説明

ガス吸着量センサ

【課題】ガス吸着部材に吸着した吸着対象ガスの吸着量を精度よく検出するガス吸着量センサを提供する。
【解決手段】ガス吸着量センサ14のセンサ部21は、触媒12の吸着層と同一の材料であるゼオライトからなるセンサ吸着部を有している。そのため、センサ吸着部は、触媒12の吸着層と同様に吸着対象ガスであるアンモニアを吸着する。すなわち、センサ吸着部におけるアンモニアの吸着特性は、触媒12の吸着層におけるアンモニアの吸着特性とほぼ同一である。そのため、センサ吸着部へアンモニアの吸着量は、触媒12そのもののアンモニア吸着量とほぼ同一となる。これにより、センサ吸着部におけるアンモニアの吸着量は、触媒12の吸着層へのアンモニア吸着量と同一視可能である。したがって、ガス吸着量センサ14を用いて触媒12の吸着層に吸着するアンモニアの吸着量が精度よく検出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス吸着部材のガス吸着量を検出するガス吸着量センサに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、内燃機関の排気浄化装置は、窒素酸化物を還元するためのSCR(Selective Catalytic Reduction)触媒、吸蔵還元触媒、炭化水素や一酸化炭素を酸化する酸化触媒、さらにPMを補足・酸化するDPFフィルタなど、複数の触媒を備えている。この各触媒では、対象ガスの酸化や還元を行うため、燃料や尿素などの還元剤を添加する。これら還元剤の噴射量などを高い精度で算出するために、A/Fセンサ、酸素センサ、NOxセンサや温度センサを用いて、排ガス中のガス濃度、および各種触媒への対象となるガスの吸着量を検出している。従来、ガスの流れ方向において触媒の上流側または下流側など、触媒の近傍に上記したガス濃度センサを配置し、これらのガス濃度センサで検出した吸着対象のガスの濃度から各触媒へのガス吸着量を推定している。
【0003】
例えば尿素SCRの場合、尿素SCR触媒へのアンモニア吸着量が最大に維持した状態、すなわち飽和した状態で窒素酸化物の還元性能が最大となる。そのため、尿素SCRシステムは、触媒入口側の窒素酸化物濃度および還元剤である尿素の濃度、ならびに触媒出口側における窒素酸化物濃度およびアンモニア濃度から尿素SCR触媒へのアンモニア吸着量を推定している。排気浄化装置は、推定した吸着量が最大となるように尿素の添加量を制御している。
【0004】
しかしながら、尿素SCR触媒に吸着されたアンモニアの吸着量を上記手法にて正確に推定することは困難である。そこで、従来の排気浄化装置は、アンモニアの吸着量を少なめに推定し、アンモニアが尿素SCR触媒を通過し、排出されることを防止している。その結果、従来の場合、窒素酸化物の還元性能のさらなる向上は難しいという問題がある。
一方、特許文献1に開示されているように、アンモニアを直接検出するアンモニアセンサも提案されている。しかし、排気に含まれるアンモニアの濃度を検出しても、尿素SCR触媒に吸着されているアンモニアの吸着量を正確に把握することは難しい。さらに、アンモニアに限らず、炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物、二酸化炭素、水あるいは酸素などの他のガスについても、各種の触媒への吸着量を推定することは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−322184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、ガス吸着部材に吸着した吸着対象ガスの吸着量を精度よく検出するガス吸着量センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明では、センサ吸着部は、ガス吸着部材の吸着層と同一の材料からなる。そのため、センサ吸着部は、ガス吸着部材の吸着層と同様に吸着対象ガスが吸着される。センサ吸着部は、吸着対象ガスの吸着量に応じて電気的な特性が変化する。これにより、センサ吸着部における電気的な特性を検出することにより、センサ吸着部に吸着した吸着対象ガスの吸着量が直接検出される。そして、ガス吸着部材の吸着層とセンサ吸着部とは同一の材料からなるため、吸着対象ガスの吸着特性も近似する。したがって、ガス吸着部材に吸着する吸着対象ガスの吸着量を精度よく検出することができる。
【0008】
