説明

ガソリン組成物およびその製造方法

【課題】環境負荷が低く、酸化安定性および着火性が高い新規なガソリン組成物を提供する。
【解決手段】硫黄分を1〜10質量ppm、オレフィン分を5〜35容量%、芳香族分を5〜45容量%、前記オレフィン分としてジオレフィン分を3〜140容量ppm含み、リサーチ法オクタン価が89以上97未満、リード蒸気圧が45〜90kPa、50%留出温度が75〜110℃、70℃留出量が18〜45容量%であるガソリン組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガソリン組成物およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、自動車用燃料として好適に用いられるガソリン組成物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の性能を高めながらその環境負荷を軽減することが社会的に要請されており、自動車車輌やガソリン組成物は、始動性、加速性等の運転性能を向上させつつ、二酸化炭素(CO)や窒素酸化物(NOx)等のガス排出量を低減し、酸化安定性等の実用性能を向上させたものが求められるようになっている。
【0003】
このような観点から、近年、自動車には、超希薄燃焼を可能とした直噴エンジンや、排出ガス再循環装置(EGR)を搭載することにより、燃費を向上させCO排出量を低減したり、NOx排出量を低減することが行われている。
【0004】
ところで、ガソリン組成物中には、微量の硫黄分が含まれており、この硫黄分が、主として直噴自動車の排出ガス浄化触媒として用いられる窒素酸化物の活性点を被覆して触媒活性を低下させることが指摘されている。
【0005】
また、ガソリン組成物の酸化安定性を低下させる成分としてオレフィン系炭化水素(不飽和炭化水素)が知られており、特に酸化安定性を低下させるオレフィンとして1,3−ブタジエンやイソプレン等のジオレフィンが知られており、これ等のオレフィンによって、ガソリン組成物は、タンク内での長期貯蔵時に重合や酸化反応を生じてガム分を生成したり、エンジンで燃焼される際に酸化生成物を生じて吸気弁に固着することが指摘されている。
【0006】
ガソリン組成物は、種々のガソリン基材を混合することによって製造されるものであるが、ガソリン組成物に対して上記硫黄化合物やオレフィンをもたらすガソリン基材が、流動接触分解ガソリンである。このため、流動接触分解ガソリン中の硫黄化合物やオレフィンを低減する種々の検討がなされている。
【0007】
例えば、流動接触分解装置から得られる分解ガソリン留分を触媒存在下で過剰量の高圧水素と接触させ、十分な水素化処理を施すことにより、分解ガソリン留分中のオレフィン量を低減させつつ硫黄化合物を硫化水素に変換し除去する方法が考えられる。
しかしながら、オレフィンはガソリン組成物のオクタン価を向上させる成分でもあることから、流動接触分解ガソリン中のオレフィン量が低下すると、ガソリン組成物のオクタン価も低下してしまう。
【0008】
このため、オレフィンのうち分解ガソリン留分中に軽質成分として存在するジオレフィンと硫黄化合物とを選択的に反応させ重質化した後、残存軽質分を蒸留分離し、得られた重質分のみを水素化処理することによって、分解ガソリン留分中のジオレフィンを選択的に水素化処理すると同時に脱硫処理する方法が提案されており、該方法においては、硫黄分とジオレフィンとを高度に除去した上で上記水素化処理した重質分を上記蒸留分離した軽質分と再度混合することにより、酸化安定性を特に低下させるジオレフィン分と硫黄分とを選択的に除去した流動接触分解ガソリンを作製している(特許文献1(特開2008−285549号公報))。そして、特許文献1の表2には、実施例1〜実施例4として、上記処理により得られた流動接触分解ガソリンを基材として作製された、硫黄分量5.8〜10.0質量ppm、オレフィン量22.0〜25.2容量%、ジオレフィン量0.0容量%であるガソリン組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−285549号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、本発明者の検討によれば、特許文献1記載の方法で得られた流動接触分解ガソリンは、酸化安定性が高いものの着火性が低いことから、運転性能が高いガソリン組成物を得ることが難しいことが判明した。
