説明

ガスセンサ

【目的】 ハウジング外部と内部との間でガスが流通可能な通気孔を備えた気密性ハウジング内に、検知対象ガス及びアルコールに感応する金属酸化物半導体よりなるガス検知素子を備え、通気孔にアルコールを吸着可能な吸着層を備えたガスセンサにおいて、その吸着層において、吸着層の製作作業性、吸着層内での活性炭の偏り、移動、微粉化等の問題が発生することはないガスセンサを得る。
【構成】 吸着層を、粒子状の活性炭と粒子状のフッ素樹脂とを加熱成型一体化した活性炭成型体70で製造する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願は家庭用ガス漏れ警報器等に使用されるガスセンサに関し、ハウジング外部と内部との間でガスが流通可能な通気孔を備えた気密性ハウジング内に、検知対象ガスとしてのメタン等の可燃性ガスに感応する金属酸化物半導体よりなるガス検知素子を備え、妨害ガスとしてのアルコールによる誤報を防ぐために、通気孔に活性炭等の吸着層を備えたガスセンサの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従って、このような構成のガスセンサにあっては、吸着層を設けることによって低濃度のアルコールにより誤報を発生することはない。そして、吸着層を設けるにあたっては通気孔部位に通気性の一対の仕切り壁を設け、この壁間の中間部位に粒状の活性炭を収納して構成していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような構成を取る場合は、活性炭を粒状のまま取り扱う必要があり、重量をはかる必要があるとともに、微粉が飛び散りやすく、また、充填のしかたにより粒の充填のされかたにばらつきが生じやすい。さらに、このようなガスセンサは、その載置方向として図2に示されるように縦型配置されたり、図5、6に示すように横型配置されたりして任意の姿勢を取る必要があるが、その姿勢状態によっては、活性炭に偏りが発生しやすく、層各部位で通気量が異なったり、吸着能が落ちてしまう問題が発生する。さらに、活性炭が粒状で位置固定されていないために、充填密度が運搬、取扱中に振動により移動し、粒がより密に充填され通気量が悪くなって応答速度が遅くなる、さらには、粒の移動による摩擦により微粉が生じ目詰まりしたり、またガス検知素子表面に付着し、センサ性能に悪影響を及ぼす、警報器内部の回路部分に付着する等の問題を生じやすい。従って、活性炭を一般的なバインダーで成型体として一体構成し、通気孔所定部位に収納することが考えられるが、この部位における温度の影響、さらには、活性炭によるアルコール吸着の作用を阻害しない構成をとるためには、通常使用されるPVA、PE、ナイロン等は、その耐熱性、親水性の故に採用しにくい。
【0004】従って、本発明の目的は、上記のさまざまな問題点を解決することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するための本発明によるガスセンサの特徴構成は、粒子状の活性炭と粒子状のフッ素樹脂とを加熱成型一体化した活性炭成型体を吸着層として、通気孔に備えたことにある。さらに、この構成において、活性炭の粒度が0.3〜0.9mmで、フッ素樹脂の粒度が1.0μm以下であり、活性炭とフッ素樹脂との混合重量比が2対1〜1対2であるとともに、活性炭成型体の比重が0.5〜0.8であることが好ましい。その作用・効果は次の通りである。
【0006】
【作用】つまり、このガスセンサにおいては吸着層が活性炭成型体を通気孔に配設して構成されるため、上記した作業性、活性炭の偏り、移動、微粉化等の問題が発生することはない。さらに、活性炭粒子間のバインダーとしてフッ素樹脂を採用するため、ガス検知時には時として500℃に達することがあるガス検知素子に対して、一定距離を離間して載置される活性炭成型体において、そのバインダー自体が例えば低温炭化など変性を生ずることなしに、長期間性能維持できる。さらに、フッ素樹脂はPVA、PE、ナイロン等とは異なり疎水性であるため、このバインダー自体が含水分によりアルコールを吸着して、活性炭が有効に働かないといった不都合を発生することもない。
【0007】
