説明

ガスタービンの燃料ノズル内における火炎を検出するためのシステム及び方法

【課題】ガスタービンの燃料ノズル内における火炎を検出するためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】本システム(200)は、ガスタービン(100)の燃料ノズル(112)の周りの火炎を検出することができる。ガスタービン(100)は、圧縮機(104)及び燃焼器(106)を有することができる。本システム(200)は、第1の圧力センサ(204)と、第2の圧力センサ(206)と、変換器(208)とを含むことができる。第1の圧力センサ(204)は、燃料ノズルの上流の第1の圧力を検出することができる。第2の圧力センサ(206)は、燃料ノズル(112)の下流の第2の圧力を検出することができる。変換器(208)は、第1の圧力センサ(204)と第2の圧力センサ(206)との間の圧力差を検出するように動作可能とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、総括的にはガスタービンの構成要素における火炎を検出するためのシステム及び方法に関し、より具体的には、ガスタービンの燃料ノズル内における火炎を検出するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのガスタービンは、圧縮機、燃焼器及びタービンを含む。圧縮機は、燃焼器に供給する加圧空気を発生させる。燃焼器は、燃料と共に加圧空気を燃焼させて、空気−燃料混合(燃焼)ガスを発生させ、この空気−燃料混合ガスをタービンに供給する。タービンは、空気−燃料混合ガスからエネルギーを取出して負荷を駆動する。
【0003】
多くのケースで、ガスタービンは、幾つかの燃焼器を含む。燃焼器は、圧縮機とタービンとの間に配置することができる。例えば、圧縮機及びタービンは、共通軸線に沿って整列させることができ、また燃焼器は、圧縮機とタービンとの間において該タービンへの入口に共通軸線の周りでの円形アレイの形態で配置することができる。運転中に、圧縮機からの空気は、燃焼器の1つを通してタービン内に移動することができる。
【0004】
燃焼器は、空気及び燃料を適切に燃焼させかつ効率を高めることを保証するような比較的高温で作動させることができる。燃焼器を高温で作動させた場合の1つの問題は、環境に悪影響を与えるおそれがある比較的高レベルの窒素酸化物(NOx)が発生する可能性があることである。
【0005】
NOxエミッションを低減するために、幾つかの最新式のガスタービンは、燃料ノズルを用いている。例えば、各燃焼器は、予混合燃料ノズルのような幾つかの燃料ノズルによって支援することができ、それら燃料ノズルは、燃焼器への入口において該燃焼器の周りでの円形アレイの形態で配置することができる。通常運転時に、圧縮機からの空気は、燃料ノズルを介して燃焼器に流入する。燃料ノズル内において、空気は燃料と予混合されて空気−燃料混合気を形成する。空気−燃料混合気は次に、燃焼器内で燃焼される。空気及び燃料を予混合することにより、比較的より低温で燃焼器を作動させることが可能になり、それにより、燃焼プロセスの副産物として生成されるNOxが低減される。
【0006】
燃料ノズル内における予混合はNOxエミッションの低減を可能にするが、燃料ノズルは、それ自体の問題がある。例えば、燃料ノズルは、発火するか又は火炎を保持する可能性がある。燃料ノズル内における火炎の1つの一般的理由は、火炎が燃焼器の燃焼ゾーンから燃料ノズル内に逆方向に移動する逆火である。燃料ノズル内における火炎の別の一般的理由は、燃料ノズルが、とりわけ燃料組成、燃料流量、空気流量又は燃料ノズル表面の異常により単独で発火する自己着火である。原因に関係なく、燃料ノズルは、火炎を保持又は持続させる傾向を持つ可能性があり、これにより、燃料ノズル又はガスタービンのその他の部分を損傷させるおそれがある。
【0007】