このような状況下、本発明は、環境負荷が低く、酸化安定性および着火性が高いガソリン組成物を提供することを第1の目的とするものである。また、本発明は、上記ガソリン組成物を簡便かつ安価に製造する方法を提供することを第2の目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記技術課題を解決するために、本発明者が鋭意検討したところ、驚くべきことに、硫黄分含有量が1〜10質量ppmであるとともに所定量のオレフィン分を含み、さらに該オレフィン分としてジオレフィン分を敢えて特定量含む特定のガソリン組成物により、上記第一の目的を達成し得ることを見出し、さらに、流動接触分解装置から流出する分解ガソリン留分を水素化精製処理して、硫黄分含有量が1〜20質量ppmで、所定量のオレフィン分を含み、さらに該オレフィン分としてジオレフィン分を敢えて特定量含む流動接触分解ガソリンを作製し、この流動接触分解ガソリンと他のガソリン基材とを混合することによって、上記第二の目的を達成し得ることを見出して、これ等の知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、
(1)硫黄分を1〜10質量ppm、オレフィン分を5〜35容量%、芳香族分を5〜45容量%、前記オレフィン分としてジオレフィン分を3〜140容量ppm含み、
リサーチ法オクタン価が89以上97未満、リード蒸気圧が45〜90kPa、50%留出温度が75〜110℃、70℃留出量が18〜45容量%である
ことを特徴とするガソリン組成物、
(2)酸化安定度が700分以上であり、火炎伝播速度が720cm/秒以上である上記(1)に記載のガソリン組成物、
(3)上記(1)に記載のガソリン組成物を製造する方法であって、
流動接触分解装置から流出する分解ガソリン留分を水素化脱硫処理して、
硫黄分を1〜20質量ppm、オレフィン分を15〜40容量%、芳香族分を15〜40容量%含むとともに、前記オレフィン分としてジオレフィン分を20〜200容量ppm含み、前記オレフィン分中のジオレフィン分の割合が0.01〜0.1容量%で、
リサーチ法オクタン価が87〜93、50%留出温度が90〜130℃
である流動接触分解ガソリンを作製した後、
前記流動接触分解ガソリンと他のガソリン基材とを混合することにより、
硫黄分を1〜10質量ppm、オレフィン分を5〜35容量%、芳香族分を5〜45容量%、前記オレフィン分としてジオレフィン分を3〜140容量ppm含み、
リサーチ法オクタン価が89以上97未満、リード蒸気圧が45〜90kPa、50%留出温度が75〜110℃、70℃留出量が18〜45容量%であるガソリン組成物を作製する
ことを特徴とするガソリン組成物の製造方法、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、硫黄分含有量が1〜10質量ppmであるとともに所定量のオレフィン分を含み、さらに上記オレフィン分としてジオレフィン分を敢えて3〜140容量ppm含むことにより、環境負荷を低減しつつ、酸化安定性および着火性を高めたガソリン組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、分解ガソリン留分を水素化精製処理して、硫黄分含有量が1〜20質量ppmで、所定量のオレフィン分を含み、さらに上記オレフィン分としてジオレフィン分を敢えて特定量含む流動接触分解ガソリンを作製し、この流動接触分解ガソリンと他のガソリン基材とを混合することによって、上記ガソリン組成物を簡便かつ安価に製造する方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
先ず、本発明のガソリン組成物について説明する。
本発明のガソリン組成物は、硫黄分を1〜10質量ppm、オレフィン分を5〜35容量%、芳香族分を5〜45容量%、前記オレフィン分としてジオレフィン分を3〜140容量ppm含み、リサーチ法オクタン価が89以上97未満、リード蒸気圧が45〜90kPa、50%留出温度が75〜110℃、70℃留出量が18〜45容量%であることを特徴とするものである。
【0015】
本発明のガソリン組成物は、硫黄分含有量が1〜10質量ppmであり、1〜8質量ppmであることが適当であり、1〜6質量ppmであることがより適当である。
【0016】
硫黄分含有量が1〜10質量ppmであることにより、排出ガス浄化触媒の能力低下を抑制して、窒素酸化物(NOx)、炭化水素(THC)、一酸化炭素(CO)等の排出量を低減するとともに、排出ガス中の硫黄酸化物(SOx)量を低減することができる。
なお、本出願書類において、硫黄分含有量は、JIS K 2541の規定に準拠して測定した値を意味するものとする。
【0017】
本発明のガソリン組成物は、オレフィン分含有量が5〜35容量%であり、10〜35容量%であることが好ましく、10〜30容量%であることがより好ましい。
オレフィン分含有量が5〜35容量%であることにより、ガソリン組成物の酸化安定性の低下を抑制することができる。
【0018】
本発明のガソリン組成物は、ジオレフィン分含有量は、3〜140容量ppmであり、10〜135容量ppmであることが好ましく、10〜130容量ppmであることがより好ましい。
ジオレフィンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、1,2−ブタジエン、1,4−ペンタジエン、イソプレン、trans−1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ブタジエン、cis−1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、cis/trans−1,4−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,5−ヘプタジエン、1,3−オクタジエンなどが挙げられる。
【0019】
本件出願前においては、ガソリン組成物の酸化安定性を向上させるために、酸化安定性に特に影響するジオレフィンの量を0%にする対応がなされてきた。しかしながら、本発明者が検討したところ、驚くべきことに、敢えてジオレフィン分を3〜140容量ppm含有することにより、良好な酸化安定性能が得られるとともに、優れた着火性(燃焼速度)が得られることを見出した。
また、本発明のガソリン組成物は、ジオレフィンの含有量が3〜140容量ppmであることにより、ガソリン基材である流動接触分解ガソリンの製造時においても、流動接触分解装置から流出する分解ガソリン留分に対し、比較的温和な条件で水素化処理することが可能になるため、ガソリン組成物を簡便かつ安価に製造することができる。
【0020】
本発明のガソリン組成物は、オレフィン分中のジオレフィンの割合が0.01〜0.15容量%であることが好ましく、0.01〜0.12容量%であることがより好ましく、0.015〜0.12容量%であることがさらに好ましい。
【0021】
本発明のガソリン組成物は、芳香族分含有量が5〜45容量%であり、10〜40容量%であることが好ましく、10〜35容量%であることがより好ましい。
芳香族分含有量が5〜45容量%であることにより、排出ガス中の一酸化炭素(CO)量や炭化水素(THC)量の増加を防ぐことができるとともに、燃費の低下や運転性の低下を抑制することができる。
【0022】
本発明のガソリン組成物は、ベンゼン含有量が1容量%以下であることが好ましく、0.8容量%以下であることがより好ましい。ベンゼン含有量が1容量%以下であることにより、排出ガス中のベンゼン量を抑制し、環境負荷を低減できると考えられる。
【0023】
なお、本出願書類において、上記オレフィン分含有量、ジオレフィン分含有量、芳香族分含有量及びベンゼン含有量は、石油学会法JPI−5S−33−90(ガスクロマトグラフ法)の規定に準拠して測定した値を意味する。
【0024】
本発明のガソリン組成物は、さらに必要に応じて、各種の添加剤を含んでもよい。
このような添加剤としては、フェノール系、アミン系等の酸化防止剤、チオアミド化合物等の金属不活性剤、有機リン系化合物等の表面着火防止剤、コハク酸イミド、ポリアルキルアミン、ポリエーテルアミン、ポリイソブチレンアミン等の清浄分散剤、長鎖アルキルアミン、アミド、イミド及びその誘導体等の摩擦調整剤(FM)、多価アルコール及びそのエーテル等の氷結防止剤、有機酸のアルカリ金属やアルカリ土類金属塩、高級アルコールの硫酸エステル等の助燃剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤等の帯電防止剤、アルケニル琥珀酸エステル等の錆止め剤、及びアゾ染料等の着色剤等、公知の燃料添加剤から選ばれる1種以上を挙げることができる。
これら燃料添加剤の添加量は任意であるが、通常、その合計添加量がガソリン組成物全量に対して0.1質量%以下であることが好ましい。
【0025】
本発明のガソリン組成物は、リサーチ法オクタン価(RON)が89以上97未満であり、89〜96であることが好ましく、89〜95であることがより好ましい。
RONが上記範囲にあることにより、高い運転性を発揮することができる。
なお、本出願書類において、RONはJIS K 2280の規定に準拠して測定した値を意味する。
【0026】
本発明のガソリン組成物は、リード蒸気圧(RVP)が45〜90kPaであり、50〜85kPaであることが好ましく、55〜85kPaであることがより好ましい。
本発明のガソリン組成物は、RVPが上記範囲内であることにより、所望の低温始動性や、暖気性を得ることができるとともに、蒸発ガス量を低減することができる。
なお、本出願書類において、リード蒸気圧(RVP)は、JIS K 2258の規定に準拠して測定した値を意味する。
【0027】
本発明のガソリン組成物は、50%留出温度(T50)が75〜110℃であり、80〜105℃であることが好ましく、80〜100℃であることがより好ましい。
また、本発明のガソリン組成物は、70%流出量(E70)が18〜45容量%であり、20〜40容量%であることが好ましく、20〜37容量%であることがより好ましい。
【0028】
本発明のガソリン組成物は、T50およびE70が上記範囲内であることにより、良好な始動性、運転性、加速性を発揮することができる。
