説明

キウイ絞り器

【課題】キウイの切断面が押し当てられ回転させられるキウイ絞り器であって、その回転に必要な力を弱くし、果肉及び果汁を効率良く絞り出し、果肉の目詰まりを防ぎ、果肉の絞り残しを減らす。
【解決手段】キウイ絞り器1の突起部2は、ドーム形状部分21と、その裾部21aから円錐状とされた円錐形状部分22とにより構成され、突起部2の外面に複数のリブ23を有する。これらのリブ23はドーム形状部分21の頂部21bから放射状に延びており、その延伸方向に直交する断面形状が矩形である。従って、キウイ回転時に果肉がリブ23に引っ掛かり易くなる。このため、リブ23が低くて済み、その結果、回転抵抗が減る。従って、弱い力で果肉を絞り出せる。また、リブ23間の曲面21c、22aは外側に湾曲しているので、果肉が溜まり難い。また、突起部2はキウイに適合した形状であるので、果肉の絞り残しが減る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キウイから果肉及び果汁を絞り出すためのキウイ絞り器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、柑橘類の果実の切断面が押圧されて回転させられるときにその果実から果汁を絞り出す突起部と、この突起部により絞り出された果汁を受ける受け皿とを備えた絞り器が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。上記突起部は円錐形状であり、その外面には、円錐形状の頂部から裾部に向って放射線状に延びる複数のリブが形成されている。これらのリブは、その延伸方向に直交する断面形状が三角形である。この絞り器においては、果実が突起部に押し当てられて回転させられると、果実の砂じょう、すなわち、果肉の粒がリブにより押し潰され、これにより、砂じょうから果汁が絞り出される。
【0003】
ところで、柑橘類ではなく、キウイから果肉及び果汁を絞り出して、例えば離乳食等に用いたいとの要望がある。そこで、上記絞り器を流用することが考えられる。しかしながら、キウイには柑橘類と比べて果肉が硬い個体があり、かつ、上記絞り器のリブの断面は三角形状であるので、キウイを突起部に押し当てても、果肉へのリブの咬み込みが弱い。従って、果肉を回転させても、リブが果肉に引っ掛かり難く、果肉が滑り易い。そのため、キウイを削り出し難く、果肉及び果汁を効率良く絞り出すことが難しい。
【0004】
そこで、果肉へのリブの咬み込みを向上させるため、リブを高くすることが考えられる。そのようにした絞り器を図10に示す。この絞り器100は、突起部101の隣り合うリブ102間が逆U字状に凹んで成る凹部103を有する。
【0005】
しかしながら、上記絞り器100においては、リブ102が高いので、果肉へのリブ102の咬み込みが向上するが、キウイを回転させるときの回転抵抗が強くなり、従って、キウイを回転させるために強い力が必要となり、果肉及び果汁を効率良く絞り出し難い。また、キウイは元々、果汁が少ないため、リブ102により削られた果肉がリブ102間に溜まり易い。しかも、リブ102間には凹部103が形成されているので、さらに果肉がリブ102間に溜まり易い。その結果、使用中に、溜まった果肉がキウイを内側から押し、外皮を破裂させる虞がある。また、突起部101は円錐形状なので、キウイの形状に合わず、果肉の絞り残しが生じることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭56−13611号公報
【特許文献2】実開昭56−4519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の従来の問題を解決するためになされたものであり、ユーザが弱い力でもキウイを回転させて果肉及び果汁を効率良く絞り出すことができるキウイ絞り器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、キウイの切断面が押し当てられて回転させられるときにキウイから果肉及び果汁を絞り出す突起部と、前記突起部により絞り出された果肉及び果汁を受ける受け皿と、を備えたキウイ絞り器であって、前記突起部は、ドーム形状部分と、該ドーム形状の裾部から円錐状とされた円錐形状部分とにより構成され、かつ、該突起部の外面にドーム形状部分の頂部から裾部、さらに円錐形状部分に放射状に延びる複数のリブを有し、前記複数のリブの各々は、該リブの延伸方向に直交する断面形状が矩形である。