説明

ガス化燃料のガス化方法及び装置

【課題】特に固定炭素分を多く含む高燃料比燃料をガス化する際の可燃性固形分のガス化効率を向上する。
【解決手段】媒体分離装置9で分離した流動媒体10を導入する媒体流下管11とガス化燃料12を導入する燃料供給口21とをガス化炉2内部の一側に配置し、ガス化炉2内部の可燃性固形分18と流動媒体10とを燃焼炉1に供給する固形分供給口19をガス化炉2の他側に配置し、ガス化炉2内部の一側と他側との間に鉛直な仕切板22を配置し、ガス化炉2内部の一側から他側に向けて上下で曲折するジグザグ状の湾曲流路23を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス化燃料のガス化方法及び装置に関し、特に、高燃料比燃料のガス化が効果的に行えるようにしたガス化燃料のガス化方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、石炭等の固体燃料や有機性廃棄物等を燃料として分解生成ガスを発生させる流動床ガス化炉が種々提案されている。このような流動床ガス化炉の1つに統合型ガス化炉と呼ばれるものがあり、該統合型ガス化炉は、夫々の下部に流動化ガスを供給して流動層を形成するガス化室とチャー燃焼室が、下端に開口部を有する一枚の仕切壁で仕切られ、全体として一体に構成されている。そして、ガス化室とチャー燃焼室との間を仕切壁の開口部を通して流動媒体が循環し、チャー(可燃性固形分)を流動媒体に同伴してガス化室からチャー燃焼室へ、またチャー燃焼室でチャー(可燃性固形分)の燃焼により加熱された流動媒体をチャー燃焼室からガス化室へ移動させるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−196831号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に示す装置では、ガス化室とチャー燃焼室とが一枚の仕切壁を介して横並びに配置され、ガス化室で生成した可燃性固形分の一部を開口部から燃焼室に導いて燃焼させるようにしているが、ガス化室からチャー燃焼室への可燃性固形分の移動は成り行きまかせであるため非常に不安定になる問題があり、このために、特許文献1では流動化ガスの空塔速度の強流動化域と弱流動化域を設けて可燃性固形分の流動を調節している。しかし、このように空塔速度を調節しても、ガス化室でガス化が十分に行われた可燃性固形分のみを効果的にチャー燃焼室へ供給することは不可能であり、可燃性固形分の一部は十分にガス化されないままチャー燃焼室に供給される(即ち、パスする)ことになる。このため、ガス化燃料が特に固定炭素分を多く含んだ石炭等の高燃料比燃料、或いは固定炭素分を多く含んだ高燃料比原料が混在した燃料(例えば有機性廃棄物や混合燃料)の場合には、高燃料比燃料から生成される可燃性固形分のみを有効にガス化室に止めてガス化を促進させることができないために、高いガス化効率が得られないという問題がある。
【0004】
本発明は、上記従来の課題を解決しようとしてなしたもので、特に固定炭素分を多く含む高燃料比燃料をガス化する際の可燃性固形分のガス化効率を向上できるようにしたガス化燃料のガス化方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、燃焼炉の排ガスを媒体分離装置に導いて流動媒体を分離し、分離した流動媒体とガス化燃料とをガス化炉に供給して蒸気による流動層によりガス化燃料をガス化して可燃性ガスを取出し、前記ガス化によりガス化炉内部に生じた可燃性固形分と流動媒体とを前記燃焼炉に供給して空気による流動層により前記可燃性固形分の燃焼を行うガス化燃料のガス化方法であって、前記媒体分離装置で分離した流動媒体とガス化燃料は前記ガス化炉内部の一側に供給し、且つ前記ガス化炉内部の可燃性固形分と流動媒体は前記ガス化炉の他側に設けた固形分供給口から前記燃焼炉に供給し、前記ガス化炉内部の一側と他側との間に仕切板により上下で曲折するジグザグ状の湾曲流路を形成し、ガス化炉内の一側に供給したガス化燃料と流動媒体を前記湾曲流路に沿って移動させながらガス化して他側の固形分供給口に供給することを特徴とするガス化燃料のガス化方法、に係るものである。
