説明

ガスハイドレート堆積層からガスを回収する方法及びそのための装置

【課題】ガスハイドレート堆積層、特に資源としてのガスハイドレート堆積層からガスを回収するに際しての問題を解決する。
【解決手段】ガスハイドレート堆積層にガスハイドレート分解促進効果がある添加剤水溶液を注入して分解したガスを回収する方法であって、ガスハイドレート堆積層からガスへの分解速度を増加したい場合には、堆積層への添加剤水溶液を適切な注入流量にすることによりガス分解速度を増加させ、一方、ガスへの分解速度を減少させたい場合には、堆積層への添加剤水溶液を過剰な注入流量にすることによりガス分解速度を減少させることを特徴とするガスハイドレート堆積層からガスを回収する方法及びそのための装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスハイドレート堆積層からガスを回収する方法及びそのための装置に関し、より具体的にはガスハイドレート堆積層からガスを回収する方法及びガスハイドレート堆積層からガスを回収するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
資源としてのメタンハイドレートを分解し、メタンガスとして回収する技術として減圧法、熱水注入法、あるいは添加剤注入法などがある。減圧法とは、海底のメタンハイドレート堆積層の圧力を減圧し、高圧低温下で安定なメタンハイドレートを分解する方法であり、熱水注入法とは、当該堆積層に熱水を注入して加熱することでメタンハイドレートを分解する方法であり、添加剤注入法とはメタンハイドレートが安定となる温度圧力条件をより高圧低温へ変化させる薬剤を注入してメタンハイドレートを分解する方法である。
【0003】
メタンハイドレート資源からのメタンガス回収技術のうち、添加剤注入法ではメタンハイドレートの分解促進効果のある薬剤としてNaClやメタノールが知られている。これらの添加剤をメタンハイドレートの堆積層へ注入することにより、単なる水を注入する場合に比べてメタンハイドレートの分解が促進され、メタンガスの生産速度が向上する。これらの知見は「E.D.Sloan 著“Clathlate Hydrate of Natural Gases”2nd Ed. p.297 (1998) Marcel Dekker, Inc.」などに開示されている。
【0004】
【非特許文献1】E.D.Sloan 著“Clathlate Hydrate of Natural Gases”2nd Ed. p.297 (1998) Marcel Dekker, Inc.
【0005】
一方、メタンハイドレートの分解を抑制し、ガスが発生する速度を低下させるための開発も進められている。これらの開発は、メタンハイドレートを人工的に合成してガスの貯蔵や輸送に用いることを目的としている。
【0006】
例えば、特開2003−287199号公報では、ガスハイドレートを好ましくは0.5mm以上に分級し、分解条件下に所定時間置くことにより、ガスハイドレートの分解を抑制できるとされている。特開2004−2754号公報では、ガスハイドレートの生成条件下で原料水とガスハイドレートの分解抑制作用を持つ物質の存在下でガスハイドレートを合成しており、分解抑制作用を持つ物質として、塩素イオン、フッ素イオンなどが開示されている。
【0007】
また、特開2004−315814号公報では、ガスハイドレートの粉末を成型体に収容するか、またはガスハイドレートを成型した後に該成型体を氷の皮膜で直接覆っている。特開2004−331747号公報では、曇点を有するポリマーを含有する水とガスハイドレート形成可能な物質とを曇点以上の温度で反応させてガスハイドレートを製造し、曇点より低い温度でガスハイドレートを保存している。
【0008】
また、特開2005−93134号公報では、断熱材容器を用いてガスハイドレートを保存し、容器の密閉収容部の出入熱が均衡する構造をとっている。特開2006−52395号公報では、ガスハイドレート生成後に生成温度圧力を保持したまま造粒機によりペレットを成形している。
【0009】
【特許文献1】特開2003−287199号公報
【特許文献2】特開2004−2754号公報
【特許文献3】特開2004−315814号公報
【特許文献4】特開2004−331747号公報
【特許文献5】特開2005−93134号公報