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載のキウイ絞り器において、前記複数のリブのうちの隣り合うリブは、少なくとも前記ドーム形状部分において高さが互いに異なるものである。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のキウイ絞り器において、前記複数のリブは、前記ドーム形状部分における高さが1mmから4mmまでの範囲内にあり、6本設けられているものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、突起部はその外面にリブを有し、そのリブの断面形状は矩形であるので、キウイを突起部に押し当てたときにリブが咬み込み易く、従って、キウイを回転させたときに果肉がリブに引っ掛かり易くなる。そのため、リブは低くて済み、結果として、キウイ回転時の回転抵抗を抑えることができ、回転に必要な力が弱くなる。また、その弱い力で果肉を削り出すことができ、従って、果肉及び果汁を効率良く絞り出すことができる。また、突起部のリブ間の外面は外側に湾曲した曲面であるので、果肉がリブ間に溜まり難くなり、果肉溜まりに起因する外皮の破裂を防ぐことができる。また、突起部はキウイに適合した形状であるので、果肉の絞り残しを減らすことができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、キウイを回転させたとき、低いリブを乗り越えた繊維は、隣の高いリブにより確実に切り取ることができ、従って、繊維が複数のリブを跨ぐことはなくなる。そのため、繊維による目詰まりを抑制することができる。その結果、目詰まりした繊維を取り出す手間を省くことができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、リブの高さが適当なので、さらにキウイを回転させ易く、かつ、果肉を絞り出し易くなる。また、リブの数が適当なので、繊維がリブ間に目詰まりし難くなり、かつ、キウイをさらに軽く回すことができ、外皮破れの防止効果の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るキウイ絞り器の斜視図。
【図2】上記キウイ絞り器の平面図。
【図3】図2のA−A’線断面図。
【図4】上記キウイ絞り器の底面図。
【図5】上記キウイ絞り器を使用したキウイ絞り出し作業の開始時の様子を示す写真。
【図6】上記キウイ絞り出し作業によりキウイが絞り出され始めたときの様子を示す写真。
【図7】上記キウイ絞り出し作業によりキウイが次々と絞り出される様子を示す写真。
【図8】上記キウイ絞り出し作業の終了後の様子を示す写真。
【図9】上記キウイ絞り器の比較対象例の斜視図。
【図10】従来の絞り器の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態に係るキウイ絞り器について図面を参照して説明する。図1〜図4は、本実施形態のキウイ絞り器の構成を示す。このキウイ絞り器1は、キウイの切断面が押し当てられて回転させられるときにキウイから果肉及び果汁を絞り出す突起部2と、突起部2により絞り出された果肉及び果汁を受ける受け皿3とを備える。突起部2は、ドーム形状部分21と、そのドーム形状部分21の裾部21aから拡径されて円錐状とされた円錐形状部分22とにより構成される。突起部2は、突起部2の外面に6本のリブ23を有する。これらのリブ23は、ドーム形状部分21の頂部21bから裾部21a、さらに円錐形状部分22に放射状に延びており、各リブ23は、リブ23の延伸方向に直交する断面形状が矩形である。6本のリブ23のうち、隣り合うリブ23は、ドーム形状部分21において高さが互いに異なる。
【0016】
