説明

ガスハイドレート生成装置

【課題】2次生成器の内面に付着したガスハイドレートパウダーを掻き取りながら造粒化又は集塊化するガスハイドレート生成装置を提供する。
【解決手段】ガスハイドレートnに付着している付着水を、原料ガスgと反応させることによって化学的に除去するようにしたガスハイドレート生成装置である。横型の生成容器12の軸芯13に沿って回転軸14を設け、該回転軸14に攪拌翼15を設けると共に、該攪拌翼15の下流側に半径方向のアーム16に支持された剥離兼造粒翼17を設ける。剥離兼造粒翼17は、板状の剥離兼造粒翼本体18から成り、かつ、前記生成容器12に面する剥離兼造粒翼本体18の端部には、前記生成容器12の内面に付着しているガスハイドレートnを掻き取るエッジ部19を設け、更に、前記回転軸14に面する剥離兼造粒翼本体18の端部には、横断面J字型の造粒部20を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスハイドレートに付着している付着水を原料ガスと反応させることによってガスハイドレートに付着している付着水を化学的に除去するようにしたガスハイドレート生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原料ガスと原料水とを1次生成器に供給してガスハイドレートを生成し、更に、このガスハイドレートと原料ガスとを2次生成器に供給してガスハイドレートに付着している未反応水(付着水)と原料ガスとを再反応させることによってガスハイドレートに付着している付着水を化学的に除去し、乾燥したパウダー状のガスハイドレートを冷却装置に供給して冷却し、冷却後のガスハイドレートをロックホッパ式の脱圧装置で脱圧して貯蔵ドラムに貯蔵することが知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
しかしながら、ガスハイドレートに付着している付着水と原料ガスとが再反応してガスハイドレートに付着している付着水の除去が進んでガスハイドレートが微細なパウダー状になると、2次生成器内、特に、2次生成器の出口付近や脱圧容器内にガスハイドレートパウダーが付着する。このため、2次生成器では、冷媒による反応熱の除去が次第に低下して、ガスハイドレートに付着している付着水と原料ガスとの再反応が次第に悪化するという問題があった。また、脱圧容器では、ガスハイドレートパウダーの付着によってバルブの開閉に支障を来すなどの問題があった。
【非特許文献1】松尾 和芳、外4名、「NGH PDUの運転研究(第1報)−NGHによる天然ガス輸送システムの実証−」、三井造船技報、第181号、2004年2月、第50〜55頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、2次生成器の内面に付着したガスハイドレートパウダーを掻き取りながら造粒化又は集塊化するガスハイドレート生成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明に係るガスハイドレート生成装置は、ガスハイドレートに付着している付着水を、原料ガスと反応させることによって化学的に除去するようにしたガスハイドレート生成装置であって、横型の生成容器の軸芯に沿って回転軸を設け、該回転軸に攪拌翼を設けると共に、該攪拌翼の下流側に半径方向のアームに支持された剥離兼造粒翼を設け、かつ、該剥離兼造粒翼は、板状の剥離兼造粒翼本体から成り、かつ、前記生成容器に面する剥離兼造粒翼本体の端部には、前記生成容器の内面に付着しているガスハイドレートを掻き取るエッジ部を設け、更に、前記回転軸に面する剥離兼造粒翼本体の端部には、横断面J字型の造粒部を設けたことを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明に係るガスハイドレート生成装置は、請求項1記載のガスハイドレート生成装置において、前記造粒部を、前記剥離兼造粒翼本体の先端部から後端部に向って下り勾配とすることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明に係るガスハイドレート生成装置は、請求項1記載のガスハイドレート生成装置において、前記剥離兼造粒翼本体を、平面視でノの字又はV字型に形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記のように、請求項1に記載の発明は、半径方向のアームに支持された剥離兼造粒翼を設け、かつ、該剥離兼造粒翼は、板状の剥離兼造粒翼本体から成り、かつ、前記生成容器に面する剥離兼造粒翼本体の端部には、前記生成容器の内面に付着しているガスハイドレートを掻き取るエッジ部を設け、更に、前記回転軸に面する剥離兼造粒翼本体の端部には、横断面J字型の造粒部を設けたので、剥離兼造粒翼本体のエッジ部によって生成容器の内面に付着したガスハイドレートパウダーを掻き取りながら、エッジ部で掻き取ったガスハイドレートパウダーを横断面J字型の造粒部によって造粒化又は集塊化することが可能となった。このため、生成容器の内面へのガスハイドレートパウダーの付着を防止することができるばかりでなく、脱圧容器へのガスハイドレートパウダーの付着を防止することができるようになった。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、前記造粒部を、前記剥離兼造粒翼本体の先端部から後端部に向って下り勾配にしたので、ガスハイドレートパウダーの造粒化又は集塊化が容易になるとともに、造粒化又は集塊化したガスハイドレートパウダーの払い出しが容易になった。
【0010】
