説明

ガス除去具

【課題】ppbレベルの微量なガスによっても悪影響を蒙るような物品と一緒に支障なく密封ないしは梱包できて、この密封ないしは梱包状態が続く間かかるガスを静的に捕捉除去し得るガス除去具の提供。
【解決手段】ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)よりなるシート体11aを主体として構成される通気性を備えた袋体1内に、ガス吸着剤2を封入させてなる。袋体1は、幅広の両面10、10を備えて断面を扁平とするように構成されている。ガス除去剤2としては、粉状の活性炭、粒状の活性炭、シート状に成形した活性炭などが用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各種の密封空間や梱包空間内に納められた各種の物品に対してこれらの空間内で悪影響を及ぼし得る微量なガスを、これらの空間内にこれらの物品と一緒に納められて、いわば静的に除去するガス除去具に関する。
【背景技術】
【0002】
通気孔を備えたプラスチック製の容器などの中にガス吸着剤を充填してなるガス除去具が、脱臭剤などとして汎用されている。
【0003】
一方、半導体や液晶パネル、シリコンウエハー、美術品などにあっては、これらを納める密封空間や梱包空間内に、密封時や梱包時に、あるいは事後に、存在することとなったppbレベルの微量なガスによっても悪影響を蒙ることから、こうした空間内に前記のようなガス除去具を一緒に納め、密封ないしは梱包状態が継続する限り、かかるガス除去具によって前記の微量なガスを捕捉・除去できるようにしておくことが望まれるところである。
【0004】
しかるに、汎用されているガス除去具にあっては、ガス吸着剤を充填備える容器など自体が微量なガスや塵芥を生じ得るものであるため、こうしたガス吸着剤はppbレベルの微量なガスによっても悪影響を蒙るような物品が密封ないしは梱包されている空間にはそもそも一緒に納め得るようなものではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、ppbレベルの微量なガスによっても悪影響を蒙るような物品と一緒に支障なく密封ないしは梱包できて、この密封ないしは梱包状態が続く間かかるガスを静的に捕捉除去し得るガス除去具を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、この発明にあっては、ガス除去具を、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)よりなるシート体を主体として構成される通気性を備えた袋体内に、ガス吸着剤を封入させてなるものとした。
【0007】
かかる袋体は通気性を有し、密閉空間や梱包空間内にこれらの空間内に納められる物品と一緒に納められたガス除去具の袋体内はかかる空間の一部をなす。従って、かかる空間内に袋体内に封入されたガス除去剤によって吸着され得るガスがある場合にはかかるガスはガス除去具によって捕捉され、かかる空間内に納められた物品へのこのガスによる影響をできる限り生じさせないようにすることができる。袋体を構成するPTFEよりなるシート体は、自身よりガスや粉塵を生じさせることがなく、また、袋体に封入されたガス除去剤から生じる粉塵などを外部に漏れ出させることもない。
【0008】
前記袋体を、幅広の両面を備えて断面を扁平とするように構成させておくこともある。
【0009】
このようにした場合、前記空間内に、かかる幅広の両面のいずれかを下にして落ち着き良くガス除去具を設置することができる。
【発明の効果】
【0010】
この発明にかかるガス除去具は、PTFEよりなるシート体を主体として構成された袋体内にガス除去剤を封入させてなることから、ppbレベルの微量なガスによっても悪影響を蒙るような物品と一緒に支障なく密封ないしは梱包でき、そして、この密封ないしは梱包状態が続く間、封入されたガス吸着剤によってかかるガスを静的に捕捉除去する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0012】
この実施の形態にかかるガス除去具は、各種の密封空間や梱包空間内に納められた各種の物品に対してこれらの空間内で悪影響を及ぼし得る微量なガスを、これらの空間内にこれらの物品と一緒に納められて、いわば静的に除去するために用いられるものである。
【0013】
かかる空間としては、典型的には、以下のような空間を想定するものである。
(1)美術館や博物館の展示ケース内の空間
(2)半導体や液晶パネルなどの電子部品や、電子機器の包装体内の空間
(3)シリコンウエハーなどの運搬をなすときに用いるケース内の空間
【0014】
前記ガスとしては、典型的には、以下のようなガスを想定するものである。
(a)酢酸、蟻酸、塩酸などの酸性物質よりなるガス
(b)アンモニア、アミン類などのアルカリ性物質よりなるガス
(c)トルエン、キシレンなどの有機物よりなすガス
【0015】
具体的には、美術館や博物館の展示ケース内の空間にあっては、主として酸性ガス、アルカリ性ガスの除去が求められる。また、電子部品や電子機器の包装体内の空間内やシリコンウエハーなどの運搬をなすときに用いるケース内の空間にあっては、酸性ガス、アルカリ性ガス、有機性ガス全ての除去が求められる。
