説明

キャップ付き歯ブラシ

【課題】歯ブラシの使用感を低下させることなく、小型で且つ意匠性に優れ、しかも手で持ったときのフィット感のあるキャップ付き歯ブラシを提供する。
【解決手段】電動歯ブラシ10のグリップ部14の長さ方向の途中部にキャップ30との係合溝18が形成され、グリップ部14の嵌合部22の断面形状が、正面側を頂角となし、背面側を底辺となし、3つの角部を円弧状となした2等辺三角形状であって、背面側部分が側方へ膨出する下膨れ形状に形成されるとともに、嵌合部22の先端外周面が首部15に滑らかに連なるように、係合溝18から首部15側へ行くにしたがって断面が略相似形で連続的に小さくなるように形成され、キャップ30の基部が嵌合部22の基部に適合する内面形状に形成され、キャップ30の先端部が植毛部13を取り囲む小判型に形成され、キャップ30の基部と先端部とが滑らかに連なる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯用として好適なキャップ付き歯ブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動歯ブラシとして、化粧品を収納するハンドバッグやポーチ等に収納可能な小型のキャップ付き電動歯ブラシが、化粧直しの際に手軽にブラッシングできることから、会社勤めの女性の間で普及しつつある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
通常、前記キャップ付き電動歯ブラシは、ハンドバッグやポーチ等に収納する関係上、化粧品や化粧道具との意匠的なギャップをできるだけ少なくするため、化粧品や化粧道具の意匠を考慮したデザインがなされ、外観形状だけでは電動歯ブラシであることが判別できない程度に、スリムでおしゃれなデザインに構成されている。具体的には、キャップ及びそれに連なる電動歯ブラシのグリップ部の基部側部分を同一断面積の連続的な円筒状や、角部を丸めた角筒状の細長い筒状に形成したものが実用化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−130971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記キャップ付き電動歯ブラシでは、外観形状をできるだけ小さくスリムに構成するため、キャップ及び電動歯ブラシのグリップ部の基部側部分を同一断面積の連続的な円筒状や、角部を丸めた角筒状の細長い筒状に形成しており、キャップの外面とグリップ部の基部側部分の外面とが連続的に連なるように、電動歯ブラシのグリップ部におけるキャップとの嵌合部が、キャップの厚さ分だけ、グリップ部の基部側部分よりも一回り小さい断面形状に構成されている。しかし、このように構成すると、グリップ部の途中部に段差が形成されるため、グリップ部を手で保持したときのフィット感が低下するだけでなく、キャップの厚さ分だけブラシの毛丈が短くなり、歯ブラシの使用感が低下し、ブラッシング性能が低下したり、歯肉を痛めたりするという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、歯ブラシの使用感を低下させることなく、小型で且つ意匠性に優れ、しかも手で持ったときのフィット感のあるキャップ付き歯ブラシを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るキャップ付き歯ブラシは、植毛台に毛束を植設してなる植毛部と、手で把持するためのグリップ部と、植毛台とグリップ部とを接続する首部とを有する歯ブラシと、植毛部及び首部を覆うように前記歯ブラシに着脱自在に取り付けたキャップとを備えたキャップ付き歯ブラシであって、前記グリップ部の長さ方向の途中部に前記キャップとの係合部が形成され、前記歯ブラシの植毛台に対する毛束の植設側を正面側とし、反対側を背面側とした場合に、前記グリップ部における係合部側の基端部から先端部までのキャップとの嵌合部の断面形状が、正面側を頂角となし、背面側を底辺となし、3つの角部を円弧状となした2等辺三角形状であって、背面側部分が側方へ膨出する下膨れ形状に形成されるとともに、嵌合部の先端外周面が歯ブラシの首部に滑らかに連なるように、係合部から首部側へ行くにしたがって断面が略相似形で連続的に小さくなるように形成され、前記首部の正面側の稜線と嵌合部の正面側の稜線とが、連続的に連なった前方へ突出する円弧状の曲線で構成され、首部の背面側の稜線と嵌合部の背面とが略同一平面内に配置され、前記キャップの基部が嵌合部の基部に適合する内面形状に形成され、キャップの先端部が植毛部を取り囲む小判型に形成され、キャップの基部と先端部とが滑らかに連なるように形成され、前記キャップの先端部に植毛台の先端部を保持する保持部が設けられたものである。
