説明

キャップ及びアダプターと、これらを用いた飲料水供給装置

【課題】市販のペットボトルを交換可能な飲料水供給装置を構築する。
【解決手段】キャップ2をアダプター3の導入部32に導入し、導入部32に設けられた突起325がキャップ2における第二凹部23側の付勢ピン24の先端部24aを押し込むように当接することにより、付勢ピン24が取り付けられた巻きバネ28の付勢に反して第一凹部22側へ摺動し、これにより付勢ピン24の第一凹部22側に取り付けられた円形ゴム27が導水孔25から離れることで、キャップ2に取り付けた市販のペットボトルP内の飲料水Wを、アダプター3の流路部311を介してウォーターサーバWSへ供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ウォーターサーバ等と称されるガロンボトル内の飲料水を供給する装置に対して、市販のペットボトルの飲料水を利用することができるようにするためのキャップ及びアダプターと、これらを用いた飲料水供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、一般家庭、オフィスや工場等に、冷水や温水、あるいは熱湯を自由に利用できるウォーターサーバが設置されている例が数多く認められる。
【0003】
ウォーターサーバとは、前面に冷水栓と温水栓とが配置され、内部にクーラー、及びヒーターが設けられて構成され、これらクーラー、ヒーターの上部に貯水タンクが取り付けられて飲料水を供給する装置をいう。このウォーターサーバは、貯水タンクの開口部周縁に支持部が形成されているので、この支持部に専用のガロンボトルの口部を差し込んで、このガロンボトル内の飲料水を貯水タンクに供給することにより使用する。具体的には、支持部にガロンボトルの口部を差し込み、この差し込みによって、閉鎖されている口部内の吐水栓を貯水タンクから上方に突出する突起体により押し開き、ガロンボトル内の飲料水を貯水タンクに流下させる仕組みで貯水タンクに飲料水を貯留し、さらに、飲料水をクーラーによって冷却、あるいはヒーターによって加熱し、冷水栓、温水栓をそれぞれ操作して、冷水や温水を提供している。
【0004】
なお、飲料水が消費されると、その消費された分の飲料水が、ガロンボトルから貯水タンクに流下して供給される。ガロンボトルの飲料水が消費されてなくなれば、空のガロンボトル(空容器)と新たなガロンボトルとを交換する。このような発明が、例えば下記特許文献1にて提案されている。
【0005】
ここで、ウォーターサーバに利用されるガロンボトルは、従来、ビニル等のプラスチックによってボトル形状に形成され、大容量の飲料水が充填されて約12kgの重量となっている。したがって、このガロンボトルを、口部を下に向けて持ち上げ、ウォーターサーバの支持部に設置するのはかなりの労力が必要で、ガロンボトルの交換作業が誰にでも容易できるものではないという問題があった。
【0006】
上記問題点に鑑み、例えば、下記特許文献2おいて、吐水栓を有してウォーターサーバに載置された貯水槽と、この貯水槽内に配置され、複数本の飲料水ボトルが交換自在に支持可能なボトルホルダーとを備えて構成され、ウォーターサーバの上部に着脱自在に載置されるウォーターサーバ用給水器具に係る発明が提案されている。この発明では、ボトルホルダーに倒置状態で支持された飲料水ボトルの飲料水を貯水槽に貯水し、吐水栓を通してウォーターサーバに供給するので、小容量の飲料水ボトルを1本単位で交換可能にして大きな労力を要することなくウォーターサーバに飲料水が供給できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3128612号公報
【特許文献2】特開2009−12821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献2に提案されるウォーターサーバ用給水器具では、ウォーターサーバ用給水器具の貯水槽内に、複数本の飲料水ボトルが交換自在に支持可能なボトルホルダーが配置されるものであるので、少なくとも飲料水ボトルの外壁の一部が貯水槽に貯水された飲料水と接触する可能性が生じ、衛生的にも、飲料水に異物を混入させないようにするためにも、このような構成は避けたい事項となる。さらに、飲料水が飲料水供給装置から需要者に供給されるまでに、2度にわたって貯水されるという無駄があり、このような無駄は、衛生的な観点からいえば解消されるべきものである等の問題がある。