なお、本出願書類において、上記T50およびE70は、JIS K 2258の規定に準拠して測定した値を意味する。
【0029】
本発明のガソリン組成物は、酸化安定度が、700分以上であることが好ましく、800分以上であることがより好ましく、900分以上であることがさらに好ましい。
本発明のガソリン組成物は、酸化安定度が700分以上であることにより、ガソリン組成物貯蔵時におけるガム状物質の生成を抑制することができると考えられる。
なお、本出願書類において、酸化安定度は、JIS K 2287(誘導期間法)の規定に準拠して測定した値を意味する。
【0030】
本発明のガソリン組成物は、貯蔵安定性試験によるパーオキサイド量が1質量ppm以下であることが好ましい。
なお、本出願書類において、貯蔵安定性試験は、ASTM D 4625−04の規定に準拠した方法で行われ、43.3℃の温度下で所定期間経過時におけるパーオキサイド量を、JPI−5S−46−96の規定に準拠して測定した値を意味する。
【0031】
本発明のガソリン組成物は、火炎伝播速度が720cm/秒以上であるものが好ましく、725cm/秒以上であるものがより好ましく、730cm/秒以上であるものがさらに好ましい。本発明のガソリン組成物は、火炎伝播速度が720cm/秒以上であることにより、優れた着火性を発揮することができる。
【0032】
なお、本出願書類において、火炎伝播速度は、内寸60×40×208mm、内容積490mLの反応容器を含み、向い合う2面にパイレックス(登録商標)ガラス製観測用窓が設けられた液体燃料の燃焼特性評価定容燃焼装置により測定される。上記燃焼装置は、安定な混合気の形成や加熱及び点火等を行う設備も設けられており、上記反応容器内に測定試料を注入し、当量比(実際の燃空比/理論燃空比)1.2、初期温度110℃、初期圧力0.1MPaの条件下、He−Neレーザービーム屈折法により容器の点火栓電極中心より垂直方向に4mmの位置から99mmの位置における火炎面到達時間を計測し、火炎面の移動距離と時間の関係から火炎伝播速度を求めることができる。
【0033】
本発明のガソリン組成物は、ガソリン組成物中の硫黄分含有量が1〜10質量ppmであるとともに所定量のオレフィン分を含み、さらに上記オレフィン分としてジオレフィン分を敢えて3〜140容量ppm含むことにより、環境負荷を低減しつつ、酸化安定性および着火性を高めたガソリン組成物を提供することができる。
【0034】
本発明のガソリン組成物は、本発明のガソリン組成物の製造方法により好適に製造することができる。
【0035】
次に、本発明のガソリン組成物の製造方法について説明する。
本発明のガソリン組成物の製造方法は、上記本発明のガソリン組成物を製造する方法であって、
流動接触分解装置から流出する分解ガソリン留分を水素化脱硫処理して、
硫黄分を1〜20質量ppm、オレフィン分を15〜40容量%、芳香族分を15〜40容量%含むとともに、前記オレフィン分としてジオレフィン分を20〜200容量ppm含み、前記オレフィン分中のジオレフィン分の割合が0.01〜0.1容量%で、
リサーチ法オクタン価が87〜93、50%留出温度が90〜130℃
である流動接触分解ガソリンを作製した後、
前記流動接触分解ガソリンと他のガソリン基材とを混合することを特徴とするものである。
【0036】
本発明の製造方法においては、ガソリン基材として、流動接触分解装置から流出する分解ガソリン留分を使用する。
この分解ガソリン留分を製造するプロセスにおいて、流動接触分解装置、原料油、および装置運転条件は、目的とする分解ガソリン留分が得られるものであれば特に限定されない。
【0037】
流動接触分解装置は、無定形シリカアルミナ、ゼオライト等の触媒を使用して、灯油、軽油から減圧軽油までの石油留分のほか、重油間接脱硫装置から得られる間脱軽油、重油直接脱硫装置から得られる直脱重油、常圧残さ油等の原料油を接触分解して高オクタン価な分解ガソリン留分を得る装置である。
【0038】
流動接触分解装置に供給する原料油は、特にその硫黄分が、4000質量ppm以下、より好ましくは2000質量ppm以下、さらに好ましくは1000質量ppm以下、特に好ましくは500質量ppm以下に水素化精製などにより低減した留分を用いることが好ましい。
【0039】
接触分解方法としては、例えば、UOP接触分解法、フレキシクラッキング法、ウルトラ・オルソフロー法、テキサコ流動接触分解法、シェル2段式法、ガルフ法、ウルトラキャットクラッキング法などの流動接触分解法、RCC法、HOC法などの残油流動接触分解法などが挙げられる。
【0040】
上記分解ガソリン留分を水素化脱硫する方法も、目的とする流動接触分解ガソリンが得られる方法であれば特に限定されない。
