ガスセンサを備える装置
【課題】点検用のガスを検出素子に供給するための配管の設置効率を向上させる。
【解決手段】燃料電池システム2内部のガス流路に設置され、所定の検出対象ガスを検出する検出素子を有するガスセンサ3に対し、燃料電池システム2の外部から導入される点検用ガスをガスセンサ3の検出素子まで導く点検用ガス導入配管12を燃料電池システム2へ取り付ける配管取付部材15は、点検用ガス導入配管12とは異なる配管16または電気配線17を燃料電池システム2取り付ける取付部材を兼ねる。点検用ガス導入配管12に接続された流路切換接続部14は、点検用ガス導入配管12を、外部の点検用ガス供給装置20の点検用ガス供給配管31または要換気デバイス21に接続された換気用配管21aに切り換えて接続する。
【解決手段】燃料電池システム2内部のガス流路に設置され、所定の検出対象ガスを検出する検出素子を有するガスセンサ3に対し、燃料電池システム2の外部から導入される点検用ガスをガスセンサ3の検出素子まで導く点検用ガス導入配管12を燃料電池システム2へ取り付ける配管取付部材15は、点検用ガス導入配管12とは異なる配管16または電気配線17を燃料電池システム2取り付ける取付部材を兼ねる。点検用ガス導入配管12に接続された流路切換接続部14は、点検用ガス導入配管12を、外部の点検用ガス供給装置20の点検用ガス供給配管31または要換気デバイス21に接続された換気用配管21aに切り換えて接続する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスセンサを備える装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば気密性ハウジング内部にハウジング内流路と、このハウジング内流路に連通する点検用ガス流通路とを備え、外部から点検用ガス導入部に供給されて、この点検用ガス導入部の噴射孔から点検用ガス流通路に噴射された点検用ガスが、点検用ガス流通路を介して、ハウジング内流路に配置されたガス検出素子に到達可能となるように構成されたガス警報器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−202623号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来技術に係るガス警報器においては、ガス警報器内部に点検用ガスを流通させるために専用の点検用ガス流通路と、この点検用ガス流通路に点検用ガスを噴射させるために専用の点検用ガス導入部とを備える必要があり、ガス警報器の構成が複雑化かつ大型化してしまうという問題がある。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、点検用のガスを検出素子に供給するための配管の設置効率を向上させることが可能なガスセンサを備える装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明の第1態様に係るガスセンサを備える装置は、装置(例えば、実施の形態での燃料電池システム2)の内部のガス流路に設置され、所定の検出対象ガスを検出する検出素子を有するガスセンサ(例えば、実施の形態でガスセンサ3)と、前記装置の外部から導入される点検用ガスを前記検出素子まで導く点検用ガス導入配管(例えば、実施の形態での点検用ガス導入配管12)とを備えるガスセンサを備える装置であって、前記点検用ガス導入配管を前記装置へ取り付ける点検用ガス導入配管取付部材(例えば、実施の形態での配管取付部材15)は、前記点検用ガス導入配管とは異なる前記装置の内部の配管(例えば、実施の形態での配管16)または電気配線(例えば、実施の形態での電気配線17)を前記装置へ取り付ける取付部材を兼ねる。
【0006】
また、本発明の第2態様に係るガスセンサを備える装置は、装置の内部のガス流路に設置され、所定の検出対象ガスを検出する検出素子を有するガスセンサ(例えば、実施の形態でガスセンサ3)と、前記装置の外部から導入される点検用ガスを前記検出素子まで導く点検用ガス導入配管(例えば、実施の形態での点検用ガス導入配管12)とを備えるガスセンサを備える装置であって、前記点検用ガス導入配管の少なくとも一部は前記装置の内部の換気を行う換気用配管を兼ねる。
【発明の効果】
【0007】
