説明

ガスハイドレートの製造方法とその製造装置

【課題】原料ガスと原料水とを気液接触させてガスハイドレートスラリーを生成し、これを脱水してガスハイドレートを製造する方法において、その生成条件(攪拌速度や温度等)と脱水条件(脱水時間や移送圧力など)により製造されるガスハイドレートの含水量が変化してしまい、最終製品として、例えば、圧縮成型されたガスハイドレートペレットの品質(平滑性、堅さ、耐分解性)が不均一となる問題を解決するガスハイドレートの製造方法を提供する。
【解決手段】ガスハイドレートスラリーの濃度が所定の濃度よりも高いときは、ガスハイドレートの生成工程における攪拌速度を低下させると共に温度を上昇させ、前記ガスハイドレートスラリーの濃度が所定の濃度よりも低いときは、ガスハイドレートの生成工程における攪拌速度を上昇させると共に温度を低下させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスハイドレートの生成する雰囲気において原料水と原料ガスとを水和反応させて得られたガスハイドレートスラリーを脱水し、高濃度のガスハイドレートを生成する製造方法とその製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、クリーンなエネルギー源として、メタン等を主成分とする天然ガスが注目されている。このような天然ガスを効率よく輸送し又は貯蔵するために、この天然ガスを原料ガスとして、原料水と反応させてガスハイドレートを製造することが知られている。
【0003】
ガスハイドレートを製造する方法としては、原料水中に原料ガスを吹き込みながら攪拌する気液攪拌方式(例えば、特許文献1)と、原料ガス中に原料水をスプレーする水スプレー方式(例えば、特許文献2)がある。
【0004】
前記気液攪拌方式や水スプレー方式により生成したガスハイドレートは、その粒径が小さく(例えば30〜50mμ程度)、かつ未反応の水と混合したスラリーとして生成される。よって、このスラリーを後流側に配置された脱水塔で未反応の水を分離して比較的含水率の低い(すなわち高濃度の)シャーベット状のガスハイドレートとし、さらにこのシャーベット状のガスハイドレートを造粒機等でペレット化し、ペレット状のガスハイドレートとして貯蔵又は輸送することが知られている(例えば、特許文献3)。
【0005】
この特許文献3記載のガスハイドレートの製造装置においては、スラリー中のガスハイドレートの濃度は、生成器でのガスハイドレートの生成効率や後流側へ配置された機器への輸送効率などから約10%以下の範囲から選択され、その選択されたガスハイドレート濃度が得られるように各機器が設計されかつその運転条件が設定されている。そして、脱水塔でガスハイドレートの濃度が約10〜50パーセントの広い範囲の濃度のシャーベット状のガスハイドレートが生成され、そして、この粉末状のガスハイドレートは、一対の成形ロールを有する圧縮成型機でペレット化される過程で、さらに未反応の水が分離され約80〜90%のガスハイドレートの濃度を有するペレット状のガスハイドレートが製造される。
【0006】
【特許文献1】特開2000−302701号公報
【特許文献2】特開2000−264852号広報
【特許文献3】特開2002―220353号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前記したようなガスハイドレート製造装置においては、ガスハイドレートペレットの品質が不揃いになるという虞があった。すなわち、脱水塔から圧縮成型機に供給されるガスハイドレートスラリーの濃度は、この脱水塔に供給される生成器からのスラリーの濃度や脱水塔の脱水性能等により変化する。従って、濃度の異なるガスハイドレートが圧縮成型機に供給された場合、ガスハイドレート充填率や硬度等の品質に不揃いが生じる。さらに、このような品質の不揃いは、ガスハイドレートペレットの輸送や貯蔵にも悪影響を与えるという虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記したような従来の問題点を解決するためのガスハイドレートの製造方法であって、
