説明

ガス混合物中のアンモニア含有量の測定装置

【課題】ガス混合物中のアンモニア含有量の測定装置に関し、該装置は比較的低濃度のアンモニアを正確に測定でき、更に大きなスペースを必要とせず、テスト対象に容易に配置できる。
【解決手段】ガス混合物の入口14及び出口20、その間に設置された供給チャンネル及びそれに接続されたアンモニア測定システム10を備え、前記入口を通るガス混合物流を調節する第1の調節手段16、及びガス混合物の流速に実質的に影響されずにアンモニア含有量を測定する第2の手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス混合物中、特に呼気中のアンモニア含有量の測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人の息の中のアンモニア含有量の測定は、多くの医学的用途において重要である。息の中のアンモニア含有量を測定すると、尿素バランスが乱れている患者を診断するための情報が得られることが知られている。このような尿素バランスの乱れは、腎臓疾患の結果として、あるいは最終的に胃潰瘍を生じさせる細菌による胃の感染に起因して起こる。血液中のアンモニア含有量はスポーツの世界でも重要である。身体的活動の間に、人体はアンモニアを生産し、その生産は活動に対して指数的に増加する。血液中のアンモニア含有量が高いレベルに達し、環境中の平均アンモニア含有量を超えて上昇すると、アンモニアは血液から肺に拡散する。呼気中の典型的なアンモニア含有量は比較的低く、通常0.1から10ppm(100万分の1部)のオーダーである。アンモニア以外のガスも呼気中に存在する。例えば呼気には容量で約3%までのCO2が含まれる。これらのガスが存在すると息の中の比較的低濃度のアンモニアの正確な測定をより困難にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、ガス混合物中、特に呼気中のアンモニア含有量を測定する装置を提供することにあり、該装置は比較的低濃度のアンモニアを正確に測定できる。更に大きなスペースを必要とせず、テスト対象に容易に配置できる、アンモニア含有量測定装置が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、この目的を達成するため、請求項1で述べたタイプの装置を提供する。該装置は、少なくとも1個のガス混合物の入口及び少なくとも1個のガス混合物の出口、その間に設置された供給チャンネル及びそれに接続されたアンモニア測定システムを備える装置であって、前記入口を通るガス混合物流を調節する第1の調節手段、及びガス混合物の流速に実質的に影響されずにアンモニア含有量を測定する第2の手段を備える。
出発時点でのガス混合物が高流速を有しかつ流速が一定でない場合であっても、前記手段は、ガス混合物流中の比較的低濃度のアンモニア含有量を正確に測定することを可能にすることを見出した。
これは例えば、呼気の形態のガス混合物流の場合である。このような流れは、吸気の間に遮断されるだけでなく、約7000ml/分の流速を有し、これは、呼気1回当たり、500mlの平均容量に相当する。人間にとって一定の流速で息を吐くことは殆ど不可能で、従って平均容量500mlを中心に大きな変動が生じる。前記第1の手段を有する装置を使用することにより、供給チャンネルの入口で呼気当たり予め定められた容量のガス混合物を受け取ることを確保できる。
【0005】
前記装置は、原則として、任意の好適なアンモニア測定システムを備える。しかし、前記装置は、例えばチップの形態の小型のアンモニア測定システムを備えることが好ましい。小型であるため、このようなセンサを備える装置を容易に設置できる。従ってこの装置を、口の位置に配置した支持構造に収容することにより、テスト対象にこの好ましい例による装置を装着することが可能になる。この好ましい例の装置を、例えばバッグのような運搬手段に収容することも可能である。
【0006】
特に好適なアンモニア測定システムは、実質的に3種類の要素、つまりガス混合物のサンプリングユニット、選択ユニット及び検出ユニットを備える。微細孔を有し、撥水性でガス透過性の膜を通して、分析用ガス混合物は、酸を有するサンプリングユニットと接触し、ここでガス混合物の一部が溶解する。サンプリングユニットが酸雰囲気であること及びアンモニアの高溶解度のため、非常に少量のアンモニアしかアンモニアイオンに変換されない。これは呼気中の例えばCOのような、ガス混合物中に存在する溶解性の低い分子については適用されない。このようにして形成された酸性のガス混合物溶液は、同様に膜で分離された2つの空間を有する選択ユニットにポンプで移送される。いずれかの空間で、(他のイオンを除去し)精製された水が循環する。他の空間には、酸性のガス混合物溶液が位置し、そこには、好適な塩基性溶液が追加される。溶液中のアンモニアイオンは、これにより中和されてアンモニアガスを生成し、該ガスの少なくとも一部は膜を通って他の空間に存在する水流に向けて拡散する。溶液中に存在する他の分子はイオン化せず、膜を通って拡散しない。
