説明

ガスタービンエンジン

【課題】空力性能の低下を抑えつつ、入口案内翼やストラットの防氷性を高めることができるガスタービンエンジンを提供する。
【解決手段】外部から空気が流入する入口流路3内に入口案内翼5が設けられるガスタービンエンジン10であって、入口案内翼5には、この入口案内翼5を加熱するための加熱用ガスが導入される内部空間5aが形成される。入口案内翼5の背側面5cには、内部空間5a内の加熱用ガスを下流に向けて入口流路3に噴出させる噴出孔が形成されている、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防氷性を有するガスタービンエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、下記の特許文献1に記載されたガスタービンエンジンを示し、図2(A)は、図1のX−X線矢視図である。図2(B)は、図1のX−X線矢視図であるが、図2(A)とは異なる構成例を示す。
【0003】
ガスタービンエンジンは、図1に示すように、外部から空気が流入する上流側領域において、ストラット31、入口案内翼33、動翼35などを有する。なお、符号37は、ノーズコーンを示し、符号は、加熱用空気ダクト39を示し、符号41は、外部配管を示す。
【0004】
このようなガスタービンエンジンにおいては、圧縮機(図示せず)の後段から400℃程度の加熱用ガスを、外部配管41により抽出し、加熱用空気ダクト39を通して、ストラット31の中空部31aに送り込む。これにより、ストラット31を加熱する。
また、ストラット31には、噴出口31bが設けられる。この噴出口31bから、中空部31a内の加熱用ガスが入口案内翼33側に噴出される。これにより、入口案内翼33を加熱する。
上記構成で、ストラット31および入口案内翼33に氷が付着することによる不都合を回避できる。即ち、ストラット31および入口案内翼33に付着し成長した氷が、ストラット31および入口案内翼33から剥離して、圧縮機へ吸い込まれることを防止でき、入口案内翼33が可動である場合には、入口案内翼33に付着した氷により、入口案内翼33の動きが妨げられることを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−184389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述の構成において、ストラット31の噴出口31bから噴出する加熱用ガスが主流とミキシングするので、乱れがなく高エネルギーを維持した主流に対して新たな乱れを生じさせ、空力性能が低下する。
そこで、本発明の目的は、空力性能の低下を抑えつつ、入口案内翼やストラットの防氷性を高めることができるガスタービンエンジンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明によると、外部から空気が流入する入口流路内に入口案内翼が設けられるガスタービンエンジンであって、
前記入口案内翼には、該入口案内翼を加熱するための加熱用ガスが導入される内部空間が形成され、
前記入口案内翼の下流側端部には、前記内部空間内の前記加熱用ガスを下流に向けて前記入口流路に噴出させる1個以上の噴出孔が形成されている、ことを特徴とするガスタービンエンジンが提供される。
【0008】
上述の本発明では、入口案内翼の内部空間に加熱用ガスを導入することで、入口案内翼の防氷性を高めることができる。
また、入口案内翼の内部空間に導入された加熱用ガスは、前記入口案内翼の背側の噴出孔から下流に向けて噴出されるので、加熱用ガスが噴出される事で翼面の境界層内にエネルギーを与え、流れの剥離がおきにくくなり、入口流路内の主流ガスが、入口案内翼における後縁側の背側面に沿って流れやすくなる。これにより、空力性能を向上させることができる。
さらに、入口案内翼の噴出孔から噴出された加熱用ガスは、入口案内翼の下流にある動翼に吹き付けられるので、動翼の防氷性をも高めることができる。
【0009】
好ましくは、前記噴出孔は、少なくとも一つが前記入口案内翼の背側面に形成されている。
【0010】
