説明

ガス検知管

【課題】ガス吸引ポンプへの接続方向の誤りに対して、適宜に対処できる手段が講じられたガス検知管を提供する。
【解決手段】ガラス管12の内部に充填された検知剤17と、該検知剤17の端部にパッキン19を介して配設された除去剤20とを少なくとも備え、前記ガラス管12の両端部13、14は、縮径して溶封した構成のガス検知管11であって、該ガス検知管11は、一端部を切り欠くと被測定ガスの吸引部15が形成され、他端部を切り欠くとガス吸引ポンプへの接続部16が形成されると共に、前記ガス吸引ポンプへの接続方向の誤りに対して適宜に対処できる対処手段が講じられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス吸引ポンプに接続して使用するガス検知管に関するものであり、更に詳しくは、ガス吸引ポンプへの接続方向の誤りに対して、適宜に対処できる手段が講じられたガス検知管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のガス検知管としては、次のような構成のものが知られている。このガス検知管は、透明なガラス管の内部に所定量の検知剤を充填すると共に、この検知剤を保持するためのパッキンを両側に配設し、さらに、ガラス管の両端部は、縮径して溶封した構成である(特許文献1、2及び3参照)。
【0003】
このような構成のガス検知管は、使用時に両方の端部を専用の工具で切り欠いてから、ガス吸引ポンプの吸引口に対して所定の接続方向を向けて接続する。そして、ガス吸引ポンプのハンドルを引いてガス検知管に気体を通気させる。ガス検知管の検知剤は気体中の被測定ガスに反応して変色し、その変色した先端の目盛りを読み取ることでガス濃度が測定される仕組みである。
【特許文献1】実開平6−2225号公報
【特許文献2】実開昭59−115342号公報
【特許文献3】特開昭53−52193号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この従来例のガス検知管においては、ガス吸引ポンプへの接続方向の表示が一応なされてはいるものの、誤って正規の接続方向と反対に向けて接続する作業ミスが生じる恐れがある。
【0005】
この場合は、ガス吸引ポンプで気体を吸引してもガス濃度の測定値は得られないばかりでなく、被測定ガスの種類と検知剤との関係で有害ガスが発生することがあるという重大な問題点を有している。
【0006】
更には、発生した有害ガスの影響でガス吸引ポンプの内部を傷めて故障の原因となるという問題点もある。
【0007】
従って、従来例におけるガス検知管においては、ガス吸引ポンプへの接続方向の誤りに対して、適宜に対処できる何らかの対策を講じることに解決しなければならない課題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来例の課題を解決する具体的手段として本発明は、ガラス管の内部に充填された検知剤と、該検知剤の端部にパッキンを介して配設された除去剤とを少なくとも備え、前記ガラス管の両端部は、縮径して溶封した構成のガス検知管であって、該ガス検知管は、一端部を切り欠くと被測定ガスの吸引部が形成され、他端部を切り欠くとガス吸引ポンプへの接続部が形成されると共に、前記ガス吸引ポンプへの接続方向の誤りに対して適宜に対処できる対処手段が講じられていることを特徴とするガス検知管を提供するものである。
【0009】
また、前記対処手段は、前記検知剤の前記吸引部側の端部に配設された有害ガス除去用の除去剤であること、;
前記対処手段は、前記吸引部側における、前記ガス検知管の外周面に設けられた接続防止用の突部であること、;
前記対処手段は、前記吸引部側における、前記ガス検知管の外周面に設けられた通気漏れ用の突条部であること、;
前記対処手段は、前記ガス検知管の内部に設けられた逆流防止弁であること、;
前記対処手段は、前記吸引部側における、前記ガス検知管の前記縮径した部位に嵌着された逆流防止栓であること、;
を含むものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るガス検知管は、ガラス管の内部に充填された検知剤と、該検知剤の端部にパッキンを介して配設された除去剤とを少なくとも備え、前記ガラス管の両端部は、縮径して溶封した構成のガス検知管であって、該ガス検知管は、一端部を切り欠くと被測定ガスの吸引部が形成され、他端部を切り欠くとガス吸引ポンプへの接続部が形成されると共に、前記ガス吸引ポンプへの接続方向の誤りに対して適宜に対処できる対処手段が講じられていることによって、従来例のような有害ガスが発生する事故を防止できる。また、それに伴いガス吸引ポンプの内部を有害ガスで傷めることがない。
更には、ガス検知管をガス吸引ポンプに対して正規の接続方向に向けて接続し直せば、正確なガス濃度の測定値を得られることとなるという種々の優れた効果を奏する。
【0011】