請求項2または3記載の発明では、ガス吸着部材と別体に形成されている。このようにガス吸着部材と別体に形成する場合でも、センサ吸着部とガス吸着部材の吸着層とは同一の材料からなるため、吸着対象ガスは双方に同一の条件で吸着される。したがって、ガス吸着部材に吸着する吸着対象ガスの吸着量を精度よく検出することができる。さらに、別体に形成することにより、ガス吸着部材と一体に形成する場合と比較して、個別の設計が可能となる。したがって、設計が容易になり、ガス吸着部材の製造工程を簡略化することができる。
【0009】
請求項4記載の発明では、ガス吸着材と一体に形成されている。そのため、センサ吸着部は、ガス吸着部材の吸着層と同一の吸着面を形成する。これにより、センサ吸着部に吸着する吸着対象ガスは、同一の条件でガス吸着部材の吸着層に吸着される。したがって、一体に形成することによりガス吸着部材の加工工数は増加するものの、ガス吸着部材に吸着する吸着対象ガスの吸着量をより精度よく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態によるガス吸着量センサを適用したSCR排気浄化システムを示す模式図
【図2】第1実施形態によるSCR排気浄化システムの触媒を示す模式図
【図3】図2の要部を示す模式図
【図4】第1実施形態によるガス吸着量センサのセンサ部を示す模式的な斜視図
【図5】図4のV−V線を含む平面で切断した模式的な断面図
【図6】第2実施形態によるガス吸着量センサを適用したSCR排気浄化システムを示す模式図
【図7】第2実施形態によるガス吸着量センサを適用したSCR排気浄化システムを示す模式的な斜視図
【図8】第3実施形態によるガス吸着量センサを構成する触媒のセルを示す模式図
【図9】第3実施形態の変形例による触媒のセルを示す模式図
【図10】第3実施形態の変形例による触媒のセルを示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の複数の実施形態によるガス吸着量センサを図面に基づいて説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態によるガス吸着量センサを適用したSCR排気浄化システムを図1に示す。まず、排気浄化システム10について説明する。排気浄化システム10は、排気管部材11、触媒12、尿素添加弁13およびガス吸着量センサ14を備えている。排気管部材11は、筒状に形成され、内側に排気通路15を形成している。排気通路15は、一方の端部が図示しない内燃機関に接続し、他方の端部が大気に開放されている。内燃機関は、例えばディーゼルエンジン、ガソリンエンジンあるいはガスタービンエンジンなどが適用される。本明細書中において、排気通路における排気の流れは、内燃機関側を上流側とし、大気側を下流側とする。
【0012】
触媒12は、排気管部材11が形成する排気通路15に設けられている。図1に示す排気浄化システム10の場合、触媒12は排気に含まれる窒素酸化物を還元するSCR触媒である。尿素添加弁13は、触媒12の上流側すなわち内燃機関側に設けられている。尿素添加弁13は、図示しない尿素水タンクに貯えられている還元剤としての尿素水を噴射する。尿素添加弁13は、先端が排気通路15に露出している。これにより、尿素添加弁13は、排気通路15を流れる排気へ尿素水タンクに貯えられている尿素水を噴射する。排気に含まれる窒素酸化物は、触媒12において尿素添加弁13から排気へ噴射された尿素と反応する。これにより、窒素酸化物は、窒素と水とに還元される。
【0013】
触媒12は、図2に示すようにハニカム状の断面を有する筒状に形成されている。触媒12は、例えば図3に示すようにコージェライトなどの基材層17と、この基材層17の表面に形成されたゼオライトなど多孔質からなる吸着層18とを有している。すなわち、触媒12は、その表面が吸着層18を構成している。なお、図3は、複数のセルから構成される触媒12の一つのセルを示す模式図である。
【0014】
