説明

キナーゼ活性を求めるための方法、粒子及びキット

試料内のキナーゼ活性を求めるための方法、粒子、及びキットを提供する。本方法の実施形態には、蛍光粒子をアッセイに付することが含まれており、前記蛍光粒子は、1つ以上の蛍光物質を有する支持基質と、その支持基質の官能基を介して前記支持基質に結合されたペプチド基質とを含む。本方法には、更に、前記蛍光粒子をアッセイに付している間に前記ペプチド基質をリン酸化する工程と、前記蛍光粒子を処理する工程であって、そうすることで、前記ペプチド基質が脱リン酸化され、そして分極した二重結合が脱リン酸化部位で生じる工程とが含まれる。加えて、本発明は、前記分極した二重結合を介して前記蛍光粒子に、求核性末端基を有する蛍光レポーターを結合させることも含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、キナーゼ(単数又は複数)の活性を求めるための方法と組成物(例えば、粒子及びキット)に関し、特に、蛍光検出を用いた多重化プロセスにおいて、粒子と結合した1つ以上のキナーゼの活性を求めるための方法と組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の記述や例は、このセクションに含まれているからといって先行技術であるとされるものではない。
【0003】
プロテインキナーゼは、生物内での細胞のシグナル伝達を制御する際に重要な役割を果たし、また自然界で容易に発生する。例えば、ヒトゲノムには、500個を超えるプロテインキナーゼと500,000個を超えるヒトリン酸化部位とがある。プロテインキナーゼは、一般に、アデノシン三リン酸(ATP)からアミノ酸残基へのホスフェートの移動を触媒作用する酵素と定義される。タンパク質リン酸化現象の異常発現は、生物、特にヒトでは幾つかの疾病や悪性腫瘍と関連していることがある。そのため、プロテインキナーゼ活性のモニタリングは、疾病や悪性腫瘍の検出、及び/又は疾病や悪性腫瘍のための治療薬(すなわち、生物内でプロテインキナーゼ活性を促進又は抑制するための治療薬)の確認試験に有益である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マイクロアレイ技術分野の当業者には自明なように、一般に、化学アッセイ及び生物学的アッセイで分析物の存在及び/又は濃度を迅速に求めることは有益である。加えて又は別法として、複数の分析物を同時に評価することも有益である。単一試料内の複数の分析物を同時に評価することを、本明細書では多重化スキームと呼ぶ。キナーゼ活性を求めるための従来法は、典型的には、高スループットのスクリーニング及び/又は多重化アッセイには適していない。特に、キナーゼ活性を求めるための多くの従来法は、放射線同位元素を利用し、そして分析のために液体クロマトグラフィー及び/又は質量分析を頼りにしており、そのため、迅速な評価には適さない。加えて、かかる方法は、キナーゼ活性を連続してモニターしておらず、その結果、キナーゼ活性が正確に求められない場合がある。キナーゼ活性を求める他の方法は、高価で特殊化された生物学的試薬、例えば、リンペプチド特異抗体を必要とする。一般に、抗体によるマイクロアレイは、抗体の予測不可能な交差反応性に起因して多数の間違った陽性及び陰性をもたらす。その結果、抗体によるキナーゼ活性法は、一般に、高スループットのスクリーニング及び/又は多重化アッセイには受け入れられない。キナーゼ活性を求めるための別の対処法は、蛍光センサーを利用するが、これはリン酸化反応によって構造変化を引き起こす。他方、従来のアッセイに用いられる主な蛍光センサーは、リン酸化反応において極僅かな蛍光変化を示し、そのことがその適用性を制限している。
【0005】
従って、アッセイ中にキナーゼ活性を求めるための新たな方法、粒子、キット、特に、高スループットのスクリーニング及び/又は多重化に適したものを開発することは有益である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
キナーゼ活性を求めるための方法、粒子、キットの様々な実施態様に関する以下の記述は、いかなる場合でも、添付の特許請求の範囲の主題を制限しないものと解釈されるべきである。
【0007】
粒子の処理方法の実施態様には、蛍光粒子をアッセイに付することが含まれ、ここで、蛍光粒子には、1つ以上の蛍光物質を有する支持基質と、その支持基質の官能基を介して前記支持基質に結合したペプチド基質とが含まれる。この方法には更に、蛍光粒子をアッセイに付している間にペプチド基質をリン酸化することと、ペプチド基質が脱リン酸化され、そして分極した炭素−炭素二重結合(本明細書では以降、分極した二重結合という)が脱リン酸化部位に生じるように、蛍光粒子を処理することとが含まれる。加えて、この方法には、求核性末端基を有する蛍光レポーターを、分極した二重結合を介して蛍光粒子に結合することも含まれる。
【0008】
粒子の実施態様には、1つ以上の蛍光物質を有する支持基質と、その支持基質の官能基を介して支持基質に結合したペプチド基質とが含まれる。
【0009】
試料内のキナーゼ活性量を求めるためのキットの実施態様には、複数の蛍光粒子と、1つ以上のキナーゼ特異性ペプチド基質とが含まれる。複数の蛍光粒子はそれぞれ、第1波長域で蛍光を発光するように構成された1つ以上の蛍光物質を有する支持基質を含んでいる。
【0010】