【0008】
このキャップ付き歯ブラシでは、歯ブラシの周方向位置とキャップの周方向位置とを適合させて、歯ブラシにキャップを嵌合させることになるが、このとき、歯ブラシの周方向位置とキャップの周方向位置とが多少ずれている場合でも、嵌合途中において、キャップの基部内面がグリップ部の嵌合部の外面に当接して、キャップが周方向に位置調整されながら嵌合するので、歯ブラシに対してキャップを容易に取り付けることができる。しかも、このようにキャップが周方向に位置調整されるので、植毛部のブラシの先端部がキャップ内面にできるだけ接触しないようにしつつ、歯ブラシに対してキャップを嵌合させることができ、キャップ内面との接触により植毛部の先端部が汚れたり、損傷したりするという不具合を防止できる。また、キャップを嵌合させた状態で、保持部により植毛台の先端部が保持されるので、ポーチ等に歯ブラシを収納したときに、植毛台がキャップ内面に当接してカタタカと異音を発することを防止できる。更に、キャップの基部を嵌合部の基部に適合する内面形状に形成し、キャップの先端部を、植毛部を取り囲む小判型に形成しているので、意匠性を低下させることなく、ブラッシングに最適な毛丈を確保することが可能となり、歯ブラシの使用感を十分に確保できる。
【0009】
ここで、前記首部の背面とグリップ部の背面とが略同一平面内に配置されていることが好ましい実施の形態である。このように構成することで、キャップ付き歯ブラシの外形寸法を小さくしつつ植毛部の毛丈を十分に確保できる。また、グリップ部における段差をなくして、グリップ部を手で保持したときにおけるフィット感を向上できる。
【0010】
前記首部の正面側の稜線とグリップ部の正面側の稜線とが、連続的に連なった前方へ突出する円弧状の曲線で構成されていることも好ましい実施の形態である。この場合には、歯ブラシのグリップ部を手で保持したときにおける納まりがよく、グリップ部における段差をなくして、グリップ部を手で保持したときにおけるフィット感を一層向上できる。特に、操作性を考慮すると、本発明は、電動歯ブラシのグリップ部の形状として好適に採用できる。
【0011】
前記キャップの先端部内に植毛台をキャップの先端部側へ案内するガイド突起を形成することも好ましい実施の形態である。この場合には、ガイド突起により植毛台を案内しながら、歯ブラシに対してキャップを着脱できるので、キャップの着脱操作性を一層向上できる。
【0012】
前記キャップの途中部から先端部までの断面形状を略同じ寸法の小判型に形成することも好ましい実施の形態である。この場合には、キャップの基端部から途中部までの間において、植毛部がキャップの中央部側へ案内され、キャップの途中部から先端部までの間において植毛部の側方への移動が規制されるので、植毛部の側方への移動を早期に収束でき、キャップの着脱操作性を一層向上できる。
【0013】
前記キャップの先端部に蓋体を着脱可能に固定し、該蓋体に前記植毛台の保持部を形成することも可能である。このような別部材からなる蓋体を設けると、キャップ及び蓋体の成形性を向上できる。また、キャップ内面が汚れた場合には、蓋体を取り外して、キャップ内を容易に清掃できるので、キャップの清掃性を向上できる。
【0014】
前記歯ブラシが、駆動部を内装したグリップ部と、グリップ部の先端部に着脱自在に取り付けられる替えブラシとを有する電動歯ブラシであることが好ましい実施の形態である。電動歯ブラシにおいては、グリップ部にモータや電池などを内装する必要があり、グリップの外形寸法がどうしても大きくなるので、歯ブラシの使用感を十分に確保しつつ、小型で且つ意匠性に優れたキャップ付き電動歯ブラシを実現するために、本発明のように構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るキャップ付き歯ブラシによれば、歯ブラシの周方向位置とキャップの周方向位置とを適合させて、歯ブラシにキャップを嵌合させることになるが、このとき、歯ブラシの周方向位置とキャップの周方向位置とが多少ずれている場合でも、嵌合途中において、キャップの基部内面がグリップ部の嵌合部の外面に当接して、キャップが周方向に位置調整されながら嵌合するので、歯ブラシに対してキャップを容易に取り付けることができる。