キャップ付き容器
【課題】子供にとって開蓋の方法がわかりにくく、しかも、構造が簡単で、損傷したり、破損したりしにくく、小形化を図ることのできるキャップ付き容器を提供する。
【解決手段】容器1と、この容器1の口部4に螺着されるキャップ11と、このキャップ11に外嵌した状態で上下に移動自在に設けられる外リング21を備え、口部4の外周面に第1ねじ部5が刻設され、その下側に凸部6が形成され、キャップ11の内周面に第2ねじ部12が刻設され、外周面に凸条13が形成され、外リング21の内周面に、キャップ11の凸条13に係合してキャップ11の周方向への相対回転不能にする凹溝23が形成され、その下側に、閉蓋状態で口部4の凸部6に係合しこの係合により口部4の周方向への相対回転不能にさせるとともに外リング21を上昇させて上記係合を外すことにより外リング21の回転にキャップ11をつれ回り可能にする凹部25が形成されている。
【解決手段】容器1と、この容器1の口部4に螺着されるキャップ11と、このキャップ11に外嵌した状態で上下に移動自在に設けられる外リング21を備え、口部4の外周面に第1ねじ部5が刻設され、その下側に凸部6が形成され、キャップ11の内周面に第2ねじ部12が刻設され、外周面に凸条13が形成され、外リング21の内周面に、キャップ11の凸条13に係合してキャップ11の周方向への相対回転不能にする凹溝23が形成され、その下側に、閉蓋状態で口部4の凸部6に係合しこの係合により口部4の周方向への相対回転不能にさせるとともに外リング21を上昇させて上記係合を外すことにより外リング21の回転にキャップ11をつれ回り可能にする凹部25が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、子供が誤ってキャップを開け、容器内に収容された薬液等の内容物を飲んでしまうという事故等を防ぐようにした誤飲防止用のキャップ付き容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種の液体,錠剤等を収容する容器と、この容器の口部にねじ止めされるキャップとからなるキャップ付き容器が多く出回っているが、このものは、容器の口部にキャップをねじ止めしているだけであるため、子供でも簡単に開蓋することができる。したがって、容器内に人体に有害な薬液等が収容されている場合にも、子供が誤って開蓋して容器内の薬液等を飲んでしまうという事故等が発生する恐れがある。
【0003】
そこで、このような事故等を防ぐため、例えば、図11に示すような容器の安全キャップが提案されている。この安全キャップは、外キャップ41と、この外キャップ41内に回転自在および上下動自在に収容される内キャップ42とを備えており、上記外キャップ41の上壁41aの外周縁部に6個の突子43を突設するとともに、内周部にラチェット機構44の一方を構成する4個の固定爪45を突設し、上記内キャップ42の円筒体42aの上端面に6個のキー46を突設するとともに、中壁42bに、ラチェット機構44の他方を構成する4個の制止爪47を突設している。また、これら各制止爪47は、下方への押圧力を与えると深く屈曲しその押圧力を解除すると元の状態に復帰する弾力を備えている。
【0004】
そして、上記の安全キャップで容器口を閉蓋する場合には、通常どおり、外キャップ41を時計回り方向に回転する。このとき、上記ラチェット機構44の固定爪45とキー46との噛み合いにより、内外両キャップ41,42が一体化されており、容器口に内キャップ42をねじ止めすることができる。一方、開蓋する場合には、単に外キャップ41を反時計回り方向に回転してもラチェット機構44により空回りするだけであるため、外キャップ41を下側に押し付けて突子43とキー46とを係合させ、この係合により内外両キャップ41,42を一体化したのち外キャップ41を反時計回り方向に回転することを行う(例えば、特許文献1参照)。図において、48は上記容器口の雄ねじ(図示せず)に螺合する雌ねじで、49はパッキングである。
【特許文献1】特開平10−152155号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の安全キャップでは、外キャップ41に6個の突子43と、ラチェット機構44の一方を構成する4個の固定爪45を突設し、内キャップ42に、6個のキー46と、ラチェット機構44の他方を構成する4個の制止爪47を突設しているため、構造が複雑であり、製造コストが高価になる。しかも、上記のとおり、ラチェット機構44が複雑であるため、開蓋操作中に、ラチェット機構44を構成する固定爪45,制止爪47に押圧力が作用すると、固定爪45,制止爪47(特に、上記押圧力により深く屈曲する制止爪47)が損傷したり、破損したりしやすい。