燃料ノズル内における火炎を減少させるか又は排除する改善措置を取ることができるようにするために、ガスタービンの燃料ノズル内における火炎の存在を検出する技術的方法が開発されてきた。これらの技術的方法の多くは、とりわけ温度センサ、光子放出センサ又はイオンセンサのようなセンサを用いている。一般的に、センサは、燃料ノズルのいずれか1つ内における火炎を検出することができるように、該燃料ノズルの各々内に配置される。しかしながら、各燃料ノズル内にセンサを配置することは、タービンが幾つかの燃焼器によって支援されまた各燃焼器が幾つかの燃料ノズルによって支援されることになっているので、極めて費用のかかるものとなる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,164,055号公報
【特許文献2】米国特許第6,357,216 B1号公報
【特許文献3】米国特許第6,438,961 B2号公報
【特許文献4】米国特許第6,708,568 B2号公報
【特許文献5】米国特許第6,848,319 B2号公報
【特許文献6】米国特許第6,857,320 B2号公報
【特許文献7】米国特許第6,978,680 B2号公報
【特許文献8】米国特許第7,017,415 B2号公報
【特許文献9】米国特許第7,111,463 B2号公報
【特許文献10】米国特許出願公開第2006/0046218 A1号公報
【特許文献11】米国特許出願公開第2007/0006596 A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、ガスタービンの燃料ノズルのような該ガスタービンの構成要素内における火炎の存在を検出するシステム及び方法の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本システムは、ガスタービンの燃料ノズルの周りの火炎を検出することができる。ガスタービンは、圧縮機及び燃焼器を有することができる。本システムは、第1の圧力センサと、第2の圧力センサと、変換器とを含むことができる。第1の圧力センサは、燃料ノズルの上流の第1の圧力を検出することができる。第2の圧力センサは、燃料ノズルの下流の第2の圧力を検出することができる。変換器は、第1の圧力センサと第2の圧力センサとの間の圧力差を検出するように動作可能とすることができる。
【0011】
その他のシステム、装置、方法、特徴及び利点は、当業者には明らかであり、また以下の図及び詳細な説明を精査することにより明らかになるであろう。全てのそのような付加的なシステム、装置、方法、特徴及び利点は、本説明の範囲内に含まれることを意図しておりかつ特許請求の範囲で保護されることを意図している。
【0012】
本開示は、以下の図面を参照することで一層よく理解することができる。同じ参照符号は、図全体を通して対応する部分を表しており、また図の構成要素は必ずしも尺度通りにはなっていない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ガスタービンの燃料ノズル内における火炎を検出するためのシステムを概略的に示すガスタービンの部分断面図。
【図2】ガスタービンの燃料ノズル内における火炎を検出するためのシステムの実施形態を示すブロック図。
【図3】ガスタービンの燃料ノズル内における火炎を検出するためのプローブの実施形態を示す、ガスタービンの燃焼器の部分断面図。
【図4】図3に示すプローブの部分断面図。
【図5】ガスタービンの燃料ノズル内における火炎を検出する方法の実施形態を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
下記で説明しているのは、ガスタービンの燃料ノズル内における火炎を検出するためのシステム及び方法である。本システム及び方法は、燃料ノズルにわたる(燃料ノズルの入口及び出口間の)圧力低下の増大を検出することによって該燃料ノズル内における火炎を検出することができる。例えば、本システム及び方法は、特定の燃焼器と関連する燃料ノズルのアレイにわたる圧力低下の増大を検出することによって、該燃料ノズル内における火炎を検出することができる。圧力低下の増大は、その影響を受けた燃料ノズルを通って流れる空気の温度を上昇させかつ/又は該空気の密度を減少させる可能性がある火炎により発生することになる。空気のボリューム増大により、燃料ノズルの上流の圧力が上昇することになり、それにより、燃料ノズルにわたる圧力低下が増大することになる。
【0015】
