説明

キャップドライバ

【課題】バルブから取り外したバルブキャップが内部に詰まってしまった場合でも、容易に取り出すことができるキャップドライバを提供する。
【解決手段】キャップドライバは、係合対象であるバルブキャップに被せて該バルブキャップの外周部に係合することにより、該バルブキャップに回転トルクを付与可能とする。キャップドライバは、前記バルブキャップへの被せ方向における先端側から後端側へかけて徐々に内径が狭まるテーパ形状である内周面180を有する円筒状部材1を備え、前記円筒状部材の壁面には、前記被せ方向に延びるスリット190が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバルブ等のバルブキャップの脱着に用いられるキャップドライバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エアバルブ等のバルブキャップを締め付けたり緩めたりする作業に用いられるキャップドライバが提供されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような従来のキャップドライバでは、バルブから取り外したバルブキャップが内部に詰まってしまうおそれがあった。
【0004】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、バルブから取り外したバルブキャップが内部に詰まってしまった場合でも、容易に取り出すことができるキャップドライバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、係合対象であるバルブキャップに被せて該バルブキャップの外周部に係合することにより、該バルブキャップに回転トルクを付与可能とするキャップドライバであって、前記バルブキャップへの被せ方向における先端側から後端側へかけて徐々に内径が狭まるテーパ形状である内周面を有する円筒状部材を備え、前記円筒状部材の壁面には、前記被せ方向に延びるスリットが形成されているキャップドライバに関する。
【0006】
また、本発明の一態様は、前記スリットは、前記内周面の前記被せ方向後端よりも、前記被せ方向後端側に延びているキャップドライバに関する。
【0007】
また、本発明の一態様は、前記スリットは、前記円筒状部材の壁面に、前記円筒状部材の中心軸を中心として線対称になるように形成されているキャップドライバに関する。
【0008】
また、本発明の一態様は、前記円筒状部材の内周面は、前記被せ方向において、互いに勾配が異なる複数区間のテーパ面に区分され、前記テーパ面のうち、前記被せ方向における最も先端側のテーパ面上には、前記バルブキャップの外周部に係合可能な係合部が形成され、前記係合部は、前記被せ方向に延びる複数の溝から構成されているキャップドライバに関する。
【0009】
また、本発明の一態様は、前記被せ方向は、前記円筒状部材の中心軸に沿った方向であるキャップドライバに関する。
【0010】
また、本発明の一態様は、前記スリットの前記被せ方向後端側端面は、前記円筒状部材にて係合可能な最小外径のバルブキャップと係合した状態における、該バルブキャップの前記被せ方向後端側端面よりも前記被せ方向後端側に位置するキャップドライバに関する。
【0011】
エアバルブ等のバルブキャップは、例えば金属製もしくは樹脂製の袋ナット等から構成されている。市場で利用されているバルブキャップの形状は多種多様であり、バルブに対する外径が大きいものや、バルブに対して比較的細長い形状のものもある。また、その外形も6角ナットとなっているもの、12角ナットとなっているもの、など多岐に亘る。しかし、従来では、1つのキャップドライバで対応できるバルブキャップの種類は多くて2つ程度であるのが通常であり、車両整備業務などのように非常に多くの種類のキャップドライバを取り扱わなければならない場面では、取り扱うバルブキャップの種類に応じた本数のキャップドライバを用意しておかなければならかった。
【0012】
上記課題を解決するための一態様は、係合対象であるバルブキャップに被せて該バルブキャップの外周部に係合することにより、該バルブキャップに回転トルクを付与可能とするキャップドライバであって、前記バルブキャップへの被せ方向における先端側から後端側へかけて徐々に内径が狭まるテーパ形状である内周面を有する円筒状部材と、
前記円筒状部材の前記バルブキャップへの被せ方向における後側端部から延出し、前記円筒状部材を支持する支持部材と、を備え、前記円筒状部材は、テーパ形状である前記内周面上に、第1の係合対象である第1のバルブキャップの外周部に係合可能な第1の係合部と、前記第1の係合部よりも前記円筒状部材の後端寄りに位置し、前記第1のバルブキャップよりも外径が小さい第2の係合対象である第2のバルブキャップの外周部に係合可能な第2の係合部と、が形成されているキャップドライバに関する。