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みて創作されたもので、市販のペットボトルの飲料水を1本単位で交換可能にして大きな労力を要することなくウォーターサーバに飲料水を供給することができ、特に、飲料水に異物を混入しない等、衛生面にも考慮したキャップ及びアダプターと、これらを用いた飲料水供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、まず、本発明に係るキャップは、中底部と、この中底部が底になり、市販のペットボトルの口部に対応するねじ込み形状が内壁に形成されている第一凹部と、この第一凹部の凹みと逆向きに凹んで前記中底部が底になり、所定の外径を有する第二凹部とから筒状に形成されたキャップ本体に、前記第一凹部と前記第二凹部との間を連絡する導水孔が設けられ、前記キャップ本体内の前記中底部を上下に摺動自在に貫通する棒状部材が取り付けられるとともに、前記棒状部材の前記第一凹部側には前記導水孔を塞ぐ閉塞部材が、前記棒状部材の前記第二凹部側には前記中底部から前記第二凹部の開放側へ付勢する弾性部材が、それぞれ取り付けられて構成され、前記棒状部材が前記第一凹部側へ摺動させられることにより、前記閉塞部材による前記導水孔の閉塞が解除される、ことを特徴とする。
【0011】
特に、上記キャップに関し、第一凹部の内側に導水孔と棒状部材とを囲む第三凹部を設け、この第三凹部の内周を閉塞部材の外周が嵌合する大きさにすることが好ましい。
【0012】
また、本発明に係るアダプターは、上記キャップが取り付けられた市販のペットボトル内の飲料水を、流量を制御してウォーターサーバへ供給するアダプターであって、前記キャップにおける第二凹部の所定の外径に対応した内径を有する導入部と、この導入部に入口が連結されて前記飲料水が通過する流路部と、この流路部の出口に連結されるとともに、前記ウォーターサーバの接続部に対応する所定の外径を有する筒部と、からなり、前記導入部には、前記キャップにおける前記棒状部材の前記第二凹部側の先端に当接する突起が設けられ、前記流路部には、前記飲料水の流量を制御する制御機構が設けられた、ことを特徴としている。
【0013】
さらに、本発明に係る飲料水供給装置は、上記キャップが取り付けられた市販のペットボトル内の飲料水を、上記アダプターを用いて上記ウォーターサーバの接続部へ供給することを特徴とするもので、特に、前記市販のペットボトル内の飲料水は、前記キャップを前記アダプターの導入部に導入した際に、前記導入部の突起が前記キャップにおける第二凹部側の棒状部材の先端を押し込むように当接することにより、前記棒状部材が前記弾性部材の付勢に反して前記第一凹部側へ押し込まれ、前記第一凹部側の前記閉塞部材による前記導水孔の閉塞が解除されることで、前記アダプターの流路部に供給されるものである。
【発明の効果】
【0014】
まず、本発明に係るキャップは、中底部と、この中底部が底になり、市販のペットボトルの口部に対応するねじ込み形状が内壁に形成されている第一凹部と、この第一凹部の凹みと逆向きに凹んで中底部が底になり、所定の外径を有する第二凹部とから筒状に形成されたキャップ本体を有するので、市販のペットボトルの口部に第一凹部をねじ込んで取り付けることが可能となる。
さらに、第一凹部と第二凹部との間を連絡する導水孔が設けられているので、第一凹部に取り付けた市販のペットボトル内の飲料水を、この導水孔を通じて第二凹部へ流し入れることができる。
また、本発明に係るキャップは、キャップ本体内の中底部を上下に摺動自在に貫通する棒状部材に、導水孔を塞ぐ閉塞部材が第一凹部側に取り付けられ、第二凹部側には、棒状部材を中底部から第二凹部の開放側へ付勢する弾性部材が取り付けられてなり、棒状部材が第一凹部側へ摺動させられることで、閉塞部材による導水孔の閉塞が解除されるものである。よって、棒状部材の第一凹部側に取り付けられた閉塞部材と、第二凹部側に取り付けられた弾性部材とにより、通常、棒状部材が中底部から第二凹部の開放側へ付勢され、閉塞部材が導水孔を閉塞する状態となるので、市販のペットボトル内の飲料水が外部(第二凹部側)に流れ出ることがない。
その一方で、弾性部材の付勢力に反して棒状部材が第一凹部側へ摺動したとき、閉塞部材による導水孔の閉塞が解除されることにより、市販のペットボトル内の飲料水が導水孔を通じて第二凹部側に流れ出るようになる。このため、例えば、第二凹部の所定の外径に対応するウォーターサーバに、棒状部材を第一凹部側へ摺動させるような構成を設けることで、本発明品を備えた市販のペットボトル内の飲料水を、ウォーターサーバに取り付けたときに限って供給する仕組みを構築することができる。