実施形態では、燃焼器と関連する燃料ノズルのアレイにわたる圧力低下を決定することができる。燃料ノズルアレイの入口側の上流側圧力と該燃料ノズルアレイの出口側の下流側圧力との間の差を求めることによって圧力低下を検出することができる。圧力差が予測圧力差を越えた場合には、アレイの1つ又はそれ以上の燃料ノズル内において火炎が存在する可能性がある。従って、燃焼器の燃料ノズルのいずれか1つ内における火炎を検出するために、ノズルレベルの代わりに燃焼器レベルで検出を行なうので、センサを各燃料ノズルと関連させる(組合せる)ことは必要でないことになる。
【0016】
実施形態では、圧力読取り値の精度を高めるために、上流側圧力及び下流側圧力をノズルアレイに近接させて検出することができる。例えば、上流側圧力は、燃焼器への空気流路内で検出することができ、また下流側圧力は、燃焼器の燃焼チャンバ内で検出することができる。そのような実施形態では、圧力差を検出するために、統合型プローブを用いることができる。統合型プローブは、燃焼器の流れスリーブを貫通して燃焼器チャンバ内に延びることができる。統合型プローブは、上流側圧力及び下流側圧力の両方を同時に検知するように配置することができる。幾つかのそのような実施形態では、統合型プローブは、その他の機能を果たすようにすることができる。例えば、統合型プローブは、燃焼器内のダイナミック圧力を監視するのに適した燃焼ダイナミックス監視(CDM)プローブを含むことができる。そのようなケースでは、ガスタービンからCDMプローブを取外しかつその所定の位置に統合型プローブを設置することなどによって、燃料ノズル内における火炎を検出するためのシステムを備えるようにガスタービンを改造することが、比較的容易かつ安価に行なうことができる。
【0017】
図1は、燃料ノズル内における火炎を検出するためのシステムを有するガスタービン100の部分断面図である。図示するように、ガスタービン100は一般的に、吸気セクション102、圧縮機104、1つ又はそれ以上の燃焼器106、タービン108及び排気セクション110を含む。各燃焼器106は、1つ又はそれ以上の燃料ノズル112を含むことができる。燃料ノズル112は、アレイの形態で互いに並行に配置することができる。例えば、燃料ノズル112は、燃焼器106の長手方向軸線を中心として円形構成などの形態で該燃焼器106への入口の周りに配置することができる。
【0018】
ガスタービン100を通して、流路を形成することができる。通常運転時に、空気は、吸気セクション102を通してガスタービン100に流入することができる。空気は、圧縮機104内に流入することができ、圧縮機104は、空気を加圧して加圧空気を形成することができる。加圧空気は、燃料ノズル112を通って流れることができ、燃料ノズル112は、加圧空気を燃料と混合して空気−燃料混合気を形成することができる。空気−燃料混合気は、燃焼器106内に流れることができ、燃焼器106は、空気−燃料混合気を燃焼させて高温ガスを発生させることができる。高温ガスは、タービン108内に流入することができ、タービン108は、高温ガスからエネルギーを取出して、排気ガスを形成することができる。その後、排気ガスは、排気セクション110を通してガスタービン100から排出させることができる。
【0019】
以下において、燃焼器106が燃料ノズル112のアレイを有するものとして説明しているが、1つのみの燃料ノズル112を設けることができることは当業者には分かるであろう。燃料ノズル112のアレイの近傍における流路の一部分に焦点を当てると、ノズルアレイにわたる圧力低下を予測することができる。通常運転時には、燃料ノズル112のアレイの上流側の圧力は、該燃料ノズル112のアレイの下流側の圧力を越えるものとすることができる。本発明の目的上、「上流側圧力」という用語は、圧縮機出口と燃料ノズル112のいずれか1つへの入口との間のポイントにおける加圧空気の静圧であると定義される。本明細書では、上流側圧力はまた、圧縮機吐出圧力(PCD)とも呼ばれる。上流側圧力は、圧縮機出口と燃料ノズル入口との間の流路に沿って変化させることができること、またこれらの圧力の各々は、圧縮機吐出圧力(PCD)に相当することが、当業者には分かるであろう。当業者にはまた、圧縮機吐出圧力(PCD)は、圧縮機吐出口で正確に評価することができないことも分かるであろう。本発明の目的上、「下流側圧力」という用語は、燃焼器106内の静圧であると定義される。本明細書では、下流側圧力はまた、該下流側圧力が燃焼(器)チャンバ内から取出すことができるので、燃焼(器)チャンバ圧力(PCC)とも呼ばれる。