【特許文献6】特開2006−52395号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、前述のとおり、ガスハイドレートの分解を促進する添加剤を用いれば、ガスハイドレートからのガスの生産速度は向上するものの、その生産速度を任意に制御することは困難である。添加剤の濃度を制御することにより、その生産速度を制御することはこれまでの知見から可能ではあるが、注入する添加剤濃度を任意に変化したとしても、ガスハイドレート堆積層に存在する添加剤濃度は直ちには変化せず、ガス生産速度を明確に制御することは不可能である。
【0011】
また、ガスハイドレートの貯蔵・輸送・保存に関する前述従来技術は、ガスの分解速度を低下させる効果があることから、ガスハイドレートからのガス生産速度の制御に用いることが考えられる。しかしながら、前述技術は人工的にガスハイドレートを合成する際に何らかの工夫をしており、合成後のハイドレートを断熱容器に保存したりするなど、ガスハイドレート堆積層、特に海底や地底に存在するメタンハイドレート堆積層からメタンガスを生産する場合に容易には適用できない。
【0012】
本発明は、ガスハイドレート堆積層、特に資源としてのガスハイドレート堆積層からガスを回収するに際しての以上の問題を解決するもので、ガスハイドレート堆積層へ添加剤溶液を注入して分解したガスを回収する方法及びそのための装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、(1)ガスハイドレート堆積層にガスハイドレート分解促進効果がある添加剤水溶液を注入して分解したガスを回収する方法であって、ガスハイドレート堆積層からガスへの分解速度を増加したい場合には、ガスハイドレート堆積層への添加剤水溶液を適切な注入流量にすることによりガス分解速度を増加させ、一方、ガスへの分解速度を減少させたい場合には、ガスハイドレート堆積層への添加剤水溶液を過剰な注入流量にすることよりガス分解速度を減少させることを特徴とするガスハイドレート堆積層からガスを回収する方法を提供する。
【0014】
本発明は、(2)ガスハイドレート堆積層にガスハイドレート分解促進効果がある添加剤水溶液を注入して分解したガスを回収するための装置であって、ガスハイドレート堆積層へ添加剤水溶液を注入する手段と、ガスハイドレート堆積層への添加剤水溶液の注入流量を制御する手段を備え、ガスハイドレート堆積層からガスへの分解速度を増加したい場合には、前記添加剤水溶液の注入流量を制御する手段により、添加剤水溶液を該堆積層へ適切な流量にて注入することによりガス分解速度を増加させ、一方、ガスへの分解速度を減少させたい場合には、前記添加剤水溶液の注入流量を制御する手段により、該堆積層への過剰な添加剤水溶液注入流量にすることによりガス分解速度を減少させるようにしてなることを特徴とするガスハイドレート堆積層からガスを回収するための装置を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、ガスハイドレート堆積層にガスハイドレート分解促進効果がある添加剤水溶液を注入して分解したガスを回収する方法及びそのための装置である。そして、ガスハイドレート堆積層からガスへの分解速度を増加したい場合には、ガスハイドレート堆積層への添加剤水溶液を適切な注入流量にすることによりガス分解速度を増加させ、一方、ガスへの分解速度を減少させたい場合には、ガスハイドレート堆積層への添加剤水溶液を過剰な注入流量によりガス分解速度を減少させることを特徴とする。なお、本発明(2)における“ガスハイドレート堆積層への添加剤水溶液の注入流量を制御する手段”とは、後述図1に示す装置を借りて言えば添加剤注入ポンプP1に相当するものである。
【0016】
本発明で対象とするガスハイドレート堆積層は、メタンを含むガスハイドレート堆積層に限らず、プロパンガス、二酸化炭素、水素などのハイドレート堆積層にも適用される。
また、本発明で使用するガスハイドレート分解促進効果がある添加剤としては、NaClをはじめとする無機塩類や、メタノールをはじめとするアルコール類、その他にもガスハイドレート堆積層からガスハイドレートの分解を促進する効果がある物質であればいずれも使用できる。例えば、無機塩類としてはNaClのほかにKCl、MgCl2、NH4Cl、NaBr、NaOH、Na223、NaOClなどのアニオンとカチオンとの化合物が挙げられ、アルコール類としてはメタノールのほかにエタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなど1価アルコールおよび2価アルコールが挙げられる。
【実施例】
【0017】
以下、本発明を実験例を基に実施例を説明する。本実施例ではメタンハイドレートを例にしているが、他のガスハイドレートについても同様である。