このように、前記噴出孔は、前記入口案内翼の下流側端部であって前記入口案内翼の背側面に形成されて、下流側に向けて加熱用ガスを噴出するので、加熱用ガスが噴出される事で翼面の境界層内にエネルギーを与え、流れの剥離がおきにくくなり、入口流路内の主流ガスが、入口案内翼における後縁側の背側面に沿って一層流れやすくなる。その結果、空力性能が一層向上される。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によると、前記入口案内翼は、ガスタービンエンジンの中心軸に対する半径方向に、該中心軸側のノーズコーンから前記半径方向外側の前記入口流路の内壁面へ向かって延びており、
前記入口案内翼における前記半径方向外側の一端部には、前記半径方向を向く軸芯を中心として回転駆動されるスピンドル軸が結合されており、前記スピンドル軸には、内部空間が形成されており、
前記加熱用ガスは、前記スピンドル軸の前記内部空間を介して前記入口案内翼の前記内部空間に導入される。
【0012】
このように、前記入口案内翼に結合された前記スピンドル軸に内部空間を設け、この内部空間を介して前記入口案内翼の前記内部空間に前記加熱用ガスを導入することができる。
【0013】
本発明の好ましい実施形態によると、前記入口案内翼より上流側の前記入口流路内には、ストラットが設けられ、該ストラットは、前記入口流路の内壁面から前記入口流路の中心部に位置するノーズコーンまで延びており、
前記ストラットには、該ストラットを加熱するための加熱用ガスが導入される内部空間が形成され、
前記ストラットの前記内部空間から前記加熱用ガスが流入する流路が、前記ノーズコーンに形成され、
該ノーズコーンの前記流路内の前記加熱用ガスを下流に向けて前記入口流路内に噴出させる噴出孔が、前記ストラットの上流側において、前記ノーズコーンに形成されている。
【0014】
このように、前記入口案内翼の上流側にあるストラットにも内部空間を設け、この内部空間に加熱用ガスを導入するので、ストラットに氷が付着することを防止できる。また、ストラットの内部空間に導入された加熱用ガスは、前記ストラットの上流側において、ノーズコーンの噴出孔から下流に向けて前記入口流路内に噴出されるので、空力性能の低下を抑えつつ、該加熱用ガスは、再びストラットを加熱し、その後、入口案内翼も加熱することができる。
【0015】
本発明の別の実施形態によると、前記入口案内翼より上流側の前記入口流路内には、ストラットが設けられ、該ストラットは、前記入口流路の内壁面から前記入口流路の中心部に位置するノーズコーンまで延びており、
前記ストラットには、該ストラットを加熱するための加熱用ガスが導入される内部空間が形成され、
前記ストラットの前記内部空間から前記加熱用ガスが流入する流路が、前記ノーズコーンに形成され、
前記ノーズコーンの前記流路を通して、前記ストラットの前記内部空間から前記入口案内翼の前記内部空間に前記加熱用ガスが導入される。
【0016】
このように、前記入口案内翼の上流側にあるストラットにも内部空間を設け、この内部空間に加熱用ガスを導入するので、ストラットに氷が付着することを防止できる。また、ストラットの内部空間に導入された加熱用ガスが、ノーズコーン内の流路を通して入口案内翼の内部空間へ導入されるので、空力性能を低下させずに、ストラットおよび入口案内翼の両方を加熱することができる。
【0017】
本発明の好ましい実施形態によると、前記入口案内翼よりも下流に設けられる圧縮機を備え、
前記入口案内翼の前記内部空間に導入される前記加熱用ガスは、前記圧縮機から抽出されたものである。
【0018】
このように、前記圧縮機から抽出された加熱用ガスを、ストラットの内部空間を介して、または、ストラットの内部空間を介さないで、入口案内翼の内部空間に導入することができる。
【発明の効果】
【0019】
上述した本発明のガスタービンエンジンによると、空力性能を向上させつつ、入口案内翼の防氷性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】特許文献1のガスタービンエンジンを示す。
【図2】(A)は、図1のX−X線矢視図であり、(B)は、図1のX−X線矢視図であるが、(A)とは異なる構成例を示す。