【0020】
上述したように、通常運転状態下では、上流側圧力は、下流側圧力を越えたものとすることができる。そのような上流側及び下流側圧力間の予測圧力差(PCD−PCC)は、流路に沿って流れを駆動することによって高めることができる。予測圧力差は、公知の範囲内のものとすることができ、その範囲は、例えばガスタービン100の構成又は現在の運転状態に応じて変化させることができる。
【0021】
幾つかの状況では、ガスタービン100の1つ又はそれ以上の燃料ノズル112内において火炎が存在する可能性がある。火炎は、例えば逆火又は自己着火によるものである可能性がある。逆火は、燃焼器106の燃焼反応ゾーンから燃料ノズル112内への火炎の伝播を意味し、一方、自己着火は、燃料ノズル112内での空気−燃料混合気の自然発生的着火を意味する。しかしながら、あらゆるその他の理由で、火炎が、燃料ノズル112内に存在する可能性がある。
【0022】
従って、ガスタービン100は、該ガスタービン100の燃料ノズル112内における火炎を検出するためのシステム200を含むことができる。本システム200は、燃料ノズル112のアレイにわたる圧力差の増大を検出することによって、該燃料ノズル112のいずれか1つ内における火炎を検出することができる。
【0023】
影響を受けた燃料ノズル112内において火炎が存在する場合には、その影響を受けた燃料ノズル112を通って移動する加圧空気は、より高温となりかつ膨張する可能性があり、このことは、その影響を受けた燃料ノズル112を通る空気流れ抵抗を増大させる可能性がある。従って、空気は、この影響を受けた燃料ノズル112を通って比較的流れることができにくくなる可能性がある。この影響を受けた燃料ノズル112を通る空気流量の減少を補償するために、残りの燃料ノズル112を通して加圧空気を導き直すことができる。従って、比較的より大きなボリュームの空気を比較的より狭い燃料ノズル空間を通して強制的に移動させることができ、それにより、燃料ノズル112の上流側圧力を高めることができる。
【0024】
燃料ノズル112のいずれか1つが火炎を保持(保炎)している場合には、上流側圧力の増加及び下流側圧力の減少により、燃料ノズル112のアレイにわたる圧力差を増大させる可能性がある。より具体的には、燃料ノズル112のアレイにわたる圧力低下は、予測圧力低下を越える可能性がある。別の言い方をすると、圧縮機吐出圧力(PCD)と燃焼器チャンバ圧力(PCC)との間の差は、燃料ノズル112のいずれか1つ内において火炎が存在する場合には、ガスタービン100の通常運転時においてよりも比較的より大きなものになる可能性がある。例えば、圧力差は、所定の圧力よりも約5〜10%ほど高いものになる可能性がある。そのような圧力差の変化をシステム200によって検出して、燃料ノズル112の1つ又はそれ以上が火炎を保持していることを判定することができる。そのことを知ることにより、改善措置を取ってガスタービン100を更なる損傷から保護することができる。例えば、あらゆる既知の又は今後開発される方法で、火炎を減少又は消滅させることができる。
【0025】
図2は、ガスタービン100の燃料ノズル112内における火炎を検出するためのシステム200の実施形態を示すブロック図である。図示するように、本システム200は、上流側圧力センサ204、下流側圧力センサ206及び変換器208を含むことができる。上流側圧力センサ204は、圧縮機104と燃料ノズル112との間に配置することができる。上流側圧力センサ204は、圧縮機吐出圧力(PCD)を検出することができる。下流側圧力センサ206は、少なくとも部分的に燃焼器106内に配置することができる。下流側圧力センサ206は、燃焼器チャンバ圧力(PCC)を検出することができる。圧力センサ204、206は、差圧変換器のような変換器208と動作可能に組合せることができる。変換器208は、上流側圧力及び下流側圧力間の圧力差を検出することができる。圧力センサ204、206は、あらゆる可能な方法で変換器208に接続することができる。例えば、圧力センサ204、206は、変換器208に動作可能に接続された別個の物理的構成要素とすることができ、或いは圧力センサ204、206は、変換器208の具象的機能とすることができる。言い換えると、変換器208は、上流側圧力の独立測定を行なうこと、下流側圧力の独立測定を行なうこと及び2つの測定値を差引いて圧力差を求めることの代わりに、上流側及び下流側圧力間の圧力差を検出することができる。