【0015】
また、上記キャップの第一凹部の内側に、導水孔と棒状部材とを囲む第三凹部を設け、この第三凹部の内周を閉塞部材の外周が嵌合する大きさにすれば、弾性部材の付勢に基づく閉塞部材による導水孔の閉塞とともに、第三凹部の内周と閉塞部材の外周との嵌合によって、導水孔の閉塞が確実にできるため、弾性部材によって棒状部材を中底部から第二凹部の開放側へ付勢力が働いているときに、市販のペットボトル内の飲料水が外部に漏れることを確実に防止することができる。
【0016】
次に、本発明に係るアダプターは、上記キャップにおける第二凹部の所定の外径に対応した内径を有する導入部と、この導入部に入口が連結されて飲料水が通過する流路部と、この流路部の出口に連結されるとともに、ウォーターサーバの接続部にも対応する所定の外径を有する筒部とからなるので、上記キャップを備えた市販のペットボトルを導入部に導入することができ、これによって流路部、筒部を介してペットボトル内の飲料水をウォーターサーバへ供給することができる。さらに、導入部にはキャップにおける棒状部材の第二凹部側の先端に当接する突起が設けられているので、上記キャップを備えた市販のペットボトルの飲料水を、本発明のアダプターに取り付けたときに限って供給する仕組みを構築することができる。また、流路部には飲料水の流量を制御する制御機構が備えられているので、供給量を制御しつつウォーターサーバに飲料水を供給することもできる。
【0017】
また、本発明に係る飲料水供給装置は、上記キャップが取り付けられた市販のペットボトル内の飲料水を、上記アダプターを用いてウォーターサーバの接続部へ供給するので、上記キャップ、上記アダプターの効果を備えて、このアダプターの筒部の所定の外径に対応したウォーターサーバの接続部へ供給するという飲料水供給装置を構成することができる。特に、市販のペットボトル内の飲料水は、キャップをアダプターの導入部に導入した際に、導入部の突起がキャップにおける第二凹部側の棒状部材の先端を押し込むように当接することにより、棒状部材が弾性部材の付勢に反して第一凹部側へ押し込まれ、第一凹部側の閉塞部材による導水孔の閉塞が解除されることで、アダプターの流路部へ供給されるものとなる。このため、上記キャップを備えた市販のペットボトルを、上記アダプターに取り付け、このアダプターの筒部の所定の外径に対応したウォーターサーバの接続部へ供給したときに限り、ペットボトル内の飲料水をウォーターサーバへ供給することができ、その他の場合には、ペットボトル内の飲料水が漏れることがない飲料水供給装置として提供することができる。
【0018】
そして、本発明に係る飲料水供給装置は、上述の通りに構成されるので、市販のペットボトルの飲料水を1本単位で交換可能にすることができ、したがって大きな労力を要することなくウォーターサーバに飲料水を供給することができる。さらに、貯水槽を構成要素から不要にしているために、貯水槽内にて市販のペットボトルの外壁の一部が飲料水と接触することもなく、衛生的にも良好な飲料水供給装置として提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る飲料水供給装置の全体を概略的に示す概略正面図である。
【図2】本発明の飲料水供給装置を構成するキャップの概略正面図である。
【図3】本発明の飲料水供給装置を構成するキャップの概略平面図である。
【図4】本発明の飲料水供給装置を構成するキャップの概略底面図である。
【図5】本発明の飲料水供給装置を構成するキャップにおいて、弾性部材の付勢により棒状部材が第二凹部の開放側に摺動した状態を示す概略縦断面図である。
【図6】本発明の飲料水供給装置を構成するアダプターの概略正面図である。
【図7】本発明の飲料水供給装置を構成するアダプターの一部を断面にした概略平面図である。
【図8】本発明の飲料水供給装置を構成するアダプターの概略縦断面図である。
【図9】本発明の飲料水供給装置において、キャップがアダプターに取り付けられた状態を示し、キャップにおける弾性部材の付勢力に反して棒状部材が第一凹部側に摺動していることを説明する概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて詳述する。
【0021】
