ガラス破壊センサ設置治具
【課題】接着剤の厚みを所定の厚みにしてセンサ本体をガラスの表面に接着することを容易にするガラス破壊センサ設置治具を得る。
【解決手段】ガラス破壊センサ設置治具10Aは、取付面を厚み方向の一側の面に有するガラス破壊センサのセンサ本体を挿入するための挿入開口18a、及び挿入開口18aと相対する底部を有し、センサ本体の厚み方向の他側に底部を押し当ててセンサ本体を収納したときに、センサ本体の厚み方向に垂直な方向への移動を規制するセンサ収納凹部17Aと、挿入開口18aを含む平面上に位置する支持面15a,15bを備える治具本体11Aとを備え、センサ本体の厚み方向の他側に底部を押し当ててセンサ本体をセンサ収納凹部17Aに収納したときのセンサ本体の取付面と挿入開口18aとの間の距離が、センサ本体をガラスに接着するための接着剤の所定の厚みに設定されている。
【解決手段】ガラス破壊センサ設置治具10Aは、取付面を厚み方向の一側の面に有するガラス破壊センサのセンサ本体を挿入するための挿入開口18a、及び挿入開口18aと相対する底部を有し、センサ本体の厚み方向の他側に底部を押し当ててセンサ本体を収納したときに、センサ本体の厚み方向に垂直な方向への移動を規制するセンサ収納凹部17Aと、挿入開口18aを含む平面上に位置する支持面15a,15bを備える治具本体11Aとを備え、センサ本体の厚み方向の他側に底部を押し当ててセンサ本体をセンサ収納凹部17Aに収納したときのセンサ本体の取付面と挿入開口18aとの間の距離が、センサ本体をガラスに接着するための接着剤の所定の厚みに設定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はガラスの表面に接着剤により取り付けられてガラスの破壊を検知するセンサ本体を有するガラス破壊センサをガラスの表面に設置するのに好適なガラス破壊センサ設置治具に関する。
【背景技術】
【0002】
窓ガラスやガラス扉など室内外を仕切るガラス板に取り付けられ、ガラス板が破壊したときにこれを検知して音や光によって報知する従来のガラス破壊センサが提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、例えば、ガラス板が破壊されたときのガラス板は、ガラス板の材料により決まる所定の周波数で大きく振動する。従来のガラス破壊センサは、所定の周波数で大きく振動するガラス板の振動を電圧信号に変換する振動検知手段としての圧電素子を有しており、圧電素子の出力信号の振幅が警報閾値よりも大きいときにガラスが破壊されたことを検知するように構成されている。
【0004】
ところで、従来のガラス破壊センサは、接着剤によりガラスの表面に取り付けられる。ガラス板が破壊されたときのガラス板の振動が接着剤を介して伝わるため、接着剤を介して圧電素子で検知されるガラス板の振動の大きさは、接着剤の厚みにより大きく変動する。このため、接着剤の厚みは所定の範囲に収まるように厳密に管理する必要ある。例えば、接着剤は、1mm未満の厚みを基準の厚みとして管理されることも多く、接着剤の厚みの許容誤差範囲は、極端に狭いものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−48268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のガラス破壊センサをガラス板へ取り付ける際、接着剤の厚みは技術者の感覚で調整されていた。このため、作業者が、初心者の場合には、接着剤の厚みが、許容される範囲から外れ、ガラス破壊センサが、所望通りにガラスの破壊を検出できない状態となることがあるという問題があった。
【0007】
この発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、接着剤を用いてガラス破壊センサのセンサ本体をガラスの表面に接着する際、接着剤を所望の厚みにしてセンサ本体をガラスの表面に接着することを容易にするガラス破壊センサ設置治具を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、ガラスの表面に所定の厚みの接着剤を介して接着される取付面を厚み方向の一側の面に有するセンサ本体を備えるガラス破壊センサを、ガラスの表面に接着により設置するのに用いられるガラス破壊センサ設置治具に関するものであり、センサ本体を挿入するための挿入開口、及び挿入開口と相対する底部を有し、センサ本体の厚み方向の他側に底部を押し当ててセンサ本体を収納したときに、センサ本体の厚み方向に垂直な方向への移動を規制するセンサ収納凹部と、挿入開口を含む平面上に位置する支持面とを有する治具本体を備え、センサ本体の厚み方向の他側に底部を押し当ててセンサ本体をセンサ収納凹部に収納したときのセンサ本体の取付面と挿入開口との間の距離が、接着剤の所定の厚みに設定されている。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係るガラス破壊センサ設置治具を用いれば、センサ本体の厚み方向の他側に底部を押し当ててセンサ本体をセンサ収納凹部に収納したときのセンサ本体の取付面と挿入開口との間の距離を、所望する接着剤の所定の厚みに設定されているので、以下の効果が得られる。
即ち、取付面に接着剤を、センサ収納凹部に収納したときのセンサ本体の取付面と挿入開口との間の距離より厚く塗布し、取付面をガラスの表面内のセンサ本体の取り付け部位に向け、センサ本体をセンサ収納凹部に収納した治具本体の支持面を、ガラスの表面に当接させるように治具本体をガラスの表面に押し込むだけで、接着剤の厚みを確実に所望する接着剤の厚みにできる。したがって、誰でも容易に、接着剤を所望する厚さにしてセンサ本体をガラスの表面に接着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ガラス破壊センサ設置治具の上面図である。
【図2】ガラス破壊センサの側面図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るガラス破壊センサ設置治具の斜視図である。
【図4】図3をA方向から見た図である。
【図5】図3をB方向から見た図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係るガラス破壊センサ設置治具の分解斜視図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す側面図であり、接着剤をセンサ本体の取付面に塗布した様子を示している。
【図8】この発明の実施の形態1に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す側面図であり、センサ本体の取付面に塗布された接着剤を、ガラスの表面の所望する部位に接触させた様子を示している。
【図9】この発明の実施の形態1に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す側面図であり、ガラスの表面の所望する部位に配置したセンサ本体を、治具本体の収納凹部側に収納するように、治具本体をガラス表面に向かって移動させている様子を示している。
【図10】図9をC方向から見た正面図である。
【図11】この発明の実施の形態1に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す側面図であり、センサ収納凹部にセンサ本体を収納させた治具本体の支持面をガラスの表面に当接させた状態を示している。
【図12】この発明の実施の形態1に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラスの表面に設置されたガラス破壊センサを示す側面図である。
【図13】この発明の実施の形態2に係るガラス破壊センサ設置治具の斜視図である。
【図14】図13をD方向から見た図である。
【図15】この発明の実施の形態2に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す側面図であり、ガラスの表面の所望する部位に配置したセンサ本体を、センサ収納凹部側に収納するように、治具本体をガラス表面に向かって移動させている様子を示している。
【図16】この発明の実施の形態2に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す側面図であり、センサ収納凹部にセンサ本体を収納した治具本体の支持面をガラスの表面に当接させた様子を示している。
【図17】この発明の実施の形態3に係るガラス破壊センサ設置治具の斜視図である。
【図18】この発明の実施の形態3に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す正面図であり、貼付け部材をガラスの表面の所望する部位に貼り付けた状態を示している。
【図19】この発明の実施の形態3に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す正面図であり、取付面に接着剤を塗布したセンサ本体を、貼付け部材の穴部と相対させた状態を示している。
【図20】この発明の実施の形態3に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す側面図であり、センサ収納凹部にセンサ本体を収納させた治具本体の支持面をガラスの表面に当接させた状態を示している。
【図21】この発明の実施の形態3に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す側面図であり、治具本体の支持面をガラスの表面に当接させたまま、貼付け部材を剥がした状態を示している。
【図22】この発明の実施の形態4に係るガラス破壊センサ設置治具の斜視図である。
【図23】この発明の実施の形態4に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す正面図であり、貼付け部材をガラスの表面の所望する部位に貼り付けた状態を示している。
【図24】この発明の実施の形態4に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す側面図であり、センサ収納凹部にセンサ本体を収納させた治具本体の支持面を貼付け部材の表面に当接させた状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
実施の形態1.