【0026】
幾つかの実施形態では、圧力センサ204、206は、幾つかの圧力変換器と動作可能に組合せることができ、それにより、火炎の冗長検出を可能にすることができかつ火炎の誤表示の可能性を減少させることができる。また、幾つかの実施形態では、上記と同じ理由により、幾つかの圧力センサ204、206は、1つ又は幾つかの圧力変換器208と動作可能に組合せることができる。そのようなケースでは、典型的なボウティング(voting)法を用いて、火炎の誤表示が発生しているかどうかを判定することができる。
【0027】
実施形態では、システム200はさらに、制御装置210を含むことができる。制御装置210は、ハードウェア、ソフトウェア又はそれらの組合せを使用して、本明細書に記載した機能を実行するように動作させることができる。実例として、制御装置210は、プロセッサ、ASIC、コンパレータ、差動モジュール又はその他のハードウェア手段とすることができる。同様に、制御装置210は、メモリ内に記憶させかつプロセッサ又はその他のプロセッシング手段によって実行可能とすることができるソフトウェア又はその他のコンピュータ実行可能命令を含むことができる。
【0028】
制御装置210は、変換器208による検出圧力差を例えば信号などによって受信することができる。制御装置210はまた、予測圧力差も知ることができる。例えば、制御装置210は、該制御装置210のメモリ内などに予測圧力差を記憶させることができる。制御装置210はまた、特にガスタービン100の既知のパラメータ又は該ガスタービン100の測定運転状態にアルゴリズムを適用することなどによって予測圧力差を決定することができる。制御装置210は、検出圧力差を予測圧力差と比較することができ、また検出圧力差が予測圧力差を越えている場合には、制御装置210は、ガスタービン100内において火炎状態が存在することを表示することができる。幾つかの実施形態では、予測圧力差は、許容可能な圧力差の範囲を含むことができ、このようなケースでは、制御装置210は、検出圧力差を予測圧力差の範囲と比較して、検出圧力差がその範囲内にあるか否かを判定することができる。検出圧力差が、その範囲内にない場合には、制御装置210は、燃料ノズル112内における火炎の存在を表示することができる。
【0029】
実施形態では、上流側及び下流側圧力センサ204、206は、燃料ノズル112に近接して配置することができる。図3及び図4には、そのような構成を示しており、これらに図では、それぞれガスタービン100の燃焼器106及び統合型プローブ250の部分断面図を示している。図示するように、燃焼器106の外面は、燃焼器ケーシング114によって形成することができる。燃焼器ケーシング114は、該燃焼器ケーシング114とタービンケーシング118(部分的に示す)との間で延びるボルト116などによって燃焼器106をタービン108に固定するのに適したものとすることができる。燃焼器ケーシング114は、その形状をほぼ円筒形とすることができる。燃焼器ケーシング114の内面上に燃焼ライナ120を配置することができる。燃焼ライナ120もまた、その形状をほぼ円筒形とすることができかつ燃焼器ケーシング114に関して同心に配置することができる。燃焼ライナ120は、燃焼(器)チャンバ122の周辺部を構成することができ、燃焼チャンバ122は、上述のように空気−燃料混合気を燃焼させるのに適したものとすることができる。燃焼チャンバ122は、その入口端部をライナキャップ組立体124によって境界付けまたその出口端部を移行ダクト126によって境界付けることができる。移行ダクト126は、燃焼器106の出口128をタービン108の入口と連結して、空気−燃料混合気の燃焼時に生成された高温ガスをタービン108内に導くことができるようにする。
