説明

ガス分離膜、その製造方法、それを用いたガス分離膜モジュール

【課題】優れたガス透過性を有しながら、高いガス分離選択性をも実現し、さらにBTXが混入している混合ガスの分離に対して膜寿命が長期化されたガス分離膜、その製造方法、それを用いたガス分離膜モジュールを提供する。
【解決手段】支持層と該支持層の上側に形成された分離層とを具備するガス分離膜であって、前記分離層は前記支持層とは反対側に配置された親水性ポリマーを有してなる親水性層と支持層側の分離層本体とを具備してなるガス分離膜。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス分離膜、その製造方法、それを用いたガス分離膜モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特定の高分子化合物から構成された膜によって、所望の気体成分を選択的に透過させ、その気体成分を分離する分離膜がある。その産業上の利用態様として、地球温暖化の問題と関連し、火力発電所やセメントプラント、製鉄所高炉等の大規模な二酸化炭素発生源からこれを分離回収することが検討されている。この膜分離技術は、比較的小さなエネルギーで達成できる環境問題の解決手段として着目されている。一方、天然ガスやバイオガス(生物の排泄物、有機質肥料、生分解性物質、汚水、ゴミ、エネルギー作物などの発酵、嫌気性消化により発生するガス)は主としてメタンと二酸化炭素の混合ガスである。その二酸化炭素等を除去する手段としても、上記膜分離法の利用が検討されている(特許文献1、2等参照)。
【0003】
ところで、上述したような分離操作を施すべき混合ガスには相当量の水分が含まれていることがあり、これに対し分離膜を保護する必要がある。その観点から、ガス分離膜の表面を疎水性にする処理を施すことが提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−297605号公報
【特許文献2】特開2006−297335号公報
【特許文献3】特開平08−24602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、特に二酸化炭素をメタン等から分離する際の技術課題に着目し、さまざまなガス分離特性や膜の物性変化、分離挙動について調査分析を行い、素材等に関する研究を行った。すると、ガス分離膜の寿命を左右する因子として、水分ではなく、むしろこの系の混合ガスにおいては、BTX(ベンゼン、トルエン、キシレン系有機成分)が関与していることを突き止めた。特に、ガス分離膜として溶解・拡散機構を利用する膜素材においてはその影響が大きく、特定の態様で分離膜の表面側を親水性ポリマーの層で構成することで、高いガス分離特性を維持したまま、膜寿命を長期化することができることを確認した。
【0006】
上記の点を考慮し、本発明は、優れたガス透過性を有しながら、高いガス分離選択性をも実現し、さらにBTXが混入している混合ガスの分離に対して膜寿命が長期化されたガス分離膜、その製造方法、それを用いたガス分離膜モジュールの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題は以下の手段により達成された。
(1)支持層と該支持層の上側に形成された分離層とを具備するガス分離膜であって、前記分離層は前記支持層とは反対側に配置された親水性ポリマーを有してなる親水性層と支持層側の分離層本体とを具備してなるガス分離膜。
(2)前記親水性ポリマーが、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、多糖類、及びゼラチンから選ばれる少なくとも一つを含む(1)に記載のガス分離膜。
(3)前記多糖類が、アガロース、デキストラン、キトサン、又はセルロースである(1)又は(2)に記載のガス分離膜。
(4)前記親水性層の膜厚が0.1μm以下である(1)〜(3)のいずれか1項に記載のガス分離膜。
(5)前記親水性層の水を用いた表面接触角が60°以下である記載の(1)〜(4)のいずれか1項に記載のガス分離膜。
(6)前記親水性層の水の表面接触角(α)と前記分離層本体の水の接触角(α)との差(α−α)が10°以上である(1)〜(5)のいずれか1項に記載のガス分離膜。
(7)前記親水性層と分離層本体との間に、前記親水性層の構成成分と前記分離層本体の構成成分とが混合された混合層を有する(1)〜(6)のいずれか1項に記載のガス分離膜。
(8)前記分離層本体の膜厚が0.05〜20μmである記載の(1)〜(7)のいずれか1項に記載のガス分離膜。
(9)前記分離層本体を構成する樹脂が、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリジメチルシロキサン樹脂、及びポリエチレングリコール樹脂からなる群から選ばれる(1)〜(8)のいずれか1項に記載のガス分離膜。