【0007】
従って選択ユニットは、実質的にアンモニアが水流中に入ることを確保する。検出ユニットは、アンモニアイオンの含有量を検出する電気伝導度センサを備える。水中のアンモニアイオン濃度が高いと、伝導度も高くなる。
【0008】
本発明装置の好ましい態様では、第2の手段は、アンモニア測定システムへのガス混合物の流速を測定する流量計、及び測定した流速に対して測定したアンモニア含有量を修正する修正手段を備えることを特徴とする。アンモニア含有量、特に比較的低いアンモニア含有量の測定は、ガス混合物の流速に大きく依存することが見出された。この依存性表示の好適な手法は、アンモニア含有量のガス混合物流に対する検量線によるものである。本発明の好適な修正手段はコンピュータであり、該コンピュータは、測定したアンモニア含有量のガス混合物流に対する予め決定したテスト用の依存性に関する知識及び測定したガス混合物流速に関する知識を使用して、決定したガス混合物流に対するアンモニア含有量を決定できる。所望のガス混合物流速がどのようなものであるかは、測定時の特定条件に依存する。呼気中のアンモニア含有量を決定するための用途では、一般に約50ml/分の流速が選択されるが、本発明はこれに限定されない。
【0009】
本発明の他の好ましい態様では、本装置は、ガス混合物を、ほぼ一定の流速でアンモニア測定システムへ供給するポンプ手段の形態の第2の手段を備える。第1の手段は、供給チャンネルで呼気及び吸気サイクル当たり予め定められた容量の呼気を受け取ることを確保でき、その後定流速ポンプ手段が、実質的に一定流速のガス混合物をアンモニア測定システムに供給することを確保する。本発明の好ましい変形例では、修正手段を要しないという利点がある。更に所望の測定流速を簡単に調節できる。ポンプ手段はそれ自身既知で、小型の装置を含む。好適なポンプ手段は、例えば電磁気又はメンブランポンプである。
【0010】
本発明装置の更に他の態様は、前記第2の手段が、アンモニア測定システムの圧力差を調節する圧力調節手段を備えることを特徴とする。このような好ましい変形例は、アンモニア測定システムへの実質的に一定のガス混合物流速の供給を可能にするために、定流速ポンプ手段を必ずしも備える必要がないことである。これは装置を簡略化し、従って高信頼性にする。入口とアンモニア測定システム間の供給チャンネルには、出口を有する少なくとも1本の分枝管が備えられていることが好ましい。供給チャンネルは、(第2の)コントロールバルブを有する分枝管の下流側に備えられていることが更に好ましい。第1の調節手段が、(第1の)コントロールバルブを備えていると有利である。本発明では、呼気から生じる圧力レベルが前記チャンネル中に達すると、ガス混合物流用の供給チャンネルに収容された圧力調節第2バルブは、出口に向けて開く。圧力調節第2バルブは、入口及びアンモニア測定システム間のチャンネル中の第1のコントロールバルブに接続されていることが好ましい。第1のコントロールバルブが開き、圧力調節第2バルブが開くと直ちにかつできるだけ長く、好ましくは供給チャンネルから狭窄部を通してアンモニア測定システムまでガスを運ぶ。これにより、供給チャンネル中の圧力がほぼ一定になり、これによりアンモニア測定システム中のガス混合物の流速もほぼ一定になる。
【0011】
更に他の態様では、本装置には、第1の制御手段の上流側に、流量計を設けても良い。該装置には、ガス混合物が一時的に蓄えられる緩衝空間が配置されていることが好ましく、該緩衝空間は、入口と少なくとも1本の分枝管の間に位置する。このようなか緩衝空間は、決められた容量の呼気を一時的に蓄えることを確保する。緩衝空間を上流に、そしてコントロールバルブの下流に設置すると、緩衝空間中の1回あたりの呼気中の空気容量を一時的に蓄え、それをほぼ一定の流速でアンモニア測定システムへ導くという選択肢が生じるため好ましい。複数の呼気の容量を混合することを回避し、これにより測定の精度が更に向上する。
【0012】
本発明の装置は、ガス混合物が呼気を含み、更に該装置は、入口に接続された呼気供給手段を備えるよう特徴付けると、更に有利になる。これにより、呼気を実質的に制御された手法で、特にアンモニア測定システムに供給することが可能になる。供給手段は可撓性管であることが好ましく、好適なマウスピースが装着されていることが望ましい。
【0013】