【0030】
空気−燃料混合気を燃焼チャンバ122に供給するために、燃焼チャンバ122の内部と流体連通状態で幾つかの燃料ノズル112を配置することができる。燃料ノズル112は、燃焼器106の入口端部において互いに平行に配置することができる。より具体的には、燃料ノズル112は、入口端部において燃焼器ケーシング114を囲むキャップ組立体130を貫通してかつ該入口端部において燃焼チャンバ122を囲むライナキャップ組立体を貫通して延びることができる。燃料ノズル112は、圧縮機104から空気を受けることでき、その空気を燃料と混合して空気−燃料混合気を形成することができ、かつその空気−燃料混合気を燃焼のために燃焼チャンバ122内に導くことができる。この図示した実施形態では、分かり易くするために、1つの燃料ノズル112のみを詳細に図示している。
【0031】
圧縮機104からの空気が燃料ノズル112に到達することができるようにするために、燃焼器106の周りに流れスリーブ132を配置することができる。図示するように、流れスリーブ132は、その形状をほぼ円筒形とすることができかつ燃焼器ケーシング114と燃焼(器)ライナ120との間に同心に配置することができる。より具体的には、流れスリーブ132は、燃焼器ケーシング114の半径方向フランジ134と移行ダクト126の外壁136との間で延びることができる。移行ダクト126近くで流れスリーブ132を貫通してアパーチャ138のアレイを形成することができる。アパーチャ138は、圧縮機104からの空気を該圧縮機104から燃料ノズル112に向かって逆方向に流すのを可能にすることができる。より具体的には、矢印で示すように、流れスリーブ132と燃焼器ライナ120との間の環状空間として形成された空気流路140に沿って空気を流すことができる。
【0032】
上述したように、上流側及び下流側圧力センサ204、206は、燃料ノズル112に近接して配置することができ、それにより、圧力読取り値が不正確になる可能性を減少させることができる。例えば、上流側圧力センサ204は、流れスリーブ132と燃焼ライナ120との間の空気流路140内に配置し、それにより、燃料ノズル112のアレイに近接して圧縮機吐出圧力(PCD)を検出するのを可能にすることができる。同様に、下流側圧力センサ206は、燃焼ライナ120近くに又は燃焼チャンバ122内に配置し、それにより、燃料ノズル112のアレイに近接して燃焼器チャンバ圧力(PCC)を検出するのを可能にすることができる。センサ204、206を燃料ノズル112のアレイに近接して配置することによって、センサ204、206は、燃料ノズル112内における火炎以外の原因に起因する圧力異常を検出する可能性を比較的より少なくすることができる。
【0033】
実施形態では、上流側及び下流側圧力センサ204、206は、統合型プローブ250の構成要素とすることができる。統合型プローブ250は、圧縮機吐出圧力(PCD)と燃焼器チャンバ圧力(PCC)との間の差のような、燃料ノズル112にわたる(燃料ノズル112の入口及び出口間の)圧力差の増大を検出するように動作可能とすることができる。例えば、統合型プローブ250は、差圧プローブとすることができる。
【0034】
図3及び図4に示すように、プローブ250は、燃焼器106と組合せることができる。具体的には、プローブ250は、燃焼器ケーシング114、流れスリーブ132及び燃焼ライナ120を貫通して、燃焼チャンバ122内に延びることができる。上流側圧力センサ204は、流れスリーブ132と燃焼ライナ120との間のような、燃焼器106への空気流路140内に配置された状態になっているプローブ250の一部分上に配置することができる。下流側圧力センサ206は、燃焼器チャンバ122内に配置された状態になっているプローブ250の一部分上に配置することができる。従って、圧縮機吐出圧力(PCD)及び燃焼器チャンバ圧力(PCC)の両方は、単一プローブ250を使用して検知することができる。図4に示すように、統合型プローブ250はまた、変換器208を含むことができる。この図示した実施形態では制御装置210を示していないが、プローブ250はまた、制御装置210を含むことができる。それに代えて、制御装置210は、プローブ250から分離させることができる。