(10)前記混合層の厚さが0.01〜1μmである(1)〜(9)のいずれか1項に記載のガス分離膜。。
(11)支持層と該支持層の上側に形成された分離層とを具備し、前記分離層が前記支持層とは反対側に配置された親水性ポリマーを有してなる親水性層と支持層側の分離層本体とを具備してなるガス分離膜の製造方法であって、
前記親水性層を構成する親水性ポリマーの溶液を調液する工程と、
前記分離層本体を構成する樹脂の溶液を調液する工程と、
前記両液を多層塗布する工程と
を含むガス分離膜の製造方法。
(12)前記親水性層を構成する親水性ポリマーの溶液を、前記分離層本体を構成する樹脂の溶液が塗布され両液が混合しない乾燥状態となる前に塗布する(11)に記載のガス分離膜の製造方法。
(13)前記親水性層を構成する親水性ポリマーの溶液における、該親水性ポリマーの濃度が、0.05質量%以上5.0質量%以下である(11)又は(12)に記載のガス分離膜の製造方法。
(14)前記分離層本体を構成する樹脂の溶液における、該樹脂の濃度が、0.5質量%以上30質量%以下である(11)〜(13)のいずれか1項に記載のガス分離膜の製造方法。
(15)(1)〜(10)のいずれかに記載のガス分離膜を有するガス分離膜モジュール。
【発明の効果】
【0008】
本発明のガス分離膜、その製造方法、それを用いたガス分離膜モジュールは、優れたガス透過性を有しながら、高いガス分離選択性をも実現し、さらにBTXが混入している混合ガスの分離に対して長寿命を示すという優れた作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のガス分離複合膜の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明のガス分離複合膜の別の実施形態を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のガス分離膜は、支持層と該支持層の上側に形成された分離層とを具備するガス分離機能を有する複合膜であって、前記分離層が、支持層と反対側の親水性ポリマーを有してなる親水性層と、支持層側の分離層本体とを具備してなる。以下に、本発明について、その好ましい実施形態を中心に図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
[複合膜の構成]
図1は、本発明の好ましい実施形態であるガス分離複合膜10を模式的に示す断面図である。1はガス分離層、2は多孔質層からなる支持層である。図2は、本発明の好ましい実施形態であるガス分離複合膜20を模式的に示す断面図である。この実施形態では、ガス分離層1及び多孔質層2に加え、支持層として不織布層3が追加されている。このような形態の複合膜は、多孔質性の支持層の少なくとも表面に、上記のガス分離層をなす塗布液(ドープ)を塗布し(本明細書において塗布とは浸漬により表面に付着される態様を含む意味である。)、任意の方法で硬化させることが好ましい。なお、支持層上側とは、支持層とガス分離層との間に他の層が介在してもよい意味である。なお、上下の表現については、特に断らない限り、分離対象となるガスが供給される方向を「上」とし、分離されたガスが出される方向を「下」とする。
【0012】
本実施形態のガス分離複合膜10,20においては、ガス分離層の上側には親水性層1aが配置されている。その下側の分離層本体1bはガス分離機能を発揮し、上記親水性層1aのもつBTX遮断効果と相まって、優れたガス分離性と膜の長寿命とを両立して実現する。なお、本実施形態においては、さらに親水性層1aと分離層1bとの間に混合層1cが形成されている。混合層の詳細については後述する。
【0013】
[親水性層]
本発明のガス分離膜において親水性層1aを形成する材料は、親水性ポリマーを含んでいれば特に限定されない。ここで親水性層とは、特定の成分で構成された厚みのある層として観念できる形態を指し、プラズマ処理や電子線処理のようなドライ処理、特定の化合物を用いた化学処理やグラフト処理で形成された処理面とは区別されるものである。典型的には後述する樹脂成分を含む溶液の塗布により形成された層であることが好ましい。親水性層に隣接する層と構成成分において明確に区別される必要はなく、成分組成が傾斜的に変化していてもよいが、グラフト処理のように構成成分の分子内で修飾された状態は含まない。
【0014】
(親水性ポリマー)
