説明

ガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置のガスハイドレート移送装置

【課題】 ガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置で処理されて生成された高濃度のGHスラリーを次工程へ給送する給送装置へ、脱水装置から均等に移送することができるガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置のガスハイドレート移送装置を提供する。
【解決手段】 脱水器3の内筒3aの側方に、次工程へGHスラリーを給送するためのスクリュフィーダー11を配設し、このスクリュフィーダー11に対してピストン・シリンダ機構13により進退する掻き板12を、ピストンロッド13aによる支持部14を該掻き板12の高さ方向で中心から偏倚した位置に設ける。往路では掻き板12を前進させて脱水器3の上部に出現したGHスラリーをスクリュフィーダー11へ掻き取る。復路ではピストンロッド13aを回動させて掻き板12の天地を逆にして後退させれば、復路ではGHスラリーを掻き取らない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、海底下等に存在している天然ガスハイドレートを輸送や貯蔵等に適した状態に生成する天然ガスハイドレート生成プラントに設置されている脱水装置で生成された高濃度のガスハイドレートスラリーを、次工程へ搬送するための給送装置へ該脱水装置の上部から移送するためのガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置のガスハイドレート移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シベリアやカナダ、アラスカ等の凍土地帯や大陸周辺部における水深500m以下の海底下には、主成分がメタンである天然ガスハイドレート(NGH)が存在している。このNGHは、メタン等のガス分子と水分子とから構成される低温高圧下で安定した水状固体物質あるいは包接水和物であり、二酸化炭素や大気汚染物質の排出量が少ないクリーンエネルギーとして着目されている。
【0003】
天然ガスは液化された後、貯蔵されてエネルギーとして利用されているが、その製造や貯蔵は−162℃の極低温において行われている。これに対して天然ガスハイドレートは、−20℃で分解せずに安定した性質を示し、固体として扱うことができる等の利点を備えている。このような性質から、世界中に存在している採算面等の理由から未開発の中小ガス田におけるガス資源を有効に利用することができる手段として、あるいは大ガス田からの近距離、小口輸送の場合等に天然ガスハイドレート方式(NGH方式)を活用できる。
【0004】
NGH方式では、中小ガス田等のNGH出荷基地において、輸送や貯蔵に適したNGHを生成し、輸送船や車両等によって所望のNGH受入基地まで輸送され、NGH受入基地では輸送されたNGHを貯蔵し、必要に応じてNGHガス化装置によってエネルギー源として利用することになる。図9は、前記NGH出荷基地に利用されるガスハイドレートの生成プラントの構成の一例を説明する概略のブロック図である。採掘された原料ガスは高圧反応容器である生成器1において水と十分に混合されてハイドレート化されて、低濃度のガスハイドレート(GH)スラリーが生成される。生成されたGHスラリーは給送ポンプ2によって脱水器3に供給されて、脱水された高濃度のGHスラリーを生成する。このとき、脱水器3へは該脱水器3の最下部に供給される。供給されたGHスラリーは脱水器3を徐々に上昇しながら脱水されて、脱水器3の上端部から取り出される。取り出されたガスハイドレートは、脱水されてパウダー状となったGHパウダーとして取り出される。このGHパウダーがペレット成型器4に供給されて造粒され、輸送や貯蔵等にとって適宜な大きさのGHペレットが形成される。次いで、常圧下においても分解しない温度まで冷却機5により冷却された後、脱圧装置6に供給される。すなわち、前記生成器1から冷却機5に至るまでは、常温高圧下において処理がなされ、冷却機5と脱圧装置6とにより、常圧下でも分解しない温度に処理される。その後、生成されたGHペレットは貯蔵槽に給送されて貯蔵される。
【0005】
図8は前記生成器1と脱水器3との処理工程を示しており、生成器1には原料ガスGと水Wとが生成器1の反応槽1aに供給される。供給された原料ガスGと水Wとが攪拌装置1bにより攪拌され、原料ガスGと水Wとが反応して低濃度GHが生成される。未反応の原料ガスGは反応槽1aの上部から回収されブロワ1cにより反応槽1aの底部から再び供給される。生成されたGHスラリーは前記給送ポンプ2により脱水器3の底部に給送される。供給されたGHスラリーは脱水器3を上昇しながら脱水処理されて、該脱水器3の上部からスクリュフィーダ等の給送装置3cにより次工程の前記ペレット成型器4に給送される。脱水器3は内筒3aと該内筒3aを収容する外筒3bとの二重構造とされており、GHスラリーは内筒3aに供給され、該GHスラリーからの脱水は外筒3b内に流出する。外筒3bに流出した水Wは回収ポンプ3dにより前記生成器1に返戻されて、原料ガスGとの反応に供される。