例えば、先ず、反応温度140〜210℃、反応圧力1〜3MPa、液空間速度(LHSV)3〜5hr−1、水素/オイル1〜20NL/Lの条件下で水素化処理した後、蒸留して重質留分(90〜220℃)を分離する。分離した重質留分に対し、反応温度230〜300℃、反応圧力1〜3MPa、LHSV 3〜5hr−1、水素/オイル100〜600NL/Lの条件下で処理することにより水素化脱硫処理を行い、脱硫処理およびオレフィンの水素化処理を行い、さらに所望によりスイートニング処理を施して脱硫処理してもよい。このようにして水素化処理して得られた重質留分と、上記蒸留した際に分離した軽質留分とを再度混合することにより流動接触分解ガソリンを得ることができる。
【0041】
従来、分解ガソリン留分の水素化脱硫処理においては、分解ガソリン留分中の硫黄分を高度に除去しつつ、酸化安定性に特に影響するジオレフィンの全量を除去することが行われていたが、本発明の製造方法においては、ガソリン基材として、硫黄分含有量が1〜20質量ppmで、所定量のオレフィン分を含み、さらに上記オレフィン分としてジオレフィン分を敢えて特定量含む流動接触分解ガソリンを使用することから、従来よりも温和な条件で水素化脱硫処理すればよく、このため、目的とするガソリン組成物を簡便かつ安価に製造することが可能となる。
【0042】
本発明の製造方法においては、ガソリン基材として、上記する方法等により得られた、硫黄分を1〜20質量ppm、オレフィン分を15〜40容量%、芳香族分を15〜40容量%含むとともに、前記オレフィン分としてジオレフィン分を20〜200容量ppm含み、前記オレフィン分中のジオレフィン分の割合が0.01〜0.1容量%で、リサーチ法オクタン価が87〜93、50%留出温度が90〜130℃である流動接触分解ガソリンを使用する。
【0043】
本発明の製造方法において、流動接触分解ガソリンは、硫黄分含有量が1〜20質量ppmであり、1〜18質量ppmであることが好ましく、1〜15質量ppmであることがより好ましい。
流動接触分解ガソリン中の硫黄分含有量が1〜20質量ppmであることにより、得られるガソリン組成物中の硫黄分含有量を所望範囲に制御して、排出ガス浄化触媒の能力低下を抑制することができ、窒素酸化物(NOx)、炭化水素(THC)、一酸化炭素(CO)の排出量を低減するとともに、排出ガス中の硫黄酸化物(SOx)量を低減し易くなる。
【0044】
本発明の製造方法において、流動接触分解ガソリンは、オレフィン分含有量が15〜40容量%であり、15〜35容量%であることが好ましく、15〜33容量%であることがさらに好ましい。
流動接触分解ガソリンのオレフィン分含有量が15〜40容量%であることにより、得られるガソリン組成物の酸化安定性の低下を抑制し易くなる。
【0045】
本発明の製造方法において、流動接触分解ガソリンは、ジオレフィン分含有量が、20〜200容量ppmであり、25〜200容量ppmであることが好ましく、30〜200容量ppmであることがより好ましい。
流動接触分解ガソリンのジオレフィン含有量が20〜200容量ppmであることにより、得られるガソリン組成物に良好な酸化安定性を付与するとともに、優れた着火性(燃焼速度)を付与し易くなる。
また、本発明の製造方法においては、流動接触分解ガソリンとして、
ジオレフィンの含有量が20〜200容量ppmであるものを使用し得るため、流動接触分解装置から流出する分解ガソリン留分に対し、比較的温和な条件で水素化処理することができ、ガソリン組成物を簡便かつ安価に製造することができる。
【0046】
流動接触分解ガソリン中に含まれるジオレフィンとしては、上述したガソリン組成物中に含まれるものと同様のものを挙げることができる。
【0047】
本発明の製造方法において、流動接触分解ガソリンに含まれるオレフィン分中のジオレフィンの割合は0.01〜0.1容量%であり、0.015〜0.1容量%であることが好ましく、0.02〜0.1容量%であることがより好ましい。
流動接触分解ガソリンに含まれるオレフィン分中のジオレフィンの割合が0.01〜0.1容量%であることにより、得られるガソリン組成物に良好な酸化安定性を付与するとともに、優れた着火性(燃焼速度)を付与し易くなる。
【0048】
本発明の製造方法において、流動接触分解ガソリンは、芳香族分含有量が15〜40容量%であり、15〜38容量%であることが好ましく、15〜35容量%であることがより好ましい。
流動接触分解ガソリンの芳香族分含有量が15〜40容量%であることにより、得られるガソリン組成物において排出ガス中の一酸化炭素(CO)量や炭化水素(THC)量の増加を抑制し、燃費の低下や運転性の低下を抑制し易くなる。
【0049】
本発明の製造方法においては、流動接触分解ガソリンは、ベンゼン含有量が1.0容量%以下であることが好ましく、0.8容量%以下であることがより好ましい。流動接触分解ガソリンのベンゼン含有量が1.0容量%以下であると、得られるガソリン組成物において排出ガス中のベンゼン量を抑制し、環境負荷を低減し易くなる。
【0050】
本発明の製造方法において、流動接触分解ガソリンは、RONが87〜93であり、87〜92であることが好ましく、88〜92であることがより好ましい。