本実施形態において、親水性ポリマーは、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、多糖類、及びゼラチンから選ばれる少なくとも一つを含むことが好ましい。ポリビニルアルコールの例としては下記などが挙げられる。RS2117(分子量;74,800)、PVA103(分子量;13,200、鹸化度;98〜99)、PVA117(分子量;74,800、鹸化度;98〜99)、PVA−HC(鹸化度;99.85以上)、PVA−205C(分子量;22,000、高純度、鹸化度;87〜89)、M−205(分子量;22,000、鹸化度;87〜89)、M−115(分子量;66,000、鹸化度;97〜98)<以上、クラレ社製、商品名>。前記多糖類としては、アガロース、デキストラン、キトサン、セルロースが挙げられる。アガロースとしては、伊那寒天社製UM―11、ZY―6、SY―4、デキストランとしては、aldrich社製00891、キトサンとしては、aldrich社製740179、セルロースとしては、ダイセル社製L−70、LT−105などがあげられる。
【0015】
多糖類ないしゼラチンはその誘導体であってもよく、その例は特に限定されないが、典型的には、任意の置換基を導入した化合物が挙げられる。なかでも親水性を付与する観点から置換基としては、カルボキシル基、ホスホニル基、ホスホリル基、スルホ基、ホウ酸基、ヒドロキシル基、アミノ基などが好ましい。
【0016】
(分子量)
本実施形態の親水性ポリマーの分子量は特に限定されないが、本発明では通常オリゴマーとして分類されるものも含めて親水性ポリマーという。具体的に、重量平均分子量で1.0×10〜1.0×10が好ましく、1.0×10〜5.0×10がより好ましい。この分子量を前記下限値以上とすることで、はじきなどによる欠陥を低減でき、性能を安定させることができ好ましい。一方、前記上限値以下とすることで、調液時に溶媒に溶解しやすくなり、製造適性が向上させることができ好ましい。
【0017】
分子量及び分散度は特に断らない限りGPC(ゲルろ過クロマトグラフィー)法を用いて測定した値とし、分子量はポリスチレン換算の重量平均分子量とする。GPC法に用いるカラムに充填されているゲルは芳香族化合物を繰り返し単位に持つゲルが好ましく、例えばスチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなるゲルが挙げられる。カラムは2〜6本連結させて用いることが好ましい。用いる溶媒は、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、N−メチルピロリドンのアミド系溶媒、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、1,2−ジクロロベンゼン等の芳香族系溶媒が挙げられる。測定は、溶媒の流速が0.1〜2mL/minの範囲で行うことが好ましく、0.5〜1.5mL/minの範囲で行うことが最も好ましい。この範囲内で測定を行うことで、装置に負荷がかからず、さらに効率的に測定ができる。測定温度は10〜50℃で行うことが好ましく、20〜40℃で行うことが最も好ましい。使用可能温度が高いカラムを用いて50℃〜200℃で測定をおこなうこともできる。なお、使用するカラム及びキャリアは測定対象となる高分子化合物の物性に応じて適宜選定することができる。
【0018】
[接触角]
本発明において親水性とは、特に制限はなく、表面改質後に、最表面の水に対する接触角(α)が、60°以下になっていることと定義することができ、50°以下であることが好ましい。下限値は特にないが、4°以上であることが実際的である。
水に対する接触角の測定方法としては、液滴法を選択することができる。液滴法は、1〜4μLの水を膜表面に滴下し、滴下後、10秒後の液滴の様子を画像として撮影する。その際、液滴の画像の輪郭形状を円の一部と仮定し、円の中心を求め、円の接線と直線でなす角度を接触角として求めることができる。必要により、JIS R 3257を参照して測定条件等を設定してもよい。
【0019】
前記親水性層の水の表面接触角(α)と、前記分離層本体の水の接触角(α)との差(α−α)は、特に限定されないが、相対的に分離層本体1b(図1、図2)に対して、親水性層1aの親水性が高められていることが好ましい。より定量的に評価するなら、前記親水性層の水の表面接触角(α)と、前記分離層本体を表面出ししたときの水の接触角(α)との差(α−α)は、10°以上であることが好ましく、20°以上であることがより好ましい。表面出しするとは、分離層1から親水性層1aを剥ぎ取るように切除し、分離層本体bの一部をさらに削ぎ落とし、その露出面を形成することを言う。上記分離層本体の水の接触角(α)は、その露出面について水の接触角を測定した値をいい、その測定方法は上記に準ずるものとする。(α−α)が前記範囲を下回る場合には、性能・寿命向上に対する明確な効果はみられなかった。上限値は特に限定されないが、100°以下であることが実際的である。
