説明

ガラス光学素子の製造方法、及び、ガラス光学素子成形用型セット

【課題】ガラス光学素子の製造方法及びガラス光学素子成形用型セットにおいて、光学素子の面精度のばらつきを抑える。
【解決手段】ガラス光学素子の製造方法は、ガラス素材100からなる光学素材を加熱する加熱工程と、スリーブ13により偏心を規制された第1の成形型(上型11)及び第2の成形型(下型12)により、加熱された光学素材(100)を加圧する加圧工程と、第1の成形型(11)及び第2の成形型(12)により光学素材(100)を加圧した状態でこの光学素材(100)を冷却する冷却工程と、を含み、上記冷却工程では、第1の成形型(11)及び第2の成形型(12)のうち少なくとも一方(下型12)に対するスリーブ13による偏心の規制を緩める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス光学素子を成形するのに用いられるガラス光学素子の製造方法及びガラス光学素子成形用型セットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラスレンズ等のガラス光学素子の製造方法において、加熱軟化したガラス素材を上型と下型との間で加圧して冷却する手法がとられている。上型及び下型の外周には、これらの偏心を規制するスリーブが配置される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図5A〜図5Dは、参考技術に係る型セット60を示す断面図である。
図5Aに示す型セット60は、光学素材であるガラス素材100を挟んで対向して配置された上型61及び下型62と、これらの外周に配置されたスリーブ63と、を備える。
【0004】
スリーブ63は、例えば上型61と一体に上下動し、内周面において下型62の外周面に沿って摺動する。そのため、スリーブ63と下型62との間には、摺動のためのクリアランスが確保されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−343760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、スリーブ63と下型62との間にクリアランスがあっても、図5Bに示すようにスリーブ63と下型62とが接触した状態でスリーブ63が加圧工程時に降下すると、図5Cに示すように接触面には摺動抵抗(二点鎖線で示す抵抗部分R)が生じる。
【0007】
また、図5Dに示すように、スリーブ63内で下型62が傾いて部分的に摺動抵抗(二点鎖線で示す抵抗部分R)が生じることもある。
【0008】
冷却工程においては、保圧をかけることによって可動側の型である上型61がガラス素材100の収縮に追従することになるが、上述のように摺動抵抗が生じると、保圧がガラス素材100にかからなくなることがある。このように、保圧がガラス素材100にかかったりかからなかったりすると、離型のタイミングが成形の都度変化し、ガラス素材100を成形することで製造されるガラス光学素子の面精度がばらつく。
【0009】
本発明の目的は、ガラス光学素子の面精度のばらつきを抑えることができるガラス光学素子の製造方法及びガラス光学素子成形用型セットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のガラス光学素子の製造方法は、ガラス素材からなる光学素材を加熱する加熱工程と、スリーブにより偏心を規制された第1の成形型及び第2の成形型により、加熱された上記光学素材を加圧する加圧工程と、上記第1の成形型及び上記第2の成形型により上記光学素材を加圧した状態でこの光学素材を冷却する冷却工程と、を含み、上記冷却工程では、上記第1の成形型及び上記第2の成形型のうち少なくとも一方に対する上記スリーブによる上記偏心の規制を緩める。
【0011】
また、上記ガラス光学素子の製造方法において、上記冷却工程では、上記スリーブと、上記第1の成形型及び上記第2の成形型のうち少なくとも一方とが相対移動して、上記スリーブの凹部に上記第1の成形型及び上記第2の成形型のうち少なくとも一方に形成された凸部が対向することで上記偏心の規制を緩めるようにしてもよい。
【0012】
また、ガラス光学素子の製造方法において、上記冷却工程では、上記光学素材が歪点温度に到達する前に上記偏心の規制を緩めるようにしてもよい。
【0013】
本発明のガラス光学素子成形用型セットは、対向して配置された第1の成形型及び第2の成形型と、上記第1の成形型及び上記第2の成形型の外周に配置され、この第1の成形型及びこの第2の成形型の偏心を規制するスリーブと、を備え、上記第1の成形型及び上記第2の成形型のうち少なくとも一方には、外周面に凸部が形成され、上記スリーブの内周面には、上記凸部に対向可能な凹部が形成されている。
【0014】
また、上記ガラス光学素子成形用型セットにおいて、上記凸部及び上記凹部は、それぞれ複数形成され、複数の上記凸部は、上記外周面の全周に亘って形成され、複数の上記凹部は、上記内周面の全周に亘って形成されているようにしてもよい。
また、上記ガラス光学素子成形用型セットにおいて、上記凸部及び上記凹部は、それぞれ2つずつ形成されているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ガラス光学素子の面精度のばらつきを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1A】本発明の第1実施形態に係るガラス光学素子の製造方法を説明するためのガラス光学素子成形用型セットを示す断面図(その1)である。
【図1B】本発明の第1実施形態に係るガラス光学素子の製造方法を説明するためのガラス光学素子成形用型セットを示す断面図(その2)である。
【図1C】本発明の第1実施形態に係るガラス光学素子の製造方法を説明するためのガラス光学素子成形用型セットを示す断面図(その3)である。
【図1D】本発明の第1実施形態に係るガラス光学素子の製造方法を説明するためのガラス光学素子成形用型セットを示す断面図(その4)である。
【図1E】本発明の第1実施形態に係るガラス光学素子の製造方法を説明するためのガラス光学素子成形用型セットを示す断面図(その5)である。
【図2】本発明の第2実施形態に係るガラス光学素子の製造方法を説明するためのガラス光学素子成形用型セットを示す断面図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係るガラス光学素子の製造方法を説明するためのガラス光学素子成形用型セットを示す断面図である。
【図4A】本発明の第4実施形態に係るガラス光学素子の製造方法を説明するためのガラス光学素子成形用型セットを示す断面図(その1)である。
【図4B】本発明の第4実施形態に係るガラス光学素子の製造方法を説明するためのガラス光学素子成形用型セットを示す断面図(その2)である。
【図4C】本発明の第4実施形態に係るガラス光学素子の製造方法を説明するためのガラス光学素子成形用型セットを示す断面図(その3)である。
【図4D】本発明の第4実施形態に係るガラス光学素子の製造方法を説明するためのガラス光学素子成形用型セットを示す断面図(その4)である。
【図5A】参考技術に係る型セットを示す断面図(その1)である。
【図5B】参考技術に係る型セットを示す断面図(その2)である。
【図5C】参考技術に係る型セットを示す断面図(その3)である。
【図5D】参考技術に係る型セットを示す断面図(その4)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係るガラス光学素子の製造方法及びガラス光学素子の製造装置について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
<第1実施形態>
図1A〜図1Eは、本発明の第1実施形態に係るガラス光学素子の製造方法を説明するための光学素子成形用型セット10(以下、単に「型セット10」と記す)を示す断面図である。なお、図1Eでは、便宜上、主要部の拡大図も併せて示してある。
【0019】
図1Aに示すように、型セット10は、光学素材であるガラス素材100を挟んで対向して配置された上型11及び下型12と、これら上型11及び下型12の外周に配置され、これら上型11及び下型12の偏心を規制するスリーブ13と、を備える。
【0020】
上型11は、円柱形状を呈し、下端中央にはガラス素材100に凹形状を転写する凸形状の成形面11aが形成されている。
下型12は、円柱形状を呈し、上端中央にはガラス素材100に凹形状を転写する凸形状の成形面12aが形成されている。
【0021】
下型12には、その外周面の全周に亘る凸部12b,12cが上部側と下部側とに計2つ形成されている。なお、凸部は、上型11のみに設けても、上型11及び下型12の両方に設けてもよい。
【0022】
スリーブ13は、円筒形状を呈し、上型11及び下型12とは独立して上下動する。また、スリーブ13は、内周面において上型11及び下型12の外周面に沿って摺動する。そのため、スリーブ13と上型11及び下型12との間には、摺動のためのクリアランスが確保されている。
スリーブ13には、その内周面の全周に亘る凹部13a,13bが凸部12b,12cに対向可能に2つ形成されている。
【0023】
以下、本実施形態に係るガラス光学素子の製造方法を、上述の説明と重複する点については適宜省略しながら説明する。
図1Aに示すように、ガラス素材100は、下型12の成形面12a上に載置された状態で、例えばガラス転移点温度以上まで加熱される(加熱工程)。