【0013】
また、該一態様は、前記円筒状部材は、前記被せ方向に延びるスリットが形成されているキャップドライバに関する。
【0014】
また、該一態様は、前記スリットは、前記円筒状部材の壁面に、前記円筒状部材の中心軸を中心として線対称になるように形成されているキャップドライバに関する。
【0015】
また、該一態様は、前記スリットの前記被せ方向後端側端面は、前記円筒状部材にて係合可能な最小外径のバルブキャップと係合した状態における、該バルブキャップの前記被せ方向後端側端面よりも前記被せ方向後端側に位置するキャップドライバに関する

【0016】
また、該一態様は、前記第1の係合部および前記第2の係合部は、多角形の外周面をもつバルブキャップの該外周面の複数の角部に係合する複数のV溝から構成されており、前記第1の係合部を構成する複数のV溝の少なくともいずれかの溝底部の谷線と前記第2の係合部を構成する複数のV溝の少なくともいずれかの溝底部の谷線は、前記円筒状部材の中心軸に対する角度位置が一致しているキャップドライバに関する。
【0017】
また、該一態様は、前記第1の係合部と前記第2の係合部とは、前記被せ方向において隣接しているキャップドライバに関する。
【0018】
該一態様によれば1つのキャップドライバで、多様な形状のバルブキャップの脱着を実現することのできるキャップドライバを提供することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上に詳述したように、本発明によればバルブから取り外したバルブキャップが内部に詰まってしまった場合でも、容易に取り出すことができるキャップドライバを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施の形態によるキャップドライバの全体構成を示す全体概観図である。
【図2】キャップドライバを構成する円筒状部材1のX−Z平面での断面図である。
【図3】キャップドライバを構成する円筒状部材1のX−Y平面での切断面の斜視図である。
【図4】キャップドライバを構成する円筒状部材1のX−Z平面での切断面の斜視図である。
【図5】図2に示す円筒状部材1のA方向矢視図である。
【図6】図2に示す円筒状部材1のB−B’断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態によるキャップドライバの全体構成を示す全体概観図である。本実施の形態によるキャップドライバは、係合対象であるバルブキャップに円筒状部材を被せて該バルブキャップの外周部に係合(もしくは嵌合)することにより、当該バルブキャップに回転トルクを付与可能とするものである。
【0023】
本実施の形態によるキャップドライバは、円筒状部材1と、支持部材2と、グリップ3と、を備えている。
【0024】
円筒状部材1は、例えば弾性変形可能な樹脂材料等から形成されることができる。トラック等の大型車両等に採用される所謂「ダブルタイヤ」のエアバルブは、車軸に装着された状態においてユーザの手が届きにくい奥まった場所にあることが多い。弾性変形可能な材料により円筒状部材1を構成する本実施の形態によるキャップドライバによれば、エアバルブから取り外したバルブキャップを円筒状部材1の内部に弾性的に挟み込んだ状態で保持し、落下させることなくユーザの手元まで運ぶことができる。
【0025】
また、円筒状部材1を弾性変形可能とすることにより、円筒状部材1の成形時における加工誤差等を厳密に考慮せずとも、円筒状部材1の内周面をバルブキャップの外形に係合(嵌合)させることができる。すなわち、寸法公差を厳しく設定する必要がないため、製造コストの低減にも寄与することができる。
【0026】
支持部材2は、ユーザがグリップ3を握ってバルブキャップの脱着を行う際に、円筒状部材1を安定的に支持することのできる強度を有する棒状部材であり、例えば鉄、ステンレス、アルミ等から形成されることができる。
【0027】
本実施の形態では、一例として、支持部材2の一端に円筒状部材1を設ける構成を示すが、これに限られるものではなく、例えば、支持部材2の両端に円筒状部材を設けたり、円筒状部材のみの構成としたりすることもできることは言うまでもない。
【0028】
ユーザは、グリップ3もしくは支持部2を握り、円筒状部材1を係合対象であるバルブキャップに被せ方向(図1や図2等を参照)から被せることにより、円筒状部材1の内周面をバルブキャップに係合もしくは嵌合させ、当該バルブキャップのエアバルブからの脱着を可能にする。
【0029】