【0035】
実施形態では、燃焼器チャンバ122内での下流側圧力センサ206の位置決めは、該下流側圧力センサ206への燃焼チャンバ122内の温度の影響を減少させるように選択することができる。例えば、燃焼チャンバ122内の温度は、下流側圧力センサ206が耐えることができる温度を越える可能性がある。従って、下流側圧力センサ206は、該下流側圧力センサ206の先端254が燃焼ライナ120近くに位置するように、燃焼チャンバ内に配置することができる。例えば、図示するように、先端254は、燃焼ライナ120とほぼ同一平面にすることができる。幾つかのケースでは、先端254の周りに、僅かな空気ギャップ256を形成することができる。空気ギャップ256は、冷却空気流れを可能とすることができ、それにより、下流側圧力センサ206への温度の影響をさらに減少させることができる。
【0036】
統合型プローブ250は、該統合型プローブ250が燃料ノズル112のアレイにわたる圧力低下を検出することによって該燃料ノズル112のいずれか1つ内における火炎を検出することができるので、ガスタービンの燃料ノズル内における火炎を検出するためのシステム200を備えるようにガスタービンを改造する費用を低減することができる。個々のセンサは、各燃料ノズル112内には必要でなくて、実装及び保守費用を低減することができる。
【0037】
実施形態では、統合型プローブ250は、燃焼(器)ダイナミックス監視(CDM)プローブのような、ガスタービンの既存のプローブと組合せることができる。燃焼ダイナミックス監視(CDM)プローブは、燃焼チャンバ122のダイナミック圧力(動的圧力(動圧))のような、ガスタービンのパラメータを測定するために使用することができる。そのような実施形態では、下流側圧力センサ206は、燃焼チャンバ122からの動圧信号を統合型プローブ250上に設置された動圧センサ252に送信するのを可能にする同心軸方向ボアを有することができる。そのような実施形態では、統合型プローブ250を備えるようにガスタービンを改造することは、既存の燃焼ダイナミック監視(CDM)プローブを図4に示す統合型プローブ250と置き換えることのような簡単なものとすることができる。
【0038】
図5は、ガスタービンの燃料ノズル内における火炎を検出する方法500の実施形態を示すブロック図である。ブロック502において、燃料ノズルのアレイにわたる圧力低下を検出することができる。例えば、この圧力低下は、上記のシステムの1つを使用することなどにより、圧縮機吐出圧力(PCD)と燃焼器チャンバ圧力(PCC)との間の圧力差を検出することによって検出することができる。ブロック504において、圧力低下が予測圧力低下を越えたことに応答して燃料ノズルの少なくとも1つ内に火炎が存在すると判定することができる。例えば、検出圧力低下を予測圧力低下と比較することによって火炎が存在することを判定することができる。幾つかの実施形態では、予測圧力低下は、該予測圧力低下の範囲とすることができ、このようなケースでは、検出圧力低下が、予測圧力低下の範囲内にないと決定することによって火炎が存在することを判定することができる。その後に、本方法500は、終了する。実施形態では、本方法500はさらに、火炎を消失させるステップを含むことができる。火炎は、あらゆる既知の又は今後開発される方法で、消滅させることができる。
【0039】
上記には、本発明の実施形態による方法及びシステムのブロック図及び概略図を参照して、本発明の実施形態を説明している。図の各ブロック及び該図におけるブロックの組合せは、コンピュータプログラム命令によって実行することができることを理解されたい。これらのコンピュータプログラム命令は、1つ又はそれ以上の汎用コンピュータ、専用コンピュータ或いはその他のプログラム可能データ処理装置上にロードして、それらコンピュータ或いはその他のプログラム可能データ処理装置で実行する命令が1つ又は複数のブロックにおいて特定された機能を実行するための手段を構成するような機械を製作することができる。そのようなコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ読取り可能メモリ内に記憶させることができ、このコンピュータ読取り可能メモリがコンピュータ又はその他のプログラム可能データ処理装置に指示して、コンピュータ読取り可能メモリ内に記憶させた命令が1つ又は複数のブロックにおいて特定された機能を実行する命令手段を含む製品を構成するように特定の方法で機能させることができる。