また、請求項3に記載の発明に係るガスハイドレート生成装置は、前記剥離兼造粒翼本体を、平面視でノの字又はV字型に形成するので、平面視でノの字又はV字型の剥離兼造粒翼本体によって生成容器の内面に付着したガスハイドレートパウダーを効率的に掻き取ることができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は、ガスハイドレートの製造工程を示す概略構成図であり、原料ガスgと原料水wを縦型の1次生成器1に供給して高圧下(例えば、5〜5.5MPa程度)でガスハイドレートnを生成し、更に、このガスハイドレートnと原料ガスgとを横型の2次生成器2に供給してガスハイドレートnに付着している未反応水(付着水)と原料ガスgとを再反応させることによってガスハイドレートnに付着している付着水を化学的に除去し、乾燥したパウダー状のガスハイドレートn’を冷却装置3に供給して冷却し(例えば、−20℃〜−30℃程度)、冷却後のガスハイドレートn’をロックホッパ式の脱圧装置4で脱圧して大気圧下の貯蔵ドラム5に貯蔵するようになっている。
【0012】
ここで、1次生成器1内の原料ガスgは、ブロワ6及び冷却器7を有する第1循環路8に沿って循環するようになっている。また、1次生成器1内のガスハイドレートスラリーsは、スラリーポンプ9を有する第2循環路10に沿って循環するようになっている。
【0013】
2次生成器2は、図2に示すように、横型の生成容器12の軸芯(図示せず)に沿って回転軸14を設けている。その上、回転軸14に門型の攪拌翼15を設けると共に、この攪拌翼15の下流側に半径方向のアーム16に支持された剥離兼造粒翼17を設けている。この剥離兼造粒翼17は、図3に示すように、V字型に屈折させた板状の剥離兼造粒翼本体18によって形成されている。その上、図示しない生成容器の内面に面する剥離兼造粒翼本体18の端部には、生成容器の内壁面に付着しているガスハイドレートパウダーを掻き取るエッジ部19を設けている。更に、前記回転軸14に面する剥離兼造粒翼本体18の端部には、横断面J字型の造粒部20を設けている。この横断面J字型の造粒部20は、剥離兼造粒翼本体18の先端部から後端部に向って下り勾配となっている。
【0014】
2次生成器2は、生成容器12の外側の設けた冷却ジャケット21に冷媒Cを導入してガスハイドレートnに付着している付着水と原料ガスgとが反応してガスハイドレートとなる時に発生する反応熱(生成熱)を除去するようになっている。この冷却ジャケット21は、冷媒供給管22及び冷媒排出管23を有している。冷媒供給管22に加熱器24を設けると共に、加熱器24に熱媒Wを供給する熱媒供給管25に流量調整バルブ26を設けている。
【0015】
また、生成容器12は、ガスハイドレート供給部27及びガスハイドレート排出部28のほか、ガスハイドレート排出部28の略真上に覗き窓29を有している。この覗き窓20に設置したCCDカメラ30は、画像処理装置31を介して制御装置32と電気的に接続している。
【0016】
しかして、制御装置32は、画像処理装置31によって画像処理されたガスハイドレートパンダーの集塊状態によって流量調整バルブ26を調整するようになっている。また、この生成容器12は、原料ガス供給管33と原料ガス排出管34を有し、原料ガス排出管34には、流量調整バルブ35を設けている。
【0017】
上記2次生成器2の回転軸14を回転させると、図4に示すように、アーム16に支持されたV字型の剥離兼造粒翼本体18のエッジ19によって生成容器12の内面12aに付着したガスハイドレートパウダーn’が掻き取られる。掻き取られたガスハイドレートパウダーn’は、V字型の剥離兼造粒翼本体18の傾斜面に沿って滑落しながら横断面J字型の造粒部20によってボール状に集塊化される。
【0018】
剥離兼造粒翼17の形状としては、既に説明したV字型のほか、平面視察でノの字型でも支障がない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のガスハイドレートの製造工程を示す概略構成図である。
【図2】2次生成器の断面図である。
【図3】アームに支持された剥離兼造粒翼の斜視図である。
【図4】剥離兼造粒翼の使用説明図である。
【符号の説明】
【0020】
n ガスハイドレート
g 原料ガス
12 生成容器
13 軸芯
14 回転軸
15 攪拌翼
16 アーム
17 剥離兼造粒翼
18 剥離兼造粒翼本体
19 エッジ部
20 造粒部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスハイドレートに付着している付着水を、原料ガスと反応させることによって化学的に除去するようにしたガスハイドレート生成装置であって、横型の生成容器の軸芯に沿って回転軸を設け、該回転軸に攪拌翼を設けると共に、該攪拌翼の下流側に半径方向のアームに支持された剥離兼造粒翼を設け、かつ、該剥離兼造粒翼は、板状の剥離兼造粒翼本体から成り、かつ、前記生成容器に面する剥離兼造粒翼本体の端部には、前記生成容器の内面に付着しているガスハイドレートを掻き取るエッジ部を設け、更に、前記回転軸に面する剥離兼造粒翼本体の端部には、横断面J字型の造粒部を設けたことを特徴とするガスハイドレート生成装置。
【請求項2】
前記造粒部を、前記剥離兼造粒翼本体の先端部から後端部に向って下り勾配とすることを特徴とする請求項1記載のガスハイドレート生成装置。
【請求項3】
前記剥離兼造粒翼本体を、平面視でノの字又はV字型に形成することを特徴とする請求項1記載のガスハイドレート生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−217632(P2007−217632A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−42309(P2006−42309)
【出願日】平成18年2月20日(2006.2.20)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【Fターム(参考)】