しかも、このようにキャップが周方向に位置調整されるので、植毛部のブラシの先端部がキャップ内面にできるだけ接触しないようにしつつ、歯ブラシに対してキャップを嵌合させることができ、キャップ内面との接触により植毛部の先端部が汚れたり、損傷したりするという不具合を防止できる。また、キャップを嵌合させた状態で、保持部により植毛台の先端部が保持されるので、ポーチ等に歯ブラシを収納したときに、植毛台がキャップ内面に当接してカタタカと異音を発することを防止できる。更に、キャップの基部を嵌合部の基部に適合する内面形状に形成し、キャップの先端部を、植毛部を取り囲む小判型に形成しているので、意匠性を低下させることなく、ブラッシングに最適な毛丈を確保することが可能となり、歯ブラシの使用感を十分に確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】キャップ付き電動歯ブラシの斜視図
【図2】キャップ付き電動歯ブラシのキャップを取り外した状態での斜視図
【図3】キャップ付き電動歯ブラシの(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は背面図
【図4】電動歯ブラシの(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は背面図
【図5】図3(b)のV-V線断面図
【図6】図3(b)のVI-VI線断面図
【図7】蓋体の(a)は平面、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は底面図
【図8】フリップ部の嵌合部の背面図
【図9】嵌合部の位置と周長の変化量の関係を示すグラフ
【図10】(a)〜(d)は電動歯ブラシに対するキャップの嵌合過程を段階的に示す説明図
【図11】図10(a)の(a)はa−a線断面図、(b)はb−b線断面図
【図12】図10(b)の(a)はa−a線断面図、(b)はb−b線断面図
【図13】図10(c)の(a)はa−a線断面図、(b)はb−b線断面図
【図14】図10(d)の(a)はa−a線断面図、(b)はb−b線断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1〜図7に示すように、キャップ付き電動歯ブラシ1は、植毛台11に毛束12を植設してなる植毛部13と、手で把持するためのグリップ部14と、植毛台11とグリップ部14とを接続する首部15とを有する電動歯ブラシ10と、植毛部13及び首部15を覆うように電動歯ブラシ10に着脱自在に取り付けたキャップ30とを備えている。なお、本発明は、電動歯ブラシ10に好適に採用できるが、歯ブラシの外形寸法を以下に説明する電動歯ブラシ10と同様に設定することで、手動の歯ブラシに対しても、同様に適用することができる。
【0018】
グリップ部14の先端部には植毛部13と首部15とを有する替えブラシ16が着脱可能に取り付けられている。替えブラシ16を取り付けるためグリップ部14の先端部には円柱状の係合突部17が形成され、係合突部17の外周面には略L字状の1対の係止溝18が周方向に間隔をあけて形成されている。替えブラシ16の基部には係合突部17に外嵌する円筒状の取付部材19が設けられ、取付部材19の内面には係止溝18に嵌合する1対の係止部20が突出状に形成され、替えブラシ16は、1対の係止部20を1対の係止溝18にそれぞれ係合させながら、取付部材19を係合突部17の根元まで嵌合させて、替えブラシ16を周方向に一定角度回転させることで、脱落しないようにグリップ部14に取り付けられている。なお、1対の係止溝18は、相互に異なる溝幅に構成され、特定の係止部20にのみ係合するように構成されており、替えブラシ16をグリップ部14に取り付けた状態で、グリップ部14の周方向位置と替えブラシ16の周方向位置とが常に同じ位置になるように構成されている。
【0019】
グリップ部14の長さ方向の途中部には周方向に延びる環状溝からなる係合部21が形成され、グリップ部14における係合部21よりも先端部側にはキャップ30が外嵌される嵌合部22が形成され、係合部21よりも基端部側には筒状の基部ケース23が着脱自在に取り付けられている。
【0020】
