説明

キャップ組立体、二次電池及び二次電池の製造方法

【課題】電解液注入口を備える二次電池及びその製造方法を提供する。
【解決手段】キャップ組立体を備える二次電池において、上記キャップ組立体は電解液注入口を備えるキャッププレートを含み、上記電解液注入口は上部にテーパ部を含み、上記テーパ部は粗さを有することを特徴とする二次電池に関し、上記電解液注入口内には電解液注入口を密閉するための密閉部材をさらに含み、上記密閉部材は、栓と、上記栓の外周面にコーティングされた樹脂材と、からなることを特徴とする二次電池に関する。よって、本発明は電解液注入口の密閉特性が非常に優れた二次電池を提供する効果を有し、また、栓の溶接工程が排除され、製造工程の生産性を向上させる効果を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解液注入口を備える二次電池及びその製造方法(Secondary battery comprising Electrolyte Injection−hole and Fabricating method the same)に関する。より詳しくは、電解液の注入後に電解液注入口の密閉性を高めた二次電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近になって、携帯電話、ノート型パソコン、カムコーダなどのコンパクトかつ軽量化された携帯電子/電気機器が活発に開発及び生産されていて、上記携帯電子/電気機器などは電源のない場所においても作動できるようにバッテリパックが装着されている。上記バッテリパックは経済的な面から考慮した場合、ニッケル−カドミウム(Ni−Cd)電池、ニッケル−水素(Ni−MH)電池及びリチウム(Li)電池と代表され、充放電が可能な二次電池を用いたバッテリパックを一般に用いる。
【0003】
その中でも、リチウム二次電池は上記ニッケル−カドミウム電池またはニッケル−水素電池に比べて動作電圧が3倍も高く、単位重量当たりのエネルギー密度も高く上記携帯電子/電気機器に広く用いられている。上記リチウム二次電池は使用する電解質の種類によって液体電解質を用いるリチウムイオン電池と高分子電解質を用いるリチウムポリマー電池で区分されるか、又は製造形態によって円筒状、角形またはパウチ型で区分される。
【0004】
一般に、リチウム二次電池を用いたバッテリパックは、それぞれの活物質が塗布された集電体に電極タブが接続された正極板、陰極板及び上記正極板と陰極板との間に位置するセパレータを含む電極組立体を上端部が開口された缶に収納し、上記缶の上端開口部をキャップ組立体で密封して形成したベアセル及び上記ベアセルと電気的に接続して上記ベアセルの過充放電を防止する保護回路組立体を含み、上記保護回路組立体は上記ベアセルの充放電時の電圧または電流を制御する保護回路基板、上記保護回路基板とベアセルとの間に形成され、上記保護回路基板が安着できる空間を提供する下部ケース及び上記下部ケースと結合されて上記保護回路基板を外部衝撃などから保護する上部ケースを含む。
【0005】
図1は、従来の電解液注入口を備える二次電池を示す断面図である。
【0006】
図1に示すように、二次電池10は、缶11と、上記缶11の内部に収容される電極組立体12と、上記缶11に結合されるキャップ組立体20を含み構成される。
【0007】
上記電極組立体12は、正極13、セパレータ14、陰極15の順に巻き取られていて、上記正極13及び陰極15からは正極タブ16及び陰極タブ17がそれぞれ引出されている。
【0008】
一方、電極組立体12の上面には、電極組立体12とキャップ組立体20との電気的絶縁が位置し、それと共に上記電極組立体12の上端部をカバーする絶縁ケース18が設けられている。
【0009】
上記キャップ組立体20は、上記缶11の上部に結合されるキャッププレート21と、上記キャッププレート21にガスケット22を媒介として絶縁される電極端子23と、上記キャッププレート21の下部面に設けられる絶縁プレート24と、上記絶縁プレート24の下部面に設けられて上記電極端子23と通電するターミナルプレート25を備える。
【0010】
上記正極タブ16は、キャッププレート21と電気的に接続されていて、上記陰極タブ17はターミナルプレート25を介して電極端子23と電気的に接続されている。
【0011】
また、上記キャッププレート21には、缶11内部に電解液が注入される通路を提供する電解液注入口26が形成されていて、上記電解液注入口26には密閉部材27が結合されている。
【0012】
上記密閉部材27は、通常アルミニウム材質のボールを加圧手段で加圧して上記電解液注入口26に圧着する。上記電解液注入口26にボールが圧着されると、上記ボールがキャッププレート21に圧着した境界部分に沿ってレーザ溶接を介して溶接部28を形成して電解液注入口26を密閉させる。また、上記溶接部及び密閉部材を含む電解液注入口の周辺にUV硬化剤を塗布してUV硬化工程を行うことで、電解液注入口の密閉作業は完了される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2006−196394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、従来の電解液注入口の密閉構造は、電解液注入口に圧着されたボールの位置を正確に確保することができず、これによって電解液注入口の密閉力が弱化されて缶内部に注入された電解液が外部に漏液する現象が生じる問題点がある。
【0015】
また、ボールの上部面が正確に原型を形成することができず、圧着されたボールとキャッププレートとの境界部に沿って溶接部がまともに形成されないため漏液不良が生じやすいという問題点がある。特に、溶接部を形成する、従来の電解液注入口の密閉構造は、溶接過程において缶内部の電解液が電解液注入口に漏液した場合、漏液の電解液によりボールと電解液注入口26内周面との間にピンホール(pin−hole)が形成されて電解液注入口に対する密閉性がさらに問題とされる。
【0016】
したがって、このような問題点に鑑みて案出された本発明は、電解液注入口の密閉特性が向上された二次電池を提供することを目的とする。
【0017】
また、本発明は、栓の溶接工程を排除して製造工程の生産性を向上させる二次電池を提供することを目的とする。
【0018】