【0006】
上記ガス化燃料のガス化方法において、前記ガス化燃料は高燃料比燃料であってもよい。
【0007】
上記ガス化燃料のガス化方法において、前記ガス化燃料は有機性廃棄物であってもよい。
【0008】
上記ガス化燃料のガス化方法において、前記ガス化燃料は高燃料比燃料と有機性廃棄物の混合物であってもよい。
【0009】
本発明は、燃焼炉の排ガスから流動媒体を分離する媒体分離装置と、
該媒体分離装置で分離した流動媒体を媒体流下管により導入すると共に燃料供給口によりガス化燃料を導入し、蒸気による流動層によりガス化燃料をガス化して可燃性ガスを取り出すガス化炉と、
ガス化炉でガス化した残りの可燃性固形分と流動媒体とを前記燃焼炉に供給する固形分供給口と、
該固形分供給口からの可燃性固形分と流動媒体を導入して空気による流動層により可燃性固形分を燃焼する前記燃焼炉と、を備えたガス化燃料のガス化装置であって、
前記媒体分離装置で分離した流動媒体を導入する媒体流下管とガス化燃料を導入する燃料供給口とを前記ガス化炉の一側に配置し、
前記ガス化炉内部の可燃性固形分と流動媒体とを前記燃焼炉に供給する固形分供給口を前記ガス化炉の他側に配置し、
前記ガス化炉内部の一側と他側との間に鉛直な仕切板を配置し、ガス化炉内部の一側から他側に向けて上下で曲折するジグザグ状の湾曲流路を形成した
ことを特徴とするガス化燃料のガス化装置、に係るものである。
【0010】
上記ガス化燃料のガス化装置において、前記仕切板は、下端がガス化炉底面に固定された下部仕切板と、下端とガス化炉底面との間に連通間隔が形成された上部仕切板とを交互に複数配置してもよい。
【0011】
上記ガス化燃料のガス化装置において、前記ジグザク状の湾曲流路における他側部は、可燃性固形分と流動媒体が上昇して固形分供給口に導入される上昇流を形成してもよい。
【0012】
上記ガス化燃料のガス化装置において、前記仕切板は相互間隔が調整できるようにしてもよい。
【0013】
上記手段によれば、以下のような作用が得られる。
【0014】
上記本発明のガス化燃料のガス化方法及び装置では、ガス化炉に供給するガス化燃料は、ガス化炉内部の流動層によりガス化されて可燃性ガスと可燃性固形分を生成し、可燃性ガスは発電などの利用のために外部に取り出される。この時、ガス化炉の一側と他側との間に、鉛直な仕切板を所要の間隔で複数配置してガス化炉内部の一側から他側に向けて上下で曲折したジグザグ状の湾曲流路を形成しているので、前記ガス化炉内部でのガス化により生成した可燃性固形分は、全て湾曲流路を通り一側から他側に向かって流動することになるため、前記可燃性固形分は固形分供給口に流入するまでの間に均一且つ十分にガス化されるようになる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1〜8記載のガス化燃料のガス化方法及び装置によれば、ガス化炉の一側と他側との間に、鉛直な仕切板を所要の間隔で複数配置してガス化炉内部の一側から他側に向けて上下で曲折したジグザグ状の湾曲流路を形成しているので、前記ガス化炉内部で生成した可燃性固形分が、全て湾曲流路を通り一側から他側に向かって流動することになる。
【0016】
このため、ガス化燃料として、高燃料比燃料、又は有機性廃棄物を単独で用いても、或いは高燃料比燃料と有機性廃棄物の混合物を用いても、ガス化燃料のガス化によって生成する全ての可燃性固形分が確実に湾曲流路に沿って流動するようになり、従って、比重の大きい可燃性固形分がガス化炉内部に片寄って貯留したり、その貯留によって新たに生成する比重の大きい可燃性固形分が十分にガス化されることなく固形分供給口に流入するといった問題を防止でき、特に高燃料比燃料による比重の大きい可燃性固形分のガス化効率を大幅に高めることができ、よって、可燃性ガスの生成効率(生産性)を大幅に高められる優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0018】