試料内のキナーゼ活性の量を求めるための方法の実施態様には、蛍光粒子の異なるサブセットの貯留集合体を試料に触れさせることが含まれる。蛍光粒子のうち少なくとも幾つかは、第1波長域で蛍光を発光するように構成された1つ以上の蛍光物質を有する支持基質を含み、蛍光粒子の異なるサブセットのうち少なくとも幾つかはそれぞれ、異なる構成の1つ以上の蛍光物質を含む。更に、少なくとも幾つかの蛍光粒子には、支持基質の官能基を介して支持基質に結合したペプチド基質が含まれており、蛍光粒子の異なるサブセットのうち少なくとも幾つかはそれぞれ異なるペプチド基材を含む。この方法には更に、試料と貯留集合体とをリン酸化プロセスに付することが含まれ、このプロセスは、ペプチド基質の受容残基にリン酸基を付加するように構成されている。
【0011】
その上、この方法には、その後、リン酸化ペプチド基質が前記複数の蛍光粒子中に存在する場合に、リン酸化ペプチド基質が脱リン酸化され、そして分極した二重結合が前記ペプチド基質の脱リン酸化部位に生じるように、複数の蛍光粒子を処理することも含まれている。更に、この方法にはまた、分極した二重結合が前記ペプチド基質の脱リン酸化部位に存在する場合に、蛍光レポーターが、前記分極した二重結合の位置で前記蛍光レポーターの求核性末端基を介して前記蛍光粒子に結合されるように、複数の蛍光粒子を処理することも含まれている。かかる蛍光レポーターは、第1波長域と区別される第2波長域で蛍光を発光するように構成されている。この方法にはまた、その後、前記複数の蛍光粒子の蛍光発光を測定することと、試料中の前記粒子のサブセット分類を、測定された第1波長域の蛍光発光に基づいて同定することとが含まれる。加えて、この方法には、測定された第2波長域の蛍光発光の有無に基づいて、試料と貯留集合体をリン酸化プロセスに付するときに試料内のキナーゼ活性量を求めることも含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の更なる利点は、好ましい実施形態についての以下の詳細な説明より、そして添付の図面を参照することで、当業者に自明となるであろう。
【0013】
本発明は様々な修正及び変更形態が可能であるが、その具体的な実施形態は、図面に例示的に示されており、また本明細書に詳述されている。図面は縮尺通りではない場合がある。ただし、図面及びそれらの詳細な説明は、本発明を、開示された特定の形態に制限するものではなく、それどころか、添付の特許請求の範囲で定義されるような本発明の精神及び範囲に含まれるあらゆる修正、同等物、及び代替物を網羅するものであると解されるべきである。
【0014】
一般に、本明細書で使用するとき、「粒子」という用語は、化学アッセイ及び生物学的アッセイの分析に使用されるいかなる基質を指し、そして具体的には、注目している分析物を定性化及び/又は定量化するための分子反応を提供し及び/又は支持するのに用いられる物品を指し、分析物としては、キナーゼ活性が挙げられるが、これに限定されない。更に、「粒子」という用語は、広範な寸法の物品をあらわしており、例えば、約1nm〜約300μmの寸法を有する物品が挙げられるが、これらに限定されない。ここで、「粒子」という用語は、多数の様々な物質や形状を指し、例えば、微小球、ビーズ、ポリスチレンビーズ、微粒子、金ナノ粒子、量子ドット、ナノドット、ナノ粒子、複合粒子(例えば、金属−ポリマー粒子、又は磁鉄鉱−ポリマー粒子)、ナノシェル、ナノロッド、ナノチューブ、マイクロビーズ、ラテックス粒子、ラテックスビーズ、蛍光ビーズ、蛍光粒子、着色粒子、着色ビーズ、組織、細胞、微生物、胞子、有機物、あらゆる非有機物、又はあらゆるこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。従って、かかる用語のいずれもが、本明細書で使用される用語「粒子」と置き換え可能である。
【0015】
図面を参照すると、キナーゼ検出用の蛍光粒子の処理方法のフローチャートが図1に示されている。図1に示すように、この方法はブロック10を含み、ここで、蛍光粒子をアッセイに付する。アッセイは、生物学的アッセイであっても、化学アッセイであってもよい。ブロック10は、蛍光粒子が、1つ以上の蛍光物質を有する支持基質と、その支持基質の官能基を介して支持基質に結合したペプチド基質とを含むことを明記している。先に記したように、本明細書で使用するとき、「粒子」という用語は、化学アッセイ及び生物学的アッセイの分析に用いられるいかなる基質をも指し、そのため、「蛍光粒子」という用語は、1つ以上の光ルミネッセンス材料(例えば、蛍光体、蛍光色素、又は他の蛍光物質)を含むかかる基質をいずれも含む。蛍光色素に関する実施形態が本明細書には記載されているが、本明細書に記載した実施形態は、あらゆる光ルミネッセンス材料(例えば、蛍光体又は量子ドット)を用いて利用されてもよいと解されるべきである。光ルミネッセンス材料は、支持基質に組み込まれてもよく、及び/又は支持基質の表面に結合されてもよい。幾つかの実施形態では、複数の光ルミネッセンス材料を支持基質内に組み込むために、支持基質を架橋することが特に有利である場合がある。かかる実施形態は、およそ100以上の粒子分類が利用されるような多重化アッセイにおいて特に適切である。蛍光粒子の支持基質には、化学アッセイ及び生物学アッセイの分析に使用されるものがいずれも含まれてよく、これには、ポリスチレン、金属、又はコア材料とシェル材料との複合体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