【0024】
その後、図1Bに示すように上型11が下降し、図1Cに示すように、スリーブ13により偏心を規制された上型11及び下型12によりガラス素材100が加圧される(加圧工程)。
その後、ガラス素材100は、図1Dに示すように上型11及び下型12により加圧された状態で、冷却される(冷却工程)。そして、上述の成形(加熱,加圧,冷却)により製造されたガラス光学素子が上型11及び下型12から離型し、型セット10から取り出される。
【0025】
図1Eに示すように、冷却工程では、スリーブ13が上型11及び下型12とは独立して下降し(下型12と相対的に移動し)、スリーブ13の凹部13a,13bが下型12の凸部12b,12cにそれぞれ対向する。これにより、スリーブ13と下型12とのクリアランスが拡がり、上述した加圧工程におけるスリーブ13による下型12の偏心の規制が、この冷却工程において緩められる。
【0026】
具体的には、下型12の凸部12b,12cとスリーブ13の内周面とのクリアランスが、凸部12b,12cが凹部13a,13bに対向することで、このクリアランスよりもいずれも大きいクリアランスである、凸部12b,12cとスリーブ13の凹部13a,13bとのクリアランス、及び、下型12の凸部12b,12c以外の外周面とスリーブ13の内周面とのクリアランスに拡大する。このため、スリーブ13による下型12の偏心の規制が緩まる。
【0027】
このようにスリーブ13の凹部13a,13bが下型12の凸部12b,12cに対向して偏心の規制を緩めるのは、冷却工程の全体で行う必要はなく、ガラス素材100の冷却が開始された後、冷却工程の一部の時間において行うようにしてもよい。
【0028】
好ましくは、偏心の規制を緩めるのは、少なくとも、ガラス素材100の冷却が開始した後、ガラス素材100の温度が歪点温度(粘性流動が事実上起こり得ない温度で、粘度が1014.5dPa・s{poise}に相当する温度)に到達する前の間の全体又は一部の時間において行うとよい。
【0029】
より好ましくは、偏心の規制を緩めるのは、少なくとも、ガラス素材100の温度がガラス転移点温度(又はこの温度付近(±10°))に到達した後、ガラス素材100の温度が歪点温度に到達する前の間の全体又は一部の時間において行うとよい。
【0030】
以上説明した本実施形態では、ガラス光学素子の製造方法は、ガラス素材(光学素材)100を加熱する加熱工程と、スリーブ13により偏心を規制された上型(第1の成形型)11及び下型(第2の成形型)12によりガラス素材100を加圧する加圧工程と、上型11及び下型12によりガラス素材100を加圧した状態でガラス素材100を冷却する冷却工程と、を含み、冷却工程では、下型(少なくとも一方の成形型)12に対するスリーブ13による偏心の規制を緩める。
【0031】
そのため、冷却工程においてスリーブ13と下型12との間に摺動抵抗が生じるのを抑え、冷却工程における保圧がガラス素材100に確実にかかるようになる。これにより、離型のタイミングが安定する。
【0032】
よって、本実施形態によれば、ガラス光学素子の面精度のばらつきを抑えることができる。
【0033】
また、本実施形態では、冷却工程において、スリーブ13と下型(少なくとも一方の成形型)12とが相対移動してスリーブ13の凹部13a,13bに下型12の凸部12b,12cが対向することで上記偏心の規制を緩める。そのため、簡素な構成でガラス光学素子の面精度のばらつきを抑えることができる。
【0034】
また、本実施形態では、冷却工程において、ガラス素材100が歪点温度に到達する前に、偏心の規制を緩める。そのため、ガラス素材100の粘性流動が起こっている間に、ガラス素材100の収縮に追従するように保圧を確実にかけることができ、したがって、ガラス光学素子の面精度のばらつきを確実に抑えることができる。
【0035】
また、本実施形態では、冷却工程において、ガラス素材100の温度がガラス転移点温度(又はこの温度付近(±10°))に到達した後、ガラス素材100の温度が歪点温度に到達する前に、偏心の規制を緩める。厳密には歪点までは粘弾性特性が残っているが、偏心で問題になるようなμmオーダーの変形をさせることはできないが、面精度ばらつきを抑えるためのサブμmオーダーの変形は可能である。そのため、ガラス素材100がガラス転移点まではスリーブ13により上型12を規制しておき、ガラス素材100がガラス転移点から歪点の間にガラス素材100の収縮に追従するように保圧を掛ければ、偏心不良を確実に抑えつつガラス光学素子の面精度のばらつきを抑えることができる。
【0036】