しかも、外キャップ41の上壁41aと内キャップ42の中壁42bとの間に、突子43,キー46やラチェット機構44を設けているいるため、上記の安全キャップの高さが高くなり、その分容器全体として大形化する。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、子供にとって開蓋の方法がわかりにくく、しかも、構造が簡単で、損傷したり、破損したりしにくく、小形化を図ることのできるキャップ付き容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明のキャップ付き容器は、容器と、この容器の口部に螺着されるキャップと、このキャップに外嵌した状態で上下に移動自在に設けられる環状体とを備え、上記口部の外周面に第1ねじ部が刻設されているとともに、その下側に第1係合部が形成され、上記キャップの内周面に、第1ねじ部に螺合する第2ねじ部が刻設されているとともに、外周面に第2係合部が形成され、上記環状体の内周面に、キャップの内周面の第2係合部に係合してキャップの周方向への相対回転不能にする第3係合部が形成されているとともに、その下側に、閉蓋状態で口部の外周面の第1係合部に係合しこの係合により口部の周方向への相対回転不能にさせるとともに環状体を上昇させて上記第1係合部との係合を外すことにより環状体の回転にキャップをつれ回り可能にする第4係合部が形成されているという構成をとる。
【発明の効果】
【0008】
すなわち、本発明のキャップ付き容器は、閉蓋状態では、容器の口部にキャップが螺着されており、上記口部の外周面の第1係合部に、上記キャップに外嵌した状態で上下に移動自在に設けられる環状体の内周面の第4係合部が、上記口部の周方向に相対回転不能に係合している。このような閉蓋状態から開蓋状態に移行させる場合には、上記環状体を上昇させて上記両係合部の係合を外し、この状態で上記環状体を開蓋方向に回転させることを行う。これにより、上記環状体の回転にキャップがつれ回りし、このキャップが上記口部に螺着されているため上記口部に沿って上昇し上記口部から取り外される。一方、閉蓋する場合には、上記開蓋作業と逆の手順を行う。
【0009】
上記のように、本発明のキャップ付き容器では、開蓋する場合には、環状体を上昇させたのち所定の方向に回転させなければならず、子供にとって開蓋の方法がわかりにくい。そして、本発明の上記構造では、キャップ,環状体にはねじ部以外に、ローレット等の第2係合部,第3係合部が形成され、環状体の内周面に、口部の外周面の第1係合部との係合により口部の周方向への相対回転不能にさせる第4係合部が形成されているだけであり、構造が簡単で、製造コストが安価になる。しかも、開蓋操作は、環状体をキャップに沿って上昇させキャップの周方向に回転させるだけで行えるため、環状体やキャップに無理な外力が作用せず、損傷したり、破損したりすることがない。しかも、上記キャップに環状体を外嵌しているだけであるため、上記キャップの高さを高くする必要がなく、容器全体として小形化できる。
【0010】
また、上記キャップの外周面に第2係合部として複数本の凹溝が縦向きに形成され、上記環状体の内周面に第3係合部として、上記各凹溝にキャップの周方向への相対回転不能に係合しかつ上記各凹溝に上下に摺動自在に係合する複数本の凸条が縦向きに形成されている場合には、上記キャップの外周面に複数本の凹溝を縦向きに形成し、上記環状体の内周面に、上記各凹溝に係合する複数本の凸条を縦向きに形成するという簡単な構造で、キャップに環状体をキャップの周方向に相対回転不能にかつキャップに沿って上下に移動自在に取り付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
つぎに、本発明を実施するための最良の形態について説明する。ただし、本発明は、この実施の形態に限られるものではない。
【0012】
図1および図2は本発明のキャップ付き容器の一実施の形態を示している。これらの図において、1は合成樹脂製の容器であり、内部に薬液等の内容物(図示せず)を収容する胴部2と、この胴部2の上端開口部から上方に向かって縮径状に延びる肩部3と、この肩部3の上端開口部から上方に向かって略円筒状に延びる口部4とを備えている。
【0013】
この口部4には、図3に示すように、その外周面に第1ねじ部5が刻設されており、その下端部の一部(この実施の形態では、右側部)には、後述する外リング21の凹部25(図7参照)に上下方向に摺動自在に係合しかつ外リング21の周方向に相対回転不能に係合する凸部(第1係合部)6が突設されている(図4参照)。
【0014】
