説明

ガラスブロック集合体

【目的】 力骨によるガラスブロック集合体の所定の強度を劣化させることなく、各ガラスブロックの間に目地充填部材を容易にして且つ完全に充填でき、ガラスブロックの施工が能率的に行えるガラスブロック集合体を提供する。
【構成】 複数個のガラスブロック10と、これらのガラスブロック10を整列囲繞するパネルフレーム11と、前記整列配置されたガラスブロック10の間に配設された力骨12と、前記ガラスブロック12の間およびガラスブロック10とパネルフレーム11の間に充填された目地充填部材15からなるガラスブロック10集合体において、前記力骨12は帯状で且つ、その幅面がガラスブロック10の厚さ方向と平行に配設されてなる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はガラスブロック集合体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ガラスブロックまたは複数個のガラスブロックからなるガラスブロック集合体は建屋の構成部材として広く用いられている。
【0003】ガラスブロック集合体は、振動や風圧に対してガラスブロック壁がフレキシブルに対応し得るように金属枠や力骨等を併用することによって所定の強度を付与している。
【0004】従来のガラスブロック集合体の施工に際しては、作業者が躯体とガラスブロック壁との取付部に用いる金属枠に緩衝材等を取り付け、縦力骨を金属枠等に支持させるためのアンカーピース等を配筋固定した後、ガラスブロック単体を1個ずつ積上げ、その後、横力骨およびアンカーピースを配筋している。
【0005】かかる施工方法を採用した場合、ガラスブロック単体を1個ずつ積み上げているので、多大の時間と労力を必要とし、作業性が悪く、また、作業者の技能の違いにより均一に仕上がらない場合がある。更に、目地充填部材としてモルタル等を充填するための水の使用を伴う湿式作業の大部分が施工現場で行われるため汚染等の問題も発生する。特に、ガラスブロック壁の構築作業が複数箇所で行われる場合には、構築現場の作業のみならず準備作業の時間と労力も大幅に増大するという問題がある。
【0006】そこで、かかる問題に対処するため、壁の開口部の寸法に適応した形状のガラスブロック集合体を前以て製作しておき、施工現場においては前記ガラスブロック集合体の取付作業のみを行う施工方式が提案されている。
【0007】かかるガラスブロック集合体は、水平定盤上において、壁の開口部の寸法に適応したパネルフレーム内に丸棒の力骨を縦方向および横方向に配設し、力骨で仕切られたパネルフレーム内にガラスブロックを整列配置して嵌装し、各ガラスブロックの間およびガラスブロックとパネルフレームとの間にモルタル等の目地充填部材を充填して製作される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来のガラスブロック集合体においては、各ガラスブロックの間に目地充填部材を充填する際、前記丸棒の力骨が充填の障害となり、目地充填部材を単に上方から供給するだけでは、水平状態にある力骨の裏側(力骨からみて目地充填部材が供給される側とは反対側)にまで目地充填部材がまわり込まず、空隙が生じるため、かかる不完全な充填状態によりガラスブロック集合体に所定の強度を付与できないという問題がある。また、目地充填部材の充填を妨ないために、小径の力骨を使用することが考えられるが、単なる力骨の細化は、当然、ガラスブロック集合体の強度を低下させる原因になる。従って、従来は目地充填部材の供給時に、斯様な目地充填部材の空隙部を生じさせないように、作業者が各力骨の裏側を棒材等で突きながら充填作業を行なっている。しかしながら、斯様な作業は手間がかかるばかりでなく、充填箇所を棒材等で突く際にガラスブロックを傷付けたりするという問題を引き起こす。
【0009】そこで、本発明の目的は、力骨によるガラスブロック集合体の所定の強度を劣化させることなく、各ガラスブロックの間に目地充填部材を容易にして且つ完全に充填でき、ガラスブロックの施工が能率的に行えるガラスブロック集合体を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題および目的に鑑みてなされたもので、複数個のガラスブロックと、これらのガラスブロックを整列囲繞するパネルフレームと、前記整列配置されたガラスブロックの間に配設された力骨と、前記ガラスブロックの間およびガラスブロックとパネルフレームの間に充填された目地充填部材からなるガラスブロック集合体において、前記力骨は帯状で且つ、その幅面がガラスブロックの厚さ方向と平行に配設されてなることを特徴とするガラスブロック集合体である。
【0011】
【作用】本発明によれば、各ガラスブロックの間に配設される力骨が帯状であり、その幅面がガラスブロックの厚さ方向と平行に配設されていることにより、ガラスブロック集合体の製作時においてモルタル等の目地充填部材を充填する際、充填方向に対する力骨の厚さが薄いため、目地充填部材が流れ易く、力骨の周囲に空隙を生じさせずに充填できる。また、力骨は、その幅面がガラスブロックの厚さ方向と平行に配設されていることにより、ガラスブロック集合体の厚さ方向に対する耐圧強度についても優れている。
【0012】
【実施例】以下、本発明にかかるガラスブロック集合体を実施例に基づいて説明する。
【0013】図1は本発明の一具体例を示すガラスブロック集合体を嵌め込んだ壁の正面図、図2は力骨を有するパネルフレームの斜視図、図3は図1の線A−Aに沿うガラスブロック集合体の縦断面図、図4は図1の線A−Aに沿うガラスブロック集合体を嵌め込んだ壁の縦断面図、図5は図1の線B−Bに沿うガラスブロック集合体の横断面図、図6は図1の線B−Bに沿うガラスブロック集合体を嵌め込んだ壁の横断面図である。