続いて、本実施の形態によるキャップドライバにおける円筒状部材1の構成について詳細に説明する。図2は、キャップドライバを構成する円筒状部材1のX−Z平面での断面図である。図3は、キャップドライバを構成する円筒状部材1のX−Y平面での切断面の斜視図である。図4は、キャップドライバを構成する円筒状部材1のX−Z平面での切断面の斜視図である。図5は、図2に示す円筒状部材1のA方向矢視図である。図6は、図2に示す円筒状部材1のB−B’断面図である。なお、図2〜図6では、説明の便宜上、支持部2およびグリップ3の図示は省略している。実際には、円筒状部材1の後端側には、支持部材2が深さ20mmだけ埋め込まれている。
【0030】
円筒状部材1は、内周面180を有している。内周面180は、その少なくとも一部が、バルブキャップへの被せ方向における先端側から後端側へかけて徐々に内径が狭まるテーパ形状となっている。
【0031】
具体的に、円筒状部材1の内周面180は、被せ方向での先端側から後端側へかけて互いに異なる5つの勾配の区間T1〜T5に区分されている(図2を参照)。なお、区間T5は、中心軸に対する傾斜のないストレートの内周面となっている。また、円筒状部材1の外周面上にはロゴLが浮き彫り状に形成されている(図3を参照)。
【0032】
支持部材2は、円筒状部材1のバルブキャップへの被せ方向における後側端部から延出し、円筒状部材1を支持する。
【0033】
円筒状部材1は、テーパ形状である内周面180上に、第1の係合対象である第1のバルブキャップの外周部に係合可能な第1の係合部と、第1のバルブキャップよりも外径が小さい第2の係合対象である第2のバルブキャップの外周部に係合可能な第2の係合部と、第2のバルブキャップよりも外径が小さい第3の係合対象である第3のバルブキャップの外周部に係合可能な第3の係合部と、が形成されている。
【0034】
第1の係合部は、円筒状部材1の内周面180の区間T1に形成されている。第2の係合部は、円筒状部材1の内周面180の区間T2に形成されている。第3の係合部は、円筒状部材1の内周面180の区間T4および区間T5にまたがって形成されている。
【0035】
なお、本実施の形態では、円筒状部材1の内周面に第1〜第3の係合部が形成されている場合を例に挙げたが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、4つ以上の係合部を円筒状部材1の内周に設けてもよい。
【0036】
第2の係合部は第1の係合部よりも円筒状部材1の後端寄りに位置しており、第3の係合部は第2の係合部よりも円筒状部材1の後端寄りに位置している。
【0037】
第1の係合部は、6角形の外周面をもつバルブキャップの該外周面の6つの角部に係合する複数のV溝111〜116から構成されている。第2の係合部は、6角形の外周面をもつバルブキャップの該外周面の6つの角部に係合する複数のV溝121〜126から構成されている。また、第3の係合部は、12角形の外周面をもつバルブキャップの該外周面の12個の角部に係合する複数のV溝1301〜1312から構成されている。
【0038】
具体的に、複数のV溝111〜116が形成されている位置における円筒状部材1の内周面の内径R1は例えば約11mmであり、複数のV溝121〜126が形成されている位置における円筒状部材1の内周面の内径R2は例えば約10.4mmであり、複数のV溝1301〜1312が形成されている位置における円筒状部材1の内周面の内径R3は例えば約8.4mmである(例えば、図5を参照)。
【0039】
このように、円筒状部材1の内周面180に被せ方向において複数位置で異なる外径のバルブキャップと係合可能とすることにより、1つのキャップドライバで外径が異なる複数種類のバルブキャップの脱着を行うことができる。
【0040】
また、円筒状部材1の内周面180を互いに勾配が異なる4種類のテーパ面(区間T1〜T4に相当)の組み合わせとしたことにより、それぞれのテーパ面の勾配に適した外形を有するバルブキャップの脱着を行うことができる。特に、区間T1〜区間T4のように勾配を有するテーパ面は、その内径が被せ方向において連続的に変化してゆく。すなわち、区間T1〜区間T4の内周面は、区間T1の最も内径が大きい位置から区間T4の内径が最も小さい位置までの間に存在する全ての内径に対応するバルブキャップと嵌合可能であることを意味する。
【0041】
もちろん、バルブキャップに加えるトルクやバルブキャップの保持性能を考慮すると、区間T1〜区間T4の範囲における各テーパ面のいずれかの部分とバルブキャップとを嵌合させる際には、テーパ面とバルブキャップの外周面との接触面積はできるだけ広いことが望ましい。したがって、区間T1〜区間T5それぞれの勾配を決定する際には、係合対象(もしくは嵌合対象)として想定する複数種類のバルブキャップの内径、外形、被せ方向におけるサイズおよび外周面に形成されている凹凸等を考慮して、区間T1〜区間T5それぞれにて最適な保持力を実現できる値(各区間T1〜T5の内径、各区間T1〜T5のテーパ角、各区間T1〜T5の長さ、各区間T1〜T5に形成する溝の形状など)の組み合わせを決定する。
