説明

キャップ装着装置及びキャップ診断方法

【課題】装置で消費されるエネルギを低減でき、かつほぼ同じ吸引力でキャップを吸着保持し、容器にキャップを安定的に供給することが可能なキャップ装着装置を提供する。
【解決手段】所定の搬送経路に沿ってビール樽100容器を搬送する搬送コンベア10と、積み重ねて載置された複数のキャップCPの先頭のキャップに吸着カップ26を真空吸着させてその先頭のキャップを取り出すキャップ取り出し機構21と、キャップ取り出し機構21が取り出したキャップCPを搬送コンベア10にて搬送されているビール樽100の口金部101に装着する装着機構22と、を備えたキャップ装着装置1において、吸引力発生源としてエジェクタ51を備え、エジェクタ51の吸引口51cが吸着カップ26と接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の口金部にキャップを装着するキャップ装着装置、及び容器の口金部に装着されているキャップの異常の有無を診断するキャップ診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビールや発泡酒などが充填されるビール樽などの容器の口金部には、口金部の汚れを防止するとともに容器の内容物を示すためのキャップが装着される。容器にキャップや蓋などを装着する装置として、真空ポンプや真空シリンダの吸引力を作用させた吸着パットなどでキャップや蓋を吸着保持し、この吸着保持したキャップや蓋を容器の口部などに移動させて容器に装着するものが知られている(特許文献1〜3参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−291906号公報
【特許文献2】特許第3937581号公報
【特許文献3】特開昭54−14883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1〜3の装置では、真空ポンプや真空シリンダの吸引力を利用してキャップを吸着保持するが、真空ポンプや真空シリンダではキャップの吸着保持時にキャップに吸引力を速やかに作用させることが可能なように装着装置の動作中はこれらにおいて常に吸引力を発生させておく必要がある。そのため、無駄にエネルギを消費したり、騒音が発生したりする。また、一般に真空ポンプはモータでロータを回転させて吸引力を発生させているので、モータの出力の変化やロータの回転数の変化によって吸引力に若干変化が生じる。そのため、吸引力が弱くなってキャップの吸着保持が不十分になったり、吸引力が強すぎてキャップが2枚重ねて吸着保持されるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、装置で消費されるエネルギを低減でき、かつほぼ同じ吸引力でキャップを吸着保持し、容器にキャップを安定的に供給することが可能なキャップ装着装置を提供することを目的とする。また、容器にキャップが正常に装着されているか否か容易に診断可能なキャップ診断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のキャップ装着装置は、所定の搬送経路に沿って容器(100)を搬送する搬送手段(10)と、積み重ねて載置された複数のキャップ(CP)の先頭のキャップに吸着カップ(26)を真空吸着させて前記複数のキャップから前記先頭のキャップを取り出すキャップ取り出し機構(21)と、前記キャップ取り出し機構が取り出したキャップを前記搬送手段にて搬送されている容器の口金部(101)に装着する装着手段(22)と、を備えたキャップ装着装置において、吸引力発生源としてエジェクタ(51)を備え、前記エジェクタの吸引口(51c)が前記吸着カップと接続されていることにより、上述した課題を解決する。
【0007】
本発明のキャップ装着装置によれば、エジェクタに圧縮ガスを供給することにより、吸着カップにキャップを真空吸着させることができる。周知のようにエジェクタは、圧縮ガスの供給を開始するとそれとほぼ同時に吸引力を発生させるので、真空ポンプなどと比較して迅速に吸引力を発生させることができる。そのため、装置を迅速に起動させることができる。これにより装置の稼動時間を短縮できるので、装置により消費されるエネルギを低減できる。また、圧縮ガスはタンクなどに溜めておくことができるので、装置の起動時はこのタンクに溜めておいた圧縮ガスを使用することによりさらに迅速に装置を起動することができる。一般にビールや発泡酒の製造工場においては、大型のコンプレッサで発生させた圧縮空気を供給する配管が設けられている。エジェクタに供給する圧縮ガスとしてこの配管から供給される圧縮空気を使用する場合は、装着装置自体に圧縮空気を発生させるコンプレッサを設けなくてもよい。この場合、さらに装置の消費エネルギを低減できる。また、エジェクタは、圧縮ガスの流れを利用して空気を吸引するものであるため、真空ポンプのように吸引力を発生させるべく回転させる回転体がない。そのため、真空ポンプのように回転体の回転ムラによる吸引力の変動がない。従って、ほぼ同じ吸引力を発生させることができる。これにより、吸着カップにキャップを確実に吸着保持させ、容器にキャップを安定的に供給することができる。さらに、エジェクタは真空ポンプなどと比較して構造が簡単であり、また大きさが小さいため、修理に要する時間を短縮したり、設置スペースを低減できる。