11は合成樹脂製のキャップ(図1参照)であり、略有天円筒状に形成されている。このキャップ11には、その内周面に、上記第1ねじ部5に螺合する第2ねじ部12(図5参照)が刻設されている。また、上記キャップ11には、その外周面の、相対向する両側部(この実施の形態では、左右両側部)にそれぞれ、上記外リング21の各凹溝23(図7参照)に上下方向に摺動自在に係合しかつ外リング21の周方向に相対回転不能に係合する3本の凸条(第2係合部)13(図6参照)が上下に一直線状に形成されている。すなわち、上記各凸条13と各凹溝23とでローレット構造が形成されており、その噛み合いにより上記各凸条13と各凹溝23とが上下方向に摺動する場合に摩擦抵抗が生じ、簡単に(小さな力で)上下動させることができないようになっている。また、上記キャップ11の外周面の下端部には、閉蓋状態で上記外リング21の上側凸条22を当接状に支受する円環状ストッパー14が突設されている(図2参照)。また、上記キャップ11の天井壁11aの下面に凹部11bが形成されており、この凹部11bに、上記口部4の上面開口部を密封状に塞ぐシリコンゴム製の弾性シール材15(ゴム硬度がショアA硬さで40〜90度の範囲内にある)が接着固定され収容されている。
【0015】
図1において、21はキャップ11に外嵌状に固定される合成樹脂製の外リング(環状体)であり、図7〜図9に示すように、その内周面の中間高さ部に上側凸条22が円環状に突設され、その上側部分の、上記各凸条13に対応する部分(この実施の形態では、左右両側部)にそれぞれ、上記各凸条13に上下方向に摺動自在に係合しかつキャップ11の周方向に相対回転不能に係合する凹溝(第3係合部)23が形成されている。また、上記外リング21の内周面の下端部に下側凸条24が円環状に突設されており、その一部(上記口部4の凸部6に対応する部分)に、これを上下に貫通する状態で、上記口部4の凸部6に上下方向に摺動自在に係合する凹部(第4係合部)25が形成されている。
【0016】
上記の構成において、容器1の口部4にキャップ11を閉蓋した状態では、上記両ねじ部5,12は螺合しており、かつ、容器1の口部4の凸部6に、キャップ11に(その周方向に相対回転不能でかつ上下動自在に)固定される外リング21の凹部25が係合しており(図2参照)、これにより、外リング21が口部4に対してその周方向に相対回転不能になっている。
【0017】
この閉蓋状態からキャップ11を開蓋する場合には、図2の状態から図10に示すように、上記ローレット構造を構成する各凸条13と各凹溝23との噛み合いによる摩擦抵抗に抗して外リング21を上昇させ、口部4の凸部6と外リング21の凹部25との係合を外し、その状態で外リング21を反時計回り方向(開蓋方向)に回転させることを行う。これにより、外リング21の回転に伴いキャップ11がつれ回りし、このキャップ11が上記口部4に螺着されているため、キャップ11が上記口部4に沿って上昇し上記口部4から取り外される。
【0018】
一方、キャップ11を閉蓋する場合には、まず、外リング21を上昇させた状態で容器1の口部4にキャップ11を外嵌状に挿入し、つきに、外リング21を時計方向に回転させながら上記口部4にキャップ11を螺着したのち、外リング21を下降させて上記口部4の凸部6と外リング21の凹部25とを係合させることを行う。これにより、外リング21が口部4に対してその周方向に相対回転不能になる。
【0019】
このように、上記実施の形態では、開蓋する場合には、外リング21を上昇させたのち所定の方向に回転させなければならず、子供にとって開蓋の方法がわかりにくい。そして上記構造は、キャップ11の外周面に6本の凸条13が形成され、外リング21の内周面に6本の凹溝23が形成され、外リング21の内周面に、上記口部4の凸部6に係合する凹部25が形成されているだけであるため、構造が簡単であり、製造コストが安価になる。しかも、開蓋操作は、外リング21を上昇させて所定の方向に回転させるだけで行えるため、外リング21やキャップ11に無理な外力が作用せず、これらが損傷したり、破損したりしない。しかも、キャップ11に外リング21を外嵌状に固定しているだけであるため、キャップ11の高さを低く抑えることができ、容器1全体として小形化できる。
【0020】
なお、上記実施の形態では、上記キャップ11の外周面の左右両側部にそれぞれ3本の凸条13を縦向きに形成し、上記外リング21の内周面の左右両側部にそれぞれ、上記各凸条13に係合する3本の凹溝23を縦向きに形成している(ローレット構造が形成されている)が、上記キャップに対して外リング21が上下に移動自在でかつ周方向に相対回転不能となる構造であれば、どのような構造であってもよい。
【0021】