ガス吸着量センサ14は、触媒12の上流側の排気入口および下流側の排気出口にそれぞれ設けられている。第1実施形態の場合、上流側および下流側の各ガス吸着量センサ14は、触媒12と別体に形成され、触媒12に挿入、すなわち埋め込まれている。ガス吸着量センサ14は、センサ部21を備えている。センサ部21は、上記のように触媒12の上流側および下流側にそれぞれ埋め込まれている。センサ部21は、図4および図5に示すように基材22、センサ吸着部23および電極24を有している。基材22は、触媒12と同様に例えばコージェライトなどで形成されている。センサ吸着部23も、触媒12の吸着層18と同様にゼオライトなどの多孔質で形成されている。すなわち、本実施形態の場合、触媒12の吸着層18とガス吸着量センサ14のセンサ吸着部23とは、同一の材料で形成されている。電極24は、図5に示すようにセンサ吸着部23に一対設けられている。電極24は、金属膜を貼り付けたり金属層を蒸着することにより、センサ吸着部23の両端部にそれぞれ設けられている。なお、図5に示す電極24は、一例であり、例えばセンサ吸着部23の内部に金属線を埋め込んだり、センサ吸着部23の任意の位置に電極となる導電部材を貼り付けあるいは埋め込みなど、任意に形成することができる。これら一対の電極24は、検出部26に接続している。検出部26は、一対の電極間の電気伝導度、抵抗あるいは誘電率などの任意の電気的な特性からセンサ吸着部23に吸着した吸着対象ガスの吸着量を検出する。検出部26は、検出した吸着対象ガスの吸着量を電気信号として例えば外部のECU(Engine Control Unit)へ出力する。
【0015】
本実施形態の場合、ガス吸着量センサ14は、触媒12の吸着層18に吸着するアンモニアの吸着量を検出する。すなわち、本実施形態の場合、吸着対象ガスはアンモニアであり、ガス吸着部材はSCR触媒である。尿素添加弁13から排気に噴射された尿素水は、高温の排気に晒されることにより、水分が蒸発する。水分が蒸発した後の尿素は、高温の排気によってさらにアンモニアと水とに分解する。そのため、触媒12には、尿素の分解によって生成したアンモニアが流入する。触媒12の吸着層18は、排気とともに流入するアンモニアを吸着する。これにより、排気に含まれる窒素酸化物は、触媒12において吸着層18に吸着されたアンモニアと反応し、窒素と水とに還元される。このガス吸着量センサ14は、触媒12に流入し、吸着層18に吸着されるアンモニアの吸着量を検出する。
【0016】
第1実施形態では、センサ吸着部23は、触媒12の吸着層18と同一の材料であるゼオライトからなる。そのため、センサ吸着部23は、触媒12の吸着層18と同様に吸着対象ガスであるアンモニアを吸着する。すなわち、センサ吸着部23におけるアンモニアの吸着特性は、触媒12の吸着層18におけるアンモニアの吸着特性とほぼ同一である。このセンサ吸着部23は、吸着対象ガスであるアンモニアの吸着量に応じて電気的な特性が変化する。すなわち、センサ吸着部23における電気的な特性を検出することにより、センサ吸着部23に吸着したアンモニアの吸着量が検出される。そして、触媒12の吸着層18とガス吸着量センサ14のセンサ吸着部23とは、同一の材料からなり、アンモニアに対し同一の吸着特性を発現する。そのため、センサ吸着部23へアンモニアの吸着量は、触媒12そのもののアンモニア吸着量とほぼ同一となる。これにより、センサ吸着部23におけるアンモニアの吸着量は、触媒12の吸着層18へのアンモニア吸着量と同一視可能である。したがって、ガス吸着量センサ14を用いて触媒12の吸着層18に吸着するアンモニアの吸着量を精度よく検出することができる。
【0017】
第1実施形態では、触媒12の上流側および下流側にそれぞれガス吸着量センサ14を埋め込んでいる。触媒12の吸着層18へのアンモニアの吸着は、上流側から下流側へ順に進行していく。そのため、触媒12の上流側に設けたガス吸着量センサ14と下流側に設けたガス吸着量センサ14で検出したアンモニアの吸着量の差に基づいて、触媒12全体へのアンモニア吸着量やアンモニアの飽和量が検出される。したがって、触媒12の複数箇所にガス吸着量センサ14を設けることにより、触媒12におけるアンモニアの吸着量を精度よく検出することができる。
【0018】
さらに、第1実施形態では、ガス吸着量センサ14は、触媒12と別体に形成し、触媒12に埋め込まれている。そのため、触媒12とガス吸着量センサ14とを個別に設計することができる。触媒12は、適用する内燃機関や、内燃機関を搭載する車両などに応じて形状や特性が種々変化する。そのため、ガス吸着量センサ14を触媒12と一体に形成すると、適用する内燃機関や車両などに応じて多数の設計を必要とする。一方、触媒12とガス吸着量センサ14とを別体にすることにより、触媒12の設計が多岐にわたる場合でも、ガス吸着量センサ14の設計の変更は不要である。したがって、設計を簡略化することができる。ところで、第1実施形態の場合、ガス吸着量センサ14と触媒12とを別体に形成しているものの、ガス吸着量センサ14は触媒12に埋め込まれている。そのため、ガス吸着量センサ14は、見かけ上、触媒12と一体と考えることができる。その結果、ガス吸着量センサ14で検出したアンモニアの吸着量は、触媒12の吸着層18に吸着したアンモニアの吸着量にほぼ一致する。したがって、触媒12へのアンモニアの吸着量を精度よく検出することができる。