前記特許文献1が有する問題点を解決するために、本出願人が先に出願した特願2004−324790の外部循環方式の燃焼装置を用いてガス化燃料をガス化する研究を進め、その際生じた課題を有効に解決する方法を開発したことによって本発明を完成した。
【0019】
図3は、上記特願2004−324790の燃焼装置を用いてガス化燃料から有用な可燃性ガスを生成するようにしたガス化装置の概要を示したものであり、このガス化装置は、主に可燃性固形分の燃焼を行う燃焼炉1と、主にガス化燃料のガス化を行うガス化炉2とから構成される。前記燃焼炉1の下部には、空気3と都市ガス、灯油、重油等の起動用燃料4が供給されて砂等の流動媒体とバブリングしながら混合燃焼する流動層5が形成され、更に燃焼炉1内の流動層5の上部には高温のフリーボード6が形成されている。このとき、図3では散気板7を介して燃焼炉1内に空気3を吹込んで流動層5を形成する場合を示しているが、従来から実施されている散気ノズルを用いて燃焼炉1内に空気3を吹込んで流動層5を形成するようにしてもよい。なお、起動用燃料4は後述するガス化燃料12の供給と共に、その供給量を減少し、いずれ供給を停止させる。
【0020】
前記燃焼炉1の上部には排ガス管8が接続されており、該排ガス管8で導出した排ガスは、媒体分離装置9(ホットサイクロン)に導かれて排ガス中の流動媒体10を分離するようにしてあり、媒体分離装置9で分離した流動媒体10は媒体流下管11により前記ガス化炉2に供給されるようになっている。
【0021】
前記ガス化炉2の上部にはガス化燃料12の燃料供給口13が設けてあり、該燃料供給口13からは、石炭、コークス等の固定炭素分を多く含む燃料(以下では、高燃料比燃料という)、種々の廃棄物や汚泥等の有機性廃棄物、或いはそれらの混合物からなるガス化燃料を供給するようにしている。また、前記ガス化炉の下部には蒸気14が供給されており、前記蒸気14と高温の流動媒体10とガス化燃料12とがバブリングして流動層15を形成するようしてあり、前記高温の流動媒体10により前記ガス化燃料12がガス化されるようになっている。このとき、図3では散気板7aを介してガス化炉2内に蒸気14を吹込んで流動層15を形成する場合を示しているが、従来から実施されている散気ノズルを用いてガス化炉2内に蒸気14を吹込んで流動層15を形成するようにしてもよい。
【0022】
上記ガス化燃料12がガス化されて生成した可燃性ガス16は、ガス化炉2の上部に設けた取出口17から取り出すようにしている。上記可燃性ガス16は、発電用タービン等の利用系装置に供給される。
【0023】
また、前記ガス化燃料12のガス化によってガス化炉2内に生成した可燃性固形分18は、前記媒体流下管11から次々に供給されてくる流動媒体10によって図3の右側から左側へ向けて順次押されて移動し、ガス化炉2の左側端部の高さ方向中間部位置から下り勾配を有して燃焼炉1に接続された固形分供給口19を介して、可燃性固形分18と流動媒体10は混合した状態で前記燃焼炉1に供給される。
【0024】
上記ガス化装置では、前記燃料供給口13からガス化炉2に供給されたガス化燃料12が前記高温の流動媒体10により加熱され更に蒸気14との接触によって水性ガス化反応[C+H2O=H2+CO]が起こり、COやH2等の可燃性ガス16を生成すると共に、可燃性固形分18を生成する。生成した可燃性ガス16は、ガス化炉2の取出口17から図示しない発電用タービン等の利用系装置に供給される。
【0025】
一方、ガス化炉2内部に生成した可燃性固形分18は、前記媒体流下管11から次々に供給されてくる流動媒体10によって図3の一側(右側)から他側(左側)に向かって流動し、ガス化炉2の左側端部に備えた固形分供給口19から流動媒体10と共に燃焼炉1に供給され、可燃性固形分18が流動層5で燃焼することによって燃焼炉1内の燃焼ガス及び流動媒体を昇温する。また、前記媒体分離装置9で分離された排ガス20は、図示しないボイラ等の排熱回収装置及び排ガス処理装置等を経て大気に排気される。