更に他の本発明装置の態様は、少なくともアンモニア測定システムを加熱する加熱手段を備える。従って前記装置を、例えば加熱可能なホルダ中に配置できる。装置に加熱手段を装着すると、呼気を減少させあるいは凝縮を回避できる。更にアンモニア含有量の正確な測定が促進される。供給手段も加熱されることは有利なことである。該装置には、この目的のために、電源に接続可能な抵抗線の形態の加熱手段を設置することが好ましい。凝縮が実質的に回避できる温度まで加熱すると、原理的には十分であり、正確な温度は、多くの因子の中でも、環境の温度と湿度に依存する。しかし、温度調節器も有する加熱手段を備えることが有利である。このような調節器を使用すると、装置のあるいはそのパーツを予め定めた所望温度、つまり最も好適なレベルにセットできる。呼気中のアンモニア含有量を測定する装置で、可撓管の形態の供給手段を使用する場合、最も好適な温度は本体温度より数度高い温度、好ましくは10度まで高い温度、より好ましくは5℃まで高い温度に加熱することであることが見出された。
【0014】
本発明装置は多くの用途に使用できる。従って、前記装置を使用して、例えば工場の周囲や高度に都市化された区域などの環境中のアンモニア含有量を測定できる。しかし本装置は、人間が排出する呼気に含まれる空気流中のアンモニア含有量測定に使用することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明装置を使用する利点は、人間が身体運動を行い、この運動中にアンモニア含有量を測定するときに、特に明白である。本装置は、無酸素運動の限界が、測定したアンモニア含有量から決定するために適することが見出された。人体は、多くの部分が、炭素、水素及び窒素から構成される。これらの原子はアミノ酸及び糖の形態で一般に存在する。的確に機能するために、人体はエネルギを必要とし、エネルギは、特に酸素を消費して二酸化炭素を生産する燃焼プロセスで得られる。アミノ酸も燃焼の間に分解してアンモニアを生成する。通常の状態では、人体中のアンモニア含有量は非常に低く、30μモル/Lのオーダーである。しかし身体運動の間、無酸素運動の限界を超えると、この含有量は、100〜200μモル/Lのオーダーに上昇する。この比較的突然のアンモニア含有量の増加は、筋肉中の乳酸塩生成に帰することができる。無酸素運動の限界を超えると、スポーツパーソンは疲労が顕著になり、スローダウンの必要性が生じる。更に無酸素運動未満のトレーニングは、無酸素運動の限界を超えるトレーニングより効果的である。従って個人的な無酸素運動の限界を決めることは、スポーツパーソンにとって本質的な重要性を有する。無酸素運動の限界は、公知技術に従って、血中乳酸塩値を測定することにより決定する。この公知法は、連続的な採血、例えば3分ごとの採血を必要とし、アスリートにとって大きな負担になる。正確で負担の少ない方法が本発明により提供され、息中のアンモニア含有量を測定することにより無酸素運動の限界を決定できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を装置に適用したアンモニア測定システムの概略図。
【図2】本発明による装置の第1実施例を示す概略図。
【図3】本発明による装置の第2実施例を示す概略図。
【図4】本発明による装置の第3実施例を示す概略図。
【図5】ガス混合物中に存在するアンモニアの関数としての導電性を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を、添付図面に示す非限定的な実施例に基づいて説明する。
【0018】
図1は、本発明の装置に適用した小型のアンモニア測定システム10を示す。本発明はこれに限定されるものではないが、装置の操作とアンモニア測定システム10を、呼気中のアンモニア含有量を測定するための下記実施例に基づいて説明する。
【0019】
通常このようなガス混合物は、少なくとも酸素、CO2及び低含有量のアンモニアを含む。アンモニア測定システム10は実質的に3種の要素、つまりガス混合物のサンプリングユニット11、選択ユニット12及び検出ユニット13を備えている。サンプリングユニット11は、分析対象のガス混合物、この場合呼気を、供給管111を通してポンプ供給する空間110を有する。第2の空間112は、例えばNaHSO4である好適な酸に溶解したガス混合物の溶液を含んでいる。前記酸は、供給管114を通して空間112にポンプ供給される。前記2空間110、112は、微細孔を有し、撥水性であるが、ガス透過性の膜113で分離されている。ガス混合物は膜113を通して拡散できるので、空間112の溶解状態と空間110中のガス相間に平衡が生じる。過剰なガス混合物は必要があれば、排出管115から排出できる。空間112が酸性雰囲気であること、及びアンモニアの高溶解度のため、非常に少量のアンモニアしかアンモニアイオンに変換されない。これは、同様にガス混合物中に存在するが、溶解性が非常に低いCO2には適用されない。このように生成した酸性のガス混合物溶液は、供給管116を通して選択ユニット12に供給される。選択ユニット12も同じように2個の空間120、122を有する。空間120では、(他のイオンを除去し)精製された水が供給管121を通して循環する。空間122は、好適な塩基性溶液、例えば0.25MのNaOH溶液が供給管124を通して供給される酸性のガス混合物溶液を有している。