説明

ガス拡散層の製造方法、固体高分子型燃料電池用電極、及び、固体高分子型燃料電池

【課題】燃料ガス透過性を確保して良好な発電特性が得られる薄型の固体高分子型燃料電池用電極に用いられるガス拡散層の製造方法を提供する。
【解決手段】バインダ樹脂と水溶性高分子を溶解した有機溶媒にカーボンナノチューブを分散させた分散液を成形工程で膜状に成形して乾燥させることにより、カーボンナノチューブ同士がバインダ樹脂及び水溶性高分子を介して互いに絡み合った膜が形成され、このような膜から水溶性高分子を水に溶出除去することにより、膜中に水溶性高分子の抜け殻となった複数の細孔が形成される。その後、焼成工程で有機溶剤及びバインダ樹脂を熱分解させることにより、良好な細孔径分布を備えたガス拡散層となる焼成膜が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体高分子型燃料電池用電極に用いられ、導電性及び通気性を有するガス拡散層の製造方法、固体高分子型燃料電池用電極、及び、固体高分子型燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
固体高分子型燃料電池は、固体高分子電解質膜の両側をアノード触媒電極及びカソード触媒電極で挟持した膜−電極接合体で構成される。
【0003】
特許文献1に記載されているように、アノード触媒電極及びカソード触媒電極は、導電性及び通気性を有するカーボンペーパーやカーボンクロス等で構成されるガス拡散層と、触媒担持体に担持された触媒とイオン交換樹脂を含む触媒層を備え、触媒層が固体高分子電解質膜と当接するように構成されている。
【0004】
触媒層は、アノード触媒電極及びカソード触媒電極共に、カーボンブラック等の表面積の大きい触媒担持体に担持された白金または白金合金等の触媒をイオン交換樹脂と共にガス拡散層上に塗布することによって得られる。
【0005】
そして、特許文献2に記載されているように、白金または白金合金等の触媒をカーボンブラック等の触媒担持体に担持するために、一般的には湿式法と呼ばれる方法が採用されている。
【0006】
【特許文献1】特開2005−135838号公報
【特許文献2】特開2004−359724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、ガス拡散層として薄型化に限界があるカーボンペーパーやカーボンクロス等を採用する場合には、その上面に塗布される触媒層を含めて膜−電極接合体が厚くなり、そのような膜−電極接合体が積層される燃料電池が大型になるという問題があった。
【0008】
また、触媒の担体として要求される主要な物性は比表面積と粉体としてのストラクチャーの発達程度であり、担体の比表面積が大きいほど担持する触媒の粒子サイズを小さく、しかも効率よく担持させることができるのであるが、一般的に、担体の比表面積がそれほど大きくなく、細孔サイズが数百μmで細孔率が80%程度のカーボンクロス等で構成されるガス拡散層に触媒を効果的に担持させるのは困難である。
【0009】
さらに、湿式法の一例として、塩化白金酸のエタノールによる還元反応が例示でき、これによれば、カーボンブラック上に白金が担持されるが、担持作業に数日の日数を費やす必要があることと同時に、その製造工程から出る廃液の処理に困難を要する。廃液としては塩素、塩化エチル、塩化水素等の副生成物並びにpH調整等伴うアルカリ溶液が生じるため、その生産効率の問題に加え、廃液の処理費用が生じ、製造コストの上昇につながるという問題があった。
【0010】
本発明の目的は、上述の問題点に鑑み、燃料ガス透過性を確保して良好な発電特性が得られる薄型の固体高分子型燃料電池用電極に用いられるガス拡散層の製造方法、固体高分子型燃料電池用電極、及び、固体高分子型燃料電池を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するため、本発明によるガス拡散層の製造方法は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、固体高分子型燃料電池用電極に用いられ、導電性及び通気性を有するガス拡散層の製造方法であって、バインダ樹脂と水溶性高分子を溶解した有機溶媒にカーボンナノチューブを分散させる分散処理工程と、前記分散処理工程で得られた分散溶液を膜状に成形して乾燥させる成形工程と、前記成形工程で得られた膜から前記水溶性高分子を水に溶出させる溶出工程と、前記溶出工程で前記水溶性高分子が溶出した膜を不活性ガス雰囲気下で焼成して焼成膜を得る焼成工程とからなることを特徴とする。
【0012】