【0026】
上記ガス化装置において、ガス化炉2に供給されるガス化燃料12が、有機性廃棄物等のように固定炭素分の含有量が比較的少なく揮発分が多い燃料(低燃料比燃料)の場合には、ガス化が進行し易く、更にガス化によって生成される可燃性固形分18bの比重も比較的小さいことから、この比重が軽い可燃性固形分18bは、流動層15の比較的上層部分を破線矢印で示すように流動し比較的短時間でガス化されて固形分供給口19に流入する。
【0027】
一方、ガス化炉2に供給される燃料が、石炭、コークス等の固定炭素分の含有量が多い燃料(高燃料比燃料)である場合、或いは固定炭素分を多く含んだ高燃料比原料が混在した燃料(例えば有機性廃棄物や混合燃料)の場合には、高燃料比燃料のガス化によって生じる可燃性固形分は比重が大きいことから、この比重の大きい可燃性固形分18aはガス化炉2の底部に貯留される傾向になり、更に前記したように流動媒体10が一側から他側の固形分供給口19に向かって流動する作用によって、比重の大きい可燃性固形分18aは固形分供給口19側の底部に片寄って貯留するようになる。
【0028】
このため、ガス化炉2内部に高燃料比燃料を供給して新たに生成した比重の大きい可燃性固形分18aは、実線矢印で示すように前記貯留した可燃性固形分18bの上側を通って固形分供給口19に流入する傾向が生じ、このために比重の大きい可燃性固形分18aが十分にガス化されないまま燃焼炉1に供給されてしまい、高燃料比燃料を供給した場合における比重の大きい可燃性固形分18aのガス化率を有効に高めることができない問題があった。
【0029】
図1、図2は、上記したガス化炉2において特に高燃料比燃料を供給した場合における比重の大きい可燃性固形分のガス化率を高められるようにした本発明の形態の一例を示すもので、図中図3と同一のものには同じ符号を付して説明を省略し、本発明の特徴部分についてのみ詳細に説明する。
【0030】
図1、図2に示す如く、前記媒体分離装置9で分離した流動媒体10をガス化炉2に導入する媒体流下管11と、ガス化燃料12をガス化炉2に導入する燃料供給口21とを前記ガス化炉2内部の一側(図1、図2の右側)に配置し、前記ガス化炉2内部の可燃性固形分18と流動媒体10とを前記燃焼炉1に供給するための固形分供給口19を前記ガス化炉2の他側(図1、図2の左側)に配置する。この時、前記燃料供給口21はガス化炉2の一側(図1、図2の右側)の端部側壁に設けるようにしており、燃料供給口21はガス化炉2のシールを保持しながらガス化燃料12を供給できるように構成されている。
【0031】
前記ガス化炉2の内部における前記一側と他側との間には、鉛直な仕切板22を所要の間隔を有して複数配置し、該仕切板22によりガス化炉2内部の一側から他側に向けて上下で曲折したジグザグ状の湾曲流路23を形成する。
【0032】
図示の仕切板22は、下端をガス化炉2の底面に固定した下部仕切板22aと、下端とガス化炉2の底面との間に連通間隔Sを有する上部仕切板22bとを交互に配置している。このとき、前記上部仕切板22bは、流動層15の粒子がその上端を飛び越えて流動しないようにした高さを有している。
【0033】
前記ジグザク状の湾曲流路23の他側部には、可燃性固形分18aと流動媒体10とが上昇して固形分供給口19に導入されるようにした上昇流24を形成するようにしている。そして、該上昇流を形成する上部仕切板22bの上端はシール板25によりガス化炉2の他側の側板に固定してシールしている。
【0034】
前記仕切板22は、ガス化炉2内部に固定して設けることもできるが、ガス化炉2に対して例えば仕切板22を着脱自在に備えて、仕切板22の相互間隔を調整できるように構成することもできる。
【0035】
前記ガス化炉2でガス化により生成された可燃性ガス16は、図1に示すように利用系装置26に供給される。利用系装置26としては可燃性ガス16をそのまま燃料として用いる発電用ガスタービン、可燃性ガスを改質してHリッチとする燃料電池用燃料を製造したり、エタノールやDME等の液体燃料を製造するための改質装置等とすることができる。
【0036】
また、前記媒体分離装置9で分離した排ガス20は、空気予熱器27に導いて空気の予熱を行うようにしており、予熱した空気3は空気管28により前記燃焼炉1に導いて流動層5を形成するようにしている。
【0037】
前記排ガス20は、更に蒸気発生器29に導かれて水と熱交換することにより蒸気を発生させ、発生した蒸気14は蒸気管30を介して前記ガス化炉2に導かれて流動層15を形成するようにしている。尚、上記ガス化炉2に供給する蒸気14は、別のボイラ等によって製造したものを利用してもよい。前記の如く熱回収を行った排ガス20は排ガス処理装置31により清浄化されて大気に排出される。
【0038】
また、前記ガス化炉2においてガス化燃料12をガス化するのに必要な熱量が不足する場合には、前記空気予熱器27から燃焼炉1に供給している空気3の一部を分岐し、この分岐した空気3aを前記ガス化炉2に供給して前記ガス化燃料12の一部を燃焼(部分燃焼)させることによって流動層15の温度を上昇させるようにしてもよい。
【0039】
次に、上記図1、図2に示す形態の作用を説明する。
【0040】
前記ガス化炉2に供給するガス化燃料12としては、石炭、コークス等の固定炭素分の含有量が多い高燃料比燃料、又は有機性廃棄物、或いは高燃料比燃料と有機性廃棄物の混合物等を用いることができる。
【0041】
上記ガス化装置では、ガス化炉2の一側に設けた燃料供給口21により供給されたガス化燃料12は、流動層15により、前記媒体流下管11から供給されてくる高温の流動媒体10によって加熱されると共に、蒸気14との接触によって水性ガス化反応[C+H2O=H2+CO]を生じ、COやH2等の可燃性ガス16を生成すると共に可燃性固形分18を生成する。生成した可燃性ガス16は、ガス化炉2の取出口17から利用系装置26に供給される。
【0042】
一方、前記ガス化燃料12のガス化によってガス化炉2の内部に可燃性固形分18を生成するが、この時、ガス化炉の一側と他側との間に、鉛直な仕切板22を所要の間隔で複数配置してガス化炉2内部の一側から他側に向けて上下で曲折したジグザグ状の湾曲流路23を形成しているので、ガス化炉2内部で生成する可燃性固形分18は全て湾曲流路23を通り一側から他側に流動することになるため、前記可燃性固形分18は固形分供給口19に流入するまでの間に均一且つ十分にガス化される。
【0043】
即ち、前記ガス化燃料12として、高燃料比燃料、又は有機性廃棄物を単独で用いても、或いは高燃料比燃料と有機性廃棄物の混合物を用いても、ガス化燃料12のガス化によって生成する全ての可燃性固形分18を確実に湾曲流路に沿って流動させることができるため、比重の大きい可燃性固形分18aがガス化炉2内部に片寄って貯留したり、その貯留によって新たに生成する比重の大きい可燃性固形分18aが十分にガス化されることなく固形分供給口19に流入するといった問題を防止することができ、よって、特に高燃料比燃料による比重の大きい可燃性固形分18aのガス化効率を大幅に高めることができる。
【0044】
また、一部に高燃料比燃料を含む有機性廃棄物や、高燃料比燃料と有機性廃棄物を混合して共ガス化を行うガス化燃料12を用いる場合にも、比重の大きい可燃性固形分18aがガス化炉2内部に片寄って貯留することを防止できるので、比重の大きい可燃性固形分18aのガス化を促進させて、ガス化燃料12全体としてのガス化効率を高めることができる。
【0045】
このように、ガス化燃料12のガス化が効率良く行われることによって、可燃性ガス16の生成効率(生産性)を大幅に高めることができる。
【0046】
尚、本発明のガス化燃料のガス化方法及び装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明を実施する形態の一例としてのガス化装置の全体概要構成図である。