1)ガスハイドレートの生成雰囲気の高圧・低温にある生成器にて原料ガスと原料水とを攪拌してガスハイドレートスラリーを生成する工程と、このガスハイドレートスラリーを導入する筒状本体と該本体周囲に設けた排水室とを有する脱水塔で該ガスハイドレートスラリーを脱水してより高濃度のガスハイドレートスラリーを製造する工程とを有するガスハイドレートスラリーの製造方法であって、前記ガスハイドレートスラリーの濃度が所定の濃度よりも高いときは、前記ガスハイドレートの生成工程における攪拌速度を低下させると共に温度を上昇させ、前記ガスハイドレートスラリーの濃度が所定の濃度よりも低いときは、前記ガスハイドレートの生成工程における攪拌速度を上昇させると共に温度を低下させることを特徴としている。
2)ガスハイドレートの生成雰囲気の高圧・低温にある生成器にて原料ガスと原料水とを攪拌して反応させてガスハイドレートスラリーを生成する工程と、このガスハイドレートスラリーを導入する筒状本体と該本体周囲に設けた排水室とを有する脱水塔で該ガスハイドレートスラリーを脱水してより高濃度のガスハイドレートスラリーを製造する工程とを有するガスハイドレートスラリーの製造方法であって、前記ガスハイドレートスラリーの濃度が所定の濃度よりも高いときは、前記脱水工程に供給されるガスハイドレートスラリーの供給量を低下させると共に筒状本体内圧力と排水室内圧力との差圧を小さくし、前記ガスハイドレートスラリーの濃度が所定の濃度よりも低いときは、前記脱水工程に供給されるガスハイドレートスラリーの供給量を増加させると共に筒状本体内圧力と排水室内圧力との差圧を大きくすることを特徴としている。
3)前記生成器内のガスハイドレートスラリーを前記脱水塔に移送するスラリーラインに近赤外線式のインライン計測型ガスハイドレート濃度計を設け、ガスハイドレートスラリー中のガスハイドレート濃度をインライン計測することを特徴としている。
4)前記脱水塔の排水孔の近傍の円筒状本体内に近赤外線式のインライン計測型ガスハイドレート濃度計を設け、ガスハイドレートスラリー中のガスハイドレート濃度をインライン計測することを特徴としている。
5)前記脱水塔の排出部の近傍の円筒状本体内にインライン計測型ガスハイドレート濃度計を設け、ガスハイドレート中のガスハイドレート濃度をインライン計測することを特徴としている。
【0009】
また、ガスハイドレートスラリーの製造装置は、
6)原料ガスと原料水とをガスハイドレートの生成雰囲気下の高圧・低温で攪拌してガスハイドレートスラリーを生成する生成器と、この生成器で生成されたガスハイドレートスラリーを筒状本体に導入し該筒状本体周囲に設けた排水室より脱水してより高濃度のガスハイドレートスラリーを製造する脱水塔とを備えたガスハイドレートスラリーの製造装置であって、前記ガスハイドレートスラリーの濃度が所定の濃度よりも高いときは、前記生成器における攪拌速度を低下させると共に温度を上昇させ、前記ガスハイドレートスラリーの濃度が所定の濃度よりも低いときは、前記生成器における攪拌速度を上昇させると共に温度を低下させるように構成したことを特徴としている。
7)原料ガスと原料水とをガスハイドレートの生成雰囲気下の高圧・低温で攪拌してガスハイドレートスラリーを生成する生成器と、この生成器で生成されたガスハイドレートスラリーを筒状本体に導入し該筒状本体周囲に設けた排水室より脱水してより高濃度のガスハイドレートスラリーを製造する脱水塔とを備えたガスハイドレートスラリーの製造装置であって、前記ガスハイドレートスラリーの濃度が所定の濃度よりも高いときは、前記脱水塔に供給されるガスハイドレートスラリーの供給量を低下させると共に筒状本体内圧力と排水室内圧力との差圧を小さくし、前記ガスハイドレートスラリーの濃度が所定の濃度よりも低いときは、前記脱水塔に供給されるガスハイドレートスラリーの供給量を増加させると共に筒状本体内圧力と排水室内圧力との差圧を大きくするように構成したことを特徴としている。
8)前記生成器内のガスハイドレートスラリーを前記脱水塔に移送するスラリーラインに、ガスハイドレートスラリー中のガスハイドレート濃度をインライン計測する近赤外線式のインライン計測型ガスハイドレート濃度計を設けたことを特徴としている。
9)前記脱水塔の排水孔の近傍の円筒状本体内に、ガスハイドレートスラリー中のガスハイドレート濃度をインライン計測する近赤外線式のインライン計測型ガスハイドレート濃度計を設けたことを特徴としている。
10)前記脱水塔の排出部の近傍の円筒状本体内に、ガスハイドレートスラリー中のガスハイドレート濃度をインライン計測する近赤外線式のインライン計測型ガスハイドレート濃度計を設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