従って溶液のpHは、例えばpH=13まで上昇する。溶液中のアンモニアイオンは、中和されてアンモニアガスを生成し、該ガスの少なくとも一部は第2の膜123を通って空間120に存在する水流に向けて拡散する。しかし溶液中に存在するCO2は実質的にイオン化し、排出管125から排出される。従って選択ユニット12は、実質的にアンモニアが水流中に入ることを確保する。検出ユニット13は、空間130を有し、ことにはアンモニアを含む精製水が位置している。アンモニアガスは少なくとも部分的に水と反応してイオンを形成する。過剰の水は管135から抜き出される。空間130は、電気伝導度センサ131を備えている。センサ131で測定された導電度は、他の因子の中でも、電解液の導電度と検出ユニット13のセル定数に依存する。電解液の導電度は、電解液中の存在する全てのイオンの含有量(モル/tn3で表した値)とこれらのイオンの導電度の積である。水中のアンモニアイオン濃度が高くなると、導電度も高くなる。ガス混合物中のアンモニア含有量とセンサ131で測定した導電度の関係の例を図5に示す。y軸に沿って示した導電度150(μS単位で測定)は、x軸に沿って示したガス混合物中のアンモニア含有量151(μM単位で測定)に対して非直線的に増加する関係を有する。この曲線は、導電度150の測定値を、ガス混合物中のアンモニア含有量151の測定値に変換するために使用できる。図示のセンサ10は、比較的低濃度のアンモニア含有量、好ましくはppbレベル(10億分の1部)未満のアンモニアを測定できる。
【0020】
図2には、本発明の第1実施例の装置を示している。該装置1は、少なくとも1個のガス混合物用入口14及び出口15を備えている。入口14及び出口15の間には、前述したタイプのアンモニア測定システム10が位置している。該アンモニア測定システム10は、供給管のシステム16を通して入口14及び出口15に接続され、前記供給管システム16を通して分析するガス混合物が運ばれる。前記装置1には、例えばアンモニア測定システム10の良好な操作のために必要な、供給及び排出管のような補助手段が装着されていても良いことは明瞭である。これらの補助手段は図2から4に詳細には示していない。その説明については、図1に関する説明を参照のこと。図示の実施例装置には、呼気中のアンモニア含有量測定用の器具が装着されている。この目的のため、入口14にはマウスピースが装着されている。更に装置1には、コントロールバルブ16の形態の第1の制御手段が装着されている。該コントロールバルブ16は、入口14から管システム13へのガス混合物の流れを制御する。該コントロールバルブ16には、排出管17も接続され、これを通して、開状態のコントロールバルブ16から管17へ過剰の呼気が排出される。大気も管17を通して吸気される。前記本発明装置1には、更にポンプ、例えば電磁ポンプ又は膜ポンプが装着されている。コントロールバルブ16から管システム13が開いている位置では、呼気は、ポンプ18により、この管システム13からアンモニア測定システムに運ばれ、そこで入口111に入る(図1参照)。前記ポンプ18は、ガス混合物がアンモニア測定システム10に実質的で定速度流で供給されるように構成されている。この構成のため、アンモニア含有量測定は、より正確になり、1ppm未満、好ましくは100ppb未満、より好ましくは1ppb未満のアンモニア含有量の測定が可能になる。前記装置は、更に環境への出口20を有する少なくとも1本の分枝路19を備える。望ましければ、過剰のガス混合物はこの分枝路19から排出しても良い。前記装置1は実質的に次のように操作される。テストの対象が入口14から流れ込む場合は、コントロールバルブ16の開位置で、空気流が管13a及び分枝路19で維持される。テストの対象に大きく依存するが、呼気の典型的な流量は7000〜8000ml/分のオーダーである。しかしこれは一定の流れではなく、これは吸気及び呼気は平均して1分間に13〜15回起こるからである。従って1回の呼気当たり、約500mlの平均流速が得られる。この空気流の一部は、出口20を通って再度装置を離れる。ポンプ18は、空気流の一部が取り出されて、実質的な定常流が管13bからアンモニア測定システム10に供給されることを確保する。本発明はこれに限定されるものではないが、平均流速が、10から100ml/分、好ましくは25から80ml/分、最も好ましくは35から65ml/分であると、良好な結果が得られることが見出された。分析の後、ガス混合物は管13c及び排出管15を通って装置を離れる。
【0021】