バインダ樹脂と水溶性高分子を溶解した有機溶媒にカーボンナノチューブを分散させた分散液を成形工程で膜状に成形して乾燥させることにより、カーボンナノチューブ同士がバインダ樹脂及び水溶性高分子を介して互いに絡み合った膜が形成される。溶出工程で、このような膜から水溶性高分子を水に溶出除去することにより、膜中に水溶性高分子の抜け殻となった複数の細孔が形成される。その後、焼成工程で有機溶剤及びバインダ樹脂を熱分解させることにより、良好な細孔径分布を備えたガス拡散層となる焼成膜が得られる。
【0013】
本願出願人は、バインダ樹脂を溶解した有機溶媒にカーボンナノチューブを分散させる分散処理工程と、前記分散処理工程で得られた分散溶液を膜状に成形して乾燥させる成形工程と、前記成形工程で得られた膜を不活性ガス雰囲気下で焼成して焼成膜を得る焼成工程とからなるガス拡散層の製造方法を研究している。
【0014】
カーボンナノチューブを用いた細孔サイズの小さな焼成膜をガス拡散層として用いることにより、燃料ガスに対する適度な通気性を確保しながらも、触媒の担体として要求される十分な比表面積を確保し、カーボンブラック等の別途の触媒担体層を設けることなく、ガス拡散層に直接金属触媒を担持させることができるようになる。
【0015】
本製造方法によるガス拡散層を用いることによって、燃料電池用電極の厚みを200μm程度の薄型に構成できるようになるが、数種のバインダ樹脂を用いても細孔径のピークが0.5μm程度に制限され、それ以上の細孔径の容積率が極端に小さくなり、更なるガス拡散性能の向上による発電特性の向上を目指す必要があった。そこで、鋭意研究を重ねた結果、分散液にさらに水溶性高分子を分散させて膜を形成し、当該水溶性高分子を水に溶出除去することにより、0.5μmより大きな孔径における細孔径の容積率の分布を大きくすることが可能になるという新知見を得るに到ったのである。
【0016】
ここで、有機溶媒に未溶解の繊維状の水溶性高分子とカーボンナノチューブを分散させる場合には、繊維状の水溶性高分子が凝集して極めて大きな径の孔が形成される虞があるが、当該分散処理工程では、カーボンナノチューブが分散される有機溶媒には水溶性高分子が溶解するため、前記繊維状の水溶性高分子に比べ細かく分散させることが可能となり、従って、成形工程及び溶出工程を経て得られる膜には、前記繊維状の水溶性高分子に比べ細かな孔が形成されるようになる。
【0017】
尚、溶出工程を経ずに、焼成段階で水溶性樹脂を蒸発させる場合には、焼成膜に炭化した不純物が残存して、ガス拡散性に優れた細孔が形成されない虞があるばかりか、炭化不純物により導電性が低下する虞もある。しかし、本発明のように、溶出工程を設ける場合には、水溶性樹脂をほぼ完全に溶出除去することができ、これらの問題が発生することはない。
【0018】
このような水溶性高分子として、合成高分子、半合成高分子、天然高分子の何れかの群から選択される高分子のうち1種または2種以上の混合物を好適に用いることができる。合成高分子としてポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリルアミド等を選択することができ、半合成高分子としてカルボキシルメチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース誘導体、酸化でんぷん等のでんぷん誘導体等を選択することができ、天然高分子としてセルロース、デンプン、ゼラチン等を選択することができる。
【0019】
前記水溶性高分子が前記分散溶液に固形分濃度で1重量%〜20重量%含まれていることが好ましく、前記水溶性高分子の平均分子量が200〜90000の範囲から選択されることが好ましい。
【0020】
カーボンナノチューブとして内部に中空構造を有するカップスタック型のカーボンナノチューブを選択する場合には、底の抜けたカップ状炭素網が積層した構造の内外表面の端面が外部に露出した構造となり、非常に活性が高く、金属等の触媒が結合しやすいため、全体として触媒を好適に分散させて担持させることができるようになり、焼成膜の好適な材料として、また触媒担持体の好適な材料として極めて有用となる。
【0021】
前記触媒は焼成膜上にスパッタリングにより担持されていることが好ましく、スパッタリングの諸条件を適正に調整することにより、焼成膜上に担持される触媒の粒径分布、担持量を好適に制御することができ、湿式法のような生産効率及び廃液処理の問題が生じることなく、高い触媒活性を有する固体高分子型燃料電池用電極を提供することができるようになる。特に、触媒担持体が焼成膜に形成されたカーボンナノチューブ層で構成される場合には、スパッタされる触媒粒子が層状に重なることなく分散して担持させることが容易にできるので、通気性を確保してさらに発電効率を高めることができるようになる。
【0022】
前記触媒の粒子径が1〜10nmの範囲であれば、燃料ガスの通気性を確保して、触媒層で触媒が燃料ガスと十分に接触することができるため、高い触媒反応を得ることができる点で好ましく、前記触媒の担持量が1mg/cm以下が好ましく、さらに0.5mg以下であることが好ましい。
【0023】
