説明

キッチンカウンタ

【課題】調理機器用の開口部を形成する外周部分が折損してしまうおそれを回避することのできる樹脂製のキッチンカウンタを提供すること。
【解決手段】平面視長方形状の本体20の後端側にバックガード21が設けられる一方、前端側に前垂れ22が設けられた人造大理石調の樹脂製キッチンカウンタ10であって、本体20の側端部20A近傍に調理機器用の開口部25が形成されている。この開口部25の外周部分となる前記側端部20A側は、本体20と別体となる長片状の開口部形成体30により形成されている。開口部形成体30は、システムキッチン10を構成するキャビネット11の上端にねじ32を用いて固定でき、これにより、外周が閉塞された開口部25をキッチンカウンタ10の面内に形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキッチンカウンタに係り、特に、調理機器用の開口部を形成する側端部側の外周部分を、別体の開口部形成体を用いて形成したキッチンカウンタに関する。
【背景技術】
【0002】
公知のシステムキッチンは、例えば、図6及び図7に示されるように、内部に収納空間を備えたキャビネット50と、当該キャビネット50の上部に配置されるキッチンカウンタ51とを備えて構成されている。キッチンカウンタ51としては、熱硬化性樹脂を成形材料として成形された人造大理石が知られており、当該キッチンカウンタ51の側端部寄りに開口部52を設けて当該開口部52に図示しない調理機器が配置できるようになっている。
【0003】
特許文献1には、人造大理石によるキッチンカウンタが開示されている。このキッチンカウンタは、調理機器を配置するための開口部を備えているとともに、裏面側に補強用の桟材を配設して構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−6554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記キッチンカウンタ51は、換気扇の配置位置との関係において、側端部51Aに接近した位置に開口部52を形成し、側端部51Aと開口部52との間に存在する外周部分51Bの幅Wを、例えば、20mm程度に設定する場合がある。
このようなキッチンカウンタ51を熱硬化性樹脂により形成した場合、当該キッチンカウンタ51を輸送するときや、キャビネット50への組立作業時に、前記外周部分51Bを壁などにぶつけて折損してしまう、という不都合がある。この点、ステンレス製のキッチンカウンタであれば折損のおそれはないが、人造大理石調の樹脂製のキッチンカウンタの場合は、折損のおそれを回避することができない。
【0006】
[発明の目的]
本発明の目的は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、調理機器用の開口部を形成する側端部側の外周部分が折損してしまうおそれを回避することのできる樹脂製のキッチンカウンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、特許請求の範囲記載の構成を採用したものである。具体的には、調理機器用の開口部が側端部近傍に形成された樹脂製のキッチンカウンタにおいて、
前記開口部の外周部分を形成する前記側端部側を別体の開口部形成体によって形成する、という構成を採っている。
【0008】
また、本発明は、平面視長方形状の本体と、当該本体の後端側から起立するバックガードと、前端側から垂下する前垂れと、前記本体の側端部近傍に形成された調理機器用の開口部とを備えた樹脂製のキッチンカウンタにおいて、
前記開口部の外周部分を形成する前記側端部側を別体の開口部形成体により形成するとともに、当該開口部形成体を、前記開口部の前後開口幅に対応する長さに設ける、という構成を採ることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、開口部の外周部分を別体の開口部形成体により形成したことで、キッチンカウンタを輸送するとき等に折損するリスクを回避できることになる。このキッチンカウンタは、キャビネットの上部にカウンタ本体を固定すると同時に、開口部形成体を別途に固定するだけで、外周が閉ループ状となる開口部を形成することができるため、開口部形成体を別体とした場合の施工負担も実質的には生じない。
また、開口部の前後開口幅に対応する長さの開口部形成体とすることで、折損し易い領域若しくは部位をできるだけ少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態に係るキッチンカウンタを備えたシステムキッチンの要部概略斜視図。
【図2】図1の一部分解斜視図。
【図3】開口部形成体をキャビネットに固定する一例を示す要部断面図。
【図4】図1のA−A線に沿う矢視断面図。
【図5】図1のB−B線に沿う矢視断面図。
【図6】キッチンカウンタの側端部寄りの位置に開口部を設けた場合の不都合を説明するための要部概略斜視図。
【図7】図6の一部分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1において、システムキッチン10は、内部に収納空間を備えたキャビネット11と、当該キャビネット11の上部に配置されたキッチンカウンタ12と、当該キッチンカウンタ12におけるシンク14の上部外周側に取り付けられる図示しない水栓とを備えて構成されている。
【0013】
前記キッチンカウンタ12は熱硬化性樹脂材料を成形素材とした人造大理石調の成形品により構成されている。このキッチンカウンタ12は、平面視長方形状の本体20と、当該本体20の後端側から起立するバックガード21と、前端側から垂下する前垂れ22と、本体20の右側端部20Aの近傍に形成された調理機器用の開口部25とを備えて構成されている。
【0014】
前記開口部25は、前記側端部20A側の外周部分を本体20と別体の開口部形成体30を用いることにより形成されている。この開口部形成体30は、本体20と同一の成形材料によって得られたものであり、本実施形態では、幅Wが17mmに設定されているとともに、開口部25の前後開口幅W1に対応する長さに設けられている。因みに、本実施形態における開口部形成体30の長さは460mmとなっており、その厚みは13mmとなっている。
【0015】
前記開口部形成体30の長手方向(前後方向)に沿う二箇所位置には、図2及び図3に示されるように、固定用孔31がそれぞれ形成されている。これらの孔31に対しては、上方よりねじ32を挿入し、キャビネット11の側板上端面11Aにねじ32をねじ込むことによって開口部形成体30をキャビネット11に固定することができる。これと前後してキッチンカウンタ12の本体20を図示しないL字金具やタッピンねじ等を用いてキャビネット11に固定することで開口部25が形成でき、その後、開口部25の領域内に図示しない加熱調理機器を配置することでシステムキッチン10を形成することができる。なお、加熱調理機器を開口部25に配置した状態では、そのフランジ部が開口部25の形成縁よりも外側上面に位置するようになり、従って、開口部形成体30の上面側から挿入されたねじ32は隠蔽されることになる。
【0016】
従って、このような実施形態によれば、開口部25の前後開口幅Wに対応する長さを備えた別体の開口部形成体30によって前記側端部20A寄りの外周部分を形成したから、キッチンカウンタ12を輸送するときや、これを用いた現場施工に際し、前記側端部20A側が広く開放していることで壁等にぶつかるリスクを低減でき、また、側端部20Aの前後各部が壁などにぶつかっても、バックガード21や前垂れ22の存在に伴う補強効果によって折損回避を図ることができる。しかも、シンク14が形成されている側の側端部は、シンク14を形成する周壁により補強されることになるため、同様に折損防止を図ることができる。
【0017】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施例に対し、形状、位置若しくは方向、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0018】
例えば、前記実施形態では、開口部形成体30の幅Wを17mmとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、それより短寸、長寸であってもよい。なお、衝撃の強さ或いはキッチンカウンタの成形材料にも依存することではあるが、開口部形成体30の幅Wが30mm以下となる場合において、本発明の効果を有効に発揮することができる。
また、開口部形成体30の長さは、開口部25の前後幅W1と同一である場合に限らず、短寸とすることを妨げない。また、開口部形成体30の固定は、ねじ以外に、接着剤や両面接着テープを用いて行ってもよい。
更に、キッチンカウンタの厚みも13mmに限定されるものではない。
また、図示例では、開口部25がキッチンカウンタ12の右側となる側端部20A近傍に位置する場合を示したが、左側の側端部近傍であってもよい。この場合、シンク14が右側に設けられることとなる。
【符号の説明】
【0019】
12…キッチンカウンタ、20…本体、20A…側端部、21…バックガード、22…前垂れ、25…開口部、30…開口部形成体、W1…開口幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理機器用の開口部が側端部近傍に形成された樹脂製のキッチンカウンタにおいて、
前記開口部の外周部分を形成する前記側端部側を別体の開口部形成体によって形成したことを特徴とするキッチンカウンタ。
【請求項2】
平面視長方形状の本体と、当該本体の後端側から起立するバックガードと、前端側から垂下する前垂れと、前記本体の側端部近傍に形成された調理機器用の開口部とを備えた樹脂製のキッチンカウンタにおいて、
前記開口部の外周部分を形成する前記側端部側を別体の開口部形成体により形成するとともに、当該開口部形成体を、前記開口部の前後開口幅に対応する長さに設けたことを特徴とするキッチンカウンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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