グリップ部14には植毛部13を駆動するための駆動部24が内装されている。駆動部24は、グリップ部14の嵌合部22内に内装したモータ25と、モータ25の回転軸26に固定した偏心錘27と、グリップ部14の基部ケース23に交換可能に内装した電池28とを備え、電池28によりモータ25を駆動して偏心錘27を回転させ、偏心錘27の回転により発生する振動をグリップ部14から替えブラシ16の植毛部13に伝達するように構成したものである。ただし、駆動部24としては、モータの回転運動を往復直線運動に切り替える変換手段を備え、替えブラシをその長さ方向に往復直線運動させるように構成したものや、モータの回転運動を往復反転運動に切り替える変換手段を備え、毛束の植設方向を中心として植毛部を正方向に一定角度回転させてから、逆方向に一定角度回転させるという往復反転運動を繰り返し行うように構成したものや、永久磁石とコイルとを用いて替えブラシを振動させるように構成したものなど、周知の駆動部を備えさせることも可能である。なお、符号29は、モータ25への通電をON状態とOFF状態とに切換え可能な押しボタン式の電源スイッチである。
【0021】
グリップ部14の嵌合部22の断面形状は、植毛台11に対する毛束12の植設側を正面側とし、反対側を背面側とした場合に、正面側を頂角となし、背面側を底辺となし、3つの角部を円弧状となした2等辺三角形状であって、背面側部分が側方へ膨出する下膨れ形状に形成されている。具体的には、図6に示すように、背面側の両側部には側部アールGR1が形成され、正面側には側部アールGR1よりも緩やかに湾曲する頂部アールGR2が形成され、両側面には頂部アールGR2よりも緩やかに湾曲する側面アールGR3が形成され、背面側には側部アールGR1よりも緩やかに湾曲する背面アールGR4が形成された、2等辺三角形状であって、背面側部分が側方へ膨出する下膨れ形状に形成されるとともに、嵌合部22の先端外周面が替えブラシ16の首部15に滑らかに連なるように、係合部から首部15側へ行くにしたがって断面が略相似形で連続的に小さくなるように形成されている。
【0022】
基部ケース23の係合部21側の先端部は嵌合部22の基端部に係合部21を挟んで段差なく滑らかに連なるように形成され、基部ケース23の基端部は略円形に形成され、基部ケース23の外周面は、その先端部の下膨れ形状から、それよりも小径の基端部の円形状に、断面形状が滑らかに変化するように構成されている。
【0023】
図4に示すように、替えブラシ16の背面側の稜線SBLとグリップ部14の背面14aとは略同一平面内に配置され、替えブラシ16の正面側の稜線SFLとグリップ部14の正面側の稜線GFLとは、連続的に連なった前方へ突出する円弧状の曲線で構成され、グリップ部14は、手で把持したときに手にフィットする形状に形成されている。
【0024】
ここで、嵌合部22の外観形状の近似計算について説明する。
図8に示すように、嵌合部22の先端部からの長さをxとし、長さxの位置における嵌合部22の外周長をyとし、x=0のときの外周長yをBとし、係数をAとすると、近似式y=Alnx+Bが、50mm≧x≧20mmのときに成立する。
【0025】
そこで、嵌合部22の周長の変化量yの近似式、即ち定数B=0のときの近似式y=Alnxを用い、係数Aを5、6.3702、14、16に設定した場合における、嵌合部22の先端部からの長さxと、嵌合部22の周長の変化量yの関係を求めた。その結果を図9に示す。
【0026】
図9から係数Aが5未満の場合には、周長の変化量が小さくなり過ぎて、嵌合部22が略円柱になって、持ち難くなり、係数Aが16を超えると周長の変化量が大きくなりすぎ、嵌合部22の長さをその内部にモータ25を収容可能な長さに設定すると、嵌合部22の基部が太くなり過ぎて持ちにくくなるので、係数Aは5以上で16以下、好ましくは5以上で14以下、更に好ましくは5以上で10以下に設定することが好ましい。
【0027】
キャップ30の基端内面には係合部21に係脱可能な係合突部37が形成され、キャップ30は、替えブラシ16及び嵌合部22に外嵌させて、グリップ部14の係合部21に係合突部37を係合させることで、電動歯ブラシ10に着脱自在に取り付けられている。
【0028】