【発明の効果】従って、ガスセンサを製造するうえで容易且つばらつきを極力抑えることが可能で、活性炭の働きを長期間に亘って有効に維持できるガスセンサを得ることができた。ここで、活性炭の粒度が上述の範囲より大きいと通気量が多く吸着能が劣り、小さいと通気量が少なく応答速度が遅いが吸着能良くなる。よって、上記の粒度範囲が通気量、吸着能、応答速度の点で好ましい。一方、バインダーの粒度が上述の範囲より大きいと活性炭の表面を覆う面積が大きくなり、吸着能が劣る。よって、バインダーの粒度としては上述の範囲で細かいことが好ましい。さらに通気性、吸着能、応答速度との関係から、成型体の比重は0.7程度が良い。また、成型体の強度を維持するうえで活性炭とフッ素樹脂との混合重量比が2対1〜1対2を越えると、通気性に欠けることとなり、これ以下だと、保形性に欠けることとなる。
【0008】
【実施例】本願の実施例を図面に基づいて説明する。図1R>1には活性炭成型体70の外形形状が、図2には本願のガスセンサ1の分解斜視図(イ)及び組み立て状態の斜視図(ロ)が示されている。図示するように、このガスセンサ1は円筒形状のハウジング2の内部に金属酸化物半導体よりなるガス検知素子3を備えた構成のものであり、その頂部部位において、ハウジング外部4aと内部4bとの間でガスが流通可能な通気孔5が備えられている。そして、このハウジング2に対して下部よりガス検知素子3を備えたセンサ基台6を挿入することによりガスセンサ1が組立てられる。ここで、ハウジング2自体は気密性の材料で構成されており、通気孔5、この通気孔5の全面に渡って設けられる活性炭層7、防爆用構造材としての金網8を介してハウジング外部4aとガス検知素子3の近傍とに渡ってガスが流通する。さらに、前述の通気孔5とは別に、点検ガス流通孔9が備えられている。この点検ガス流通孔9は、前述の活性炭層7を介することなく金網8のみを介して、ハウジング外部4aとガス検知素子3とに渡ってガスが流通可能である。このガスセンサ1は、妨害ガスであるとともに点検ガスとしてのアルコールガスに対して、検知対象ガスとしてのメタンガス等のガス選択性を確保することができる。なお、活性炭は検知対象ガスであるメタン・水素・一酸化炭素ガスを吸着せず、アルコール・ブタンガスを吸着するものである。
【0009】以下さらに詳細に説明する。前述の様にハウジング2の頂部には通気孔5が備えられ、その上端部側に吸着層としての活性炭層7が設けられている。さらに下部側にガス検知素子3と防爆構造材としての金網8が備えられており、これらはセンサ基台6に取り付けられている。ここで、この活性炭層7は、粒度0.30〜0.90mmの粒子状のヤシガラ破砕状活性炭と粒度1.0μm以下の粒子状のフッ素樹脂であるPTFEとを加熱成型一体化した活性炭成型体70を配設して構成されている。
【0010】以下、活性炭成型体70の要件を箇条書きする。
活性炭の種類 ヤシガラ破砕状活性炭活性炭の粒度 0.30〜0.90mmバインダーの種類 PTFE(ポリテトラフルオルエチレン)粉末バインダーの粒度 1.0μm以下混合比(重量比) 活性炭:バインダー=2:1〜1:2加熱温度と時間 340〜430℃ 30〜60分活性炭のかさ比重 0.4〜0.5g/mlバインダー見掛密度 0.3〜0.4g/mlバインダーの比重 2.1〜2.2活性炭成型体の比重 0.5〜0.8
【0011】さらに、活性炭成型体70の特性に関して、発明者らが行った成型体の性能特性について説明する。
成型体に於ける粒度の影響検討対象の成型体として粒度を三つの範囲に変えてサンプル成型体A、B、Cを形成した。以下に、各成型体のサンプル名、粒度、サンプル強度の関係を示す。
サンプル 活性炭粒度 サンプル強度 A 0.8〜2mm 強度が弱い B 0.3〜0.9mm 強度、保形性有り C 0.1〜0.4mm 強度、保形性有りさらにこれらのサンプルにおけるアルコール(エタノール2000ppm)に対する吸着能の実験結果を図3に示した。図3(イ)は図3(ロ)に示す実験装置における検知素子出力の経時変化を示している。従って、同図において、感度曲線が下方に位置するほうがアルコールの吸収能に優れている。一方、検知対象ガスにあるメタンに対する各サンプルの応答性の検討結果を以下に示す。
メタンガスの透過性(応答速度)
サンプル CH4 3000ppmの90%応答時間 A 31秒 B 49秒 C 82秒
