説明

ガス混合構造

【課題】ガスに対して熱量の異なる添加ガスを混合する際、圧力損失を抑制しつつ、短距離で均一に混合する。
【解決手段】副生ガスを搬送する主管1と、主管1よりも小径の管からなり、先端が主管1内で同軸に、且つ副生ガスの搬送方向に開口するように配置され、副生ガスとは熱量の異なる燃料ガスを主管1内に供給する内管2と、内管2の先端に連結され、内管2と同一径となる第一の基端口3a、及び第一の基端口3aよりも大径となる第一の先端口3bを有し、先端側に向かうほど拡径する第一の筒状ノズル3と、第一の筒状ノズル3に対して主ガスの搬送方向下流側に設けられ、第一の先端口3bよりも小径となる第二の基端口4a、及び第二の基端口4aよりも大径となる第二の先端口4bを有し、先端側に向かうほど拡径する第二の筒状ノズル4と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス混合構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
大口径の配管を流れる気体に他の気体を添加・混合する場合、単に配管を接続するだけのものや、邪魔板で旋回・撹拌などを促すスタティックミキサが一般的である。しかしながら、圧力損失を抑制し、且つ短距離で均一に混合することに特化した技術はなく、汎用的なものをそのまま使用するのが現状であった。
例えば、2流体の混合を行うものとして、主管内に撹拌のための突起を複数配置するものや(特許文献1参照)、また高炉ガスを乱流にしたり添加ガスを拡散するプレートを用いたりするものがある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−088739号公報
【特許文献2】特開2003−254090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された従来技術では、ガス中に比較的多くのダストを含む高炉副生ガスに適用すると、突起部へのダストの堆積により圧力損失の問題が懸念される。また、特許文献1に記載された従来技術においても、短距離で均一な混合を意図した技術ではない。
本発明の課題は、ガスに対して熱量の異なる添加ガスを混合する際、圧力損失を抑制しつつ、短距離で均一に混合することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明に係る副生ガス混合構造は、主ガスを搬送する主管と、主管よりも小径の管からなり、先端が主管内で同軸に、且つ主ガスの搬送方向に開口するように配置され、主ガスとは熱量の異なる添加ガスを主管内に供給する内管と、内管の先端に連結され、内管と同一径となる第一の基端口、及び第一の基端口よりも大径となる第一の先端口を有し、先端側に向かうほど拡径する第一の筒状ノズルと、第一の筒状ノズルに対して主ガスの搬送方向下流側に設けられ、第一の先端口よりも小径となる第二の基端口、及び第二の基端口よりも大径となる第二の先端口を有し、先端側に向かうほど拡径する第二の筒状ノズルと、を備えることを特徴とする。
また、第二の基端口は、内管よりも小径とし、第二の先端口は、第一の先端口よりも大径とすることを特徴とする。
また、第一の先端口から第二の基端口までの距離を内管の径よりも小さくしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る副生ガス混合構造によれば、第一の筒状ノズルの外周面、及び第二の筒状ノズルの外周面によって、主ガスを撹拌し、そこに添加ガスが供給される。これにより、主ガスに対して効率よく添加ガスを混合させることができ、主ガスや添加ガスの流れを阻害することもない。すなわち、圧力損失を抑制しつつ、短距離で均一に混合することである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】副生ガス混合構造の概略構成図である。
【図2】第一の筒状ノズル3と第二の筒状ノズル4との連結状態を示す図である。
【図3】本実施形態の効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
《構成》
図1は、副生ガス混合構造の概略構成図である。
主管1は、高炉の副生ガスを搬送する。主管1には、主管1よりも小径となる内管2を挿入してあり、内管2の先端は、主管1と同軸に配置され、且つ副生ガスの搬送方向に開口するように設けてあり、副生ガスの熱量調整のために燃料ガスを供給する。内管2の径は、主管1の径の1/2以下とする。つまり、内管2の径をd1、主管1の径をDとすると、d1≦0.5Dである。
【0009】
内管2の先端には、第一の筒状ノズル3を連結してある。この第一の筒状ノズル3は、内管2と同一径となる基端口3aと、この基端口3aよりも大径となる先端口3bとを有する。つまり、基端口3aの径をd1とし、先端口3bの径をd2とすると、d1<d2である。すなわち、第一の筒状ノズル3は、基端側から先端側に向けてテーパ状に拡径させたラッパ形状(又はコーン形状)にしてあり、そのテーパ角度は30〜60度の範囲で設定してある。基端口3aは、内管2の先端との間に隙間ができないように連結してある。
【0010】
第一の筒状ノズル3には、第二の筒状ノズル4を連結してある。この第二の筒状ノズル4は、先端口3bよりも小径となる基端口4aと、この基端口4aよりも大径となる先端口4bとを有する。具体的には、先端口4aは、内管2よりも小径にしてあり、先端口4bは、先端口3bよりも大径にしてある。つまり、基端口4aの径をd3とし、先端口4bの径をd4とすると、d3<d1であり、d4>d2である。このように、第二の筒状ノズル4も、基端側から先端側に向けてテーパ状に拡径させたラッパ形状(又はコーン形状)にしてあり、そのテーパ角度は30〜60度の範囲で設定してある。先端口3bから基端口4aまでの距離L1は、内管2の径d1よりも小さくしてある。