まず、ガラス破壊センサ設置治具の説明に先立って、ガラス破壊センサについて説明する。
図1はガラス破壊センサ設置治具の上面図、図2はガラス破壊センサの側面図である。
【0013】
図1及び図2において、ガラス破壊センサ1は、センサ本体2、及びセンサ本体2内から外部に引き出された信号取出し線3を備える。
【0014】
センサ本体2の厚み方向に垂直な断面の外形形状は、円形となっている。そして、信号取出し線3が、センサ本体2の外周部からセンサ本体2の外側に引き出されている。
【0015】
センサ本体2の厚み方向の一側の面は、図示しないガラスに接着剤により接着される取付面2aを構成している。
センサ本体2内には、取付面2aとガラスの表面とを接着剤により接着してセンサ本体2をガラスに取り付けられた条件下、ガラスの振動の大きさに比例する大きさの電気信号を出力する圧電素子(図示せず)、及び圧電素子の出力の大きさが、ガラスが破壊されたか否かの判断値となる閾値よりも大きいときに警報信号を出力する破壊検出回路(図示せず)などが設けられている。なお、破壊検出回路の出力は、信号取出し線3を介して外部に導かれる。
【0016】
次いで、ガラス破壊センサ設置治具について説明する。
図3はこの発明の実施の形態1に係るガラス破壊センサ設置治具の斜視図、図4は図3をA方向から見た図、図5は図3をB方向から見た図、図6はこの発明の実施の形態1に係るガラス破壊センサ設置治具の分解斜視図である。
【0017】
図2〜図5において、ガラス破壊センサ設置治具10Aは、センサ本体2を収納するセンサ収納凹部17Aを有する治具本体11Aを備えている。
治具本体11Aは、同じ厚みの第1プレート12A及び第2プレート12Bにより構成される。
【0018】
第1プレート12Aは、図6に示されるように、概略正方形のプレートに対し、一辺に所定の幅で開口するように形成された矩形形状の第1凹部13a、及び第1凹部13aの所定部位から第1プレート12Aの他辺に向かって所定の深さだけ延在する第1嵌合凹部16aを形成したもので構成されている。
そして、第1凹部13aの幅方向の両側に位置する第1プレート12Aの部位が、一対の第1センサ移動規制片14aを構成している。さらに、一対の第1センサ移動規制片14aのそれぞれの先端面が、第1凹部13aの開口面を含む平面上に位置する第1支持面15aを構成している。
【0019】
第1凹部13aの深さは、ガラス破壊センサ1のセンサ本体2の厚みと、予め、仕様により規定され、ガラスの表面にセンサ本体2の取付面2aを接着する接着剤の所定の厚み(以下、接着剤の規定厚とする)とを足した深さに設定される。接着剤の規定厚は、ガラス破壊センサ1のガラスの破壊を検出するための性能を発揮するための最適な厚さであり、0.5mmにも満たないごく薄い厚さに規定されることも多い。また、第1凹部13aの幅は、ガラス破壊センサ1のセンサ本体2の最大の外径より僅かに大きく設定されている。
【0020】
また、第1嵌合凹部16aは、第1及び第2プレート12A,12Bの厚みより僅かに厚い幅を有し、第1凹部13aの底部から第1プレート12Aの他辺に向かって所定の深さに形成されている。このとき、第1嵌合凹部16aの幅中心は、第1プレート12Aの一辺及び他辺の長手方向の中心に位置している。
【0021】
また、第2プレート12Bは、図6に示されるように、概略正方形のプレートの一辺に所定の幅で開口するように形成された矩形形状の第2凹部13b、及び第2プレート12Bの他辺の所定部位から第2凹部13bに向かって所定の深さに延在する第2嵌合凹部16bを形成したもので構成されている。
【0022】
第2凹部13bの深さは第1凹部13aの深さと同じになっている。また、第2凹部13bの幅方向の両側に位置する第2プレート12Bの部位が、一対の第2センサ移動規制片14bを構成している。さらに、一対の第2センサ移動規制片14bのそれぞれの先端面が、第2凹部13bの開口面を含む平面上に位置する第2支持面15bを構成している。
【0023】
また、第2嵌合凹部16bは、第1及び第2プレート12A,12Bの厚みより僅かに厚い幅を有している。第2嵌合凹部16bの幅中心は、第2プレート12Bの一辺及び他辺の長手方向の中心に位置している。
【0024】
また、第2嵌合凹部16bの深さは、第2プレート12Bの他辺と第2凹部13bの底部の間の距離から第1嵌合凹部16aの深さを引いた値に設定されている。
【0025】
そして、治具本体11Aは、第1プレート12Aの第1嵌合凹部16aの底部が、第2プレート12Bの第2嵌合凹部16bの底部に当接するように、第1及び第2プレート12A,12Bを互いに嵌め合わせて一体化したもので構成される。
【0026】
以上のように構成される治具本体11Aでは、図3〜5に示されるように、第1凹部16aと第1嵌合凹部16aに嵌められた第2プレート12Bの部位との間の隙間、及び第2嵌合凹部16bと第2嵌合凹部16bに嵌められた第1プレート12Aの部位との間の隙間は略無いので、第1及び第2プレート12A,12Bは、互いの嵌め合わせ方向以外への移動が規制される。また、第1及び第2凹部13a,13bの底面は面一となり、第1及び第2支持面15a,15bも面一となる。そして、センサ収納凹部17Aが、第1及び第2の凹部13a,13bにより構成される。また、センサ本体2をセンサ収納凹部17A内に挿入するための挿入開口18aが、第1及び第2凹部13a,13bの開口により構成される。
【0027】
前述したように、第1及び第2凹部13a,13bの幅は、センサ本体2の最大の外径より僅かに大きく設定されている。これにより、センサ収納凹部17Aには、厚み方向を第1及び第2凹部13a,13bの深さ方向に一致させたセンサ本体2を、挿入開口18aから挿入して収納することが可能となる。また、センサ収納凹部17Aに収納されたセンサ本体2は、その厚み方向以外への移動を規制される。
【0028】
次いで、ガラス破壊センサ設置治具10Aを用いたガラス破壊センサ1のガラスへの設置について図7〜図12を参照しつつ説明する。
【0029】
図7はこの発明の実施の形態1に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す側面図であり、接着剤をセンサ本体の取付面に塗布した様子を示している。図8はこの発明の実施の形態1に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す側面図であり、センサ本体の取付面に塗布された接着剤を、ガラスの表面の所望する部位に接触させた様子を示している。図9はこの発明の実施の形態1に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す側面図であり、ガラスの表面の所望する部位に配置したセンサ本体を、治具本体の収納凹部側に収納するように、治具本体をガラス表面に向かって移動させている様子を示している。図10は図9をC方向から見た正面図である。図11はこの発明の実施の形態1に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す側面図であり、センサ収納凹部にセンサ本体を収納させた治具本体の支持面をガラスの表面に当接させた状態を示している。図12はこの発明の実施の形態1に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラスの表面に設置されたガラス破壊センサを示す側面図である。
なお、図7〜図12では、説明の便宜上、接着剤の厚みは実際のものに比べて誇張して図示している。また、初期状態として、第1及び第2プレート12A,12Bは、分離されているものとする。
【0030】
まず、作業者は、第1プレート12Aの第1嵌合凹部16aの底部が、第2プレート12Bの嵌合凹部16bの底部に当接するように、第1及び第2プレート12A,12Bを嵌め合わせ、図3に示されるように、第1及び第2プレート12A,12Bを一体化させた治具本体11Aを用意しておく。
【0031】
次いで、作業者は、図7に示されるように、ガラス破壊センサ1のセンサ本体2の取付面2aに接着剤25を塗布する。このとき、取付面2aに塗布する接着剤25の厚みは、規定厚より厚くする。
【0032】
次いで、作業者は、図8に示されるように、取付面2aに塗布した接着剤25を、センサ本体2の所望するガラス30の表面への取り付け位置に相対させ、接着剤25がガラス30の表面に軽く押し当てられるまで、センサ本体2をガラス30側に移動する。
【0033】
次いで、作業者、この状態でガラス破壊センサ1を支持しつつ、図9及び図10に示されるように、治具本体11Aの支持面15a,15bをガラス30の表面に向け、センサ収納凹部17Aにセンサ本体2が嵌められるように、治具本体11Aをガラス30の表面側にゆっくり移動させる。センサ収納凹部17Aの底部を構成する第1及び第2凹部13a,13bの底部は、ガラス30の表面から所定の距離まで近づいたところで、センサ本体2の厚み方向の他側の面に押し付けられる。
【0034】
作業者は、図11に示されるように、支持面15a,15bがガラス30の表面に当接するところまで、治具本体11Aをガラス30の表面に押し込む。
【0035】
取付面2aと挿入開口18aとの間の距離、言い換えれば取付面2aと支持面15a,15bを含む平面との間の距離は、接着剤25の規定厚に一致しているので、ガラス30の表面と取付面2aとは規定厚の厚みの接着剤25を介して相対することになる。
【0036】
また、前述したように、第1及び第2凹部13a,13bの幅は、センサ本体2の最大の外径より僅かに大きく設定されているので、センサ本体2の厚み方向に直交する方向へのセンサ本体2の移動、言い換えれば、センサ本体2のガラス30の表面に沿った方向への移動が規制される。
なお、取付面2aに塗布された接着剤25の厚さが規定厚になるまで、センサ本体2を治具本体11Aにより押し込んだことで、余分な接着剤25が、センサ本体2の外周部にはみ出る。
【0037】
次いで、作業者は、治具本体11Aにセンサ本体2を収納した状態で、センサ本体2の外周部にはみ出た余分な接着剤25をふき取った後、治具本体11Aをガラス30の表面から離反させて退避する。この状態で接着剤25が固まるまで待機することで、図12に示されるように、センサ本体2が、規定厚の厚みで硬化した接着剤25によりガラス30の表面に接着される。以上により、ガラス破壊センサ設置治具10Aを用いたガラス破壊センサ1のガラス30の表面への設置作業が終了する。
【0038】
この実施の形態1に係るガラス破壊センサ設置治具10Aは、センサ本体2を挿入するための挿入開口18a、及び挿入開口18aと相対する底部を有し、センサ本体2の厚み方向の他側を、当該底部に押し当てて収納したセンサ本体2の厚み方向に垂直な方向への移動を規制するセンサ収納凹部17Aと、挿入開口18aを含む平面上に位置する支持面15a,15bとを有する治具本体11Aを備え、センサ本体2の厚み方向の他側にセンサ収納凹部17Aの底部を押し当ててセンサ本体2をセンサ収納凹部17Aに収納したときに、センサ本体2の取付面2aと挿入開口18aとの間の距離が、所定の接着剤25の厚み(規定厚)となるようになっている。
【0039】
これにより、取付面2aに接着剤25を規定厚より厚く塗布し、取付面2aをガラス30の表面のセンサ本体2の取り付け部位に向け、センサ本体2をセンサ収納凹部17Aに収納した治具本体11Aの支持面15a,15bを、ガラス30の表面に当接させるように治具本体11Aをガラス30の表面に押し込むだけで、接着剤25の厚みが、確実に規定厚となる。
したがって、誰でも簡単に、接着剤25の厚みを規定厚にして、言い換えれば、接着剤25を所望する厚みにしてセンサ本体2をガラス30の表面に接着させることができる。
【0040】
また、治具本体11Aは、一辺に開口し、所定の深さを有する第1凹部13a、及び第1凹部13aの底から第1凹部13aの開口と逆側に延在する第1嵌合凹部16aが形成された第1プレート12Aと、一辺に開口し、所定の深さを有する第2凹部13b、及び第2凹部13bの開口と逆側の部位から第2凹部13bに向かって延在する第2嵌合凹部16bが形成された第2プレート12Bと、を備えている。
そして、第1及び第2プレート12A,12Bは、第1及び第2凹部13a,13bの開口を同一方向に向け、第1及び第2嵌合凹部16a,16bの底部が当接されるように互いに嵌め合わせ可能であり、第1及び第2プレート12A,12Bを嵌め合わせたときに、第1及び第2凹部13a,13bの外側に位置する壁部(第1及び第2センサ移動規制片14a,14b)の先端面が支持面15a,15bを構成するとともに、センサ収納凹部17Aが第1及び第2凹部13a,13bにより構成されるようになっている。
【0041】
従って、例えば、治具本体11Aを持ち運ぶときには、第1及び第2プレート12A,12Bを分離して重ねるなどすれば、治具本体11Aがコンパクトになり、持ち運びに便利である。
【0042】
また、既にガラス30に取り付けられているガラス破壊センサ1に対しては以下のように接着剤25の厚みが適当であるか否かをチェックできる。
即ち、治具本体11Aの支持面15a,15bをガラス30の表面に向け、センサ収納凹部17A内に、センサ本体2を収納するように治具本体11Aを押し込み、支持面15a,15bとガラス30との間に隙間の大きさ、またはセンサ収納凹部17Aの底部とセンサ本体2の厚み方向の他側の面との間の隙間の大きさをチェックする。
支持面15a,15bとガラス30との間に大きく隙間が形成される場合は、接着剤25が規定厚に対して厚すぎると判断でき、センサ収納凹部17Aの底部とセンサ本体2の厚み方向の他側の面との間に大きく隙間が形成される場合には、接着剤25が規定厚に対して薄すぎると判断できる。
【0043】
実施の形態2.