また、上記実施の形態では、上記口部4の外周面の右側部に凸部6を突設し、外リング21の内周面の右側部に凹部25を形成しているが、上記口部4の外周面のに凸部6以外の第1係合部が形成され、上記外リング21の内周面に、上記外リング21を下降させたときに上記第1係合部に口部4の周方向に相対回転不能に係合し、かつ上記外リング21を上昇させることにより上記第1係合部との係合を外すことができる凹部25以外の第4係合部が形成されていてもよい。
【0022】
また、上記実施の形態では、弾性シール材15を構成する弾性材料はシリコンゴムであるが、これに限定されるものではなく、各種の弾性材料を用いることができる。ただし、子供等が簡単に(小さな力で)押し下げることができる低硬度の弾性材料は、好ましくない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のキャップ付き容器の一実施の形態を示す要部の斜視図である。
【図2】上記キャップ付き容器の要部の断面図である。
【図3】容器の口部を示す断面図である。
【図4】上記口部の平面図である。
【図5】キャップの断面図である。
【図6】上記キャップの平面図である。
【図7】外リングの断面図である。
【図8】上記外リングの裏面図である。
【図9】上記外リングの平面図である。
【図10】上記キャップ付き容器の作用を示す説明図である。
【図11】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 容器
4 口部
5 第1ねじ部
6 凸部
11 キャップ
12 第2ねじ部
13 凸条
21 外リング
23 凹溝
25 凹部
【技術分野】
【0001】
本発明は、子供が誤ってキャップを開け、容器内に収容された薬液等の内容物を飲んでしまうという事故等を防ぐようにした誤飲防止用のキャップ付き容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種の液体,錠剤等を収容する容器と、この容器の口部にねじ止めされるキャップとからなるキャップ付き容器が多く出回っているが、このものは、容器の口部にキャップをねじ止めしているだけであるため、子供でも簡単に開蓋することができる。したがって、容器内に人体に有害な薬液等が収容されている場合にも、子供が誤って開蓋して容器内の薬液等を飲んでしまうという事故等が発生する恐れがある。
【0003】
そこで、このような事故等を防ぐため、例えば、図11に示すような容器の安全キャップが提案されている。この安全キャップは、外キャップ41と、この外キャップ41内に回転自在および上下動自在に収容される内キャップ42とを備えており、上記外キャップ41の上壁41aの外周縁部に6個の突子43を突設するとともに、内周部にラチェット機構44の一方を構成する4個の固定爪45を突設し、上記内キャップ42の円筒体42aの上端面に6個のキー46を突設するとともに、中壁42bに、ラチェット機構44の他方を構成する4個の制止爪47を突設している。また、これら各制止爪47は、下方への押圧力を与えると深く屈曲しその押圧力を解除すると元の状態に復帰する弾力を備えている。
【0004】
そして、上記の安全キャップで容器口を閉蓋する場合には、通常どおり、外キャップ41を時計回り方向に回転する。このとき、上記ラチェット機構44の固定爪45とキー46との噛み合いにより、内外両キャップ41,42が一体化されており、容器口に内キャップ42をねじ止めすることができる。一方、開蓋する場合には、単に外キャップ41を反時計回り方向に回転してもラチェット機構44により空回りするだけであるため、外キャップ41を下側に押し付けて突子43とキー46とを係合させ、この係合により内外両キャップ41,42を一体化したのち外キャップ41を反時計回り方向に回転することを行う(例えば、特許文献1参照)。図において、48は上記容器口の雄ねじ(図示せず)に螺合する雌ねじで、49はパッキングである。
【特許文献1】特開平10−152155号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の安全キャップでは、外キャップ41に6個の突子43と、ラチェット機構44の一方を構成する4個の固定爪45を突設し、内キャップ42に、6個のキー46と、ラチェット機構44の他方を構成する4個の制止爪47を突設しているため、構造が複雑であり、製造コストが高価になる。しかも、上記のとおり、ラチェット機構44が複雑であるため、開蓋操作中に、ラチェット機構44を構成する固定爪45,制止爪47に押圧力が作用すると、固定爪45,制止爪47(特に、上記押圧力により深く屈曲する制止爪47)が損傷したり、破損したりしやすい。