説明

キャップ付き容器

【課題】倒れたときに内容物の漏れ出しを抑制できるキャップ付き容器を提供する。
【解決手段】容器体2の口頸部4に吐出口22付きのキャップ10を嵌合させてなるキャップ付き容器である。上記キャップ10は、口頸部4の外面に嵌合させた装着筒部14からキャップ筒部20を起立するとともに、そのキャップ筒部20の下部から内向きフランジ状底壁30を内方突出し、内向きフランジ状底壁30上方キャップ筒部20吐出口22を開口したキャップ本体12と、内向きフランジ状底壁30下方のキャップ本体12部分に装着され、内向きフランジ状底壁30のフランジ孔32を裏側から閉塞する吐出弁体40を含む弁部材38と、上記キャップ筒部20の上部を閉塞する弾性頂壁52から吐出弁体40付近に押下げ棒58を垂下してなるヘッド部材50とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップ付き容器、特に醤油などの低粘度液体収納用のキャップ付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種容器として、容器体の口頸部に有頂筒形のキャップを嵌合し、このキャップのキャップ筒部に吐出口を開口したものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭61−26052
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の容器の構成では、低粘度液体を収納させた場合、容器が倒れたときに吐出口から内容液がこぼれてしまうという不都合があった。
【0005】
本発明の目的は、キャップのヘッド部材の押込み操作により開放可能な吐出弁を内蔵し、倒しても内容物の流出を抑制できるキャップ付き容器を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、容器体2の口頸部4に吐出口22付きのキャップ10を嵌合させてなるキャップ付き容器であって、
上記キャップ10は、
上記口頸部4の外面に嵌合させた装着筒部14からキャップ筒部20を起立するとともに、そのキャップ筒部20の下部から内向きフランジ状底壁30を内方突出し、内向きフランジ状底壁30上方でキャップ筒部20に吐出口22を開口したキャップ本体12と、
内向きフランジ状底壁30下方のキャップ本体12部分に装着され、内向きフランジ状底壁30のフランジ孔32を裏側から閉塞する吐出弁体40を含む弁部材38と、
上記キャップ筒部20の上部を閉塞する弾性頂壁52から吐出弁体40付近に押下げ棒58を垂下してなるヘッド部材50とを具備し、
上記弾性頂壁52の押込みにより押下げ棒58を介して吐出弁体40を開口することが可能とし、
かつ上記キャップ筒部20の前部に上記吐出口22を、かつこの吐出口22から離してキャップ筒部20の適所に吸気孔24をそれぞれ開口するとともに、上記内向きフランジ状底壁30の後部側から空気導入用筒34を起立した。
【0007】
本手段では、図1に示すようにキャップ10に内蔵させた吐出弁体40を設け、かつキャップ10のヘッド部材50が有する弾性頂壁52から垂下する押下げ棒58で当該吐出弁体40を開くことが可能としている。また上記キャップ本体12の内向きフランジ状底壁30からは空気導入用筒34を起立している。これにより図3に示す吐出状態で内容物と空気とが置換され、吐出がスムーズに行われる。
【0008】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ上記空気導入用筒34は、その筒壁の外面を内向きフランジ状底壁30の内縁に連続させて、フランジ孔32の内部から起立させており、かつ空気導入用筒34の下端を上記吐出弁体40で閉塞することが可能に形成した。
【0009】
本手段では、図1に示すように空気導入用筒34の下面を吐出弁体40で閉塞するようにしている。醤油などの低粘性液体が空気導入用筒34内に入ると、筒壁内に固化するおそれがあるが、本手段の構成によれば、そうした不都合を低減できる。
【発明の効果】
【0010】