【0006】
前記給送装置3cにGHスラリーを給送するには、脱水器3の上部から給送装置3cへ移送することが必要となる。例えば、この移送を行う装置として、特許文献1に開示されたものがある。特許文献1に記載された脱水装置は、ガスハイドレートの付着水を重力脱水する縦型移動層式の脱水塔を備えたガスハイドレート脱水装置であって、前記脱水塔は略垂直に立設された第1の塔体と、前記第1の塔体の上部に接続し、複数の微細な貫通孔を有する水切り部と、前記水切り部を外囲する貯水部と、前記水切り部の上部に接続する第2の塔体とからなり、前記第1の塔体の底部から供給され前記脱水部を通過したガスハイドレートを上方へ搬送する搬送手段が設けられており、この搬送手段により脱水塔の上部に配された搬出機へ脱水塔内のガスハイドレートを搬送するものである。なお、搬出機と搬出手段には、スクリュコンベヤが用いられている。
【0007】
【特許文献1】特開2007−224116
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示された搬送手段であるスクリュコンベヤでは、脱水塔の中心軸の部分に配されることになるため、脱水塔の中心部からの搬送が促進されて、内壁面近傍のガスハイドレートは滞留してしまうおそれがある。内壁面近傍に滞留したガスハイドレートは内壁面に付着してしまうおそれがあるから、ガスハイドレートの滞留部が徐々に広がって、最終的には脱水塔の中心軸部のみのガスハイドレートが搬送されることになるおそれがある。しかも、場合によってはスクリュコンベヤの羽根に付着して大きな負荷となって、該羽根の回転を停止させてしまうおそれがある。
【0009】
そこで、この発明は、脱水器で脱水されたガスハイドレートを次工程へ給送するための給送装置へ移送する場合に、脱水されたガスハイドレートを脱水器の上部から均等に移送することができるようにしたガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置のガスハイドレート移送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するための技術的手段として、この発明に係るガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置のガスハイドレート移送装置は、ガスハイドレートの製造過程で生成されたガスハイドレートスラリーを重力により脱水する脱水器から、脱水されたガスハイドレートスラリーを次工程に給送する給送装置に移送するガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置のガスハイドレート移送装置において、前記脱水器の上縁部に配設した給送装置と、脱水器の上部を平行移動して、該脱水器の上部に出現したガスハイドレートスラリーを前記給送装置へ掻き取る掻き板からなることを特徴としている。
【0011】
脱水器では、GHスラリーは低濃度のものが下部から供給され、脱水器内を上昇しながら脱水される。脱水されて高濃度に生成されたGHスラリーまたはGHパウダーは脱水器の上部に到達し、さらに下方から押し上げられて脱水器の上方に出現することになる。前記掻き板は平行移動することによりこの出現したGHスラリーを掻き取り、前記給送装置へ移送する。GHスラリーは該給送装置から、ペレットの成型処理等の次工程へ給送されることになる。
【0012】
また、請求項2の発明に係るガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置のガスハイドレート移送装置は、前記給送装置は脱水器の一方の側に配設し、前記掻き板を往復移動させるとともに、該掻き板の支持部を該掻き板の高さの中心から偏倚した位置に配して、往路と復路とで該支持部から掻き板の下端までの距離を変更することを特徴としている。
【0013】
脱水器の一方の側に給送装置を配した構造としたものである。この場合、前記掻き板では、該給送装置に向かって往路を移動することによりGHスラリーが掻き取られて給送装置に移送される。他方、給送装置から離隔する方向に向かって復路を移動する場合には、GHスラリーを掻き取ってしまっては、給送装置が配置されていないため不都合である。このため、復路を移動する際には、掻き板の下端部がGHスラリーから離隔した位置を通過するようにしたものである。
【0014】