図13はこの発明の実施の形態2に係るガラス破壊センサ設置治具の斜視図、図14は図13をD方向から見た図である。
【0044】
図13及び図14において、ガラス破壊センサ設置治具10Bは、一端面に開口し、他端面に向かって所定の深さを有するセンサ収納凹部17Bが形成された円柱状の治具本体11Bにより構成されている。
【0045】
センサ収納凹部17Bは、断面円形に形成されている。センサ収納凹部17Bの内径は、ガラス破壊センサ1のセンサ本体2の最大の外径より僅かに大きく設定されている。センサ収納凹部17Bの深さは、センサ本体2の厚みと接着剤25の規定厚とを足した深さに設定されている。
【0046】
また、治具本体11Bの一端側には、一端面から他端面に向かって所定の深さを有し、センサ収納凹部17Bの内外を連通する第1切り欠き11aが形成されている。
さらに、治具本体11Bの一端側には、一端面から他端面に向かって所定の深さを有し、センサ収納凹部17Bの内外を連通する複数の第2切り欠き11bが、それぞれ周方向に所定の幅で、治具本体11Bの周方向に互いに間隔をあけて形成されている。
また、センサ本体2をセンサ収納凹部17B内に挿入するための挿入開口18bが、センサ収納凹部17Bの開口により構成される。また、挿入開口18bを含む平面上に位置する治具本体11Bの一端面が、支持面15cを構成している。
【0047】
次いで、ガラス破壊センサ1のガラス30へのガラス破壊センサ設置治具10Bを用いた設置について説明する。
図15はこの発明の実施の形態2に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す側面図であり、ガラスの表面の所望する部位に配置したセンサ本体を、センサ収納凹部側に収納するように、治具本体をガラス表面に向かって移動させている様子を示している。図16はこの発明の実施の形態2に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す側面図であり、センサ収納凹部にセンサ本体を収納した治具本体の支持面をガラスの表面に当接させた様子を示している。
また、図15及び図16では、説明の便宜上、接着剤の厚みは実際のものに比べて誇張して図示している。
【0048】
作業者は、図7及び図8を用いて説明したのと同様、センサ本体2の取付面2aに接着剤25を塗布し、取付面2aを所望するガラス30の表面の取り付け位置に向け、接着剤25がガラス30の表面に軽く押し当てられるまでセンサ本体2をガラス30の表面に向かって移動させる。
次いで、作業者は、図15に示されるように、治具本体11Bのセンサ収納凹部17Bをセンサ本体2と相対させた後、第1切り欠き11aから信号取出し線3が引き出されるように周方向の位置を調整し、センサ収納凹部17Bにセンサ本体2が嵌められるように、治具本体11Bをガラス30側にゆっくり移動させる。
【0049】
センサ収納凹部17Bの底部が、ガラス30の表面から所定の距離まで近づいたところで、センサ本体2の厚み方向の他側の面が、センサ収納凹部17Bの底部に押し付けられる。さらに、作業者は、図16に示されるように、支持面15cが、ガラス30の表面に当接するところまで、治具本体11Bをガラス30の表面に向けて押し込む。
【0050】
このとき、取付面2aと挿入開口18bとの間の距離、言い換えれば取付面2aと支持面15cを含む平面との間の距離は、接着剤25の規定厚に一致しているので、ガラス30の表面と取付面2aとは規定厚の厚みの接着剤25を介して相対することになる。
【0051】
また、センサ収納凹部17Bの内径が、センサ本体2の最大の外径より僅かに大きく設定されているので、センサ本体2の厚み方向に直交する方向への移動、言い換えれば、センサ本体2のガラス30の表面に沿った方向への移動が規制される。
取付面2aに塗布された接着剤25の厚さが規定厚になるまで、センサ本体2を押し込むことで、余分な接着剤25が、センサ本体2の外周部から第1及び第2切り欠き11a,11bを介して治具本体11Bの外周部にはみ出る。
【0052】
次いで、図示しないが、作業者は、第1及び第2切り欠き11a,11b内の接着剤25及び治具本体11Bの外周部にはみ出た接着剤25をふき取ったのち、治具本体11Bをガラス30の表面から離反させて退避する。この状態で接着剤25が固まるまで待機することで、図12で示されるのと同様、センサ本体2が、規定厚の接着剤25によりガラス30の表面に取り付けられる。以上により、ガラス破壊センサ設置治具10Bを用いたガラス破壊センサ1のガラス30の表面への設置作業が終了する。
【0053】
この発明の実施の形態2によるガラス破壊センサ設置治具10Bは、ガラス破壊センサ設置治具10Aと同様、センサ本体2を収納するセンサ収納凹部17B、及びセンサ収納凹部17Bの挿入開口18bを含む平面上に位置する支持面15cを備える治具本体11Bにより構成されている。
【0054】
これにより、取付面2aに接着剤25を規定厚より厚く塗布し、取付面2aをガラス30の表面のセンサ本体2の取り付け部位に向け、センサ本体2をセンサ収納凹部17Bに収納した治具本体11Bの支持面15cを、ガラス30の表面に当接させるように治具本体11Bをガラス30の表面に押し込むだけで、接着剤25の厚みが、確実に規定厚となる。したがって、誰でも簡単に、接着剤25の厚みを規定厚にしてセンサ本体2をガラス30の表面に接着させることができる。
【0055】
実施の形態3.
図17はこの発明の実施の形態3に係るガラス破壊センサ設置治具の斜視図である。
なお、図17において、上記実施の形態1と同一または相当部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0056】
ガラス破壊センサ設置治具10Cは、治具本体11Aと、シート状の貼付け部材20Aとにより構成されている。
貼付け部材20Aの厚さは、接着剤25の規定厚と同じ厚さのものが用いられている。
【0057】
貼付け部材20Aには、取付面2aと同じ形状の穴部21と、穴部21の縁部から互いに反対方向に延在する一対の第1治具本体挿入穴22aと、一対の第1治具本体挿入穴22aに対して穴部21の周方向に90度の角度をずらして穴部21の縁部から互いに反対方向に延在する一対の第2治具本体挿入穴22bとが形成されている。
また、貼付け部材20Aは、第1治具本体挿入穴22aの先端部の所定部位と貼付け部材20Aの外縁部の所定部位との間を全域に亘って切断した切断部23aを有している。
【0058】
一対の第1及び第2治具本体挿入穴22a,22bの幅は、第1及び第2プレート12A,12Bの幅に一致している。
また、一対の第1治具本体挿入穴22aの先端間の距離は、第1プレート12A一辺の長さより僅かに長く設定されている。
また、一対の第2治具本体挿入穴の先端間の距離は、第2プレート12Bの一辺の長さより僅かに長く設定されている。
【0059】
次いで、ガラス破壊センサ設置治具10Cを用いたガラス破壊センサ1のガラス30の表面への設置方法について図18〜図21を参照しつつ説明する。
図18はこの発明の実施の形態3に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す正面図であり、貼付け部材をガラスの表面の所望する部位に貼り付けた状態を示している。図19はこの発明の実施の形態3に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す正面図であり、取付面に接着剤を塗布したセンサ本体を、貼付け部材の穴部と相対させた状態を示している。図20はこの発明の実施の形態3に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す側面図であり、センサ収納凹部にセンサ本体を収納させた治具本体の支持面をガラスの表面に当接させた状態を示している。図21はこの発明の実施の形態3に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す側面図であり、治具本体の支持面をガラスの表面に当接させたまま、貼付け部材を剥がした状態を示している。
また、図19〜図21では、説明の便宜上、貼付け部材の厚み、及び接着剤の厚みは実際のものに比べて誇張して図示している。
【0060】
まず、図示しないが、作業者は、第1及び第2プレート12A,12Bを一体化させた治具本体11Aを用意しておく。
そして、作業者は、図18に示されるように、ガラス30の表面へのセンサ本体2の取り付け部位に、貼付け部材20Aの穴部21が位置するように、貼付け部材20Aをガラス30の表面に貼り付ける。
【0061】
次いで作業者は、図7を用いて説明したのと同様、センサ本体2の取付面2aに接着剤25を塗布し、図19に示されるように、取付面2aが穴部21と接着剤25を介して相対するようにセンサ本体2を移動させる。
次いで、作業者は、取付面2aに塗布された接着剤25が穴部21に入り込むようにセンサ本体2をガラス30の表面に軽く押し当てる。
【0062】
さらに、作業者は、支持面15a,15bと第1及び第2治具本体挿入穴22a,22bとが相対するように治具本体11Aの向きを調整し、センサ収納凹部17Aにセンサ本体2が嵌められるように、治具本体11Aをガラス30側にゆっくり移動させる。センサ収納凹部17Aの底部が、ガラス30の表面から所定の距離まで近づいたところで、センサ本体2の厚み方向の他側の面が、センサ収納凹部17Aの底部に押し付けられる。
【0063】
さらに、作業者は、図20に示されるように、支持面15a,15bがガラス30の表面に当接するところまで、治具本体11Aを押し込む。このとき、治具本体11Aの支持面15a,15b側の部位は、第1及び第2治具本体挿入穴22a,22b側の部位に挿入される。
【0064】
取付面2aと支持面15a,15bを含む平面との間の距離は、接着剤25の規定厚に一致しているので、ガラス30の表面と取付面2aとは規定厚の厚みの接着剤25を介して相対することになる。
そして、穴部21の内面とセンサ本体2の取付面2a側の外周部が、略隙間なく配置され、また、第1及び第2治具本体挿入穴22a,22bの内面と第1及び第2治具本体挿入穴22a,22bに挿入された治具本体11Aの部位が、隙間なく配置される。これにより、センサ本体2の外周部にはみ出た余分な接着剤25は、貼付け部材20A上に広がる。
【0065】
次いで、作業者は、図21に示されるように、貼付け部材20Aを、切断部23a側から剥がしてガラス30の表面から取り去る。このとき、貼付け部材20Aにはみ出した余分な接着剤25が貼付け部材20Aとともに取り去られる。さらに、作業者は、ふき取るべき余分な接着剤25が、センサ本体2の周りに残っている場合にはふき取る。
以上により、ガラス破壊センサ設置治具10Cを用いたガラス破壊センサ1のガラス30の表面への設置作業が終了する。
【0066】
この実施の形態3のガラス破壊センサ設置治具10Cは、取付面2aと同じ内形形状の穴部21、及び穴部21に取付面2aを相対させたセンサ本体2をセンサ収納凹部17Aに収納した治具本体11Aの支持面15a,15b側の部位を挿入可能な形状の第1及び第2治具本体挿入穴22a,22bが形成され、ガラス30の表面に着脱自在なシート状の貼付け部材20Aを備えている。
【0067】
従って、予め、貼付け部材20Aをガラス30の表面のセンサ本体2の取り付け部位に穴部21を対応させて貼り付けた後、上述のようにセンサ収納凹部17Aにセンサ本体2を収納させるように治具本体11Aをガラス30の表面に押し当てれば、センサ本体2の外周部にあふれ出る余分な接着剤25が貼付け部材20Aの表面上に広がる。これにより、貼付け部材20Aを剥ぎ取ることで、余分な接着剤25が貼付け部材20Aとともに取り去られ、センサ本体2の外周側にあふれ出る余分な接着剤25をふき取る作業を省略できる。
【0068】
実施の形態4.