【図3】本発明の第1実施形態によるガスタービンエンジンを示す。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】図3のV−V線矢視図である。
【図6】本発明の第2実施形態によるガスタービンエンジンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を実施するための最良の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0022】
[第1実施形態]
第1実施形態によるガスタービンエンジン10は、防氷性を要する地上または航空機用のガスタービンエンジンに適用可能である。特に、第1実施形態によるガスタービンエンジン10は、低バイパス比の航空機用ガスタービンエンジンに適している。
図3は、本発明の第1実施形態によるガスタービンエンジン10の上流側領域を示す。図3のように、ガスタービンエンジン10は、外部から空気が流入する入口流路3内に設けられる入口案内翼5と、該入口案内翼5の下流に設けられる動翼7と、を有する。
【0023】
第1実施形態によると、入口案内翼5には、該入口案内翼5を加熱するための加熱用ガスが導入される内部空間5aが形成される。また、入口案内翼5の背側面5cには、内部空間5a内の前記加熱用ガスを下流に向けて外部の入口流路3に噴出させる1個以上の噴出孔5bが形成されている。入口案内翼5は、周方向に複数設けられている。本願において、周方向とは、ガスタービンエンジン10の中心軸C1を回る方向である。また、本願において、半径方向とは、前記中心軸C1に対する半径方向であり、軸方向とは、前記中心軸C1と平行な方向である。なお、入口案内翼5の材質は、例えばチタン合金である。
【0024】
噴出孔5bは、各入口案内翼5において、半径方向の1箇所または複数位置(図3の例では、5箇所)に設けられる。複数の噴出孔5bは、開口面積が同一であってよく、開口の形状が丸形状または四角形状であってよい。なお、各入口案内翼5において、噴出孔5bは、半径方向における1つの箇所だけに設けるようにしてもよい。
図4は、図3のIV−IV線断面図である。図4に示すように、入口案内翼5は、背側面5cと腹側面5dを有し、背側面5cに各噴出孔5bが形成されている。各入口案内翼5(即ち、背側面5cと腹側面5d)は、少なくとも入口案内翼5の下流側部分において、下流側に移行するにつれ、その位置が同じ周方向一方側(図4の下側)に移行している。入口案内翼5における前記周方向一方側の面が腹側面5dであり、入口案内翼5における前記周方向一方側と反対側の面が背側面5cである。
図4に示すように、噴出孔5bは、内部空間5aの一部である噴出用流路5eの下流端に位置して、下流に向けて加熱用ガスを噴出するので、加熱用ガスが噴出されることで翼面の境界層内にエネルギーを与えられ、流れの剥離がおきにくくなり、入口流路3内の主流ガスが、入口案内翼5における後縁側の背側面5cに沿って流れやすくなり、その結果、空力性能が向上する。上述した形状と構造を持つ噴出用流路5eが、各入口案内翼5において、各噴出孔5b毎に(図3の例では5つ)設けられている。
また、各入口案内翼5において、噴出孔5bは、入口案内翼5の下流側端部(即ち、後縁付近)に位置している。さらに、各噴出用流路5eは、下流側に移行するにつれ、背側面5cに沿うように、その位置が前記周方向一方側に移行している。これにより、噴出孔5bが向く方向は、下流側を向く軸方向の成分と、前記周方向一方側を向く周方向の成分とを有する。このようにして、噴出孔5bが向く方向を、背側面5cに沿った方向に近くすることができる。従って、このような噴出孔5bが向く方向に、加熱用ガスが、入口案内翼5の下流側端部において噴出孔5bから噴出される。これにより、加熱用ガスが噴出されることで翼面の境界層内にエネルギーを与えられ、流れの剥離がおきにくくなり、入口流路3内の主流ガスが、入口案内翼5における後縁側の背側面5cに沿って一層流れやすくなる。その結果、空力性能が一層向上する。
【0025】