本発明に係る飲料水供給装置1は、図1に示すとおりであって、例えば、2リットル、1.5リットル、500ミリリットル等の飲料水Wが入った市販のペットボトルPの口部P1に取り付け可能なキャップ2と、このキャップ2の所定の外径に対応した内径を有する導入部32を備え、内部を通じて上記ペットボトルP内の飲料水Wを市販のウォーターサーバWSへ供給するアダプター3と、上記ウォーターサーバWSと、から構成されている。
【0022】
以下、本発明に係る飲料水供給装置1を構成するキャップ2、アダプター3について、その構成を例示して説明する。なお、市販のウォーターサーバWSは、アダプター3の筒部33の所定の外径に対応した内径の接続部WSRを備える限り、公知のものを採用すればよいので、その構成についての説明を省略する。
【0023】
本発明に係るキャップ2は、図2〜図5に示すように、まず、中底部としての中底21と、この中底21が底になり、市販のペットボトルPの口部、例えば、主にφ28mm径の口部P1に対応するねじ込み形状が内壁221に形成されている第一凹部22(例えば、図3参照)と、この第一凹部22の凹みと逆向きに凹んで中底21が底になり、所定の外径、例えばφ40.2mm径の第二凹部23(例えば、図4参照)とから筒状に形成されてなるキャップ本体20を有している。本実施形態のキャップ2は、第一凹部22の外径もφ40.2mm径であって、外観において段部のない筒状形状をしている。
【0024】
さらに、中底21には、図5に示すように、キャップ2の中底21を上下に摺動自在に貫通する棒状部材としての付勢ピン24と、第一凹部22と第二凹部23との間を連絡する導水孔25とが設けられている。具体的には、中底21を貫通する付勢ピン24の周りに導水孔25が形成され、特に、これら付勢ピン24と導水孔25とは、第一凹部22側の中底21に形成された第三凹部26に囲まれて設けられている。なお、導水孔25は、キャップ2を取り付けるペットボトルP内の空気取り入れ孔としても機能する。
【0025】
中底21を貫通している付勢ピン24には、第一凹部22側の先端部に、導水孔25を閉塞する閉塞部材としての円形ゴム材27が取り付けられ、第二凹部23側に、中底21から第二凹部23の開放側へ付勢する弾性部材としての巻きバネ28が、中底21から第二凹部23側の先端部24aにわたって取り付けられている。付勢ピン24の第二凹部23側の先端部24aは、巻きバネ28が外れないようにするために幅太に形成されている。また、巻きバネ28は、第二凹部23側の先端部24aを中底21から離れる方向へ付勢するようにするため、その一端部を付勢ピン24の先端部24aにて接着しても好ましい実施形態となる。
【0026】
ここで、キャップ2を平面視すれば、図3に示すようになり、第三凹部26の内周は、巻きバネ28の付勢によって付勢ピン24が第二凹部23側へ摺動するときに円形ゴム材27の外周と嵌合する大きさで設けられている。これにより、キャップ2は、巻きバネ28の付勢によって円形ゴム材27が導水孔25を閉塞するようになるとともに、第三凹部26の内周と円形ゴム材27の外周との嵌合によっても導水孔25を閉塞するようになる(図5、図9も参照のこと。)。また、キャップ2を底面視すれば、図4に示すようになり、巻きバネ28が取り付けられている付勢ピン24の周囲の中底21に導水孔25が形成された形態を有している(図5、図9も参照のこと。)。
【0027】
なお、本実施形態におけるキャップ2は、好ましい実施形態として説明したため、中底21の第二凹部22側に、付勢ピン24とその周りの導水孔25とを囲む第四凹部29を設けているが、この第四凹部29は、必ずしも形成する必要はない。また、本実施形態では、第一凹部の内壁221を、現在主に採用されている口部の直径がφ28mm径のペットボトルに対応するものとして説明したが、ペットボトルの口部の径は特に規格化されたものではないため、様々なペットボトルの口部に対応する第一凹部の内壁と、この内壁に形成するねじ込み形状とについては、それぞれ個別に対応すべきことに留意する。
【0028】
次に、本発明に係るアダプター3について説明する。
アダプター3は、図1に示すように、制御機構を備えたアダプター本体部31の内部に流路部を備え、この流路部の入口側に導入部32が設けられ、流路部の出口側に図示されない筒部が設けられて構成され、上記キャップ2が取り付けられた市販のペットボトルP内の飲料水Wを、導入部32からアダプター本体部31の流路部を通すことで、流量を制御しつつ筒部33を介してウォーターサーバWSへ供給するものである。以下、アダプター3の各部(導入部32、アダプター本体部31、筒部)の構成を詳しく説明する。