【0018】
本実験例においては、代表的なハイドレート分解促進剤として知られているNaClを使用した。模擬メタンハイドレート堆積層として、豊浦珪砂26.00g、人工的に生成したメタンハイドレート5.33g、蒸留水1.57gを均一に混合し、成型器で25MPaの圧力で圧密することにより得られた直径30mm、高さ37mmの円筒型の試料を使用した。
【0019】
一連の堆積層試料の作製は、断熱性の発泡スチロールでできたクーラーボックス内で行った。クーラーボックスの底部に液体窒素を入れ、作業用の土台をクーラーボックス内に設置し、その土台の上で試料作製作業を行った。クーラーボックス内の温度は、常に−100℃以下であり、作業中、大気圧条件下であってもメタンハイドレートは分解しない環境であった。
【0020】
図1に本実験で使用したメタンハイドレート分解速度測定装置を示している。図1のとおり、円筒体1の上下に上部支持体2、下部支持体3を配置し、円筒体1内に間隔を置いて円筒状のゴムチューブ4を配置する。円筒状ゴムチューブ4内に、その上下から支持体2、支持体3を嵌挿し、支持体2の下面と支持体3の上面間で且つ円筒状ゴムチューブ4内周面間を試料部とする。試料部にコア試料を配置する。支持体2内には切替弁から試料部に導通する導管を配し、支持体3内には試料1次側保圧弁から試料部に導通する導管を配している。
【0021】
試料1次側保圧弁、添加剤溶液注入ポンプP1、試料1次側保圧弁、切替弁、試料2次側保圧弁、気液分離器、圧力計、拘束圧用ポンプP2、またそれらを結ぶ配管系は図示のとおりである。添加剤溶液注入ポンプP1は、その駆動を制御することにより試料部を流れる添加剤水溶液の流量を制御し、拘束圧用ポンプP2は、その駆動を制御することで弾性体であるゴムチューブ4から試料の水平方向の押圧力および支持体2、支持体3から試料への垂直方向の押圧力を制御しコア試料に対する拘束圧力を付与するものである。
【0022】
メタンハイドレート分解速度測定装置に、前記のように作製した模擬メタンハイドレート堆積層を図1中コア試料として示すように配置し、以下の手順でメタンハイドレートの分解に伴うメタンガス生産速度を測定した。試料部の温度は常に9℃であった。試料の設置後、拘束圧用液送ポンプP2を駆動させ堆積層にかかる圧力を13MPaとした。
【0023】
図1において、切替弁を開とし、添加剤注入ポンプP1を駆動させ、試料1次側保安弁を開として注入添加剤溶液が試料へ到達するようにし、試料2次側保安弁を絞ることにより、試料部の圧力を9MPaにした。試料部を流れる添加剤溶液流量(cc/min)はポンプP1の駆動制御で任意に変化させることができる。この時点では、温度圧力条件としてメタンハイドレートは安定であり、その分解に伴うガスの生産は開始されない。メタンガス生産速度の測定を開始する時に、切替弁を閉とし、試料2次側保圧弁を5MPaとし、拘束圧用ポンプP2による拘束圧力を7.5MPaとした。添加剤としてNaCl水溶液を用いた。また、NaCl水溶液に代えて蒸留水を使用し、同様にしてメタンハイドレート堆積層からメタンガスへの分解速度を測定した。
【0024】
図2に、注入流量を30cc/minにした場合のNaCl10wt%水溶液及びNaCl20wt%水溶液の分解速度測定結果を示している。メタンガス生産促進効果の比較のために、ブランクデータとなる蒸留水を注入した結果も示している。図2のとおり、蒸留水を注入したときには、実験開始から8分程度で100%分解している。これに対して、NaCl10wt%水溶液を注入したときには、実験開始から8分で87%分解し、NaCl20wt%水溶液を注入したときには、実験開始から8分で76%分解している。
【0025】
これらの実験結果から、NaCl10wt%水溶液を注入したときは、蒸留水を注入したときよりも分解速度が遅く、しかも、流量30cc/min(線速度4.2cm/min)という過剰な流量でNaClを注入しても分解が阻害されることが分かった。
【0026】
図3に、添加剤溶液注入流量を5cc/min(線速度0.7cm/min)にした場合のNaCl10wt%水溶液及びNaCl20wt%水溶液の分解速度測定結果を示している。メタンガス生産促進効果の比較のために、ブランクデータとなる蒸留水を注入した結果も示している。これらの結果から、流量5cc/minという、比較的小さな流量では過剰な場合と比較してNaClの分解促進効果が向上して蒸留水のそれに近くなった。
【0027】
