説明

ガス貯蔵用バルーン

【課題】 一重壁構造でありながら、外部装置との結合も可能であるようなガス貯蔵用バルーンの構成を提供すること。
【解決手段】 内外を隔てる壁を一重構造とし、上下方向の全体又は下側の一部分11が板状又はネット状の容器2内に収容され、かつ当該容器2と結合していることに基づく、ガス貯蔵用バルーン1であって、前記結合を実現するためには、バルーン1の上下方向中途部位においてベルト13を巻着状態とし、当該ベルト13に設けた孔と容器2の上端部に設けた孔とに、ロープを挿入することによって、又は当該ベルト13に設けた突起を容器2の上端に設けた孔へ挿入することによって、バルーン1と容器2とを結合させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスを貯蔵するためのバルーン、即ち気球に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガス貯蔵用バルーンは、既にこれまで採用されており、貯蔵容器が変形自在であり、かつ、比較的軽量であることに特徴を有している。
【0003】
しかして、従来技術のガス貯蔵用バルーンは、従来のガス貯蔵用バルーンの構成は、図3に示すように、二重構成であってガスを貯蔵する内膜41とその保護のための外膜を設けている。
【0004】
外膜42は自らの形状を維持するために、ホース43を介してブロア44からエアを注入されており、かつその下側面は、床との間で略機密状態にて固定されている。
【0005】
しかしながら、ガスの貯蔵という本来の機能を考慮するならば、前記のような二重構造である必要はなく、しかも台風の到来等の場合、外膜を畳むことが極めて煩雑であり、連続使用という点において不都合であるばかりか、通常の使用段階において常時ブロア44を介してエアを注入しているため、余分な電力コストを要し、使用上の経済コストの点においても明らかに不利である。
【0006】
然るに、このような二重構造の不都合を克服するようなガス貯蔵用バルーン1の構成はこれまで提唱されている訳ではない。
【0007】
【特許文献1】特開2002−130595号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、一重膜構成に立脚したうえで、折り畳みが用意であり、かつ、台風が到来しても使用が可能であり、しかも従来技術の外膜の場合のように、形状を維持するためにエアの注入を必要としないガス貯蔵用バルーンの構成を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明の基本構成は、内外を隔てる膜を一重構造とし、上下方向の全体または下側の一部分が板状又はネット状の容器内に収容され、かつ当該容器と結合していることに基づくガス貯蔵用バルーンからなる。
【発明の効果】
【0010】
前記構成による本発明においては、一重膜構造の上下方向の全体又は下側の一部を容器に収納することによって、台風の到来時においても使用可能であり、しかも、形状維持の為に常時ブロアを運転し、かつそのために電力を消費することは不要であり、経済コストにおいて明らかに有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明においては、バルーンの上下方向の全体又は下側位置部分(尚、以下前記下側の一部分を「下側部分」と略称する)が容器に収容され、かつ当該容器と結合していることを要件としているが、容器を下側の床又は地面と結合させることによって、バルーンは当該容器内にて安定した状態にて使用することができる。
【0012】
即ち、容器の地面又は床の安定した固着で、バルーンも又台風が到来しても安定した仕様状態を実現することができる。
【0013】
図1は典型的な実施形態を示すが、図1(a)に示すような上側部分11と下側部分12とが結合しているバルーン1を図(b)に示すように容器2に収納したうえで、図1(c)に示すように双方を結合する場合が多い(但し、バルーン1の上下方向全体が容器2に収容するような実施形態は当然可能である)。
前記容器2としては、板状又はネット状の何れも採用可能であるが、製造コスト及び装置の軽量化とういう点ではネット状の容器2の方が有利である。
【0014】
バルーン1と容器2との結合方式としては、バルーン1の上下方向中途部位においてベルト13が巻着した状態とし、当該ベルト13に設けた孔と容器2の上端部に設けた孔とに、ロープを挿入することによって、バルーン1と容器2とを結合させることを特徴とする実施形態、又はバルーン1の上下方向中途部位においてベルト13を巻着した状態とし、当該ベルト13を設けた突起を容器2の上端に設けた孔へ挿入することによってバルーン1と容器2とを結合させることを特徴とする実施形態を好適に採用することが出来る。
【0015】
但し、前記結合方式はこれらの実施形態に限定される訳ではない。
【0016】
ベルト13を前記中途部位に巻着する方式は特に限定されている訳ではないが、バルーン1の上下方向中途部位の上側部分11と下側部分12とを予め成形し、当該中途部位において下側部分12を外側とし、上側部分11を内側としたうえで双方を所定の領域幅を以って溶着し、下側部分12の素材が当該溶着部分から上側方向所定幅を以って突出し、かつ上側部分11の周囲を囲んだ状態にすることによってベルト13の巻着状態を実現することを特徴とする実施形態の場合には、別の素材によってベルト13を用意せずに、下側部分12の素材を延長することによってベルト13を形成できる点において有利である。
【0017】
本発明のガス貯蔵用バルーン1の場合には、ガスを貯蔵していない場合には、前記容器2内にバルーン1を収納することが可能となり、その当該容器2と一体に搬送及び保存を行うことが出来、取扱上便利である。
【0018】
バルーン1の頂部の近傍には、吊下用ロープと結合する略円輪状の吊上用板3が接合されているが、当該吊上用板の重量は、ガスが充満している段階では、バルーン1の容器2によって支えられていない上半部は自然に沈下するような程度であるならば、バルーン1を容器2内に押し込むための労力を省略することが出来る点において便利である。