先に記したように、1つ以上の蛍光物質を有する蛍光粒子の支持基質に加えて、蛍光粒子には、支持基質の官能基(例えば、COOH、NH2、OHなど)を介して支持基質に結合したペプチド基質が含まれる。より具体的には、蛍光粒子には、支持基質に結合した、場合により共有結合を介して支持基質に結合した、キナーゼ特異性ペプチド基質が含まれる。このように、ペプチド基質は、図1に示したフローチャートのブロック12に記載されているように、リン酸化反応を受け易い。特に、図1のブロック12は、蛍光粒子をアッセイに付する工程中にペプチド基質をリン酸化することを含む方法を表している。かかるリン酸化プロセスは、ATPやキナーゼの存在下で行われてよい。キナーゼは、試料中で容易に入手可能であり、又はリン酸化プロセスに添加されてもよい。キナーゼにおける特異性の決定は十分に理解されていないが、ペプチド基質のセリン/トレオニン/チロシン残基を取り巻くアミノ酸配列モチーフと前記基質の三次元構造の両者が特異性に寄与すると考えられる。
【0017】
いずれの場合も、リン酸化プロセスは、ペプチド基質のセリン残基、トレオニン残基、又はチロシン残基で観察される。幾つかの実施形態では、リン酸化プロセスは、イオン性液体の存在下で行われる場合がある。イオン性液体は、リン酸化反応速度を高めて方法の処理時間を短縮することができる、及び/又は蛍光粒子の後続の処理を妨げる場合がある副生成物の発生を軽減することができると理論上想定されており、特にこれらプロセスを、ブロック14と16を参照して以下に説明する。場合により、リン酸化プロセスを増強するのに使用されるイオン性液体は、マイクロ波によって加熱されてもよい。一般に、マイクロ波加熱は、リン酸化反応速度を更に高める。より具体的には、マイクロ波によって加熱したイオン性液体を利用することにより、リン酸化プロセスを完了するのに要する時間が、数時間ではなく、数分まで短縮されことがある。
【0018】
ペプチド基質をリン酸化した後、蛍光粒子をその後、以下に更に詳述するようにしてキナーゼ活性を決定するために、処理することができるように、蛍光粒子を試料から除去してもよい。幾つかの実施形態では、蛍光粒子の支持基質は磁気を帯びていてもよく、除去プロセスは、磁界の適用を伴って、粒子を固定すると同時に上澄みを除去してもよい。かかる実施形態は、試料からの粒子の除去を有利に簡略化することができ、場合により、ろ過工程にかかる時間を省くこともできる。ただし、更に別の場合では、蛍光粒子の支持基質は磁気を帯びていなくてよく、そして粒子はろ過によって除去されてもよい。
【0019】
図1のブロック14に続いて、方法は、ペプチド基質が脱リン酸化されて、分極した二重結合がペプチド基質の脱リン酸化した部位で生じるように、蛍光粒子を処理することを含んでいる。脱リン酸化プロセスは、塩基触媒作用されたβ脱離プロセスによって行われる。一般に、β脱離プロセスには、そのプロセスを触媒作用するのに十分ないかなる塩基が含まれていてもよい。塩基の例としては、水酸化ナトリウムやテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMA)が挙げられるが、これらに限定されない。場合により、より穏やかな塩基(すなわち、pH14未満の塩基)、例えばTMAを用いて、プロセスで発生する副生成物の量を軽減することが有利である。幾つかの実施形態では、イオン性液体をより穏やかな塩基と組み合わせて、副生成物の発生を更に減少させてもよい。なお更なる実施形態では、塩基とイオン性液体をマイクロ波によって加熱して、β脱離反応速度を高めてもよい。いずれの場合でも、β脱離プロセスは、ペプチド基質からリン酸基を除去して、それを、分極した二重結合と置き換えるように構成されている。分極した二重結合は、マイケル受容体と呼ぶ場合もあり、これは、ブロック16を参照して以下に詳述するように、その後のマイケル型付加反応に利用され得る。
【0020】
図1に示すように、方法はブロック16を含み、そこで、求核性末端基を有する蛍光レポーターが、分極した二重結合を介して蛍光粒子と結合される。この反応は、一般に、マイケル型反応と呼ばれる場合があり、これは、一般には、求核性原子を、分極した二重結合を含有する化合物に付加するものと定義される。求核性原子を含有する化合物は通常、「マイケル供与体」と呼ばれ、そして分極した二重結合を含有する化合物は通常、「マイケル受容体」と呼ばれる。先に示したように、ブロック14を参照して説明したβ脱離反応で生じた前記分極した二重結合は、マイケル受容体として作用する。求核性末端基を有する蛍光レポーターは、マイケル供与体として作用し、そして蛍光粒子の分極した二重結合と反応して、蛍光レポーターを、求核性末端基を介して蛍光粒子に結合する。ブロック12を参照して先に説明したリン酸化工程及びβ脱離工程と同様に、蛍光レポーターの蛍光粒子への結合プロセスは、幾つかの実施形態では、イオン性液体、場合によりマイクロ波で加熱されたイオン性液体の存在下で行われる。イオン性液体を含むことにより、結合プロセス中に副生成物の発生が望ましく減少し、その結果生じる粒子複合体の収率が増加する。更に、マイクロ波加熱は、結合プロセスにおける反応速度を高めて、生産時間を短縮することもできる。
【0021】