【0029】
導入部32は、図6〜図8に示すように、合成樹脂にて一体成型されたプラスチック製の略円柱状部材で、上記キャップ2における第二凹部23の所定の外径(φ40.2mm径)に対応する内径になるように形成された内壁321を有している。さらに、この内壁321と、底を形成する底部322とで、キャップ取付凹部32Aが形成されている。キャップ取付凹部32Aの底部322には、アダプター本体部31の流路部311へと通じる孔323が形成され、また、この孔323が形成されている底部322の外周縁からキャップ取付凹部32Aの下側へ向けて、アダプター本体部31と連結させるための環状連結部324が延設されている。
【0030】
また、キャップ取付凹部32Aには、底部322から上側へ突出する突起325が設けられている。この突起325は、導入部32に上記キャップ2が取り付けられる際に、キャップ2の構成部品である付勢ピン24の第二凹部側23の先端部24aに当接し、付勢ピン24に取り付けられた巻きバネ28による中底21から第二凹部23の下側への付勢に逆らって、付勢ピン24を第一凹部22側に押し上げることができる程度に底部322から突出している(以上、例えば、図8および図9参照)。
【0031】
筒部33は、図6〜図8に示すように、例えば、合成樹脂にて一体成型されたプラスチック製の筒状部材で、アダプター本体部31の流路部311の出口側に取り付けられて連通する筒状連結部332が一端に形成され、その外壁の中間部分には、外向きに延伸する傘状部331が設けられた形態を有している(例えば、図8参照)。この傘状部331の上面はアダプター本体部31の下端部分に当接する一方、その下面が飲料水WのウォーターサーバWSの接続部WSRに接続可能なサイズを有し、例えば、ウォーターサーバWSの接続部WSRの内径がφ55.5mm径であれば、筒部33の外径はφ55.5mm径とされる。
また、傘状部331の外径は、アダプター本体部31の下端面をすべて載置することができる大きさであって、ウォーターサーバWSの接続部WSRの上部の大きさに対応する程度の大きさにすることが好ましい。例えば、接続部WSRの上端面が平面視φ185.0mm径の大きさであれば、アダプター本体部31の下端面とすべて当接でき、また、例えば、傘状部331の外径をφ185.0mm径の前後の大きさとすればよい。これにより、筒部33は、ウォーターサーバWSの接続部WSRを上部から覆うことができるようになる(例えば、図6および図8参照)。
【0032】
アダプター本体部31は、内部に流路部311が設けられるとともに、この流路部311の途中に、飲料水Wの流量を制御する制御機構を構成するバルブ、例えば、ボールバルブ312が備えられて構成されている(例えば、図7、図8参照)。また、図6および図8に示すように、外部には、ボールバルブ312を開閉して流路部311における飲料水Wの流量を制御する制御機構を構成する調整ツマミ313が設けられている。なお、上述の通り、流路部311の一端側は、導入部32の環状連結部324と連結可能な形状に形成され、他端も筒部33の筒状連結部332と連結可能な形状に形成されている。
【0033】
流路部311における飲料水Wの流量を制御する制御機構は、上述の通り、ボールバルブ312と調節ツマミ313とで構成されている。その機構は、調節ツマミ313を「閉」から「開」へと操作することで、ボールバルブ312が連動して開放され、流路部311を流れる飲料水Wを「せき止め状態」から「通過可能状態」にして、飲料水Wの流量を制御する仕組みである。また、飲料水Wの流量を制御する制御機構は、調節ツマミ313を、例えば、「0」から「100」までとし、これに応じてボールバルブ312の開放の程度を適宜調整して、流量を量的に制御することができるようにしても好ましい。
【0034】
そして、導入部32の環状連結部324をアダプター本体部31の流路部311の入口のある上端部と連通するように取り付け、流路部311の出口のある下端部と連通するように筒部33の筒状連結部332を取り付けることによって、アダプター3を組立てることができる。なお、流路部311の上端部への導入部32の環状連結部324の取り付け、流路部311の下端部への筒部33の筒状連結部332の取り付けは、図8のような嵌入による接続以外にも、係合、螺合等の方法、或いは、接着剤などを用いて結合させる方法等、様々な取り付け方法を採用することができる。また、アダプター本体部31、導入部32、筒部33は、上述の通りの構成を有するものである限り、これらの構成部材を一体成型により形成しアダプター3を構成してもよい。