上述した固体高分子型燃料電池用電極が、アノード触媒電極またはカソード触媒電極として、固体高分子電解質膜の何れかの面にその触媒層が接合されることにより、高効率の燃料電池を得ることができるようになる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明した通り、本発明によれば、燃料ガス透過性を確保して良好な発電特性が得られる薄型の固体高分子型燃料電池用電極に用いられるガス拡散層の製造方法、固体高分子型燃料電池用電極、及び、固体高分子型燃料電池を提供することができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明による固体高分子型燃料電池用電極に用いられるガス拡散層の製造方法、固体高分子型燃料電池用電極、及び、固体高分子型燃料電池の好適な実施形態について説明する。
【0026】
図1に示すように、本発明による固体高分子型燃料電池1は、固体高分子電解質膜8の両面にアノード触媒電極4a(4)及びカソード触媒電極4b(4)が夫々接合されて構成されている。
【0027】
アノード触媒電極4a(4)及びカソード触媒電極4b(4)は、導電性及び通気性を有するガス拡散層2(2a,2b)と、ガス拡散層2(2a,2b)の一側面に担持された触媒6(6a,6b)とイオン交換樹脂7を含む触媒層3(3a,3b)とで構成され、夫々の触媒層3(3a,3b)が固体高分子電解質膜8に対向するように配置されている。
【0028】
ガス拡散層2(2a,2b)は、導電性及び通気性を有する焼成膜で構成され、焼成膜上に触媒6(6a,6b)がスパッタリングによって担持されている。
【0029】
焼成膜は、触媒担体として比表面積を十分に確保し、充分な触媒の担持量や均一分散性を確保するために、適切な径及び長さのカーボンナノチューブを用いて形成されている。
【0030】
カーボンナノチューブには、単層タイプ、複層タイプ、カーボンホーンタイプ等の種類があり、強度、導電性、熱伝導率など非常に優れた特性を持つ材料として知られている。
【0031】
直径が0.1〜200nmの範囲で、繊維の長さが3μm以上で100μm以下の範囲のカーボンナノチューブを用いることが好ましく、一枚のグラフェンシートを筒状に巻いた構造を持ち、直径0.7〜70nm、長さが数十μm程度の大きさの炭素の結晶からなるカーボンナノチューブを用いる場合には、その比表面積の大きさと導電性から触媒担持体として好適である。
【0032】
特に、カップスタック型カーボンナノチューブは、一般的な同心円状のカーボンナノチューブと異なり、底の空いたカップを積み重ねた形状で、内部に大きな中空構造を有しており、カップの積み重ね数によって長さの調整が可能であることから、上述の範囲でカップスタック型カーボンナノチューブの長さを適切に選択することによって、焼成膜の形状を保持し、十分な比表面積を保持することができる点で極めて有用である。直径80〜120nmのカップスタック型カーボンナノチューブを、例えばボールミリング等によって100μm以下の長さに容易に調整することができる。
【0033】
一般的に燃料電池の良好な発電特性を得るには、活性化分極、抵抗分極、濃度分極の三つの最適化が必要とされるが、上述のカップスタック型カーボンナノチューブを用いると、スパッタリングによる触媒の担持により、活性化分極の低減(触媒活性の向上)、既存のカーボンブラックまたはカーボンナノチューブと同等以上の高導電性による抵抗分極の低減、長さ制御による濃度分極の低減という3つの最適化が期待できる。
【0034】
上述した焼成膜は、図2に示すように、有機溶媒にカーボンナノチューブとバインダ樹脂と水溶性高分子を分散させる分散処理工程と、前記分散処理工程で得られた分散溶液を膜状に成形して乾燥させる成形工程と、前記成形工程で得られた膜から前記水溶性高分子を水に溶出させる溶出工程と、前記溶出工程で前記水溶性高分子が溶出した膜を不活性ガス雰囲気下で焼成して焼成膜を得る焼成工程の各製造工程を経て製造される。
【0035】
分散処理工程では、有機溶媒にカーボンナノチューブとバインダ樹脂と水溶性高分子を混合し、カーボンナノチューブ同士が適度に絡まるように、ペイントシェーカー等の分散装置を用いて30分から180分の範囲で分散処理することが好ましい。分散処理時間が短い場合にはカーボンナノチューブが適度に分散されず、粒状の塊であるダマが形成され、分散処理時間が長い場合にはカーボンナノチューブ同士の絡まりが解消されるため焼成後の膜の保型性を確保できなくなるためである。
【0036】
有機溶媒としては、特に制限は無いが、カップスタック型のカーボンナノチューブを用いる場合には、極性有機溶媒を例示することができ、特にN−メチルピロリドンが好ましく、バインダ樹脂としてはカーボン分散性を有するアクリル系樹脂が好ましい。
【0037】