【0011】
図2は、第一の筒状ノズル3と第二の筒状ノズル4との連結状態を示す図である。
第一の筒状ノズル3と第二の筒状ノズル4とは、複数のリブ5によって連結してある。リブ5は、一端が第一の筒状ノズル3の内周面に連結してあり、他端が第二の筒状ノズルの外周面に連結してある。複数のリブ5は、周方向に略等間隔に設けている。リブ5の数量やサイズ(太さ)は、副生ガスや燃料ガスの流れを阻害しない範囲で設定する。
【0012】
本実施形態では、高炉の副生ガスに添加ガスを混合する設備について説明したが、これに限定されるものではなく、他にも転炉の副生ガスに添加ガスを混合する設備に適用してもよい。すなわち、主ガスに対して熱量の異なる添加ガスを混合する他の如何なる設備にも適用することができる。
本実施形態では、第一の筒状ノズル3、及び第二の筒状ノズル4の断面が円形である場合について説明したが、これに限定されるものではなく、断面は多角形状としてもよい。
【0013】
本実施形態では、第一の筒状ノズル3を第二の筒状ノズル4に連結しているが、これに限定されるものではない。要は、第二の筒状ノズル4は、第一の筒状ノズル3に対して副生ガスの搬送方向下流側に設けてあればよい。したがって、第二の筒状ノズル4を第一の筒状ノズル3には連結せず、主管1の内周面に連結してもよい。
その他、本実施形態の主旨を逸脱しない範囲で、各部材の形状や位置、サイズなど、任意に設定することができる。
【0014】
《作用》
第一の筒状ノズル3の外周面、及び第二の筒状ノズル4の外周面によって、副生ガスを撹拌し、そこに燃料ガスが供給される。このように、筒状ノズルを二段構えとすることにより、副生ガスに対して効率よく燃料ガスを混合させることができ、副生ガスや燃料ガスの流れを阻害することもない。すなわち、圧力損失を抑制しつつ、短距離で均一に混合することである。したがって、熱量調整のための混合位置に関し、レイアウトの自由度が増す。
【0015】
数値解析により、本実施形態と従来技術との比較を行った。従来技術としては、特開2003−254090号公報の「高炉ガスと添加ガスとの混合装置および混合方法」に記載された図1の構造を採用した。主管の径、主管のガス流量、添加ガスの流量を同一にして比較した結果、本実施形態では従来技術の60%の距離で同程度の混合度合を得ることができた。また、圧力損失も従来技術の20%であり、大幅に減少させることができた。
このように、本実施形態によれば、混合位置から20D(主管直径×20倍)の距離において、充分に均一な混合が可能である。
【0016】
《実施例》
高炉の改修において、一部の燃料ガスの熱量を上げるため、大元のガス配管から個別設備への分岐後に、副生ガスにコークス炉ガス(COG:Coke Oven Gas)を添加して熱量の調整を行った。このとき、主管径D:φ1600mm、内管径:φ500mm、第一の筒状ノズル先端口径d2:φ550mm、第二の筒状ノズル基端口径d3:φ90mm、第二の筒状ノズル先端口径d4:φ650mm、第一の筒状ノズル先端口から第二の筒状ノズル基端口までの距離L1:90mm、第二の筒状ノズル長さ:350mmの構造を採用した。
【0017】
混合位置から約35m下流のヘッダ分岐後で、均一な混合ガスが得ることができた(ガス成分測定:有意差なし)。また、第一の筒状ノズルと第二の筒状ノズルとも副生ガスの流れに淀みを発生させる箇所がないことを数値解析で確認しており、ダスト堆積による混合能力が低下する可能性はない。
【0018】
図3は、本実施形態の効果を示す図である。
このように、季節の配管レイアウトを変更することなく、副生ガスの熱量を調整することができた。同一の設備レイアウトで従来技術を用いた場合は、使用先の熱量が約1.7%のバラツキが生じる可能性があった。また、従来技術で同一の均一度を得るには、配管レイアウトを変更して混合後の配管長さを延長しなければならなかった。しかし、本実施形態の構造とすることで、建設コストを抑制しつつ、均一な燃料ガスの混合を行うことができた。
【符号の説明】
【0019】
1 主管
2 内管
3 第一の筒状ノズル
3a 基端口
3b 先端口
4 第二の筒状ノズル
4a 基端口
4b 先端口
5 リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主ガスを搬送する主管と、
前記主管よりも小径の管からなり、先端が前記主管内で同軸に、且つ前記主ガスの搬送方向に開口するように配置され、前記主ガスとは熱量の異なる添加ガスを前記主管内に供給する内管と、
前記内管の先端に連結され、前記内管と同一径となる第一の基端口、及び前記第一の基端口よりも大径となる第一の先端口を有し、先端側に向かうほど拡径する第一の筒状ノズルと、
前記第一の筒状ノズルに対して前記主ガスの搬送方向下流側に設けられ、前記第一の先端口よりも小径となる第二の基端口、及び前記第二の基端口よりも大径となる第二の先端口を有し、先端側に向かうほど拡径する第二の筒状ノズルと、を備えることを特徴とするガス混合構造。
【請求項2】
前記第二の基端口は、前記内管よりも小径とし、
前記第二の先端口は、前記第一の先端口よりも大径とすることを特徴とする請求項1に記載のガス混合構造。
【請求項3】
前記第一の先端口から前記第二の基端口までの距離を前記内管の径よりも小さくしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のガス混合構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−63393(P2013−63393A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203634(P2011−203634)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】