【0035】
そうすると、例えば、図9に示すように、上記キャップ2が取り付けられた市販のペットボトルP内の飲料水Wは、キャップ2がアダプター3の導入部32、特にキャップ取付凹部32Aに導入されることにより、キャップ取付凹部32Aの突起325がキャップ2の構成部品である付勢ピン24の第二凹部側23の先端部24aに当接し、付勢ピン24に取り付けられた巻きバネ28による中底21から第二凹部23側への付勢力に逆らって付勢ピン24を第一凹部22側に押し上げ、円形ゴム27による導水孔25の閉塞が解除されて、第二凹部23、導入部32、キャップ取付凹部32Aの孔323を介して流路部311へ導かれることになる。さらに、アダプター本体部31の調整ツマミ313を「開」にすることでボールバルブ312が開放され、飲料水Wの流量が制御されつつ筒部33に誘導され、例えば、この筒部33外径に対応した内径を有する接続部WSRを備えるウォーターサーバWSへ供給されることになる。
【0036】
なお、本実施形態では、図6に示されるように、アダプター3は、1つのアダプター本体部31に対し、2つの導入部32が備えられ、これに対応して2箇所の制御機構が設けられた構成を例示している。これは、例えば、右側の導入部32に導入されたペットボトルPの飲料水Wを供給したい場合に、右側の調整ツマミ313を「開」とし、左側の調整ツマミ313を「閉」とする使い方ができることを現している。また、例えば、2箇所の導入部32に取り付けられたペットボトルの飲料水Wを両方とも供給したい場合には、両側の調整ツマミ313を「開」とすればよい。
【0037】
次に、キャップ2が取り付けられた市販のペットボトルPの飲料水Wが、アダプター3を介して、ウォーターサーバとしての市販(公知)のウォーターサーバWSに供給されるようにした本発明に係る飲料水供給装置1に関し、図1や図9等を参照しつつ、その使用方法、組立方法等を概略的に説明する。
【0038】
まず、飲料水Wが入った市販のペットボトルPの口部P1をキャップ2の第一凹部22の内壁221へねじ込んで取り付ける。また、アダプター本体部31の流路部311の上端部に導入部32の環状連結部324を取り付け、下端部に筒部33を取り付けてアダプター3を組立てる。
【0039】
さらに、市販(公知)のウォーターサーバWSの接続部WSRに、組立てたアダプター3の筒部33を取り付ける。アダプター3の筒部33には、その途中にウォーターサーバWSの接続部WSRの上部に対応する大きさの傘状部331が設けられているので、これによりウォーターサーバWSの接続部WSRが上部から覆われるようになり、筒部33における接続部WSRへの取り付けと併せて、外部からウォーターサーバWSへ飲料水W以外の異物等の混入を防ぐことができる。なお、組立てたアダプター3の筒部33のウォーターサーバWS(接続部WSR)への取り付けは、嵌入、係合、螺合等の手作業にて着脱可能な方法である限り、様々な取付方法を採用して取り付ければよい(例えば、図1参照)。
【0040】
次に、市販のペットボトルPに取り付けたキャップ2を、ウォーターサーバWSに取り付けたアダプター3の導入部32のキャップ取付凹部32Aに導入する。このキャップ取付凹部32Aの内壁321は、キャップ2における第二凹部23の所定の外径に対応して形成されている。このため、アダプター3のキャップ取付凹部32Aへのキャップ2の取り付け後は、密閉環境となり、外部からアダプター3の内部、特に流路部311へ、飲料水W以外の異物等の混入を防ぐことができる。これにより、図1に示すような飲料水供給装置1を構築することができる。なお、市販のペットボトルPに取り付けたキャップ2のアダプター3(キャップ取付凹部32A)への導入も、嵌入、係合、螺合等の手作業にて着脱可能な方法である限り、様々な導入方法を採用して導入すればよい。
【0041】
そうすると、例えば、図9に示すように、上記キャップ2が取り付けられた市販のペットボトルP内の飲料水Wは、キャップ2がアダプター3の導入部32に形成されたキャップ取付凹部32Aに導入されることにより、キャップ取付凹部32Aの突起325がキャップ2の構成部品である付勢ピン24の第二凹部側23の先端部24aに当接し、付勢ピン24に取り付けられた巻きバネ28による中底21から第二凹部23側への付勢力に逆らって付勢ピン24を第一凹部22側に押し上げ、円形ゴム27による導水孔25の閉塞を解除して、第二凹部23、導入部32のキャップ取付凹部32Aの孔323を介して流路部311へ供給される。
【0042】
さらに、アダプター本体部31の飲料水Wの流量を制御する調整ツマミ313を「開」にすれば、飲料水Wが筒部33に供給され、続いて、この筒部33が取り付けられている接続部WSRからウォーターサーバWSへ供給される。
【0043】
ウォーターサーバWSへ飲料水Wが供給された後は、従来と同様に、飲料水Wが貯水タンクに溜まるので、溜まった飲料水Wをクーラーによって冷却、あるいはヒーターによって加熱し、冷水栓、温水栓をそれぞれ操作すれば、冷水や温水にした飲料水Wを必要なときに提供することができる。飲料水Wが消費されると、アダプター本体部31の調整ツマミ313を「開」の状態にしている限り、その消費された分の飲料水Wが、市販のペットボトルPからキャップ2、アダプター3を介して供給される。市販のペットボトルPの飲料水Wが消費されてなくなれば、空のペットボトルPとキャップ2を取り付けた新たなペットボトルPとを交換すれば、引き続き、図1に示すような本発明に係る飲料水供給装置1を使用することができる。なお、キャップ2の導水孔25は、空気取り入れ孔としても機能しているため、飲料水Wが消費されるにつれて市販ペットボトルP内が負圧となるようなこともない。
【0044】
なお、上記実施形態においては、図9等に示すように、キャップ2とアダプター3の導入部32との連結箇所、導入部32の環状連結部324とアダプター本体部31との接合箇所や、アダプター本体部31と筒部33の筒状連結部332との連結箇所等には、それぞれOリングなどのパッキンを配置して、確実にペットボトルP内の飲料水Wを外部へ漏らさないようにすることが好ましい。
【0045】
したがって、本発明に係る飲料水供給装置1では、上述の通りに構成したキャップ2、アダプター3を用いることにより、市販のペットボトルPを1本単位で交換するだけで、ウォーターサーバWSに飲料水Wを供給することができ、大きな労力を使う必要もなく、女性や高齢者であっても容易に交換することができるほか、さらに、ペットボトルPの外壁と飲料水Wとが接する可能性を除外し、また、アダプター本体部31の流路部331への異物の混入を防いでいるので、衛生的にも良好な飲料水供給装置1として提供することができる。
【0046】
特に、本発明に係るキャップ2では、通常、付勢ピン24を中底21から第二凹部23の開放側へ付勢する巻きバネ28よって円形ゴム27が導水孔25を塞ぎ、また、第三凹部26の内周と円形ゴム27の外周との嵌合によっても導水孔25を塞いでいるために、市販のペットボトルP内の飲料水Wが外部に漏れることがない。その一方で、アダプター3のキャップ取付凹部32Aの突起325が付勢ピン24の第二凹部23側の先端部24aに当接したとき等、巻きバネ28の付勢力に反して付勢ピン24が第一凹部22側へ摺動したときにのみ、円形ゴム27による導水孔25の閉塞が解除され、初めて市販のペットボトルP内の飲料水Wが導水孔25を通じて第二凹部23側に行き渡るようになる仕組みを構築している。このため、例えば、第二凹部23の所定の外径に対応する導入部32を有するアダプター3が取り付けられたときに限り、市販のペットボトルP内の飲料水Wを、アダプター3へ供給することができ、その他の場合に市販のペットボトルP内の飲料水Wが外部に漏れることを確実に防止することができる。
【0047】
すなわち、本発明では、キャップ2を備えた市販のペットボトルPを、アダプター3に取り付け、このアダプター3の筒部33をウォーターサーバWSに取り付けたときに限り、上述の通り、ペットボトルP内の飲料水WをウォーターサーバWSへ供給することができため、その他の場合にペットボトルP内の飲料水Wが漏れることがない飲料水供給装置として提供することができる。
【0048】
このほか、本発明に係るアダプター3では、流路部311に飲料水の流量を制御する調整ツマミ313、ボールバルブ312からなる制御機構が備えられているので、ウォーターサーバWSへの飲料水Wの供給量を制御して供給することができる。
【0049】
以上、本発明に係る実施形態の1つを例示して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。また、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱しなければ、本発明を構成する要素、ペットボトルやウォーターサーバ等、さらには、キャップ、アダプターを構成する構成部品、これらを成形するための合成樹脂やその金型等に関し、公知または周知のものを使用することができるし、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱しなければ、これらの種々の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0050】
1・・・・飲料水供給装置
2・・・・キャップ
20・・・キャップ本体
21・・・中底(中底部)
22・・・第一凹部
221・・内壁
23・・・第二凹部
24・・・付勢ピン(棒状部材)
24a・・先端部
25・・・導水孔
26・・・第三凹部
27・・・円形ゴム(閉塞部材)
28・・・巻きバネ(弾性部材)
29・・・第四凹部
3・・・・アダプター
31・・・アダプター本体部
311・・流路部
312・・ボールバルブ(制御機構)
313・・調整ツマミ(制御機構)
32・・・導入部
32A・・キャップ取付凹部
321・・内壁
322・・底部
323・・孔
324・・環状連結部
325・・突起
33・・・筒部
331・・傘状部
332・・筒状連結部
P・・・・ペットボトル
P1・・・口部
W・・・・飲料水
WS・・・ウォーターサーバ
WSR・・接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中底部と、この中底部が底になり、市販のペットボトルの口部に対応するねじ込み形状が内壁に形成されている第一凹部と、この第一凹部の凹みと逆向きに凹んで前記中底部が底になり、所定の外径を有する第二凹部とから筒状に形成されたキャップ本体に、
前記第一凹部と前記第二凹部との間を連絡する導水孔が設けられ、前記キャップ本体内の前記中底部を上下に摺動自在に貫通する棒状部材が取り付けられるとともに、
前記棒状部材の前記第一凹部側には前記導水孔を塞ぐ閉塞部材が、前記棒状部材の前記第二凹部側には前記中底部から前記第二凹部の開放側へ付勢する弾性部材がそれぞれ取り付けられて構成され、
前記棒状部材が前記第一凹部側へ摺動させられることにより、前記閉塞部材による前記導水孔の閉塞が解除される、
ことを特徴とするキャップ。
【請求項2】
前記第一凹部の内側に、前記導水孔と前記棒状部材とを囲む第三凹部を設け、
この第三凹部の内周を、前記閉塞部材の外周が嵌合する大きさにした、
ことを特徴とする請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のキャップが取り付けられた市販のペットボトル内の飲料水を、流量を制御してウォーターサーバへ供給するアダプターであって、
前記キャップにおける第二凹部の所定の外径に対応した内径を有する導入部と、この導入部に入口が連結されて前記飲料水が通過する流路部と、この流路部の出口に連結されるとともに、前記ウォーターサーバの接続部に対応する所定の外径を有する筒部と、からなり、
前記導入部には、前記キャップにおける前記棒状部材の前記第二凹部側の先端に当接する突起が設けられ、
前記流路部には、前記飲料水の流量を制御する制御機構が設けられた、
ことを特徴とするアダプター。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のキャップが取り付けられた市販のペットボトル内の飲料水を、請求項3に記載のアダプターを用いて前記ウォーターサーバの接続部へ供給する、
ことを特徴とする飲料水供給装置。
【請求項5】
請求項4に記載の飲料水供給装置において、
前記市販のペットボトル内の飲料水は、前記キャップを前記アダプターの導入部に導入した際に、前記導入部の突起が前記キャップにおける第二凹部側の棒状部材の先端を押し込むように当接することにより、前記棒状部材が前記弾性部材の付勢に反して前記第一凹部側へ押し込まれ、前記第一凹部側の前記閉塞部材による前記導水孔の閉塞が解除されることで、前記アダプターの流路部に供給される、
ことを特徴とする飲料水供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−213411(P2011−213411A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85949(P2010−85949)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(597068250)株式会社アイディーティー (1)
【Fターム(参考)】