【0020】
[親水性層及び分離層本体の厚さ]
前記分離層の親水性層において改質処理された部分の深さ方向の膜厚T(図1、図2参照)は、0.1μm以下であることが好ましく、0.08μm以下であることがより好ましく、0.05μm以下であることが特に好ましい。下限値は特にないが、ポリマーで構成された層であることを考慮すると0.01μm以上であることが実際的である。この厚さを前記上限値以下とすることで、高いガス透過性を保ったまま、寿命を向上させることができ好ましい。
【0021】
分離層本体の厚さとしては、0.05〜20μmであることが好ましく、0.1〜10μmであることがより好ましい。この厚さを前記下限値以上とすることで、異物やはじきなどの欠陥が低減でき、性能が安定する点で好ましい。一方、前記上限値以下とすることで、ガス透過性能が高く保つことができ好ましい。
【0022】
本明細書において膜ないし各層の厚さは、特に断らない限り、支持層を含めた膜全体を液体窒素で凍結した後、割断したサンプル、もしくは、ウルトラミクロトームによる切削などにより作成した超薄切片サンプルを、高倍率のTEMやSEMにより観察することで解析する。
【0023】
[分離層本体の構成材料]
本発明のガス分離膜において、分離層本体は樹脂を含有してなることが好ましく、これに適用される材料は、以下にあげられるが、これらに限定されるわけではない。具体的には、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリジメチルシロキサン樹脂、ポリエチレングリコール樹脂であることが好ましい。
【0024】
なお、セルロース樹脂など、樹脂の種類としてみると上記親水性層を構成するものと重複しうるものがあるが、その場合には、親水性層に用いるものには、相対的にみてより高い親水性が付与されていることが前提である。すなわち、セルロースを例にとると、親水性層に適したものは、親水性セルロースであり、分離膜本体に適したものは、非親水性ないしは疎水性セルロールということができる。親水性ないし疎水性の付与は適宜定法によればよく、例えば親水性を付与するためには、ヒドロキシル基やカルボキシル基などの極性基を有する置換基をポリマーの構成単位に有するものを利用することが挙げられる。逆に疎水性を高めるためには、アルキル基やアセチル基の非極性の置換基を構成単位に導入する態様が挙げられる。
【0025】
また、より具体的には、Huntsman Advanced Materials社よりMatrimid(登録商標)の商標で販売されているMatrimid(Matrimid(登録商標)5218は、Matrimid(登録商標)の商標で販売されている特定のポリイミドポリマーを指す)およびHP Polymers GmbH社よりそれぞれ商品名P84および商品名P84HTで販売されているP84またはP84HT等のポリイミド類、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース等のセルロース類、ポリジメチルシロキサン類、ポリエチレングリコール#200ジアクリレート(新中村化学社製)の重合したポリマーなどのポリエチレングリコール類、また、特表2010−513021に記載のポリマーなどを選択することができる。
【0026】
上記分離層本体をなす樹脂の分子量は特に限定されないが、重量平均分子量で1.0×10〜1.0×10が好ましく、1.0×10〜5.0×10がより好ましい。この分子量を前記下限値以上とすることで、はじきなどによる欠陥を低減でき、性能を安定させることができ好ましい。一方、前記上限値以下とすることで、調液時に溶媒に溶解しやすくなり、製造適性が向上することができ好ましい。
【0027】
[支持層]
支持層に好ましく適用される多孔質支持体は、機械的強度及び高気体透過性の付与に合致する目的のものであれば、特に限定されるものではなく有機、無機どちらの素材であっても構わないが、好ましくは有機高分子の多孔質膜であり、その厚さは1〜3000μm、好ましくは5〜500μmであり、より好ましくは5〜300μmである。この多孔質膜の細孔構造は、通常平均細孔直径が10μm以下、好ましくは5μm以下、より好ましくは2μm以下であり、空孔率は好ましくは20〜90%であり、より好ましくは30〜90%である。また、その気体透過率は二酸化炭素透過速度で3×10−5cm(STP)/cm・sec・cmHg以上であることが好ましい。多孔質膜の素材としては、従来公知の高分子、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂等、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素樹脂等、ポリスチレン、酢酸セルロース、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアラミド等の各種樹脂を挙げることができる。なかでも、高い膜強度、高いガス透過性と分離選択性とを同時に達成する観点から、支持層が、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシドからなるものであることが好ましい。多孔質膜の形状としては、平板状、スパイラル状、管状、中空糸状などいずれの形状をとることができる。