【0019】
(変形例)
第1実施形態の変形例について説明する。第1実施形態では、図1に示すように触媒12の上流側および下流側にそれぞれガス吸着量センサ14を配置した。これに対し、ガス吸着量センサ14は、排気の流れの軸に対し径方向に複数配置してもよい。具体的には、ガス吸着量センサ14は、触媒12の中心軸に近い部分と、径方向の周縁部に近い部分にそれぞれ配置してもよい。このようにガス吸着量センサ14を触媒12の径方向へ複数配置することにより、径方向におけるアンモニアの吸着量の分布を検出することができる。排気は、排気通路15の中心部ほど流量が大きくなる。そのため、触媒12では中心部ほどアンモニアの吸着が促進され、外縁側ほど吸着量が減少する。その結果、アンモニアの吸着量は、触媒12の径方向に分布を生じる。そこで、触媒12の径方向にガス吸着量センサ14を複数配置することにより、触媒12の径方向におけるアンモニアの吸着量の分布が検出可能となる。したがって、触媒12へのアンモニアの吸着量をより高精度に検出することができる。
【0020】
また、図1に示すように排気浄化システム10は、排気の温度を検出する排気温度センサ30を設けてもよい。排気温度センサ30は、排気の温度すなわち触媒12へ流入する排気の温度を検出する。排気温度センサ30は、検出した排気の温度を電気信号として外部のECUへ出力する。触媒12へのアンモニアの飽和吸着量、およびアンモニアの吸着によるセンサ部21の電極24間の電気的な特性は、温度によって変化する。そこで、排気通路15に排気温度センサ30を設け、排気温度センサ30で検出した排気の温度に基づいてアンモニアの飽和吸着量や電気的特性を補償してもよい。これにより、触媒12へのアンモニアの吸着量をより高精度に検出することができる。
【0021】
(第2実施形態)
第2実施形態による排気浄化システムを図6に示す。
第2実施形態では、ガス吸着量センサ14は、図6に示すように触媒12と別体に形成され、触媒12と離れた位置に設けられている。すなわち、第1実施形態では、ガス吸着量センサ14は触媒12に埋め込まれていたのに対し、第2実施形態では、ガス吸着量センサ14は触媒12から離れた位置に設けられている。
【0022】
第2実施形態の場合、触媒12の上流側および下流側にそれぞれガス吸着量センサ14が設けられている。上流側のガス吸着量センサ14は、触媒12へ流入する排気に含まれるアンモニアを検出する。同様に、下流側のガス吸着量センサ14は、触媒12を通過した排気に含まれるアンモニアを検出する。第2実施形態のようにガス吸着量センサ14を触媒12と別体に形成する場合でも、センサ部21のセンサ吸着部23は触媒12の吸着層18と同一の材料で形成されている。すなわち、第2実施形態の場合、触媒12の上流側および下流側にそれぞれ触媒12と同一構成のセンサ部21を有するガス吸着量センサ14が設けられている。言い換えると、ガス吸着量センサ14は、図7に示すように触媒12を小型にしたセンサ部21を有している。センサ部21は、例えば触媒12と同様にハニカム構造を有し、形状だけが小型化されている。そして、このセンサ部21は、両端面に例えば金属を蒸着したり、金属膜を貼り付けることにより、電極24が形成されている。
【0023】
このように、第2実施形態では、触媒12とガス吸着量センサ14とを別体に形成する場合でも、ガス吸着量センサ14のセンサ部21は触媒の吸着層18と同一のセンサ吸着部23を有している。そのため、触媒12の吸着層18とセンサ部21のセンサ吸着部23におけるアンモニアの吸着量および吸着特性は同一視可能である。これにより、触媒12の吸着層18へのアンモニアの吸着量は、センサ部21で検出したアンモニアの量すなわちセンサ吸着部23へのアンモニアの吸着量に基づいて検出される。したがって、触媒12に吸着されるアンモニアの量を精度よく検出することができる。
【0024】
(第3実施形態)
第3実施形態によるガス吸着量センサについて説明する。
上述の第1実施形態および第2実施形態では、ガス吸着量センサ14を触媒12と別体に形成する例について説明した。しかし、ガス吸着量センサ14は、触媒12と一体に構成してもよい。触媒12は、複数のセルから構成されている。図8は、複数のセルから構成される触媒12から抜き出したセル40を模式的に示している。触媒12は、図8に示すようなセル40を複数集積することにより形成されている。このように複数のセルを備える触媒12の場合、セル40は、基材41となるコージェライト層と吸着層42となるゼオライト層とから構成されている。このセル40の一つに電極43を設けることにより、触媒12の吸着層42の一部をガス吸着量センサ14のセンサ部44として利用する。この場合、触媒12の吸着層42は、センサ部44のセンサ吸着部を構成する。すなわち、吸着層42とセンサ吸着部とは同一の吸着面を形成している。