【0012】以上の結果より、活性炭の粒度が大きいと吸着能が劣るが、通気量が多く、活性炭粒度が小さいと通気量が少なく吸着能良いが、応答速度が遅いことが判る。さらに、成型体製造上の諸条件について説明すると、活性炭粒子間のバインダーとしては、フッ素樹脂としのPTFE(ポリテトラフルオルエチレン)を使用する。この材料は300℃程度の環境温度に対して強度を維持して耐熱性を有するものであり、成型体載置部位が40〜70℃で5年間の長期間の耐熱性が必要な部位であることに鑑みると、この材料の場合、充分に低温炭化等変性の問題の発生を防止できる。さらに、この材料は疎水性であるため、水を吸着してアルコールを吸着することがなく、活性炭におけるアルコールに対する吸脱着を正常な状態でおこなうことができる。一方、通常のバインダーには、ポリエステル(アルコールとの親和性あり不適)、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが用いられるが、これらの耐熱温度は、100〜200℃であるため不適切である。さらにこの材料は耐薬品性、熱安定性を備えている。さて、このバインダーの粒度としては、1.0μm以下のものを採用しているが、バインダーの粒度がこの値より大きいと活性炭の表面を覆う面積が大きくなり、吸着能が劣ることとなる。そして、活性炭とバインダーの混合重量比としては、2:1〜1:2であり、活性炭の粒と粒を接着するに、この程度の重量比が必要最少量である。
【0013】さて、このガスセンサが有するさらなる特徴構成について以下に示す表1を参照しながら説明する。表1には、通常のガス検知待機状態(ガスセンサは清浄空気中にある)と、検知対象ガスであるメタン(CH4)が環境雰囲気中にあるガス検知状態でのガス検知素子3の温度及び活性炭成型体70の温度とが示されている。ここで、活性炭成型体70の温度は当然ガス検知素子3の温度、その他センサの構造(例えばガス検知素子3から活性炭成型体70までの離間距離及び通気量等)に従うものとなる。一方、活性炭はそれ自体の特性として、60℃以下の温度域でアルコールを有効に吸着するとともに、70℃程度以上の温度域で吸着したアルコールを放出する。さらに、このような用途のガスセンサでは、警報としてのメタン検知濃度は4000ppm程度である。
【0014】
【表1】


【0015】さて、表1からも判るように、本願のガスセンサにおいては、メタンを検知しないガス検知待機状態(表1に清浄空気中と表記)においては、活性炭温度は40℃程度に維持されて、この状態においては、妨害ガスとしてのアルコールを吸着して、アルコールがガス検知素子に近接するのを防止し、誤報の発生を防ぐ。一方検知対象ガスが近接すると(表1におけるCH44000ppmの温度状態参照)、このガスを検出して警報を発するための信号を出力するとともに、活性炭温度を、活性炭がアルコールを放出する温度である70℃付近にすることにより、アルコールの放出(活性炭の再活性化)をおこなうのである。従って、このガスセンサにおいては、活性炭の自己再生が行われることとなり、長期に亘って有効にその活性を発揮することができる。さて、上記の活性炭載置部位を適切な温度状態に維持する(ガス検知待機状態においてアルコール吸着温度に活性炭を維持し、検知対象ガス検知状態のおいてアルコール放出温度に活性炭を維持する)ためには、上記ようなセンサ構造の検討の他、ガス検知素子の素子径を小径のものとして、ガス検知状態における温度を昇温することにより、活性炭を適度な温度状態に維持するように構成することもできる。
【0016】つぎに、さらなる、ガスセンサの特徴である前述の点検ガス流通孔9の構成について説明する。この流通孔9は特定の通気面積(断面積)と特定の流路長さとを有し、流量制限能を備えて構成されている。即ち、この流量制限能を備えることにより、メタンガスに対するガス検知状態(例えば素子温度500℃程度で、通気孔を介してガスが流通できる状態)において、この点検ガス流通孔9を流通するガス(検知対象ガスと妨害ガスとの総量)の流量が、メタンガスのアルコールガスに対する選択性を確保できる流量に制限されるように構成されている。