以上説明した本発明によるガスハイドレートの製造方法によれば、次のような効果を生ずる。
【0011】
ガスハイドレートスラリーの濃度をインライン計測型ガスハイドレート濃度計を用いてリアルタイムで計測できるようになり、生成されるガスハイドレートの濃度が予め設定した濃度となり、そのバラツキが抑制され、ガスハイドレートペレットの品質が安定する。
【0012】
また、従来のように、生成されたガスハイドレートスラリーやガスハイドレートペレットを作業者が取り出して濃度を計測することが不要となり、計測する手間が省かれると同時に計量に伴う引火等の危険性がなくなる。
【0013】
更に、濃度の計測に近赤外線水分計を用いたので、測定が迅速且つ正確であり、そのため、生成器の攪拌速度やスラリーの導入速度等の各種制御が迅速且つ正確になされ、均一な品質のガスハイドレートが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図1乃至図4に基づき本発明によるガスハイドレートの製造方法について説明する。
【0015】
(実施例1)
図1は、本発明に係るガスハイドレートの製造方法を適用した製造装置の系統図である。この図において、ガスハイドレート製造装置は、気液攪拌方式によるガスハイドレートの生成器1が用いられている。この生成器1は、耐圧容器5と、この耐圧容器5内の原料水を冷却する熱交換器7、耐圧容器5の内部に配置された攪拌翼6a及びガス噴出管9(スページャ)と、攪拌翼6aが設けられた軸6bを回転させる電動機等の駆動機M1とより構成されている。
【0016】
前記生成器1には、メタン等の原料ガスG1を導入するガス供給ラインL5と、原料水W1を導入する水供給ラインL6と、ガス循環ブロワB1を有する原料ガスG1のガス循環ラインL1と、熱交換器7を有するブライン循環ラインL10と、後述する脱水塔2にそれぞれ一端が接続されたスラリーラインL2及び未反応の水W2の戻しラインL3がそれぞれ接続されている。前記スラリーラインL2にはスラリーポンプP1が設けられており、戻しラインL3にはポンプP2が設けられている。
【0017】
脱水塔2は、筒状本体11で構成され、上部に排水孔11aが設けられるとともにこの排水孔11aを覆いかつ筒状本体11の周囲に排水室12が形成されている。そして、この脱水塔2には、前記したスラリーラインL2と未反応の水W2の戻しラインL3と、ガスハイドレートh1の取り出しラインL4とが接続されると共に、排水室12に排気管L7が取り付けられている。更に、脱水塔2の上部には、インライン計測形水分計K3が取り付けられ、この水分計K3の信号V1は、演算装置40に入力されるようになっている。演算装置40は、演算器41と記憶装置43と比較器42より構成されている。44は表示器、45は出力紙である。
【0018】
前記インライン計測形水分計K3は近赤外線水分計であり、例えば、防爆等級がExdIIB T4以上の耐圧防爆構造のものを使用し、メタンガス等の爆発性ガスを原料ガスとして使用するガスハイドレートの製造装置において安全に使用できるようになっている。
【0019】
この近赤外線水分計は、ガスハイドレートに波長の異なる少なくとも2つの光線を照射し、ガスハイドレートからの反射光を検出器に集光してこのガスハイドレートに含まれる未反応水の濃度に応じた赤外線の吸収量から含水量を計測している。よって、応答性がよく、計測時間が非常に短いという特徴がある。
【0020】
また、脱水塔2においては、排気管L7から排水室12内のガスG2の一部が排出されるためこの排水室12内の圧力A2は、脱水塔2内の圧力A1より低くなっている。そのため、排水孔11aより未反応水W2が吸引されるので濾過効率と脱水率が高められるようになっている。
【0021】
そして、インライン計測形水分計K3により、得られたシャーベット状のガスハイドレートh1の水分量は、ガスハイドレート濃度の信号V1に変換され、該ガスハイドレート濃度信号V1は、演算装置40を構成する演算器41に入力されここでその濃度d1が求められる。この濃度d1は、比較器42に入力されここで記憶装置43に予め入力されている所定の濃度d2と比較され、その結果が表示器29や出力紙30に出力される。したがって、作業者等はこの表示器44や出力紙45を目視することにより継続し、かつ正確にガスハイドレートh1の濃度を知ることが出来る。そして、この測定された濃度d1が異常に変化したときは、この濃度を変化させる要因を調整する。