また、本実施形態では、下型12の凸部12b,12c及びスリーブ13の凹部13a,13bは、それぞれ複数形成され、複数の凸部12b,12cは、下型12の外周面の全周に亘って形成され、複数の凹部13a,13bは、スリーブ13の内周面の全周に亘って形成されている。そのため、下型12が傾いても冷却工程において摺動抵抗が生じるのを確実に抑え、ガラス光学素子の面精度のばらつきを確実に抑えることができる。なお、下型12の凸部12b,12c及びスリーブ13の凹部13a,13bは、それぞれ2つずつ形成されるのが好ましい。これにより、3つ以上形成される場合に比べ、加圧工程における下型12とスリーブ13との摺動抵抗を最も小さくすることができる。
【0037】
<第2実施形態>
図2は、本発明の第2実施形態に係るガラス光学素子の製造方法を説明するための型セット20を示す断面図である。
【0038】
図2に示すように、型セット20は、光学素材であるガラス素材100を挟んで対向して配置された上型21及び下型22と、これら上型21及び下型22の外周に配置され、これら上型21及び下型22の偏心を規制するスリーブ23と、を備える。
【0039】
本実施形態は、下型22の外周面の凸部及びスリーブ23の内周面の凹部を省略し、スリーブ23を上昇させることで規制を緩める(解除する)点において上述の第1実施形態と相違し、その他の点は概ね同様である。そのため、詳細な説明は省略する。
【0040】
本実施形態の冷却工程では、スリーブ23の内周面が下型22の外周面に当接しない位置までスリーブ23が上昇することで、スリーブ23による下型22に対する規制が解除される。このように、規制を完全に解除することで規制を緩めるようにしてもよい。スリーブ23が上昇するタイミングについては、上述の第1実施形態と同様である。
【0041】
以上説明した本実施形態によっても、上述の第1実施形態の効果、例えば、ガラス光学素子の面精度のばらつきを抑えることができるなどの効果を得ることができる。
【0042】
また、本実施形態では、スリーブ23が上昇することで、スリーブ23の下型(少なくとも一方の成形型)22に対する規制が解除される。そのため、スリーブ23及び下型22に凹部や凸部などの加工を行わなくともよくなり、簡素な構成でガラス光学素子の面精度のばらつきを確実に抑えることができる。
【0043】
<第3実施形態>
図3は、本発明の第3実施形態に係るガラス光学素子の製造方法を説明するための型セット30を示す断面図である。
【0044】
図3に示すように、型セット30は、光学素材であるガラス素材100を挟んで対向して配置された上型31及び下型32と、これら上型31及び下型32の外周に配置され、これら上型31及び下型32の偏心を規制する複数のスリーブ33−1,33−2と、を備える。
【0045】
本実施形態は、下型22の外周面の凸部及びスリーブ23の内周面の凹部を省略し、スリーブ33−1,33−2が分割されることで下型32の規制を緩める(解除する)点において上述の第1実施形態と相違し、その他の点は概ね同様である。そのため、詳細な説明は省略する。
【0046】
本実施形態の冷却工程では、図示しない支持手段により支持されて一体となっていたスリーブ33が図示しない支持手段(或いは別の分割手段)により左右2つに分割されることで、スリーブ23による下型32に対する規制が解除される。スリーブ33が2つに分割されるタイミングについては、上述の第1実施形態と同様である。なお、スリーブ33を分割する数については、複数であれば、3つ以上であってもよい。
【0047】
以上説明した本実施形態によっても、上述の第1実施形態の効果、例えば、ガラス光学素子の面精度のばらつきを抑えることができるなどの効果を得ることができる。
また、本実施形態では、スリーブ33が分割されることで、スリーブ33の下型(少なくとも一方の成形型)32に対する規制が解除される。そのため、スリーブ33と下型32とを摺動させずに規制を緩める(解除する)ことができ、従って、ガラス光学素子の面精度のばらつきを確実に抑えることができる。
【0048】
<第4実施形態>
図4A〜図4Dは、本発明の第4実施形態に係るガラス光学素子の製造方法を説明するための型セット40を示す断面図である。なお、図4Dでは、便宜上、主要部の拡大図も併せて示してある。
【0049】
図4Aに示すように、型セット40は、光学素材であるガラス素材100を挟んで対向して配置された上型41及び下型42と、これら上型41及び下型42の外周に配置され、これら上型41及び下型42の偏心を規制するスリーブ43と、を備える。
【0050】
本実施形態は、スリーブ43が上型41と一体に上下動する点において上述の第1実施形態と相違し、その他の点は概ね同様である。そのため、詳細な説明は省略する。
【0051】
以下、本実施形態に係るガラス光学素子の製造方法を、上述の説明と重複する点については適宜省略しながら説明する。