【0028】
この支持層は上述したように薄く、多孔質な素材であることが、十分なガス透過性を確保することができ好ましい。また、後述するガス分離層の優れたガス分離選択性を最大限に引き出すためにも、薄膜多孔質の形態が好ましい。一方、ガス分離膜の成形に高温・長時間等のシビアな反応条件が課される場合には、上述した薄く多孔質の支持層を損傷し、複合膜として十分な性能を発揮できない場合がある。かかる観点から、本発明が採用するラジカル架橋性のポリイミド化合物を利用したガス分離複合膜は穏和な条件で製膜することができ、優れた効果を発揮し、製造適正と、製品質との両面で高い性能を発揮しうるものである。
【0029】
本発明においては、ガス分離層を形成する支持層の下部にさらに機械的強度を付与するために支持体が形成されていることが望ましい。その支持体としては、織布、不織布、ネット等が挙げられるが、製膜性およびコスト面から不織布が好適に用いられる。不織布としてはポリエステル、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリアミド等からなる繊維を単独あるいは複数を組み合わせて用いてもよい。不織布は、例えば、水に均一に分散した主体繊維とバインダー繊維を円網や長網等で抄造し、ドライヤーで乾燥することにより製造できる。また、毛羽を除去したり機械的性質を向上させたり等の目的で、不織布を2本のロール挟んで圧熱加工を施すことも好ましい。
【0030】
[混合層]
本発明の分離膜においては、前記親水性層と分離層本体との間に、前記親水性層の構成成分と前記分離層本体の構成成分とが混合された混合層を有することが好ましい。混合層を構成する成分の好ましいものは、前記親水性層及び分離層本体の好ましい材料として述べたものと同じである。親水性層の構成成分と分離層本体の構成成分との混合比は特に限定されないが、親水性層の構成成分の質量(w1)及び分離層本体の構成成分の質量(w2)が次の関係にあることが好ましい。すなわち、w1:w2=5:95〜50:50であることが好ましく、5:95〜40:60であることがより好ましい。
混合層の厚さTは特に限定されないが、0.01〜1μmであることが好ましく、0.01〜0.5μmであることがより好ましい。本混合層は、分離膜において親水性層と分離層本体との密着性付与による性能安定化という機能を有するが、上記厚さとすることによりその機能が一層良好に発揮され好ましい。
【0031】
[ガス分離膜の製造方法]
本発明のガス分離膜は、支持層と該支持層の上側に形成された分離層とを具備し、前記分離層が前記支持層とは反対側に配置された親水性ポリマーを有してなる親水性層と支持層側の分離層本体とを具備してなり、
前記親水性層を構成する親水性ポリマーの溶液を調液する工程と、
前記分離層本体を構成する樹脂の溶液を調液する工程と、
前記両液を多層塗布する工程とを含む製造方法により製造されることが好ましい。
【0032】
(親水性ポリマーの溶液)
・溶媒
前記親水性ポリマーを溶解させる溶媒は特に限定されないが、親水性溶媒であることが好ましい。ここでいう親水性溶媒とは、ポリマーハンドブック(P.688〜694)に掲載されているSP値が25(MPa0.5)以上の溶媒をいう。具体的には、水や、メタノール、エタノールなどのアルコール類や、ピロリジンなどがあげられる。
【0033】
・濃度
親水性ポリマーを含有させる濃度は特に限定されないが、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.075質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることが特に好ましい。上限値は特に限定されないが、5.0質量%以下であることが好ましく、2.5質量%以下であることがより好ましく、1.0質量%以下であることが特に好ましい。この濃度を前記下限値以上とすることで、はじきなどによる欠陥なく製膜ができ好ましい。一方、前記上限値以下とすることで、薄く製膜することができ好ましい。なお、本発明においては、本発明の効果を妨げない限り、上記親水性ポリマーを二種以上併用してもよく、これ以外の添加剤等を使用してもよい。