【0022】
すなわち、この測定した濃度d1が設定した濃度d2より高いとき(測定された含水量が設定よりも低いとき)は、脱水塔2内に供給されるスラリーSの供給量を多くするか、又は排水室12内の圧力A2を高めて脱水塔2内の圧力A1との圧力差を小さくする。もちろん、この測定した濃度d1が設定した濃度d2よりも低いときは、前記と逆の調整が行われる。
【0023】
また、測定した濃度d1が、設定された濃度d2よりも高いとき(測定された含水量が設定よりも低いとき)は、生成器1内の攪拌速度を速くするか、又は生成器1内の温度を低下させる。もちろん、この測定した濃度d1が設定された濃度d2よりも低いとき、前記と逆の調整が行われる。
【0024】
かかる構成において、所定の温度と圧力、例えば、圧力が3〜10MPa、温度が0〜10℃の範囲から選択された所定の圧力A1と温度T1が保持されている生成器1の耐圧容器5内にガス供給ラインL5から原料ガスG1と、水供給ラインL6から原料水W1とがそれぞれ導入される。そして、原料ガスG1は、ガス循環ブロワB1によりガス循環ラインL1を経てスページャ9に供給され、ここから原料水W1中に噴出され駆動機M1により回転される攪拌翼6aにより攪拌されてガスハイドレートと未反応の水W2とよりなるスラリーS1(混合ハイドレート)が生成される。このスラリーSのガスハイドレートの濃度は、生成器1でのガスハイドレートの生成効率や後流側に配置された機器への輸送効率などから約10%以下となるように制御されるのが好ましい。
【0025】
このガスハイドレートの生成工程において発生する反応熱は、ブライン循環ラインL10に設けられた熱交換器7により除去され、耐圧容器5内は選択された所定の温度T1に保持される。
【0026】
このようにして生成されたスラリーSは、スラリーポンプP1によりスラリーラインL2を経て脱水塔2に供給され、この脱水塔2内を上昇する過程において排水孔11aで未反応の水W2が分離(脱水)されてガスハイドレートの濃度が上昇したシャーベット状のガスハイドレートh1が生成され、このシャーベット状のガスハイドレートh1は、取り出しラインL4から圧縮成型機3に供給されここで一対の成型ロール23a,23bにより圧縮成形されガスハイドレートペレットh2が製造される。
【0027】
本実施例により、品質が均一なガスハイドレートを安定的に連続して製造することができ、このガスハイドレートを用いたガスハイドレートペレットの品質が安定する。更に、ガスハイドレート含有率の高いものを製造することもできるので、ペレットのガスハイドレート含有率が従来よりも高い製品を製造することができる。
【0028】
(実施例2)
図3は、本発明に係るガスハイドレートの製造方法を適用した製造装置の他の実施態様を示す系統図であって、図1と同一符号は同一名称を示し説明を省略する。
【0029】
この図3において17は、脱水塔2の上部に設けられたガスハイドレートを攪拌する攪拌装置であって、この攪拌装置17の近傍、即ち、脱水塔2の排出部近傍にはインライン計測形水分計K3が設けられ、このインライン計測形水分計K3の信号V1が前記実施態様と同じく演算装置40に入力されかつ処理される。他方、脱水塔2内の上部に達したシャーベット状のガスハイドレートh1の含水量は、図4に示すように中心Oに向かって順次高くなると考えられる。従って、この攪拌装置17の撹拌翼17aによりシャーベット状のガスハイドレートh1を攪拌することにより、その水分分布が均一なものとなるため正確な含水量を測定することができる。これにより、生成器1内の攪拌速度やスラリーポンプP1の運転を制御して、均一な品質のガスハイドレートh1を製造することができる。
【0030】
本実施例により、前記実施例1よりも正確な含水量を計測することができるようになり、ガスハイドレートの品質のバラツキが抑制されると共に所定の品質のガスハイドレートが容易に得られるようになる。
【0031】
(実施例3)
本実施例は、図5に示すように、生成器1で生成したガスハイドレートスラリーSを脱水塔2に導入するスラリーラインL2に水分計K1を設置したことを特徴としている。
【0032】
これにより、生成器1の攪拌速度や温度を調整し脱水塔2に導入されるスラリーSの含水量を所定の範囲となるように制御することで、前記脱水塔2における脱水時間を調節することなく一定の含水量のガスハイドレートが得られるようになる。脱水時間のバラツキが小さくなると、装置全体としての処理時間が一定となるので、作業効率がよくなる。