また、本発明は、溶接工程を排除することによって、ピンホールの発生を抑制する二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために、本発明は、キャッププレートを備えるキャップ組立体において、上記キャッププレートは電解液注入口を備え、上記電解液注入口は上部にテーパ部を含み、上記テーパ部の内面は、所定の粗さを有することを特徴とするキャップ組立体を提供する。
【0020】
また、本発明はキャップ組立体を備える二次電池において、上記キャップ組立体は電解液注入口を備えるキャッププレートを含み、上記電解液注入口は上部にテーパ部を含み、上記テーパ部は粗さを有することを特徴とする二次電池を提供する。
【0021】
また、本発明において、上記テーパ部は上記キャッププレートの上面から下面方向に行くにつれて電解液注入口の大きさが小さくなるように形成されたことを特徴とするキャップ組立体及びこれを備える二次電池を提供する。
【0022】
また、本発明において、上記テーパ部の深さは上記キャッププレートの厚さの37.5%〜62.5%に形成されることを特徴とするキャップ組立体及びこれを備える二次電池を提供する。
【0023】
また、本発明において、上記テーパ部の内角は43°〜68゜であることを特徴とするキャップ組立体及びそれを備える二次電池を提供する。
【0024】
また、本発明において、上記テーパ部のテーパ角は上記キャッププレートの下面を基準として56°〜69゜であることを特徴とするキャップ組立体及びそれを備える二次電池を提供する。
【0025】
また、本発明において、上記テーパ部の粗さは1μm〜17μmであることが好ましく、より好ましくは5μm〜11μmであることを特徴とするキャップ組立体及びそれを備える二次電池を提供する。
【0026】
また、本発明は、上記電解液注入口内に電解液注入口を密閉するための密閉部材(電解液注入口を密閉する電解液注入口密閉部材)をさらに含むことを特徴とする二次電池を提供する。
【0027】
また、本発明は、上記電解液注入口のテーパ部に接触及び圧着された上記樹脂材の所定部分(上記電解液注入口のテーパ部に接触及び圧着される部分)のコーティング厚さは、電解液注入口に密閉される前の樹脂材のコーティング厚さの40%〜60%の厚さであることを特徴とする二次電池を提供する。
【0028】
また、本発明は、上記密閉部材を含む電解液注入口周辺に塗布されたUV硬化剤層をさらに含むことを特徴とする二次電池を提供する。
【0029】
また、本発明は、キャッププレートにより仕上げられたベアセルに電解液注入口を通して、電解液を注入する工程を完了したベアセルを準備する工程と、密閉部材を上記電解液注入口上に位置させる工程と、加圧手段によって上記密閉部材を上記電解液注入口の内側に圧着する工程とを含み、上記電解液注入口は、上部にテーパ部を含み、上記テーパ部は粗さを有し、上記密閉部材は、栓と、上記栓の外周面にコーティングされた樹脂材と、からなることを特徴とする二次電池の製造方法を提供する。
【0030】
また、本発明は、上記密閉部材を上記電解液注入口の内側に50N〜190Nの圧入力(圧力)で圧着することを特徴とする二次電池の製造方法を提供する。上記圧流力は、90N〜150Nであることが好ましい。
【0031】
また、本発明は、上記電解液注入口のテーパ部に接触及び圧着された上記樹脂材の所定部分のコーティング厚さは、電解液注入口に密閉される前のコーティング厚さの40%〜60%の厚さであることを特徴とする二次電池の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0032】
本発明は、電解液注入口の密閉特性が非常に優れた二次電池を提供する効果を有する。
【0033】
また、本発明は、栓の溶接工程を排除して製造工程の生産性を向上させる二次電池を提供する効果を有する。
【0034】
また、本発明は、溶接工程を排除することによって、ピンホールの発生を抑制する二次電池を提供する効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】従来の電解液注入口を備える二次電池を示す断面図である。
【図2A】本発明の実施例に係る電解液注入口を備える二次電池を示す断面図である。
【図2B】図2AのA領域を拡大した断面図である。
【図3A】本発明に係る密閉部材を示す断面図である。
【図3B】本発明に係る電解液注入口の構造を示す断面図である。
【図4A】本発明に係る電解液注入口の密閉方法を示す断面図である。
【図4B】本発明に係る電解液注入口の密閉方法を示す断面図である。
【図4C】本発明に係る電解液注入口の密閉方法を示す断面図である。
【図5A】本発明に係る電解液注入口の構造を形成する方法を示す模式図である。
【図5B】本発明に係る電解液注入口の構造を形成する方法を示す模式図である。
【図5C】本発明に係る電解液注入口の構造を形成する方法を示す模式図である。
【図5D】本発明に係る電解液注入口の構造を形成する方法を示す模式図である。
【図5E】本発明に係る電解液注入口の構造を形成する方法を示す模式図である。
【図5F】本発明に係る電解液注入口の構造を形成する方法を示す模式図である。
【図6】電解液注入口のテーパ部に形成された粗さに対してリーク耐圧を測定したグラフである。
【図7】電解液注入口のテーパ部の深さに対してリーク耐圧を測定したグラフである。
【図8A】樹脂材としてフッ素系樹脂を用いてリーク耐圧を測定したグラフである。
【図8B】樹脂材としてポリイミド系樹脂を用いてリーク耐圧を測定したグラフである。
【図8C】樹脂材として天然ゴム系樹脂を用いてリーク耐圧を測定したグラフである。
【図9】密閉部材の栓にコーティングした樹脂材のコーティング厚に対してリーク耐圧を測定したグラフである。
【図10】密閉部材の圧入力に対してリーク耐圧を測定したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付した図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。しかしながら、本発明は、説明する実施形態に限定されるわけではなく、他の形態で具体化することができる。したがって、ここに開示される実施形態は発明の開示を完全なものとすると共に、当業者に本発明の思想を十分に伝えるために提供されるものである。なお、説明の都合上、図面において、層及び領域の厚みは誇張されており、図示する形態が実際とは異なる場合がある。明細書の全体において同一の参照番号は、同一の構成要素を示す。
【0037】