【0017】ここで、流量制限能を備えることにより得られる拡散制限効果とは、複数種のガスにおいて、夫々のガスが有している燃焼速度に差があるため、ハウジング2内へ供給される外気の量が規制されると、ハウジング2内に配設されるガス検知素子3に於けるガス種による感度差(選択性)が得られることを意味する。この原理を簡単に、検知対象ガスとしてのメタンガスとこれに対する妨害ガスとしてのアルコールガスの場合を例に採って説明する。金属酸化物半導体をガス検知素子3として用いる場合、通常、特定の検知温度範囲、センサの構造条件で作動する。このような温度、構造に保たれたセンサ1内にあるガス検知素子3にガス(複数のガスが混在するガス)が接触すると、その一部が燃焼(酸化)する。そして、この燃焼の度合いはガス種によって異なる。即ち、メタンガスの場合はアルコールガスと比較すると、これが少ない。ここでガス検知素子3の周囲雰囲気(ハウジング内部4bにあるガス)への外気(ハウジング外部4aのガス)の供給がある一定量以下に制限されると、アルコールガスのように燃焼の速いガスの場合にはガス検知素子3の周囲雰囲気(ハウジング内部4bにあるガス)のガス濃度は上昇しない。何故なら、周囲雰囲気に供給された外気中のガスはガス検知素子3によって燃焼され、かつつぎつぎと供給されるガスはその供給量と釣合って燃焼に消費されるために、ガス検知素子3の周囲雰囲気は低濃度に維持される。これに対してメタンガスのように燃焼速度の遅い、すなわち燃焼されにくいガスの場合には、例えばハウジング外部4aの濃度が上昇するとそれに応じてガス検知素子3の周囲雰囲気へのガスの供給が増大し、これに対して燃焼による消費は少ないために比較的短時間で周囲雰囲気は高濃度に達する。従って、ガス種による検知温度、センサ構造起因の選択性を、ガスの燃焼速度との関係から得ることが可能であり、これはハウジング外部4aと内部4bとの間の流通ガス流量によって決定される。このガスセンサについて点検ガス流通孔9の流量制限効果を調べるため図2R>2の通気孔5を閉塞して実験した結果を定性的に図4に示した。同図において横軸は点検ガス流通孔9の孔径を、縦軸はガス種による感度を示している。結果、孔径を制限するにしたがって、アルコールガスに対するメタンガスの感度が比較的大きくなる孔径(流量域)が存在していることが判る。即ち、孔径を直径(0.5〜5mm)に設定する場合は、上述の点検ガス流通孔9が流量制限能を備えることとなる。この流通流量の調節は、孔径の設定、流路に沿った孔長さの設定等によっても調節可能である。
【0018】さらに、このガスセンサを好適に採用したガス警報器10の構成について説明する。図5には、このガス警報器10の警報器ボックス11内部構成が示されており、このガス警報器10は台所等の壁面に図面と上下方向と一致させて配置される。一方、図6はガスセンサ1が配設されるセンサ室12の縦断面を示している。図示するようにガス警報器10の警報器ボックス11は、方形の箱型に形成されており、内部が、ガスセンサ1が配設されるセンサ室12とその他の機器13が配設される機器室14とに、隔壁15によって仕切られている。そして、前記のセンサ室12においてガスセンサ1は、図示するように点検ガス流通孔9がセンサ室12の下部域にくるように配置される。さらに、このセンサ室12に対して、警報器ボックス11の表側と横部位で開口するガスの流通窓16が設けられ、前述の点検ガス流通孔9の位置に対応して、センサ室12の下部域に点検ガス供給窓17が設けられている。一方、機器室14には、発声器18、トランス19、電源制御機器20等が配設される。従って、前述の点検ガス供給窓17から点検ガスが供給されると、アルコールガスは、比較的比重が重いためセンサ室12の下部域に滞留し、ガスセンサ1に設けられている点検ガス流通孔9を介してハウジング2内に流入する。この状態においては、ハウジング2内のガスの流れは、内部がガス検知素子3により加熱されているため点検ガス流通孔9がある下方より吸い込み、上方へ逃げて行くこととなる。即ち、点検ガスはハウジング2内に入り易く、また、活性炭層7が点検ガスの一部を吸着したとしても、点検ガス流通孔9から吸い込まれたガスにより外部へ洗い出され、クリーニングされることになり、前述の自己再生構成と相まって、活性炭層7の吸着能や寿命が長期に保たれる。
【0019】以下、具体例について説明するとともに、関連するガス選択性能の実験結果について説明する。
ガスセンサの構成1 金属酸化物半導体のガス検知素子3型式 金属酸化物半導体式主成分 SnO2半導体部 4×1.5×1mmエチルアルコールとの感度比((エチルアルコール6000ppm)相当濃度)
メタンガス 4000ppmブタンガス 2500ppm2 ハウジング2筒外径 21mm内容積 7.5ml3 活性炭層付通気孔5通気孔径 14mm活性炭層厚 3mm4 点検ガス流通孔9通気孔径 1mm5 金網8100M、網2枚、0.2〜0.3mm厚