本発明の製造方法において、流動接触分解ガソリンのRONが上記範囲にあることにより、得られるガソリン組成物が高い運転性を発揮し易くなる。
【0051】
本発明の製造方法において、流動接触分解ガソリンは、T50が90〜130℃であり、90〜125℃であることが好ましく、95〜125℃であることがより好ましい。
また、本発明の製造方法において、流動接触分解ガソリンは、E70が8〜25容量%であることが好ましく、9〜22容量%であることがより好ましく、9〜20容量%であることがさらに好ましい。
【0052】
本発明の製造方法において、流動接触分解ガソリンのT50およびE70が上記範囲内であることにより、得られるガソリン組成物が良好な始動性、運転性、加速性を発揮し易くなる。
【0053】
本発明の製造方法において、流動接触分解ガソリンの酸化安定度は、240分以上であることが好ましく、300分以上であることがより好ましく、360分以上であることがさらに好ましい。
本発明の製造方法において、流動接触分解ガソリンの酸化安定度が240分以上であることにより、得られるガソリン組成物を貯蔵した際にガム状物質の生成を抑制し易くなる。
【0054】
本発明の製造方法においては、上記流動接触分解ガソリンと他のガソリン基材とを混合することにより、本発明のガソリン組成物を作製する。
【0055】
本発明の製造方法において、上記流動接触分解ガソリンの混合割合は、得ようとするガソリン組成物の組成に応じて任意に選択することができ、得ようとするガソリン組成物全量の10〜70容量%混合することが好ましく、15〜65容量%混合することがより好ましい。
本発明の製造方法において、上記流動接触分解ガソリンの混合割合が上記範囲内であることにより、得られるガソリン組成物のオレフィン量を制御して所望のRONを付与しつつ、優れた酸化安定性を付与し易くなる。
【0056】
本発明の製造方法において使用し得るガソリン基材としては、上記流動接触分解ガソリン以外に、脱ベンゼン接触改質ガソリン、脱ベンゼン軽質接触改質ガソリン、脱ベンゼン重質接触改質ガソリン、脱硫軽質ナフサ、アルキレート等が挙げられる。
【0057】
脱ベンゼン接触改質ガソリンは、重質の直留ナフサなどを接触改質法(プラットフォーミング法、マグナフォーミング法、アロマイジング法、レニフォーミング法、フードリフォーミング法、ウルトラフォーミング法、パワーフォーミング法等)により、水素気流中で高温・加圧下で触媒(例えば、アルミナ担体に白金やロジウムと塩素とを担持したもの等)と接触処理して得られた改質ガソリンから、蒸留によりベンゼン留分を取り除いたものである。
【0058】
本発明の製造方法において、脱ベンゼン接触改質ガソリンは、RONが93以上であるものが好ましく、93〜99であるものがより好ましい。また、脱ベンゼン接触改質ガソリンは、RVPが30kPa以上であるものが好ましく、35〜55kPaであるものがより好ましい。また、脱ベンゼン接触改質ガソリンは、沸点範囲が28〜200℃であるものが好ましい。
【0059】
本発明の製造方法において、脱ベンゼン接触改質ガソリンの混合割合は、得ようとするガソリン組成物の組成に応じて任意に選択することができ、得ようとするガソリン組成物全量の10〜40容量%であることが好ましく、15〜40容量%であることがより好ましい。
本発明の製造方法において、上記脱ベンゼン接触改質ガソリンの混合割合が上記範囲内であることにより、得られるガソリン組成物に所望のRONを付与しつつ、蒸留性状の重質化および芳香族分の増加を抑制することができる。
【0060】
また、脱ベンゼン軽質接触改質ガソリンは、上記接触改質法により接触処理して得られた接触改質ガソリンを、蒸留により、軽質留分、ベンゼン留分、重質留分に分けた際の軽質留分である。
【0061】
本発明の製造方法において、脱ベンゼン軽質接触改質ガソリンは、RONが78以上であるものが好ましく、78〜90であるものがより好ましい。また、脱ベンゼン軽質接触改質ガソリンは、RVPが85kPa以上であるものが好ましく、85〜105kPaであるものがより好ましい。また、脱ベンゼン軽質接触改質ガソリンは、沸点範囲が26〜80℃であるものが好ましい。
【0062】
本発明の製造方法において、脱ベンゼン軽質接触改質ガソリンの混合割合は、得ようとするガソリン組成物の組成に応じて任意に選択することができ、得ようとするガソリン組成物全量の3〜25容量%であることが好ましく、5〜20容量%であることがより好ましい。
【0063】
また、脱ベンゼン重質接触改質ガソリンは、上記接触改質法により接触処理して得られた接触改質ガソリンを、蒸留により、軽質留分、ベンゼン留分、重質留分に分けた際の重質留分である。
【0064】
本発明の製造方法において、脱ベンゼン重質接触改質ガソリンは、RONが101以上であるものが好ましく、101〜110であるものがより好ましい。また、脱ベンゼン重質接触改質ガソリンは、RVPが3kPa以上であるものが好ましく、3〜15kPaであるものがより好ましい。また、脱ベンゼン接触改質ガソリンは、沸点範囲が90〜200℃であるものが好ましい。