図4Aに示すように、ガラス素材100は、下型42の成形面42a上に載置された状態で、例えばガラス転移点温度以上まで加熱される(加熱工程)。
【0052】
その後、図4Bに示すように上型41が下降し、図4Cに示すように上型41及び下型42によりガラス素材100が加圧される(加圧工程)。
その後、ガラス素材100は、図4Dに示すように上型41及び下型42により加圧された状態で、冷却される(冷却工程)。そして、上述の成形(加熱,加圧,冷却)により製造されたガラス光学素子が上型41及び下型42から離型し、型セット40から取り出される。
【0053】
図4Dに示すように、冷却工程では、スリーブ43が上型41と一体に下降し(下型42と相対的に移動し)、スリーブ43の凹部43a,43bが下型42の凸部42b,42cに対向することで、スリーブ43と下型42とのクリアランスが拡がり、スリーブ43による下型42の偏心の規制が緩まる。
【0054】
スリーブ43による下型42の偏心の規制を緩めるタイミングについては、上述の第1実施形態と同様である。
【0055】
以上説明した本実施形態によっても、上述の第1実施形態の効果、例えば、ガラス光学素子の面精度のばらつきを抑えることができるなどの効果を得ることができる。
また、本実施形態では、スリーブ43が上型(一方の成形型)41と一体に移動することでスリーブ33の下型(他方の成形型)42に対する規制が解除される。そのため、簡素な構成でガラス光学素子の面精度のばらつきを抑えることができる。
【符号の説明】
【0056】
10 ガラス光学素子成形用型セット
11 上型(第1の成形型)
11a 成形面
12 下型(第2の成形型)
12a 成形面
12b,12c 凸部
13 スリーブ
13a,13b 凹部
20 ガラス光学素子成形用型セット
21 上型(第1の成形型)
21a 成形面
22 下型(第2の成形型)
22a 成形面
23 スリーブ
30 ガラス光学素子成形用型セット
31 上型(第1の成形型)
31a 成形面
32 下型(第2の成形型)
32a 成形面
33−1,33−2 スリーブ
40 ガラス光学素子成形用型セット
41 上型(第1の成形型)
41a 成形面
42 下型(第2の成形型)
42a 成形面
42b,42c 凸部
43 スリーブ
43a,43b 凹部
100 ガラス素材(光学素材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス素材からなる光学素材を加熱する加熱工程と、
スリーブにより偏心を規制された第1の成形型及び第2の成形型により、加熱された前記光学素材を加圧する加圧工程と、
前記第1の成形型及び前記第2の成形型により前記光学素材を加圧した状態で該光学素材を冷却する冷却工程と、を含み、
前記冷却工程では、前記第1の成形型及び前記第2の成形型のうち少なくとも一方に対する前記スリーブによる前記偏心の規制を緩める、ガラス光学素子の製造方法。
【請求項2】
前記冷却工程では、前記スリーブと、前記第1の成形型及び前記第2の成形型のうち少なくとも一方とが相対移動して、前記スリーブの凹部に前記第1の成形型及び前記第2の成形型のうち少なくとも一方に形成された凸部が対向することで前記偏心の規制を緩める、請求項1記載のガラス光学素子の製造方法。
【請求項3】
前記冷却工程では、前記光学素材が歪点温度に到達する前に前記偏心の規制を緩める、請求項1又は請求項2記載のガラス光学素子の製造方法。
【請求項4】
対向して配置された第1の成形型及び第2の成形型と、
前記第1の成形型及び前記第2の成形型の外周に配置され、該第1の成形型及び該第2の成形型の偏心を規制するスリーブと、を備え、
前記第1の成形型及び前記第2の成形型のうち少なくとも一方には、外周面に凸部が形成され、
前記スリーブの内周面には、前記凸部に対向可能な凹部が形成されている、ガラス光学素子成形用型セット。
【請求項5】
前記凸部及び前記凹部は、それぞれ複数形成され、
複数の前記凸部は、前記外周面の全周に亘って形成され、
複数の前記凹部は、前記内周面の全周に亘って形成されている、請求項4記載のガラス光学素子成形用型セット。
【請求項6】
前記凸部及び前記凹部は、それぞれ2つずつ形成されている、請求項5記載のガラス光学素子成形用型セット。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【公開番号】特開2012−184126(P2012−184126A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47065(P2011−47065)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)