【0034】
(分離層本体樹脂の溶液)
・溶媒
前記分離層本体を構成する樹脂を溶解させる溶媒は特に限定されないが、
(1)エステル類、例えば酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチルなどの3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類;3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等;
(2)エーテル類、例えばジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、等;
(3)ケトン類、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等;芳香族炭化水素類、例えばトルエン、キシレシ
等が挙げられる。
【0035】
・濃度
分離層本体の構成樹脂を含有させる濃度は特に限定されないが、0.5質量%以上であることがより好ましく、0.75質量%以上であることがより好ましく、1.0質量%以上であることが特に好ましい。上限値は特に限定されないが、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが特に好ましい。この濃度を前記下限値以上とすることで、支持体へ染み込みすぎず製膜することができ好ましい。一方、前記上限値以下とすることで、液粘度が向上しすぎず塗布適性を保ったまま製膜することができ好ましい。なお、本発明においては、本発明の効果を妨げない限り、上記特定モノマーを二種以上併用してもよく、これ以外の添加剤等を使用してもよい。
【0036】
(製膜方法)
本発明の好ましいガス分離膜の製造方法は、前記親水性層を構成する親水性ポリマーの溶液を調液する工程と、前記分離層本体を構成する樹脂の溶液を調液する工程と、前記両液を多層塗布する工程とを含んでなる。本実施形態においては、前記両液を準備した後、多層塗布、すなわち適切な時期及び順序で支持体上に両液を塗布して塗布膜を設けることが好ましい。前記親水性層を構成する親水性ポリマーの溶液と、前記分離層本体を構成する樹脂の溶液を同時に塗布する場合は、支持体上に、前記分離層本体を構成する樹脂の溶液が塗布されて、さらにその上に、前記親水性層を構成する親水性ポリマーの溶液が塗布されるように行うことが好ましい。
また、逐次塗布する場合は、支持体上に、前記分離層本体を構成する樹脂の溶液が塗布し、溶媒が完全に乾燥する前に前記親水性層を構成する親水性ポリマーの溶液を塗布するようにすることが好ましい。
【0037】
本実施形態においては、前記親水性層を構成する親水性ポリマーの溶液を、前記分離層本体を構成する樹脂の溶液が塗布され両液が混合しない乾燥状態となる前に塗布することが好ましい。このようにすることで、前記の混合層を好適に形成することができ好ましい。上記混合層を生じない乾燥状態とは厳密なものでなくてもよいが、混合層の効果が発現しない程度で形成が実質的に認められない程度の乾燥状態と言うことができる。混合層の形成の程度で乾燥状態の好ましい範囲をみるとき、上述のようにその厚さTの好ましい範囲に基づいて評価してもよい。なお、混合層の同定は、元素マッピング(Energy Dispersive x-ray Spectroscopy(EDX)あるいはTime- of-flight
secondary ion mass spectrometer[TOF−SIMS])により行うことができる。上層と下層に存在する独自の元素をマッピングした際に、各元素が均一に分散していればよく、海島のようになっている場合やどちらか一方の元素のみあるような場合は、混合層とはみなさないという形で評価することができる。
【0038】
[ガス混合物の分離方法]
本発明のガス混合物の分離方法は、少なくとも一種の酸性ガスを含むガス混合物から酸性ガスを気体分離膜によって分離する方法において、本発明のガス分離膜又は前記複合膜を用いることができる酸性ガスが二酸化炭素又は硫化水素であることが好ましい。このように、本発明の分離膜はガス(気体)を分離する膜であるが、超臨界流体等の分離膜であってもよい。対象となる超臨界流体としては、超臨界二酸化炭素が挙げられる。
【0039】
本発明の分離膜を用いる気体の分離方法において、原料の気体混合物の成分は特に規定されるものではないが、ガス混合物の主成分が二酸化炭素及びメタン、又は二酸化炭素及び水素であることが好ましい。ガス混合物が二酸化炭素や硫化水素のような酸性ガス共存下で特に優れた性能を発揮し、好ましくは二酸化炭素とメタン等の炭化水素、二酸化炭素と窒素、二酸化炭素と水素の分離において優れた性能を発揮する。そして、上述のとおり、分離する混合ガス中にBTXが含まれるような場合に本発明が高い効果を発揮して、良好なガス分離性を維持して、膜の長寿命化を図ることができる。