図2Aは、本発明の実施例に係る電解液注入口を備える二次電池を示す断面図で、図2Bは図2AのA領域を拡大した断面図である。
【0038】
まず、図2A及び図2Bに示すように、本発明に係る電解液注入口を備える二次電池は、電極組立体100、上記電極組立体100と電解液を収容する缶200、キャップ組立体300を含んでなるベアセル及び上記ベアセルに結合して充放電時に電圧や電流を調節する保護回路基板(図示せず)からなる。
【0039】
上記電極組立体100は、薄板状あるいは膜状に形成された正極110、セパレータ130、陰極120の積層体が渦状に巻かれて形成される。
【0040】
角型缶200は、略直方体の形状を有するアルミニウムあるいはアルミニウム合金で形成される。缶200の開放された上端を通して電極組立体100が収容されて缶200は電極組立体100及び電解液の容器の役割をする。
【0041】
キャップ組立体には、缶200の開放された上端に対応する大きさと形状を有する平板型のキャッププレート350が設けられている。キャッププレート350には、電極端子が通過できるように端子用の通孔が形成される。キャッププレート350を貫通する電極端子310外側には電極端子310とキャッププレート350との電気的絶縁のためにチューブ状のガスケット360が設けられている。
【0042】
すなわち、キャップ組立体300には、電極組立体100が缶200に引入される開口部を仕上げるキャッププレート350が備えられ、上記キャッププレートにガスケット352を介して絶縁する電極端子310が形成される。
【0043】
キャッププレート350中央部、端子用の通孔あたりの下面に絶縁プレート340が配置されていて、絶縁プレート340の下面にはターミナルプレート330が設けられている。
【0044】
キャッププレート350下面には正極110から引出された正極タブ150が溶接されていて、電極端子310の下端部には陰極120から引出された陰極タブ140が蛇行して折り畳まれた状態に溶接されている。
【0045】
一方、電極組立体100の上面には、電極組立体100とキャップ組立体との電気的絶縁と共に、上記電極組立体100の上端部をカバーするように絶縁ケース320が設けられている。絶縁ケース320は絶縁性を有する高分子樹脂であり、ポリプロピレンからなることが好ましい。また、上記絶縁ケース320は陰極タブ140または電解液が通れるように通孔が形成される。
【0046】
また、キャッププレート350の一側には電解液注入口370が形成されている。上記電解液注入口370には電解液が注入された後、電解液注入口を密閉するために密閉部材382が設けられる。
【0047】
このとき、上記電解液注入口370は、上部にテーパ部371を含んでおり、上記テーパ部371は所定大きさの粗さ372が形成されていて、また、上記密閉部材382は、栓380と、上記栓380の外周面にコーティングされた樹脂材381と、からなる。
【0048】
また、上記密閉部材382を含む電解液注入口の周辺にUV硬化剤を塗布するUV硬化工程を実施してUV硬化剤層390を形成することによって、電解液注入口の密閉特性を向上させることができる。なお、UV硬化剤が塗布される「電解液注入口の周辺」とは、密着部材の樹脂材がテーパ部に接触及び圧着された後のキャッププレートにおいて、密閉部材の表面部、及び、密閉部材とテーパ部との接合部の表面部を少なくとも含む部位を表す。
【0049】
次いで、本発明に係る密閉部材及び電解液注入口の構造を説明する。
【0050】
図3Aは、本発明に係る密閉部材を示す断面図で、図3Bは本発明に係る電解液注入口の構造を示す断面図である。
【0051】
まず、図3Aに示すように、本発明に係る密閉部材382は、栓380と、上記栓380の外周面にコーティングされた樹脂材381と、からなる。
【0052】
上記栓382の材質は、アルミニウム、アルミニウム合金、プラスチックまたはステインレス鋼からなっていて、形状はボール状またはピン状で形成されている。
【0053】
この場合、本発明では、後工程である密閉部材の電解液注入口への圧着工程において電解液注入口との密着性のために、栓はアルミニウム材質であることが好ましい。また、栓に樹脂材をコーティングする場合にコーティング性を高めるために、栓は球状(ボール状)であることが好ましい。
【0054】
上記栓がボール状である場合、上記栓の大きさは電解液注入口の大きさによるが、ここの工程では直径0.9〜1.3mmを用いる。但し、本発明において上記栓の大きさを限定しない。
【0055】
上記樹脂材381は、後工程である密閉部材の電解液注入口への圧着工程において電解液注入口と栓との間の密閉力を高めるものであって、ポリイミド(Polyimide)系樹脂、フッ素系樹脂または天然ゴム系樹脂を用いてコーティングすることができる。この場合、上記天然ゴム系樹脂としては、ブタジエンゴム(Butadiend Rubber、BR)、ブチルゴム(Isobutylene−Isoprene Rubber、IIR)またはエチレンプロピレン(ethylene propylene diene monomer、EPDM)ゴムを用いることができる。
【0056】
この場合、後述するように本発明では電解液注入口と密閉部材との密閉力のためにポリイミド系樹脂またはフッ素系樹脂であることが好ましく、特にポリイミド系樹脂であることが好ましい。
【0057】
上記樹脂材のコーティング厚さは1.75μm〜20μmであることが好ましく、上記コーティング厚さは6μm〜10μmであることがさらに好ましい。上記コーティング厚さが1.75μm未満である場合は本発明で要求するリーク耐圧を満足してないという問題を有し、上記コーティング厚さの上限を20μmに限定することは、今の製造工程ではこれを超える厚さを製造することができないことが理由である。但し、これを超えて製造することができたとしても、20μmを超える場合はコーティング厚さにより密閉部材の全体的な大きさがあまりにも大き過ぎ、むしろ密閉力が低下されるものと予想される。
【0058】
この場合、上記「リーク耐圧」とは、電池内部に所定圧力が加えられた場合、電解液注液口を介して電解液が漏液する際の圧力を意味する。例えば、リーク耐圧が3kgf/cmとは、電池内部に3kgf/cm以上の圧力が加えられた場合、電解液注液口を介して電解液が漏液したことを意味する。
【0059】
次いで、図3Bに示すように、本発明に係る電解液注入口370は上部にテーパ部371を含み、上記テーパ部371には所定大きさの粗さ372が形成されている。