図22はこの発明の実施の形態4に係るガラス破壊センサ設置治具の斜視図である。
【0069】
図22において、ガラス破壊センサ設置治具10Dは、治具本体11Cが治具本体11Aに代え用いられ、貼付け部材20Bが貼付け部材20Aに代えて用いられている。
治具本体11Cは、第1及び第2プレート12C,12Dを備えている。
第1及び第2プレート12C,12Dは、第1及び第2凹部13a,13bの深さが、ガラス破壊センサ1の最大の厚みに一致している他は、第1及び第2プレート12A,12Bと同様に構成されている。
【0070】
治具本体11Cは、第1プレート12Cの第1嵌合凹部16aの底部が、第2プレート12Dの嵌合凹部16bの底部に当接するように、第1及び第2プレート12C,12Dを嵌め合わせて一体化したもので構成される。
【0071】
また、貼付け部材20Bは、接着剤25の規定厚と同じ厚みを有している。貼付け部材20Bには、センサ本体2の取付面2aと同形状の穴部21が形成されている。また、貼付け部材20Bは、穴部21の所定部位と貼付け部材20Bの外周部の所定部位との間を全域に亘って切断した切断部23bを有している。
【0072】
以上のような形状の貼付け部材20Bに対し、センサ収納凹部17Aに収納したセンサ本体2の取付面2aを穴部21に相対させ、治具本体11Cの支持面15a,15bを貼付け部材20Bの一面に当接させたときには、取付面2aと貼付け部材20Bの他面との間の距離が、接着剤25の所望の厚みに一致する。
【0073】
次いで、ガラス破壊センサ設置治具10Dを用いたガラス破壊センサ1のガラス30の表面への設置について図23及び図24を参照しつつ説明する。
図23はこの発明の実施の形態4に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す正面図であり、貼付け部材をガラスの表面の所望する部位に貼り付けた状態を示している。図24はこの発明の実施の形態4に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す側面図であり、センサ収納凹部にセンサ本体を収納させた治具本体の支持面を貼付け部材の表面に当接させた状態を示している。
【0074】
まず、図示しないが、作業者は、第1及び第2プレート12C,12Dを一体化させた治具本体11Cを用意しておく。
そして、作業者は、図23に示されるように、ガラス30の表面へのセンサ本体2の取り付け部位に、貼付け部材20Bの穴部21が位置するように、貼付け部材20Bをガラス30の表面に貼り付ける。
【0075】
そして、作業者は、図7を用いて説明したのと同様、センサ本体2の取付面2aに接着剤25を塗布し、取付面2aが穴部21と接着剤25を介して相対するようにガラス破壊センサ1を移動させる。
【0076】
次いで、作業者は、取付面2aに塗布された接着剤25を穴部21に入り込むようにセンサ本体2をガラス30の表面に軽く押し当てる。
【0077】
次いで、作業者は、センサ収納凹部17Aにセンサ本体2が嵌められるように、治具本体11Cをガラス30側にゆっくり移動させる。センサ収納凹部17Aの底部が、ガラス30の表面から所定の距離まで近づいたところで、センサ本体2の厚み方向の他側の面が、センサ収納凹部17Aの底部に押し付けられる。
【0078】
さらに、作業者は、図24に示されるように、支持面15a,15bが穴部21の外側に位置する貼付け部材20Bの表面に当接するところまで、治具本体11Cをガラス30の表面側に押し込む。
【0079】
このとき、取付面2aと挿入開口18aとが一致する。即ち、取付面2aは、支持面15a,15bを含む平面上に位置し、また、貼付け部材20Bが、接着剤25の規定厚と同じ厚みを有しているので、ガラス30の表面と取付面2aとは規定厚の厚みの接着剤25を介して相対することになる。
また、センサ本体2の外周部にはみ出る余分な接着剤25は、貼付け部材20B上に広がる。
【0080】
次いで、作業者は、貼付け部材20Bを、切断部23b側から剥がしてガラス30の表面から取り去る。このとき、貼付け部材20Bにはみ出した余分な接着剤25が貼付け部材20Bとともに取り去られる。さらに、作業者は、ふき取るべき余分な接着剤25が、センサ本体2の外周側に残っている場合には、ふき取る。
【0081】
以上により、ガラス破壊センサ設置治具10Dを用いたガラス破壊センサ1のガラス30の表面への設置作業が終了する。
【0082】
この実施の形態4に係るガラス破壊センサ設置治具10Dは、センサ本体2を挿入するための挿入開口18a及び挿入開口18aと相対する底部を有し、センサ本体2の厚み方向の他側を底部に押し当てて収納したときに、センサ本体2の厚み方向に垂直な方向への移動を規制するセンサ収納凹部17A、及び挿入開口18aと同一面上に位置する支持面15a,15bを有する治具本体11Cと、取付面2aと同じ形状の穴部21が厚み方向に貫通されたシート状の貼付け部材20Bとを備え、センサ本体2をセンサ収納凹部17Aに収納した治具本体11Cの支持面15a,15bを貼付け部材20Bの表面に当接させたときに、取付面2aと挿入開口18aとの間の距離が、接着剤25の規定厚(所定の厚み)に一致するようになっている。
【0083】
従って、予め、貼付け部材20Bをガラス30の表面のセンサ本体2の取り付け部位に穴部21を対応させて貼り付けた後、上述のようにセンサ収納凹部17Aにセンサ本体2を収納させるように治具本体11Aをガラス30の表面に押し当てれば、センサ本体2の外周部にあふれ出る余分な接着剤25が貼付け部材20Bの表面上に広がる。これにより、治具本体11Cを退避した後、貼付け部材20Bを剥ぎ取ることで、余分な接着剤25が貼付け部材20Bとともに取り去られ、センサ本体2の外周側にあふれ出る余分な接着剤25をふき取る作業を省略できる。
【符号の説明】
【0084】
1 ガラス破壊センサ、2 センサ本体、2a 取付面、10A〜10D ガラス破壊センサ設置治具、11A〜11D 治具本体、13a 第1凹部、13b 第2凹部、15a〜15c 支持面、16a 第1嵌合凹部、16b 第2嵌合凹部、17A,17B センサ収納凹部、18a,18b 挿入開口、20A,20B 貼付け部材、21 穴部、22a,22b 治具本体挿入穴、25 接着剤、30 ガラス。
【技術分野】
【0001】
この発明はガラスの表面に接着剤により取り付けられてガラスの破壊を検知するセンサ本体を有するガラス破壊センサをガラスの表面に設置するのに好適なガラス破壊センサ設置治具に関する。
【背景技術】
【0002】
窓ガラスやガラス扉など室内外を仕切るガラス板に取り付けられ、ガラス板が破壊したときにこれを検知して音や光によって報知する従来のガラス破壊センサが提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、例えば、ガラス板が破壊されたときのガラス板は、ガラス板の材料により決まる所定の周波数で大きく振動する。従来のガラス破壊センサは、所定の周波数で大きく振動するガラス板の振動を電圧信号に変換する振動検知手段としての圧電素子を有しており、圧電素子の出力信号の振幅が警報閾値よりも大きいときにガラスが破壊されたことを検知するように構成されている。
【0004】
ところで、従来のガラス破壊センサは、接着剤によりガラスの表面に取り付けられる。ガラス板が破壊されたときのガラス板の振動が接着剤を介して伝わるため、接着剤を介して圧電素子で検知されるガラス板の振動の大きさは、接着剤の厚みにより大きく変動する。このため、接着剤の厚みは所定の範囲に収まるように厳密に管理する必要ある。例えば、接着剤は、1mm未満の厚みを基準の厚みとして管理されることも多く、接着剤の厚みの許容誤差範囲は、極端に狭いものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−48268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のガラス破壊センサをガラス板へ取り付ける際、接着剤の厚みは技術者の感覚で調整されていた。このため、作業者が、初心者の場合には、接着剤の厚みが、許容される範囲から外れ、ガラス破壊センサが、所望通りにガラスの破壊を検出できない状態となることがあるという問題があった。
【0007】
この発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、接着剤を用いてガラス破壊センサのセンサ本体をガラスの表面に接着する際、接着剤を所望の厚みにしてセンサ本体をガラスの表面に接着することを容易にするガラス破壊センサ設置治具を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、ガラスの表面に所定の厚みの接着剤を介して接着される取付面を厚み方向の一側の面に有するセンサ本体を備えるガラス破壊センサを、ガラスの表面に接着により設置するのに用いられるガラス破壊センサ設置治具に関するものであり、センサ本体を挿入するための挿入開口、及び挿入開口と相対する底部を有し、センサ本体の厚み方向の他側に底部を押し当ててセンサ本体を収納したときに、センサ本体の厚み方向に垂直な方向への移動を規制するセンサ収納凹部と、挿入開口を含む平面上に位置する支持面とを有する治具本体を備え、センサ本体の厚み方向の他側に底部を押し当ててセンサ本体をセンサ収納凹部に収納したときのセンサ本体の取付面と挿入開口との間の距離が、接着剤の所定の厚みに設定されている。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係るガラス破壊センサ設置治具を用いれば、センサ本体の厚み方向の他側に底部を押し当ててセンサ本体をセンサ収納凹部に収納したときのセンサ本体の取付面と挿入開口との間の距離を、所望する接着剤の所定の厚みに設定されているので、以下の効果が得られる。
即ち、取付面に接着剤を、センサ収納凹部に収納したときのセンサ本体の取付面と挿入開口との間の距離より厚く塗布し、取付面をガラスの表面内のセンサ本体の取り付け部位に向け、センサ本体をセンサ収納凹部に収納した治具本体の支持面を、ガラスの表面に当接させるように治具本体をガラスの表面に押し込むだけで、接着剤の厚みを確実に所望する接着剤の厚みにできる。したがって、誰でも容易に、接着剤を所望する厚さにしてセンサ本体をガラスの表面に接着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ガラス破壊センサ設置治具の上面図である。
【図2】ガラス破壊センサの側面図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るガラス破壊センサ設置治具の斜視図である。
【図4】図3をA方向から見た図である。
【図5】図3をB方向から見た図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係るガラス破壊センサ設置治具の分解斜視図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す側面図であり、接着剤をセンサ本体の取付面に塗布した様子を示している。
【図8】この発明の実施の形態1に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す側面図であり、センサ本体の取付面に塗布された接着剤を、ガラスの表面の所望する部位に接触させた様子を示している。
