「1」に設定し、かつ、他のバーナの制限フラグを「0」に設定し(#29)、第2標準バーナ1Dが選択された場合には、第2標準バーナ制限フラグを「1」に設定し、かつ、他のバーナの制限フラグを「0」に設定する(#31)。
また、小火力バーナ1Cが選択された場合には、小火力バーナ1Cは、消費量制限のために用いることができないので、制限フラグ変更なしとする(#33)。
【0111】
ステップ#25にて、同時押しが判別されないときや、ステップ#27、#29、#31、#33にて、制限フラグの設定をしたのちは、時間増加スイッチ33Aと時間減少スイッチ33Bとが同時に押されてからの経過時間が30秒経過したか否かを判別し(#34)、経過していないときには、ステップ#25からの処理を繰り返し、また、経過しているときには、次のガス消費量設定処理に移行する。
【0112】
出力設定処理は、情報読取処理にて読み取った読取情報、及び、現在の運転状態に基づいて、点火プラグPの点火作動、点灯器8A〜8Dの点灯作動、元ガス弁18の開閉作動等の各種アクチュエータの目標作動状態を設定することになる。
ちなみに、現在の運転状態とは、コンロ用の自動運転処理や、グリル用の自動運転処理の進行状況である。
【0113】
火力設定処理は、情報読取処理にて読み取った読取情報及び現在の運転状態に基づいて、4つのコンロバーナ1A〜1D及びグリルバーナ2ついての目標火力(設定火力)を定めることになる。
ちなみに、目標火力(設定火力)とは、基本的には、操作具6A〜6Dやグリル操作具9にて設定される火力であるが、コンロ用設定操作部D及びグリル用設定操作部Eの設定情報に基づいて、運転制御部Hが、コンロ用の自動運転処理やグリル用の自動運転処理を実行するために、操作具6A〜6Dやグリル操作具9にて設定される火力とは異なる火力に定める場合には、その運転制御部Hにて定める火力が、目標火力(設定火力)となる。
さらに、自動調理処理として火力繰り返し変更処理を行う場合、つまり、揚げもの運転処理や炊飯運転処理を行う場合においては、高火力バーナ1A(左コンロ)や第1標準バーナ1B(右コンロ)の目標火力(設定火力)は、高火力状態(最大火力)に設定される。
【0114】
図10に示すように、ガス消費量設定処理は、先ず、高火力バーナ1A、第1標準バーナ1B、小火力バーナ1C、第2標準バーナ制限1D、及び、グリルバーナ2を定めるためのカウント値n(図面中では、バーナnと記載)を加算する処理を行う(#41)。
尚、このカウント値nを加算する処理(#41)は、ステップ#48にて「5」が判別されるまで、繰り返し行われ、且つ、ステップ#48にて「5」が判別されると、カウント値nは「0」に設定されて、次の出力処理に移行する。
【0115】
ステップ#41の処理のあとは、カウント値nのバーナの制限フラグが「1」であるか否かを判別し(#42)、制限フラグが「1」でない場合には、カウント値nのバーナの専有消費量を、火力設定処理にて定めた目標火力(設定火力)に対応するガス消費量に定める(#43)。
【0116】
ステップ42にて、制限フラグが「1」であると判別した場合には、バーナの設定火力の総和が設定最大量よりも大きいか否かを判別し(#44)、大きくない場合には、ステップ#43の処理を実行する。
そして、バーナの設定火力の総和が設定最大量よりも大きいと判別した場合には、カウント値nのバーナの専有消費量を、設定最大量と他の3つのバーナ及びグリルバーナついてのガス消費量の総和との差に相当するガス消費量に定める(#45)。
【0117】
次に、カウント値nのバーナについて火力設定処理にて定めた目標火力(設定火力)がカウント値nのバーナの専有消費量よりも大きいか否かを判別し(#46)、大きくない場合には、ステップ#48に移行する。
また、ステップ#46にて大きいと判別した場合には、そのカウント値nのバーナに対応する点灯器を低速で点滅することを設定し(#47)、ステップ#48に移行する。
【0118】