【0060】
このとき、上記テーパ部は、図3Bに示すように、上記キャッププレートの上面から下面方向に行くにつれて電解液注入口の大きさが小さくなるように形成される。また、上記テーパ部は上記キャッププレートの上面から上記キャッププレートの所定厚さまでの深さを有して形成されている。
【0061】
上記キャッププレートの厚さは電池の種類によるが、この工程では約0.7〜1.0mmとする。但し、本発明によってキャッププレートの厚さを限定するものではない。
【0062】
本発明では、上記テーパ部が形成された、上記キャッププレート上面から上記キャッププレートの所定厚さまでの深さを「テーパ部の深さ」(図3Bの「a」)として定義する。
このとき、上記テーパ部の深さは、上記キャッププレートの厚さの37.5%〜62.5%の地点とすることが好ましく、上記テーパ部の深さが37.5%未満の場合と62.5%を超えた場合は、本発明で要求するリーク耐圧の基準を満たせないので、好ましくない。
【0063】
また、本発明では、上記電解液注入口370の上面と下面径が相違し、この場合、上面径(図3Bの「b」)は、1.1mm〜1.5mmの範囲内の大きさで形成され、下面径(図3Bの「c」)は、0.7mm〜1.1mmの範囲内の大きさに形成され、上面径が下面径よりも大きいことが好ましい。なお、上面径とは、テーパ部の上端の開口部の径(直径)を意味する。また、下面径とは、テーパ部の下端の開口部の径(直径)を意味する。
【0064】
なお、上記電解液注入口の上面径が小さすぎると電解液注入が難しく、上面径が大きい過ぎると電解液の注入は容易であるが、電解液注入口を密閉することが難しくなるため、上記のような最適な数値を導出しただけであって、本発明が上記電解液注入口の上面径を限定するものではない。
【0065】
また、上記電解液注入口の下面径が小さすぎると電解液注入が難しく、下面径が大きい過ぎると電解液の注入は容易であるが、上面径が同時に大きくなるという問題点が生じる。これは、電解液注入口の密閉を困難とさせ、また、電解液の注入が完了した後に電解液の漏液することを防止するために、上記のような最適な数値を導出したものであって、本発明が上記電解液注入口の下面径を限定するものではない。
【0066】
続いて、上記のように、本発明ではテーパ部の深さが上記キャッププレートの厚さの37.5%〜62.5%の地点まで形成するのが好ましく、このとき、図3Bの断面図に示すように、左側テーパ部と右側テーパ部とがなす角(図3Bの「d」)は約43°〜68゜であることが好ましい。
【0067】
これによって、上記キャッププレート下面を基準に上記テーパ部がなす角(図3Bの「e」)は、左側テーパ部と右側テーパ部とが同じ角度であると仮定した場合、上記キャッププレートの下面を基準に約56°〜69゜のテーパ角を有することが好ましい。
【0068】
以下、本発明では、上記左側テーパ部と右側テーパ部とがなす角dを「テーパ部の内角」として定義し、また、上記キャッププレートの下面を基準にテーパ部がなす角eを「テーパ角」として定義する。
【0069】
このとき、上記テーパ部の内角dは、本発明でのキャッププレートの厚さ、電解液注入口の上面径と下面径及び本発明の好ましいテーパ部の深さに基づいて算出されたものとして、例えば、キャッププレートの厚さを0.8mmとし、電解液注入口の上面径bを1.3mm、電解液注入口の下面径cを0.9mmとし、テーパ部の深さaを上記キャッププレートの厚さに対して37.5%、50%及び62.5%である0.3mm、0.4mm及び0.5mmとし、テーパ部の内角dを算出したところ、テーパ部の深さaによって略43゜、53゜及び68゜となった。
【0070】
続いて、上記テーパ部371は、所定大きさの粗さ372が形成されていて、上記粗さは後工程で密閉部材によって電解液注入口を密閉することで、密閉部材の樹脂材との摩擦力及び密着力を増大させることができ、また、注入した電解液が漏液しても、漏液の電解液が電解液注入口の面に沿って流れる経路となるリークパス(leak pass)が長くなるので、効果的に漏液を防止することができる。
【0071】
この場合、上記粗さは1μm〜17μmの値を有することが好ましく、5μm〜11μmの値を有することがさらに好ましい。上記粗さが1μm未満の場合と17μmを超える場合は、本発明で要求するリーク耐圧の基準を満足することができないので好ましくない。
【0072】
次に、本発明に係る電解液注入口の密閉方法を説明する。
【0073】
図4A〜図4Cは、本発明に係る電解液注入口の密閉方法を示す断面図である。
【0074】
まず、図4Aに示すように、本発明に係る密閉部材と電解液注入口を備えたキャッププレートを準備する。
【0075】
ここで、上記電解液注入口を備えたキャッププレートを準備するということは、図2Aのように、缶の開口部に通して電極組立体が引き入れられ、上記電極組立体を缶に引き入れるための開口部をキャッププレートによって仕上げられたベアセルに電解液注入口を通して電解液を注入する工程が完了したベアセルのキャッププレートを準備することを意味する。
【0076】
上記密閉部材382は、栓380と、上記栓380の外周面にコーティングされた樹脂材381と、からなっていて、上記電解液注入口370は上部面にテーパ部371を含み、上記テーパ部371は所定大きさの粗さ372が形成されている。
【0077】
上記密閉部材及び上記電解液注入口のそれぞれの構成については、上述と同様であるため省略する。
【0078】
次に、図4Bに示すように、密閉部材382を電解液注入口370上に位置させ、加圧手段400によって密閉部材382を電解液注入口370の内側に圧着させる。
【0079】
このとき、上記電解液注入口の上部面の大きさが従来の場合よりも大きく、電解液注入口上に密閉部材をより正確に位置させることができる。
【0080】
上記加圧手段により密閉部材を50N〜190Nの圧入力で圧着するのが好ましく、上記圧入力が50N未満の場合と190Nを超えた場合は本発明が要求するリーク耐圧の基準を満足することができないので好ましくなく、90N〜150Nの圧入力で圧着するのがより好ましい。
【0081】
次に、図4Cに示すように、加圧手段によって圧着された密閉部材は電解液注入口の内周面を充填する形状に変形されて電解液注入口を密閉する。
【0082】
このとき、上記密閉部材382の樹脂層381は電解液注入口のテーパ部371に形成された粗さ372によって摩擦力及び密着力が増大されて電解液注入口の密閉特性を向上させることができる。