第1態様に係るガスセンサを備える装置によれば、点検用ガス導入配管を装置へ取り付ける点検用ガス導入配管取付部材によって、点検用ガス導入配管とは異なる配管または電気配線を装置へ取り付けることができ、例えば各配管または電気配線毎に取付部材を備える場合に比べて、部品点数の増大を抑制し、装置の搭載性を向上させることができる。
【0008】
さらに、第2態様に係るガスセンサを備える装置によれば、点検用ガス導入配管の少なくとも一部は装置の内部の換気を行う換気用配管を兼ねることから、例えば点検用ガス導入配管とは独立して換気用の配管を設ける場合に比べて、装置構成が複雑化かつ大型化してしまうことを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明のガスセンサを備える装置の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。
この実施形態によるガスセンサを備える装置10は、例えば図1に示すように、燃料電池車両や電動車両の動力源として車両1に搭載された燃料電池システム2であって、この燃料電池システム2は、例えば、固体高分子電解質型の燃料電池と、燃料ガスである水素ガスを貯留する燃料タンクおよびレギュレータ等を具備する燃料供給装置と、酸化剤ガスとして酸素を含む空気を燃料電池に供給する過給機等を具備する空気供給装置と、燃料電池の発電電流を制御する電流制御器と、燃料電池の発電電力を蓄電するキャパシタ等からなる蓄電装置等とからなる各種の燃料電池デバイス2a,2b,2c,…と、例えば接触燃焼式または半導体式等の水素ガスを検出可能なガスセンサ3とを備えて構成されている。
【0010】
ガスセンサ3は、例えば燃料電池の酸素極側の出口側配管(図示略)に加えて、例えば図2に示すように、車両1のフロアパネル5の中央部を車室内側に膨出させて形成されたセンタートンネル6に配置され、例えばフロアパネル5の鉛直方向下方側の車室外においてフロアパネル5と車体下部7との間に配置される燃料タンク等の各種の燃料電池デバイス2a,2b,2c,…に対して複数のガスセンサ3の各検出部3aが臨むように設置され、センタートンネル6を形成するフロアパネル5の下面5A付近に水素ガスが滞留しているか否かを検出可能である。
なお、例えば接触燃焼式のガスセンサ3の検出部3aは、開口部を有するガス検出室内に配置された検出素子および温度補償素子により構成されている。
【0011】
さらに、この燃料電池システム2は、ガスセンサ3の検出部3aに点検用ガスを供給する点検用ガス供給機構11を備え、この点検用ガス供給機構11は、例えば点検用ガス導入配管12と、点検用ガス噴出部13と、流路切換接続部14と、配管取付部材15とを備えて構成されている。
【0012】
点検用ガス導入配管12は、例えばステンレス等の金属あるいはエチレンプロピレンゴムやシリコン等の非金属からなり、例えばブラケット等のガイド部材や固定部材からなる配管取付部材15によって、燃料電池システム2に具備される他の配管16や電気配線17と共に、燃料電池システム本体あるいは車体に固定されている。
点検用ガス導入配管12は、例えば複数のガスセンサ3毎に対応して複数に分岐する分岐配管12aを備え、各分岐配管12aの端部には点検用ガス噴出部13が設けられている。
そして、点検用ガス導入配管12は、流路切換接続部14を介して、外部の点検用ガス供給装置20または適宜の要換気デバイス21に接続可能とされている。
【0013】
点検用ガス噴出部13は、例えば図2および図3に示すように、点検用ガス導入配管12または各ガスセンサ3毎に対応して点検用ガス導入配管12から適宜に分岐する分岐配管12aの端部に設けられ、例えば点検用ガス導入配管12または分岐配管12aの端部からガスセンサ3の検出部3aに向かい屈曲する屈曲部13aと、所定の噴出間隔Laを置いてガスセンサ3の検出部3aに対向配置され、点検用ガス導入配管12または分岐配管12aから屈曲部13a内へと流通する点検用ガスを、検出部3aに向かい、例えば検出部3aの検出面に対して直交する方向に噴出する略円形の断面形状を有する噴出口13bとを備え、さらに、この噴出口13bには、例えば樹脂からなる撥水フィルタ22が配置されている。
【0014】
なお、点検用ガス導入配管12の外径および点検用ガス噴出部13の外径寸法は、例えばガスセンサ3の被検出ガスに対して所望の流通状態を維持するために要する所定の大きさの流通空間を確保可能な値とされ、例えばガスセンサ3の検出部3aと、この検出部3aに対向配置された燃料電池デバイス2aとの間の距離Lbによるガス流路において、噴出間隔Laを含む所定の空間間隔を確保可能な値とされている。