出力処理は、上述の出力設定処理にて設定した目標作動情報に基づいて、点火プラグPの点火作動、点灯器8A〜8Dの点灯作動、元ガス弁18の開閉作動等の各種アクチュエータを作動させることになる。
尚、点灯器8A〜8Dは、上述のガス消費量設定処理にて低速で点滅することが設定されると、低速で点滅し、また、後述の火力変更処理にて高速で点滅することが設定されると、高速で点滅することになる。
【0119】
図11に示すように、火力変更処理は、先ず、高火力バーナ1A、第1標準バーナ1B、小火力バーナ1C、第2標準バーナ制限1D、及び、グリルバーナ2を定めるためのカウント値n(図面中では、バーナnと記載)を加算する処理を行う(#51)。
尚、このカウント値nを加算する処理(#51)は、ステップ#55にて「5」が判別されるまで、繰り返し行われ、且つ、ステップ#55にて「5」が判別されると、カウント値nは「0」に設定されて、次の情報読取処理に移行する。
【0120】
ステップ#51のあとは、高火力バーナ1A、第1標準バーナ1B、小火力バーナ1C、第2標準バーナ制限1D、及び、グリルバーナ2に対して火力設定処理にて定めた目標火力(設定火力)の総和が、設定最大量であるか否かを判別する(#52)。
ステップ#52にて、総和が設定最大量よりも大きくないと判別したときには、カウント値nのバーナの現在の火力がガス消費量設定処理にて設定した専有消費量よりも小であるか否かを判別する(#53)。
その判別にて小で無いと判別し場合には、カウント値nのバーナの火力を、ガス消費量設定処理にて設定したそのカウント値nのバーナの専有消費量に調節すべく、そのカウント値nのバーナに対応する流量調節弁のステッピングモータを作動させる火力調節を行い(#54)、ステップ#55に移行する。
【0121】
ステップ#53にて小であると判別した場合には、そのカウント値nのバーナの制限フラグが「1」であるか否かを判別し(#58)、「1」で無い場合には、ステップ#54に移行して、火力調節を行う。
ステップ#58にて制限フラグが「1」であると判別した場合には、そのカウント値nのバーナのガス消費量を制限中であったか否かを、つまり、全てのバーナのガス消費量の総和が設定最大量を超えないようにするために、今まで、そのカウント値nのバーナのガス消費量を目標火力(設定火力)よりも減少させる制限中であったか否かを判別し(#59)、制限中でなかった場合には、ステップ#54に移行する。
【0122】
ステップ#59にて制限中であったと判別した場合には、そのカウント値nのバーナに対応する点灯器を高速で点滅することを設定し(#60)、次に、そのカウント値nのバーナの火力が、火力減少側に操作された後に大火力側に操作された状態であるか否かを判断する(#61)。
そして、#61にて、火力減少側に操作された後に大火力側に操作された状態であると判別した場合には、ステップ#54に移行し、火力減少側に操作された後に大火力側に操作された状態で無い場合には、ステップ#55に移行する。
【0123】
ステップ#52にて、高火力バーナ1A、第1標準バーナ1B、小火力バーナ1C、第2標準バーナ制限1D、及び、グリルバーナ2に対して火力設定処理にて定めた目標火力(設定火力)の総和が、設定最大量よりも大きいと判別した場合には、そのカウント値nのバーナを除いたバーナについての現在の火力の総和とそのカウント値nのバーナの専有消費量を加えた値が、設定最大量よりも大きいか否かを判別し(#57)、大きくない場合には、ガス消費量を制限するバーナであるとして、#54に移行する。
また、ステップ#57にて、大きいと判別した場合には、ガス消費量を制限するバーナではないため、ガス消費量を制限するバーナのガス消費量が減少されるまでは火力調節を行わないようにすべく、ステップ#55に移行する。