【0083】
すなわち、密閉部材の樹脂層の所定部分がテーパ部に形成された粗さと接触及び圧着されることにより密閉特性を向上させることができ、このとき、テーパ部に形成された粗さと接触及び圧着される所定部分の樹脂層は元のコーティング厚さから略40〜60%に厚さが減少してテーパ部と接触される。
【0084】
また、上記密閉部材382を含む電解液注入口の周辺にUV硬化剤を塗布してUV硬化工程を行い、図2BのようにUV硬化剤層390を形成することで、電解液注入口の密閉特性をさらに高めることができる。
【0085】
次には、本発明に係る電解液注入口の構造を形成する方法を説明する。
【0086】
図5A〜図5Fは、本発明に係る電解液注入口の構造を形成する方法を示す模式図である。
【0087】
まず、図5Aに示すように、下部面に所定角のテーパ部を有するプレスパンチ(press punch)400を準備し、スプレーヤ(sprayer)410を用いて所定大きさの金剛石420を上記プレスパンチ400のテーパ部に噴射する。
【0088】
ここで、上記プレスパンチのテーパ部の角を調節することにより、電解液注入口のテーパ部の角を調節することができ、また、上記金剛石の大きさ及び量を調節するにことより、電解液注入口のテーパ部に形成される粗さを調節することができる。
【0089】
次に、図5Bに示すように、プレスパンチ400のテーパ部に金剛石が打ち込まれ、図5Cに示すように、打ち込まれた金剛石を除去することによりプレスパンチのテーパ部に所定粗さ430を形成することができる。
【0090】
次に、図5D及び図5Eに示すように、電解液注入口441が形成されたキャッププレート440を準備し、図5Cでのようなテーパ部に所定粗さ430を有したプレスパンチ400を電解液注入口に挿入することで、図5Fでのような電解液注入口441にテーパ部442を形成することができ、図面には示されてないが、上記テーパ部442に粗さを形成することができる。
【0091】
図5Dには、電解液注入口にテーパ部が形成されてないことを示しているが、これとは異なって、あらかじめ電解液注入口の上部にテーパ部を形成し、その後、所定粗さを有したプレスパンチを電解液注入口に挿入するによって粗さを形成することができる。
【0092】
次に、本発明に係る密閉部材を介して電解液注入口を密閉した場合の密閉特性を示すリーク耐圧の測定結果を説明する。
【0093】
上述のように、「リーク耐圧」とは、電池内部に所定圧力が加えられた場合、電解液注液口を介して電解液が漏液される際の圧力を意味し、例えば、リーク耐圧が3kgf/cmであることは、電池内部に3kgf/cm以上の圧力が加えられた場合、電解液注液口を介して電解液が漏液されることを意味する。
【0094】
現工程では、リーク耐圧のスペックを3kgf/cm以上を基準としていて、7kgf/cm以上のリーク耐圧を有する場合は非常に安定した状態で、電解液の漏液不良の発生恐れがほとんどない場合に相当する。
【0095】
まず、図6は、電解液注入口のテーパ部に形成された粗さに対してリーク耐圧を測定したグラフである。
【0096】
図6で分かるように、テーパ部に形成された粗さが1μmの場合には、リーク耐圧の平均値が約6.5kgf/cmであり、最小値が約6.2kgf/cmである。また、テーパ部に形成された粗さが17μmの場合は、リーク耐圧の平均値が約4.5kgf/cmであり、最小値が約3.5kgf/cmである。
【0097】
また、テーパ部に形成された粗さが5μm〜11μmでは、リーク耐圧の平均値及び最小値が7kgf/cmであり密閉特性が非常に優れる。このとき、粗さが5μm〜11μmの範囲において、リーク耐圧の平均値及び最小値が7kgf/cmに一定であるのは電池の内部に最大7kgf/cmの圧力を加えたためであって、7kgf/cmを超える圧力を加えた場合にも所定圧力までは電解液の漏液が発生しないことも予想される。
【0098】
しかし、テーパ部に形成された粗さが0.5μmの場合は、リーク耐圧の平均値が約4kgf/cmであるものの、最小値が約2kgf/cmであり、この場合はリーク耐圧のスペックである3kgf/cmを満足しなく密閉特性が良くないことが分かる。
【0099】
また、テーパ部に粗さがない場合には、リーク耐圧の平均値が約2kgf/cmであって、最小値は約1kgf/cmである。よって、この場合にはリーク耐圧のスペックである3kgf/cmをすべて満足しなく密閉特性が良くないことが分かる。
【0100】
また、テーパ部に形成された粗さが19μmの場合は、リーク耐圧の平均値が約2.5kgf/cmであり、最小値は約1kgf/cmである。よって、この場合にもリーク耐圧のスペックである3kgf/cmをすべて満足しなく密閉特性が良くないことが分かる。
【0101】
このとき、テーパ部に形成された粗さが17μmを超えると、むしろリーク耐圧が低くなるが、それは粗さが大きくなるにつれ密閉部材の樹脂材との接触面積が減少して、摩擦力及び密着力が減少するからと予想される。
【0102】
したがって、本発明においては、上記テーパ部に形成された粗さは1μm〜17μmの値を有することが好ましく、5μm〜11μmの値を有することが特に好ましい。
【0103】
次に、図7は電解液注入口のテーパ部の深さに対するリーク耐圧を測定したグラフである。
【0104】
このとき、テーパ部の深さによるリーク耐圧を測定することにおいて、キャッププレートの厚さを0.8mmとし、テーパ部の深さをそれぞれ0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mmにしてリーク耐圧を測定した。
【0105】
図7に示すように、テーパ部の深さが上記キャッププレートの厚さに対して37.5%、50%及び62.5%である0.3mm、0.4mm及び0.5mmの場合はリーク耐圧の平均値及び最小値が7kgf/cmに密閉特性が非常に優れることが分かる。このとき、テーパ部の深さがキャッププレートの厚さに対して37.5%〜62.5%の範囲においてリーク耐圧の平均値及び最小値が7kgf/cmに一定であることは、電池内部に最大7kgf/cmの圧力が加えられたためであって、7kgf/cmを超える圧力を加えた場合も所定圧力までは電解液の漏液が発生しない場合もあると予想される。
【0106】
しかし、テーパ部の深さがキャッププレートの厚さに対して25%である0.2mmの場合には、リーク耐圧の平均値が約2.5kgf/cmであって、最小値が約2kgf/cmであることが分かる、よって、この場合にはリーク耐圧のスペックである3kgf/cmをすべて満足しなく密閉特性が良くないことが分かる。
【0107】
また、テーパ部の深さがキャッププレートの厚さに対して75%である0.6mmの場合には、リーク耐圧の最大値が約4kgf/cmであるものの、平均値が約2.52kgf/cmであり、最小値が約2kgf/cmであることが分かる。この場合にはリーク耐圧のスペックである3kgf/cmを満足しない場合があって密閉特性が良くないことが分かる。
【0108】
したがって、本発明では、テーパ部の深さがキャッププレートの厚さに対して37.5%〜62.5%であるのが好ましい。
【0109】
次に、図8A〜図8Cは、密閉部材の栓にコーティングした樹脂材の種類によるリーク耐圧を測定したグラフであって、図8Aは樹脂材としてフッ素系樹脂を用いることによるリーク耐圧を測定したグラフであり、図8Bは樹脂材としてポリイミド系樹脂を用いることによるリーク耐圧を測定したグラフであり、図8Cは樹脂材として天然ゴム系樹脂(エチレンプロピレン(EPDM)ゴム)を用いることによるリーク耐圧を測定したグラフである。
【0110】
このとき、上記樹脂材の種類によるリーク耐圧を測定することにおいて、プレス圧力を90Nから150Nに変化させて各樹脂材のリーク耐圧を測定した。
【0111】
図8Aに示すように、樹脂材としてフッ素系樹脂を用いた場合、プレス圧力が110N〜130Nの範囲ではリーク耐圧の平均値及び最小値が6kgf/cm以上と密閉特性が優れることが分かる。
【0112】
また、プレス圧力が90Nの範囲では、リーク耐圧の平均値が約5.3kgf/cmであり、最小値が約4kgf/cmであることが分かる。プレス圧力が150Nの範囲ではリーク耐圧の平均値が約5.5kgf/cmであり、最小値が約4.2kgf/cmであることが分かる。
【0113】
したがって、樹脂材としてフッ素系樹脂を用いる場合、プレス圧力が90N〜150Nの範囲では、リーク耐圧の平均値及び最小値が3kgf/cm以上を維持して密閉特性が優れることが分かる。
【0114】
図8Bに示すように、樹脂材としてポリイミド系樹脂を用いる場合、プレス圧力が110N〜130Nの範囲ではリーク耐圧の平均値及び最小値が7.5kgf/cmに密閉特性が非常に優れることが分かる。
【0115】
このとき、プレス圧力が110N〜130Nの範囲においてリーク耐圧の平均値及び最小値が7.5kgf/cmで一定であることは電池内部に最大7.5kgf/cmの圧力が加わったためであって、7.5kgf/cmを超える圧力を加わった場合にも所定圧力までは電解液の漏液が発生しない場合があるものと予想される。
【0116】
図8Cに示すように、樹脂材として天然ゴム系樹脂(エチレンプロピレン(EPDM)ゴム)を用いる場合、プレス圧力が130N〜150Nの範囲ではリーク耐圧の平均値及び最小値が3kgf/cm以上と密閉特性が優れることが分かる。
【0117】
しかし、プレス圧力が110Nの範囲ではリーク耐圧の平均値が約4.6kgf/cmであり、最小値が約2.5kgf/cmであることが分かる。また、プレス圧力が90Nの範囲ではリーク耐圧の平均値が約3.2kgf/cmであり、最小値が約1.4kgf/cmであることが分かる。この場合にはリーク耐圧のスペックである3kgf/cmを満足しなく密閉特性が良くないことが分かる。
【0118】
したがって、本発明では電解液注入口と密閉部材との密閉力のために樹脂材はポリイミド系樹脂またはフッ素系樹脂であることが好ましく、特にポリイミド系樹脂であることが好ましい。
【0119】
次に、図9は密閉部材の栓にコーティングした樹脂材のコーティング厚さに対してリーク耐圧を測定したグラフである。
【0120】
このとき、コーティングされた樹脂材としてはポリイミド系樹脂を用い、図9のコーティング厚さの数値は、例えば図3Aの密閉部材を示す断面図を基準に、左側と右側の樹脂材のコーティング厚さの合計または上側と下側の樹脂材のコーティング厚さの合計、すなわち、栓の断面を基準に両側にコーティングされた樹脂材の厚さの合計を意味する。
【0121】
図9に示すように、栓の断面を基準に両側にコーティングされた樹脂材の厚さの合が3.5μm(すなわち、樹脂材のコーティング厚さは1.75μm)の場合は、リーク耐圧の平均値が約5.3kgf/cmであり、最小値が4kgf/cmと密閉特性が優れることが分かる。特に、栓の断面を基準として両側にコーティングされた樹脂材の厚さの合計が12μm〜40μm(すなわち、樹脂材のコーティング厚さは6μm〜20μm)の場合は、リーク耐圧の平均値及び最小値が7.5kgf/cmと密閉特性が非常に優れることが分かる。このとき、コーティングされた樹脂材の厚さの合計が12μm〜40μmの範囲でリーク耐圧の平均値及び最小値が7.5kgf/cmで一定であることは電池内部に最大7.5kgf/cmの圧力を加わったためであって、7.5kgf/cmを超える圧力を加わった場合にも所定圧力までは電解液の漏液が発生しない場合があるものと予想される。
【0122】
しかし、栓の断面を基準として両側にコーティングされた樹脂材の厚さの合計が2μm(すなわち、樹脂材のコーティング厚さが1μm)の場合にはリーク耐圧の平均値が約4kgf/cmであり、最小値が約2.7kgf/cmであることが分かる。よって、この場合にはリーク耐圧のスペックである3kgf/cmを満足しなく密閉特性が良くないことが分かる。
【0123】
また、樹脂材をコーティングしない場合は、リーク耐圧の平均値が約2.2kgf/cmであり、最小値が約0.8kgf/cmであることが分かる。よって、この場合にはリーク耐圧のスペックである3kgf/cmをすべて満足しなく密閉特性が良くないことが分かる。
【0124】
したがって、本発明において、樹脂材のコーティング厚さは1.75μm〜20μmであることが好ましく、上記コーティング厚さは6μm〜10μmであることが特に好ましい。このとき、上述のように、上記コーティング厚さの上限を20μmに限定したのは、現製造工程において、これを超える厚さを製造できなかった理由でもあるが、なお、これを超過して製造することができたとしても、20μmを超えた場合、コーティング厚さによって密閉部材の全体的な大きさが大き過ぎて、むしろ密閉力が低下すると予想される。
【0125】
次に、図10は密閉部材の圧入力(プレス圧力)に対してリーク耐圧を測定したグラフである。
【0126】
このとき、密閉部材の栓はボール状のアルミニウム材質を用い、栓の大きさは1.1φを使用しており、上記栓にポリイミド系樹脂をコーティングして密閉部材の大きさを1.13φとした。
【0127】
また、キャッププレートの厚さを0.8mmとし、電解液注入口の上面径bを1.3mm、電解液注入口の下面径cを0.9mmとし、テーパ部の深さaを上記キャッププレートの厚さに対して50%である0.4mmとし、テーパ部の粗さを10μmとした。
図10に示すように、圧入力が50Nの範囲では、リーク耐圧の平均値が約7.8kgf/cmであり、最小値が約7.6kgf/cmであることが分かる。プレス圧力が190Nの範囲では、リーク耐圧の平均値が約3.8kgf/cmであり、最小値が約3kgf/cmであることが分かる。
【0128】
また、圧入力が90N〜150Nの範囲では、リーク耐圧の平均値及び最小値が7kgf/cmと密閉特性が非常に優れることが分かる。
【0129】
このとき、圧入力が90N〜150Nの範囲において、リーク耐圧の平均値及び最小値が7kgf/cmと一定であることは電池内部に最大7kgf/cmの圧力が加わったためであって、7kgf/cmを超える圧力を加わった場合にも所定圧力までは電解液の漏液が発生しない場合があるものと予想される。
【0130】
しかし、圧入力が300Nの範囲では、リーク耐圧の平均値が約3kgf/cmであり、最小値が約2kgf/cmであることが分かる。この場合にはリーク耐圧のスペックである3kgf/cmを満足しなく密閉特性が良くないことが分かる。
【0131】
また、プレス圧力が10Nの範囲では、リーク耐圧の平均値が約2kgf/cmであり、最小値が約1kgf/cmであることが分かる。この場合には、リーク耐圧のスペックである3kgf/cmをすべて満足しなく密閉特性が良くないことが分かる。
【0132】
また、プレス圧力が210Nの範囲では、リーク耐圧の平均値が約2.6kgf/cmであり、最小値が約2kgf/cmであることが分かる。この場合には、リーク耐圧のスペックである3kgf/cmをすべて満足しなく密閉特性が良くないことが分かる。
【0133】
このとき、プレス圧力が190Nを超えると、むしろリーク耐圧が低くなるのは過度なプレス圧入力によってむしろキャッププレートに変形が生じて密閉力が低くなるからである。
【0134】
したがって、本発明では、加圧手段によって密閉部材を50N〜190Nの圧入力で圧着するのが好ましく、90N〜150Nの圧入力で圧着するのが特に好ましい。なお、図6〜10において「Ave」は平均値を表し、「Min」は最小値を表す。
【0135】
上述では、本発明の好ましい実施形態を参照して説明したが、当該技術分野の熟練した当業者は、添付の特許請求範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲で、本発明を多様に修正及び変更させることができる。
【符号の説明】
【0136】
100 電極組立体
200 缶
300 キャップアセンブリ
310 電極端子
330 ターミナルプレート
340 絶縁プレート
350 キャッププレート
360 ガスケット
370 電解液注入口
371 テーパ部
372 粗さ
380 栓
381 樹脂材
382 密閉部材
390 UV硬化剤層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャッププレートを備えるキャップ組立体において、
前記キャッププレートは電解液注入口を備え、
前記電解液注入口は上部にテーパ部を含み、
前記テーパ部の内周面は、所定の粗さを有することを特徴とするキャップ組立体。
【請求項2】
前記テーパ部は、前記キャッププレートの上面から下面方向に行くにつれて電解液注入口の大きさが小さくなるように形成されたことを特徴とする請求項1に記載のキャップ組立体。
【請求項3】
前記テーパ部の深さは、前記キャッププレートの厚さの37.5%〜62.5%で形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のキャップ組立体。
【請求項4】
前記キャッププレートの厚さは、0.7〜1.0mmであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のキャップ組立体。
【請求項5】
前記テーパ部の内角は、43°〜68゜であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のキャップ組立体。
【請求項6】
前記テーパ部のテーパ角は、前記キャッププレートの下面を基準に56°〜69゜であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のキャップ組立体。
【請求項7】
前記電解液注入口の上面径は1.1mm〜1.5mmであり、前記電解液注入口の下面径は0.7mm〜1.1mmであり、前記上面径が前記下面径よりも大きいことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のキャップ組立体。
【請求項8】
前記電解液注入口のテーパ部は前記キャッププレートの厚さの37.5%〜62.5%に形成されるテーパ部の深さを有し、
前記電解液注入口の直径は前記電解液注入口の上面径からテーパ部の深さが形成される地点まで電解液注入口の大きさが小さくなるように形成されることを特徴とする請求項7に記載のキャップ組立体。
【請求項9】
前記電解液注入口のテーパ部の深さは、前記キャッププレートの厚さの50%であり、
前記キャッププレートの厚さは8mmであり、前記電解液注入口の上面径は1.3mmであり、前記電解液注入口の下面径は0.9mmであり、
前記電解液注入口の直径は前記電解液注入口の上面径からテーパ部の深さが形成される地点まで電解液注入口の大きさが小さくなるように形成されたことを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載のキャップ組立体。
【請求項10】
前記テーパ部の粗さは、1μm〜17μmであることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載のキャップ組立体。
【請求項11】
前記テーパ部の粗さは、5μm〜11μmであることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載のキャップ組立体。
【請求項12】
キャップ組立体を備える二次電池において、
前記キャップ組立体は電解液注入口を備えるキャッププレートを含み、
前記電解液注入口は上部にテーパ部を含み、
前記テーパ部は粗さを有することを特徴とする二次電池。
【請求項13】
前記テーパ部は、前記キャッププレートの上面から下面方向に行くにつれて電解液注入口の大きさが小さくなるように形成されたことを特徴とする請求項12に記載の二次電池。
【請求項14】
前記テーパ部の深さは、前記キャッププレートの厚さの37.5%〜62.5%で形成されることを特徴とする請求項12又は13に記載の二次電池。
【請求項15】
前記キャッププレートの厚さは、0.7〜1.0mmであることを特徴とする請求項12〜14の何れかに記載の二次電池。
【請求項16】
前記テーパ部の内角は、43°〜68゜であることを特徴とする請求項12〜15の何れかに記載の二次電池。
【請求項17】
前記テーパ部のテーパ角は、前記キャッププレートの下面を基準に56°〜69゜であることを特徴とする請求項12〜16の何れかに記載の二次電池。
【請求項18】
前記電解液注入口の上面径は1.1mm〜1.5mmであり、前記電解液注入口の下面径は0.7mm〜1.1mmであり、上面径が下面径よりも大きいことを特徴とする請求項12〜17の何れかに記載の二次電池。
【請求項19】
前記電解液注入口のテーパ部は前記キャッププレートの厚さの37.5%〜62.5%に形成されるテーパ部の深さを有し、
前記電解液注入口の直径は前記電解液注入口の上面径からテーパ部の深さが形成される地点まで電解液注入口の大きさが小さくなるように形成されたことを特徴とする請求項18に記載の二次電池。
【請求項20】
前記電解液注入口のテーパ部は、前記キャッププレートの厚さの50%である地点まで形成されたテーパ部の深さを有し、
前記キャッププレートの厚さは8mmであり、前記電解液注入口の上面径は1.3mmであり、前記電解液注入口の下面径は0.9mmであり、
前記電解液注入口の直径は前記電解液注入口の上面径からテーパ部の深さが形成される地点まで電解液注入口の大きさが小さくなるように形成されたことを特徴とする請求項12〜19の何れかに記載の二次電池。
【請求項21】
前記テーパ部の粗さは、1μm〜17μmであることを特徴とする請求項12〜20の何れかに記載の二次電池。
【請求項22】
前記テーパ部の粗さは、5μm〜11μmであることを特徴とする請求項12〜20の何れかに記載の二次電池。
【請求項23】
前記電解液注入口内に電解液注入口を密閉する電解液注入口密閉部材をさらに含むことを特徴とする請求項12〜22の何れかに記載の二次電池。
【請求項24】
前記密閉部材は、栓と、前記栓の外周面にコーティングされた樹脂材と、からなることを特徴とする請求項23に記載の二次電池。
【請求項25】
前記密閉部材は、前記樹脂材の所定部分が前記電解液注入口のテーパ部に接触及び圧着されて電解液注入口を密閉させることを特徴とする請求項24に記載の二次電池。
【請求項26】
前記樹脂材は、電解液注入口に密閉される前に1.75μm〜20μmのコーティング厚さを有することを特徴とする請求項24又は25に記載の二次電池。
【請求項27】
前記電解液注入口のテーパ部に接触及び圧着される前記樹脂材所定部分のコーティング厚さは、電解液注入口に密閉される前の樹脂材のコーティング厚さの40%ないし60%の厚さであることを特徴とする請求項25又は26に記載の二次電池。
【請求項28】
前記樹脂材は、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂または天然ゴム系樹脂であることを特徴とする請求項24〜27の何れかに記載の二次電池。
【請求項29】
前記樹脂材は、ポリイミド系樹脂であることを特徴とする請求項24〜28の何れかに記載の二次電池。
【請求項30】
前記密閉部材を含む電解液注入口周辺に塗布されたUV硬化剤層をさらに含むことを特徴とする請求項23〜29の何れかに記載の二次電池。
【請求項31】
キャッププレートにより仕上げられたベアセルに電解液注入口を通して電解液を注入する工程を完了したベアセルを準備する工程と、
密閉部材を前記電解液注入口上に位置させる工程と、
加圧手段により前記密閉部材を前記電解液注入口の内側に圧着する工程と、を含み、
前記電解液注入口は上部にテーパ部を含み、前記テーパ部は粗さを有し、
前記密閉部材は、栓と、前記栓の外周面にコーティングされた樹脂材と、からなることを特徴とする二次電池の製造方法。
【請求項32】
前記密閉部材を前記電解液注入口の内側に50N〜190Nの圧入力で圧着することを特徴とする請求項31に記載の二次電池の製造方法。
【請求項33】
前記密閉部材を前記電解液注入口の内側に90N〜150Nの圧入力で圧着することを特徴とする請求項31又は32に記載の二次電池の製造方法。
【請求項34】
前記密閉部材は、前記樹脂材が前記電解液注入口のテーパ部に接触及び圧着されて電解液注入口を密閉することを特徴とする請求項31〜33の何れかに記載の二次電池の製造方法。
【請求項35】
前記電解液注入口のテーパ部に接触及び圧着された前記樹脂材の所定部分のコーティング厚さは、電解液注入口に密閉される前の樹脂材のコーティング厚さの40%ないし60%の厚さであることを特徴とする請求項34に記載の二次電池の製造方法。
【請求項36】
前記密閉部材を含む電解液注入口周辺にUV硬化剤を塗布してUV硬化剤層をさらに形成することを特徴とする請求項31〜35の何れかに記載の二次電池の製造方法。


【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図5D】
image rotate

【図5E】
image rotate

【図5F】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図8C】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−48105(P2013−48105A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−235023(P2012−235023)
【出願日】平成24年10月24日(2012.10.24)
【分割の表示】特願2009−158656(P2009−158656)の分割
【原出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】