【0065】
本発明の製造方法において、脱ベンゼン軽質接触改質ガソリンと脱ベンゼン重質接触改質ガソリンの混合割合は、得ようとするガソリン組成物の組成に応じて任意に選択することができる。
脱ベンゼン軽質接触改質ガソリンの混合割合は、得ようとするガソリン組成物全量の3〜25容量%であることが好ましく、5〜20容量%であることがより好ましい。また、脱ベンゼン重質接触改質ガソリンの混合割合は、得ようとするガソリン組成物全量の3〜20容量%であることが好ましく、5〜15容量%であることがより好ましい。
【0066】
本発明の製造方法において、脱ベンゼン軽質接触改質ガソリンの混合割合が上記範囲内であることにより、得られるガソリン組成物の蒸留性状の重質化および密度の低下を抑制し易くなる。
【0067】
また、本発明の製造方法において、脱ベンゼン重質接触改質ガソリンの混合割合が上記範囲内であることにより、得られるガソリン組成物に所望のRONを付与しつつ蒸留性状の重質化および芳香族分の増加を抑制し易くなる。
【0068】
脱硫軽質ナフサは、原油を常圧蒸留して得られる直留ナフサを脱硫処理した脱硫直留ナフサを、蒸留により、軽質留分と重質留分に分けた際の軽質留分である。
【0069】
本発明の製造方法において、脱硫軽質ナフサは、RONが65以上であるものが好ましく、65〜70であるものがより好ましい。また、脱硫軽質ナフサは、RVPが80kPa以上であるものが好ましく、85〜105kPaであるものがより好ましい。また、脱硫軽質ナフサは、沸点範囲が25〜100℃であるものが好ましい。
【0070】
本発明の製造方法において、脱硫軽質ナフサの混合割合は、得ようとするガソリン組成物の組成に応じて任意に選択することができ、得ようとするガソリン組成物全量の5〜30容量%であることが好ましく、5〜25容量%であることがより好ましい。
【0071】
本発明の製造方法において、脱硫軽質ナフサの混合割合が上記範囲内であることにより、得られるガソリン組成物において所望のRONを付与しつつ密度低下を抑制し易くなる。
【0072】
アルキレートは、イソブタンと低級オレフィン(ブテン、プロピレン等)を原料として、酸触媒(硫酸、フッ化水素、塩化アルミニウム等)の存在下、両者を反応させて得られるものである。
【0073】
本発明の製造方法において、アルキレートは、RONが93以上であるものが好ましく、94〜96であるものがより好ましい。また、アルキレートは、RVPが40kPa以上であるものが好ましく、40〜60kPaであるものがより好ましい。また、アルキレートは、沸点範囲が30〜210℃であるものが好ましい。
【0074】
本発明の製造方法において、アルキレートの混合割合は、得ようとするガソリン組成物の組成に応じて任意に選択することができ、得ようとするガソリン組成物全量の0〜30容量%であることが好ましく、5〜30容量%であることがより好ましい。
【0075】
本発明の製造方法において、アルキレートの混合割合が上記範囲内であることにより、得られるガソリン組成物における密度の低下および燃費の低下を抑制し易くなる。
【0076】
また、本発明の製造方法においては、上記ガソリン基材以外に、必要に応じて、原油や粗油等の常圧蒸留時、改質ガソリン製造時、あるいは分解ガソリン製造時等に蒸留して得られるブタン、ブテン類を主成分としたC4留分、直鎖の低級パラフィン系炭化水素の異性化によって得られるアイソメレート、軽質ナフサ好ましくは脱硫直留ナフサ、あるいはアイソメレートを精密蒸留して得られるイソペンタン、含酸素化合物であるエチルターシャリーブチルエーテル(ETBE)、ターシャリーアミルメチルエーテル(TAME)、ターシャリーアミルエチルエーテル(TAEE)、あるいはエタノール、芳香族製造設備から得られるトルエン、キシレン、あるいは炭素数9以上の芳香族分等を所望割合で混合してもよい。
【0077】
さらに、本発明の製造方法においては、必要に応じ、上述した燃料添加剤から選ばれる一種以上を、得ようとするガソリン組成物全量の0.1質量%以下混合してもよい。
【0078】
本発明の製造方法で得られるガソリン組成物の詳細は、上記本発明のガソリン組成物の説明で詳述したとおりである。
【0079】
本発明によれば、分解ガソリン留分を水素化精製処理して、硫黄分含有量が1〜20質量ppmで、所定量のオレフィン分を含み、さらに上記オレフィン分としてジオレフィン分を敢えて所定量含む流動接触分解ガソリンを作製し、この流動接触分解ガソリンと他のガソリン基材とを混合することによって、本発明のガソリン組成物を簡便かつ安価に製造する方法を提供することができる。
【実施例】
【0080】
以下、本発明を実施例に更に詳細に説明するが、本発明は本実施例により何ら限定されるものではない。