突起部2と受け皿3とは一体に形成されており、突起部2は受け皿3の上底面の略中心から隆起している。突起部2及び受け皿3の材料は樹脂等である。ドーム形状部分21は、キウイの果梗部又は果頂部及びその周囲部分の外形に対応して、略半球状であってもよいし、平面視で略真円状であり、かつ、側面視で略半楕円状であってもよい。ドーム形状部分21は、略半球状の場合、その半径が例えば略16[mm]であるが、これに限定されない。ドーム形状部分21及び円錐形状部分22において、リブ23が形成されていない部分の外面は、外側に湾曲し、かつ、滑り抵抗の少ない滑らかな曲面21c、22aである。曲面21cはなだらかに傾斜している。
【0017】
各リブ23は、頂部21bにおいて繋がっており、隣り合うリブが挟む角度は互いに等しい。また、各リブ23は、ドーム形状部分21における高さに、交互に高低が付けられている。すなわち、リブ23には、ドーム形状部分21における高さが高いものと低いものとが有り、高い方のリブ23をリブ23aとし、低い方のリブ23をリブ23bとすると、リブ23a、23bは交互に配置されている。
【0018】
各リブ23a、23bは、ドーム形状部分21における高さが例えば略1[mm]から略4[mm]までの範囲内にあり、それらの高さは、それぞれ、略3[mm]、略2[mm]であることが望ましい。各リブ23a、23bの幅は例えば略1[mm]である。受け皿3の下底面には、滑り止め部材31が、円周上に等間隔に3個、配置されている(図4参照)。
【0019】
次に、図5〜図8を参照して、キウイ絞り器1の使用例を説明する。キウイをその果心に略直交するように輪切りにし、図5に示すように、そのキウイK1の切断面を、突起部2にその上方から押し付けると、ドーム形状部分21のリブ23が果肉に突き刺さり、咬み込まれる。この状態で、キウイを回転させると、リブ23が果肉を削り、図6に示すように、果肉F1と果汁F2とが絞り出されて、曲面21c(不図示)及び曲面22a上をスムーズに滑り落ちる。キウイK1を押し付けて回転させ続けると、図7に示すように、突起部2は徐々にキウイK1に入り込み、リブ23により次々と果肉F1と果汁F2とが絞り出される。図8に示すように、絞り出された果肉F1と果汁F2とは受け皿3に溜まる。
【0020】
上記のように構成されたキウイ絞り器1においては、リブ23の断面形状は矩形であるので、キウイK1を突起部2に押し当てて回転させたときにリブ23が咬み込み易く、従って、キウイK1を回転させたときに果肉F1がリブ23に引っ掛かり易くなる。そのため、リブ23において果肉F1を十分に削り出すのに必要とされる高さが低くて済み、結果として、キウイK1回転時の回転抵抗を抑えることができ、回転に必要な力が弱くなる。また、その弱い力でも果肉F1を削り出すことができ、従って、果肉F1及び果汁F2を効率良く絞り出すことができる。そのため、強い力でキウイK1を押し付ける必要はなくなり、果肉F1の押し潰しを防ぐことができ、これにより、その押し潰しに起因する果肉F1と果汁F2との分離を防ぐことができる。
【0021】
また、リブ23間に在る曲面21c、22aは外側に湾曲しているので、果肉F1がリブ23間に溜まり難くなり、従って、溜まった果肉が外皮を内側から押して破裂させることを防ぐことができる。また、突起部2はキウイK1に適合した形状であるので、果肉F1の絞り残しを減らすことができる。
【0022】
また、隣り合うリブ23の、頂部21bにおける高さが互いに同じ場合には、リブ23により削られて延びた果心等の繊維を隣のリブ23により切ることが難しく、繊維が複数のリブを跨いで、目詰まりすることがある。これに対して、本実施形態のキウイ絞り器1においては、上記の高さが異なるので、低いリブ23bを乗り越えた繊維は、隣の高いリブ23aにより確実に切り取ることができ、従って、繊維が複数のリブ23を跨ぐことはなくなる。そのため、繊維による目詰まりを抑制することができる。その結果、目詰まりした繊維を取り出す手間を省くことができ、従って、使用後の洗浄の手間を減らすことができる。
【0023】
また、キウイK1を押し当てて回転させたとき、リブ23が低過ぎると、リブ23が果肉F1に引っ掛かり難いのでキウイK1が滑り易く、そのため、キウイK1を絞り出し辛い。他方、リブ23が高過ぎると、回転抵抗が増えて回転させ難く、従って、キウイK1を絞り出し難い。これに対して、本実施形態においては、リブ23の高さが適当なので、キウイK1を回転させ易く、かつ、果肉F1を削り出し易い。
【0024】