しかも、外キャップ41の上壁41aと内キャップ42の中壁42bとの間に、突子43,キー46やラチェット機構44を設けているいるため、上記の安全キャップの高さが高くなり、その分容器全体として大形化する。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、子供にとって開蓋の方法がわかりにくく、しかも、構造が簡単で、損傷したり、破損したりしにくく、小形化を図ることのできるキャップ付き容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明のキャップ付き容器は、容器と、この容器の口部に螺着されるキャップと、このキャップに外嵌した状態で上下に移動自在に設けられる環状体とを備え、上記口部の外周面に第1ねじ部が刻設されているとともに、その下側に第1係合部が形成され、上記キャップの内周面に、第1ねじ部に螺合する第2ねじ部が刻設されているとともに、外周面に第2係合部が形成され、上記環状体の内周面に、キャップの内周面の第2係合部に係合してキャップの周方向への相対回転不能にする第3係合部が形成されているとともに、その下側に、閉蓋状態で口部の外周面の第1係合部に係合しこの係合により口部の周方向への相対回転不能にさせるとともに環状体を上昇させて上記第1係合部との係合を外すことにより環状体の回転にキャップをつれ回り可能にする第4係合部が形成されているという構成をとる。
【発明の効果】
【0008】
すなわち、本発明のキャップ付き容器は、閉蓋状態では、容器の口部にキャップが螺着されており、上記口部の外周面の第1係合部に、上記キャップに外嵌した状態で上下に移動自在に設けられる環状体の内周面の第4係合部が、上記口部の周方向に相対回転不能に係合している。このような閉蓋状態から開蓋状態に移行させる場合には、上記環状体を上昇させて上記両係合部の係合を外し、この状態で上記環状体を開蓋方向に回転させることを行う。これにより、上記環状体の回転にキャップがつれ回りし、このキャップが上記口部に螺着されているため上記口部に沿って上昇し上記口部から取り外される。一方、閉蓋する場合には、上記開蓋作業と逆の手順を行う。
【0009】
上記のように、本発明のキャップ付き容器では、開蓋する場合には、環状体を上昇させたのち所定の方向に回転させなければならず、子供にとって開蓋の方法がわかりにくい。そして、本発明の上記構造では、キャップ,環状体にはねじ部以外に、ローレット等の第2係合部,第3係合部が形成され、環状体の内周面に、口部の外周面の第1係合部との係合により口部の周方向への相対回転不能にさせる第4係合部が形成されているだけであり、構造が簡単で、製造コストが安価になる。しかも、開蓋操作は、環状体をキャップに沿って上昇させキャップの周方向に回転させるだけで行えるため、環状体やキャップに無理な外力が作用せず、損傷したり、破損したりすることがない。しかも、上記キャップに環状体を外嵌しているだけであるため、上記キャップの高さを高くする必要がなく、容器全体として小形化できる。
【0010】
また、上記キャップの外周面に第2係合部として複数本の凹溝が縦向きに形成され、上記環状体の内周面に第3係合部として、上記各凹溝にキャップの周方向への相対回転不能に係合しかつ上記各凹溝に上下に摺動自在に係合する複数本の凸条が縦向きに形成されている場合には、上記キャップの外周面に複数本の凹溝を縦向きに形成し、上記環状体の内周面に、上記各凹溝に係合する複数本の凸条を縦向きに形成するという簡単な構造で、キャップに環状体をキャップの周方向に相対回転不能にかつキャップに沿って上下に移動自在に取り付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
つぎに、本発明を実施するための最良の形態について説明する。ただし、本発明は、この実施の形態に限られるものではない。
【0012】
図1および図2は本発明のキャップ付き容器の一実施の形態を示している。これらの図において、1は合成樹脂製の容器であり、内部に薬液等の内容物(図示せず)を収容する胴部2と、この胴部2の上端開口部から上方に向かって縮径状に延びる肩部3と、この肩部3の上端開口部から上方に向かって略円筒状に延びる口部4とを備えている。
【0013】
この口部4には、図3に示すように、その外周面に第1ねじ部5が刻設されており、その下端部の一部(この実施の形態では、右側部)には、後述する外リング21の凹部25(図7参照)に上下方向に摺動自在に係合しかつ外リング21の周方向に相対回転不能に係合する凸部(第1係合部)6が突設されている(図4参照)。
【0014】