水溶性高分子として、合成高分子、半合成高分子、天然高分子の何れかの群から選択される高分子のうち1種または2種以上の混合物を好適に用いることができる。合成高分子としてポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリルアミド等を選択することができ、半合成高分子としてカルボキシルメチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース誘導体、酸化でんぷん等のでんぷん誘導体等を選択することができ、天然高分子としてセルロース、デンプン、ゼラチン等を選択することができ、特に、ポリエチレングリコールまたはポリエチレンオキサイドを好適に用いることができる。
【0038】
本発明では、平均分子量が200〜90000の範囲の水溶性高分子を用いることが好ましく、平均分子量が400〜20000の範囲がさらに好ましく、平均分子量が400〜700の範囲が特に好ましい。
【0039】
分散溶液中に混入する水溶性高分子の固形分濃度は、1重量%から20重量%の範囲が好ましく、2重量%〜18重量%の範囲がさらに好ましく、10重量%〜18重量%の範囲が特に好ましい。
【0040】
成形工程では、分散処理工程で十分な流動性が得られた分散液が、ガス拡散層のサイズ及び膜厚に対応した型に流し込まれ、その後100℃〜140℃の温度範囲で約90分乾燥処理されて薄膜の板状体が得られる。乾燥温度が100℃より低い温度であれば、有機溶剤を効率的に蒸散させることができず、140℃より高ければ膜にクラック等が発生して損傷する虞があるためである。
【0041】
溶出工程では、成形工程で得られた板状体を、水温が室温〜80℃の範囲、好ましくは30℃〜60℃の範囲に調温された水槽に略24時間浸漬して、水溶性高分子を溶出させることにより、板状体に混在していた水溶性高分子の抜け殻でなる細孔が形成される。水溶性高分子の溶出処理の後、100℃〜140℃の範囲で自然乾燥または真空乾燥する。
【0042】
焼成工程では、溶出工程で得られた板状体が、カーボンナノチューブの酸化による脆弱化を招くことが無いように、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下、約600℃で1時間程度焼成され、バインダ樹脂が熱分解することにより多孔質の焼成膜が形成される。焼成温度は500℃以上、焼成時間は40分から5時間程度が好ましい。焼成時間が30分以下であるとバインダ樹脂が十分に熱分解しないために十分な細孔が形成されず、反対に長時間焼成すると熱劣化により脆弱性が現れる虞があるためである。
【0043】
このようにして製造された焼成膜の細孔径に対する容積率は、水溶性高分子が混入されない分散液を用いて成形、焼成の各工程を経て製造された焼成膜の細孔径に対する容積率の分布と比較して、特に大孔径側で大きくなるように分布し、水溶性高分子が混入されない分散液を用いて製造された焼成膜によって製造された固体高分子型燃料電池の発電特性より優れた発電特性が得られるようになる。
【0044】
更に、目的とする焼成膜が得られるのであれば、有機溶媒、バインダ樹脂、水溶性高分子以外の添加剤を適宜添加しても差し支えない。例えば、フッ素が存在する焼成膜を製造する場合には、カーボンナノチューブ、有機溶媒、バインダ樹脂、水溶性高分子の他にフッ素樹脂を加えることが好ましい実施形態として例示できる。
【0045】
具体的には、上述した分散工程で、さらにフッ素樹脂を分散させた分散溶液を生成し、当該分散溶液に対して上述の成形、溶出、焼成の各工程を実施することにより、フッ素が存在する焼成膜を製造することが可能となる。
【0046】
このような焼成膜をガス拡散層に採用した固体高分子型燃料電池用電極では、フッ素による撥水効果が発揮され、燃料ガスの反応時に生成される水分が焼成膜に浸潤すること無く、良好な通気性及び保形性が確保されるようになり、安定した発電特性を確保した固体高分子型燃料電池を提供できるようになる。
【0047】
フッ素樹脂として、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)やエチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)を好適に用いることができる。また、フッ素樹脂を分散させた分散溶液に対して成形、溶出、焼成の各工程を実施するものに代えて、上述の焼成工程で得られた焼成膜をフッ素樹脂溶液にディッピングし或はスプレー法でフッ素樹脂を含浸させて、再度焼成することによりフッ素が存在する焼成膜を製造するものであってもよく、上述の溶出工程で得られた膜にスプレー法でフッ素樹脂を含浸させた後に焼成処理して、フッ素が存在する焼成膜を製造するものであってもよい。
【0048】
このようにして製造された焼成膜をガス拡散層2として、その表面にスパッタリングにより触媒6を担持させて触媒層3を形成することにより良好な特性の固体高分子型燃料電池用電極を得ることができる。