本発明の装置1の第2実施例が図3に示されている。この実施例は、コントロールバルブ16の上流側に、流量計21を設けた点で、図2の実施例と異なっている。管システム13内には、緩衝空間22が配置されている。この緩衝空間22は図示の例では、分枝路19の上流側に位置しているが、これは本質的なことではない。図4の実施例装置は、分枝路19の緩衝空間22の下流側に位置する第2のコントロールバルブ23を有していても良い。前述の要素は、ホルダ25中に収容されて保持されても良い。呼気は、入口に接続された呼気供給手段24を通してホルダ25に供給される。前記供給手段24は、例えば一端にマウスピースが装着された所定長さの可撓性の管又はホースを備える。テスト対象は、望ましくは離れて位置する装置の他の部材に邪魔されずに、比較的容易に空気中に息を吹き付けられる。少なくともアンモニア測定システム10における凝縮を防止するため、装置1には、例えば電源に接続可能な抵抗線の形態の加熱手段26を設置することが好ましい。図3及び4に示した好適な実施例では、少なくともハッチングを付した部分、つまり可撓性管24及びホルダ25を加熱する。しかしより数の少ない部材、例えばアンモニア測定システム10のみを加熱することも可能である。加熱される部材を実質的に本体温度まで、あるいは望ましくは、それより僅かに高い温度に、好ましくは10℃まで、より好ましくは5℃まで高い温度に加熱することが有利である。アンモニア測定を更に改良するために、温度調節器(図示せず)も有する加熱手段26を備えることが望ましい。図3の実施例は実質的に次のように操作される。コントロールバルブ16が開いていて、テスト対象が空気を供給管24に吹き付けると、空気流が緩衝空間22に入る。この空気流の一部が、管部13a及び19及び排出管20を通して再度装置を離れる。ポンプ18は、空気流の一部が取り出されて、実質的な定常流が管13bからアンモニア測定システム10に供給されることを確保する。分析の後、ガス混合物は管13c及び排出管15を通って装置を離れる。呼気の間、呼気の空気流の流速が流量計21を使用して測定される。この測定を使用して、緩衝空間22が一度補充空気で充填されるために必要とされるコントロールバルブ16の開口時間を計算する。緩衝空間22が補充空気で充填された瞬間に、コントロールバルブ16を閉じ、過剰な呼吸された空気を管17から大気中へ排出する。緩衝空間22に存在する補充空気は、定速ポンプ18を使用して、アンモニア測定システム10に送られる。より好ましい態様では、管19が、第2のコントロールバルブ23(図3には示さない)とともに、緩衝空間22の下流側に設置される。テスト対象が再度息を吐いた瞬間に、それを流量計21で測定する。これでコントロールバルブ23が作動し、開く。依然として緩衝空間22に存在する空気は、これにより排出管20を通して排出される。緩衝空間内の空気はこのようにして補充空気と置換され、その後、2個のコントロールバルブ16、23が閉じる。この実施例の付加的な利点は、吸気の間にも空気が、ポンプ18を使用してアンモニア測定システム10に送られ、従って連続的な測定が可能になる。更に測定は常に補充空気に対して行われ、これにより測定の精度が高まる。これは図1の実施例では不可能である。これは、本実施例には一定の流速の空気流が連続的に利用できないという欠点があるからである。サンプリング時間は、実質的に一定な流速を利用できる時間より小さいか同じにしなければならない。
【0022】
他の好ましい実施例を図4に示す。この例では、定速流量ポンプは使用しない。図示の装置では、緩衝空間22には、圧力調節バルブ23が接続され、緩衝空間22中の圧力が決められた値(呼気の結果として)に達したときに、前記バルブ23は、(排出管20に向けて)開く。この圧力調節バルブ23は、アンモニア測定システム10へ向かう管13bに収容され、かつ圧力調節バルブ23が開くとなるべく早くかつなるべく長く開いている。これによりほぼ一定の圧力が緩衝空間22で得られる。バルブ27の開位置では、空気は緩衝空間22から狭窄部(図示せず)を通って、アンモニア測定システム10まで運ばれることが好ましい。これにより、この目的に必要な定速ポンプ18を使用せずに、ほぼ一定の流速がアンモニア測定システムで同様に達成される。
【0023】
他の好ましい実施例の装置1では、流量計を使用して、アンモニア測定システム10へのガス混合物の流速を測定する。装置は更に修正手段(図示せず)を備え、測定した流速に対して、測定したアンモニア含有量を修正する。これは、測定したアンモニア含有量の試験しているガス混合物の流速への予め定めた依存性に基づいて行う。この従属性を表示する好適な方法は、アンモニア含有量のガス混合物の流速に対する検量線である。
【0024】
本発明が図示し説明した実施例に限定されるべきでないのは明らかであり、特許請求の範囲に基づいて、当業者に自明な変形例を含む。
【符号の説明】
【0025】
1 装置
10 アンモニア測定システム
11 サンプリングユニット
12 選択ユニット
13 検出ユニット (管システム13)
14、111 入口
15、20 出口
16 コントロールバルブ(第1の制御手段、供給管システム)
17 排出管
18 ポンプ
19 分枝路
21 流量計
22 緩衝空間
23 コントロールバルブ
24 可撓性管