【図9】この発明の実施の形態1に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す側面図であり、ガラスの表面の所望する部位に配置したセンサ本体を、治具本体の収納凹部側に収納するように、治具本体をガラス表面に向かって移動させている様子を示している。
【図10】図9をC方向から見た正面図である。
【図11】この発明の実施の形態1に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す側面図であり、センサ収納凹部にセンサ本体を収納させた治具本体の支持面をガラスの表面に当接させた状態を示している。
【図12】この発明の実施の形態1に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラスの表面に設置されたガラス破壊センサを示す側面図である。
【図13】この発明の実施の形態2に係るガラス破壊センサ設置治具の斜視図である。
【図14】図13をD方向から見た図である。
【図15】この発明の実施の形態2に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す側面図であり、ガラスの表面の所望する部位に配置したセンサ本体を、センサ収納凹部側に収納するように、治具本体をガラス表面に向かって移動させている様子を示している。
【図16】この発明の実施の形態2に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す側面図であり、センサ収納凹部にセンサ本体を収納した治具本体の支持面をガラスの表面に当接させた様子を示している。
【図17】この発明の実施の形態3に係るガラス破壊センサ設置治具の斜視図である。
【図18】この発明の実施の形態3に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す正面図であり、貼付け部材をガラスの表面の所望する部位に貼り付けた状態を示している。
【図19】この発明の実施の形態3に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す正面図であり、取付面に接着剤を塗布したセンサ本体を、貼付け部材の穴部と相対させた状態を示している。
【図20】この発明の実施の形態3に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す側面図であり、センサ収納凹部にセンサ本体を収納させた治具本体の支持面をガラスの表面に当接させた状態を示している。
【図21】この発明の実施の形態3に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す側面図であり、治具本体の支持面をガラスの表面に当接させたまま、貼付け部材を剥がした状態を示している。
【図22】この発明の実施の形態4に係るガラス破壊センサ設置治具の斜視図である。
【図23】この発明の実施の形態4に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す正面図であり、貼付け部材をガラスの表面の所望する部位に貼り付けた状態を示している。
【図24】この発明の実施の形態4に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す側面図であり、センサ収納凹部にセンサ本体を収納させた治具本体の支持面を貼付け部材の表面に当接させた状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
実施の形態1.
まず、ガラス破壊センサ設置治具の説明に先立って、ガラス破壊センサについて説明する。
図1はガラス破壊センサ設置治具の上面図、図2はガラス破壊センサの側面図である。
【0013】
図1及び図2において、ガラス破壊センサ1は、センサ本体2、及びセンサ本体2内から外部に引き出された信号取出し線3を備える。
【0014】
センサ本体2の厚み方向に垂直な断面の外形形状は、円形となっている。そして、信号取出し線3が、センサ本体2の外周部からセンサ本体2の外側に引き出されている。
【0015】
センサ本体2の厚み方向の一側の面は、図示しないガラスに接着剤により接着される取付面2aを構成している。
センサ本体2内には、取付面2aとガラスの表面とを接着剤により接着してセンサ本体2をガラスに取り付けられた条件下、ガラスの振動の大きさに比例する大きさの電気信号を出力する圧電素子(図示せず)、及び圧電素子の出力の大きさが、ガラスが破壊されたか否かの判断値となる閾値よりも大きいときに警報信号を出力する破壊検出回路(図示せず)などが設けられている。なお、破壊検出回路の出力は、信号取出し線3を介して外部に導かれる。
【0016】
次いで、ガラス破壊センサ設置治具について説明する。
図3はこの発明の実施の形態1に係るガラス破壊センサ設置治具の斜視図、図4は図3をA方向から見た図、図5は図3をB方向から見た図、図6はこの発明の実施の形態1に係るガラス破壊センサ設置治具の分解斜視図である。
【0017】
図2〜図5において、ガラス破壊センサ設置治具10Aは、センサ本体2を収納するセンサ収納凹部17Aを有する治具本体11Aを備えている。
治具本体11Aは、同じ厚みの第1プレート12A及び第2プレート12Bにより構成される。
【0018】
第1プレート12Aは、図6に示されるように、概略正方形のプレートに対し、一辺に所定の幅で開口するように形成された矩形形状の第1凹部13a、及び第1凹部13aの所定部位から第1プレート12Aの他辺に向かって所定の深さだけ延在する第1嵌合凹部16aを形成したもので構成されている。
そして、第1凹部13aの幅方向の両側に位置する第1プレート12Aの部位が、一対の第1センサ移動規制片14aを構成している。さらに、一対の第1センサ移動規制片14aのそれぞれの先端面が、第1凹部13aの開口面を含む平面上に位置する第1支持面15aを構成している。
【0019】
第1凹部13aの深さは、ガラス破壊センサ1のセンサ本体2の厚みと、予め、仕様により規定され、ガラスの表面にセンサ本体2の取付面2aを接着する接着剤の所定の厚み(以下、接着剤の規定厚とする)とを足した深さに設定される。接着剤の規定厚は、ガラス破壊センサ1のガラスの破壊を検出するための性能を発揮するための最適な厚さであり、0.5mmにも満たないごく薄い厚さに規定されることも多い。また、第1凹部13aの幅は、ガラス破壊センサ1のセンサ本体2の最大の外径より僅かに大きく設定されている。
【0020】
また、第1嵌合凹部16aは、第1及び第2プレート12A,12Bの厚みより僅かに厚い幅を有し、第1凹部13aの底部から第1プレート12Aの他辺に向かって所定の深さに形成されている。このとき、第1嵌合凹部16aの幅中心は、第1プレート12Aの一辺及び他辺の長手方向の中心に位置している。
【0021】
また、第2プレート12Bは、図6に示されるように、概略正方形のプレートの一辺に所定の幅で開口するように形成された矩形形状の第2凹部13b、及び第2プレート12Bの他辺の所定部位から第2凹部13bに向かって所定の深さに延在する第2嵌合凹部16bを形成したもので構成されている。
【0022】
第2凹部13bの深さは第1凹部13aの深さと同じになっている。また、第2凹部13bの幅方向の両側に位置する第2プレート12Bの部位が、一対の第2センサ移動規制片14bを構成している。さらに、一対の第2センサ移動規制片14bのそれぞれの先端面が、第2凹部13bの開口面を含む平面上に位置する第2支持面15bを構成している。
【0023】
また、第2嵌合凹部16bは、第1及び第2プレート12A,12Bの厚みより僅かに厚い幅を有している。第2嵌合凹部16bの幅中心は、第2プレート12Bの一辺及び他辺の長手方向の中心に位置している。
【0024】
また、第2嵌合凹部16bの深さは、第2プレート12Bの他辺と第2凹部13bの底部の間の距離から第1嵌合凹部16aの深さを引いた値に設定されている。
【0025】
そして、治具本体11Aは、第1プレート12Aの第1嵌合凹部16aの底部が、第2プレート12Bの第2嵌合凹部16bの底部に当接するように、第1及び第2プレート12A,12Bを互いに嵌め合わせて一体化したもので構成される。
【0026】
以上のように構成される治具本体11Aでは、図3〜5に示されるように、第1凹部16aと第1嵌合凹部16aに嵌められた第2プレート12Bの部位との間の隙間、及び第2嵌合凹部16bと第2嵌合凹部16bに嵌められた第1プレート12Aの部位との間の隙間は略無いので、第1及び第2プレート12A,12Bは、互いの嵌め合わせ方向以外への移動が規制される。また、第1及び第2凹部13a,13bの底面は面一となり、第1及び第2支持面15a,15bも面一となる。そして、センサ収納凹部17Aが、第1及び第2の凹部13a,13bにより構成される。また、センサ本体2をセンサ収納凹部17A内に挿入するための挿入開口18aが、第1及び第2凹部13a,13bの開口により構成される。
【0027】
前述したように、第1及び第2凹部13a,13bの幅は、センサ本体2の最大の外径より僅かに大きく設定されている。これにより、センサ収納凹部17Aには、厚み方向を第1及び第2凹部13a,13bの深さ方向に一致させたセンサ本体2を、挿入開口18aから挿入して収納することが可能となる。また、センサ収納凹部17Aに収納されたセンサ本体2は、その厚み方向以外への移動を規制される。
【0028】
次いで、ガラス破壊センサ設置治具10Aを用いたガラス破壊センサ1のガラスへの設置について図7〜図12を参照しつつ説明する。
【0029】
図7はこの発明の実施の形態1に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す側面図であり、接着剤をセンサ本体の取付面に塗布した様子を示している。図8はこの発明の実施の形態1に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す側面図であり、センサ本体の取付面に塗布された接着剤を、ガラスの表面の所望する部位に接触させた様子を示している。図9はこの発明の実施の形態1に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す側面図であり、ガラスの表面の所望する部位に配置したセンサ本体を、治具本体の収納凹部側に収納するように、治具本体をガラス表面に向かって移動させている様子を示している。図10は図9をC方向から見た正面図である。図11はこの発明の実施の形態1に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す側面図であり、センサ収納凹部にセンサ本体を収納させた治具本体の支持面をガラスの表面に当接させた状態を示している。図12はこの発明の実施の形態1に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラスの表面に設置されたガラス破壊センサを示す側面図である。
なお、図7〜図12では、説明の便宜上、接着剤の厚みは実際のものに比べて誇張して図示している。また、初期状態として、第1及び第2プレート12A,12Bは、分離されているものとする。
【0030】