また、例えばリブ23を8又は10本設けた場合には、頂部21bにおいて、リブ23の間隔が狭くなり、その間に繊維が詰まり、従って、それらを取り出すための手間が掛かる。また、例えばリブ23を4本設けた場合には、キウイ回転時の回転抵抗が大きくなり、かつ、リブ23の間隔が広くなるので、リブ23間に果肉が溜まり易くなり、果肉溜まりに起因する外皮の破れが生じる虞がある。これに対して、本実施形態のキウイ絞り器1においては、リブ23の数は6本であり、キウイK1の絞り出しに適当な数なので、さらに繊維がリブ23間に目詰まりし難くなり、キウイK1をさらに軽く回すことができ、外皮破れの防止効果の向上を図ることができる。
【0025】
ここに、本実施形態のキウイ絞り器1の開発段階において製作した絞り器を比較例として図9に示す。この絞り器40の突起部41は、その外周に2種のリブ42、43が交互に配置されて敷詰められている。リブ42は、突起部41の頂部41aから裾部41bに放射状に延び、リブ43は、突起部41において頂部41aから所定の高さだけ下がった部位から裾部41bに延びている。各リブ42、43の延伸方向に直交する断面形状は三角形である。この絞り器40においては、リブ42、43の断面形状が三角形なので、キウイが硬い個体の場合には、キウイを突起部41に押し当てても、リブ42、43が咬み込み難かった。そのため、キウイを押し当てながら回転させても、果肉がリブ42、43に引っ掛かり難くて滑ることが多く、従って、単に押し潰されることが多かった。また、たとえ少量、果肉を削り出せたとしても、それらはリブ42、43間に溜まり、その溜まった果肉が外皮を内側から押し、外皮が破れることがあった。
【0026】
これに対して、本実施形態のキウイ絞り器1においては、リブ23は、幅が略1[mm]程度であり、その断面形状が矩形なので、キウイが硬い個体であったとしても、果肉に確実に咬み込ませることができ、果肉及び果汁を絞り出すことが可能である。また、上記のように、外皮の破れを防ぐことができる。
【0027】
なお、本発明は、上記の実施形態の構成に限定されるものでなく、使用目的に応じ、様々な変形が可能である。例えば、リブ23の数は上記に限定されず、複数であればよい。
【符号の説明】
【0028】
1 キウイ絞り器
2 突起部
21 ドーム形状部分
21a 裾部
21b 頂部
22 円錐形状部分
23、23a、23b リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キウイの切断面が押し当てられて回転させられるときにキウイから果肉及び果汁を絞り出す突起部と、前記突起部により絞り出された果肉及び果汁を受ける受け皿と、を備えたキウイ絞り器であって、
前記突起部は、ドーム形状部分と、該ドーム形状の裾部から円錐状とされた円錐形状部分とにより構成され、かつ、該突起部の外面にドーム形状部分の頂部から裾部、さらに円錐形状部分に放射状に延びる複数のリブを有し、
前記複数のリブの各々は、該リブの延伸方向に直交する断面形状が矩形であることを特徴とするキウイ絞り器。
【請求項2】
前記複数のリブのうちの隣り合うリブは、少なくとも前記ドーム形状部分において高さが互いに異なることを特徴とする請求項1に記載のキウイ絞り器。
【請求項3】
前記複数のリブは、前記ドーム形状部分における高さが1mmから4mmまでの範囲内にあり、6本設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のキウイ絞り器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図9】
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【図10】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−110121(P2011−110121A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−266843(P2009−266843)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(501292315)エスケーテクノス株式会社 (5)
【復代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