また、噴出間隔Laは、例えば所定濃度の点検用ガスを噴出口13bから噴出した際に、ガスセンサ3の検出精度の範囲内にて検出濃度が所定の安定状態となる値であって、例えば水素ガスに対しては、5mm等とされている。
【0015】
流路切換接続部14は、点検用ガス導入配管12を、外部の点検用ガス供給装置20の点検用ガス供給配管31または要換気デバイス21に接続された換気用配管21aに切り換えて接続するための締結部23を備え、この締結部23は、例えば図5(a)に示すように金属からなるフランジ部23aまたはねじ部、あるいは、例えば図5(b)に示すように非金属からなるバルジ部23bを備えている。これにより、流路切換接続部14は、例えば締結部23のフランジ部23aに装着されるボルト等の締結部材によって、あるいは、締結部23のバルジ部23bによって、所望のシール性を確保した状態で点検用ガス供給配管31または換気用配管21aに切り換え接続可能とされている。
【0016】
そして、流路切換接続部14によって点検用ガス導入配管12と点検用ガス供給配管31とが接続された場合には、点検用ガス供給装置20から供給される点検用ガスが点検用ガス導入配管12に導入される。
また、流路切換接続部14によって点検用ガス導入配管12と換気用配管21aとが接続された場合には、点検用ガス導入配管12および換気用配管21aを介して、適宜の要換気デバイス21に対する換気が行われる。
【0017】
なお、点検用ガス供給装置20の点検用ガス供給配管31の端部には、流路切換接続部14の締結部23に締結される供給側締結部32が設けられ、この供給側締結部32は、例えば車体下部7に設けられた貫通孔7aを介して車体の内部に挿入可能とされ、この貫通孔7aは、例えば着脱カバー24により閉塞可能とされている。
【0018】
上述したように、本実施の形態によるガスセンサを備える装置10によれば、例えば直接的に目視出来ない部位等に搭載されているガスセンサ3に対して、点検用ガスを供給可能な点検用ガス導入配管12および点検用ガス噴出部13を設け、この点検用ガス導入配管12に、着脱カバー24により閉塞可能な車体下部7の貫通孔7aを介して、外部の点検用ガス供給装置20の点検用ガス供給配管31を接続可能としたことから、システム構成が複雑化かつ大型化してしまうことを防止しつつ、容易かつ的確にガスセンサ3の点検を行うことができる。
【0019】
しかも、点検用ガス導入配管12を車体または燃料電池システム本体へ取り付ける配管取付部材15によって、点検用ガス導入配管12とは異なる配管16や電気配線17を車体または燃料電池システム本体へ取り付けることができ、例えば各配管16または電気配線17毎に取付部材を備える場合に比べて、部品点数の増大を抑制し、ガスセンサを備える装置10の車両等への搭載性を向上させることができると共に、点検用ガス導入配管12と配管16および電気配線17との互いの配置状態(例えば、配置形状等)を容易に所望の状態に維持することができる。
【0020】
さらに、点検用ガス導入配管12は、流路切換接続部14によって換気用配管21aに接続可能であり、点検用ガス導入配管12の少なくとも一部は燃料電池システム2内部の換気を行う換気用配管を兼ねることから、例えば点検用ガス導入配管とは独立して換気用の専用の配管を設ける場合に比べて、システム構成が複雑化かつ大型化してしまうことを防止することができる。
また、複数のガスセンサ3毎に対応して点検用ガス噴出部13が設けられていることから、複数のガスセンサ3に対して一斉に点検用ガスを供給することができる。
【0021】
なお、上述した実施の形態においては、点検用ガス噴出部13の噴出口13bに撥水フィルタ22を配置するとしたが、これに限定されず、例えば図6に示すように、予め撥水フィルタ22を具備すると共に、点検用ガス噴出部13に着脱可能とされたフィルターキャップ51を備えてもよい。
また、上述した実施の形態においては、撥水フィルタ22に限定されず、例えば金属またはセラミックからなる網状または多孔質状のフィルタが配置されてもよい。
また、上述した実施の形態においては、例えば図7に示すように、撥水フィルタ22が省略されてもよい。
【0022】