入口案内翼5は、中心軸C1側のノーズコーン9から、半径方向外側にある入口流路3の内壁面6へ向かって半径方向に延びている。入口案内翼5における半径方向外側の一端部には、自身の軸心回りに回転駆動されるスピンドル軸11が結合されている。スピンドル軸11には、内部空間11a(この例では、中空部11a)が形成されている。前記加熱用ガスは、スピンドル軸11の内部空間11aを介して入口案内翼5の内部空間5aに導入される。
また、入口案内翼5の半径方向内側端部に支持軸29が結合されている。この支持軸29は、スピンドル軸11と同軸周りに揺動(回転)可能にノーズコーン9に取り付けられている。なお、スピンドル軸11と支持軸29の材質は、例えばチタン合金である。
【0026】
また、図3のように、入口案内翼5より上流側の入口流路3には、ストラット13が設けられている。ストラット13は、入口流路3の内壁面6から入口流路3の中心部に位置するノーズコーン9まで延びている。ストラット13は、複数の周方向位置に設けられる。
入口流路3の内壁面6は、入口流路3を内部に区画する外側ケーシング15に形成されている。ノーズコーン9は、回転しない非回転部である。ストラット13は、外側ケーシング15とノーズコーン9に結合されている。ストラット13の材質は、例えばチタン合金である。
【0027】
第1実施形態によると、各ストラット13には、該ストラット13を加熱する加熱用ガスが導入される内部空間13a(この例では中空部13a)が形成される。ストラット13の内部空間13aから前記加熱用ガスが流入する流路9aが、各ストラット13毎にノーズコーン9に形成される。ノーズコーン9の流路9a内の前記加熱用ガスを下流に向けて入口流路3内に噴出させる噴出孔9bが、ストラット13の上流側において、ノーズコーン9に形成されている。噴出孔9bが、前記加熱用ガスを下流に向けて噴出できるように、流路9aは、所定の部分から上流側に延びて途中で下流側を向く方向に反転し、反転した後、噴出孔9bまで下流側へ延びている。なお、複数のストラット13の内部空間13にそれぞれ連通する複数の流路9aは、互いに連通していてもよいし、互いに独立していてもよい。
【0028】
図3において、外側ケーシング15の外表面側には、外部配管17と第1周方向ダクト19と第2周方向ダクト21が設けられる。外部配管17は、入口案内翼5よりも下流に設けられるガスタービンエンジン10の圧縮機(図示せず)の後段から、第1周方向ダクト19と第2周方向ダクト21に、高温高圧ガス(例えば400℃程度)を前記加熱用ガスとして送り込む。第1周方向ダクト19は、全周にわたって周方向に延びることで、各周方向位置にて各ストラット13の内部空間13aに連通している。そのために、外側ケーシング15には、各ストラット13の内部空間13aの周方向位置において、第1周方向ダクト19と内部空間13aを連通させる貫通孔15aが形成されている。第2周方向ダクト21は、全周にわたって周方向に延びることで、各周方向位置にて各スピンドル軸11の内部空間11aに連通している。
【0029】
図5は、図3のV−V線矢視図であるが、第1周方向ダクト19などの図示を省略している。図5に示すように、各入口案内翼5のスピンドル軸11は、駆動機構23により揺動(回転)させられる。駆動機構23は、リング状部材25と操作レバー27を有する。リング状部材25は、全周わたって周方向に延び、図示しない装置により、周方向である図5の矢印Aの方向に回転させられる。操作レバー27は、中心軸C2の周りに回転可能にリング状部材25に取り付けられた一端部と、第2周方向ダクト21に干渉しないようにスピンドル軸11の外周面に一体的に結合または嵌合した他端部とを有する。この構成で、リング状部材25の回転により、操作レバー27を介してスピンドル軸11を、スピンドル軸11の軸芯回りに揺動させる。なお、駆動機構23は、スピンドル軸11を上述のように揺動させることができれば、図5に示した構成以外の適切な構成を有するものであってもよい。
【0030】
上述した第1実施形態のガスタービンエンジン10によると、以下の効果(A)〜(C)が得られる。
【0031】