【0020】本願のガスセンサの特性を以下に整理して示す。
本願のガスセンサ 従来のガスセンサ 点検ガス流通孔 あり なし 点検ガス供給時の応答時間 1sec 8min 点検ガス供給停止からの 回復時間(鳴動停止時間) 5sec 50min結果、点検動作の点で非常に好ましい結果が得られていることがわかる。
【0021】従って、本願のガスセンサ1によれば、自然拡散による程度の濃度(7000ppm以下)、流量であれば、点検ガス流通孔9は検知対象ガスに充分なガス選択性を付与することができるが、点検時には比較的高濃度(約1%)の点検ガスが噴射圧入されるため、ガス検知素子3の感応部周辺は高濃度となり、容易に鳴動させることができる。そして、点検ガスが活性炭層7を殆ど通過しないため、点検後の不都合は起こらない。結果、通常ガス検知状態、点検時ともに好適に作動できるガスセンサを得ることができた。
【0022】〔別実施例〕以下に本願の別実施例について箇条書きする。
(イ) 上記の実施例においては、金属酸化物半導体式ガス検知素子を用いたが、これに限定するものではなく、金属酸化物半導体を用いたガス検知素子であれば、型式を問わない。また、点検ガス流通孔9に関しては、メタン、アルコールの各ガス間での選択性を問題としたが、燃焼速度に差のあるガス間であればいかなるガスに対しても本願の構成は適応できる。即ち、メタン・水素・一酸化炭素ガス、さらにこれらの一種以上のガスを混合した混合ガスにおいても、例えばアルコールガスに対して選択性を持たせて適応可能である。また、点検ガスとしてブタンを使用する場合も適応できる。
(ロ) さらに上記の実施例においては、ガスセンサが通気制限能を有する点検ガス通気孔9を備えるものについて説明したが、活性炭成型体の採用にあたっては、必ずしもこういった通気孔を備える必要はなく、従来構成のガスセンサにおいても充分有効に作動しえる。
(ハ) 上記の実施例においては、バインダーとしてPTFEを採用する例を示したが、フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオルエチレン、ポリクロルトリオルエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、テトラフルオルエチレンとヘキサフルオルプロピレンとの共重合物等も採用できる。
【0023】また、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】活性炭成型体の斜視図
【図2】ガスセンサの分解斜視図及び組立て状態を示す図
【図3】活性炭層のアルコール吸着特性を示す図
【図4】各種ガスに関するセンサの感度を示す図
【図5】ガスセンサを内装した警報器の内部構成を示す図
【図6】ガスセンサを内装したセンサ室の縦断面図
【符号の説明】
1 ガスセンサ
2 ハウジング
3 ガス検知素子
4a ハウジング外部
4b ハウジング内部
5 通気孔
7 吸着層
70 活性炭成型体

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ハウジング外部(4a)と内部(4b)との間でガスが流通可能な通気孔(5)を備えた気密性ハウジング(2)内に、検知対象ガス及びアルコールに感応する金属酸化物半導体よりなるガス検知素子(3)を備え、前記通気孔(5)に前記アルコールを吸着可能な吸着層(7)を備えたガスセンサであって、粒子状の活性炭と粒子状のフッ素樹脂とを加熱成型一体化した活性炭成型体(70)を前記吸着層(7)として、前記通気孔(5)に備えたガスセンサ。
【請求項2】 前記活性炭の粒度が0.3〜0.9mmで、前記フッ素樹脂の粒度が1.0μm以下であり、前記活性炭と前記フッ素樹脂との混合重量比が2対1〜1対2であるとともに、前記活性炭成型体(70)の比重が0.5〜0.8である請求項1記載のガスセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図3】
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【図5】
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