なお、上述した実施の形態においては、点検用ガス噴出部13は、屈曲部13aと噴出口13bとを備えるとしたが、これに限定されず、例えば図8に示すように、屈曲部13aは省略されてもよい。この場合には、点検用ガス導入配管12または分岐配管12aの適宜の位置に噴出口13bが形成される。そして、例えば図9に示すように、予め撥水フィルタ22を具備すると共に、点検用ガス導入配管12または分岐配管12aの端部に着脱可能とされたフィルターキャップ52を備えてもよい。
【0023】
なお、上述した実施の形態においては、点検用ガス噴出部13の噴出口13bの断面形状を略円形としたが、これに限定されず、例えば図10に示すように、略楕円形であってもよいし、例えば図11に示すように、略長方形であってもよい。
また、上述した実施の形態において、点検用ガス噴出部13は、例えば図12に示すように、点検用ガスの流通方向で隣り合うように配置された複数の噴出口13bを備えてもよいし、例えば図13に示すように、複数に分岐した分岐端部53を備え、各分岐端部53に噴出口13bが形成されてもよい。
【0024】
なお、上述した実施の形態において、要換気デバイス21および換気用配管21aは省略されてもよい。
また、上述した実施の形態において、配管取付部材15は省略されてもよい。
さらに、上述した燃料電池デバイス2a,2b,2c,…の過給機、電流制御器、蓄電装置、等を制御するECU(Electric Control Unit)に各ガスセンサ3の検出結果に基づいて各ガスセンサ3の故障を判断する判断機能を備えさせ、判断結果を上述の電気配線17に出力するようにし、電気配線17には流路切換接続部14と同じ位置に接続用カプラを設け、また、点検用ガス供給装置20には、接続用カプラに接続するカプラと配線および表示部を設けるようにしてもよい。このようにすれば、点検用ガスの供給作業および点検結果(判断結果)の確認を1つの点検用ガス供給装置20により同一の作業者が同一の作業場所で行なうことができ、点検作業の効率化が図られる。
【0025】
なお、上述した実施の形態において、ガスセンサを備える装置10を燃料電池システム2としたが、これに限定されず、他の装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係るガスセンサを備える装置(燃料電池システム)を車体の下方から上方に向かい見た要部平面図である。
【図2】図1に示すA−A線断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る点検用ガス噴出部およびガスセンサを車体の下方から上方に向かい見た要部平面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る点検用ガス噴出部の要部断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る流路切換接続部の締結部の要部断面図である。
【図6】本発明の実施形態の変形例に係る点検用ガス噴出部の要部断面図である。
【図7】本発明の実施形態の変形例に係る点検用ガス噴出部の要部断面図である。
【図8】本発明の実施形態の変形例に係る点検用ガス噴出部の要部断面図である。
【図9】本発明の実施形態の変形例に係る点検用ガス噴出部の要部断面図である。
【図10】本発明の実施形態の変形例に係る点検用ガス噴出部を車体の上方から下方に向かい見た要部平面図である。
【図11】本発明の実施形態の変形例に係る点検用ガス噴出部を車体の上方から下方に向かい見た要部平面図である。
【図12】本発明の実施形態の変形例に係る点検用ガス噴出部を車体の上方から下方に向かい見た要部平面図である。
【図13】本発明の実施形態の変形例に係る点検用ガス噴出部を車体の上方から下方に向かい見た要部平面図である。
【符号の説明】
【0027】
2 燃料電池システム
3 ガスセンサ
10 ガスセンサを備える装置
12 点検用ガス導入配管
15 配管取付部材(点検用ガス導入配管取付部材)
16 配管
17 電気配線
21a 換気用配管