【0025】
センサ吸着部に相当する吸着層42は、一対の電極43と検出部45によって電気伝導度、抵抗あるいは誘電率などが検出される。電極43は、吸着層42の両端部に板状または膜状に設けられている。電極43は、吸着層42に金属を蒸着して形成してもよい。上記の構成により、上述の第1実施形態および第2実施形態と同様に触媒12の吸着層42に吸着されるアンモニアが検出される。また、第3実施形態の場合も、第1実施形態と同様に触媒12の上流側および下流側の双方に設けたり、触媒12の径方向へ複数設けることができる。
【0026】
第3実施形態の場合、触媒12の吸着層42をそのままセンサ部44のセンサ吸着部として利用している。そのため、ガス吸着量センサ14は、触媒12の吸着層42に吸着したアンモニアを直接検出することになる。したがって、第1実施形態や第2実施形態と比較して加工工数の増加や設計自由度の低下を招くものの、より高精度にアンモニアを検出することができる。
【0027】
(変形例)
セル40の電極43は、上述の第3実施形態のように吸着層42の両端部に設けるだけでなく、図9に示すように吸着層42に埋め込む構成としてもよい。図9に示す場合、電極43は、金属膜や金属線を吸着層42に埋め込まれ、吸着層42と一体に形成される。
また、第3実施形態では、触媒12を構成する複数のセル40のうち、一つのセル40を利用してセンサ部44を構成する例について説明した。しかし、図10に示すように触媒12を構成する複数のセル40から、任意の二つ以上のセル40を選択してそれら複数のセル40にそれぞれ電極43を設けて一対の電極43を構成してもよい。この場合、複数のセル40に設けた電極43間の電気伝導度、抵抗あるいは誘電率などの電気的な特性に基づいて、センサ吸着部に相当する吸着層42に吸着したアンモニアを検出することができる。
【0028】
(その他の実施形態)
以上説明した本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
上述の複数の実施形態では、吸着対象ガスとしてアンモニアを例に説明した。しかし、アンモニアに限らず、炭化水素、窒素酸化物、一酸化炭素、二酸化炭素、酸素および水など、各種のガスを吸着対象ガスとすることができる。この場合、例えば触媒などのガス吸着部材が吸着する吸着対象ガスに応じて、ガス吸着部材の吸着層が選定される。すなわち、吸着層は、吸着対象ガスとの親和性や反応性などに基づいて選定される。このガス吸着部材の吸着層として選定された材料は、ガス吸着量センサのセンサ吸着部として利用される。これにより、ガス吸着部材の吸着層とガス吸着量センサのセンサ吸着部とは、ガス吸着特性が一致する。したがって、アンモニアと同様に各種のガスについても吸着量の検出精度を高めることができる。
【符号の説明】
【0029】
図面中、10は排気浄化システム、12は触媒(ガス吸着部材)、14はガス吸着量センサ、18は吸着層、23はセンサ吸着部、42は吸着層(センサ吸着部)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス吸着部材に吸着した吸着対象ガスの吸着量を検出するガス吸着量センサであって、
前記ガス吸着部材の吸着層と同一の材料からなるセンサ吸着部を備えることを特徴とするガス吸着量センサ。
【請求項2】
前記ガス吸着部材と別体に形成され、前記ガス吸着部材を通過するガスの流れにおいて前記ガス吸着部材の上流側または下流側に配置されていることを特徴とする請求項1記載のガス吸着量センサ。
【請求項3】
前記ガス吸着部材と別体に形成され、前記ガス吸着部材を通過するガスの流れにおいて前記ガス吸着部材の内側に挿入されていることを特徴とする請求項1記載のガス吸着量センサ。
【請求項4】
前記ガス吸着部材と一体に形成され、前記吸着層と前記センサ吸着部とは同一の吸着面を形成していることを特徴とする請求項1記載のガス吸着量センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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