まず、作業者は、第1プレート12Aの第1嵌合凹部16aの底部が、第2プレート12Bの嵌合凹部16bの底部に当接するように、第1及び第2プレート12A,12Bを嵌め合わせ、図3に示されるように、第1及び第2プレート12A,12Bを一体化させた治具本体11Aを用意しておく。
【0031】
次いで、作業者は、図7に示されるように、ガラス破壊センサ1のセンサ本体2の取付面2aに接着剤25を塗布する。このとき、取付面2aに塗布する接着剤25の厚みは、規定厚より厚くする。
【0032】
次いで、作業者は、図8に示されるように、取付面2aに塗布した接着剤25を、センサ本体2の所望するガラス30の表面への取り付け位置に相対させ、接着剤25がガラス30の表面に軽く押し当てられるまで、センサ本体2をガラス30側に移動する。
【0033】
次いで、作業者、この状態でガラス破壊センサ1を支持しつつ、図9及び図10に示されるように、治具本体11Aの支持面15a,15bをガラス30の表面に向け、センサ収納凹部17Aにセンサ本体2が嵌められるように、治具本体11Aをガラス30の表面側にゆっくり移動させる。センサ収納凹部17Aの底部を構成する第1及び第2凹部13a,13bの底部は、ガラス30の表面から所定の距離まで近づいたところで、センサ本体2の厚み方向の他側の面に押し付けられる。
【0034】
作業者は、図11に示されるように、支持面15a,15bがガラス30の表面に当接するところまで、治具本体11Aをガラス30の表面に押し込む。
【0035】
取付面2aと挿入開口18aとの間の距離、言い換えれば取付面2aと支持面15a,15bを含む平面との間の距離は、接着剤25の規定厚に一致しているので、ガラス30の表面と取付面2aとは規定厚の厚みの接着剤25を介して相対することになる。
【0036】
また、前述したように、第1及び第2凹部13a,13bの幅は、センサ本体2の最大の外径より僅かに大きく設定されているので、センサ本体2の厚み方向に直交する方向へのセンサ本体2の移動、言い換えれば、センサ本体2のガラス30の表面に沿った方向への移動が規制される。
なお、取付面2aに塗布された接着剤25の厚さが規定厚になるまで、センサ本体2を治具本体11Aにより押し込んだことで、余分な接着剤25が、センサ本体2の外周部にはみ出る。
【0037】
次いで、作業者は、治具本体11Aにセンサ本体2を収納した状態で、センサ本体2の外周部にはみ出た余分な接着剤25をふき取った後、治具本体11Aをガラス30の表面から離反させて退避する。この状態で接着剤25が固まるまで待機することで、図12に示されるように、センサ本体2が、規定厚の厚みで硬化した接着剤25によりガラス30の表面に接着される。以上により、ガラス破壊センサ設置治具10Aを用いたガラス破壊センサ1のガラス30の表面への設置作業が終了する。
【0038】
この実施の形態1に係るガラス破壊センサ設置治具10Aは、センサ本体2を挿入するための挿入開口18a、及び挿入開口18aと相対する底部を有し、センサ本体2の厚み方向の他側を、当該底部に押し当てて収納したセンサ本体2の厚み方向に垂直な方向への移動を規制するセンサ収納凹部17Aと、挿入開口18aを含む平面上に位置する支持面15a,15bとを有する治具本体11Aを備え、センサ本体2の厚み方向の他側にセンサ収納凹部17Aの底部を押し当ててセンサ本体2をセンサ収納凹部17Aに収納したときに、センサ本体2の取付面2aと挿入開口18aとの間の距離が、所定の接着剤25の厚み(規定厚)となるようになっている。
【0039】
これにより、取付面2aに接着剤25を規定厚より厚く塗布し、取付面2aをガラス30の表面のセンサ本体2の取り付け部位に向け、センサ本体2をセンサ収納凹部17Aに収納した治具本体11Aの支持面15a,15bを、ガラス30の表面に当接させるように治具本体11Aをガラス30の表面に押し込むだけで、接着剤25の厚みが、確実に規定厚となる。
したがって、誰でも簡単に、接着剤25の厚みを規定厚にして、言い換えれば、接着剤25を所望する厚みにしてセンサ本体2をガラス30の表面に接着させることができる。
【0040】
また、治具本体11Aは、一辺に開口し、所定の深さを有する第1凹部13a、及び第1凹部13aの底から第1凹部13aの開口と逆側に延在する第1嵌合凹部16aが形成された第1プレート12Aと、一辺に開口し、所定の深さを有する第2凹部13b、及び第2凹部13bの開口と逆側の部位から第2凹部13bに向かって延在する第2嵌合凹部16bが形成された第2プレート12Bと、を備えている。
そして、第1及び第2プレート12A,12Bは、第1及び第2凹部13a,13bの開口を同一方向に向け、第1及び第2嵌合凹部16a,16bの底部が当接されるように互いに嵌め合わせ可能であり、第1及び第2プレート12A,12Bを嵌め合わせたときに、第1及び第2凹部13a,13bの外側に位置する壁部(第1及び第2センサ移動規制片14a,14b)の先端面が支持面15a,15bを構成するとともに、センサ収納凹部17Aが第1及び第2凹部13a,13bにより構成されるようになっている。
【0041】
従って、例えば、治具本体11Aを持ち運ぶときには、第1及び第2プレート12A,12Bを分離して重ねるなどすれば、治具本体11Aがコンパクトになり、持ち運びに便利である。
【0042】
また、既にガラス30に取り付けられているガラス破壊センサ1に対しては以下のように接着剤25の厚みが適当であるか否かをチェックできる。
即ち、治具本体11Aの支持面15a,15bをガラス30の表面に向け、センサ収納凹部17A内に、センサ本体2を収納するように治具本体11Aを押し込み、支持面15a,15bとガラス30との間に隙間の大きさ、またはセンサ収納凹部17Aの底部とセンサ本体2の厚み方向の他側の面との間の隙間の大きさをチェックする。
支持面15a,15bとガラス30との間に大きく隙間が形成される場合は、接着剤25が規定厚に対して厚すぎると判断でき、センサ収納凹部17Aの底部とセンサ本体2の厚み方向の他側の面との間に大きく隙間が形成される場合には、接着剤25が規定厚に対して薄すぎると判断できる。
【0043】
実施の形態2.
図13はこの発明の実施の形態2に係るガラス破壊センサ設置治具の斜視図、図14は図13をD方向から見た図である。
【0044】
図13及び図14において、ガラス破壊センサ設置治具10Bは、一端面に開口し、他端面に向かって所定の深さを有するセンサ収納凹部17Bが形成された円柱状の治具本体11Bにより構成されている。
【0045】
センサ収納凹部17Bは、断面円形に形成されている。センサ収納凹部17Bの内径は、ガラス破壊センサ1のセンサ本体2の最大の外径より僅かに大きく設定されている。センサ収納凹部17Bの深さは、センサ本体2の厚みと接着剤25の規定厚とを足した深さに設定されている。
【0046】
また、治具本体11Bの一端側には、一端面から他端面に向かって所定の深さを有し、センサ収納凹部17Bの内外を連通する第1切り欠き11aが形成されている。
さらに、治具本体11Bの一端側には、一端面から他端面に向かって所定の深さを有し、センサ収納凹部17Bの内外を連通する複数の第2切り欠き11bが、それぞれ周方向に所定の幅で、治具本体11Bの周方向に互いに間隔をあけて形成されている。
また、センサ本体2をセンサ収納凹部17B内に挿入するための挿入開口18bが、センサ収納凹部17Bの開口により構成される。また、挿入開口18bを含む平面上に位置する治具本体11Bの一端面が、支持面15cを構成している。
【0047】
次いで、ガラス破壊センサ1のガラス30へのガラス破壊センサ設置治具10Bを用いた設置について説明する。
図15はこの発明の実施の形態2に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す側面図であり、ガラスの表面の所望する部位に配置したセンサ本体を、センサ収納凹部側に収納するように、治具本体をガラス表面に向かって移動させている様子を示している。図16はこの発明の実施の形態2に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す側面図であり、センサ収納凹部にセンサ本体を収納した治具本体の支持面をガラスの表面に当接させた様子を示している。
また、図15及び図16では、説明の便宜上、接着剤の厚みは実際のものに比べて誇張して図示している。
【0048】
作業者は、図7及び図8を用いて説明したのと同様、センサ本体2の取付面2aに接着剤25を塗布し、取付面2aを所望するガラス30の表面の取り付け位置に向け、接着剤25がガラス30の表面に軽く押し当てられるまでセンサ本体2をガラス30の表面に向かって移動させる。
次いで、作業者は、図15に示されるように、治具本体11Bのセンサ収納凹部17Bをセンサ本体2と相対させた後、第1切り欠き11aから信号取出し線3が引き出されるように周方向の位置を調整し、センサ収納凹部17Bにセンサ本体2が嵌められるように、治具本体11Bをガラス30側にゆっくり移動させる。
【0049】
センサ収納凹部17Bの底部が、ガラス30の表面から所定の距離まで近づいたところで、センサ本体2の厚み方向の他側の面が、センサ収納凹部17Bの底部に押し付けられる。さらに、作業者は、図16に示されるように、支持面15cが、ガラス30の表面に当接するところまで、治具本体11Bをガラス30の表面に向けて押し込む。
【0050】
このとき、取付面2aと挿入開口18bとの間の距離、言い換えれば取付面2aと支持面15cを含む平面との間の距離は、接着剤25の規定厚に一致しているので、ガラス30の表面と取付面2aとは規定厚の厚みの接着剤25を介して相対することになる。
【0051】
また、センサ収納凹部17Bの内径が、センサ本体2の最大の外径より僅かに大きく設定されているので、センサ本体2の厚み方向に直交する方向への移動、言い換えれば、センサ本体2のガラス30の表面に沿った方向への移動が規制される。
取付面2aに塗布された接着剤25の厚さが規定厚になるまで、センサ本体2を押し込むことで、余分な接着剤25が、センサ本体2の外周部から第1及び第2切り欠き11a,11bを介して治具本体11Bの外周部にはみ出る。
【0052】
次いで、図示しないが、作業者は、第1及び第2切り欠き11a,11b内の接着剤25及び治具本体11Bの外周部にはみ出た接着剤25をふき取ったのち、治具本体11Bをガラス30の表面から離反させて退避する。この状態で接着剤25が固まるまで待機することで、図12で示されるのと同様、センサ本体2が、規定厚の接着剤25によりガラス30の表面に取り付けられる。以上により、ガラス破壊センサ設置治具10Bを用いたガラス破壊センサ1のガラス30の表面への設置作業が終了する。
【0053】
この発明の実施の形態2によるガラス破壊センサ設置治具10Bは、ガラス破壊センサ設置治具10Aと同様、センサ本体2を収納するセンサ収納凹部17B、及びセンサ収納凹部17Bの挿入開口18bを含む平面上に位置する支持面15cを備える治具本体11Bにより構成されている。
【0054】
これにより、取付面2aに接着剤25を規定厚より厚く塗布し、取付面2aをガラス30の表面のセンサ本体2の取り付け部位に向け、センサ本体2をセンサ収納凹部17Bに収納した治具本体11Bの支持面15cを、ガラス30の表面に当接させるように治具本体11Bをガラス30の表面に押し込むだけで、接着剤25の厚みが、確実に規定厚となる。したがって、誰でも簡単に、接着剤25の厚みを規定厚にしてセンサ本体2をガラス30の表面に接着させることができる。
【0055】
実施の形態3.