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスセンサを備える装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば気密性ハウジング内部にハウジング内流路と、このハウジング内流路に連通する点検用ガス流通路とを備え、外部から点検用ガス導入部に供給されて、この点検用ガス導入部の噴射孔から点検用ガス流通路に噴射された点検用ガスが、点検用ガス流通路を介して、ハウジング内流路に配置されたガス検出素子に到達可能となるように構成されたガス警報器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−202623号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来技術に係るガス警報器においては、ガス警報器内部に点検用ガスを流通させるために専用の点検用ガス流通路と、この点検用ガス流通路に点検用ガスを噴射させるために専用の点検用ガス導入部とを備える必要があり、ガス警報器の構成が複雑化かつ大型化してしまうという問題がある。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、点検用のガスを検出素子に供給するための配管の設置効率を向上させることが可能なガスセンサを備える装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明の第1態様に係るガスセンサを備える装置は、装置(例えば、実施の形態での燃料電池システム2)の内部のガス流路に設置され、所定の検出対象ガスを検出する検出素子を有するガスセンサ(例えば、実施の形態でガスセンサ3)と、前記装置の外部から導入される点検用ガスを前記検出素子まで導く点検用ガス導入配管(例えば、実施の形態での点検用ガス導入配管12)とを備えるガスセンサを備える装置であって、前記点検用ガス導入配管を前記装置へ取り付ける点検用ガス導入配管取付部材(例えば、実施の形態での配管取付部材15)は、前記点検用ガス導入配管とは異なる前記装置の内部の配管(例えば、実施の形態での配管16)または電気配線(例えば、実施の形態での電気配線17)を前記装置へ取り付ける取付部材を兼ねる。
【0006】
また、本発明の第2態様に係るガスセンサを備える装置は、装置の内部のガス流路に設置され、所定の検出対象ガスを検出する検出素子を有するガスセンサ(例えば、実施の形態でガスセンサ3)と、前記装置の外部から導入される点検用ガスを前記検出素子まで導く点検用ガス導入配管(例えば、実施の形態での点検用ガス導入配管12)とを備えるガスセンサを備える装置であって、前記点検用ガス導入配管の少なくとも一部は前記装置の内部の換気を行う換気用配管を兼ねる。
【発明の効果】
【0007】
第1態様に係るガスセンサを備える装置によれば、点検用ガス導入配管を装置へ取り付ける点検用ガス導入配管取付部材によって、点検用ガス導入配管とは異なる配管または電気配線を装置へ取り付けることができ、例えば各配管または電気配線毎に取付部材を備える場合に比べて、部品点数の増大を抑制し、装置の搭載性を向上させることができる。
【0008】
さらに、第2態様に係るガスセンサを備える装置によれば、点検用ガス導入配管の少なくとも一部は装置の内部の換気を行う換気用配管を兼ねることから、例えば点検用ガス導入配管とは独立して換気用の配管を設ける場合に比べて、装置構成が複雑化かつ大型化してしまうことを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明のガスセンサを備える装置の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。
この実施形態によるガスセンサを備える装置10は、例えば図1に示すように、燃料電池車両や電動車両の動力源として車両1に搭載された燃料電池システム2であって、この燃料電池システム2は、例えば、固体高分子電解質型の燃料電池と、燃料ガスである水素ガスを貯留する燃料タンクおよびレギュレータ等を具備する燃料供給装置と、酸化剤ガスとして酸素を含む空気を燃料電池に供給する過給機等を具備する空気供給装置と、燃料電池の発電電流を制御する電流制御器と、燃料電池の発電電力を蓄電するキャパシタ等からなる蓄電装置等とからなる各種の燃料電池デバイス2a,2b,2c,…と、例えば接触燃焼式または半導体式等の水素ガスを検出可能なガスセンサ3とを備えて構成されている。
【0010】
ガスセンサ3は、例えば燃料電池の酸素極側の出口側配管(図示略)に加えて、例えば図2に示すように、車両1のフロアパネル5の中央部を車室内側に膨出させて形成されたセンタートンネル6に配置され、例えばフロアパネル5の鉛直方向下方側の車室外においてフロアパネル5と車体下部7との間に配置される燃料タンク等の各種の燃料電池デバイス2a,2b,2c,…に対して複数のガスセンサ3の各検出部3aが臨むように設置され、センタートンネル6を形成するフロアパネル5の下面5A付近に水素ガスが滞留しているか否かを検出可能である。