なお、以下の実施例および比較例に記載されている各種含有割合、物性およびガソリン組成物の評価結果は、以下の方法により求めたものである。
【0081】
(実施例1〜実施例7および比較例1〜比較例4)
表1に示す性状及び組成を有する各ガソリン基材を表2および表3に示す割合で混合してガソリン組成物を調製した。
なお、表1において、基材A〜基材C(流動接触分解ガソリン(1)〜流動接触分解ガソリン(3))は、流動接触分解装置から流出する分解ガソリン留分を適宜水素化脱硫処理して得たものであり、また、実施例1〜7及び比較例1〜比較例4で作製したガソリン組成物には、フェノール系酸化防止剤およびアミン系酸化防止剤をガソリン組成物全量に対して10mg/L別途添加した。
各実施例および比較例で得られたガソリン組成物の燃料性状を測定するとともに、酸化安定度、貯蔵安定性、火炎伝播速度を測定した。
なお、貯蔵安定性は、ASTM D 4625−04に準拠して43.3℃の温度下で、6.5週間、13週間、20週間経過時におけるパーオキサイド量を、JPI−5S−46−96に準拠して測定したものである。
【0082】
【表1】

【0083】
【表2】


【0084】
【表3】

【0085】
表2より、実施例1〜実施例7で得られたガソリン組成物は、硫黄分含有量が1〜10質量ppmであるとともに所定量のオレフィン分を含み、さらに上記オレフィン分としてジオレフィン分を敢えて3〜140容量ppm含むことにより、環境負荷を低減しつつ、酸化安定性が700分超と優れており、貯蔵安定性試験によるパーオキサイド量が測定開始後6.5週、13週、20週経過時のいずれにおいても検出下限である1質量ppm未満であり、火炎伝播速度が734〜739cm/秒と着火性に非常に優れるものであることが分かる。
【0086】
一方、表3より、比較例1〜比較例4で得られたガソリン組成物は、ジオレフィンの含有量が3容量ppm未満(比較例1)または140容量ppm超である(比較例2〜比較例4)ものであったり、オレフィン分を所定量含まない(比較例1)ものであることから、着火性(火炎伝播速度)が不十分であったり(比較例1)、酸化安定度や貯蔵安定性が不十分であるものであった(比較例2〜比較例4)。
【0087】
また、表1および表2より、実施例1〜実施例7においては、硫黄分含有量が1〜20質量ppmで、所定量のオレフィン分を含み、さらに上記オレフィン分としてジオレフィン分を敢えて所定量含む流動接触分解ガソリンと他のガソリン基材とを混合することによって、上記ガソリン組成物を簡便かつ安価に製造できることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明によれば、環境負荷が低く、酸化安定性および着火性が高い新規なガソリン組成物を提供することができる。また、本発明によれば、上記ガソリン組成物を簡便かつ安価に製造する方法を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫黄分を1〜10質量ppm、オレフィン分を5〜35容量%、芳香族分を5〜45容量%、前記オレフィン分としてジオレフィン分を3〜140容量ppm含み、
リサーチ法オクタン価が89以上97未満、リード蒸気圧が45〜90kPa、50%留出温度が75〜110℃、70℃留出量が18〜45容量%である
ことを特徴とするガソリン組成物。
【請求項2】
酸化安定度が700分以上であり、火炎伝播速度が720cm/秒以上である請求項1に記載のガソリン組成物。
【請求項3】
請求項1に記載のガソリン組成物を製造する方法であって、
流動接触分解装置から流出する分解ガソリン留分を水素化脱硫処理して、
硫黄分を1〜20質量ppm、オレフィン分を15〜40容量%、芳香族分を15〜40容量%含むとともに、前記オレフィン分としてジオレフィン分を20〜200容量ppm含み、前記オレフィン分中のジオレフィン分の割合が0.01〜0.1容量%で、
リサーチ法オクタン価が87〜93、50%留出温度が90〜130℃
である流動接触分解ガソリンを作製した後、
前記流動接触分解ガソリンと他のガソリン基材とを混合することにより、
硫黄分を1〜10質量ppm、オレフィン分を5〜35容量%、芳香族分を5〜45容量%、前記オレフィン分としてジオレフィン分を3〜140容量ppm含み、
リサーチ法オクタン価が89以上97未満、リード蒸気圧が45〜90kPa、50%留出温度が75〜110℃、70℃留出量が18〜45容量%であるガソリン組成物を作製する
ことを特徴とするガソリン組成物の製造方法。

【公開番号】特開2011−241288(P2011−241288A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−114072(P2010−114072)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(000105567)コスモ石油株式会社 (443)