図17はこの発明の実施の形態3に係るガラス破壊センサ設置治具の斜視図である。
なお、図17において、上記実施の形態1と同一または相当部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0056】
ガラス破壊センサ設置治具10Cは、治具本体11Aと、シート状の貼付け部材20Aとにより構成されている。
貼付け部材20Aの厚さは、接着剤25の規定厚と同じ厚さのものが用いられている。
【0057】
貼付け部材20Aには、取付面2aと同じ形状の穴部21と、穴部21の縁部から互いに反対方向に延在する一対の第1治具本体挿入穴22aと、一対の第1治具本体挿入穴22aに対して穴部21の周方向に90度の角度をずらして穴部21の縁部から互いに反対方向に延在する一対の第2治具本体挿入穴22bとが形成されている。
また、貼付け部材20Aは、第1治具本体挿入穴22aの先端部の所定部位と貼付け部材20Aの外縁部の所定部位との間を全域に亘って切断した切断部23aを有している。
【0058】
一対の第1及び第2治具本体挿入穴22a,22bの幅は、第1及び第2プレート12A,12Bの幅に一致している。
また、一対の第1治具本体挿入穴22aの先端間の距離は、第1プレート12A一辺の長さより僅かに長く設定されている。
また、一対の第2治具本体挿入穴の先端間の距離は、第2プレート12Bの一辺の長さより僅かに長く設定されている。
【0059】
次いで、ガラス破壊センサ設置治具10Cを用いたガラス破壊センサ1のガラス30の表面への設置方法について図18〜図21を参照しつつ説明する。
図18はこの発明の実施の形態3に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す正面図であり、貼付け部材をガラスの表面の所望する部位に貼り付けた状態を示している。図19はこの発明の実施の形態3に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す正面図であり、取付面に接着剤を塗布したセンサ本体を、貼付け部材の穴部と相対させた状態を示している。図20はこの発明の実施の形態3に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す側面図であり、センサ収納凹部にセンサ本体を収納させた治具本体の支持面をガラスの表面に当接させた状態を示している。図21はこの発明の実施の形態3に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す側面図であり、治具本体の支持面をガラスの表面に当接させたまま、貼付け部材を剥がした状態を示している。
また、図19〜図21では、説明の便宜上、貼付け部材の厚み、及び接着剤の厚みは実際のものに比べて誇張して図示している。
【0060】
まず、図示しないが、作業者は、第1及び第2プレート12A,12Bを一体化させた治具本体11Aを用意しておく。
そして、作業者は、図18に示されるように、ガラス30の表面へのセンサ本体2の取り付け部位に、貼付け部材20Aの穴部21が位置するように、貼付け部材20Aをガラス30の表面に貼り付ける。
【0061】
次いで作業者は、図7を用いて説明したのと同様、センサ本体2の取付面2aに接着剤25を塗布し、図19に示されるように、取付面2aが穴部21と接着剤25を介して相対するようにセンサ本体2を移動させる。
次いで、作業者は、取付面2aに塗布された接着剤25が穴部21に入り込むようにセンサ本体2をガラス30の表面に軽く押し当てる。
【0062】
さらに、作業者は、支持面15a,15bと第1及び第2治具本体挿入穴22a,22bとが相対するように治具本体11Aの向きを調整し、センサ収納凹部17Aにセンサ本体2が嵌められるように、治具本体11Aをガラス30側にゆっくり移動させる。センサ収納凹部17Aの底部が、ガラス30の表面から所定の距離まで近づいたところで、センサ本体2の厚み方向の他側の面が、センサ収納凹部17Aの底部に押し付けられる。
【0063】
さらに、作業者は、図20に示されるように、支持面15a,15bがガラス30の表面に当接するところまで、治具本体11Aを押し込む。このとき、治具本体11Aの支持面15a,15b側の部位は、第1及び第2治具本体挿入穴22a,22b側の部位に挿入される。
【0064】
取付面2aと支持面15a,15bを含む平面との間の距離は、接着剤25の規定厚に一致しているので、ガラス30の表面と取付面2aとは規定厚の厚みの接着剤25を介して相対することになる。
そして、穴部21の内面とセンサ本体2の取付面2a側の外周部が、略隙間なく配置され、また、第1及び第2治具本体挿入穴22a,22bの内面と第1及び第2治具本体挿入穴22a,22bに挿入された治具本体11Aの部位が、隙間なく配置される。これにより、センサ本体2の外周部にはみ出た余分な接着剤25は、貼付け部材20A上に広がる。
【0065】
次いで、作業者は、図21に示されるように、貼付け部材20Aを、切断部23a側から剥がしてガラス30の表面から取り去る。このとき、貼付け部材20Aにはみ出した余分な接着剤25が貼付け部材20Aとともに取り去られる。さらに、作業者は、ふき取るべき余分な接着剤25が、センサ本体2の周りに残っている場合にはふき取る。
以上により、ガラス破壊センサ設置治具10Cを用いたガラス破壊センサ1のガラス30の表面への設置作業が終了する。
【0066】
この実施の形態3のガラス破壊センサ設置治具10Cは、取付面2aと同じ内形形状の穴部21、及び穴部21に取付面2aを相対させたセンサ本体2をセンサ収納凹部17Aに収納した治具本体11Aの支持面15a,15b側の部位を挿入可能な形状の第1及び第2治具本体挿入穴22a,22bが形成され、ガラス30の表面に着脱自在なシート状の貼付け部材20Aを備えている。
【0067】
従って、予め、貼付け部材20Aをガラス30の表面のセンサ本体2の取り付け部位に穴部21を対応させて貼り付けた後、上述のようにセンサ収納凹部17Aにセンサ本体2を収納させるように治具本体11Aをガラス30の表面に押し当てれば、センサ本体2の外周部にあふれ出る余分な接着剤25が貼付け部材20Aの表面上に広がる。これにより、貼付け部材20Aを剥ぎ取ることで、余分な接着剤25が貼付け部材20Aとともに取り去られ、センサ本体2の外周側にあふれ出る余分な接着剤25をふき取る作業を省略できる。
【0068】
実施の形態4.