25 ホルダ
26 加熱手段
110、112、130 空間
111、114 供給管
113、123 膜
131 電気伝導度センサ
150 導電度
151 アンモニア含有量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個のガス混合物の入口及び少なくとも1個のガス混合物の出口、その間に設置された供給チャンネル及びそれに接続されたアンモニア測定システムを備える装置であって、
該装置は、前記入口を通るガス混合物流を調節する第1の調節手段、及びガス混合物の流速に実質的に影響されずにアンモニア含有量を測定する第2の手段を備えることを特徴とするガス混合物中のアンモニア含有量の測定装置。
【請求項2】
前記第2の手段は、アンモニア測定システムへのガス混合物の流速を測定する流量計、及び測定した流速に対して測定したアンモニア含有量を修正する修正手段を備えることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記第2の手段は、ガス混合物を、ほぼ一定の流速でアンモニア測定システムへ供給するポンプ手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記第2の手段は、アンモニア測定システムの圧力差を調節する圧力調節手段を備えることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
装置が、入口と、出口を有する少なくとも1本の分枝管を有するアンモニア測定システム間に設けられていることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
第1の調節手段の上流側に、流量計を備えることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
第1の調節手段がコントロールバルブを備えることを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
コントロールバルブが、分枝管の下流側に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項9】
ガス混合物が一時的に貯留される緩衝空間も有することを特徴とする請求項1から8までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
緩衝空間が、入口と少なくとも1本の分枝管の間に設けられていることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記装置は、緩衝空間と少なくとも1本の緩衝空間出口間に第2の調節手段を備えることを特徴とする請求項9又は10に記載の装置。
【請求項12】
ガス混合物が呼気を含み、装置は、入口に接続された呼気供給手段を備えることを特徴とする請求項1から11までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
供給手段が可撓チューブであることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
装置が更に、少なくともアンモニア測定システムを加熱する加熱手段を備えることを特徴とする請求項1から13までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
加熱手段が、電源に接続可能な抵抗線であることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
加熱手段が、温度調節器であることを特徴とする請求項14又は15に記載の装置。
【請求項17】
人間が吐いた空気流中のアンモニア含有量を測定するための請求項1から16までのいずれか1項に記載の装置の使用方法。
【請求項18】
人間が身体運動を行い、この運動の間に、アンモニア含有量を測定するようにした請求項17に記載の装置の使用方法。
【請求項19】
無酸素運動の限界が、測定したアンモニア含有量から決定される請求項18に記載の装置の使用方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2010−509586(P2010−509586A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536183(P2009−536183)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【国際出願番号】PCT/NL2007/050551
【国際公開番号】WO2008/056985
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(509129635)ユニフェルシテイト トウェンテ (3)
【Fターム(参考)】