第1の手段に係る発明によれば、ヘッド部材50の弾性頂壁52から押下げ棒58を垂下し、この押下げ棒58で吐出弁体40を押下げ、開くようにしたから、使い勝手がよくかつ倒したときを内容物が流出する不都合を軽減することができる。またキャップ本体12のフランジ孔32から空気導入用筒34を起立したから、液体と空気との置換作用が得られ、低粘度液体の吐出を円滑に行うことができる。
第2の手段に係る発明によれば、吐出弁の閉弁状態で空気導入用筒34の下端を吐出弁体40で閉塞するようにしたから、空気導入用筒34内に液体が流入して固化することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態に係るキャップ付き容器の縦断面図である。
【図2】図1の容器のII−II線方向にみた横断面図である。
【図3】図1の容器の作用説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1から図3は、本発明の第1の実施形態に係るキャップ付き容器を示している。このキャップ付き容器は、容器体2とキャップ10とで構成されている。これら各部材は特に断らない限り合成樹脂で形成することができる。
【0013】
容器体2は、胴部から広口の口頸部4を起立している。
【0014】
キャップ10は、キャップ本体12と弁部材38と保持具46とヘッド部材50とで構成している。
【0015】
上記キャップ本体12は、大径の装着筒部14から内方張出板部16を介してキャップ筒部20を起立するとともに、キャップ筒部20の下部から内向きフランジ状底壁30を内方突出させている。
【0016】
上記装着筒部14は、容器体2の口頸部4外面に嵌合(図示例では螺合)させており、かつ内方張出板部16を口頸部4の上端面に係止させている。また図示例では、内方張出板部16の内縁から短筒18を垂下し、口頸部4の内面に液密に嵌合させている。
【0017】
上記キャップ筒部20の前壁部には大径の吐出口22を、またキャップ筒部20の後壁部には、小径の吸気孔24をそれぞれ開口する。この明細書において、「前」とは吐出口がある側を、「後」とは前と反対側を意味するものとする。図示例のキャップ筒部20は、上端部を小内径部26に形成している。
【0018】
上記内向きフランジ状底壁30は、キャップ筒部の下部に、そのキャップ筒部下端から一定の距離(保持具の嵌合代)を存して連結させている。この内向きフランジ状底壁30のフランジ孔32は、図3に示すように前方側から内容物を流出させ、後方側から空気を流入させる役割を有する。フランジ孔32は上述の役割を果たせる程度に大きく設けるものとし、少なくとも吐出口22及び吸気孔24よりも大径とする。
【0019】
上記内向きフランジ状底壁30のフランジ孔32の後端からは、この後端に筒壁下端部の後部を連続形成した空気導入用筒34を起立する。すなわち空気導入用筒34の下端部は図2に示すようにフランジ孔32内に位置する。空気導入用筒34は、吐出口22と同じ程度の高さまで延びており、かつ筒壁の上端部を前上方から後下方への傾斜面に形成している。空気導入用筒34の下端面は内向きフランジ状底壁30の下面と面一に形成している。
【0020】
上記弁部材38は、フランジ孔32より大径で板状の吐出弁体40と、吐出弁体40を囲む外周リング42とを適当数の弾性連結片44で連結し、吐出弁体40で内向きフランジ状底壁のフランジ孔を閉塞することで吐出弁を形成している。図示例では3つの弾性連結片44で吐出弁体40を連結した3点弁としているが、その構造は適宜変更できる。上記外周リング42は断面L字形であり、この外周リング42を、保持具46を介してキャップ本体12に固定している。
【0021】
上記保持具46は、内向きフランジ状底壁30下方のキャップ筒部分に嵌合させた筒体の下端から内方へ係止リブ48を突出し、この係止リブ48を上記外周リング42の下端に係止させている。この構造も適宜変更することができる。
【0022】
ヘッド部材50は、上方へ突出するドーム状の弾性頂壁52の外周部から垂下した嵌合リング54を上記小内径部26に液密に嵌着させ、かつ弾性頂壁52の裏面中心部から押下げ棒58を垂下している。この押下げ棒58の下端は上記吐出弁体40の中心部付近に接近させる。さらに図示例では上記嵌合リング54の上端から側外方へ突出した当接板部56をキャップ筒部の上端面に当接させている。