また、請求項3の発明に係るガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置のガスハイドレート移送装置は、前記支持部を中心に掻き板を旋回させて、該支持部と掻き板との下端までの距離を変更することを特徴としている。
【0015】
往路では脱水器の上部に出現しているGHスラリーを掻き取るために、掻き板の下端部を脱水器の上縁に近接させ、復路では該下端部を脱水器から離隔させるための機構として、掻き板を支持している部分を中心として該掻き板を旋回させるようにしたものである。これにより、脱水器側に位置する掻き板の下端部が往路と復路では変更されることになる。このため、往路では下端部が脱水器の上縁に近接し、復路では該上縁から離隔することになり、復路でGHスラリーを掻き取ることがない。
【0016】
また、請求項4の発明に係るガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置のガスハイドレート移送装置は、前記支持部に対して掻き板を上下方向に摺動させることにより、該支持部と掻き板との下端までの距離を変更することを特徴としている。
【0017】
掻き板を上下方向に摺動することにより、該掻き板の下端部の高さを変更する。これにより、往路と復路とで、脱水器の上縁から掻き板の下端部の高さ位置が変更される。
【0018】
また、請求項5の発明に係るガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置のガスハイドレート移送装置は、前記給送装置は脱水器の一方の側に配設し、前記脱水器の上方に、該脱水器の軸方向と直交する方向に無端循環移動する無端循環移動体を設け、前記掻き板を、前記無端循環移動体の外周面に取り付けたことを特徴としている。
【0019】
前記無端循環移動体の無端循環移動に伴われて、前記掻き板も同方向に移動する。このため、該掻き板でGHスラリーを掻き取ることができ、これによりGHスラリーが脱水器の上部から前記給送装置へ移送される。
【0020】
また、請求項6の発明に係るガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置のガスハイドレート移送装置は、前記給送装置は脱水器の一方の側に配設し、前記脱水器の上方に、該脱水器の軸方向と直交する方向を軸とする回転体を設け、前記掻き板を、前記回転体の外周面に取り付けたことを特徴としている。
【0021】
脱水器の内径が小さい場合に適した掻き板の駆動機構で、回転体の外周面に設けられた掻き板が、該回転体の回転によって旋回してGHスラリーを掻き取るようにしたものである。
【0022】
また、請求項7の発明に係るガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置のガスハイドレート移送装置は、前記給送装置を一対として、脱水器を挟んだ位置にそれぞれを配設し、前記掻き板を往復移動させ、往路と復路とで異なる側の給送装置へ掻き取ることを特徴としている。
【0023】
給送装置を脱水器の両側に配設することにより、両側の給送装置でGHスラリーを次工程へ給送できるようにしたものである。給送装置が脱水器の両側に配設されているから、掻き板を往復移動させる場合に、往路と復路いずれであってもGHスラリーを掻き取ることができる。
【発明の効果】
【0024】
この発明に係るガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置のガスハイドレート移送装置によれば、脱水器の上部に出現した高濃度のGHスラリーまたはGHパウダーを、該脱水器の上部の全域にわたって給送装置まで移送することができる。このため、脱水器における脱水処理の円滑化を図り、ガスハイドレート生成プラントの運転を安定して行うことができる。
【0025】
また、請求項5または請求項6の発明に係るガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置のガスハイドレート移送装置によれば、掻き板を往復移動させる場合のように、掻き板の下端部をGHスラリーから退避させる動作を必要としないから、往復移動の場合に比べて、迅速にGHスラリーを掻き取ることができる。したがって、脱水器の処理量を増加させることができ、ガスハイドレート生成プラントの製造量を増加させることができる。
【0026】
また、請求項7の発明に係るガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置のガスハイドレート移送装置によれば、2基の給送装置でGHスラリーを次工程へ給送することができるから、脱水器の処理量をさらに増加させることができ、ガスハイドレート生成プラントの運転効率をより向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図示した好ましい実施の形態に基づいて、この発明に係るガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置のガスハイドレート移送装置を具体的に説明する。