さらに、添加剤注入流量を低下させた場合の分解速度の測定を実施した。図1に示す実験系では、ポンプによる注入流量をさらに減少させることが困難であったため、図4に示す実験系で測定を行った。図4(a)は実験開始前の状態、図4(b)は実験開始時以降の状態である。図4のとおり、圧力容器、メタンボンベ、圧力計、流量計、配管系等の配置は図4(a)〜(b)に示すとおりである。なお、実験はすべて任意の温度で制御された冷蔵室の中で行った。実験系の温度は常時、任意の温度に保持されていた。
【0028】
圧力容器にNaCl20wt%水溶液を200cc、メタンガス、模擬メタンハイドレート堆積層試料(図中、MHコア)を入れ、容器内を3MPa、4℃とした。図4(a)に示すように実験開始前は模擬メタンハイドレート堆積層試料はその支持体つまり台座に載置している。
【0029】
図4(b)のとおり、分解速度の測定開始時にメタンハイドレート堆積層試料を台座から落して添加剤溶液に含浸し、容器内の温度圧力条件を一定に保ちながらメタンガスの分解速度を測定した。この実験では、堆積層試料を流れる添加剤溶液の流量は0cc/minであるといえる。また、NaCl水溶液に代えて蒸留水を使用し、同様にしてメタンハイドレート堆積層からメタンガスへの分解速度を測定した。
【0030】
図5にこれらの実験で測定したガスの分解速度を示している。図5のとおり、蒸留水と比べて、NaCl20wt%水溶液が顕著に分解を促進していることが分かる。そしてこの事実は、添加剤溶液の濃度を一定にし、注入流量を低下させるとメタンハイドレート堆積層からメタンガスへの分解速度が上がることを示している。
【0031】
そのように添加剤溶液の濃度を一定にし、注入流量を低下させるとメタンハイドレート堆積層からメタンガスへの分解速度が上がるが、過剰な添加剤注入流量の場合にメタンハイドレート堆積層からメタンガスの分解速度が低下するメカニズムを考察すると、図6(a)〜(b)のように考えられる。
【0032】
添加剤水溶液を注入する場合は、メタンハイドレート堆積層中で、はじめに注入添加剤溶液と接触するメタンハイドレート自体は、蒸留水と比べて添加剤溶液の方が分解を促進する。このため、分解過程のはじめにおいて、添加剤溶液はメタンハイドレート堆積層中で、蒸留水と比べてより効率的にメタンハイドレートを分解しながら下部へと流れていく。しかしながら、添加剤注入量が過剰な場合、図6(a)に示すとおり、添加剤溶液はメタンハイドレート堆積層中でメタンハイドレートが密になっている部分のみを選択的に流れてしまい、メタンハイドレート堆積層中の他のメタンハイドレートとの接触が阻害され、結果としてメタンハイドレートの分解速度が低下する。
【0033】
これに対して、蒸留水を注入する場合は、注入流量が過剰であっても、図6(b)に示すとおり、蒸留水がメタンハイドレート堆積層中でメタンハイドレートを分解しながら下部へと流れる過程において、添加剤溶液と比べてメタンハイドレート自体の分解を促進しないために、メタンハイドレートが密になっている部分のみを流れることはない。このため、メタンハイドレート堆積層中で均一に蒸留水とメタンハイドレートが接触し、結果として添加剤溶液に比べて分解速度は低下しない。
【0034】
以上の実験結果から、添加剤濃度を一定にし、メタンハイドレート堆積層への注入流量を変化させることで、添加剤の持つガス生産促進効果を抑制することができることが分かる。これにより、特に海底や地底のメタンハイドレート堆積層からメタンガスを生産する場合に、添加剤濃度を変化することなくガスの生産速度を制御することができる。本発明を用いれば、ガスの分解速度を下げる方にも制御できることから、資源開発分野のみならず、各種ガスハイドレートの輸送、貯蔵、保存分野にも適用できる可能性がある。
【0035】
なお、本発明における過剰な添加剤注入流量とは、本実施例から30cc/min(線速度4.2cm/min)である。添加剤注入流量5cc/min(線速度0.7cm/min)においても、図3に示すようにNaCl20wt%水溶液では蒸留水と比べてガス分解速度が低下しており、ガス分解速度を増加させるための適切な流量とはいえない。添加剤注入流量0cm/min(線速度0cm/min)では、図5に示すように蒸留水と比べてガス分解速度が大きく、ガス分解速度を増加させるための適切な流量であるといえる。本実施例から判断すると、0〜5cc/minの範囲における添加剤注入流量(線速度0〜0.7cm/min)を下回っているかどうかが、つまり添加剤注入流量5cc/min(線速度0.7cm/min)を下回り、蒸留水と比べてガス分解速度が増加しているかどうかが、メタンハイドレート堆積層のガス分解速度を増加するための適切な流量であるかどうかを決定する目安となるといえる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施例で使用したメタンハイドレート分解速度測定装置を示す図