【0124】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、消費制限用の加熱部にて消費するガス消費量を制限する消費量制限処理として、全ての加熱部のうちの、消費制限用の加熱部を除いた消費非制限用の加熱部についてのガス消費量の総和を求めて、消費制限用の加熱部についてのガス消費量を、設定最大量と消費非制限用の加熱部についてのガス消費量の総和との差に相当するガス消費量に制限する場合を例示したが、単に、全ての加熱部が同時に使用されると、消費制限用の加熱部のガス消費量を設定値に制限する形態で実施しても良い。
その場合、自動運転処理として、5分間保温モードにて湯わかし運転処理を行っているときに、大火力状態(最大火力)加熱して沸騰が検知されて、火力を小火力状態に切換えたときには、その後、その5分間保温モードにおいては大火力状態に切換えられることはなく、消費量制御処理を解除できる状態であるとみなせるから、火力を小火力状態に切換えたときには、消費量制限処理を解除しても良い。
【0125】
(2)上記実施形態では、消費非制限用の加熱部として、グリルバーナを備えさせるガスコンロを例示したが、本願発明は、グリルバーナを装備しないガスコンロに適用できることは勿論である。
【0126】
(3)上記実施形態では、コンロ用のバーナとして、4つのバーナを備えさせる場合を例示したが、本願発明は、3つのバーナを備えるものや、5つ以上のバーナを備えるガスコンロにも適用できる。
【0127】
(4)上記実施形態では、加熱状態設定手段が、点火及び消火の指令と目標火力の設定とを兼用の操作具にて行うように構成される場合を例示したが、点火及び消火の指令操作具と、目標火力を設定する操作具とを各別に設ける形態で実施しても良い。
【0128】
(5)本願発明を実施するに、自動調理用の加熱部にて行う自動調理は、上記実施形態で述べた種類の自動調理以外のものを備えさせてもよく、また、上記実施形態で述べた種類の自動調理のうちの一部を備えさせてもよい。
【符号の説明】
【0129】
B 加熱部
U 加熱状態設定手段
D、E 自動調理設定手段
D1 変更指令手段
H 運転制御手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス燃焼式の複数の加熱部の夫々に対して点火及び消火を指令し、且つ、前記複数の加熱部の夫々についての目標火力を設定する手動操作式の複数の加熱状態設定手段、
前記複数の加熱部のうちの自動調理を行うものとして定められた自動調理用の加熱部に対して自動調理情報を設定する手動操作式の自動調理設定手段、及び、
前記複数の加熱部の燃焼を制御する運転制御手段が設けられ、
前記運転制御手段が、
前記複数の加熱状態設定手段の点火及び消火の指令情報に基づいて、前記複数の加熱部についての点火及び消火を行う点消火処理、
前記複数の加熱状態設定手段の目標火力の設定情報に基づいて、前記複数の加熱部についての燃料供給量調節手段を制御する火力調節処理、及び、
前記自動調理設定手段にて設定された自動調理情報に基づいて、前記自動調理用の加熱部の前記燃料供給量調節手段を制御する自動調理処理を実行するように構成されたガスコンロであって、
前記運転制御手段が、前記複数の加熱部にて消費するガス消費量の総和が設定最大量を越えないように、前記複数の加熱部のうちの前記自動調理用の加熱部とは異なる消費制限用の加熱部についてのガス消費量を制限する消費量制限処理を実行するように構成されているガスコンロ。
【請求項2】
前記運転制御手段が、前記消費量制限処理として、
前記複数の加熱部のうちの前記消費制限用の加熱部を除いた消費非制限用の加熱部についてのガス消費量の総和を求めて、前記消費制限用の加熱部についてのガス消費量を、前記設定最大量と前記消費非制限用の加熱部ついてのガス消費量の総和との差に相当するガス消費量に制限するように構成されている請求項1記載のガスコンロ。
【請求項3】
前記運転制御手段が
前記自動調理設定手段にて設定される複数種の自動調理のうちの少なくともひとつに対する前記自動調理処理として、前記自動調理用の加熱部に対する火力を高火力状態と低火力状態とに繰り返して切換えるように、前記燃料供給量調節手段を制御する火力繰り返し変更処理を行うように構成され、且つ、