【0028】
図1〜図4には、この発明に係るガスハイドレート移送装置の第1の実施形態を示してある。図1はこの移送装置10を備えた前記脱水器3の上端部を示す概略の平面図であり、脱水器3の内筒3aの周縁部に配された給送装置であるスクリュフィーダー11が配設されている。なお、スクリュフィーダー11は、脱水器3の内筒3aの上端よりも下位に設けられている。移送装置10は、脱水器3の上部に出現したGHスラリーを前記スクリュフィーダー11に移送するための掻き板12と、この掻き板12が平行移動するように駆動する駆動手段としてのピストン・シリンダ機構13とから構成されている。前記掻き板12は、図1に示すように、内筒3aの直径よりも長い幅員で、平行移動時に該内筒3aの水平断面の全域をピストン・シリンダ機構13のピストンの移動で網羅するようにしてある。また、図4に示すように、掻き板12の高さ方向の中心から偏倚した高さ位置でピストンロッド13aの先端部により支持されており、このピストンロッド13aによる支持部14から掻き板12の高さ方向のそれぞれの端部までの距離が異ならせてある。これにより、支持部14からの離隔している距離が大きい側の端部12aが下側にある場合には、該端部12aが内筒3aの上縁に近接した位置となり、この距離が小さい側の端部12bが下側にある場合には、該端部12bが内筒3aの上縁から離隔した位置となるようにしてある。
【0029】
この第1実施形態による移送装置10では、ピストン・シリンダ機構13が作動してピストンロッド13aが、図1に実線で示す位置から想像線で示す位置まで前進する往路では、前記端部12aが下側に位置するようにする。このため、脱水器3で脱水されて内筒3aの上部に出現した高濃度のGHスラリーは、掻き板12に押し出されてスクリュフィーダー11に移送される。なお、スクリュフィーダー11のケーシング11aの一部を外側に突出させて、内筒3aの側面にまで延長させたスカート部15が設けられていれば、押し出されるGHスラリーが外筒3b内に落下することが防止されので、好ましい。掻き板12が前進してスクリュフィーダー11の上方を通過したならば、ピストンロッド13aを軸を中心として回動させる。これにより、掻き板12の上下が反転され、端部12aが上側に、端部12bが下側に位置することになる。この状態では、図4の想像線で示すように、下側となった端部12bと内筒3aの上縁との間が大きくなる。この状態でピストンロッド13aを後退させる復路では、掻き板12がGHスラリーを掻き取ることがない。そして、掻き板12が脱水器3の上方から退避した状態でピストンロッド13aを回動させて掻き板12を上下反転させると、前記端部12aが下側となって、次にピストンロッド13aを前進させる際に内筒3aの上部に出現したGHスラリーを掻き取ることができることになる。すなわち、ピストン・シリンダ機構13のピストンロッド13aの往復運動により、往路ではGHスラリーを掻き取ってスクリュフィーダー11に移送し、復路ではGHスラリーを掻き取らずに掻き板12を移動させることができることになる。
【0030】
この第1実施形態では、前記スカート部15を設けることによりGHスラリーの外筒3b内への落下を防止するようにしてあるが、図2に想像線による斜線を施した部分、すなわち、外筒3bの上端部のうち内筒3aを除いた部分に蓋体16を設けることによっても、外筒3bへのGHスラリーの落下を防止できる。また、同図に示すように、内筒の上縁部に前記掻き板12の移動方向に沿ってガイド板17を配設することも好ましい。これら蓋体16とガイド板17とにより、掻き板12によりGHスラリーがスクリュフィーダー11に確実に押し出されるため、スクリュフィーダー11へ効率よく移送することができる。
【0031】
また、前記掻き板12を復路で移動させる際には、往路と上下反転させる必要があり、その反転動作をスクリュフィーダー11の上方を通過させて該スクリュフィーダー11の挟んだ脱水器3の反対側、すなわちスクリュフィーダー11の外側で行うようにした場合を示したが、図3に示すように、内筒3aの上縁部を切欠して反転部18を形成することにより、スクリュフィーダー11を越えずにスクリュフィーダー11の内側で掻き板12の反転動作を行うようにすることもできる。この反転部18は、内筒3aの上縁部から掻き板12を反転させることができる高さまで形成されている。
【0032】