【0019】
本発明に係るバルーン1の一重壁の素材は、殆どの場合塩化ビニール(PVC)等のプラスチックを採用するが、素材の厚さ及び密度は、バルーン1の容量、及び収容するガスの圧力等を考慮した上で適宜設定することになる。
以下実施例に即して説明する。
【実施例】
【0020】
実施例においては、図2に示すように、帯状の曲折自在の素材を採用し、上側部分11のうち、頂部以外の筒状部を形成している部分につき、当該帯状素材14の長手方向及び相互の溶着方向を横方向としたうえで、複数本の帯状素材14を上下方向に順次溶着させ、容器と結合している下方部分ののうち、頂部以外の筒状部を形成している部分につき、当該帯状素材14を長手方向及び相互の溶着方向を上下方向としたうえで、複数本の帯状素材14を横方向に相互に順次溶着させていることを特徴としている。
【0021】
このような実施例の構成においては、容器2によって支えられていない上側部分11は、ガスを貯蔵していない場合には、各帯状の素材14を単位として均等に折れ曲がり、順次容器2内に収容することが可能となる一方、容器2によって支えられている下側部分12は、帯状の素材14が縦方向に溶接されているため、折れ曲り難いため、本来の形状又はこれに近い形状を維持した状態にて容器2内に収容されることになる。
【0022】
したがって、実施例の構成は、容器2内によって収容し易いという点において、本発明に基本構成にマッチしている。
【0023】
尚、本発明の基本構成及び実施例の構成においても、図2に示すように、略二等辺三角形状の素材15を採用し、略二等辺による相互の溶着方向を頂部に集中するような湾曲した傾斜方向としたうえで、頂部の周囲に順次溶着させていることを特徴とするような構成を採用することによって、上側中部付近及び下側中部付近を略均一な構成とし、しかも不要な折曲を防止することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、都市ガス等の一般公共用のガスの貯蔵、バイオガス等の採集等に使用することが出来、このような用法に関連する産業において利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の基本原理を示しており、(a)はバルーンの基本構成を示す側面図であり、(b)は容器の基本構成を示す側面図であり、(c)は双方が結合した状態を示す断面図である(尚、黒印は、バルーンと容器とが接合されている部位を示す)。
【図2】実施例によるバルーンの構成を示す側面図である。
【図3】従来技術によるバルーンの構成を示す側面及び断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 バルーン
11 上側部分
12 下側部分
13 ベルト
14 帯状の素材
15 略二等辺三角形状の素材
2 容器
3 略円輪状の吊上用板
41 内膜
42 外膜
43 ホース
44 ブロア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内外を隔てる膜を一重構造とし、上下方向の全体又は下側の一部分が板状又はネット状の容器内に収容され、かつ当該容器と結合していることに基づくガス貯蔵用バルーン。
【請求項2】
バルーンの上下方向中途部位においてベルトを巻着した状態とし、当該ベルトに設けた孔と容器の上端部に設けた孔とに、ロープを挿入することによって、バルーンと容器とを結合させることを特徴とする請求項1記載のガス貯蔵用バルーン。
【請求項3】
バルーンの上下方向中途部位においてベルトを巻着した状態とし、当該ベルトを設けた突起を容器の上端に設けた孔へ挿入することによってバルーンと容器とを結合させることを特徴とする請求項1記載のガス貯蔵用バルーン。
【請求項4】
バルーンの上下方向中途部位の上側部分と下側部分とを予め成形し、当該中途部位において下側部分を外側とし、上側部分を内側としたうえで双方を所定の領域幅を以って溶着し、下側部分の素材が当該溶着部分から上側方向所定幅を以って突出し、かつ上側部分の周囲を囲んだ状態にすることによってベルトの巻着状態を実現することを特徴とする請求項2,3記載のガス貯蔵用バルーン。
【請求項5】
帯状の曲折自在の素材を採用し、上側部分のうち、頂部以外の筒状部を形成している部分につき、当該帯状素材の長手方向及び相互の溶着方向を横方向としたうえで、複数本の帯状素材を上下方向に順次溶着させ、容器と結合している下方部分ののうち、頂部以外の筒状部を形成している部分につき、当該帯状素材を長手方向及び相互の溶着方向を上下方向としたうえで、複数本の帯状素材を横方向に相互に順次溶着させていることを特徴とする請求項1記載のガス貯蔵用バルーン。
【請求項6】
略二等辺三角形状の素材を採用し、略二等辺による相互の溶着方向を頂部に集中するような湾曲した傾斜方向としたうえで、頂部の周囲に順次溶着させていることを特徴とする請求項5記載のガス貯蔵用バルーン。
【請求項7】
バルーンの頂部の近傍に金属製の略円輪状の吊上用板を接合しており、かつ、当該吊上用板の自重によって、バルーンにガスを充満していない場合に、容器によって支持されていない上側部分が下方に沈下し得ることを特徴とする請求項1、5記載のガス貯蔵用バルーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−46758(P2007−46758A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−234369(P2005−234369)
【出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【出願人】(599051890)株式会社風船工房匠 (13)
【出願人】(501370370)三菱重工環境エンジニアリング株式会社 (175)
【出願人】(000247535)株式会社モリプラント (8)