前記消費量制限処理おいて、前記自動調理処理として前記火力繰り返し変更処理を行う場合における前記自動調理用の加熱部のガス消費量を、前記高火力状態に対応するガス消費量とする形態で、前記消費非制限用の加熱部についてのガス消費量の総和を求めるように構成されている請求項2記載のガスコンロ。
【請求項4】
前記運転制御手段が、
前記消費量制限処理として、前記消費制限用の加熱部の燃焼中において、前記加熱状態設定手段の目標火力設定情報に基づいて前記消費非制限用の加熱部の火力を高火力側に調節したならば前記複数の加熱部のガス消費量の総和が前記設定最大量を超えることなる状態になった場合には、前記消費制限用の加熱部についてのガス消費量を、前記設定最大量と火力を高火力側に調節したと仮定したときの前記消費非制限用の加熱部についてのガス消費量の総和との差に相当する消費量に減少したのちに、前記消費非制限用の加熱部についてのガス消費量を増加させるように構成されている請求項2又は3に記載のガスコンロ。
【請求項5】
前記運転制御手段が、
前記消費量制限処理として、前記消費制限用の加熱部についてのガス消費量を、前記加熱状態設定手段にて設定された目標火力に対応するガス消費量よりも減少させているときに、前記消費制限用の加熱部についてのガス消費量を増加させても前記複数の加熱部のガス消費量の総和が前記設定最大量を超えない状態になった場合において、前記消費制限用の加熱部についての前記加熱状態設定手段が火力減少側に操作されたのちに火力増大側に操作されると、その加熱状態設定手段の目標火力設定情報に基づいて、前記消費制限用の加熱部についてのガス消費量を増加させるように構成されている請求項2〜4のいずれか1項に記載のガスコンロ。
【請求項6】
前記消費制限用の加熱部の変更を指令する変更指令手段が設けられ、
前記運転制御手段が、前記変更指令手段の変更指令情報に基づいて、前記複数の加熱部のうちに定める前記消費制限用の加熱部を変更するように構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載のガスコンロ。
【請求項7】
前記運転制御手段は、前記自動調理用の加熱部が前記消費制限用の加熱部に変更された場合には、その自動調理用の加熱部に対する自動調理処理を実行しないように構成されている請求項6に記載のガスコンロ。
【請求項8】
前記運転制御手段が、前記消費量制限処理を実行する状態と前記消費量制限処理を実行しない状態とに切換え自在に構成されている請求項1〜7のいずれか1項に記載のガスコンロ。
【請求項1】
ガス燃焼式の複数の加熱部の夫々に対して点火及び消火を指令し、且つ、前記複数の加熱部の夫々についての目標火力を設定する手動操作式の複数の加熱状態設定手段、
前記複数の加熱部のうちの自動調理を行うものとして定められた自動調理用の加熱部に対して自動調理情報を設定する手動操作式の自動調理設定手段、及び、
前記複数の加熱部の燃焼を制御する運転制御手段が設けられ、
前記運転制御手段が、
前記複数の加熱状態設定手段の点火及び消火の指令情報に基づいて、前記複数の加熱部についての点火及び消火を行う点消火処理、
前記複数の加熱状態設定手段の目標火力の設定情報に基づいて、前記複数の加熱部についての燃料供給量調節手段を制御する火力調節処理、及び、
前記自動調理設定手段にて設定された自動調理情報に基づいて、前記自動調理用の加熱部の前記燃料供給量調節手段を制御する自動調理処理を実行するように構成されたガスコンロであって、
前記運転制御手段が、前記複数の加熱部にて消費するガス消費量の総和が設定最大量を越えないように、前記複数の加熱部のうちの前記自動調理用の加熱部とは異なる消費制限用の加熱部についてのガス消費量を制限する消費量制限処理を実行するように構成されているガスコンロ。
【請求項2】
前記運転制御手段が、前記消費量制限処理として、