一般に、蛍光レポーターには、それに結合した求核性末端基を有するあらゆる光ルミネセンス材料(例えば、蛍光体、蛍光色素、又は他の蛍光物質)の化合物が含まれる。更に、求核性末端基としては、あらゆる求核性基、例えば、チオール基やアミノ基を挙げることができるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、親水性蛍光化合物を蛍光レポーター内で用いて、後に測定される強い蛍光信号を保障することが望ましいことがある。特に、アッセイは、典型的に水性媒体中で行われる。水性媒体中で疎水性色素を用いると、それは消光して、蛍光信号に影響を及ぼす。チオールの存在は、幾つかの実施形態では、親水性を高める場合があり、そのため、場合により、蛍光レポーターの求核性末端基として好ましい。化学技術分野における親水性化合物と疎水性化合物の分類には幾つかあいまいな点があるが、本明細書で使用するとき、親水性化合物の意味は、具体的には、有機溶媒(例えば、酢酸エチル)に溶解しない化合物を指す。
【0022】
親水性に加えて又はその別法として、蛍光レポーターの蛍光化合物は、蛍光粒子の支持基質内の1つ以上の蛍光物質とは異なる波長域で蛍光を発光するように構成されてもよい。このように、支持構造体内や蛍光レポーター内の様々な蛍光物質からの蛍光発光は、重なり合わないこともある。かかる特徴は、支持構造体内の蛍光物質を試料内の分類された粒子に利用する実施形態では特に有益である。より具体的には、蛍光物質中の様々な蛍光域によって、試料内の異なる粒子分類が、試料内のキナーゼ活性の検出を妨げることなく検出できる。場合により、蛍光レポーターの蛍光化合物は、約500nmよりも長波長の波長域で蛍光を発光するように構成することもできる。多くのアッセイには、約450nm未満の波長に固有蛍光を有する分子が含まれているためである。幾つかの実施形態では、アッセイは、かかる一般論に合うように構成されなくてもよく、従って、蛍光レポーターの蛍光発光の形態は、用途によって多種多様であってよい。例えば、幾つかの実施形態では、蛍光レポーターの蛍光化合物は、約400nm〜約580nmの波長域で蛍光を発光するように構成されてもよい。
【0023】
場合により、蛍光レポーターは、求核性末端基と蛍光化合物の間に挟まれた1つ以上のスペーサー化合物を含んでよい。1つ以上のスペーサー化合物を含むことにより、キナーゼ活性の検出の妨害や、酵素と基質との間の認知プロセスが軽減される。幾つかの実施形態では、全体で約1個〜原子約25個の原子を含むスペーサー化合物を用いて、求核性末端基と蛍光化合物との間に十分な空間を提供することができる。より具体的な場合では、全体で約5個〜約25個の原子を含むスペーサー化合物を使用する。全体で25個超の原子を含むスペーサー化合物は、幾つかの用途では、蛍光粒子及び/又は蛍光レポーターの規格に応じて使用されることに留意する。求核性末端基を有するスペーサー化合物であって、蛍光レポーターにおいて蛍光化合物と共に使用される幾つかのスペーサー化合物の例を以下に記す。かかる列挙は、代表的なものであって、本明細書に記載した蛍光レポーターに関して別の化合物を考慮することを排除するものではないことに留意する。スペーサー化合物の他の例を以下に記すが、これは本明細書に記載した方法で使用され得る代表的な蛍光レポーターを挙げている。
【0024】
【化1】

【0025】
本明細書で記載した方法に使用される幾つかの蛍光レポーターの例を以下に記す。かかる列挙は、代表的なものであって、本明細書に記載した方法で使用される他の蛍光レポーターに関して考慮することを排除するものではないことに留意する。
【0026】
【化2】

【0027】
図1に示された方法を実行する代表的なスキームを以下に略述する。かかるスキームは代表的なものであり、また他のスキームであって、キナーゼ検出用の蛍光粒子を処理するのに使用されるものについて考慮することを排除するものではないことに留意する。そのため、本明細書に記載の方法は、以下に略述するスキームに必ずしも限定されない。以下に示すように、キナーゼ特異性ペプチド基質は、蛍光粒子のカルボン酸官能基を介して蛍光粒子に結合される。図1のブロック10を参照して先に記載したように、本明細書に記載の方法は、他の官能基を有する蛍光粒子に適用してもよい。結合プロセスは、エチルジメチルアミノプロピル−カルボジイミド(EDC)及びスルホン化n−ヒドロキシスクシンイミドの存在下で行うことができるが、その他の試薬を使用してもよい。キナーゼ特異性ペプチド基質を蛍光粒子に結合した後、ペプチド基質上でリン酸化プロセスを行ってもよい。略述したスキームに記したように、リン酸化プロセスを、キナーゼ及びATP、そして場合によりイオン性液体の存在下で行うことができる。リン酸基をペプチド基質に付加した後、プロセスはβ脱離工程へと続き、そこでペプチド基質が脱リン酸化されて、分極した二重結合がペプチド基質の脱リン酸化部位で生じる。先に記したように、かかるベータ脱離工程は塩基触媒され、幾つかの実施形態では、更に、イオン性液体の存在下で行われてもよい。以下に略述するスキームに記されているように、分極した二重結合は、アミノ酸−セリンを運搬することができる。ただし、本明細書に記載した方法は、他のアミノ酸残基、例えばアミノ酸トレオニンとチロシンを生じるように構成されてもよい。
【0028】