前述した第1実施形態では往路と復路とで、ピストンロッド13aを回動させることにより掻き板12の下側の端部と脱水器3の上縁との間の距離を変更するようにした構造を示した。しかし、この構造であると、掻き板12を旋回させることができる位置まで移動させる必要がある。このため、掻き板12を旋回させずに、すなわちピストンロッド13aを回動させることなく掻き板12の下側の端部と脱水器3の上縁との間の距離を変更する構造として、支持部14に対して掻き板12を上下方向に摺動可能に設けた構造とすることもできる。すなわち、往路と復路とで掻き板12を上下方向に摺動させて支持部14による支持位置を変更して、往路ではGHスラリーを掻き取り、復路ではGHスラリーに接することがないようにするものである。
【0033】
図5には第2の実施形態に係る移送装置20を示している。この実施形態では、脱水器3の上方に一対のロール21a、21bを配設し、これらのロール21a、21bに無端循環移動体としてのベルト22を掛け渡してあり、このベルト22の外側面に適宜枚数の掻き板23が取り付けられている。なお、ロール21a、21bの回転軸の方向は、GHスラリーを掻き取る方向と平行な方向に対して直交する方向としてる。
【0034】
この第2実施形態に係る移送装置20では、前記ロール21a、21bをぞれぞれ図5において反時計回り方向に回転させる。このロール21a、21bの回転によって前記ベルト22が同方向に無端循環移動する。このため、ベルト22に取り付けられている前記掻き板22が平行移動を行って、脱水器3の上部に出現したGHスラリーをスクリュフィーダー11まで移送することになる。
【0035】
この第2実施形態に係る移送装置20では、GHスラリーを連続してスクリュフィーダー11まで移送することができ、脱水器3による処理量が増加した場合であっても、十分に対応することができる。
【0036】
また、図6は第3の実施形態に係る移送装置30を示している。特に、この第3実施形態に係る移送装置30は、脱水器3が径の小さいものである場合に適している。この実施形態では、脱水器3の上方に回転体としてドラム31を配設し、このドラム31の外周面に適宜枚数の掻き板32が取り付けられている。なお、ドラム31の回転軸の方向は、GHスラリーを掻き取る方向と平行な方向に対して直交する方向としてある。
【0037】
この第3実施形態に係る移送装置30では、ドラム31が図6において反時計回り方向に回転することにより、掻き板32が同方向に旋回し、これにより脱水器3の上部に出現したGHスラリーが掻き取られてスクリュフィーダー11まで移送されることになる。
【0038】
図7には、第4の実施形態に係る移送装置40を示してある。また、この第4実施形態の場合には、給送装置としてのスクリュフィーダー11は、一対のものが脱水器3を挟んで両側に設けられている。掻き板41はこれら一対のスクリュフィーダー11の間を往復移動するようにしてある。この掻き板41は、ピストン・シリンダ機構42のピストンロッド42aに支持されており、このピストンロッド42aの往復運動により移動するようにしてある。
【0039】
この第4実施形態に係る移送装置40によれば、ピストン・シリンダ機構42の動作によりピストンロッド42aを往復移動させると、掻き板41が同方向に往復移動することになる。掻き板41がいずれの方向に移動する場合であっても、移動方向の前方には前記スクリュフィーダー11が配されているから、往復移動のいずれの側でもGHスラリーを掻き取ることができる。このため、脱水器3における処理量が増大した場合であっても確実に高濃度のGHスラリーを給送装置11に移送することができ。
【0040】
なお、この第4実施形態の移送装置40が備えている前記掻き板41はピストンロッド42aの先端部にアーム43を介して取り付けられて、いわゆる片持ち状態となっている。このため、掻き板41の先端部を、該掻き板41の移動方向に沿って配設したガイドレール等に連繋させることにより、掻き板41が両端部で支持されることになって好ましい。
【0041】
また、図7に示した構造ではピストン・シリンダ機構42により掻き板41を往復移動させるようにしてあるが、モータ等の回転力を利用することにより掻き板41を往復移動させる構造とすることもできる。例えば、可逆回転モータによりラック・ピニオン機構を介して掻き板41を往復直線移動させるようにしたり、適宜な変速手段を介してモータの回転を掻き板41の往復直線運動に変換させる構造とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
この発明に係るガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置のガスハイドレート移送装置によれば、脱水器で生成された高濃度のGHスラリーまたはGHパウダーを脱水器から均等に掻き取って給送装置へ移送することができるから、脱水器の処理の安定化に寄与して、ガスハイドレート生成プラントの円滑で、安定した運転に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】この発明の第1の実施形態に係るガスハイドレート移送装置の概略の構成を説明する平面図である。