なお、例えば接触燃焼式のガスセンサ3の検出部3aは、開口部を有するガス検出室内に配置された検出素子および温度補償素子により構成されている。
【0011】
さらに、この燃料電池システム2は、ガスセンサ3の検出部3aに点検用ガスを供給する点検用ガス供給機構11を備え、この点検用ガス供給機構11は、例えば点検用ガス導入配管12と、点検用ガス噴出部13と、流路切換接続部14と、配管取付部材15とを備えて構成されている。
【0012】
点検用ガス導入配管12は、例えばステンレス等の金属あるいはエチレンプロピレンゴムやシリコン等の非金属からなり、例えばブラケット等のガイド部材や固定部材からなる配管取付部材15によって、燃料電池システム2に具備される他の配管16や電気配線17と共に、燃料電池システム本体あるいは車体に固定されている。
点検用ガス導入配管12は、例えば複数のガスセンサ3毎に対応して複数に分岐する分岐配管12aを備え、各分岐配管12aの端部には点検用ガス噴出部13が設けられている。
そして、点検用ガス導入配管12は、流路切換接続部14を介して、外部の点検用ガス供給装置20または適宜の要換気デバイス21に接続可能とされている。
【0013】
点検用ガス噴出部13は、例えば図2および図3に示すように、点検用ガス導入配管12または各ガスセンサ3毎に対応して点検用ガス導入配管12から適宜に分岐する分岐配管12aの端部に設けられ、例えば点検用ガス導入配管12または分岐配管12aの端部からガスセンサ3の検出部3aに向かい屈曲する屈曲部13aと、所定の噴出間隔Laを置いてガスセンサ3の検出部3aに対向配置され、点検用ガス導入配管12または分岐配管12aから屈曲部13a内へと流通する点検用ガスを、検出部3aに向かい、例えば検出部3aの検出面に対して直交する方向に噴出する略円形の断面形状を有する噴出口13bとを備え、さらに、この噴出口13bには、例えば樹脂からなる撥水フィルタ22が配置されている。
【0014】
なお、点検用ガス導入配管12の外径および点検用ガス噴出部13の外径寸法は、例えばガスセンサ3の被検出ガスに対して所望の流通状態を維持するために要する所定の大きさの流通空間を確保可能な値とされ、例えばガスセンサ3の検出部3aと、この検出部3aに対向配置された燃料電池デバイス2aとの間の距離Lbによるガス流路において、噴出間隔Laを含む所定の空間間隔を確保可能な値とされている。
また、噴出間隔Laは、例えば所定濃度の点検用ガスを噴出口13bから噴出した際に、ガスセンサ3の検出精度の範囲内にて検出濃度が所定の安定状態となる値であって、例えば水素ガスに対しては、5mm等とされている。
【0015】
流路切換接続部14は、点検用ガス導入配管12を、外部の点検用ガス供給装置20の点検用ガス供給配管31または要換気デバイス21に接続された換気用配管21aに切り換えて接続するための締結部23を備え、この締結部23は、例えば図5(a)に示すように金属からなるフランジ部23aまたはねじ部、あるいは、例えば図5(b)に示すように非金属からなるバルジ部23bを備えている。これにより、流路切換接続部14は、例えば締結部23のフランジ部23aに装着されるボルト等の締結部材によって、あるいは、締結部23のバルジ部23bによって、所望のシール性を確保した状態で点検用ガス供給配管31または換気用配管21aに切り換え接続可能とされている。
【0016】
そして、流路切換接続部14によって点検用ガス導入配管12と点検用ガス供給配管31とが接続された場合には、点検用ガス供給装置20から供給される点検用ガスが点検用ガス導入配管12に導入される。
また、流路切換接続部14によって点検用ガス導入配管12と換気用配管21aとが接続された場合には、点検用ガス導入配管12および換気用配管21aを介して、適宜の要換気デバイス21に対する換気が行われる。
【0017】
なお、点検用ガス供給装置20の点検用ガス供給配管31の端部には、流路切換接続部14の締結部23に締結される供給側締結部32が設けられ、この供給側締結部32は、例えば車体下部7に設けられた貫通孔7aを介して車体の内部に挿入可能とされ、この貫通孔7aは、例えば着脱カバー24により閉塞可能とされている。
【0018】