また、対処手段は、前記検知剤の前記吸引部側の端部に配設された有害ガス除去用の除去剤であることによって、誤ってガス検知管を逆向きに接続して有害ガスが発生した場合でも、有害ガス除去用の除去剤が有害ガスを除去するので、人的被害は発生しない。また、ガス吸引ポンプの内部は傷まないという優れた効果を奏する。
【0012】
そして、対処手段は、前記吸引部側における、前記ガス検知管の外周面に設けられた接続防止用の突部であることによって、この突部が邪魔をしてガス検知管を逆向きに接続できないので、作業ミスが生じないという優れた効果を奏する。
【0013】
更に、対処手段は、前記吸引部側における、前記ガス検知管の外周面に設けられた通気漏れ用の突条部であることによって、誤ってガス検知管を逆向きに接続した場合には、突条部の存在によりガス吸引ポンプの吸引口に気密接続できないこととなる。つまり、通気漏れが生じて、ガス検知管には通気できないこととなり、結果的に有害ガスが発生しないという優れた効果を奏する。
【0014】
また、対処手段は、前記ガス検知管の内部に設けられた逆流防止弁であることによって、誤ってガス検知管を逆向きに接続した場合には、逆流防止弁の存在によりガス検知管に通気ができないこととなり、有害ガスは発生しないという優れた効果を奏する。
【0015】
そして、対処手段は、前記吸引部側における、前記ガス検知管の前記縮径した部位に嵌着された逆流防止栓であることによって、誤ってガス検知管を逆向きに接続した場合には、逆流防止栓の存在によりガス検知管に通気ができないこととなり、有害ガスは発生しないという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
ガス検知管のガス吸引ポンプへの接続方向の誤りに対して、適宜に対処できる対策を講じるという目的を、以下に述べる種々の対処手段を講じることによって実現した。
【実施例1】
【0017】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。まず、図1において、符号11は第1実施例に係るガス検知管を示し、このガス検知管11は、所定長さの透明なガラス管12で形成されており、このガラス管12の両方の端部13、14は、縮径して溶封した構成になっている。
【0018】
一方の端部13を専用の工具で切り欠くと、被測定ガスの吸引部15が形成される。また、他方の端部14を専用の工具で切り欠くと、ガス吸引ポンプへの接続部16が形成される。
【0019】
この接続部16を、図示しないガス吸引ポンプの吸引口に向けて接続して、ガス濃度を測定する。なお、ガラス管12に表示された「G」及び「矢印」のマーク32は、ガス吸引方向、即ち、接続方向を示している。
【0020】
ガラス管12の表面には、図示しない目盛りが表示されており、被測定ガスに反応して変色した検知剤17の先端部位を、この目盛りに沿って読み取ることでガス濃度が測定される。
【0021】
ガラス管12の内部には、所定量の検知剤17が充填されており、この検知剤17を保持するためのパッキン18、19がその両端に配設されている。検知剤17は、上述のように、通気した測定ガスに反応して変色する。
【0022】
検知剤17の接続部16側の端部には、除去剤20がパッキン19を介して配設されている。また、除去剤20を保持するためのパッキン21が、接続部16側の端部に配設されている。この除去剤20は、被測定ガスと検知剤17との関係で有害ガスが発生したときに、その有害ガスを除去するために設けられており、人的被害やガス吸引ポンプの内部の損傷を防止する。
【0023】
更に、検知剤17の吸引部15側の端部には、有害ガス除去用の除去剤(対処手段)22がパッキン18を介して配設されている。また、除去剤22を保持するためのパッキン23が接続部16側の端部に配設されている。
【0024】
この除去剤22の存在によって、ガス検知管11を誤って正規の接続方向と逆向きにガス吸引ポンプへ接続して気体を吸引した結果、被測定ガスと検知剤17との関係で有害ガスが発生したときに、当該有害ガスが拡散する前に除去される。従って、人的被害は発生しないし、ガス吸引ポンプの内部は傷まない。
【実施例2】
【0025】
次に、図2に第2実施例に係るガス検知管24を示す。この第2実施例において、前記第1実施例のガス検知管11と同一部分には同一符号を付してその詳細は省略する。
【0026】
このガス検知管24は、吸引部15側における、ガラス管12の外周面に沿って接続防止用の突部(対処手段)25が設けられている。この突部25が邪魔をしてガス検知管を正規の接続方向と逆向きにガス吸引ポンプへ接続できないので、作業ミスは生じない。
【実施例3】
【0027】
次に、図3に第3実施例に係るガス検知管26を示す。この第3実施例において、前記第1実施例のガス検知管11と同一部分には同一符号を付してその詳細は省略する。
【0028】
