説明

キャップ取着方法

【課題】 ディップチューブ付きキャップを容器の口部に取着するに際し、キャップ取着装置の装置構成を簡素化するとともに、キャップ取着作業時間を短縮化すること。
【解決手段】 ディップチューブ付きキャップAを容器Cの口部に取着するキャップ取着方法であって、キャップ支持部25とチューブしごき部26を併せ備えるキャップ供給ハンド23を用い、キャップ供給ハンド23のキャップ支持部25にキャップAを支持するとともに、チューブしごき部26にディップチューブBを配置する工程を有するもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はディップチューブ付きキャップを容器の口部に取着するキャップ取着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のキャップ締込チャックによるディップチューブ付きキャップを容器の口部に取着するキャップ取着方法として、特許文献1に記載のものがある。このキャップ取着方法は、キャップ供給装置としごき装置を互いに個別に有し、以下の如くによりキャップ取着する(図8)。
【0003】
(1)キャップ供給装置1のキャップ供給チャック1Aが把持して供給してくるキャップAとディップチューブBのそれぞれを、キャップ締込装置2の原位置にあるキャップ締込チャック2Aと、しごき装置3のしごきチャック3Aにて挟持する。キャップ締込チャック2Aは、ローラ開閉装置2Bにより締付ローラ2Cの間にキャップAを挟持する。
【0004】
(2)キャップ供給チャック1AがキャップAを開放する。そして、しごきチャック3Aを下降させ、ディップチューブBを上端側から下端側にかけてしごいてストレート状にする。しごきチャック3Aは待避位置に後退する。
【0005】
(3)キャップ締込チャック2Aが挟持するキャップAを下降し、上述(2)によりストレート状になったディップチューブBを容器Cに挿入する。
【0006】
(4)ローラ回転装置2Dによりキャップ締込チャック2Aの締付ローラ2Cを強制回転し、締付ローラ2Cが挟持しているキャップAを容器Cに螺着する。
【0007】
(5)キャップ締込チャック2A、しごきチャック3Aを原位置に戻す。
【0008】
尚、キャップ供給装置1はキャップ供給チャック1Aを前進後退させる前進後退装置1B、キャップ供給チャック1Aを昇降させる昇降装置1Cを有する。キャップ締込装置2はキャップ締込チャック2Aを昇降させる昇降装置2Eを有する。しごき装置3はしごきチャック3Aを前進後退させる前進後退装置3B、しごきチャック3Aを昇降させる昇降装置3Cを有する。
【特許文献1】特許3298063
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の従来技術には以下の問題点がある。
(1)キャップ供給装置1としごき装置3を個別にするものであり、それらが個別に前進後退装置1Bと昇降装置1C、前進後退装置3Bと昇降装置3Cを有しており、装置構成が複雑である。
【0010】
(2)キャップ供給措置1のキャップ供給チャック1AがキャップAを把持する工程と、しごき装置3のしごきチャック3AがディップチューブBを狭持する工程が別工程でなされる。キャップ供給チャック1AがキャップAをキャップ締込チャック2Aに供給したとき、しごきチャック3AはディップチューブBを把持してからでないと、直ちにはディップチューブBをしごくことができず、キャップAを容器Cに螺着する作業時間(サイクルタイム)の短縮に困難がある。
【0011】
本発明の課題は、ディップチューブ付きキャップを容器の口部に取着するに際し、キャップ取着装置の装置構成を簡素化するとともに、キャップ取着作業時間を短縮化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、キャップ取着具によりディップチューブ付きキャップを容器の口部に取着するキャップ取着方法であって、キャップ支持部とチューブしごき部を併せ備えるキャップ供給ハンドを用い、キャップ供給ハンドのキャップ支持部にキャップを搬入する工程と、キャップ供給ハンドのキャップ支持部にキャップを支持するとともに、チューブしごき部にディップチューブを配置する工程と、キャップ供給ハンドのキャップ支持部が支持するキャップをキャップ供給位置でキャップ取着具に把持させてキャップ支持部からキャップ取着具に移載する工程と、キャップ供給ハンドをキャップ供給位置から下降し、キャップ供給ハンドのチューブしごき部によりディップチューブをしごく工程と、キャップ取着具をキャップ供給位置からチューブ先端挿入位置に移動し、ディップチューブを容器の口部から内部に挿入する工程と、キャップ供給ハンドを容器の口部より退避させる工程と、キャップ取着具をキャップ取着位置に移動させることで、キャップを容器の口部に位置付ける工程と、キャップ取着具によりキャップを容器の口部に取着する工程とを有するようにしたものである。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1に記載のキャップ取着方法に用いるキャップ供給ハンドであって、左右一対の開閉ハンドを有し、両開閉ハンドがそれらの閉じ状態でキャップの外周下部を両側から支持する凹状のキャップ支持部を形成するとともに、ディップチューブの外周を両側から囲む孔状のチューブしごき部をキャップ支持部の中央に形成するようにしたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
キャップ取着装置10は、キャップ供給装置兼しごき装置20と、キャップ締込装置30を有し、キャップ締込装置30によりトリガーキャップ等のキャップA及びその合成樹脂等からなるディップチューブBを容器Cの口部に取着する。
【0015】
(キャップ供給装置兼しごき装置20)
キャップ供給装置兼しごき装置20は、図1〜図6に示す如く、昇降装置21の昇降台21Aを昇降ガイド21Bに昇降可能に設け、前進後退装置22の横行台22Aを昇降台21Aに設けた横行ガイド22Bに前進後退可能に設け、横行台22Aにキャップ供給ハンド23を設けてある。
【0016】
キャップ供給ハンド23は、図7に示す如く、左右1対の開閉ハンド23A、23Aを有し、開閉装置24によりそれら開閉ハンド23A、23Aを互いに開閉可能にするとともに、キャップ支持部25とチューブしごき部26を併せ備える。両開閉ハンド23Aは、それらの閉じ状態で、キャップAのディップチューブBより大径の外周下部を両側から軽く掴んで支持する有底凹状のキャップ支持部25を形成するとともに、キャップAの下部から延在している曲がり状(真直状でも可)のディップチューブBの外周を両側から僅かな隙間を介して囲む貫通孔状のチューブしごき部26をキャップ支持部25の中央に形成する。隙間は0mm〜10mm程度が好ましく、更に好ましくは2mm〜7mmである。この隙間が狭すぎるとチューブをしごく際にチューブを傷つけることがある。また広すぎるとしごきの際にチューブが外れることがある。また隙間がゼロでも開閉装置24の支持力を弱めたり、しごき部26を低摩擦な表面とすればチューブ傷つけ等の問題は生じない。キャップ支持部25は、キャップ支持の際、両開閉ハンド23Aの間隔が僅かに開いているような形状とされる。その間隔は、0.1mm〜15mm程度が好ましく、更に好ましくは5mm〜12mmである。この間隔がゼロであると、キャップサイズ精度不良の際、特にキャップが小さい際にはキャップ支持部25でキャップを支持することが困難になる。間隔が大きすぎると、チューブしごきの際、キャップ支持部からキャップが外れる瞬間に開閉ハンド23の移動距離が大きいため不安定となり、チューブしごき部26からチューブが外れることがある。各開閉ハンド23Aは、それらの合せ面をキャップ支持部25、チューブしごき部26の半割面とし、キャップ支持部25を形成する半割凹部25Aと、チューブしごき部26の半割孔26Aをそれらの合せ面に臨ませるように備える。
【0017】
(キャップ締込装置30)
キャップ締込装置30は、図1〜図5に示す如く、キャップ締込チャック31(キャップ取着具)を構成する複数個の締込ローラ31AによりキャップAの外周を挟持し、この締込ローラ31Aの回転によりキャップAを容器Cの口部に螺着させる。
【0018】
キャップ締込装置30は、昇降装置32の昇降台32Aを昇降ガイド32Bに昇降可能に設け、昇降台32Aにキャップ締込チャック31(締込ローラ31A)を設けるとともに、締込ローラ31Aのためのローラ開閉装置33とローラ回転モータ34を備える。34Aはローラ回転伝達軸を示す。
【0019】
以下、キャップ取着装置10を用いたキャップAの取着方法について説明する。
(1)キャップ搬入機11が搬入してくるキャップAをキャップ供給装置兼しごき装置20の原位置に待機しているキャップ供給ハンド23に搬入する(図1)。
【0020】
(2)キャップ供給ハンド23のキャップ支持部25にキャップAの外周下部を支持するとともに、チューブしごき部26の孔内にディップチューブBを配置する。キャップ供給ハンド23のキャップ支持部25にキャップAを搬入するとき、両開閉ハンド23Aを開閉装置24により開き、キャップAをキャップ支持部25に搬入した後、両開閉ハンド23Aを開閉装置24により閉じる。
【0021】
(3)キャップ供給装置兼しごき装置20の前進後退装置22により、キャップ供給ハンド23を原位置からキャップ供給位置に前進させる。キャップ供給位置には、キャップ締込装置30のキャップ締込チャック31が待機している。これにより、キャップ供給ハンド23のキャップ支持部25が支持するキャップAの外周上部を、キャップ供給位置にてキャップ締込チャック31の締込ローラ31Aに把持させてキャップ支持部25からキャップ締込チャック31の締込ローラ31Aに移載する(図2)。キャップ締込チャック31の締込ローラ31AがキャップAのキャップ供給ハンド23により支持されている部分の上部外周を囲み、ローラ開閉装置33がそれらの締込ローラ31Aの間隔を閉じることにより、キャップAの外周をそれらの締込ローラ31Aにより把持するものになる。
【0022】
(4)キャップ供給装置兼しごき装置20の昇降装置21により、キャップ供給ハンド23をキャップ供給位置から下降し、キャップ供給ハンド23のキャップ支持部25がキャップAから外れ、キャップ供給ハンド23のチューブしごぎ部26によりディップチューブBを上端側から下端側にかけてストレート状にしごく(図3)。ディップチューブ10の下端部が容器Cの口部の直上に位置合せされる。
【0023】
(5)キャップ締込装置30の昇降装置32により、キャップ締込チャック31(締込ローラ31A)をキャップ供給位置からチューブ先端挿入位置まで下降し、ディップチューブBを容器Cの口部から内部に挿入する(図4)。
【0024】
(6)キャップ供給装置兼しごき装置20のキャップ供給ハンド23の両開閉ハンド23Aを開閉装置24に開き、前進後退装置22によりキャップ供給ハンド23を上述(1)の原位置の下方に後退させる(図5)。この際、キャップ締込装置30の下降は停止していても良いし、キャップ供給ハンド23との干渉がなければ下降を続けている最中でも良い。下降を続けるほうがサイクルタイム的には有利である(図4、図5)。
【0025】
(7)キャップ締込装置30の昇降装置32により、キャップ締込チャック31(締込ローラ31A)をキャップ取着位置まで下降し、締込ローラ31Aが把持しているキャップAを容器Cの口部に位置付ける(図5)。更に、ローラ回転モータ34によりキャップ締込チャック31の締込ローラ31Aを回転し、キャップAを容器Cの口部に螺着する(図5)。
【0026】
(8)キャップ締込装置30のローラ開閉装置33により締込ローラ31Aを開き、昇降装置32によりキャップ締込チャック31(締込ローラ31A)を上昇させてキャップ供給位置に戻す(図6)。
【0027】
(9)キャップ供給装置兼しごき装置20の前進後退装置22によりキャップ供給ハンド23を上昇させて原位置に戻し待機させる(図6)。
【0028】
以後、上述(1)〜(9)をくり返す。
【0029】
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)キャップ供給ハンド23がキャップ支持部25とチューブしごき部26を併せ備えるものであり、それらの昇降装置21や前進後退装置22を共通化する等、装置構成を簡素化できる。
【0030】
(b)キャップ供給ハンド23のキャップ支持部25にキャップAを支持するとともに、チューブしごき部26にディップチューブBを配置する工程を単一工程化できる。キャップ供給ハンド23のキャップ支持部25がキャップAをキャップ締込チャック31(キャップ取着具)に移載した後、直ちにチューブしごき部26によりディップチューブBをしごくことができ、キャップAを容器Cの口部に取着する作業時間(サイクルタイム)を短縮化できる。
【0031】
(c)キャップ供給ハンド23が、左右一対の開閉ハンド23Aを有し、両開閉ハンド23Aがそれらの閉じ状態でキャップAの外周下部を両側から支持する凹状のキャップ支持部25を形成するとともに、ディップチューブBの外周を両側から囲む孔状のチューブしごき部26をキャップ支持部25の中央に形成するものとすることにより、キャップ供給ハンド23の形態を単純化できる。
【0032】
尚、キャップ取着装置10はキャップ取着具をキャップ締込チャック31(締込ローラ31A)としてキャップAを容器Cの口部に螺着させるものについて説明したが、本発明の実施において、キャップ取着具はキャップAを容器Cの口部に打込み等の他の手段で取着するものでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1はキャップ取着装置の第1、第2工程を示す模式図である。
【図2】図2はキャップ取着装置の第3工程を示す模式図である。
【図3】図3はキャップ取着装置の第4工程を示す模式図である。
【図4】図4はキャップ取着装置の第5工程を示す模式図である。
【図5】図5はキャップ取着装置の第6、第7工程を示す模式図である。
【図6】図6はキャップ取着装置の第8、第9工程を示す模式図である。
【図7】図7はキャップ供給ハンドを示す模式図である。
【図8】図8はキャップ取着装置の従来例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0034】
A キャップ
B ディップチューブ
C 容器
10 キャップ取着装置
20 キャップ供給装置兼しごき装置
21 昇降装置
22 前進後退装置
23 キャップ供給ハンド
24 開閉装置
25 キャップ支持部
26 チューブしごき部
30 キャップ締込装置
31 キャップ締込チャック(キャップ取着具)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップ取着具によりディップチューブ付きキャップを容器の口部に取着するキャップ取着方法であって、
キャップ支持部とチューブしごき部を併せ備えるキャップ供給ハンドを用い、
キャップ供給ハンドのキャップ支持部にキャップを搬入する工程と、
キャップ供給ハンドのキャップ支持部にキャップを支持するとともに、チューブしごき部にディップチューブを配置する工程と、
キャップ供給ハンドのキャップ支持部が支持するキャップをキャップ供給位置でキャップ取着具に把持させてキャップ支持部からキャップ取着具に移載する工程と、
キャップ供給ハンドをキャップ供給位置から下降し、キャップ供給ハンドのチューブしごき部によりディップチューブをしごく工程と、
キャップ取着具をキャップ供給位置からチューブ先端挿入位置に移動し、ディップチューブを容器の口部から内部に挿入する工程と、
キャップ供給ハンドを容器の口部より退避させる工程と、
キャップ取着具をキャップ取着位置に移動させることで、キャップを容器の口部に位置付ける工程と、
キャップ取着具によりキャップを容器の口部に取着する工程とを有するキャップ取着方法。
【請求項2】
請求項1に記載のキャップ取着方法に用いるキャップ供給ハンドであって、
左右一対の開閉ハンドを有し、両開閉ハンドがそれらの閉じ状態でキャップの外周下部を両側から支持する凹状のキャップ支持部を形成するとともに、ディップチューブの外周を両側から囲む孔状のチューブしごき部をキャップ支持部の中央に形成するキャップ供給ハンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−331779(P2007−331779A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−164084(P2006−164084)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】