【0033】
(実施例4)
本実施例は、図6に示すようにインライン計測形水分計をスラリーラインL2と、脱水塔の排水室12の近傍と、この脱水塔の排出部側に設けたものである。本実施例において、前記実施例と同一符号は同一名称であり説明を省略する。
【0034】
スラリーラインL2に設けた水分計K1により生成器1で生成されるガスハイドレートスラリーSの含水量を計測すると共に、計測されたガスハイドレートの含水量の信号V1に基づいて前記生成器1のガスハイドレート濃度が所定の範囲となるように温度と攪拌速度が制御されるようになっている。
【0035】
水分計K3は、脱水塔2の排出部側に設けられ、排出される直前のガスハイドレートの含水量を計測している。この水分計K3で計測された含水量の信号V3により、スラリーポンプの動作が制御されたり、生成器1の攪拌速度や温度が制御されたりするようになっている。
【0036】
また、前述の実施例のように計測値が表示器44に表示されると共に出力紙45に印字され、印刷された計測値は、管理記録として保管される。
【0037】
そして、生成器1で生成されたガスハイドレートスラリーSの含水量と、脱水されたガスハイドレートh1の含水量とが計測され、それぞれの水分計K1,K3からの信号により生成器1やスラリーポンプP1の運転条件が調整される。
【0038】
すなわち、生成器1と脱水塔2のそれぞれにおけるハイドレートの含水量をリアルタイムに測定しているので、さらに効率よく正確に運転条件(攪拌速度、温度、ポンプの運転等)を調整することができる。
【0039】
実施例1乃至4において、図示しない自動制御装置により、生成器や脱水塔の各種運転条件を自動的に制御することができ、運転者が計測値を確認しながら調整する手間が省かれ、また、均一かつ所定濃度のガスハイドレートを安定的に製造することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明によるガスハイドレートの製造方法を適用した製造装置の概略図である。
【図2】本発明によるガスハイドレートの製造方法を適用した製造装置の系統図である。
【図3】本発明によるガスハイドレートの製造方法を適用した製造装置の他の実施例を示す脱水塔の概略図である。
【図4】脱水塔内のガスハイドレート濃度の分布を模擬的に表した図である。
【図5】本発明によるガスハイドレートの製造方法を適用した製造装置のさらに他の実施例を示す概略図である。
【図6】本発明によるガスハイドレートの製造方法を適用した製造装置のさらに他の実施例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0041】
1 生成装置
2 脱水装置
3 成形装置
5 耐圧容器
6 攪拌機
6a 攪拌翼
6b 軸
7 熱交換器
9 スページャ
11 筒状本体
11a 排水孔
12 排水室
15 スクリューコンベア
17 攪拌装置
17a 攪拌翼
17b 回転軸
21a スクリュー翼
21b 軸
22 ホッパー
23a,23b 成型ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスハイドレートの生成雰囲気の高圧・低温にある生成器にて原料ガスと原料水とを攪拌してガスハイドレートスラリーを生成する工程と、このガスハイドレートスラリーを導入する筒状本体と該本体周囲に設けた排水室とを有する脱水塔で該ガスハイドレートスラリーを脱水してより高濃度のガスハイドレートスラリーを製造する工程とを有するガスハイドレートスラリーの製造方法であって、
前記ガスハイドレートスラリーの濃度が所定の濃度よりも高いときは、前記ガスハイドレートの生成工程における攪拌速度を低下させると共に温度を上昇させ、
前記ガスハイドレートスラリーの濃度が所定の濃度よりも低いときは、前記ガスハイドレートの生成工程における攪拌速度を上昇させると共に温度を低下させることを特徴とするガスハイドレートの製造方法。
【請求項2】
ガスハイドレートの生成雰囲気の高圧・低温にある生成器にて原料ガスと原料水とを攪拌して反応させてガスハイドレートスラリーを生成する工程と、このガスハイドレートスラリーを導入する筒状本体と該本体周囲に設けた排水室とを有する脱水塔で該ガスハイドレートスラリーを脱水してより高濃度のガスハイドレートスラリーを製造する工程とを有するガスハイドレートスラリーの製造方法であって、