(A)入口案内翼5の内部空間5aに加熱用ガスを導入することで、入口案内翼5の防氷性を高めることができる。また、入口案内翼5の内部空間5aに導入された加熱用ガスは、入口案内翼5の背側の噴出孔5bから下流に向けて噴出されるので、加熱用ガスが噴出されることで翼面の境界層内にエネルギーを与えられ、流れの剥離がおきにくくなり、入口流路3内の主流ガスが、入口案内翼5における後縁側の背側面に沿って流れやすくなる。これにより、空力性能を向上させることができる。さらに、入口案内翼5の噴出孔5bから噴出された加熱用ガスは、動翼7に吹き付けられるので、動翼7の防氷性をも高めることができる。
【0032】
(B)噴出孔5bは、入口案内翼5の下流側端部であって入口案内翼5の背側面5cに形成されて、背側面5cに沿った下流側方向に加熱用ガスを噴出するので、加熱用ガスが噴出されることで翼面の境界層内にエネルギーを与えられ、流れの剥離がおきにくくなり、入口流路3内の主流ガスが、入口案内翼5における後縁側の背側面5cに沿って一層流れやすくなる。その結果、空力性能が一層向上される。
【0033】
(C)入口案内翼5の上流側にあるストラット13にも内部空間13aを設け、この内部空間13aに加熱用ガスを導入するので、ストラット13に氷が付着することを防止できる。また、ストラット13の内部空間13aに導入された加熱用ガスは、ストラット13の上流側において、ノーズコーン9の噴出孔9bから下流に向けて入口流路3内に噴出されるので、空力性能の低下を抑えつつ、該加熱用ガスは、再びストラット13を加熱し、その後、入口案内翼5も加熱することができる。
【0034】
[第2実施形態]
図6は、本発明の第2実施形態によるガスタービンエンジン10の上流側領域を示す。第2実施形態によるガスタービンエンジン10は、以下で説明する内容が第1実施形態によるガスタービンエンジン10と異なる。第2実施形態によるガスタービンエンジン10において、以下で説明する内容以外の点は、第1実施形態によるガスタービンエンジン10と同じであってよい。
【0035】
第2実施形態によると、第1実施形態の流路9aおよび噴出孔9bの代わりに、図6に示すように流路9cが形成される。即ち、第2実施形態によると、ストラット13の内部空間13aから前記加熱用ガスが流入する流路9cが、ノーズコーン9に形成される。ノーズコーン9の流路9cを通して、ストラット13の内部空間13aから入口案内翼5の内部空間5aに前記加熱用ガスが導入される。図6の例では、支持軸29には、該支持軸29の軸線方向に貫通した内部空間29a(この例では中空部29a)が形成されている。この内部空間29aを通して、ノーズコーン9内の流路9cから入口案内翼5の内部空間5aへ加熱ガスが導入される。
【0036】
第2実施形態では、第1実施形態と違って、スピンドル軸11の内部空間11aを通して加熱用ガスが内部空間5aに導入されない。即ち、第2実施形態では、スピンドル軸11の内部空間11a、第2周方向ダクト21が省略される。ただし、第2実施形態において、ノーズコーン9の流路9cを通して入口案内翼5の内部空間5aに前記加熱用ガスが導入されることに加えて、第1実施形態のように、スピンドル軸11の内部空間11aを通して外部配管17から加熱用ガスが内部空間5aに導入されるようにしてもよい。
【0037】
第2実施形態によるガスタービンエンジン10によると、上記効果(A)、(B)と次の効果(D)が得られる。
【0038】
(D)入口案内翼5の上流側にあるストラット13にも内部空間13aを設け、この内部空間13aに加熱用ガスを導入するので、ストラット13に氷が付着することを防止できる。また、ストラット13の内部空間13aに導入された加熱用ガスが、ノーズコーン9内の流路9cと内部空間29aを通して入口案内翼5の内部空間5aへ導入されるので、空力性能を低下させずに、ストラット13および入口案内翼5の両方を加熱することができる。
【0039】
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、以下の変更点を単独でまたは組み合わせて採用してよい。
【0040】
入口案内翼5は、図4において、図4の上下に関して対称となる形状を有していてもよい。
【0041】
噴出孔5bを、入口案内翼5の背側面5cと腹側面5dの両方に形成し、背側面5cと腹側面5dの両方にて加熱用ガスを下流に向けて噴出孔5bから噴出させてもよい。
【符号の説明】
【0042】
3 入口流路、5 入口案内翼、5a 入口案内翼の内部空間、
5b 噴出孔、5c 背側面、5d 腹側面、5e 噴出用流路、
6 内壁面、7 動翼、9 ノーズコーン、
9a ノーズコーンの流路、9b 噴出孔、9c 流路、
10 ガスタービンエンジン、11 スピンドル軸、
11a スピンドル軸の内部空間、13 ストラット、
13a 内部空間、15 外側ケーシング、17 外部配管、
19 第1周方向ダクト、21 第2周方向ダクト、
23 駆動機構、25 リング状部材、27 操作レバー、
29 支持軸、29a 内部空間、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から空気が流入する入口流路内に入口案内翼が設けられるガスタービンエンジンであって、
前記入口案内翼には、該入口案内翼を加熱するための加熱用ガスが導入される内部空間が形成され、
前記入口案内翼の下流側端部には、前記内部空間内の前記加熱用ガスを下流に向けて前記入口流路に噴出させる1個以上の噴出孔が形成されている、ことを特徴とするガスタービンエンジン。
【請求項2】
前記噴出孔は、少なくとも一つが前記入口案内翼の背側に形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のガスタービンエンジン。
【請求項3】
前記入口案内翼は、ガスタービンエンジンの中心軸に対する半径方向に、該中心軸側のノーズコーンから前記半径方向外側の前記入口流路の内壁面へ向かって延びており、
前記入口案内翼における前記半径方向外側の一端部には、前記半径方向を向く軸芯を中心として回転駆動されるスピンドル軸が結合されており、前記スピンドル軸には、内部空間が形成されており、
前記加熱用ガスは、前記スピンドル軸の前記内部空間を介して前記入口案内翼の前記内部空間に導入される、ことを特徴とする請求項1または2に記載のガスタービンエンジン。
【請求項4】
前記入口案内翼より上流側の前記入口流路内には、ストラットが設けられ、該ストラットは、前記入口流路の内壁面から前記入口流路の中心部に位置するノーズコーンまで延びており、
前記ストラットには、該ストラットを加熱するための加熱用ガスが導入される内部空間が形成され、
前記ストラットの前記内部空間から前記加熱用ガスが流入する流路が、前記ノーズコーンに形成され、
該ノーズコーンの前記流路内の前記加熱用ガスを下流に向けて前記入口流路内に噴出させる噴出孔が、前記ストラットの上流側において、前記ノーズコーンに形成されている、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のガスタービンエンジン。
【請求項5】
前記入口案内翼より上流側の前記入口流路内には、ストラットが設けられ、該ストラットは、前記入口流路の内壁面から前記入口流路の中心部に位置するノーズコーンまで延びており、
前記ストラットには、該ストラットを加熱するための加熱用ガスが導入される内部空間が形成され、
前記ストラットの前記内部空間から前記加熱用ガスが流入する流路が、前記ノーズコーンに形成され、
前記ノーズコーンの前記流路を通して、前記ストラットの前記内部空間から前記入口案内翼の前記内部空間に前記加熱用ガスが導入される、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のガスタービンエンジン。
【請求項6】
前記入口案内翼よりも下流に設けられる圧縮機を備え、
前記入口案内翼の前記内部空間に導入される前記加熱用ガスは、前記圧縮機から抽出されたものである、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のガスタービンエンジン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−21506(P2011−21506A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165528(P2009−165528)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)