【0042】
また、バルブキャップはすべてがナットのように多角形の外形を有している訳ではなく、単にすべり止め用の溝がついているだけの円形に近い外形を有するものもある。本実施の形態によるキャップドライバであれば、このように多角形の外形を有しないバルブキャップに対しても、円筒状部材の内周面180におけるテーパ面部分(係合部が形成されている位置でのテーパ面も含む)を用いて嵌合することができる。
【0043】
また、円筒状部材1は、「被せ方向(X軸方向)」に延びるスリット190が形成されている。
【0044】
このように、円筒状部材1の円筒部分の側壁にスリット190を形成することにより、バルブから取り外したバルブキャップが円筒状部材1内部に詰まってしまった場合でも、当該スリット190にドライバ等を挿し込むことで容易に取り出すことができる。
【0045】
また、スリット190が形成されていることで、円筒状部材1が変形しやすくなる。したがって、係合対象であるバルブキャップの外形に応じて円筒状部材1を柔軟に変形させることができ、どのような形状のバルブキャップに被せた場合でも、キャップドライバとバルブキャップとの間で良好な係合(もしくは嵌合)状態を実現することができる。また、エアバルブから取り外したバルブキャップを落下させることなく運ぶための保持機能の向上にも寄与することができる。
【0046】
スリット190は、円筒状部材1の壁面に、円筒状部材1の中心軸(例えば、図2に示す、X軸と平行な一点鎖線を参照)を中心として線対称になるように形成されている(例えば、図2および図6を参照)。
【0047】
このように、円筒状部材1に形成するスリット190を、円筒状部材の中心に対して線対称とすることにより、円筒状部材1に対するスリット190の形成が容易となる。また、スリット190に棒やドライバ等を挿し込んで円筒状部材1内に詰まったバルブキャップ取り出す際にも、ドライバ等を円筒状部材1を貫通するように2つのスリット孔に挿し通した状態でバルブキャップに力を加えることができるため、バルブキャップをより確実に取り出すことができる。
【0048】
スリット190の被せ方向後端側の端面(スリット端面)190tは、円筒状部材1にて係合可能な最小外径のバルブキャップと係合した状態における、当該バルブキャップの被せ方向後端側端面よりも被せ方向後端側に位置する(図3を参照)。
【0049】
これによれば、適用可能な最小の外径を有するバルブキャップと係合した状態において、当該バルブキャップが円筒状部材1内に詰まってしまった場合でも、スリット190のバルブキャップよりも被せ方向後端寄りの位置にドライバ等を確実に挿し込むことができる。したがって、小さいバルブキャップが円筒状部材1内の奥に詰まってしまって取り出せなくなってしまうといったことが生じない。
【0050】
第1の係合部を構成する複数のV溝111〜116の溝底部の谷線(例えば、V溝111の溝底部の谷線111V)と第2の係合部を構成する複数のV溝121〜126の溝底部の谷線(例えば、V溝121の溝底部の谷線121V)は、円筒状部材の中心軸に対する角度位置が一致している(例えば、図2および図5を参照)。
【0051】
このように、第1の係合部のV溝の谷線と第2の係合部のV溝の谷線の角度位置を一致させることにより、第2の係合部に係合させたい多角形のバルブキャップの角部を円筒状部材1先端側から進入させる際に、第1の係合部によってバルブキャップの角部をガイドして第2の係合部を構成するいずれかのV溝と一致させることができる。これにより、円筒状部材内周面の奥側に位置する係合部に対して、バルブキャップの角部の位置合わせを容易に行うことができ、バルブキャップと係合部とを容易に係合させることができる。
【0052】
なお、本実施の形態では、第1の係合部を構成する複数のV溝111〜116全ての溝底部の谷線(例えば、V溝111の溝底部の谷線111V)と第2の係合部を構成する複数のV溝121〜126全ての溝底部の谷線(例えば、V溝121の溝底部の谷線121V)とが、円筒状部材の中心軸に対する角度位置が一致している構成を例示したが、例えば、それぞれの係合部にて係合するバルブキャップの外形が6角形と12角形などのように外形が異なる場合、少なくともいずれかの谷線の角度位置が一致していればよい。
【0053】