キャップ30の基端内面には嵌合部22の基部外面に隙間なく外嵌合するように、グリップ部14における係合部21側の基端部から先端部までのキャップ30との嵌合部22の断面形状が、正面側を頂角となし、背面側を底辺となし、3つの角部を円弧状となした2等辺三角形状であって、下膨れ状の内面形状に形成されている。具体的には、図6に示すように、キャップ30の基端内面における、背面側の両側部には側部アールCR1が形成され、正面側には側部アールCR1よりも緩やかに湾曲する頂部アールCR2が形成され、両側面には頂部アールCR2よりも緩やかに湾曲する側面アールCR3が形成され、背面側には側部アールCR1よりも緩やかに湾曲する背面アールCR4が形成されて、キャップ30の基端内面が2等辺三角形状に形成されている。キャップ30の先端部は植毛部13を取り囲むように、左右の側壁部30aが略平行な平板状で、正面側と背面側の壁部30bが半円状の小判型に形成され、キャップ30の基端部の正面と背面間の距離はキャップ30の先端部の正面と背面間の距離と略同じに設定され、キャップ30の側面間の距離は基端部から先端部側へ行くにしたがって幅狭となるように構成され、キャップ30の途中部は、キャップ30の基部から先端部へ向けて滑らかに断面形状が変化するように形成されている。
【0029】
キャップ30の途中部から先端部まで、具体的にはキャップ30の先端部からキャップ30全長の1/3程度の範囲には、断面形状が略同じ寸法の小判型に形成されたストレート部31が形成され、キャップ30の基端部からキャップ30全長の2/3程度の範囲の側壁部には、基端部から先端部側へ行くにしたがって幅狭となる案内部32が形成され、電動歯ブラシ10を替えブラシ16側からキャップ30に挿入すると、植毛部13が案内部32の内面に当接してキャップ30の幅方向の中央部側へ案内されるように構成されている。キャップ30の先端部内には植毛台11をキャップ30の先端部側へ案内する1対のガイド突起33がキャップ30の長さ方向に形成され、植毛台11の背面をガイド突起33で浮かせてキャップ30の内面に密着させないことで、植毛台11に対する汚れの付着を極力防止できるように構成されている。
【0030】
キャップ30の先端部には蓋体35が着脱可能に固定され、蓋体35には植毛台11の先端部を保持する保持部が形成されている。保持部としては、図7に示すように、植毛台11の先端部の背面側に当接可能な背面側保持部36aと、植毛台11の先端部の両側部の正面側に当接可能な正面側保持部36bと、植毛台11の両側部の先端部に当接する側部保持部36cと、植毛台11の先端部の中央部に当接する先端保持部36dとを備えており、植毛台11は、キャップ30を電動歯ブラシ10に嵌合させた状態で、背面側保持部36aと正面側保持部36bとにより前後方向への移動が規制され、側部保持部36cにより左右方向の移動が規制され、先端保持部36dにより上方への移動が規制された状態で、キャップ30内に保持される。なお、符号38は水抜き用の孔であり、符号39は蓋体35をキャップ30に固定するために蓋体35に設けた固定片である。
【0031】
次に、キャップ付き電動歯ブラシ1の嵌合方法について説明する。
このキャップ付き電動歯ブラシ1では、電動歯ブラシ10の周方向位置とキャップ30の周方向位置とを合致させて、電動歯ブラシ10にキャップ30を嵌合させることになるが、このとき、電動歯ブラシ10の植毛台11は、案内部32の内面で幅方向に案内されて、ストレート部31内に挿入され、蓋部35の保持部36a〜36dにより幅方向(左右方向)及び前後方向に移動しないように保持されることになる。また、グリップ部14の嵌合部22にはキャップ30の案内部32が外嵌されることになるが、このとき電動歯ブラシ10の周方向位置とキャップ30の周方向位置とが周方向に多少ずれている場合でも、図10(a)、図11に示すように、嵌合途中において、例えばキャップ30内面の左側の側面アールCR3と、背面アールCR4と、右側の側面アールCR3とが、嵌合部22の頂部アールGR2と、左側の側部アールGR1と、右側の側部アールGR1とにそれぞれ当接しながら、図10(a)〜(c)及び図11〜図13に示すように、キャップ30が矢印Aで示す方向へ微小回転して、図10(d)及び図14に示すように、キャップ30の案内部32がグリップ部14の嵌合部22の周方向の適正位置に嵌合することになり、キャップ30が周方向に位置調整されながら嵌合するので、電動歯ブラシ10に対してキャップ30を容易に嵌合させることが可能となる。
【0032】
このようにキャップ30が周方向に位置調整されながら、電動歯ブラシ10に対してキャップ30が嵌合するので、植毛部13のブラシの先端部がキャップ30内面にできるだけ接触しないようにしながら、キャップ30を嵌合させることが可能となり、キャップ30内面との接触により植毛部13の先端部が汚れたり、損傷したりするという不具合を防止できる。また、キャップ30を嵌合させた状態で、保持部36a〜36dにより植毛台11の先端部が保持されるので、ポーチ等に電動歯ブラシ10を収納したときに、植毛台11がキャップ30内面に当接してカタタカと異音を発することを防止できる。更に、キャップ30の基部を嵌合部22の基部に適合する内面形状に形成し、キャップ30の先端部を、植毛部13を取り囲む小判型に形成しているので、意匠性を低下させることなく、ブラッシングに最適な毛丈を確保することが可能となり、電動歯ブラシ10の使用感を十分に確保できる。