【0049】
図3(a)に示すように、カーボンナノチューブを焼成して得られる焼成膜は、表面が凹凸に形成されるため比表面積が大きくなり、その結果、触媒6が固着する膜表面積を大きく稼ぐことができ、スパッタリングにより粒子が単層で形成され易く、担持されたほぼ全ての触媒6が水素ガスまたは酸素ガスの活性化に寄与して、より高い発電効率を得ることができる。
【0050】
触媒6は電極反応を促進する機能を有し、その担持量は1mg/cm以下、更には0.5mg/cm以下であることが好ましい。また、触媒6として白金Ptまたは白金合金等が好適に用いられるが、その他に、金Au、銀Ag、イリジウムIr、パラジウムPd、ルテニウムRu、オスミウムOs、ニッケルNi、タングステンW、モリブデンMo、マンガンMn、イットリウムY、バナジウムV、ニオブNb、チタンTi、希土類金属、から選択される少なくとも一種を含む金属を用いることができ、さらにはモリブデンカーバイドMoC等の炭化物を用いることも可能である。これらの触媒は一種類を単独で用いてもよいし、複数を併用してもよく、これらの一部または全部を合金形態で使用してもよい。
【0051】
触媒6の平均粒子径は、小さい方が有効電極面積が増加して触媒活性が向上するため、1〜10nmの範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは、2〜5nmの範囲である。ここで、スパッタリングによって触媒6を担持する場合、触媒6の薄膜が形成されないように諸条件を調節する必要がある。触媒6の薄膜が形成されると、触媒層3の表面全体を触媒6が覆うこととなり、反応ガスや反応ガスと共に供給した水の移動を阻害するためである。
【0052】
スパッタリングの処理時間は90秒未満が好ましく、さらに15秒から60秒以下とすることがより好ましい。また、スパッタリングの際のRF出力値は特に制限されないが、100W以上とすることが好ましい。
【0053】
尚、触媒層3はスパッタリング法で形成される以外に、例えば、蒸着、電子照射、CVD、PVD、スプレーコート、スプレー熱分解等を採用することも可能である。
【0054】
図3(a)では、焼成膜に直接に触媒を担持させる構成について説明したが、図3(b)に示すように、焼成膜の一面側に導電性粒子でなる層を積層形成し、当該導電性粒子層に上述した触媒をスパッタリング法等を用いて担持させるように構成してもよい。
【0055】
このような導電性粒子層は、焼成膜の一面側に、N−メチルピロリド等の有機溶媒に混合された導電性粒子のカーボン分散溶液をスプレー法、キャスティング、スクリーン印刷、スピンコート等により塗布し、その後、触媒を担持させることにより形成することができる。
【0056】
導電性粒子として、触媒を必要量担持するに足りる表面積を有するカーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノファイバ、フラーレン、ナノカーボンの何れかの群から選ばれる一種または複数種を用いることができる。カーボンブラックとして、ファーネスブラック、チャンネルブラック、グラフトカーボン等が例示できる。また、酸化処理などの化学修飾を施したカーボンブラックを用いることも可能である。
【0057】
図1に示すように、触媒6が担持されたガス拡散層2(2a,2b)は固体高分子電解質膜8と接合して、燃料電池用MEA(Membrane Electrode Assembly)として利用される。両者を接合する際には、触媒6と固体高分子電解質膜8との間にプロトンが通過する経路を得るため、イオン交換樹脂7を塗布することが好ましい。
【0058】
イオン交換樹脂7としては、少なくとも高いプロトン導電性を有する材料が好ましく、デュポン社製の各種ナフィオン(デュポン社登録商標:Nafion)やダウケミカル社製のイオン交換樹脂等が好ましく例示される。
【0059】
触媒層3に塗布するイオン交換樹脂7の含有量は特に制限されないが、担持された触媒6の全量に対して50〜1000重量%とするのが良い。50重量%より少ない場合には、プロトンが通過する経路が充分に形成されず、一方、1000重量%よりも多い場合には、焼成膜の多孔をふさいでしまい反応ガス(水素ガスや酸素ガス)が通過しなくなり、電池が発電しないという現象を誘発してしまう。また、触媒層へのイオン交換樹脂の塗布は、ピペット塗布、スプレー法、ドクターブレード法、スクリーン印刷法等を用いることができる。
【0060】
さらに、触媒層3と固体高分子電解質膜8との接合には、熱プレス装置等を用いて実施することができる。
【0061】
これにより導電性及び通気性を有するガス拡散層と、触媒担持体に担持された触媒を含む触媒層とからなり、ガス拡散層が、良好な細孔径分布を備えたカーボンナノチューブを焼成して得られた焼成膜で構成されるとともに、触媒担持体として機能する焼成膜に触媒が担持されている固体高分子型燃料電池用電極が構成される。