【0014】これらの図において、10はガラスブロック、11は矩形枠状に形成された耐錆製金属材料からなるパネルフレーム、12はパネルフレーム11の内側に配設されたステンレス鋼製の力骨である。図2に示すようにパネルフレーム11の両側辺にはアンカーフレーム13が形成してあり、アンカーフレーム13の所定位置にはビス穴14が穿設してある。力骨12は図2に示すように帯状であり、図1に示すように整列配置された前記ガラスブロック10の間で、力骨12の幅面がガラスブロック10の厚さ方向と平行になるようにして縦方向および横方向に直交させて配設されており、その両端をパネルフレーム11に溶接してある。15は各ガラスブロック10の間およびガラスブロック10とパネルフレーム11の間に充填された発泡性骨材のモルタル等からなる目地充填部材、16は目地充填部材15の充填域の表層側に充填された防水剤含有の化粧目地である。
【0015】かかるガラスブロック10集合体を製造する際には、図示しない水平定盤の上面に離形剤としてストリップペイントを塗布し、その上に化粧目地成形用の定形ゴムを各ガラスブロック10の配置寸法に適合した所定の間隔で配置した後、その上に力骨12が配設されたパネルフレーム11を積み重ねる。次に、力骨12によって仕切られたパネルフレーム11の内側に図1に例示するように縦方向に5個、横方向に3個、合計15個のガラスブロック10を整列配置状態で嵌装し、各ガラスブロック10の間に発泡性骨材のモルタル等からなる目地充填部材15を充填する。この場合、各ガラスブロック10の間に配設された力骨12は帯状で、その幅面がガラスブロック10の厚さ方向と平行に配設されていることにより、目地充填部材15の充填方向に対する力骨12の厚さが薄く、目地充填部材15が流れ易くなっており、目地充填部材15を各ガラスブロックの間に供給するだけで、特別な作業を要せずに、力骨12の周囲にも空隙を生じさせない完全な充填状態が得られる。目地充填部材15を充填した後、防水剤含有の化粧目地16を充填する。これらが固化した後、反転して、前記定形ゴムを取り外して、同様に防水剤含有の化粧目地16を充填することにより、ガラスブロック10集合体が形成される。
【0016】このガラスブロック10集合体を例えば木造建屋の開口部に取り付ける際には、下記の順序に従って組み立て作業を実行する。
【0017】先ず、図6に示すようにガラスブロック10集合体を嵌め込む壁17の開口部の両側辺に当て木18を図示しないビスで締結することによって取り付ける。また、図4に示すように壁17の開口部の下端にネオプレーンゴム等の硬い弾性材料からなるベースライナー19を嵌装した後、図4、図6に示すようにガラスブロック10集合体を嵌め込み、前記開口部の当て木18にアンカーフレーム13を当接し、アンカーフレーム13のビス穴14にビス20を嵌め込み、両者を締結することにより、ガラスブロック10集合体を壁17の開口部に固着する。この後、ガラスブロック10と壁17の開口部との隙間に不定形シール材からなる化粧目地21を充填することによって壁17の開口部へのガラスブロック10集合体の取り付け作業を終了する。
【0018】かかる状態において、ガラスブロック10集合体に対する上下、左右からの応力に対しては壁17により十分に耐圧性が備わっており、また、各ガラスブロック10の間に配設されている力骨12の幅面がガラスブロック10の厚さ方向と平行に配設されていることにより、ガラスブロック集合体の厚さ方向に対する耐圧強度についても優れている。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、力骨によるガラスブロック集合体の所定の強度を劣化させることなく、各ガラスブロックの間に目地充填部材を容易にして且つ完全に充填でき、ガラスブロックの施工が能率的に行えるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるガラスブロック集合体を嵌め込んだ壁の正面図である。
【図2】力骨を有するパネルフレームの斜視図である。
【図3】図1の線A−Aに沿うガラスブロック集合体の縦断面図である。
【図4】図1の線A−Aに沿うガラスブロック集合体を嵌め込んだ壁の縦断面図である。
【図5】図1の線B−Bに沿うガラスブロック集合体の横断面図である。
【図6】図1の線B−Bに沿うガラスブロック集合体を嵌め込んだ壁の横断面図である。
【符号の説明】
10 ガラスブロック
11 パネルフレーム
12 力骨
13 アンカーフレーム
14 ビス穴
15 目地充填部材
16、21 化粧目地
17 壁
18 当て木
19 ベースライナー
20 ビス

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数個のガラスブロックと、これらのガラスブロックを整列囲繞するパネルフレームと、前記整列配置されたガラスブロックの間に配設された力骨と、前記ガラスブロックの間およびガラスブロックとパネルフレームの間に充填された目地充填部材からなるガラスブロック集合体において、前記力骨は帯状で且つ、その幅面がガラスブロックの厚さ方向と平行に配設されてなることを特徴とするガラスブロック集合体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開平9−4128
【公開日】平成9年(1997)1月7日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−180762
【出願日】平成7年(1995)6月23日
【出願人】(000232243)日本電気硝子株式会社 (1,447)