β脱離プロセス後、蛍光レポーターは、分極した二重結合を介して蛍光粒子に付着される。以下のスキームは、蛍光レポーターを蛍光粒子に結合するための2つの代表的なマイケル反応を略述している。このマイケル反応の一つとしては、蛍光レポーターの結合が含まれ、例えば、蛍光レポーターには、アミド結合(CONH結合)を介して1つ以上のスペーサー化合物(「スペーサー」で表されている)に結合した蛍光化合物(「レポーター色素」で表す)が含まれる。CONH結合は、蛍光化合物と1つ以上のスペーサー化合物との結合、具体的には、蛍光化合物のカルボン酸官能基と1つ以上のスペーサー化合物のアミノ酸官能基との結合の結果である。CONH結合の包含は代表的なものであり、従って、本明細書に記載した方法は、必ずしもこれに限定されない。以下に略述されたスキームに示されているもう一方のマイケル反応としては、代表的なビオチン置換されたマイケル供与体と、ストレプトアビジン共役された蛍光化合物(「レポーター色素」として表されている)とを蛍光粒子に結合することが挙げられる。かかる反応に特に好適である代表的な蛍光化合物は、フィコエリトリン(PE)である。ただし、他の蛍光化合物や他のビオチン置換されたマイケル供与体も、本明細書に記載した方法に使用してよい。
【0029】
【化3】

【0030】
図1に略述した方法に起因して、多数の蛍光粒子が本明細書に記載されている。特に、多数の異なる蛍光粒子配置が、本方法の各処理工程の結果として提供される。例えば、1つ以上の蛍光物質を有する支持基質と、その支持基質の官能基を介して支持基質に結合されたペプチド基質とを含む粒子が提供される。幾つかの実施形態では、ペプチド基質は、特異的なキナーゼ活性のために、例えば、図1のブロック10を参照して記載される粒子のための特異的なキナーゼ活性のために、構成される。その他の場合、ペプチド基質は、リン酸化されたペプチド基質であってよく、それは、図1のブロック12を参照して記載されたリン酸化工程によってもたらされる。更に別の場合では、ペプチド基質は、図1のブロック14を参照して記載した処理工程の結果として、マイケル受容体を含んでもよい。更に、蛍光粒子は、図1のブロック16を参照して記載した処理工程の結果として、ペプチド基質に結合した蛍光レポーターを含んでもよい。蛍光レポーターとしては、ブロック16を参照して先に記載した実施形態をいずれも含むことができるが、簡潔にするために、ここでは反復しない。
【0031】
図1を参照して記載した方法及びその結果得られた粒子に加えて、図1を参照して記載した方法を行うための様々なキットも提供する。特に、複数の蛍光粒子と1つ以上のキナーゼ特異性ペプチド基質とを含むキットを提供する。複数の蛍光粒子はそれぞれ、第1波長域で蛍光を発光するように構成された1つ以上の蛍光物質を有する支持基質を含む。場合により、1つ以上のキナーゼ特異性ペプチド基質は、支持基質の官能基を介して支持基質に結合されている。具体的な実施形態では、1つ以上のキナーゼ特異性ペプチド基質はそれぞれ、複数の蛍光粒子の異なるサブセットに結合しいる。このようにして、多数の異なるキナーゼ活性を試料内で評価することができ、そしてそれ故に、キナーゼ活性の決定が多重化される。ただし、その他の場合には、1つ以上のキナーゼ特異性ペプチド基質は複数の蛍光粒子から単離される。かかる実施形態では、キットは、場合により、1つ以上のキナーゼ特異性ペプチド基質を支持基質の官能基に結合するように構成された試薬を更に含んでいてもよい。このように、キットは、図1のブロック10を参照して記載された特徴を有する粒子を製造するように構成される。
【0032】
場合により、キットはまた、1つ以上のキナーゼ特異性ペプチド基質をリン酸化するように構成されたリン酸化試薬を含むことで、図1のブロック12を参照して記載された特徴を有する粒子を製造することができる。更に、キットは、1つ以上のキナーゼ特異性ペプチド基質を脱リン酸化するように構成されたβ脱離試薬を含み、そして1つ以上のキナーゼ特異性ペプチド基質の脱リン酸化部位にマイケル受容体を発生させることで、図1のブロック14を参照して記載された特徴を有する粒子を製造することもできる。更になお、キットは、それぞれが求核性末端基と1つ以上の蛍光化合物とを有する1つ以上の蛍光レポーター試薬を含むことで、図1のブロック16を参照して記載された特徴を有する粒子を製造することもできる。蛍光レポーター試薬の蛍光化合物としては、ブロック16を参照して先に記載したいずれかの実施形態を挙げることができるが、簡潔にするためにここでは反復しない。前記構成要素に加えて、本明細書に記載のキットは、リン酸化試薬、β脱離試薬、及び1つ以上の蛍光レポーター試薬のうち少なくとも1つが、イオン性液体を含むように構成されてもよい。別法を挙げると、キットは、試薬のうちいずれか1つ又は複数をイオン性液体の存在下で又はイオン性液体がない場合に使用できるように構成されていてもよい。いずれの場合も、キットは、アッセイ準備用標準規格とみなされる他の要素を具備してもよく、例えば、蛍光ラベル、競争分子、対照材料、洗浄緩衝液、プラスチック製食器などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
先に記したように、多重化アッセイスキームを用いて試料内のキナーゼ活性を求めるための方法を、図2のフローチャートに略述する。図2に示すように、この方法はブロック20を含み、蛍光粒子の異なるサブセットの貯留集合体を試料に触れさせる。試料は、いかなる生物学的アッセイ又は化学アッセイを含んでもよく、これらは複数の分析物を分析するのに望ましい。貯留集合体内の蛍光粒子のうち少なくとも幾つかは、第1波長域で蛍光を発光するように構成された1つ以上の蛍光物質を有する支持基質と、その支持基質の官能基を介してその支持基質に結合されたペプチド基質とを含む。かかる粒子は、図1のブロック10を参照して記載された蛍光粒子と同一であってもよい。
【0034】