【0062】
ガス拡散層としてカーボンペーパー等を用いた従来の固体高分子型燃料電池用電極では、厚さが300から400μmのガス拡散層に数十μmの厚さの触媒担持層を形成していたため、電極の厚みが400μm以上になるが、本発明による焼成膜を用いれば電極の厚みを200μm程度の薄型に構成することができる。
【0063】
尚、燃料電池を構成するMEAは、本発明による固体高分子型燃料電池用電極がアノード触媒電極またはカソード触媒電極として、固体高分子電解質膜の何れかの面に接合されていれば所期の効果が得られ、必ずしも本発明による固体高分子型燃料電池用電極がアノード触媒電極及びカソード触媒電極の双方に用いられるものに限るものではない。
【実施例】
【0064】
[実施例1]
図5に示すように、有機溶媒N−メチルピロリドン(以下NMP)29.9gに、アクリル樹脂(古川化学工業製 BI−2107−SA)を6.345g、カップスタック型カーボンナノチューブ(GSIクレオス提供、形式:24PS、以下「CNT」と記す。)を1.275g、水溶性樹脂として平均分子量が200のポリエチレングリコール(キシダ化学株式会社、以下「PEG」と、平均分子量αのPEGを「PEGα」と記す。)を0.16g混入して、ペイントシェーカーで60分シェーク処理してCNTの分散溶液を得た。分散溶液固形分中のPEG200は2.06重量%である。
【0065】
この溶液を、予め5cmとなるように区画したSUS板にキャスティングして約250μmの薄膜の板状体に成形した後、乾燥処理して、図4(a)に示すような薄膜の板状体を得た。その際、乾燥温度は140℃、乾燥時間は90分で行なった。
【0066】
乾燥処理の後、薄膜の板状体を室温の水に24時間浸漬し、板状体内に混在した水溶性高分子を水に溶出させる。
【0067】
溶出処理の後、薄膜の板状体を120℃で1時間乾燥し、その後焼成装置に投入し、窒素ガスの雰囲気下、約600℃の温度で1時間焼成して、アクリル樹脂及びNMPを熱分解及び蒸発させ、図4(b)に示すようなCNTの焼成膜を得た。ここで、図4(a),(b)は、走査型電子顕微鏡(明石ビームテクノロジー社製)によるSEM写真である。
【0068】
このようにして得られた膜厚が約250μmの多孔質焼成膜の一側面に、アルバック社製スパッタリング装置を用いてスパッタリングにより触媒を担持させた。スパッタリングは、ターゲットには白金、不活性ガスとしてアルゴンを用い、直流電源を使用しながら、真空度3.6×10Torr、RF出力300W、スパッタ温度24℃の設定で実施した。
【0069】
スパッタリング処理を30秒間行なったときに担持された白金の量は、0.020mg/cmであった。最後に、白金粒子を担持した焼成膜に対し、担持した白金量の5倍量にNAFIONがなるように調整した、Aldrich社製Nafion溶液(5重量パーセント溶液)を、ピペットで塗布して、120℃で乾燥して白金担持電極触媒膜を得た。
【0070】
MEAは次の手順で作成した。予め洗浄処理を施した、Dupont社製Nafion212膜を5cm角の大きさに切り取った。このNafion212膜の中央部分に、白金を担持した電極触媒膜を、担持した白金がNafion212膜側を向くようにして両側から挟みこみ、ホットプレス装置によって接合処理した。接合時の温度は120℃、圧力は10MPa、時間は5分であった。このようにして、本願発明の電極をアノード触媒電極及びカソード触媒電極として接合されたMEAを作成した。
【0071】
得られたMEAを東洋テクニカ製シングルセル(EFC05−01SP)に組み込んで、燃料電池のIV特性を計測した。計測に際しては、燃料ガスとしてアノード側に水素ガスを、カソード側に酸素ガスを供給した。両ガス共に供給量を500cc/minとし、ガス供給配管の温度を120℃に設定した。また、セル本体の温度は80℃とした。
【0072】
尚、CNT10重量%に対して、アクリル樹脂を10〜80重量%の範囲で変動させた場合でも発電特性が大きく変わることがないことが確認された。
【0073】
[比較例]
上記焼成膜の製造において、図5に示すように、PEGを混入することなく、NMP29.9gに、アクリル樹脂を6.345g、CNTを1.275g混入した分散溶液(分散溶液固形分中のPEGは0重量%)から成形、焼成の各工程を経てCNTの焼成膜を作成し、上述の実施例1と同様の方法でIV特性の計測を行った。
【0074】
[実施例2]
図5に示すように、NMP29.9gに、アクリル樹脂を6.345g、CNTを1.275g混入し、PEG200を1.6g混入した分散溶液(分散溶液固形分中のPEG200は17.35重量%)から、CNTの焼成膜を作成し、上述の実施例1と同様の方法でIV特性の計測を行った。
【0075】
[実施例3]