このガス検知管26は、吸引部15側における、ガラス管12の外周面に、長手方向に沿った通気漏れ用の突条部(対処手段)27が設けられている。誤ってガス検知管26を正規の接続方向と逆向きに接続した場合は、突条部27の存在によりガス吸引ポンプの吸引口に気密接続できない。つまり、通気漏れが生じて、ガス検知管26には通気できないこととなり、結果的に有害ガスが発生しない。
【実施例4】
【0029】
次に、図4に第4実施例に係るガス検知管28を示す。この第4実施例において、前記第1実施例のガス検知管11と同一部分には同一符号を付してその詳細は省略する。
【0030】
このガス検知管28は、接続部16側における、ガラス管12の内部に逆流防止弁(対処手段)29が設けられている。この逆流防止弁29は、ガス吸引方向(矢印及び○印方向)には通気が可能であり、また、その逆方向(矢印及び×印方向)には通気ができない仕組みである。従って、誤ってガス検知管28を正規の接続方向と逆向きに接続した場合には、逆流防止弁29の存在によりガス検知管28に通気ができず、有害ガスは発生しない。
【0031】
なお、逆流防止弁29は、図4においてはガラス管12の接続部16側に設けられているが、設置位置はこの部位に限定されることはなく、吸引部15側に設けてもよいことは勿論である。
【実施例5】
【0032】
次に、図5に第5実施例に係るガス検知管30を示す。この第5実施例において、前記第1実施例のガス検知管11と同一部分には同一符号を付してその詳細は省略する。
【0033】
このガス検知管30は、吸引部15側における、ガラス管12の内部の縮径した部位に、逆流防止栓(対処手段)31が嵌着されている。この逆流防止栓31は、ガス吸引方向(矢印及び○印方向)に通気した場合には、嵌着状態が外れ落ちるので通気が可能となり、また、その逆方向(矢印及び×印方向)は、逆流防止栓31の嵌着状態が維持されるので、通気ができない。従って、有害ガスは発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施例に係る検知管11を略示的に示す断面図である。
【図2】本発明の第2実施例に係る検知管24を略示的に示す断面図である。
【図3】本発明の第3実施例に係る検知管26を略示的に示す断面図である。
【図4】本発明の第4実施例に係る検知管28を略示的に示す断面図である。
【図5】本発明の第5実施例に係る検知管30を略示的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0035】
11 第1実施例に係るガス検知管
12 ガラス管
13、14 端部
15 吸引部
16 接続部
17 検知剤
18、19 パッキン
20 除去剤
21 パッキン
22 除去剤(対処手段)
23 パッキン
24 第2実施例に係るガス検知管
25 突部(対処手段)
26 第3実施例に係るガス検知管
27 突条部(対処手段)
28 第4実施例に係るガス検知管
29 逆流防止弁(対処手段)
30 第5実施例に係るガス検知管
31 逆流防止栓(対処手段)
32 マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス管の内部に充填された検知剤と、該検知剤の端部にパッキンを介して配設された除去剤とを少なくとも備え、前記ガラス管の両端部は、縮径して溶封した構成のガス検知管であって、
該ガス検知管は、一端部を切り欠くと被測定ガスの吸引部が形成され、他端部を切り欠くとガス吸引ポンプへの接続部が形成されると共に、前記ガス吸引ポンプへの接続方向の誤りに対して適宜に対処できる対処手段が講じられていること
を特徴とするガス検知管。
【請求項2】
前記対処手段は、前記検知剤の前記吸引部側の端部に配設された有害ガス除去用の除去剤であること
を特徴とする請求項1に記載のガス検知管。
【請求項3】
前記対処手段は、前記吸引部側における、前記ガス検知管の外周面に設けられた接続防止用の突部であること
を特徴とする請求項1に記載のガス検知管。
【請求項4】
前記対処手段は、前記吸引部側における、前記ガス検知管の外周面に設けられた通気漏れ用の突条部であること
を特徴とする請求項1に記載のガス検知管。
【請求項5】
前記対処手段は、前記ガス検知管の内部に設けられた逆流防止弁であること
を特徴とする請求項1に記載のガス検知管。
【請求項6】
前記対処手段は、前記吸引部側における、前記ガス検知管の前記縮径した部位に嵌着された逆流防止栓であること
を特徴とする請求項1に記載のガス検知管。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−54333(P2010−54333A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−219435(P2008−219435)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(391028122)株式会社ガステック (15)
【Fターム(参考)】