前記ガスハイドレートスラリーの濃度が所定の濃度よりも高いときは、前記脱水工程に供給されるガスハイドレートスラリーの供給量を低下させると共に筒状本体内圧力と排水室内圧力との差圧を小さくし、
前記ガスハイドレートスラリーの濃度が所定の濃度よりも低いときは、前記脱水工程に供給されるガスハイドレートスラリーの供給量を増加させると共に筒状本体内圧力と排水室内圧力との差圧を大きくすることを特徴とするガスハイドレートの製造方法。
【請求項3】
前記生成器内のガスハイドレートスラリーを前記脱水塔に移送するスラリーラインに近赤外線式のインライン計測型ガスハイドレート濃度計を設け、ガスハイドレートスラリー中のガスハイドレート濃度をインライン計測することを特徴とする請求項1又は2記載のガスハイドレートの製造方法。
【請求項4】
前記脱水塔の排水孔の近傍の円筒状本体内に近赤外線式のインライン計測型ガスハイドレート濃度計を設け、ガスハイドレートスラリー中のガスハイドレート濃度をインライン計測することを特徴とする請求項1,2又は3記載のガスハイドレートの製造方法。
【請求項5】
前記脱水塔の排出部の近傍の円筒状本体内にインライン計測型ガスハイドレート濃度計を設け、ガスハイドレート中のガスハイドレート濃度をインライン計測することを特徴とする請求項1,2,3又は4記載のガスハイドレートの製造方法。
【請求項6】
原料ガスと原料水とをガスハイドレートの生成雰囲気下の高圧・低温で攪拌してガスハイドレートスラリーを生成する生成器と、この生成器で生成されたガスハイドレートスラリーを筒状本体に導入し該筒状本体周囲に設けた排水室より脱水してより高濃度のガスハイドレートスラリーを製造する脱水塔とを備えたガスハイドレートスラリーの製造装置であって、
前記ガスハイドレートスラリーの濃度が所定の濃度よりも高いときは、前記生成器における攪拌速度を低下させると共に温度を上昇させ、
前記ガスハイドレートスラリーの濃度が所定の濃度よりも低いときは、前記生成器における攪拌速度を上昇させると共に温度を低下させるように構成したことを特徴とするガスハイドレートスラリーの製造装置。
【請求項7】
原料ガスと原料水とをガスハイドレートの生成雰囲気下の高圧・低温で攪拌してガスハイドレートスラリーを生成する生成器と、この生成器で生成されたガスハイドレートスラリーを筒状本体に導入し該筒状本体周囲に設けた排水室より脱水してより高濃度のガスハイドレートスラリーを製造する脱水塔とを備えたガスハイドレートスラリーの製造装置であって、
前記ガスハイドレートスラリーの濃度が所定の濃度よりも高いときは、前記脱水塔に供給されるガスハイドレートスラリーの供給量を低下させると共に筒状本体内圧力と排水室内圧力との差圧を小さくし、
前記ガスハイドレートスラリーの濃度が所定の濃度よりも低いときは、前記脱水塔に供給されるガスハイドレートスラリーの供給量を増加させると共に筒状本体内圧力と排水室内圧力との差圧を大きくするように構成したことを特徴とするガスハイドレートスラリーの製造装置。
【請求項8】
前記生成器内のガスハイドレートスラリーを前記脱水塔に移送するスラリーラインに、ガスハイドレートスラリー中のガスハイドレート濃度をインライン計測する近赤外線式のインライン計測型ガスハイドレート濃度計を設けたことを特徴とする請求項6又は7記載のガスハイドレート製造装置。
【請求項9】
前記脱水塔の排水孔の近傍の円筒状本体内に、ガスハイドレートスラリー中のガスハイドレート濃度をインライン計測する近赤外線式のインライン計測型ガスハイドレート濃度計を設けたことを特徴とする請求項6,7又は8記載のガスハイドレート製造装置。
【請求項10】
前記脱水塔の排出部の近傍の円筒状本体内に、ガスハイドレートスラリー中のガスハイドレート濃度をインライン計測する近赤外線式のインライン計測型ガスハイドレート濃度計を設けたことを特徴とする請求項6,7,8又は9記載のガスハイドレート製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−91518(P2009−91518A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−265806(P2007−265806)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【Fターム(参考)】