図5に示すように、NMP29.9gに、アクリル樹脂を6.345g、CNTを1.275g混入し、PEG400を1.6g混入した分散溶液(分散溶液固形分中のPEG400は17.35重量%)から、CNTの焼成膜を作成し、上述の実施例1と同様の方法でIV特性の計測を行った。
【0076】
[実施例4]
図5に示すように、NMP29.9gに、アクリル樹脂を6.345g、CNTを1.275g混入し、PEG600を0.16g混入した分散溶液(分散溶液固形分中のPEG600は2.06重量%)から、CNTの焼成膜を作成し、上述の実施例1と同様の方法でIV特性の計測を行った。
【0077】
[実施例5]
図5に示すように、NMP29.9gに、アクリル樹脂を6.345g、CNTを1.275g混入し、PEG600を0.7g混入した分散溶液(分散溶液固形分中のPEG600は8.41重量%)から、CNTの焼成膜を作成し、上述の実施例1と同様の方法でIV特性の計測を行った。
【0078】
[実施例6]
図5に示すように、NMP29.9gに、アクリル樹脂を6.345g、CNTを1.275g混入し、PEG600を1.6g混入した分散溶液(分散溶液固形分中のPEG600は17.35重量%)から、CNTの焼成膜を作成し、上述の実施例1と同様の方法でIV特性の計測を行った。
【0079】
[実施例7]
図5に示すように、NMP29.9gに、アクリル樹脂を6.345g、CNTを1.275g混入し、PEG600を1.9g混入した分散溶液(分散溶液固形分中のPEG600は19.96重量%)から、CNTの焼成膜を作成し、上述の実施例1と同様の方法でIV特性の計測を行った。
【0080】
[実施例8]
図5に示すように、NMP29.9gに、アクリル樹脂を6.345g、CNTを1.275g混入し、PEG20000を0.16g混入した分散溶液(分散溶液固形分中のPEG20000は2.06重量%)から、CNTの焼成膜を作成し、上述の実施例1と同様の方法でIV特性の計測を行った。
【0081】
[実施例9]
図5に示すように、NMP29.9gに、アクリル樹脂を6.345g、CNTを1.275g混入し、PEG20000を1.6g混入した分散溶液(分散溶液固形分中のPEG20000は17.35重量%)から、CNTの焼成膜を作成し、上述の実施例1と同様の方法でIV特性の計測を行った。
【0082】
[実施例10]
図5に示すように、NMP29.9gに、アクリル樹脂を6.345g、CNTを1.275g混入し、PEG20000を2.0g混入した分散溶液(分散溶液固形分中のPEG20000は20.79重量%)から、CNTの焼成膜を作成し、上述の実施例1と同様の方法でIV特性の計測を行った。
【0083】
[実施例11]
図5に示すように、NMP29.9gに、アクリル樹脂を6.345g、CNTを1.275g混入し、PEGに替えて平均分子量が89000のポリエチレンオキサイド(明成化学工業株式会社、以下「PEO」と記す。)を1.60g混入した分散溶液(分散溶液固形分中のPEOは17.35重量%)から、CNTの焼成膜を作成し、上述の実施例1と同様の方法でIV特性の計測を行った。
【0084】
上述の試験により得られた発電特性について詳述する。
【0085】
図6に示すように、上述の実施例1及2は共に、比較例より発電特性が良好である。中でも実施例2のPEG200を1.6g混入した分散溶液(分散溶液固形分中のPEG200は17.35重量%)は、特に良好な発電特性が得られた。
【0086】
図7に示すように、上述の実施例4,5,6,7は、比較例より発電特性が良好である。中でも実施例6のPEG600を1.6g混入した分散溶液(分散溶液固形分中のPEG600は17.35重量%)から得た焼成膜が、特に良好な発電特性が得られた。
【0087】
図8に示すように、上述の実施例8,9,10は、比較例より発電特性が良好である。中でも実施例9のPEG20000を1.6g混入した分散溶液(分散溶液固形分中のPEG20000は17.35重量%)は、特に良好な発電特性が得られた。
【0088】
図9に示すように、上述の実施例2,3,6,9,11と比較例を比較すると、実施例6のPEG600を1.6g混入した分散溶液(分散溶液固形分中のPEG600は17.35重量%)から得た焼成膜が、特に良好な発電特性が得られた。
【0089】
他の実施例よりも良好な発電特性が得られた実施例6、及び、比較例について、ユアサアイオニクス社製のPoreMaster60を用いて、真空中の焼成膜の細孔中に水銀を圧入し、その時に加えた圧力と侵入した水銀容積の関係を測定する水銀圧入式細孔分布測定を行った。
【0090】
細孔径は、Washuburnの式(加えられた圧力と、その圧力で水銀が侵入可能な細孔径の関係式)D=−4γcosθ/Pで求められる。ここに、Pは加える圧力、Dは細孔直径、γは水銀の表面張力(480dyne cm−1)、θは水銀と細孔壁面の接触角(140°)である。