図22はこの発明の実施の形態4に係るガラス破壊センサ設置治具の斜視図である。
【0069】
図22において、ガラス破壊センサ設置治具10Dは、治具本体11Cが治具本体11Aに代え用いられ、貼付け部材20Bが貼付け部材20Aに代えて用いられている。
治具本体11Cは、第1及び第2プレート12C,12Dを備えている。
第1及び第2プレート12C,12Dは、第1及び第2凹部13a,13bの深さが、ガラス破壊センサ1の最大の厚みに一致している他は、第1及び第2プレート12A,12Bと同様に構成されている。
【0070】
治具本体11Cは、第1プレート12Cの第1嵌合凹部16aの底部が、第2プレート12Dの嵌合凹部16bの底部に当接するように、第1及び第2プレート12C,12Dを嵌め合わせて一体化したもので構成される。
【0071】
また、貼付け部材20Bは、接着剤25の規定厚と同じ厚みを有している。貼付け部材20Bには、センサ本体2の取付面2aと同形状の穴部21が形成されている。また、貼付け部材20Bは、穴部21の所定部位と貼付け部材20Bの外周部の所定部位との間を全域に亘って切断した切断部23bを有している。
【0072】
以上のような形状の貼付け部材20Bに対し、センサ収納凹部17Aに収納したセンサ本体2の取付面2aを穴部21に相対させ、治具本体11Cの支持面15a,15bを貼付け部材20Bの一面に当接させたときには、取付面2aと貼付け部材20Bの他面との間の距離が、接着剤25の所望の厚みに一致する。
【0073】
次いで、ガラス破壊センサ設置治具10Dを用いたガラス破壊センサ1のガラス30の表面への設置について図23及び図24を参照しつつ説明する。
図23はこの発明の実施の形態4に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す正面図であり、貼付け部材をガラスの表面の所望する部位に貼り付けた状態を示している。図24はこの発明の実施の形態4に係るガラス破壊センサ設置治具を用いてガラス破壊センサをガラスに設置する手順を示す側面図であり、センサ収納凹部にセンサ本体を収納させた治具本体の支持面を貼付け部材の表面に当接させた状態を示している。
【0074】
まず、図示しないが、作業者は、第1及び第2プレート12C,12Dを一体化させた治具本体11Cを用意しておく。
そして、作業者は、図23に示されるように、ガラス30の表面へのセンサ本体2の取り付け部位に、貼付け部材20Bの穴部21が位置するように、貼付け部材20Bをガラス30の表面に貼り付ける。
【0075】
そして、作業者は、図7を用いて説明したのと同様、センサ本体2の取付面2aに接着剤25を塗布し、取付面2aが穴部21と接着剤25を介して相対するようにガラス破壊センサ1を移動させる。
【0076】
次いで、作業者は、取付面2aに塗布された接着剤25を穴部21に入り込むようにセンサ本体2をガラス30の表面に軽く押し当てる。
【0077】
次いで、作業者は、センサ収納凹部17Aにセンサ本体2が嵌められるように、治具本体11Cをガラス30側にゆっくり移動させる。センサ収納凹部17Aの底部が、ガラス30の表面から所定の距離まで近づいたところで、センサ本体2の厚み方向の他側の面が、センサ収納凹部17Aの底部に押し付けられる。
【0078】
さらに、作業者は、図24に示されるように、支持面15a,15bが穴部21の外側に位置する貼付け部材20Bの表面に当接するところまで、治具本体11Cをガラス30の表面側に押し込む。
【0079】
このとき、取付面2aと挿入開口18aとが一致する。即ち、取付面2aは、支持面15a,15bを含む平面上に位置し、また、貼付け部材20Bが、接着剤25の規定厚と同じ厚みを有しているので、ガラス30の表面と取付面2aとは規定厚の厚みの接着剤25を介して相対することになる。
また、センサ本体2の外周部にはみ出る余分な接着剤25は、貼付け部材20B上に広がる。
【0080】
次いで、作業者は、貼付け部材20Bを、切断部23b側から剥がしてガラス30の表面から取り去る。このとき、貼付け部材20Bにはみ出した余分な接着剤25が貼付け部材20Bとともに取り去られる。さらに、作業者は、ふき取るべき余分な接着剤25が、センサ本体2の外周側に残っている場合には、ふき取る。
【0081】
以上により、ガラス破壊センサ設置治具10Dを用いたガラス破壊センサ1のガラス30の表面への設置作業が終了する。
【0082】
この実施の形態4に係るガラス破壊センサ設置治具10Dは、センサ本体2を挿入するための挿入開口18a及び挿入開口18aと相対する底部を有し、センサ本体2の厚み方向の他側を底部に押し当てて収納したときに、センサ本体2の厚み方向に垂直な方向への移動を規制するセンサ収納凹部17A、及び挿入開口18aと同一面上に位置する支持面15a,15bを有する治具本体11Cと、取付面2aと同じ形状の穴部21が厚み方向に貫通されたシート状の貼付け部材20Bとを備え、センサ本体2をセンサ収納凹部17Aに収納した治具本体11Cの支持面15a,15bを貼付け部材20Bの表面に当接させたときに、取付面2aと挿入開口18aとの間の距離が、接着剤25の規定厚(所定の厚み)に一致するようになっている。
【0083】
従って、予め、貼付け部材20Bをガラス30の表面のセンサ本体2の取り付け部位に穴部21を対応させて貼り付けた後、上述のようにセンサ収納凹部17Aにセンサ本体2を収納させるように治具本体11Aをガラス30の表面に押し当てれば、センサ本体2の外周部にあふれ出る余分な接着剤25が貼付け部材20Bの表面上に広がる。これにより、治具本体11Cを退避した後、貼付け部材20Bを剥ぎ取ることで、余分な接着剤25が貼付け部材20Bとともに取り去られ、センサ本体2の外周側にあふれ出る余分な接着剤25をふき取る作業を省略できる。
【符号の説明】
【0084】
1 ガラス破壊センサ、2 センサ本体、2a 取付面、10A〜10D ガラス破壊センサ設置治具、11A〜11D 治具本体、13a 第1凹部、13b 第2凹部、15a〜15c 支持面、16a 第1嵌合凹部、16b 第2嵌合凹部、17A,17B センサ収納凹部、18a,18b 挿入開口、20A,20B 貼付け部材、21 穴部、22a,22b 治具本体挿入穴、25 接着剤、30 ガラス。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスの表面に所定の厚みの接着剤を介して接着される取付面を厚み方向の一側の面に有するセンサ本体を備えるガラス破壊センサを、上記ガラスの表面に接着により設置するのに用いられるガラス破壊センサ設置治具であって、
上記センサ本体を挿入するための挿入開口及び上記挿入開口と相対する底部を有し、上記センサ本体の厚み方向の他側に上記底部を押し当てて上記センサ本体を収納したときに、上記センサ本体の厚み方向に垂直な方向への移動を規制するセンサ収納凹部、及び上記挿入開口を含む平面上に位置する支持面を有する治具本体を備え、
上記センサ本体の厚み方向の他側に上記底部を押し当てて上記センサ本体を上記センサ収納凹部に収納したときの上記センサ本体の取付面と上記挿入開口との間の距離が、上記接着剤の所定の厚みに設定されていることを特徴とするガラス破壊センサ設置治具。
【請求項2】
上記治具本体は、一辺に開口し、所定の深さを有する第1凹部、及び上記第1凹部の底から上記第1凹部の開口と逆側に延在する第1嵌合凹部が形成された第1プレートと、一辺に開口し、所定の深さを有する第2凹部、及び上記第2凹部の開口と逆側の部位から上記第2凹部に向かって延在する第2嵌合凹部が形成された第2プレートと、を備え、上記第1及び第2プレートは、上記第1及び第2凹部の開口を同一方向に向け、上記第1及び第2嵌合凹部の底部が当接されるように互いに嵌め合わせ可能であり、上記第1及び第2プレートを嵌め合わせたときに、上記第1及び第2凹部の外側に位置する壁部の先端面が上記支持面を構成するとともに、上記センサ収納凹部が上記第1及び第2凹部により構成されることを特徴とする請求項1に記載のガラス破壊センサ設置治具。
【請求項3】
上記取付面と同じ内形形状の穴部、及び上記穴部に上記取付面を相対させた上記センサ本体を上記センサ収納凹部に収納した上記治具本体の上記支持面側の部位を挿入可能な形状の治具本体挿入穴が形成され、上記ガラスの表面に着脱自在なシート状の貼付け部材を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガラス破壊センサ設置治具。
【請求項4】
ガラスの表面に所定の厚みの接着剤を介して接着される取付面を厚み方向の一側の面に有するセンサ本体を備えるガラス破壊センサを、上記ガラスの表面に接着により設置するのに用いられるガラス破壊センサ設置治具であって、
上記センサ本体を挿入するための挿入開口及び上記挿入開口と相対する底部を有し、上記センサ本体の厚み方向の他側に上記底部を押し当てて収納したときに、上記センサ本体の厚み方向に垂直な方向への移動を規制するセンサ収納凹部、及び上記挿入開口を含む平面上に位置する支持面を有する治具本体と、
上記取付面と同じ形状の穴部が厚み方向に貫通されたシート状の貼付け部材とを備え、
上記穴部に上記取付面を相対させた上記センサ本体を上記センサ収納凹部に収納した上記治具本体の上記支持面を上記貼付け部材の一面に当接させたときに、上記取付面と上記貼付け部材の他面との間の距離が、上記接着剤の所定の厚みに一致することを特徴とするガラス破壊センサ設置治具。
【請求項1】
ガラスの表面に所定の厚みの接着剤を介して接着される取付面を厚み方向の一側の面に有するセンサ本体を備えるガラス破壊センサを、上記ガラスの表面に接着により設置するのに用いられるガラス破壊センサ設置治具であって、
上記センサ本体を挿入するための挿入開口及び上記挿入開口と相対する底部を有し、上記センサ本体の厚み方向の他側に上記底部を押し当てて上記センサ本体を収納したときに、上記センサ本体の厚み方向に垂直な方向への移動を規制するセンサ収納凹部、及び上記挿入開口を含む平面上に位置する支持面を有する治具本体を備え、
上記センサ本体の厚み方向の他側に上記底部を押し当てて上記センサ本体を上記センサ収納凹部に収納したときの上記センサ本体の取付面と上記挿入開口との間の距離が、上記接着剤の所定の厚みに設定されていることを特徴とするガラス破壊センサ設置治具。
【請求項2】
上記治具本体は、一辺に開口し、所定の深さを有する第1凹部、及び上記第1凹部の底から上記第1凹部の開口と逆側に延在する第1嵌合凹部が形成された第1プレートと、一辺に開口し、所定の深さを有する第2凹部、及び上記第2凹部の開口と逆側の部位から上記第2凹部に向かって延在する第2嵌合凹部が形成された第2プレートと、を備え、上記第1及び第2プレートは、上記第1及び第2凹部の開口を同一方向に向け、上記第1及び第2嵌合凹部の底部が当接されるように互いに嵌め合わせ可能であり、上記第1及び第2プレートを嵌め合わせたときに、上記第1及び第2凹部の外側に位置する壁部の先端面が上記支持面を構成するとともに、上記センサ収納凹部が上記第1及び第2凹部により構成されることを特徴とする請求項1に記載のガラス破壊センサ設置治具。
【請求項3】
上記取付面と同じ内形形状の穴部、及び上記穴部に上記取付面を相対させた上記センサ本体を上記センサ収納凹部に収納した上記治具本体の上記支持面側の部位を挿入可能な形状の治具本体挿入穴が形成され、上記ガラスの表面に着脱自在なシート状の貼付け部材を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガラス破壊センサ設置治具。
【請求項4】
ガラスの表面に所定の厚みの接着剤を介して接着される取付面を厚み方向の一側の面に有するセンサ本体を備えるガラス破壊センサを、上記ガラスの表面に接着により設置するのに用いられるガラス破壊センサ設置治具であって、
上記センサ本体を挿入するための挿入開口及び上記挿入開口と相対する底部を有し、上記センサ本体の厚み方向の他側に上記底部を押し当てて収納したときに、上記センサ本体の厚み方向に垂直な方向への移動を規制するセンサ収納凹部、及び上記挿入開口を含む平面上に位置する支持面を有する治具本体と、
上記取付面と同じ形状の穴部が厚み方向に貫通されたシート状の貼付け部材とを備え、
上記穴部に上記取付面を相対させた上記センサ本体を上記センサ収納凹部に収納した上記治具本体の上記支持面を上記貼付け部材の一面に当接させたときに、上記取付面と上記貼付け部材の他面との間の距離が、上記接着剤の所定の厚みに一致することを特徴とするガラス破壊センサ設置治具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
【図7】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2012−8953(P2012−8953A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146609(P2010−146609)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】
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