【図2】図1に示す第1の実施形態の一の変形例を示す平面図である。
【図3】図1に示す第1の実施形態の他の変形例を示す平面図である。
【図4】図1に示すガスハイドレート移送装置の正面図である。
【図5】この発明の第2の実施形態に係るガスハイドレート移送装置の概略の構成を説明する正面図である。
【図6】この発明の第3の実施形態に係るガスハイドレート移送装置の概略の構成を説明する正面図である。
【図7】この発明の第4の実施形態に係るガスハイドレート移送装置の概略の構成を説明する平面図である。
【図8】生成器におけるガスハイドレートの生成処理と、脱水器における脱水処理とを説明する概略のブロック図である。
【図9】ガスハイドレート生成プラントの構成の一例を説明する概略のブロック図である。
【符号の説明】
【0044】
1 生成器
3 脱水器
3a 内筒
3b 外筒
4 ペレット成型器
10 移送装置
11 スクリュフィーダー(給送装置)
11a ケーシング
12 掻き板
12a、12b 端部
13 ピストン・シリンダ機構
13a ピストンロッド
14 支持部
15 スカート部
16 蓋体
17 ガイド板
18 反転部
20 移送装置
21a、21b ロール
22 ベルト
30 移送装置
31 ドラム(回転体)
32 掻き板
40 移送装置
41 掻き板
42 ピストン・シリンダ機構
42a ピストンロッド
43 アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスハイドレートの製造過程で生成されたガスハイドレートスラリーを重力により脱水する脱水器から、脱水されたガスハイドレートスラリーを次工程に給送する給送装置に移送するガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置のガスハイドレート移送装置において、
前記脱水器の上縁部に配設した給送装置と、
脱水器の上部を平行移動して、該脱水器の上部に出現したガスハイドレートスラリーを前記給送装置へ掻き取る掻き板からなることを特徴とするガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置のガスハイドレート移送装置。
【請求項2】
前記給送装置は脱水器の一方の側に配設し、
前記掻き板を往復移動させるとともに、該掻き板の支持部を該掻き板の高さの中心から偏倚した位置に配して、往路と復路とで該支持部から掻き板の下端までの距離を変更することを特徴とする請求項1に記載のガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置のガスハイドレート移送装置。
【請求項3】
前記支持部を中心に掻き板を旋回させて、該支持部と掻き板との下端までの距離を変更することを特徴とする請求項2に記載のガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置のガスハイドレート移送装置。
【請求項4】
前記支持部に対して掻き板を上下方向に摺動させることにより、該支持部と掻き板との下端までの距離を変更することを特徴とする請求項2に記載のガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置のガスハイドレート移送装置。
【請求項5】
前記給送装置は脱水器の一方の側に配設し、
前記脱水器の上方に、該脱水器の軸方向と直交する方向に無端循環移動する無端循環移動体を設け、
前記掻き板を、前記無端循環移動体の外周面に取り付けたことを特徴とする請求項1に記載のガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置のガスハイドレート移送装置。
【請求項6】
前記給送装置は脱水器の一方の側に配設し、
前記脱水器の上方に、該脱水器の軸方向と直交する方向を軸とする回転体を設け、
前記掻き板を、前記回転体の外周面に取り付けたことを特徴とする請求項1に記載のガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置のガスハイドレート移送装置。
【請求項7】
前記給送装置を一対として、脱水器を挟んだ位置にそれぞれを配設し、
前記掻き板を往復移動させ、往路と復路とで異なる側の給送装置へ掻き取ることを特徴とする請求項1に記載のガスハイドレート生成プラントにおける脱水装置のガスハイドレート移送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−242521(P2009−242521A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−89429(P2008−89429)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【Fターム(参考)】