上述したように、本実施の形態によるガスセンサを備える装置10によれば、例えば直接的に目視出来ない部位等に搭載されているガスセンサ3に対して、点検用ガスを供給可能な点検用ガス導入配管12および点検用ガス噴出部13を設け、この点検用ガス導入配管12に、着脱カバー24により閉塞可能な車体下部7の貫通孔7aを介して、外部の点検用ガス供給装置20の点検用ガス供給配管31を接続可能としたことから、システム構成が複雑化かつ大型化してしまうことを防止しつつ、容易かつ的確にガスセンサ3の点検を行うことができる。
【0019】
しかも、点検用ガス導入配管12を車体または燃料電池システム本体へ取り付ける配管取付部材15によって、点検用ガス導入配管12とは異なる配管16や電気配線17を車体または燃料電池システム本体へ取り付けることができ、例えば各配管16または電気配線17毎に取付部材を備える場合に比べて、部品点数の増大を抑制し、ガスセンサを備える装置10の車両等への搭載性を向上させることができると共に、点検用ガス導入配管12と配管16および電気配線17との互いの配置状態(例えば、配置形状等)を容易に所望の状態に維持することができる。
【0020】
さらに、点検用ガス導入配管12は、流路切換接続部14によって換気用配管21aに接続可能であり、点検用ガス導入配管12の少なくとも一部は燃料電池システム2内部の換気を行う換気用配管を兼ねることから、例えば点検用ガス導入配管とは独立して換気用の専用の配管を設ける場合に比べて、システム構成が複雑化かつ大型化してしまうことを防止することができる。
また、複数のガスセンサ3毎に対応して点検用ガス噴出部13が設けられていることから、複数のガスセンサ3に対して一斉に点検用ガスを供給することができる。
【0021】
なお、上述した実施の形態においては、点検用ガス噴出部13の噴出口13bに撥水フィルタ22を配置するとしたが、これに限定されず、例えば図6に示すように、予め撥水フィルタ22を具備すると共に、点検用ガス噴出部13に着脱可能とされたフィルターキャップ51を備えてもよい。
また、上述した実施の形態においては、撥水フィルタ22に限定されず、例えば金属またはセラミックからなる網状または多孔質状のフィルタが配置されてもよい。
また、上述した実施の形態においては、例えば図7に示すように、撥水フィルタ22が省略されてもよい。
【0022】
なお、上述した実施の形態においては、点検用ガス噴出部13は、屈曲部13aと噴出口13bとを備えるとしたが、これに限定されず、例えば図8に示すように、屈曲部13aは省略されてもよい。この場合には、点検用ガス導入配管12または分岐配管12aの適宜の位置に噴出口13bが形成される。そして、例えば図9に示すように、予め撥水フィルタ22を具備すると共に、点検用ガス導入配管12または分岐配管12aの端部に着脱可能とされたフィルターキャップ52を備えてもよい。
【0023】
なお、上述した実施の形態においては、点検用ガス噴出部13の噴出口13bの断面形状を略円形としたが、これに限定されず、例えば図10に示すように、略楕円形であってもよいし、例えば図11に示すように、略長方形であってもよい。
また、上述した実施の形態において、点検用ガス噴出部13は、例えば図12に示すように、点検用ガスの流通方向で隣り合うように配置された複数の噴出口13bを備えてもよいし、例えば図13に示すように、複数に分岐した分岐端部53を備え、各分岐端部53に噴出口13bが形成されてもよい。
【0024】
なお、上述した実施の形態において、要換気デバイス21および換気用配管21aは省略されてもよい。
また、上述した実施の形態において、配管取付部材15は省略されてもよい。
さらに、上述した燃料電池デバイス2a,2b,2c,…の過給機、電流制御器、蓄電装置、等を制御するECU(Electric Control Unit)に各ガスセンサ3の検出結果に基づいて各ガスセンサ3の故障を判断する判断機能を備えさせ、判断結果を上述の電気配線17に出力するようにし、電気配線17には流路切換接続部14と同じ位置に接続用カプラを設け、また、点検用ガス供給装置20には、接続用カプラに接続するカプラと配線および表示部を設けるようにしてもよい。このようにすれば、点検用ガスの供給作業および点検結果(判断結果)の確認を1つの点検用ガス供給装置20により同一の作業者が同一の作業場所で行なうことができ、点検作業の効率化が図られる。
【0025】