【0040】
とりわけ、供給されるガスが二酸化炭素とメタンとの混合ガスであり、40℃、8気圧における二酸化炭素の透過速度が5GPU超であることが好ましく、5〜500GPUであることがより好ましい。二酸化炭素とメタンとの透過速度比(PCO2/PCH4)は10以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましい。
【0041】
[ガス分離膜モジュール・気体分離装置]
本発明のガス分離膜は多孔質支持体と組み合わせた複合膜とすることが好ましく、更にはこれを用いた分離膜モジュールとすることが好ましい。また、本発明のガス分離膜、複合膜又は分離膜モジュールを用いて、ガスを分離回収又は分離精製させるための手段を有する気体分離装置とすることができる。
本発明のガス分離膜はモジュール化して好適に用いることができる。モジュールの例としては、スパイラル型、中空糸型、プリーツ型、管状型、プレート&フレーム型などが挙げられる。また本発明の高分子膜は、例えば、特開2007−297605号に記載のような吸収液と併用した膜・吸収ハイブリッド法としての気体分離回収装置に適用してもよい。
【実施例】
【0042】
以下に実施例に基づき本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明がこれに限定して解釈されるものではない。
(実施例1・比較例1)
<分離膜の作製>
市販のMatrimide(Huntsman Advanced Materials社製、Matrimid(登録商標)5218)5質量%を含むTHF(テトラヒドロフラン)溶液を組成物Aとして調製した。市販のPVA117(クラレ社製、商品名)の0.1質量%を含む水溶液を組成物Bとして調製した。これら組成物セット101aを、ポリアクリロニトリル多孔質膜(GMT社製、不織布上にポリアクリロニトリル多孔質膜が存在、不織布含め、膜厚は約180μm厚)を支持体として、多層同時塗布し、乾燥させることで、分離膜101を作製した(表2)。
組成物A、組成物Bを表1のもの(組成物セット102a,103a、104a)に変更した以外は分離膜101と同様にして、分離膜102〜104を作製した(表2)。
【0043】
【表1】

TAC:トリアセチルセルロース(ダイセル社製 商品名:NAC)
MEK:メチルエチルケトン
MC/MeOH:塩化メチレン/メタノール(体積比 9:1)
PEG:ポリエチレングリコール(アルドリッチ社製 商品名:81310)
アガロース(ニッポンジーン社製 商品名:AgaroseH)
【0044】
組成物Bを用いない表1の組成物セットc11aを用いる以外は、実施例1と同様にして、分離膜c11を作製した(表2)。なお、この分離膜における分離層表面の接触角は、実施例のものにおいて、表面出しした分離層本体の表面接触角として評価することができる。
【0045】
−ガス分離評価1−
前記で製膜した各分離膜を用いて二酸化炭素ガスの分離性能について、以下のように評価した。
支持層ごと直径47mmに切り取り、透過側にPTFEメンブレンフィルターを置いて透過試験サンプルを作製した。テストガスとしてCO/CH:50/50(体積比)の混合ガスを相対湿度0%、流量300ml/分、温度40℃、全圧200kPaで、前記の各サンプル(有効面積2.40cm)に供給し、透過側にArガス(流量90ml/分)をフローさせた。透過してきたガスをガスクロマトグラフで分析し、CO透過速度と分離係数を算出した。その値を表2に示す。
【0046】
−ガス分離評価2−
ガス組成をCO/CH/BTX:13/86.9/0.1(体積比)にした以外は、ガス分離評価1と同様にし、分離性能を測定した。その値を表2に示す。
BTX:ベンゼン、トルエン、キシレンの等量(質量)混合物
【0047】
−層厚評価−
製膜した各分離膜を、液体窒素中で凍結割断することにより、膜断面を出し、断面SEM画像を撮影・解析することで、親水性層(T)、混合層(T)、分離層本体の厚みを評価した。その結果を表2に示す。
【0048】
−接触角評価−
前記で製膜した各分離膜の平滑をとり、水を対象液とし、接触角計(DM−501[商品名]、協和界面科学社製)を用いることで、表面接触角を測定した。その結果を表2に示す。
【0049】
−膜寿命−
ガス分離評価2において、10時間後の分離選択性の減少率を、本願の膜寿命として、評価した。その結果を表2に示す。
【0050】
【表2】

【0051】
*1 透過流速単位:1×10-6cm3(STP)/(s・cm2・cmHg)
*2 α=Q(CO2)/Q(CH4)