11は合成樹脂製のキャップ(図1参照)であり、略有天円筒状に形成されている。このキャップ11には、その内周面に、上記第1ねじ部5に螺合する第2ねじ部12(図5参照)が刻設されている。また、上記キャップ11には、その外周面の、相対向する両側部(この実施の形態では、左右両側部)にそれぞれ、上記外リング21の各凹溝23(図7参照)に上下方向に摺動自在に係合しかつ外リング21の周方向に相対回転不能に係合する3本の凸条(第2係合部)13(図6参照)が上下に一直線状に形成されている。すなわち、上記各凸条13と各凹溝23とでローレット構造が形成されており、その噛み合いにより上記各凸条13と各凹溝23とが上下方向に摺動する場合に摩擦抵抗が生じ、簡単に(小さな力で)上下動させることができないようになっている。また、上記キャップ11の外周面の下端部には、閉蓋状態で上記外リング21の上側凸条22を当接状に支受する円環状ストッパー14が突設されている(図2参照)。また、上記キャップ11の天井壁11aの下面に凹部11bが形成されており、この凹部11bに、上記口部4の上面開口部を密封状に塞ぐシリコンゴム製の弾性シール材15(ゴム硬度がショアA硬さで40〜90度の範囲内にある)が接着固定され収容されている。
【0015】
図1において、21はキャップ11に外嵌状に固定される合成樹脂製の外リング(環状体)であり、図7〜図9に示すように、その内周面の中間高さ部に上側凸条22が円環状に突設され、その上側部分の、上記各凸条13に対応する部分(この実施の形態では、左右両側部)にそれぞれ、上記各凸条13に上下方向に摺動自在に係合しかつキャップ11の周方向に相対回転不能に係合する凹溝(第3係合部)23が形成されている。また、上記外リング21の内周面の下端部に下側凸条24が円環状に突設されており、その一部(上記口部4の凸部6に対応する部分)に、これを上下に貫通する状態で、上記口部4の凸部6に上下方向に摺動自在に係合する凹部(第4係合部)25が形成されている。
【0016】
上記の構成において、容器1の口部4にキャップ11を閉蓋した状態では、上記両ねじ部5,12は螺合しており、かつ、容器1の口部4の凸部6に、キャップ11に(その周方向に相対回転不能でかつ上下動自在に)固定される外リング21の凹部25が係合しており(図2参照)、これにより、外リング21が口部4に対してその周方向に相対回転不能になっている。
【0017】
この閉蓋状態からキャップ11を開蓋する場合には、図2の状態から図10に示すように、上記ローレット構造を構成する各凸条13と各凹溝23との噛み合いによる摩擦抵抗に抗して外リング21を上昇させ、口部4の凸部6と外リング21の凹部25との係合を外し、その状態で外リング21を反時計回り方向(開蓋方向)に回転させることを行う。これにより、外リング21の回転に伴いキャップ11がつれ回りし、このキャップ11が上記口部4に螺着されているため、キャップ11が上記口部4に沿って上昇し上記口部4から取り外される。
【0018】
一方、キャップ11を閉蓋する場合には、まず、外リング21を上昇させた状態で容器1の口部4にキャップ11を外嵌状に挿入し、つきに、外リング21を時計方向に回転させながら上記口部4にキャップ11を螺着したのち、外リング21を下降させて上記口部4の凸部6と外リング21の凹部25とを係合させることを行う。これにより、外リング21が口部4に対してその周方向に相対回転不能になる。
【0019】
このように、上記実施の形態では、開蓋する場合には、外リング21を上昇させたのち所定の方向に回転させなければならず、子供にとって開蓋の方法がわかりにくい。そして上記構造は、キャップ11の外周面に6本の凸条13が形成され、外リング21の内周面に6本の凹溝23が形成され、外リング21の内周面に、上記口部4の凸部6に係合する凹部25が形成されているだけであるため、構造が簡単であり、製造コストが安価になる。しかも、開蓋操作は、外リング21を上昇させて所定の方向に回転させるだけで行えるため、外リング21やキャップ11に無理な外力が作用せず、これらが損傷したり、破損したりしない。しかも、キャップ11に外リング21を外嵌状に固定しているだけであるため、キャップ11の高さを低く抑えることができ、容器1全体として小形化できる。
【0020】
なお、上記実施の形態では、上記キャップ11の外周面の左右両側部にそれぞれ3本の凸条13を縦向きに形成し、上記外リング21の内周面の左右両側部にそれぞれ、上記各凸条13に係合する3本の凹溝23を縦向きに形成している(ローレット構造が形成されている)が、上記キャップに対して外リング21が上下に移動自在でかつ周方向に相対回転不能となる構造であれば、どのような構造であってもよい。
【0021】