【0008】
本発明のキャップ装着装置の一形態においては、前記所定の搬送経路において前記装着手段の下流であり、かつ前記搬送手段にて搬送されている容器の上方に位置するように前記搬送手段の上方に設けられ、前記装着手段により容器の口金部に装着されたキャップの天面(U)の高さを取得する天面高さ取得手段(33a)と、前記搬送手段にて搬送されている容器が前記天面高さ取得手段の下方を通過しているときに前記天面高さ取得手段が取得したキャップの天面の高さの変化に基づいて容器にキャップが正常に装着されているか否か判断する診断手段(33b)と、をさらに備えていてもよい。口金部とキャップとの間に異物があったり、口金部にキャップがずれて装着されるとキャップの天面が傾斜する。すなわち、キャップの天面の高さが一端と他端とで変化する。一方、口金部にキャップが正常に装着されていれば、キャップの天面はほぼ水平になる。この形態では、天面高さ取得手段によって容器がこの天面高さ取得手段の下方を通過しているときにキャップの天面の高さを取得できるので、この際に取得したキャップの天面の高さの変化に基づいて容器にキャップが正常に装着されているか否か容易に診断できる。
【0009】
この形態においては、前記天面高さ取得手段として、所定の基準高さから前記装着手段により容器の口金部に装着されたキャップの天面までの距離を測定する非接触式の距離測定手段(33a)が設けられていてもよい。この場合、キャップに接触せずにキャップの天面の高さを取得することができるので、キャップに汚れが付着したりキャップが外れたりすることを防止できる。
【0010】
本発明のキャップ装着装置の一形態においては、前記所定の搬送経路において前記天面高さ取得手段の下流に設けられ、前記診断手段によりキャップに異常があると判断された容器を前記所定の搬送経路から排除する排除手段(40)をさらに備えていてもよい。この場合、装着したキャップに異常がある容器がキャップ装着装置よりも下流の工程に送られることを防止できる。
【0011】
本発明のキャップ診断方法は、所定の搬送経路に沿って搬送されている容器(100)の口金部(101)に装着されているキャップ(CP)の異常の有無を診断するキャップ診断方法において、前記容器の口金部に装着されているキャップの天面の高さをその容器の搬送方向に沿って設定された複数の測定点において取得する天面高さ取得工程と、前記天面高さ取得工程において取得した前記複数の測定点におけるキャップの天面の高さに基づいてそのキャップが容器の口金部に正常に装着されているか否か診断する診断工程と、を備えることにより、上述した課題を解決する。
【0012】
上述したように口金部とキャップとの間に異物があったり、口金部にキャップがずれて装着されるとキャップの天面が傾斜する。本発明のキャップ診断方法によれば、容器の搬送方向に沿って設定した複数の測定点においてキャップの天面の高さを測定するので、これらの天面の高さを比較することによりキャップの天面が傾斜しているか診断することができる。そのため、キャップが口金部に正常に装着されているか否か容易に診断することができる。
【0013】
本発明のキャップ診断方法の一形態において、前記天面高さ取得工程では、非接触式の距離測定手段(33a)を利用して前記複数の測定点におけるキャップの天面の高さを取得してもよい。この場合、キャップに汚れが付着したりキャップが外れたりすることを防止できる。
【0014】
本発明のキャップ診断方法の一形態において、前記診断工程においてキャップが正常に装着されていないと診断された容器を前記所定の搬送経路から排除する排除工程をさらに備えていてもよい。この場合、キャップに異常がある容器が下流の工程に送られることを防止できる。
【0015】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0016】