なお、上述した実施の形態において、ガスセンサを備える装置10を燃料電池システム2としたが、これに限定されず、他の装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係るガスセンサを備える装置(燃料電池システム)を車体の下方から上方に向かい見た要部平面図である。
【図2】図1に示すA−A線断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る点検用ガス噴出部およびガスセンサを車体の下方から上方に向かい見た要部平面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る点検用ガス噴出部の要部断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る流路切換接続部の締結部の要部断面図である。
【図6】本発明の実施形態の変形例に係る点検用ガス噴出部の要部断面図である。
【図7】本発明の実施形態の変形例に係る点検用ガス噴出部の要部断面図である。
【図8】本発明の実施形態の変形例に係る点検用ガス噴出部の要部断面図である。
【図9】本発明の実施形態の変形例に係る点検用ガス噴出部の要部断面図である。
【図10】本発明の実施形態の変形例に係る点検用ガス噴出部を車体の上方から下方に向かい見た要部平面図である。
【図11】本発明の実施形態の変形例に係る点検用ガス噴出部を車体の上方から下方に向かい見た要部平面図である。
【図12】本発明の実施形態の変形例に係る点検用ガス噴出部を車体の上方から下方に向かい見た要部平面図である。
【図13】本発明の実施形態の変形例に係る点検用ガス噴出部を車体の上方から下方に向かい見た要部平面図である。
【符号の説明】
【0027】
2 燃料電池システム
3 ガスセンサ
10 ガスセンサを備える装置
12 点検用ガス導入配管
15 配管取付部材(点検用ガス導入配管取付部材)
16 配管
17 電気配線
21a 換気用配管
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置の内部のガス流路に設置され、所定の検出対象ガスを検出する検出素子を有するガスセンサと、
前記装置の外部から導入される点検用ガスを前記検出素子まで導く点検用ガス導入配管とを備えるガスセンサを備える装置であって、
前記点検用ガス導入配管を前記装置へ取り付ける点検用ガス導入配管取付部材は、前記点検用ガス導入配管とは異なる前記装置の内部の配管または電気配線を前記装置へ取り付ける取付部材を兼ねることを特徴とするガスセンサを備える装置。
【請求項2】
装置の内部のガス流路に設置され、所定の検出対象ガスを検出する検出素子を有するガスセンサと、
前記装置の外部から導入される点検用ガスを前記検出素子まで導く点検用ガス導入配管とを備えるガスセンサを備える装置であって、
前記点検用ガス導入配管の少なくとも一部は前記装置の内部の換気を行う換気用配管を兼ねることを特徴とするガスセンサを備える装置。
【請求項1】
装置の内部のガス流路に設置され、所定の検出対象ガスを検出する検出素子を有するガスセンサと、
前記装置の外部から導入される点検用ガスを前記検出素子まで導く点検用ガス導入配管とを備えるガスセンサを備える装置であって、
前記点検用ガス導入配管を前記装置へ取り付ける点検用ガス導入配管取付部材は、前記点検用ガス導入配管とは異なる前記装置の内部の配管または電気配線を前記装置へ取り付ける取付部材を兼ねることを特徴とするガスセンサを備える装置。
【請求項2】
装置の内部のガス流路に設置され、所定の検出対象ガスを検出する検出素子を有するガスセンサと、
前記装置の外部から導入される点検用ガスを前記検出素子まで導く点検用ガス導入配管とを備えるガスセンサを備える装置であって、
前記点検用ガス導入配管の少なくとも一部は前記装置の内部の換気を行う換気用配管を兼ねることを特徴とするガスセンサを備える装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−98704(P2009−98704A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−266493(P2007−266493)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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