【図2】図1の主要部の概要構成図である。
【図3】従来の燃焼装置を用いてガス化燃料から可燃性ガスを生成するガス化装置を構成した場合の概要構成図である。
【符号の説明】
【0048】
1 燃焼炉
2 ガス化炉
3 空気
5 流動層
9 媒体分離装置
10 流動媒体
11 媒体流下管
12 ガス化燃料
14 蒸気
15 流動層
16 可燃性ガス
18 可燃性固形分
19 固形分供給口
21 燃料供給口
22 仕切板
22a 下部仕切板
22b 上部仕切板
23 湾曲流路
24 上昇流
S 連通間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼炉の排ガスを媒体分離装置に導いて流動媒体を分離し、分離した流動媒体とガス化燃料とをガス化炉に供給して蒸気による流動層によりガス化燃料をガス化して可燃性ガスを取出し、前記ガス化によりガス化炉内部に生じた可燃性固形分と流動媒体とを前記燃焼炉に供給して空気による流動層により前記可燃性固形分の燃焼を行うガス化燃料のガス化方法であって、前記媒体分離装置で分離した流動媒体とガス化燃料は前記ガス化炉内部の一側に供給し、且つ前記ガス化炉内部の可燃性固形分と流動媒体は前記ガス化炉の他側に設けた固形分供給口から前記燃焼炉に供給し、前記ガス化炉内部の一側と他側との間に仕切板により上下で曲折するジグザグ状の湾曲流路を形成し、ガス化炉内の一側に供給したガス化燃料と流動媒体を前記湾曲流路に沿って移動させながらガス化して他側の固形分供給口に供給することを特徴とするガス化燃料のガス化方法。
【請求項2】
前記ガス化燃料が高燃料比燃料である請求項1記載のガス化燃料のガス化方法。
【請求項3】
前記ガス化燃料が有機性廃棄物である請求項1記載のガス化燃料のガス化方法。
【請求項4】
前記ガス化燃料が高燃料比燃料と有機性廃棄物の混合物である請求項1記載のガス化燃料のガス化方法。
【請求項5】
燃焼炉の排ガスから流動媒体を分離する媒体分離装置と、
該媒体分離装置で分離した流動媒体を媒体流下管により導入すると共に燃料供給口によりガス化燃料を導入し、蒸気による流動層によりガス化燃料をガス化して可燃性ガスを取り出すガス化炉と、
ガス化炉でガス化した残りの可燃性固形分と流動媒体とを前記燃焼炉に供給する固形分供給口と、
該固形分供給口からの可燃性固形分と流動媒体を導入して空気による流動層により可燃性固形分を燃焼する前記燃焼炉と、を備えたガス化燃料のガス化装置であって、
前記媒体分離装置で分離した流動媒体を導入する媒体流下管とガス化燃料を導入する燃料供給口とを前記ガス化炉の一側に配置し、
前記ガス化炉内部の可燃性固形分と流動媒体とを前記燃焼炉に供給する固形分供給口を前記ガス化炉の他側に配置し、
前記ガス化炉内部の一側と他側との間に鉛直な仕切板を配置し、ガス化炉内部の一側から他側に向けて上下で曲折するジグザグ状の湾曲流路を形成した
ことを特徴とするガス化燃料のガス化装置。
【請求項6】
前記仕切板は、下端がガス化炉底面に固定された下部仕切板と、下端とガス化炉底面との間に連通間隔が形成された上部仕切板とを交互に複数配置している請求項5記載のガス化燃料のガス化装置。
【請求項7】
前記ジグザク状の湾曲流路における他側部は、可燃性固形分と流動媒体が上昇して固形分供給口に導入される上昇流を形成している請求項5又は6記載のガス化燃料のガス化装置。
【請求項8】
前記仕切板は相互間隔が調整できるようにしてある請求項5〜7のいずれか一つに記載のガス化燃料のガス化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−112873(P2007−112873A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−304470(P2005−304470)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【出願人】(000000099)石川島播磨重工業株式会社 (5,014)
【Fターム(参考)】