また、上記実施の形態では、上記口部4の外周面の右側部に凸部6を突設し、外リング21の内周面の右側部に凹部25を形成しているが、上記口部4の外周面のに凸部6以外の第1係合部が形成され、上記外リング21の内周面に、上記外リング21を下降させたときに上記第1係合部に口部4の周方向に相対回転不能に係合し、かつ上記外リング21を上昇させることにより上記第1係合部との係合を外すことができる凹部25以外の第4係合部が形成されていてもよい。
【0022】
また、上記実施の形態では、弾性シール材15を構成する弾性材料はシリコンゴムであるが、これに限定されるものではなく、各種の弾性材料を用いることができる。ただし、子供等が簡単に(小さな力で)押し下げることができる低硬度の弾性材料は、好ましくない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のキャップ付き容器の一実施の形態を示す要部の斜視図である。
【図2】上記キャップ付き容器の要部の断面図である。
【図3】容器の口部を示す断面図である。
【図4】上記口部の平面図である。
【図5】キャップの断面図である。
【図6】上記キャップの平面図である。
【図7】外リングの断面図である。
【図8】上記外リングの裏面図である。
【図9】上記外リングの平面図である。
【図10】上記キャップ付き容器の作用を示す説明図である。
【図11】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 容器
4 口部
5 第1ねじ部
6 凸部
11 キャップ
12 第2ねじ部
13 凸条
21 外リング
23 凹溝
25 凹部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器と、この容器の口部に螺着されるキャップと、このキャップに外嵌した状態で上下に移動自在に設けられる環状体とを備え、上記口部の外周面に第1ねじ部が刻設されているとともに、その下側に第1係合部が形成され、上記キャップの内周面に、第1ねじ部に螺合する第2ねじ部が刻設されているとともに、外周面に第2係合部が形成され、上記環状体の内周面に、キャップの内周面の第2係合部に係合してキャップの周方向への相対回転不能にする第3係合部が形成されているとともに、その下側に、閉蓋状態で口部の外周面の第1係合部に係合しこの係合により口部の周方向への相対回転不能にさせるとともに環状体を上昇させて上記第1係合部との係合を外すことにより環状体の回転にキャップをつれ回り可能にする第4係合部が形成されていることを特徴とするキャップ付き容器。
【請求項2】
上記キャップの外周面に第2係合部として複数本の凹溝が縦向きに形成され、上記環状体の内周面に第3係合部として、上記各凹溝にキャップの周方向への相対回転不能に係合しかつ上記各凹溝に上下に摺動自在に係合する複数本の凸条が縦向きに形成されている請求項1記載のキャップ付き容器。
【請求項1】
容器と、この容器の口部に螺着されるキャップと、このキャップに外嵌した状態で上下に移動自在に設けられる環状体とを備え、上記口部の外周面に第1ねじ部が刻設されているとともに、その下側に第1係合部が形成され、上記キャップの内周面に、第1ねじ部に螺合する第2ねじ部が刻設されているとともに、外周面に第2係合部が形成され、上記環状体の内周面に、キャップの内周面の第2係合部に係合してキャップの周方向への相対回転不能にする第3係合部が形成されているとともに、その下側に、閉蓋状態で口部の外周面の第1係合部に係合しこの係合により口部の周方向への相対回転不能にさせるとともに環状体を上昇させて上記第1係合部との係合を外すことにより環状体の回転にキャップをつれ回り可能にする第4係合部が形成されていることを特徴とするキャップ付き容器。
【請求項2】
上記キャップの外周面に第2係合部として複数本の凹溝が縦向きに形成され、上記環状体の内周面に第3係合部として、上記各凹溝にキャップの周方向への相対回転不能に係合しかつ上記各凹溝に上下に摺動自在に係合する複数本の凸条が縦向きに形成されている請求項1記載のキャップ付き容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−37433(P2008−37433A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−210061(P2006−210061)
【出願日】平成18年8月1日(2006.8.1)
【出願人】(000158781)紀伊産業株式会社 (327)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月1日(2006.8.1)
【出願人】(000158781)紀伊産業株式会社 (327)
【Fターム(参考)】
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