【0033】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲においてその構成を変更し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0034】
1 キャップ付き電動歯ブラシ
10 電動歯ブラシ 11 植毛台
12 毛束 13 植毛部
14 グリップ部 14a 背面
15 首部 16 替えブラシ
17 係合突部 18 係止溝
19 取付部材 20 係止部
21 係合部 22 嵌合部
23 基部ケース 24 駆動部
25 モータ 26 回転軸
27 偏心錘 28 電池
29 電源スイッチ
30 キャップ 30a 側壁部
30b 壁部 31 ストレート部
32 案内部 33 ガイド突起
35 蓋体 36a 背面側保持部
36b 正面側保持部 36c 側部保持部
36d 先端保持部 37 係合突部
38 孔 39 固定片
CR1 側部アール CR2 頂部アール
CR3 側面アール CR4 背面アール
GFL 稜線
GR1 側部アール GR2 頂部アール
GR3 側面アール GR4 背面アール
SBL 稜線 SFL 稜線


【特許請求の範囲】
【請求項1】
植毛台に毛束を植設してなる植毛部と、手で把持するためのグリップ部と、植毛台とグリップ部とを接続する首部とを有する歯ブラシと、植毛部及び首部を覆うように前記歯ブラシに着脱自在に取り付けたキャップとを備えたキャップ付き歯ブラシであって、
前記グリップ部の長さ方向の途中部に前記キャップとの係合部が形成され、
前記歯ブラシの植毛台に対する毛束の植設側を正面側とし、反対側を背面側とした場合に、前記グリップ部における係合部側の基端部から先端部までのキャップとの嵌合部の断面形状が、正面側を頂角となし、背面側を底辺となし、3つの角部を円弧状となした2等辺三角形状であって、背面側部分が側方へ膨出する下膨れ形状に形成されるとともに、嵌合部の先端外周面が歯ブラシの首部に滑らかに連なるように、係合部から首部側へ行くにしたがって断面が略相似形で連続的に小さくなるように形成され、
前記首部の正面側の稜線と嵌合部の正面側の稜線とが、連続的に連なった前方へ突出する円弧状の曲線で構成され、首部の背面側の稜線と嵌合部の背面とが略同一平面内に配置され、
前記キャップの基部が嵌合部の基部に適合する内面形状に形成され、キャップの先端部が植毛部を取り囲む小判型に形成され、キャップの基部と先端部とが滑らかに連なるように形成され、
前記キャップの先端部に植毛台の先端部を保持する保持部が設けられた、
ことを特徴とするキャップ付き歯ブラシ。
【請求項2】
前記首部の背面とグリップ部の背面とが略同一平面内に配置された請求項1記載のキャップ付き歯ブラシ。
【請求項3】
前記首部の正面側の稜線とグリップ部の正面側の稜線とが、連続的に連なった前方へ突出する円弧状の曲線で構成された請求項1又は2記載のキャップ付き歯ブラシ。
【請求項4】
前記キャップの先端部内に植毛台をキャップの先端部側へ案内するガイド突起を形成した請求項1〜3のいずれか1項記載のキャップ付き歯ブラシ。
【請求項5】
前記キャップの途中部から先端部までの断面形状を略同じ寸法の小判型に形成した請求項1〜4のいずれか1項記載のキャップ付き歯ブラシ。
【請求項6】
前記キャップの先端部に蓋体を着脱可能に固定し、該蓋体に前記植毛台の保持部を形成した請求項1〜5のいずれか1項記載のキャップ付き歯ブラシ。
【請求項7】
前記歯ブラシが、駆動部を内装したグリップ部と、グリップ部の先端部に着脱自在に取り付けられる替えブラシとを有する電動歯ブラシである請求項1〜6のいずれか1項記載のキャップ付き電動歯ブラシ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−63100(P2013−63100A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201821(P2011−201821)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000106324)サンスター株式会社 (200)
【Fターム(参考)】