試料内の複数の分析物を検出及び/又は定量化する多重化スキームを促進するために、蛍光粒子は、識別可能な基となるように構成される。場合により、この基は、粒子に吸収された及び/又は粒子の表面に結合された蛍光物質の様々な種類及び/又は濃度で区別される。その結果、幾つかの実施形態では、貯留集合体内の蛍光粒子の異なるサブセットのうち少なくとも幾つかはそれぞれ、異なる構成の1つ以上の蛍光物質を含んいる。一例では、一連の粒子において10種の異なる濃度で2つの色素を用いることにより、100個の蛍光標識された認識可能な粒子分類がもたらされる。粒子分類の数は、色素の数及び/又は様々な色素強度を増強することによって増大する。多くの場合、幾つかの分析物、例えば、約100種以上の異なる分析物を分析するためのアッセイを構成し、その結果、試料を評価する際の時間と処理費用とを最小限にすることが有益である。粒子分類は、別の方法で、例えば粒径によって助長され、そしてその結果、図2を参照して記載した方法は、異なる構成の蛍光物質を有する粒子のサブセットを有することに必ずしも限定されないことに留意する。識別分類パラメータを有することに加えて、蛍光粒子の異なるサブセットのうち少なくとも幾つかはそれぞれ、場合により、異なるペプチド基質を含むこともある。このようにして、多数の異なるキナーゼ活性が試料内で評価される場合があり、そのため、キナーゼ活性の決定は、試料内での粒子の同定と同様に多重化されてもよい。
【0035】
ブロック22に続いて、本方法には、リン酸化プロセスに試料及び貯留集合体を付することが含まれており、このプロセスは、リン酸基をペプチド基質の受容残基(例えば、セリン残基、トレオニン残基、又はチロシン残基)に付加するように構成されている。かかるプロセスは、図1のブロック12を参照して記載したリン酸化プロセスと同様であってよく、そのため、簡潔にするためにそれを参照する。ブロック22は、ブロック12に記載したプロセスとは僅かに異なり、ここでは、試料と貯留集合体をリン酸化プロセスに付する。ペプチド基質がリン酸化されるか否かという問題は、試料の、キナーゼ活性を抑制又は促進する性質に依存する。特に、幾つかの実施形態では、ペプチド(peptide)は、試料内のキナーゼ抑制剤のために、ブロック22を参照して記載したプロセスではリン酸化されないことがあることに留意する。かかる場合には、図2に記載した方法を用いて、試料内にキナーゼ活性が極僅かであるか又は全く無いと決定してもよい。逆に、キナーゼ活性が試料内で抑制(あるいは促進)されない実施形態では、図2に記載した方法を用いて、キナーゼ活性程度を求めることができる。そのため、図2に略述した方法の処理工程は、図1の記載と同様の方法で蛍光粒子を処理するように構成されているが、図2の方法は、粒子が処理工程によって変質されないことがあるという点で僅かに異なる。むしろ、図2の方法は、単に、キナーゼ活性が存在する場合に粒子を変質するように構成された処理工程に粒子を付している。このように、本方法を用いて試料内のキナーゼ活性の程度を求めることができ、これに活性が全く無いか又は極僅か存在する実施形態が含まれる。図2のブロック24、26(以下に更に詳細に記載する)とブロック14、16との間の類似した差別化も同様に行ってよい。
【0036】
図2に示すように、試料内のキナーゼ活性を求めるための方法は、ブロック24に続いており、ここで、複数の蛍光粒子は、いずれかのリン酸化ペプチド基質が複数の蛍光粒子中に存在する場合に、リン酸化ペプチド基質が脱リン酸化され、そして分極化された二重結合がペプチド基質の脱リン酸化部位で生じるように処理される。かかるプロセスは、図1のブロック14を参照して記載したプロセスと同様であってよく、そのため、簡潔にするためにそれを参照する。加えて、本方法には、複数の蛍光粒子を更に処理するためのブロック26が含まれており、そうすることで、あらゆる分極した二重結合がペプチド基質の脱リン酸化部位に存在する場合に、蛍光レポーターが、前記分極した二重結合の位置で蛍光レポーターの求核性末端基を介して蛍光粒子と結合される。かかるプロセスは、図1のブロック16を参照して記載したプロセスと同様であってよく、そのため、簡潔にするためにそれを参照する。更に、ブロック16について記載した蛍光レポーターの異なる実施形態の記述内容も同様に、ブロック26のために参照してよい。場合により、ブロック26には、異なる蛍光レポーターを蛍光粒子の異なるサブセットに結合することが含まれる。かかる場合、異なる蛍光レポーターは、異なる波長域(すなわち、互いに区別できる波長域及び蛍光粒子の支持体構造に含まれる蛍光物質の波長域で蛍光を発光するように構成されてもよい。このように、異なる蛍光レポーターは、異なるキナーゼ活性を検出するように構成されてよく、そのため、キナーゼ活性検出はアッセイにおいて多重化されていてよい。
【0037】
本方法の更なる工程は、複数の蛍光粒子の蛍光発光が測定されるブロック28を含む。かかる測定プロセスは、いかなる既知の測定プロセスによって、例えば、フローサイトメトリー又は蛍光画像形成によって行われてもよい。本方法は更に、ブロック30を含み、ここでは、粒子分類が、蛍光粒子の支持体構造内に含まれる蛍光物質を特徴付けるような、測定された第1波長域の蛍光発光に基づいて決定される。より具体的には、粒子の支持体構造内の蛍光物質によって発光される蛍光から生じた出力信号を用いて、粒子を様々な分類群に分類してもよい。これに加えて、本方法には、測定された第2波長域の蛍光発光の有無に基づいて、試料と貯留集合体をブロック32で示されるようなリン酸化プロセスに付しているときに試料内でキナーゼ活性量を求めることが含まれる。特に、キナーゼ活性の存在はペプチド基質のリン酸化反応によって示唆され、そして本明細書に記載の方法は、予めリン酸化された部位に蛍光レポーターを配置することで、かかる活性を見分けることから、蛍光レポーターからの蛍光発光が、試料内のキナーゼ活性程度を表すことがある。逆に、キナーゼ活性が試料内で抑制される実施形態では、蛍光粒子中のペプチド基質のリン酸化反応が生じず、蛍光レポーターと蛍光粒子との結合も生じない。その結果、蛍光発光は、蛍光レポーターの波長域で検出されず、これにより、試料内のキナーゼ活性が極僅かであるか又は全く無いことが示される。