【0052】
表面接触角が低い方が親水性が高いことを意味する。
本発明の分離膜は、高い親水性が付与された親水性層を有し、良好な分離選択性とともに、大幅に長期化された膜寿命を示した(実施例101〜104、比較例c11を対比参照)。この結果より、BTXを含む系におけるガス分離において、本発明の分離膜は高い性能を発揮し、しかもその膜寿命の長さからオペレーションコスト削減するとともに、メンテナンスに係る作業を改善しうるものであることが分かる。
【0053】
(実施例2)
−モジュール化−
実施例1で作製した分離膜を用いて、特開平5−168869を参考に、スパイラル型モジュールを作製した。作製した本発明の分離モジュールは、内蔵する分離膜の性能の通り良好なものであることを確認した。
【符号の説明】
【0054】
1 ガス分離層
1a 親水性層
1b 分離層本体
1c 混合層
2 支持層(多孔質層)
3 不織布層
10、20 ガス分離膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持層と該支持層の上側に形成された分離層とを具備するガス分離膜であって、前記分離層は前記支持層とは反対側に配置された親水性ポリマーを有してなる親水性層と支持層側の分離層本体とを具備してなるガス分離膜。
【請求項2】
前記親水性ポリマーが、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、多糖類、及びゼラチンから選ばれる少なくとも一つを含む請求項1に記載のガス分離膜。
【請求項3】
前記多糖類が、アガロース、デキストラン、キトサン、又はセルロースである請求項1又は2に記載のガス分離膜。
【請求項4】
前記親水性層の膜厚が0.1μm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のガス分離膜。
【請求項5】
前記親水性層の水を用いた表面接触角が60°以下である記載の請求項1〜4のいずれか1項に記載のガス分離膜。
【請求項6】
前記親水性層の水の表面接触角(α)と前記分離層本体の水の接触角(α)との差(α−α)が10°以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載のガス分離膜。
【請求項7】
前記親水性層と分離層本体との間に、前記親水性層の構成成分と前記分離層本体の構成成分とが混合された混合層を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載のガス分離膜。
【請求項8】
前記分離層本体の膜厚が0.05〜20μmである記載の請求項1〜7のいずれか1項に記載のガス分離膜。
【請求項9】
前記分離層本体を構成する樹脂が、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリジメチルシロキサン樹脂、及びポリエチレングリコール樹脂からなる群から選ばれる請求項1〜8のいずれか1項に記載のガス分離膜。
【請求項10】
前記混合層の厚さが0.01〜1μmである請求項1〜9のいずれか1項に記載のガス分離膜。
【請求項11】
支持層と該支持層の上側に形成された分離層とを具備し、前記分離層が前記支持層とは反対側に配置された親水性ポリマーを有してなる親水性層と支持層側の分離層本体とを具備してなるガス分離膜の製造方法であって、
前記親水性層を構成する親水性ポリマーの溶液を調液する工程と、
前記分離層本体を構成する樹脂の溶液を調液する工程と、
前記両液を多層塗布する工程と
を含むガス分離膜の製造方法。
【請求項12】
前記親水性層を構成する親水性ポリマーの溶液を、前記分離層本体を構成する樹脂の溶液が塗布され両液が混合しない乾燥状態となる前に塗布する請求項11に記載のガス分離膜の製造方法。
【請求項13】
前記親水性層を構成する親水性ポリマーの溶液における、該親水性ポリマーの濃度が、0.05質量%以上5.0質量%以下である請求項11又は12に記載のガス分離膜の製造方法。
【請求項14】
前記分離層本体を構成する樹脂の溶液における、該樹脂の濃度が、0.5質量%以上30質量%以下である請求項11〜13のいずれか1項に記載のガス分離膜の製造方法。
【請求項15】
請求項1〜10のいずれかに記載のガス分離膜を有するガス分離膜モジュール。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−111507(P2013−111507A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258325(P2011−258325)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】