【0091】
図10に示すように、実施例6は比較例と比較し、0.5μmより大きな孔径における細孔径の容積率の分布が大きくなることが確認され、更なるガス拡散性能の向上が実証された。
【0092】
以上の実施例を通じて、カーボンナノチューブの分散溶液に水溶性高分子を固形分濃度で1重量%から20重量%の範囲で混入して、溶出工程を経て焼成された焼成膜を用いれば、水溶性高分子を混入せずに製造した焼成膜に比較して良好な発電特性が得られ、水溶性高分子を2重量%〜18重量%の範囲で混入すると、より好ましい発電特性が得られ、水溶性高分子を10重量%〜18重量%の範囲で混入すると、特に好ましい発電特性が得られること、さらに、平均分子量が200〜90000の範囲の水溶性高分子を用いることが好ましく、平均分子量が400〜20000の範囲がさらに好ましく、平均分子量が400〜700の範囲が特に好ましいことが判明した。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明による固体高分子型燃料電池の説明図
【図2】焼成膜の製造工程の説明図
【図3】焼成膜への触媒担持の説明図
【図4】焼成前後の板状体(膜)のSEM(走査型電子顕微鏡)写真で、(a)は焼成前の膜を示すSEM写真、(b)は焼成後の膜を示すSEM写真
【図5】実施例に示す焼成膜の製造に用いたNMP、アクリル樹脂、CNT、水溶性高分子の混合重量の説明図
【図6】実験結果を示す固体高分子型燃料電池の発電特性図
【図7】実験結果を示す固体高分子型燃料電池の発電特性図
【図8】実験結果を示す固体高分子型燃料電池の発電特性図
【図9】実験結果を示す固体高分子型燃料電池の発電特性図
【図10】実施例による焼成膜と、比較例による焼成膜の細孔径分布図
【符号の説明】
【0094】
1:固体高分子型燃料電池
2,2a,2b:ガス拡散層
3,3a,3b:触媒層
4:触媒電極
4a:アノード触媒電極
4b:カソード触媒電極
6,6a,6b:触媒
7:イオン交換樹脂
8:固体高分子電解質膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体高分子型燃料電池用電極に用いられ、導電性及び通気性を有するガス拡散層の製造方法であって、
バインダ樹脂と水溶性高分子を溶解した有機溶媒にカーボンナノチューブを分散させる分散処理工程と、前記分散処理工程で得られた分散溶液を膜状に成形して乾燥させる成形工程と、前記成形工程で得られた膜から前記水溶性高分子を水に溶出させる溶出工程と、前記溶出工程で前記水溶性高分子が溶出した膜を不活性ガス雰囲気下で焼成して焼成膜を得る焼成工程とからなるガス拡散層の製造方法。
【請求項2】
前記水溶性高分子が合成高分子、半合成高分子、天然高分子の何れかの群から選択される高分子のうち1種または2種以上の混合物である請求項1記載のガス拡散層の製造方法。
【請求項3】
前記水溶性高分子が前記分散溶液に固形分濃度で1重量%〜20重量%含まれている請求項1または2記載のガス拡散層の製造方法。
【請求項4】
前記水溶性高分子の平均分子量が200〜90000の範囲から選択される請求項1から3の何れかに記載のガス拡散層の製造方法。
【請求項5】
前記カーボンナノチューブは内部に中空構造を有するカップスタック型のカーボンナノチューブである請求項1から4の何れかに記載のガス拡散層の製造方法。
【請求項6】
請求項1から5の何れかに記載のガス拡散層の製造方法で製造された焼成膜の少なくとも一側面側に触媒層が形成されている固体高分子型燃料電池用電極。
【請求項7】
前記触媒層は、前記焼成膜の少なくとも一側面側からスパッタリングされた触媒により形成されている請求項6記載の固体高分子型燃料電池用電極。
【請求項8】
前記触媒の粒子径が1〜10nmの範囲である請求項7記載の固体高分子型燃料電池用電極。
【請求項9】
前記触媒の担持量が1mg/cm以下である請求項7または8記載の固体高分子型燃料電池用電極。
【請求項10】
固体高分子電解質膜の一方の面にアノード触媒電極の触媒層が接合され、他方の面にカソード触媒電極の触媒層が接合されている固体高分子型燃料電池であって、
請求項6から9の何れかに記載の固体高分子型燃料電池用電極が、前記アノード触媒電極または前記カソード触媒電極として、前記固体高分子電解質膜の何れかの面に接合されている固体高分子型燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−62021(P2010−62021A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−227088(P2008−227088)
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【出願人】(000105154)株式会社GSIクレオス (31)
【Fターム(参考)】