なお、第1の係合部と第2の係合部とは、被せ方向において隣接していることが好ましい。これにより、第1の係合部によりガイドされて円筒状部材1内部の奥側へ進入するバルブキャップの角部を、そのまま第2の係合部に受け渡すことができ、バルブキャップの第2の係合部への係合をスムーズに実現することができる。
【0054】
また、上述の実施の形態では、円筒状部材1の内周面180のテーパ角が、被せ方向における先端側から後端側にわたって徐々に緩やかになってゆく構成、

区間T1のテーパ角>区間T2のテーパ角>区間T3のテーパ角>区間T4のテーパ角>区間T5のテーパ角

となっているが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、区間T1が円筒状部材の中心軸に対する勾配を有し、区間T2が中心軸に対して勾配を有さないストレート形状であり、区間T3〜区間T5が円筒状部材の中心軸に対して勾配を有するといった構成とすることもできる。
【0055】
タイヤのエアバルブ等が、ホイール等から突き出している突き出し量にはある程度の限度があり、円筒状部材の内周面におけるバルブキャップとの係合(嵌合)位置があまりに深いと、バルブキャップが係合位置まで届かないといった事態が生じ得る。一方、本実施の形態によるキャップドライバによれば、円筒状部材1の内周面にテーパ面を設けたため、被せ方向における比較的短い区間内で、区間T1の最も内径が大きい位置から区間T5の内径が最も小さい位置までの間に存在する全ての内径に対応するバルブキャップとの係合(嵌合)を実現することができる。
【0056】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、すべて本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0057】
111〜116 第1の係合部
121〜126 第2の係合部
1301〜1312 第3の係合部
1 円筒状部材
2 支持軸
3 グリップ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
係合対象であるバルブキャップに被せて該バルブキャップの外周部に係合することにより、該バルブキャップに回転トルクを付与可能とするキャップドライバであって、
前記バルブキャップへの被せ方向における先端側から後端側へかけて徐々に内径が狭まるテーパ形状である内周面を有する円筒状部材を備え、
前記円筒状部材の壁面には、前記被せ方向に延びるスリットが形成されているキャップドライバ。
【請求項2】
請求項1に記載のキャップドライバにおいて、
前記スリットは、前記内周面の前記被せ方向後端よりも、前記被せ方向後端側に延びているキャップドライバ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のキャップドライバにおいて、
前記スリットは、前記円筒状部材の壁面に、前記円筒状部材の中心軸を中心として線対称になるように形成されているキャップドライバ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のキャップドライバにおいて、
前記円筒状部材の内周面は、前記被せ方向において、互いに勾配が異なる複数区間のテーパ面に区分され、前記テーパ面のうち、前記被せ方向における最も先端側のテーパ面上には、前記バルブキャップの外周部に係合可能な係合部が形成され、前記係合部は、前記被せ方向に延びる複数の溝から構成されているキャップドライバ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のキャップドライバにおいて、前記被せ方向は、前記円筒状部材の中心軸に沿った方向であるキャップドライバ。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のキャップドライバにおいて、
前記スリットの前記被せ方向後端側端面は、前記円筒状部材にて係合可能な最小外径のバルブキャップと係合した状態における、該バルブキャップの前記被せ方向後端側端面よりも前記被せ方向後端側に位置するキャップドライバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−67008(P2013−67008A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−6166(P2013−6166)
【出願日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【分割の表示】特願2010−110587(P2010−110587)の分割
【原出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(311004865)旭産業株式会社 (4)