【0038】
本発明の様々な態様の更なる修正及び代替の実施形態は、当業者には、本明細書の記載内容を考慮すれば明らかである。例えば、方法、粒子、キットは、多重化スキームの試料中のキナーゼ活性の決定に関して詳述されているが、この方法、粒子、キットは、別法として、単一構成のスキームにおけるキナーゼ検出に使用されてもよい。従って、本明細書の記載内容は、単に例示として解釈されるべきであり、本発明の一般的な実施方法を当業者に教示することを目的としている。本明細書に示されかつ説明された本発明の形態は、本発明の好ましい実施形態と受けとめられるべきと解されるべきである。要素や材料は、本明細書に例示及び記載したもので置き換えられてよく、部品及びプロセスは入れ替えてよく、さらに本発明の特定の特徴は独立して利用することができ、その特徴はいずれも、本発明の本明細書の記載内容の利益を有することから、当業者には自明であろう。本明細書に記載した要素は、以下の特許請求の範囲に記載されているような本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】キナーゼ検出用の蛍光粒子を処理する方法のフローチャートを表す。
【図2】多重化アッセイスキームを用いて試料内のキナーゼ活性を求めるための方法のフローチャートを表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光粒子をアッセイに付するステップであって、前記蛍光粒子が、
1つ以上の蛍光物質を含む支持基質と、
前記支持基質の官能基を介して前記支持基質に結合したペプチド基質と
を含む、ステップと、
前記蛍光粒子をアッセイに付する前記ステップ中に前記ペプチド基質をリン酸化するステップと、
前記ペプチド基質が脱リン酸化され、そして分極した二重結合が脱リン酸化部位で生じるように、前記蛍光粒子を処理するステップと、
求核性末端基を含む蛍光レポーターを、前記分極した二重結合を介して前記蛍光粒子に結合するステップと
を含んで成る、方法。
【請求項2】
前記蛍光レポーターが、
蛍光化合物と、
前記求核性末端基と前記蛍光化合物との間に挟まれた1つ以上のスペーサー化合物と
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上のスペーサー化合物が全体で原子約1個〜原子約25個を含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記蛍光レポーターを前記蛍光粒子に結合する前記ステップが、前記支持基質の1つ以上の前記蛍光物質とは異なる波長域で蛍光を発光するように構成されている蛍光レポーターを結合することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記蛍光レポーターが、約500nmより長波長で蛍光を発光するように構成されている請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ペプチド基質をリン酸化する前記ステップが、前記蛍光粒子をマイクロ波によって加熱したイオン性液体に触れさせることを含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記蛍光粒子を処理する前記ステップが、前記蛍光粒子をイオン性液体に触れさせることを含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記蛍光粒子を処理する前記ステップが、前記蛍光粒子と前記イオン性液体とを加熱するマイクロ波を更に含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記蛍光レポーターを結合する前記ステップが、前記蛍光粒子をイオン性液体に触れさせることを含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記蛍光レポーターを結合する前記ステップが、前記蛍光粒子と前記イオン性液体とを加熱するマイクロ波を更に含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
1つ以上の蛍光物質を含む支持基質と、
前記支持基質の官能基を介して前記支持基質に結合されたキナーゼ特異性ペプチド基質と
を含む、粒子。
【請求項12】
前記キナーゼ特異性ペプチド基質が、リン酸化ペプチド基質である請求項11に記載の粒子。
【請求項13】
前記キナーゼ特異性ペプチド基質がマイケル受容体を含む請求項11に記載の粒子。
【請求項14】
蛍光レポーターを更に含み、前記蛍光レポーターが、その求核性末端基を介して前記キナーゼ特異性ペプチド基質に結合されている請求項11に記載の粒子。
【請求項15】
前記蛍光レポーターが、
蛍光化合物と、
前記求核性末端基と前記蛍光化合物との間に挟まれた1つ以上のスペーサー化合物と
を含む請求項14に記載の粒子。
【請求項16】
1つ以上の前記スペーサー化合物が全体で原子約1個〜原子約25個を含む請求項15に記載の粒子。
【請求項17】
1つ以上の前記スペーサー化合物が全体で原子約5個〜原子約25個を含む請求項15に記載の粒子。
【請求項18】
前記蛍光化合物が、前記支持基質の1つ以上の前記蛍光物質とは異なる波長域で蛍光を発光するように構成されている請求項15に記載の粒子。
【請求項19】
前記蛍光化合物が、約400nm〜約580nmの波長で蛍光を発光するように構成されている請求項18に記載の粒子。
【請求項20】
前記蛍光化合物が、約500nmよりも長波長で蛍光を発光するように構成されている請求項18に記載の粒子。
【請求項21】
前記蛍光化合物が、親水性蛍光化合物を含む請求項15に記載の粒子。
【請求項22】
前記支持基質が、架橋された支持基質である請求項11に記載の粒子。
【請求項23】
蛍光粒子の異なるサブセットの貯留集合体を試料に触れさせるステップであって、前記蛍光粒子の少なくともいくつかが、
第1波長域で蛍光を発光するように構成された1つ以上の蛍光物質を含む支持基質であって、前記蛍光粒子の異なるサブセットのうち少なくともいくつかがそれぞれ、1つ以上の前記蛍光物質の異なる配置を含むものと、
前記支持基質の官能基を介して前記支持基質に結合されたペプチド基質であって、前記蛍光粒子の異なるサブセットのうち少なくともいくつかがそれぞれ異なるペプチド基質を含むものと
を含む、ステップと、
前記試料及び前記貯留集合体を、前記ペプチド基質の受容残基にホスフェート基を付加するように構成されたリン酸化プロセスに付するステップと、
前記試料及び前記貯留集合体を前記リン酸化プロセスに付した後で、リン酸化ペプチド基質が複数の蛍光粒子中に存在する場合に、リン酸化ペプチド基質が脱リン酸化され、そして分極した二重結合が前記ペプチド基質の脱リン酸化部位で生じるように、複数の前記蛍光粒子を処理するステップと、
複数の前記蛍光粒子を更に処理するステップであって、そうすることで、前記分極した二重結合がペプチド基質の脱リン酸化部位に存在する場合に、蛍光レポーターが、前記蛍光レポーターの求核性末端基を介して前記分極した二重結合の位置で前記蛍光粒子に結合され、この場合、前記蛍光レポーターが前記第1波長域とは異なる第2波長域で蛍光を発光するように構成されている、ステップと、
複数の前記蛍光粒子を更に処理した後で、複数の前記蛍光粒子の蛍光発光を測定するステップと、
測定された前記第1波長域の蛍光発光に基づいて、前記試料内の前記粒子のサブセット分類を同定するステップと、
測定された前記第2波長域の蛍光発光の有無に基づいて、前記試料及び貯留集合体をリン酸化プロセスに付するときに前記試料内のキナーゼ活性量を求めるステップと、
を含んで成る、方法。
【請求項24】
前記粒子のサブセット分類を同定する前記ステップが、約100個より多くのサブセット分類の同一性を決定することを含む請求項23に記載の方法。
【請求項25】
複数の前記蛍光粒子を更に処理する前記ステップが、
第1の蛍光レポーターを、複数の前記蛍光粒子の第1サブセット内の蛍光粒子と結合すること、及び
別の蛍光レポーターを、複数の前記蛍光粒子の第2サブセット内の蛍光粒子と結合することであって、ここで、前記別の蛍光レポーターは、第1蛍光レポーターが発光するように構成された波長域とは異なる波長域で蛍光を発光するように構成されていること
を含んで成る請求項23に記載の方法。
【請求項26】
それぞれが、第1波長域で蛍光を発光するように構成された1つ以上の蛍光物質を有する支持基質を含む複数の蛍光粒子と、
前記支持基質の官能基を介して複数の前記蛍光粒子のうち少なくともいくつかに結合された1つ以上のキナーゼ特異性ペプチド基質と
を含む、キット。
【請求項27】
1つ以上の前記キナーゼ特異性ペプチド基質がそれぞれ、前記複数の蛍光粒子の異なるサブセットと結合している請求項26に記載のキット。
【請求項28】
1つ以上の前記キナーゼ特異性ペプチド基質をリン酸化するように構成されたリン酸化試薬と、
1つ以上の前記キナーゼ特異性ペプチド基質が脱リン酸化され、1つ以上の前記キナーゼ特異性ペプチド基質の前記脱リン酸化部位にマイケル受容体が生じるように構成されたβ脱離試薬と、
求核性末端基と、前記第1波長域とは異なる第2波長域で蛍光を発光するように構成された1つ以上の蛍光化合物とをそれぞれ有する1つ以上の蛍光レポーター試薬と
を更に含む請求項26に記載のキット。
【請求項29】
前記リン酸化試薬、前記β脱離試薬、及び1つ以上の前記蛍光レポーター試薬のうち少なくとも1つが、イオン性液体を含む請求項28に記載のキット。
【請求項30】
1つ以上の前記蛍光レポーター試薬のうち少なくとも1つが、親水性蛍光化合物を含む請求項28に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−533073(P2009−533073A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−506719(P2009−506719)
【出願日】平成19年4月17日(2007.4.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/066781
【国際公開番号】WO2007/121436
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(504187249)ルミネックス・コーポレーション (21)
【Fターム(参考)】