【0016】
この実施の形態にかかるガス除去具は、これらの空間内に前記のような物品と一緒に納められて、これらの空間内に密封時や梱包時に、あるいは事後的に、存在するに至った前記ガスを吸着・除去するものである。
【0017】
かかるガス除去具は、通気性を備えた袋体1と、この袋体1内に封入されたガス吸着剤2とから構成されている。
【0018】
図1にかかるガス除去具の典型的な構成例の一つを示す。この図示の例では、袋体1は、幅広の両面10、10を備えて断面を扁平とするように構成されている。これにより、図示の例にあっては、前記空間内に、かかる幅広の両面10、10のいずれかを下にして落ち着き良くガス除去具を設置できるようになっている。
【0019】
かかる袋体1は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)よりなるシート体11aを主体として構成されている。
【0020】
具体的には、図示の例にあっては、袋体1は、PTFEを延伸させて得られた、微細な孔を持ったシート体11aの両面に、ポリエチレン(PE)とポリエチレンテレフタレート(PET)との複合素材よりなるシート状の不織布11bを、積層させてなる袋構成材11によって構成されている。図示の例にあっては、二枚のかかる袋構成材11を重ね合わせるようにした状態から、これに一対の縦ヒートシール12、12と一対の横ヒートシール13、13とを施して、幅広の両面10、10を方形とした袋体1を得るようにしている。PTFEは比較的融点が高いが、二枚の袋構成材11、11は袋内面側に位置される前記不織布11bによって前記各ヒートシール12…13により適切にとじ合わされる。ガス除去剤は、前記各ヒートシール12…13のうちの最後のヒートシール13がなされる前に、先だって施された三つのヒートシール12、12、13によって作り出された有底空間内に充填される。この充填後にかかる最後のヒートシール13を施すことによりガス除去剤2は袋体内に封入されることとなる。
【0021】
なお、一枚の袋構成材11を二つ折りにしてその折った側と反対の側に縦ヒートシール12を施すようにする場合には、一つの縦ヒートシール12と一対の横ヒートシール13、13とによって袋体1が形成されることになる。
【0022】
PTFE製のシート体11a、および、袋内面および袋外面を構成するPE製の不織布11bはいずれも通気性を有することから、袋体1は通気性を有し、密閉空間や梱包空間内にこれらの空間内に納められる物品と一緒に納められたガス除去具の袋体1内はかかる空間の一部をなす。従って、かかる空間内に袋体1内に封入されたガス除去剤によって吸着され得るガスがある場合にはかかるガスはガス除去具によって捕捉され、かかる空間内に納められた物品へのこのガスによる影響をできる限り生じさせないようにすることができる。
【0023】
また、袋体1を構成するPTFEよりなるシート体11aは、自身よりガスや粉塵を生じさせることがなく、また、袋体1に封入されたガス除去剤2から生じる粉塵などを外部に漏れ出させることもない。
【0024】
ガス除去剤としては、粉状の活性炭、粒状の活性炭、シート状に成形した活性炭などを用いることができる。
【0025】
また、これらの活性炭を担持体として、酸性化合物(例えば、リン酸化合物、硫酸化合物など)を担持させれば、有機性ガスの他にアルカリ性ガスを効率的に捕捉除去することができる。
【0026】
また、これらの活性炭を担持体として、アルカリ化合物(例えば、炭酸カリウム、炭酸ソーダ、苛性カリウムなど)を担持させれば、有機性ガスの他に酸性ガスを効率的に捕捉除去することができる。
【0027】
また、上記酸性化合物を担持した活性炭とアルカリ化合物を担持した活性炭とをブレンドしてガス除去剤とすれば、有機性ガス、アルカリ性ガス、酸性ガスのいずれをも効率的に捕捉除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】ガス除去具の一例を示した要部破断斜視構成図
【符号の説明】
【0029】
1 袋体
11a シート体
2 ガス吸着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリテトラフルオロエチレンよりなるシート体を主体として構成される通気性を備えた袋体内に、ガス吸着剤を封入させてなることを特徴とするガス除去具。
【請求項2】
袋体が、幅広の両面を備えて断面を扁平とするように構成されていることを特徴とする請求項1記載のガス除去具。

【図1】
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【公開番号】特開2006−297211(P2006−297211A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−119337(P2005−119337)
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【出願人】(596042578)日本ピュアテック株式会社 (15)
【Fターム(参考)】