【0040】
以上、ガスタービンの燃料ノズル内における火炎を検出するための本システム及び方法は、燃料ノズルのアレイを有するガスタービンに関して説明しているが、本システム及び方法は、1つのみの燃料ノズルを有する燃焼器でも用いることができることは当業者には分かるであろう。
【符号の説明】
【0041】
100 ガスタービン
102 吸気セクション
104 圧縮機
106 燃焼器
108 タービン
110 排気セクション
112 燃料ノズル
114 燃焼器ケーシング
118 タービンケーシング
120 燃焼(器)ライナ
122 燃焼(器)チャンバ
124 ライナキャップ組立体
126 移行ダクト
128 出口
130 キャップ組立体
132 流れスリーブ
134 半径方向フランジ
136 外壁
138 アパーチャ
140 空気流路
200 システム
204 上流側圧力センサ
206 下流側圧力センサ
208 変換器
210 制御装置
250 統合型プローブ
252 圧力センサ
254 先端
256 空気ギャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機(104)及び燃焼器(106)を有するガスタービン(100)の燃料ノズル(112)の周りの火炎を検出するためのシステム(200)であって、
前記燃料ノズル(112)の上流の第1の圧力を検出する第1の圧力センサ(204)と、
前記燃料ノズル(112)の下流の第2の圧力を検出する第2の圧力センサ(206)と、
前記第1の圧力及び第2の圧力間の圧力差を検出するように動作可能な変換器(208)と、を含む、
システム(200)。
【請求項2】
前記第1の圧力センサ(204)が、前記燃焼器(106)への空気流路(140)内に配置される、請求項1記載のシステム(200)。
【請求項3】
前記空気流路(140)が、前記燃焼器(106)のケーシング(114)と該燃焼器(106)のチャンバ(122)との間の領域を含む、請求項2記載のシステム(200)。
【請求項4】
前記第2の圧力センサ(206)が、前記燃焼器(106)のチャンバ(122)内に配置される、請求項1記載のシステム(200)。
【請求項5】
前記変換器(208)が、差圧変換器を含む、請求項1記載のシステム(200)。
【請求項6】
統合型プローブ(250)をさらに含み、
前記統合型プローブ(250)が、前記燃焼器(106)への空気流路(140)を貫通して燃焼チャンバ(122)内に延びる、
請求項1記載のシステム(200)。
【請求項7】
前記第1の圧力センサ(204)が、前記空気流路(140)内に配置された前記統合型プローブ(250)の一部分上に設置され、また
前記第2の圧力センサ(206)が、前記燃焼チャンバ(122)内に配置された前記統合型プローブ(250)の一部分上に設置される、
請求項6記載のシステム(200)。
【請求項8】
前記統合型プローブ(250)が、燃焼ダイナミックス監視プローブをさらに含む、請求項6記載のシステム(200)。
【請求項9】
前記統合型プローブ(250)が、燃焼ダイナミックス監視を実行するようにさらに動作可能である、請求項6記載のシステム(200)。
【請求項10】
前記圧力差が所定の圧力差を越えたことに応答して前記ガスタービン(100)の燃料ノズル(112)内に前記火炎が存在することを表示するように動作可能な制御装置(210)をさらに含む、請求項1記載のシステム(200)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−159739(P2010−159739A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−254485(P2009−254485)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY