説明

ガスタービン排出ディフューザのためのシステム及び方法

【課題】ガスタービン排出ディフューザを通って流れる排出ガス内に流体を噴射させるシステム及び方法を提供すること。
【解決手段】1つの態様において、ガスタービン(12)用の排出ディフューザ(24)が開示される。排出ディフューザ(24)は、一般に、内側ケーシング(26)と、ガスタービン(12)の排出ガス(36)を受けるための通路(34)を定めるために、内側ケーシング(26)から半径方向に間隔を置いて配置された外側ケーシング(28)とを含むことができる。加えて、排出ディフューザ(24)は、通路(34)を流れる排出ガス(36)内に流体を噴射するよう構成された流体出口(50)を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、全体的に、ガスタービンに関し、より詳細には、ガスタービンに対してターンダウン能力を向上させるためにガスタービン排出ディフューザを通って流れる排出ガス内に流体を噴射させるシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複合サイクル発電システムは通常、排熱回収ボイラ(HRSG)システムに結合されるガスタービンを含む。ガスタービンは通常、圧縮機セクション、燃焼セクション、及びタービンセクションを含む。圧縮機セクションは通常、動翼及び静翼の複数の段を有する軸流圧縮機によって特徴付けられる。周囲空気が圧縮機に流入し、動翼及び静翼が空気に運動エネルギーを漸次的に与え、該空気が高加圧状態になる。加圧空気は圧縮機から流出して燃焼セクションに流れ、ここで燃料と混合されて1以上の燃焼器内で燃焼し、燃焼ガスを発生する。燃焼器から流出する燃焼ガスは、タービンセクションに流れ、ここで燃焼ガスが膨張し仕事を産出する。次いで、タービンセクションから吐出された加熱燃焼ガスは、ガスタービンの排出ディフューザを通って流れ、次いで、熱エネルギー源としてHRSGシステムに送給することができる。詳細には、排出ガスからの熱が水供給源に伝達され、高圧高温の蒸気を発生するようにすることができる。次いで、1以上の蒸気タービン内で蒸気を用いてエネルギーを生成することができる。
【0003】
一般に理解されるように、ガスタービンの最小負荷又はターンダウン能力は、ガスタービンを運転する上で重要な考慮事項である。具体的には、ターンダウン能力は、ガスタービンのオペレータがガスタービンにかかる負荷を低減する能力に対応し、一般には、燃焼器に供給される燃料の量を低減することによって達成される。従って、ガスタービンのターンダウン能力が増大すると、オフピーク期間(例えば、夜間)に機械を運転するのに必要な燃料の量が低減され、これにより結果として大幅な燃料コスト節減が得られる。しかしながら、ガスタービンがターンダウンされると、タービンから排出される排出ガスの温度が定常的に上昇する。残念ながら、このような排出温度の上昇は、複合サイクル発電システムのHRSGシステムのような下流側部品にとって問題となる可能性がある。例えば、HRSGシステムは、比較的低いターンダウン値(例えば、50%負荷未満)にてガスタービンが到達可能な排出温度を下回る最大温度で運転するよう設計されていることが多い。このような場合、ガスタービンのターンダウン能力は、HRSGシステムの最大作動温度によって制限される。
【0004】
ターンダウン能力を高めようとする現在の試みは、ガスタービンの燃焼器の作動を調整することに注目している。しかしながら、燃焼器の作動を調整する方法及び程度を決定することは、難しい作業であることが多い。更に、燃焼器の作動調整は、多くの場合、燃焼効率の低下、並びにエミッション増大、燃焼ダイナミックスの増加、及び同様のものなど、他の望ましくない結果を招く可能性がある。
【0005】
従って、HRSGシステムなどの下流側部品の最大作動温度を上回る温度で、このような部品に排出ガスを供給すること無くターンダウンを簡単且つ効率的に強化できることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の態様及び利点は、以下の説明において部分的に記載され、又は、本説明から明らかになることができ、或いは、本発明を実施することによって理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様において、本発明の主題は、ガスタービン用の排出ディフューザを開示している。排出ディフューザは、一般に、内側ケーシングと、ガスタービンの排出ガスを受けるための通路を定めるために、内側ケーシングから半径方向に間隔を置いて配置された外側ケーシングとを含むことができる。加えて、排出ディフューザは、通路を通って流れる排出ガス中に流体を噴射するよう構成された流体出口を含むことができる。
【0008】
別の態様において、本発明の主題は、ガスタービン用の排出ディフューザを開示している。排出ディフューザは、一般に、内側ケーシングと、ガスタービンの排出ガスを受けるための通路を定めるために、内側ケーシングから半径方向に間隔を置いて配置された外側ケーシングとを含むことができる。加えて、排出ディフューザは、内側ケーシングと外側ケーシングとの間に延在する複数のストラットを含むことができる。更に、排出ディフューザは、流体出口は、少なくとも1つのストラット内に定めることができ、通路を通って流れる排出ガス内に流体を噴射するよう構成することができる。
【0009】
別の態様において、本発明の主題は、ガスタービンの排出ディフューザを通って流れる排出ガスを冷却する方法を開示している。本方法は、排出ディフューザの流体出口に流体を供給する段階と、流体出口を通る流体を排出ディフューザに流れる排出ガス内に噴射する段階とを含むことができる。
【0010】
本発明のこれら及び他の特徴、態様、並びに利点は、以下の説明及び添付の請求項を参照するとより理解できるであろう。本明細書に組み込まれ且つその一部を構成する添付図面は、本発明の実施形態を例証しており、本明細書と共に本発明の原理を説明する役割を果たす。
【0011】
添付図を参照した本明細書において、当業者に対してなしたその最良の形態を含む本発明の完全かつ有効な開示を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の主題の態様によるシステムの一実施形態の簡略的概略図。
【図2】本発明の主題の態様による、開示されたシステムと共に用いるのに好適な排出ディフューザの一実施形態の側断面図。
【図3】線3−3に沿った図2に示す排出ディフューザの断面図。
【図4】線4−4に沿った図2に示す排出ディフューザの断面図。
【図5】本発明の主題の態様による、開示されたシステムと共に用いるのに好適な排出ディフューザの別の実施形態の側断面図。
【図6】線6−6に沿った図5に示す排出ディフューザの断面図。
【図7】本発明の主題の態様による、開示された実施形態と共に用いるのに好適な排出ディフューザの別の実施形態の側断面図。
【図8】線8−8に沿った図7に示す排出ディフューザの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について詳しく説明するが、その1以上の実施例を図面に示す。各実施例は例示にすぎず、本発明を限定するものではない。実際、本発明の技術的範囲又は技術的思想から逸脱せずに、本発明に様々な修正及び変形をなすことができることは当業者には明らかであろう。例えば、ある実施形態の一部として例示又は説明した特徴を、別の実施形態に用いてさらに別の実施形態としてもよい。従って、本発明は、かかる修正及び変形を特許請求の範囲で規定される技術的範囲及びその均等の範囲に属するものとして包含する。
【0014】
一般に、本発明の主題は、ガスタービンから流出し、複合サイクル発電システムの排熱回収ボイラ(HRSG)システムなどの下流側部品に流れる排出ガスの温度を低下させるためのシステム及び方法に関する。詳細には、本発明の主題は、ガスタービンのタービンセクションから流出する排出ガス内に冷却媒体を噴射するための1以上の流体出口を有する排出ディフューザに関する。例えば、幾つかの実施形態では、流体出口は、排出ディフューザのストラットの1以上内に定められ、又は他の方法で配置され、水、空気、燃料、及び/又はあらゆる他の好適な液体及び/又はガスのような冷却流体を排出ガスの流れ内に直接噴射できるようにすることができる。従って、ガスタービンから流出する排出ガスの温度は、このようなガスが何れかの下流側部品に送給される前に有意に低減することができる。
【0015】
流体を排出ガスの流れに噴射するための流体出口を含めるよう排出ディフューザを構成することにより、HRSGシステム及び他のあらゆる下流側部品の最大温度範囲を上回ることなくターンダウン能力の向上を達成できる点は理解されたい。詳細には、比較的低いターンダウン値(例えば、50%負荷を下回る)で達成される温度上昇は、排出ディフューザ内に流れる排出ガスへ流体を噴射することにより制御することができ、これにより、ガスタービンの排出温度をあらゆる下流側部品における許容可能な作動温度にまで低下させることができる。そのため、ガスタービンのターンダウン能力は、このような下流側部品の最大作動温度によって限定される必要は無い。
【0016】
ここで図面を参照すると、図1は、本発明の主題の態様による、複合サイクル発電システム10の一実施形態の簡略的概略図を示している。図示のように、システム10は、圧縮機セクション14、燃焼セクション16、及びタービンセクション18を有するガスタービン12を含む。燃焼セクション16は、一般に、ガスタービン12の軸線を中心として環状アレイで配置された複数の燃焼器(図示せず)によって特徴付けることができる。圧縮機セクション14及びタービンセクション18は、ロータシャフト20によって結合することができる。ロータシャフト20は、単一のシャフト、或いは、互いに結合されてロータシャフト20を形成する複数のシャフトセグメントとすることができる。ガスタービン12の運転中、圧縮機セクション14は、加圧空気を燃焼セクション16内に供給する。加圧空気は燃料と混合されて各燃焼器内で燃焼し、燃焼セクション16からタービンセクション18への高温の燃焼ガスが流れ、ここで高温ガスからエネルギーが抽出されて動力を発生する。
【0017】
加えて、システム10は、ガスタービン12の下流側に配置されたHRSGシステム22を含むことができる。一般に理解されるように、HRSGシステム22は、ガスタービン12のタービンセクション18から流出する加熱排出ガスを受けるように構成することができる。例えば、幾つかの実施形態では、排出ガスは、ガスタービン12の排出ディフューザ24を通ってHRSGシステム22に供給することができる。次いで、HRSGシステム22に供給される排出ガスは、高圧高温の蒸気を発生する熱源として用いることができる。次に、蒸気は、蒸気タービン(図示せず)を通過し、動力を発生することができる。加えて、蒸気はまた、過熱蒸気を利用できるシステム10内で他のプロセスに送ることができる。
【0018】
次に、図2〜4を参照すると、本発明の主題の態様による開示されたシステム10と共に用いるのに好適な排出ディフューザ24の一実施形態の簡略図を示している。詳細には、図2は、排出ディフューザ24の一実施形態の側断面図を示している。図3は、線3−3に沿った図2に示す排出ディフューザ24の断面図を示している。加えて、図4は、線4−4に沿った図2に示す排出ディフューザ24の断面図を示している。
【0019】
図示のように、排出ディフューザ24は、一般に、内側ケーシング26、外側ケーシング28、及び1以上のストラット30を含む。内側ケーシングは、一般に、ガスタービン12(図12)の回転部品32の1以上を囲むよう構成された弓形ケーシングを含むことができる。例えば、内側ケーシング26は、ロータシャフト20(図1)、軸受(図示せず)、及び/又はガスタービン12の他の回転部品32を囲む又は収容することができる。外側ケーシング28は、一般に、内側ケーシング26から半径方向に間隔を置いて配置することができ、ガスタービン12のタービンセクション18から流出する排出ガス36を受けるための排出通路34を定めるように内側ケーシング26を囲むことができる。一般に、排出ディフューザ24は、増大した静圧の形態で排出ガス36の運動エネルギーをポテンシャルエネルギーに変換するよう構成することができる。従って、図示のように、外側ケーシング28は、一般に、内側ケーシング26に対して角度が付けられ、排出通路34が下流側方向(例えば、HRSGシステム22の方向)で面積が増大するダクト又は通路を含むようにすることができる。そのため、排出ガス36は、排出ディフューザ24の長さにわたって分散又は拡散され、これにより排出ガス36の速度が低下し、静圧を増大させることができる。外側ケーシング28が単一の壁付き構造として図示されているが、内側ケーシング26はまた、離間して配置された別個の壁を有する二重又は複数の壁付き構造として構成してもよい点は理解されたい。
【0020】
排出ディフューザ24のストラット30は、一般に、内側ケーシング26と外側ケーシング28との間に延在して、内側ケーシング26に対して外側ケーシング28の向きを定め、排出ディフューザ24における構造部品として機能を果たすようにすることができる。本発明の開示の関連において、用語「ストラット」は、内側ケーシング26及び外側ケーシング28間に延在するあらゆる構造又は支持部材を含む。図4に詳細に図示するように、各ストラット30は、内側ストラット部38とストラット翼形部40を含むことができる。内側ストラット部38は、一般に、ストラット30の1次構造又は耐荷重部品として機能するよう構成することができる。ストラット翼形部40は、一般に、内側ストラット部38を囲むように構成することができる。加えて、幾つかの実施形態では、ストラット翼形部40は、空気力学的形状又は輪郭を定めて排出ディフューザ24に空気力学的特性を与えるようにし、これによりディフューザ24を通る排出ガス36の流れを改善及び/又は制御することができる。例えば、ストラット翼形部40は、共に接合して空気力学的輪郭を定めるよう構成される、第1のキャンバ面42と第2のキャンバ面44とを含むことができる。従って、各ストラット30は、キャンバ面42、44の上流側端部にて前縁46と、キャンバ面42、44の下流側端部にて後縁48とを定めることができる。図示の実施形態に示すように、各ストラット30の前縁46は、一般に、ガスタービン12のタービンセクション18から流出する排出ガス36の流れと反対の方向に面することができる。
【0021】
本発明の主題は、全体的に、当該技術分野で公知のあらゆる排出ディフューザに適用可能であり、従って、必ずしも特定のタイプの排出ディフューザ構成に限定されない点は理解されたい。例えば、図示の実施形態では示すように、排出ディフューザ24は軸方向排出ディフューザを備え、これによりタービンセクション18からの排出ガス36がHRSGシステム22に向かって軸方向(すなわち、非半径方向の直接的経路)で配向することができる。しかしながら、他の実施形態では、排出ディフューザ24は、半径方向排出ディフューザを備えることができ、これにより排出ガス36が排出ディフューザ24から出口ガイドベーン(図示せず)を通過して外向き又は半径方向に90度の転回(又は他の何れかの角度転回)をし、HRSGシステム22に向けて流出するよう再配向することができる。
【0022】
再度図2〜4を参照すると、排出ディフューザ24はまた、水、空気、燃料、及び/又は同様のものを排出通路34内で受けた排出ガスの流れに噴射するための1以上の流体出口50を含むことができる。上述のように、開示された流体出口50を用いて排出ガス36内に流体を噴射することによって、ガスタービン12の排出温度は、図示のHRSGシステム22などの下流側部品に対する許容可能な作動温度にまで低下させることができる。従って、タービンセクション18から流出する排出ガス36の最大温度は、必ずしもこのような下流側部品の最大作動温度に限定されないことから、ガスタービン12のターンダウン能力を大幅に向上させることができる。本発明の開示の関連において、用語「流体出口」又は「複数の流体出口」は、好適な流体又は流体混合物を排出ディフューザ24の排出通路34を流れる排出ガス36中に配向、スプレー、ミスト、噴霧、放出、及び/又は他の方法で噴射するよう構成された、あらゆる開口、オリフィス、ノズル、流体噴射器、スプレー、霧吹き器、噴霧器、及び/又は他のあらゆる好適な構造体及び/又は部品を含むことができる。例えば、流体出口50は、排出ガス36の流れに流体をスプレー又は他の方法で噴射するためスプレーノズル、流体噴射器、及び/又は他の好適な装置が取り付けられる排出ディフューザ24の部品の1以上において定められる開口を含むことができる。
【0023】
一般に、流体出口50は、排出ディフューザ24のあらゆる好適な部品内に、且つ排出ガス36の流れに流体を噴射することができる排出ディフューザ24内のあらゆる好適な場所に定め又は他の方法で形成することができる。従って、本発明の主題の幾つかの実施形態では、1以上の流体出口50は、各ストラット30のストラット翼形部40内に定めることによるなど、各ストラット30の一部内に定めることができる。例えば、図示の実施形態では、流体出口50は、排出ガス36の流路内に実質的に前方に流体を噴射できるように、ストラット翼形部40の前縁46にて及び/又は前縁に隣接して定めることができる。具体的には、図3に示すように、流体出口50は、前縁46にて及び/又は前縁に隣接して定めることができ、且つストラット30の高さ52に沿って離間して配置することができる。そのため、流体出口50を通って流れる流体は、このような高さ52に沿って排出通路34内の種々の半径方向位置にて排出ガス36内に噴射することができる。
【0024】
加えて、本発明の主題の特定の実施形態では、流体出口50は、前縁46の各側部の下方のストラット30内に定められ、前縁46を通過して第1及び第2のキャンバ面42、44に沿って流れる排出ガス36内に流体を噴射することができるようにすることができる。例えば、図3及び4に示すように、流体出口50は前縁46に沿ってペアで定めることができ、各流体出口50は、前縁46の各側部に配向される排出ガス36内に前方に流体を排出するよう構成される。このような構成により、ストラット翼形部40にわたるガス36の空気力学的流れを妨げることなく、流体を排出ガス36中に噴射可能にすることができる。しかしながら、代替の実施形態では、流体出口50は、必ずしも前縁46の各側部に沿ってペアで形成する必要はなく、一般に、何らかの好適な構成及び/又はパターンを有するようにストラット30内に定めることができる。例えば、各ストラット30は、前縁46にて及び/又は前縁に隣接して定められる流体出口50の単一の支柱を含むことができる。
【0025】
その上、流体出口50は、必ずしもストラット翼形部40の前縁46にて及び/又は前縁に隣接して定める必要はなく、一般に、ストラット30の外周付近のあらゆる好適な場所に定めることができる点は理解されたい。例えば、流体出口50は、第1及び/又は第2のキャンバ面42、44の中間部分に定めることによって、或いは、ストラット翼形部40の後縁48にて及び/又は後縁に隣接して定めることによってなど、ストラット翼形部40上の更に下流側の場所にてストラット30内に定めることができる。また、ストラット30は流体出口50のあらゆる好適な数を定めることができる点は理解されたい。例えば、図示の実施形態では、各ストラット30は複数の流体出口50を定める。しかしながら、他の実施形態では、単一の流体出口50のみを定めてもよい。別の実施形態では、流体出口50は、排出ディフューザ24内に配置されたストラット30の一部においてのみ定めることができる。
【0026】
図2〜4を更に参照すると、流体出口50は、一般に、各流体出口50に流体を供給するために流体源54(例えば、水供給源、空気供給源、及び/又は同様のもの)と流れ連通することができる。例えば、図示の実施形態では、流体出口50は、マニホルド56及び該マニホルド56から延在する複数の流体導管58(例えば、パイプ、管体、及び/又は同様のもの)を通って流体源54に結合することができる。具体的には、図示のように、マニホルド56は、一般に、排出ディフューザ24の外側ケーシング28を囲むリング形部材を含むことができ、流体源54からの流体を受けるように構成することができる。そのため、マニホルド56は、排出ディフューザ24の外周の周りに流体を供給する手段を提供することができる。加えて、マニホルド56から延在する流体導管58は、一般に、マニホルド56を通って流れる流体を流体出口50に移送するよう構成することができる。従って、図示の実施形態では、流体導管58は、排出ディフューザ24の外側ケーシング28を通って延在して、各流体導管58の第1の端部60がマニホルド56と流れ連通し且つ各流体導管58の第2の端部62が各ストラット30の内部内に配置されるように構成することができる。次いで、導管58により受け取られる流体は、各流体出口50に供給され、排出通路34を流れる排出ガス36のストリーム内に直接噴射するようにすることができる。例えば、図2及び4に詳細に示すように、流体導管58は、導管58を流れる流体を各流体出口50に配向するためのコネクタ通路64を含むことができる。
【0027】
代替の実施形態では、流体出口50は、必ずしも図2〜4に示す同じ構成を用いて流体源54と流れ連通する必要はない点は理解されたい。むしろ、流体出口50は、一般に、あらゆる好適な配管/管体構成及び/又は当該技術分野で公知のあらゆる好適な手段及び/又は方法を用いて、流体源54に結合することができる。
【0028】
次に、図5及び6を参照すると、本発明の主題の態様による、開示されたシステム10で使用される排出ディフューザ124の別の実施形態の簡略図を示している。詳細には、図5は、排出ディフューザ124の一実施形態の側断面図を示している。図6は、線6−6に沿った図5に示す排出ディフューザ124の断面図を示している。
【0029】
一般に、排出ディフューザ124は、図2〜4に関して上述した排出ディフューザ24と同様に構成することができ、同じ部品の多く及び/又は全てを含むことができる。例えば、図示のように、排出ディフューザ124は、ガスタービン12の回転部品132を収容するよう構成された内側ケーシング126と、該内側ケーシング126を囲む外側ケーシング128とを含むことができる。外側ケーシング128は、一般に、内側ケーシング126から半径方向に間隔を置いて配置され、ガスタービン12のタービンセクション18から流出する排出ガス136を受けるため末広の排出通路134が定められるようにすることができる。加えて、排出ディフューザ124は、内側ケーシング126と外側ケーシング128との間に延在する1以上のストラット130を含むことができる。排出ディフューザ124はまた、好適な流体又は流体の混合物を排出ガス136の流れ内に噴射するための1以上の流体出口150を含むことができる。そのため、排出ガス136の温度は、このようなガス136が開示されたシステム10のHRSGシステム22のようなあらゆる下流側部品に送給される前に有意に低下させることができる。
【0030】
しかしながら、図2〜4に関する上述の実施形態とは異なり、流体出口150は、一般に、排出ディフューザ124の外側ケーシング128内に及び/又は該外側ケーシング128を通って定められ、流体をディフューザ124の外周付近で排出ガス136中に噴射できるようにすることができる。このような実施形態では、流体出口150は、一般に、あらゆる好適な手段及び/又は方法を用いて流体源154と流れ連通することができる。例えば、図5及び6に示すように、マニホルド156は、外側ケーシング128の外周付近に延在することができ、流体源154から流体を受け取るよう構成することができる。加えて、複数の流体導管158がマニホルド156から外側ケーシング128内に延在して、マニホルド156を通る流体を各流体出口150に配向することができる。
【0031】
流体出口150は、一般に、外側ケーシング128に沿ったあらゆる好適な場所に定めることができる点は理解されたい。例えば、図示の実施形態では、流体出口150は、ストラット130の上流側の外側ケーシング128内に定められる。代替の実施形態では、流体出口150は、幅66(図4)の一部と整列させることによって、或いは、ストラット130の下流側に配置させることによってなど、更に下流側の位置で外側ケーシング128内に定めることができる。更に、図6に詳細に示すように、幾つかの実施形態では、流体出口150は、一般に、外側ケーシング128の周囲全体の周りに定めることができる。しかしながら、他の実施形態では、流体出口150は、外側ケーシングの周囲の一部だけに沿って定めることもできる。
【0032】
また、宇5に関して説明した流体出口150は、図2に関して説明した流体出口50と組み合わせることができる点は理解されたい。例えば、本発明の主題の幾つかの実施形態では、流体出口50、150は、外側ケーシング28、128とストラット30、130の両方に定めることができ、流体出口50、150は、共通のマニホルド56、156を通って、或いは、別個のマニホルド56、156を通って流体を供給する。更に、流体出口50、150が外側ケーシング28、128及び/又はストラット30、130内に定められるのに加えて、或いは、これの代替として、排出ディフューザ24、124の内側ケーシング26、126内にも流体出口を定め、排出ガス36、136の流れ内に流体を噴射できるようにすることができる。
【0033】
次に、図7及び8を参照すると、本発明の主題の態様による、開示されたシステム10で使用するための排出ディフューザ224の別の実施形態の簡略図を示している。詳細には、図7は、排出ディフューザ224の一実施形態の側断面図を示している。図8は、線8−8に沿った図7に示す排出ディフューザ224の断面図を示している。
【0034】
一般に、排出ディフューザ224は、図2〜6に関して上述された排出ディフューザ24、124と同様に構成することができ、同じ部品の多く及び/又は全てを含むことができる。例えば、図示のように、排出ディフューザ224は、ガスタービン12の回転部品232を収容するよう構成された内側ケーシング226と、該内側ケーシング226を囲む外側ケーシング228とを含むことができる。外側ケーシング228は、一般に、内側ケーシング226から半径方向に間隔を置いて配置され、ガスタービン12のタービンセクション18から流出する排出ガス236を受けるため末広の排出通路234が定められるようにすることができる。加えて、排出ディフューザ224は、内側ケーシング226と外側ケーシング228との間に延在する1以上のストラット230を含むことができる。排出ディフューザ224はまた、好適な流体又は流体の混合物を排出ガス236の流れ内に噴射するための1以上の流体出口250を含むことができる。そのため、排出ガス236の温度は、このようなガス236が開示されたシステム10のHRSGシステム22のようなあらゆる下流側部品に送給される前に有意に低下させることができる。
【0035】
しかしながら、図2〜4に関する上述の実施形態とは異なり、流体出口250は、外側ケーシング228を通りストラット230の外部の排出通路234内の位置まで延在する1以上の流体導管258(パイプ、管体、及び同様のものなど)内に定めることができる。例えば、幾つかの実施形態では、1以上の流体導管258は、外側ケーシング228を通って延在することができ、各ストラット250のストラット翼形部240の外周に隣接して取り付け及び/又は位置付けることができる。従って、図示の実施形態では、流体導管258(その1つが図示されている)は、各ストラット翼形部240の後縁248に隣接して取り付け及び/又は位置付けることができる。そのため、流体導管258を流れる流体は、排出ガス236が各ストラット230を通過して流れるときに、流体出口250から排出されてこのようなガス236の流れ内に噴射することができる。他の実施形態では、開示された流体導管258は、排出通路234内の他のあらゆる好適な場所に配置することができる点は理解されたい。例えば、流体導管258は、キャンバ面242、244の一方及び/又はストラット翼形部240の前縁246に隣接して取り付け及び/又は位置付けることなどにより、他のあらゆる好適な場所でストラット翼形部240に隣接して取り付け及び/又は位置付けることができる。或いは、流体導管258は、ストラット230の各々の間の位置、及び/又は排出通路234内の他の何れかの好適な位置など、他の様々な位置に配置することができる。
【0036】
流体導管258内に定められる流体出口250は、一般に、あらゆる好適な手段及び/又は方法を用いて流体源254と流れ連通することができる点は理解されたい。例えば、図7に示すように、マニホルド256は、外側ケーシング228の外周の周りに延在することができ、流体源254から流体を受け取るよう構成することができる。加えて、流体導管258は、マニホルド256を通って流れる流体を各流体出口150に配向することができるようにマニホルド256に結合することができる。また排出ディフューザ24、124、224のストラット30、130、230、外側ケーシング28、128、228、及び/又は内側ケーシング26、126、226内に定められる流体出口50、150、250を有することに加えて、或いは代替として、図7及び8に関して上記で説明した流体出口258を利用してもよい点は理解されたい。
【0037】
加えて、本明細書で開示されるシステム10は、流体源54、154、254から供給される流体は、ガスタービン12のタービンセクション18から流出するガス36、136、236の排気温度に基づいて、排出ディフューザ24、124、224を流れる排出ガス36、136、236内に選択的に噴射できるように構成することができる。例えば、幾つかの実施形態では、排出ガス36、136、236の温度が図示のHRSGシステム22のような下流側部品の最大作動温度を超えたとき(例えば、ガスタービン12が低いターンダウン値で運転しているとき)にのみ、このようなガス36、136、236中に流体を噴射することが望ましい場合がある。従って、システム10はまた、排出ガス36、136、236の温度を直接的に測定するよう構成された温度センサ(図示せず)を含めることによって、或いは、ガスタービン12の1以上の作動パラメータ及び/又は条件に基づいて温度を推定及び/又は計算するよう構成されたコンピュータ又はタービンコントローラのような好適な処理ユニット(図示せず)を含めることによってなど、タービンセクション18から流出する排出ガス36、136、236の温度を決定するあらゆる好適な手段を含むことができる。
【0038】
更に、開示されたシステム10また、流体出口50、150、250に供給される流体の量を制御するための当該技術分野で公知のあらゆる好適な手段を含むことができる。例えば、図2、5、及び7に示すように、遮断又は制御バルブ80、180、280は、流体源54、154、254とマニホルド56、156、256との間に位置付けられ、流体出口50、150、250への供給流体を終端し、及び/又は流体出口50、150、250に供給される流体の量を変えるようにすることができる。従って、排出ガス36、136、236の温度がHRSGシステム22及び/又は他の何れかの下流側部品の最大作動温度を下回ると、流体出口50、150、250への供給流体を遮断し、加熱された排出ガス36、136、236の下流側効率を最大にすることができる。しかしながら、ガスタービン12のターンダウン中に排気温度が上昇すると、流体出口50、150、250に供給される流体の量は、あらゆる下流側部品に対して許容可能な作動温度まで排出ガス36、136、236を十分に冷却するよう制御することができる。代替の実施形態では、バルブ80、180、280は、流体出口50、150、250に供給される流体の量を制御するためにシステム10内の他の種々の位置に配置できる点は理解されたい。例えば、1以上のバルブ80、180、280は、各流体導管58、158、258内に配置され、及び/又はこれらに結合することができる。或いは、バルブ80、180、280は、各流体出口50、150、250内にバルブ作動ノズルを含めることによってなど、各流体出口50、150、250と関連付けることができる。
【0039】
本明細書では、本発明を最良の形態を含めて開示するとともに、装置又はシステムの製造・使用及び方法の実施を始め、本発明を当業者が実施できるようにするため、例を用いて説明してきた。本発明の特許性を有する範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に自明な他の例も包含する。かかる他の例は、特許請求の範囲の文言上の差のない構成要素を有しているか、或いは特許請求の範囲の文言と実質的な差のない均等な構成要素を有していれば、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0040】
10 複合サイクル発電システム
12 ガスタービン
14 圧縮機セクション
16 燃焼セクション
18 タービンセクション
20 ロータシャフト
22 HRSGシステム
24,124 排出ディフューザ
26,126 内側ケーシング
28,128 外側ケーシング
30,130 ストラット
32,132 回転部品
34,134 排出通路
36,136 排出ガス
38 内側ストラット部分
40 ストラット翼形部
42 第1のキャンバ面
44 第2のキャンバ面
46,146 前縁(ストラットの)
48 後縁(ストラットの)
50,150 流体出口
52 高さ(ストラットの)
54,154 流体源
56,156 マニホルド
58,158 流体導管
60 第1の端部(流体導管の)
62 第2の端部(流体導管の)
64 コネクタ通路
66 幅(ストラット)
80,180 遮断又は制御バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービン(12)用の排出ディフューザ(24)であって、
内側ケーシング(26)と、
前記ガスタービン(12)の排出ガス(36)を受けるための通路(34)を定めるために、前記内側ケーシング(26)から半径方向に間隔を置いて配置された外側ケーシング(28)と、
前記内側ケーシング(26)と前記外側ケーシング(28)との間に延在する複数のストラット(30)と、
前記複数のストラット(30)のうちの少なくとも1つに定められ、前記通路(34)を通って流れる前記排出ガス(36)中に流体を噴射するよう構成された流体出口(50)と、
を備える、排出ディフューザ(24)。
【請求項2】
前記複数のストラット(30)の各々は、前記流体出口(50)が隣接して定められた前縁(46)を含む、請求項1記載の排出ディフューザ(24)。
【請求項3】
前記複数のストラット(30)の各々に定められる複数の流体出口(50)を更に備え、前記複数の流体出口(50)が、前記通路(34)を通って流れる排出ガス(36)内に流体を噴射するよう構成されている、請求項1記載の排出ディフューザ(24)。
【請求項4】
前記流体出口(50)と流体源(54)との間に配置されるバルブ(80)を更に備え、該バルブ(80)が、前記流体源(54)から前記流体出口(50)に供給される流体の量を制御するよう構成されている、請求項1記載の排出ディフューザ(24)。
【請求項5】
ガスタービン(12)用の排出ディフューザ(24)であって、
内側ケーシング(26)と、
前記ガスタービン(12)の排出ガス(36)を受けるための通路(34)を定めるために、前記内側ケーシング(26)から半径方向に間隔を置いて配置された外側ケーシング(28)と、
前記通路(34)を通って流れる前記排出ガス(36)中に流体を噴射するよう構成された流体出口(50)と、
を備える、排出ディフューザ(24)。
【請求項6】
前記内側ケーシング(26)と前記外側ケーシング(28)との間に延在するストラット(30)を更に備え、前記流体出口(50)が前記ストラット(30)内に定められる、請求項5記載の排出ディフューザ(24)。
【請求項7】
前記ストラット(30)は、前記流体出口(50)が隣接して定められた前縁(46)を含む、請求項6記載の排出ディフューザ(24)。
【請求項8】
前記ストラット(30)内に定められる複数の流体出口(50)を更に備え、前記複数の流体出口(50)が、前記ストラット(30)の高さに沿って間隔を置いて配置されている、請求項6記載の排出ディフューザ(24)。
【請求項9】
前記内側ケーシング(26)と前記外側ケーシング(28)との間に延在する複数のストラット(30)を更に備え、該複数のストラット(30)の各々が、前記通路(34)を通って流れる排出ガス(36)内に流体を噴射するよう構成された流体出口(50)を定める、請求項5記載の排出ディフューザ(24)。
【請求項10】
前記流体出口(50)が、前記外側ケーシング(28)、前記内側ケーシング(26)、及び前記通路(34)内に延在する流体導管(58)のうちの少なくとも1つ内に定められる、請求項5記載の排出ディフューザ(24)。
【請求項11】
ガスタービン(12)の排出ディフューザ(24)を通って流れる排出ガス(36)を冷却する方法であって、
前記排出ディフューザ(24)の流体出口(50)に流体を供給する段階と、
前記流体出口(50)を通る前記流体を前記排出ディフューザ(24)を流れる排出ガス内に噴射する段階と、
を含む方法。
【請求項12】
前記排出ディフューザ(24)を流れる排出ガスの温度を決定する段階を更に含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記温度に基づいて前記排出ガス(36)内に噴射される流体の量を制御する段階を更に含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記排出ディフューザ(24)の流体出口(50)に流体を供給する前記段階が、前記排出ディフューザ(24)のストラット(30)内に定められる流体出口(50)に流体を供給する段階を含む、請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記排出ディフューザ(24)の流体出口(50)に流体を供給する前記段階が、前記排出ディフューザ(24)の外側ケーシング(28)、前記排出ディフューザ(24)の内側ケーシング(26)、及び前記排出ディフューザ(24)内に延在する流体導管(58)のうちの少なくとも1つに定められる流体出口(50)に流体を供給する段階を含む、請求項11記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate