説明

キッチンユニット及びユニット構造体

【課題】キッチンにおける収納性を高めることにより設備類を効率良く設置できるようにし、しかもキッチン施工時の施工性を向上させる。
【解決手段】建物ユニット10において、床11上にはベースキャビネット21が設置され、その上方にはウォールキャビネット31が設置されている。外壁13には、各キャビネット21,31の背面側部分に、室外側から被収納物の出し入れが可能な壁内収納エリア57,58が設けられており、その壁内収納エリア57,58に空調装置の室外熱交換ユニット61と室内熱交換ユニット62とが設置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチンユニット、及びユニット建物のユニット構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅等のキッチンには、床上に設けられシンク(流し台)や加熱調理器等を一体化したベースキャビネットや、そのベースキャビネットの上方に設けられるウォールキャビネット(吊り戸棚)など種々のキッチン設備が設置される。それらの各設備では、ユーザの使い勝手を向上させるための様々な工夫がなされており、例えば各キャビネット等を一体化してキッチン設備をシステム化したり、立ち作業を行うユーザの目の高さに合わせてウォールキャビネットを設置してアイレベル収納としたりする等の技術が取り入れられている。
【0003】
また近年では、ユーザのニーズが益々多様化する背景から、キッチンに設置されるキッチン設備類が増えつつある一方、ユーザが快適に作業を行うことができるようキッチン用の暖房設備や冷房設備の設置などが行われている。この場合、限られたキッチンスペース内でユーザのニーズに応えることが要求されるが、設置スペースの問題などからユーザが望むとおりに各設備を設置することができないことも生じる。そのため、各設備を効率良く設置することのできる技術が望まれている。
【0004】
また、一般に建物では、建築現場で床や壁等が組み付けられた後に各種のキッチン設備などが設置される。この場合、キッチン設備が多様化されつつあることや、キッチン設備以外に、暖房設備等が付加的に設置されることを考えると、各設備類の施工が煩雑となることが懸念され、技術的な改善が望まれる。最近では、工場で製造した複数の建物ユニットを建築現場に運搬しそれら各ユニットを連結する、いわゆるユニット工法の建物も増えつつあり、同ユニット工法の建物では、工場でのキッチン設備の据え付けも可能となっている。しかしながら、ユーザのニーズにより設備類が増えることなどを想定すると、やはり設備類の施工が煩雑となることが懸念される。
【0005】
例えば特許文献1では、調理手段を有するキッチンユニット、該キッチンユニットと連結可能な複数の配管を有する配管ユニット、及び該配管ユニットと連結可能な室外ユニットからキッチンシステム装置を構成している。そしてこれにより、キッチン設置前の室内への配管の必要が無く全て建築後に設置可能とし、将来の設備機器や配管の入替可能な施工性の良いキッチンシステムが提供できるとしていた。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、キッチン設備、配管設備及び室外設備が各々ユニット化されることにより取り扱いの容易さは実現される可能性はあるものの、これら各ユニットが実際の建物に収まりよく収納されるための技術的な提案はなく、収納性を改善するための技術が必要であると考えられる。
【特許文献1】特開平9−268612号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、キッチンにおける収納性を高めることにより設備類を効率良く設置できるようにし、しかもキッチン施工時の施工性を向上させることができるキッチンユニット及びユニット構造体を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。なお以下では、理解を容易にするため、発明の実施の形態において対応する構成例を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0009】
本発明のキッチンユニットでは、建物の内外を仕切る壁体(外壁13)の室内側壁面(内壁材15)に沿わせるようにしてキッチン設備(ベースキャビネット21、ウォールキャビネット31)が設置され、これら壁体とキッチン設備とが一体化されて構成されている。また特に、壁体には、キッチン設備の背面に対向する部位に、室外側(屋外側)から被収納物の出し入れ(アクセス)が可能な収納空間部(壁内収納エリア57,58)が設けられている。この場合、上記の収納空間部を用いることによりキッチンにおける収納性を高めることが可能となる。収納空間部はキッチン設備の背後に隠れるものであるが、室外側から出し入れ可能となっているため、空調装置や給湯器などの設備等の設置作業やメンテナンスなどを容易に行うことができる。また、設計プランの多様化などを図る上でも有効となる。
【0010】
また、壁体に収納空間部をあらかじめ設けておくことにより、キッチン施工時には、空調装置や給湯器などの設備等を必要に応じて収納空間部に設置すれば良く、設備類の施工を容易に行うことができる。以上により、キッチンにおける収納性を高めて設備類を効率良く設置できるようにし、しかもキッチン施工時の施工性を向上させることができる。
【0011】
収納空間部には壁体の室外側に張り出さないようにして被収納物(空調装置の熱交換ユニット61,62等)を収納すると良い。この場合、建物の外回りにおいて人が通行する際の障害を無くすことができ、人の通行エリアが確保できる。またこの場合、室外側への張り出しを無くすことができるため、建物の外観の見栄えが向上する。
【0012】
壁体には、各々区画されかつ上下に分離した状態で少なくとも2つの収納空間部を設けると良い。この場合、複数の収納空間部を用途に合わせて使い分けることができ、設備類の収納性を向上させることができる。例えば、壁体の室内側壁面に床置き戸棚と吊り戸棚とが上下に設置される構成にあっては、それら各戸棚に対応するようにして上下2つの収納空間部が設けられると良い。
【0013】
収納空間部には、被収納物として空調装置(熱交換ユニット61,62)を設置することが想定される。かかる場合、空調装置からの送風を室内に送り出すための吹き出し口をキッチン設備の前面部に設けると良い。又は、壁体の室内側壁面にキッチン設備として床置き戸棚(ベースキャビネット21)と吊り戸棚(ウォールキャビネット31)とを上下に設置した構成においては、空調装置からの送風を室内に送り出すための吹き出し口を床置き戸棚の前面下端部と吊り戸棚の前面上端部とに設けると良い。これにより、キッチン設備の対面エリアに温風や冷風が吹き出され、当該エリアにおいて効率良く空調を効かせることができる。
【0014】
なお、キッチン設備として吊り戸棚を設ける場合には、吊り戸棚を、立ち作業を行うユーザの目の高さに合わせて設置すると良い。これにより、吊り戸棚の使い勝手が良くなり、キッチンでの作業性が改善される。
【0015】
壁体の室内側壁面において建物の天井部から離間した位置に吊り戸棚を設置したキッチンユニットでは、天井部と吊り戸棚との間に窓部(窓部53)を設けるとともに、吊り戸棚の上面部に光反射板(リフレクタ41)を設置すると良い。本構成では、天井部と吊り
戸棚との間の窓部を通じて室内に外光が採り入れられ、特にその際、光反射板によって外光を効率良く室内に取り込むことができる。
【0016】
また、壁体の室内側壁面に床置き戸棚と吊り戸棚とを上下に設置したキッチンユニットでは、それら各戸棚の間に、ユーザの入力操作に応じて各種情報の表示を行うディスプレイ装置(ディスプレイ装置36)を設置すると良い。これにより、ユーザは、キッチンでの作業を行いつつディスプレイ装置の表示を見たり、その表示内容に従い電気設備等の操作を行ったりすることができる。この場合、ディスプレイ装置は、壁体の収納空間部に収納される空調装置や給湯器を作動させるための情報等が表示されるものであると良い。
【0017】
ここで、ディスプレイ装置を、吊り戸棚の底部から垂下させて設置するとともに、同吊り戸棚の底部又は背後に格納可能とすると良い。この場合、ディスプレイ装置を必要に応じて取り出して使うことができる。なお、ディスプレイ装置等の配線を吊り戸棚の底部に収納させるようにすると良い。
【0018】
ユニット工法で建てられるユニット建物では、ユニット構造体が工場で製造され、特にキッチン用のユニット構造体の場合、工場でキッチン設備等の設置も併せて行われる。このユニット構造体において、上記のとおりキッチンユニットが一体的に設けられることにより、建築現場での施工作業を大幅に改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施の形態の住宅は、略箱状をなす複数のユニット構造体を相互に連結することで構成される、いわゆるユニット住宅であり、各ユニット構造体はいずれも工場で製造及び組立が行われ、その後建築現場に運搬される。複数のユニット構造体のうちキッチンスペースを有するユニット構造体は、外壁と一体化されてなるキッチンユニットを備えている。図1は、ユニット住宅においてキッチンユニットを有してなるユニット構造体の構成を示す断面図、図2はキッチンユニットの斜視図、図3はキッチンユニットの主要部品を分解して示す分解斜視図である。
【0020】
ユニット構造体(以下、建物ユニットという)10は、地盤Bに埋め込まれた基礎コンクリートK上に据え付けられている。建物ユニット10は概略として、構造用合板や断熱材等を使用してなる床11及び天井12と、その間の壁体(図には外壁13を示す)とを備えており、建物ユニット10の室内側(屋内側)には外壁13に沿うようにしてキッチン関連設備が各種設置されている。外壁13は、例えば、室外側から室内側に順に外装材、外装下地材、断熱材及び内装材が層をなすように設けられ、外装下地材と断熱材との間に空気層が適宜形成されるものであるが、図1等では便宜上、外壁構造として外壁材14及び内壁材15のみを図示する。
【0021】
建物ユニット10において、床11上には、床置き用収納棚であるベースキャビネット21が設置されている。ベースキャビネット21は、キッチン用品等を収納するための収納エリア22を有しており、その収納エリア22の前面側(ユーザ対面側)に複数の扉23等が取り付けられている。ベースキャビネット21の背面部には、外壁13の内壁材15に重なるようにして板状の断熱材24が取り付けられている。また、ベースキャビネット21の上面には、人造大理石やステンレス等からなるワークトップ26が設けられており、そのワークトップ26の一部が略矩形状に切除されてシンク27と加熱調理器28とが設置されている。ワークトップ26はその上面全体が平坦状(フルフラット状)をなしており、継ぎ目や段差のないものとなっている。
【0022】
また、ベースキャビネット21の底部付近には、同ベースキャビネット21の前後方向
(図1では左右方向)に延び、キャビネット前面側において扉23と床面との間で開口する通路部29が設けられている。
【0023】
なお、ベースキャビネット21は外壁13に沿って設置される構成であることを条件に他の構成に変更できる。例えば、ベースキャビネット21が平面視でL字状をなす構成であっても良い(いわゆるL型キッチンとする)。また、上記のようにベースキャビネット21にシンク27や加熱調理器28を一体的に組み込む構成とする以外に、シンクを別のキャビネットに設けた構成であっても良い(いわゆるアイランド型キッチンとする)。
【0024】
ベースキャビネット21の上方には、吊り戸棚であるウォールキャビネット31とレンジフード32とが設置されている。ウォールキャビネット31は、複数(本例では左右2つ)に分割された棚部を有し、その前面側(ユーザ対面側)に扉33が取り付けられている。また、ウォールキャビネット31の背面部には、外壁13の内壁材15に重なるようにして板状の断熱材34が取り付けられている。この場合、ウォールキャビネット31の棚部がアイレベルゾーンに設けられてアイレベル収納が可能となっており、ウォールキャビネット31に対する収納物の出し入れが容易となっている。なお図示の構成では、ウォールキャビネット31とレンジフード32とを同じ高さに設置したが、ウォールキャビネット31をアイレベル収納とする場合には、レンジフード32の方を高位に設置するようにしても良い。
【0025】
ウォールキャビネット31の底部には、ワークトップ26上を照らすための照明器具35と、各種情報を表示するためのディスプレイ装置36とが設けられている。ディスプレイ装置36は、ベースキャビネット21とウォールキャビネット31との間の空間部を利用して設置されている。ディスプレイ装置36は入力操作部と液晶表示部とを備えており、ユーザの入力操作に応じて、後述する空調装置等の操作メニューや、調理の献立やレシピ等が液晶表示部に表示される。ただし、ディスプレイ装置36をタッチ入力式の構成とし液晶画面のタッチ操作により入力操作を行うことができる構成としたり、入力操作部をウォールキャビネット31の前面部等に設けたりすることも可能である。その他、ディスプレイ装置36にテレビの受信画像を表示させたり、ビデオ等の再生画像を表示させたりすることも可能である。
【0026】
ディスプレイ装置36は折り畳み格納式となっており、該ディスプレイ装置36がヒンジ部37を軸点として回動することにより、ウォールキャビネット31の底部から垂れ下がって表示画面が視認可能となる状態と、ウォールキャビネット31の底部に重なって表示画面が視認不可となる状態とが切り替えられるようになっている。
【0027】
照明器具35やその他電気配線類は、ウォールキャビネット31の底部に設けた収納エリア38に収納されると良い。この場合、収納エリア38を、前面側を扉33等で塞ぎかつ下方のみ開口するように形成することにより、見栄えが良くしかもメンテナンス等に優れた構成が実現できる。
【0028】
なお、ディスプレイ装置36を折り畳み格納式とする以外に、上下方向にスライド可能な構成としても良い。この場合、上方にスライド移動させることによりディスプレイ装置36をウォールキャビネット31の背後に格納し、下方にスライド移動させることにより同ディスプレイ装置36を現出させるようにする。
【0029】
ウォールキャビネット31の天板部付近には、同ウォールキャビネット31の前後方向(図1では左右方向)に延び、キャビネット前面側において開口する通路部39が設けられている。また、ウォールキャビネット31の上面部には、反射板からなるリフレクタ41が取り付けられている。
【0030】
外壁13において、ベースキャビネット21の設置部分とウォールキャビネット31の設置部分との間には横長矩形状の開口部からなる窓部51が設けられており、その窓部51には窓ガラス52がはめ込まれている。また、同じく外壁13において、ウォールキャビネット31の設置部分と天井との間には横長矩形状の開口部からなる窓部53が設けられており、その窓部53には窓ガラス54がはめ込まれている。
【0031】
外壁13には、室内側に突出し、かつ窓部51の上端部に沿って左右方向に延びるようにして突起部55が設けられている。この突起部55は、外壁13にウォールキャビネット31を組み付ける際の位置決め部として機能や、ウォールキャビネット31を載置した状態でそれを支える機能を有する。
【0032】
外壁13にベースキャビネット21とウォールキャビネット31とを組み付けた状態では、これら各キャビネット21,31の間に窓部51が設けられることとなり、昼間においてワークトップ26上に外光を採り入れることが可能となっている。また、ウォールキャビネット31の上方に窓部53が設けられることとなり、昼間においてキッチン内に外光を採り入れることが可能となっている。この場合特に、ウォールキャビネット31の上面部にリフレクタ41を取り付けたことにより、窓部53から差し込む外光をリフレクタ41で反射させながら効率良くキッチン内部に採り入れることができる。以上により、照明器具を用いないと暗くなりがちなキッチンを明るくすることができる。
【0033】
外壁13において、ベースキャビネット21の背面側部分とウォールキャビネット31の背面側部分とにはそれぞれ壁内収納エリア57,58が設けられている。壁内収納エリア57,58は、内外の壁材14,15の間に形成される上下2カ所の空間領域であり、それら各収納エリア57,58は互いに分離されて区画形成されている。本実施の形態では、壁内収納エリア57,58内にエアコン等の空調装置を収納することとしている。すなわち、空調装置は、室外との間で熱交換を行う室外熱交換ユニット(いわゆる室外機)61と、室内に対して冷房や暖房等を行う室内熱交換ユニット(いわゆる室内機)62とを有しており、室外熱交換ユニット61がベースキャビネット21背後の壁内収納エリア57に収納され、室内熱交換ユニット62がウォールキャビネット31背後の壁内収納エリア58に収納されている。本実施の形態では、外壁13の厚さ寸法を通常よりも大きくしており(例えば壁厚さ=400mm程度)、各熱交換ユニット61,62は内外の壁材14,15の間に完全に収まるようになっている。
【0034】
外壁13への各熱交換ユニット61,62の組み付けは、外壁材14に形成された開口部71,72(図1参照)にて行われるようになっており、その開口部71,72を通じて空調装置のメンテナンスや交換作業等が随時行われる。すなわち、壁内収納エリア57,58に対しては室外側から被収納物の出し入れ(アクセス)が可能となっている。この場合、図4(建物ユニット10を屋外側から見た外観図)に示すように、外壁材14の開口部71,72には蓋パネル73,74が取り付けられ、外観上は各熱交換ユニット61,62が見えないようになっている。
【0035】
上下2つの蓋パネル73,74のうち少なくとも下側の蓋パネル73には、スリット状の多数の通気孔が設けられており、この通気孔を介して室外熱交換ユニット61による放熱及び吸熱が行われるようになっている。上側の蓋パネル73の表面には、他の外壁部分と同じ外装材が使用されると良い。なお、上下2つの蓋パネル73,74にはそれぞれ施錠装置などが付けられており、室外側(屋外側)から許可無く取り外すことができないようになっている。
【0036】
室内熱交換ユニット62には2つの送風ダクト63,64が設けられており、そのうち
下方に延びる送風ダクト63の先端部は内壁材15の切欠孔部77より室内側に突出するようになっている。送風ダクト63の先端部は、ベースキャビネット21の底部付近に設けた通路部29に連通している。したがって、空調装置の稼働状態下で室内熱交換ユニット62から温風又は冷風が送風ダクト63を介して供給されると、その温風又は冷風が通路部29を通じてユーザの足下から吹き出される。この場合、通路部29の前面開口部29aが足下吹き出し口となっている。
【0037】
また、室内熱交換ユニット62からほぼ水平方向に延びる送風ダクト64の先端部は内壁材15の切欠孔部78より室内側に突出するようになっている。送風ダクト64の先端部は、ウォールキャビネット31の天板部付近に設けた通路部39に連通している。したがって、空調装置の稼働状態下で室内熱交換ユニット62から温風又は冷風が送風ダクト64を介して供給されると、その温風又は冷風が通路部39を通じてユーザの頭付近から吹き出される。この場合、通路部39の前面開口部39aが上部吹き出し口となっている。
【0038】
図示は省略するが、壁内収納エリア57,58には、上記した空調装置の他、給湯器や配管設備が収納されるようになっている。暖冷房が可能な空調装置に代えて、暖房設備を設置することも可能である。
【0039】
上記構成の建物ユニット10を備える住宅では、壁内収納エリア57,58に収納された空調装置(各熱交換ユニット61,62)等が外壁13から室外側に張り出すことはない。したがって、図1に示すように、住宅の外周りを人Pが通行する場合において、その通行の障害を無くすことができる。
【0040】
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0041】
ベースキャビネット21及びウォールキャビネット31を外壁13に一体化するとともに、外壁13において各キャビネット21,31の背面側部分に設けた壁内収納エリア57,58に空調装置等を設置する構成としたため、キッチンにおいて収納性を高め、各種設備を効率良く設置することが可能となる。このとき、壁内収納エリア57,58は各キャビネット21,31の背後に隠れるものであるが、室外側(屋外側)から出し入れ可能となっているため、各種設備の設置作業やメンテナンスなどを容易に行うことができる。
【0042】
また、工場で建物ユニット10を製造する際、ベースキャビネット21等のキッチン設備だけでなく、空調装置等の設備類も併せて設置できるため、建築現場での施工作業を簡易にすることができる。以上により、キッチンにおける収納性を高めて設備類を効率良く設置できるようにし、しかもキッチン施工時の施工性を向上させることができるようになる。
【0043】
外壁13の壁内収納エリア57,58には、室外側に張り出さないようにして空調装置等が収納されるため、建物の外回りに人の通行エリアを確保することができる。また、建物の外部にエアコン室外機や給湯器が露出しないため、外観上の見栄え低下を向上させることができる。
【0044】
ベースキャビネット21の前面下端部とウォールキャビネット31の前面上端部とに空調装置の送風吹き出し口を設けたため、キッチンでの作業エリア(キッチン設備の対面エリア)において効率良く空調を効かせることができる。
【0045】
ウォールキャビネット31の上面部にリフレクタ41を取り付けたため、窓部53から差し込む外光をリフレクタ41で反射させながら効率良くキッチン内部に採り入れること
ができる。したがって、昼間であってもキッチンの作業エリアを明るくすることができる。
【0046】
建物ユニット10では住宅の設計に応じて室内高さが異なる場合があるが、外壁13に設けた上側の窓部53の上下幅を変更することにより、室内高さの異なる建物ユニットにおいても容易に対処できる。
【0047】
本発明は上記実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施しても良い。
【0048】
上記実施の形態のキッチンユニットでは、キッチン設備として2体のキャビネット(ベースキャビネット21、ウォールキャビネット31)を設置したが、これを変更する。ベースキャビネット21のみを設置した構成や、ベースキャビネット21とトールキャビネット(床から天井付近まで可能な収納棚)とを組み合わせた構成等であっても良い。
【0049】
上記実施の形態では、外壁13に設けた壁内収納エリア57,58内に完全に収納される状態、すなわち室内側及び室外側に張り出さない状態で空調装置(熱交換ユニット62,63)等の設備を設置したが、その設備の一部が室内側又は室外側にはみ出た構成であっても良い。この場合、外壁13の室内側に設備が張り出した構成とする。或いは、外壁13の室外側に設備が張り出した構成とする。
【0050】
外壁13に設けた収納空間部(壁内収納エリア57)にゴミ収集ケースを設置しても良い。この場合、室内側壁面(内壁材15)又はベースキャビネット21にゴミ投入口を設け、室内側からゴミ収集ケース内にゴミを投入できるようにする。また、室外側からゴミ収集ケースを取り出し可能とし、室外側でゴミの回収ができるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】キッチンユニットを含む建物ユニットの構成を示す断面図。
【図2】キッチンユニットの斜視図。
【図3】キッチンユニットの主要部品を分解して示す分解斜視図。
【図4】建物ユニットを室外側から見た外観図。
【符号の説明】
【0052】
10…建物ユニット、11…床、12…天井、13…外壁、14…外壁材、21…ベースキャビネット、29a…前面開口部、31…ウォールキャビネット、23a…前面開口部、41…リフレクタ、51,53…窓部、57,58…壁内収納エリア、61…室外熱交換ユニット、62…室内熱交換ユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の内外を仕切る壁体の室内側壁面に沿わせるようにしてキッチン設備を設置してこれら壁体とキッチン設備とを一体化したキッチンユニットであって、
前記壁体には、前記キッチン設備の背面に対向する部位に、室外側から被収納物の出し入れが可能な収納空間部を設けたことを特徴とするキッチンユニット。
【請求項2】
前記収納空間部には前記壁体の室外側に張り出さないようにして前記被収納物を収納した請求項1に記載のキッチンユニット。
【請求項3】
前記壁体には、各々区画されかつ上下に分離した状態で少なくとも2つの前記収納空間部を設けた請求項1又は2に記載のキッチンユニット。
【請求項4】
前記収納空間部に空調装置を設置するとともに、該空調装置からの送風を室内に送り出すための吹き出し口を前記キッチン設備の前面部に設けた請求項1乃至3のいずれかに記載のキッチンユニット。
【請求項5】
前記壁体の室内側壁面にキッチン設備として床置き戸棚と吊り戸棚とを上下に設置し、前記収納空間部に空調装置を設置するとともに、該空調装置からの送風を室内に送り出すための吹き出し口を前記床置き戸棚の前面下端部と前記吊り戸棚の前面上端部とに設けた請求項1乃至3のいずれかに記載のキッチンユニット。
【請求項6】
前記壁体の室内側壁面において建物の天井部から離間した位置にキッチン設備として吊り戸棚を設置したキッチンユニットであって、
前記壁体には前記天井部と前記吊り戸棚との間に窓部を設けるとともに、前記吊り戸棚の上面部に光反射板を設置した請求項1乃至5のいずれかに記載のキッチンユニット。
【請求項7】
前記壁体の室内側壁面にキッチン設備として床置き戸棚と吊り戸棚とを上下に設置し、それら各戸棚の間に、ユーザの入力操作に応じて各種情報の表示を行うディスプレイ装置を設置した請求項1乃至6のいずれかに記載のキッチンユニット。
【請求項8】
前記ディスプレイ装置を、前記吊り戸棚の底部から垂下させて設置するとともに、同吊り戸棚の底部又は背後に格納可能とした請求項7に記載のキッチンユニット。
【請求項9】
ユニット建物の一部を構成するユニット構造体であって、請求項1乃至8のいずれかに記載のキッチンユニットを備えてなることを特徴とするユニット構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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