【図2】添加剤溶液注入流量を30cc/minにした場合のNaCl10wt%水溶液及びNaCl20wt%水溶液の分解速度測定結果を示す図
【図3】添加剤溶液注入流量を5cc/minにした場合のNaCl10wt%水溶液及びNaCl20wt%水溶液の分解速度測定結果を示す図
【図4】添加剤注入流量を低下させた場合の分解速度を測定するために使用したメタンハイドレート分解速度測定装置を示す図
【図5】添加剤注入流量を低下させた場合の分解速度を示す図
【図6】過剰な添加剤注入流量の場合にメタンハイドレート堆積層からメタンガスの分解速度が低下するメカニズムを考察するための図
【符号の説明】
【0037】
1 円筒体
2 上部支持体
3 下部支持体
4 円筒状ゴムチューブ
P1 添加剤溶液注入ポンプ
P2 拘束圧用ポンプ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスハイドレート堆積層にガスハイドレート分解促進効果がある添加剤水溶液を注入して分解したガスを回収する方法であって、ガスハイドレート堆積層からガスへの分解速度を増加したい場合には、ガスハイドレート堆積層への添加剤水溶液を適切な注入流量にすることによりガス分解速度を増加させ、一方、ガスへの分解速度を減少させたい場合には、ガスハイドレート堆積層への添加剤水溶液を過剰な注入流量にすることによりガス分解速度を減少させることを特徴とするガスハイドレート堆積層からガスを回収する方法。
【請求項2】
請求項1において、前記ガスハイドレート堆積層がメタンを含むガスハイドレート堆積層であることを特徴とするガスハイドレート堆積層からガスを回収する方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記ガスハイドレート分解促進効果がある添加剤が無機塩類であることを特徴とするガスハイドレート堆積層からガスを回収する方法。
【請求項4】
請求項3において、前記無機塩類がNaClであることを特徴とするガスハイドレート堆積層からガスを回収する方法。
【請求項5】
ガスハイドレート堆積層にガスハイドレート分解促進効果がある添加剤水溶液を注入して分解したガスを回収するための装置であって、ガスハイドレート堆積層へ添加剤水溶液を注入する手段と、ガスハイドレート堆積層への添加剤水溶液の注入流量を制御する手段を備え、ガスハイドレート堆積層からガスへの分解速度を増加したい場合には、前記添加剤水溶液の注入流量を制御する手段により、添加剤水溶液を該堆積層へ適切な流量にて注入することによりガス分解速度を増加させ、一方、ガスへの分解速度を減少させたい場合には、前記添加剤水溶液の注入流量を制御する手段により、該堆積層への過剰な添加剤水溶液注入流量にすることによりガス分解速度を減少させるようにしてなることを特徴とするガスハイドレート堆積層からガスを回収するための装置。
【請求項6】
請求項5において、前記ガスハイドレート堆積層がメタンを含むガスハイドレート堆積層であることを特徴とするガスハイドレート堆積層からガスを回収するための装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6において、前記ガスハイドレート分解促進効果がある添加剤が無機塩類であることを特徴とするガスハイドレート堆積層からガスを回収するための装置。
【請求項8】
請求項7において、前記無機塩類がNaClであることを特徴とするガスハイドレート堆積層からガスを回収するための装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−239651(P2008−239651A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−77957(P2007−77957)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(経済産業省資源エネルギー庁、独立行政法人産業技術総合研究所「メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム」、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【Fターム(参考)】