前記複数の加熱部のうちの前記消費制限用の加熱部を除いた消費非制限用の加熱部についてのガス消費量の総和を求めて、前記消費制限用の加熱部についてのガス消費量を、前記設定最大量と前記消費非制限用の加熱部ついてのガス消費量の総和との差に相当するガス消費量に制限するように構成されている請求項1記載のガスコンロ。
【請求項3】
前記運転制御手段が
前記自動調理設定手段にて設定される複数種の自動調理のうちの少なくともひとつに対する前記自動調理処理として、前記自動調理用の加熱部に対する火力を高火力状態と低火力状態とに繰り返して切換えるように、前記燃料供給量調節手段を制御する火力繰り返し変更処理を行うように構成され、且つ、
前記消費量制限処理おいて、前記自動調理処理として前記火力繰り返し変更処理を行う場合における前記自動調理用の加熱部のガス消費量を、前記高火力状態に対応するガス消費量とする形態で、前記消費非制限用の加熱部についてのガス消費量の総和を求めるように構成されている請求項2記載のガスコンロ。
【請求項4】
前記運転制御手段が、
前記消費量制限処理として、前記消費制限用の加熱部の燃焼中において、前記加熱状態設定手段の目標火力設定情報に基づいて前記消費非制限用の加熱部の火力を高火力側に調節したならば前記複数の加熱部のガス消費量の総和が前記設定最大量を超えることなる状態になった場合には、前記消費制限用の加熱部についてのガス消費量を、前記設定最大量と火力を高火力側に調節したと仮定したときの前記消費非制限用の加熱部についてのガス消費量の総和との差に相当する消費量に減少したのちに、前記消費非制限用の加熱部についてのガス消費量を増加させるように構成されている請求項2又は3に記載のガスコンロ。
【請求項5】
前記運転制御手段が、
前記消費量制限処理として、前記消費制限用の加熱部についてのガス消費量を、前記加熱状態設定手段にて設定された目標火力に対応するガス消費量よりも減少させているときに、前記消費制限用の加熱部についてのガス消費量を増加させても前記複数の加熱部のガス消費量の総和が前記設定最大量を超えない状態になった場合において、前記消費制限用の加熱部についての前記加熱状態設定手段が火力減少側に操作されたのちに火力増大側に操作されると、その加熱状態設定手段の目標火力設定情報に基づいて、前記消費制限用の加熱部についてのガス消費量を増加させるように構成されている請求項2〜4のいずれか1項に記載のガスコンロ。
【請求項6】
前記消費制限用の加熱部の変更を指令する変更指令手段が設けられ、
前記運転制御手段が、前記変更指令手段の変更指令情報に基づいて、前記複数の加熱部のうちに定める前記消費制限用の加熱部を変更するように構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載のガスコンロ。
【請求項7】
前記運転制御手段は、前記自動調理用の加熱部が前記消費制限用の加熱部に変更された場合には、その自動調理用の加熱部に対する自動調理処理を実行しないように構成されている請求項6に記載のガスコンロ。
【請求項8】
前記運転制御手段が、前記消費量制限処理を実行する状態と前記消費量制限処理を実行しない状態とに切換え自在に構成されている請求項1〜7のいずれか1項に記載のガスコンロ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−64408(P2011−64408A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−215933(P2009−215933)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(301066992)株式会社ハーマンプロ (145)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(301066992)株式会社ハーマンプロ (145)
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