【0023】
上記構成によれば、図1の状態では、内向きフランジ状底壁30の内周部に吐出弁体40が圧接されているため、容器体2の内部は気密かつ液密に保たれている。従ってこの状態で容器体を倒しても、容器体2内の液体が外部に流出することはない。
【0024】
図1の状態から上記弾性頂壁52を指で押下げると、押下げ棒58が吐出弁体40を突き下げ、フランジ孔32が開口する。弾性頂壁52を押下げたままで容器を前方へ傾けると、図3に白矢印で示すように容器体2内の内容液がフランジ孔32及び吐出弁体40の各前部の間隙を通って、吐出口22から吐出される。
【0025】
また図3の状態ではキャップ筒部20内へ流入した内容液の液面がフランジ孔32より高くなっている。このような状態でもフランジ孔32の後端部から起立した空気導入用筒34の先端が液面より上方にあるので、外気が図3に黒矢印で示す如く吸気孔24と空気導入用筒34とフランジ孔32及び吐出弁体40の各後部の間隙とを順次通過して容器体2内に入る。これにより液体及び空気の置換が確実に行われるので、液体の吐出が円滑に行われる。
【0026】
キャップ付き容器を傾いた状態からキャップ筒部20の筒軸が垂直な状態に戻すと、キャップ筒部20内の液体が容器体2側に戻り、次に上記弾性頂壁52の押下げを開放すると、吐出弁体40が原位置に復帰してフランジ孔32を閉塞するとともに、空気導入用筒34の下端を閉塞する。
【符号の説明】
【0027】
2…容器体 4…口頸部
10…キャップ 12…キャップ本体 14…装着筒部 16…内方張出板部
18…短筒 20…キャップ筒部 22…吐出口 24…吸気孔 26…小内径部
30…内向きフランジ状底壁 32…フランジ孔 34…空気導入用筒
38…弁部材 40…吐出弁体 42…外周リング 44…弾性連結片 46…保持具
48…係止リブ
50…ヘッド部材 52…弾性頂壁 54…嵌合リング 56…当接板部
58…押下げ棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体(2)の口頸部(4)に吐出口(22)付きのキャップ(10)を嵌合させてなるキャップ付き容器であって、
上記キャップ(10)は、
上記口頸部(4)の外面に嵌合させた装着筒部(14)からキャップ筒部(20)を起立するとともに、そのキャップ筒部(20)の下部から内向きフランジ状底壁(30)を内方突出し、かつ内向きフランジ状底壁(30)上方でキャップ筒部(20)に吐出口(22)を開口したキャップ本体(12)と、
内向きフランジ状底壁(30)下方のキャップ本体(12)部分に装着され、内向きフランジ状底壁(30)のフランジ孔(32)を裏側から閉塞する吐出弁体(40)を含む弁部材(38)と、
上記キャップ筒部(20)の上部を閉塞する弾性頂壁(52)から吐出弁体(40)付近に押下げ棒(58)を垂下してなるヘッド部材(50)とを具備し、
上記弾性頂壁(52)の押込みにより押下げ棒(58)を介して吐出弁体(40)を開口することが可能とし、
かつ上記キャップ筒部(20)の前部に上記吐出口(22)を、かつこの吐出口(22)から離してキャップ筒部(20)の適所に吸気孔(24)をそれぞれ開口するとともに、上記内向きフランジ状底壁(30)の後部側から空気導入用筒(34)を起立したことを特徴とする、キャップ付き容器。
【請求項2】
上記空気導入用筒(34)は、その筒壁の外面を内向きフランジ状底壁(30)の内縁に連続させて、フランジ孔(32)の内部から起立させており、かつ空気導入用筒(34)の下端を上記吐出弁体(40)で閉塞することが可能に形成したことを特徴とする、請求項1記載のキャップ付き容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−28357(P2013−28357A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165042(P2011−165042)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】