以上に説明したように、本発明のキャップ装着装置によれば、エジェクタを用いて吸引力を発生させるので、装置で消費されるエネルギを低減できる。また、エジェクタによってほぼ同じ吸引力を発生させ、吸着カップにキャップを確実に吸着保持させることができるので、容器にキャップを安定的に供給することができる。また、本発明のキャップ診断方法によれば、容器にキャップが正常に装着されているか否か容易に診断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1及び図2は、本発明の一形態に係るキャップ装着装置を示す図である。なお、図1はキャップ装着装置1を横から見た図であり、図2はキャップ装着装置1を上から見た図である。このキャップ装着装置1は、ビール製造工場に設置され、図3に示した容器としてのビール樽100の口金部101にキャップCPを装着するための装置である。ビール樽100は、ステンレス鋼などの金属製であり、内部にビールや発泡酒などの飲料が充填される周知のものである。図3に示したように口金部101の中央には、非導電性の材料、例えばゴムなどで形成されたメインシールパッキン101aが設けられている。キャップCPの側面部は、熱を加えると縮む熱可塑性の樹脂で構成され、ビール樽100の口金部101の天面101bを覆うように口金部101に装着される。キャップCPの天面Uの板紙には、ビール樽100に充填されている飲料の名称及びメーカー名などが印刷されている。
【0018】
キャップ装着装置1は、ビール樽100を所定の搬送経路に沿って搬送する搬送手段としての搬送コンベア10と、搬送コンベア10で搬送されているビール樽100の口金部101にキャップCPを装着する装着手段としてのキャッピング装置20と、キャップCPがビール樽100に正常に装着されているか否か診断する診断装置30と、キャップCPの装着が不良のビール樽100を搬送コンベア10から排除する排除手段としての排除装置40とを備えている。搬送コンベア10は、複数のビール樽100を一列に並べて搬送可能なコンベアであればよい。このようなコンベアとしては、例えばチェーンコンベアが使用される。図2に示したように搬送コンベア10には、キャッピング装置20が設けられている位置においてビール樽100が搬送コンベア10の中央に移動するようにガイド11が設けられている。
【0019】
キャッピング装置20は、積み重ねて載置された複数のキャップCPからそれらの先頭のキャップCPを取り出すキャップ取り出し機構21と、取り出したキャップCPをビール樽100の口金部101に装着する装着手段としての装着機構22と、口金部101に装着されたキャップCPを加熱して熱収縮させ、これによりキャップCPを口金部101に密着させる密栓装置23とを備えている。キャップ取り出し機構21と装着機構22とは、搬送通路24で接続されており、キャップ取り出し機構21にて取り出されたキャップCPはこの搬送通路24と通過して装着機構22に送られる。図2に示したように搬送通路24は搬送コンベア10の上方に搬送コンベア10とほぼ平行に設けられる。そのため、キャップCPはビール樽100の搬送方向と同じ方向から装着機構22に送られる。
【0020】
図4は、キャップ取り出し機構21を拡大して示した図である。図4に示したようにキャップ取り出し機構21は、積み重ねた状態の複数のキャップCPがその天面U(図3参照)が下を向くように置かれるキャップホルダ25と、キャップホルダ25に置かれたキャップCPの天面Uと対向するように配置された吸着カップ26と、吸着カップ26の先端が搬送通路24の外側に後退する後退位置P1と吸着カップ26の先端がキャップホルダ25に載置されたキャップCPの天面Uと接触する吸着位置P2との間で吸着カップ26を駆動するアクチュエータ27とを備えている。アクチュエータ27は、前回キャップホルダ25から取り出して装着機構22に送ったキャップCPがビール樽100に装着されると次のビール樽100に装着すべきキャップCPを装着機構22に送るべく吸着カップ26を吸着位置P2に移動させて吸着カップ26にキャップホルダ25の先頭のキャップCPを吸着保持させ、その後吸着カップ26を後退位置P1に移動させてそのキャップCPを搬送通路24に送り出す。アクチュエータ27と装着機構22とは例えばカム機構などの動力伝達機構で接続されており、アクチュエータ27のこれらの動作は装着機構22の動作と連動して行われる。吸着カップ26の内部にはその軸線上に吸引通路(不図示)が設けられている。この吸引通路は、吸着カップ26の上端に開口するとともに吸着カップ26の下端に開口する。吸着カップ26の下端に設けられた吸引通路の開口部には継ぎ手26aが取り付けられる。そして、吸着カップ26の吸引通路は、継ぎ手26aを介して図5に示した吸引力発生装置50に接続される。
【0021】
図5に示したように吸引力発生装置50は、吸引力発生源としてのエジェクタ51を備えている。エジェクタ51は、圧縮空気導入口51aから導入した圧縮空気を内部に設けたノズル(不図示)を介して排出口51bから排出することにより、吸引口51cに吸引力を発生させる周知のものである。エジェクタ51の吸引口51cは吸着カップ26の吸引通路と接続される。また、エジェクタ51の圧縮空気導入口51aは、圧縮空気供給源と接続されている。圧縮空気は、例えばキャップ装着装置1が設置されている工場の圧縮空気配管からエジェクタ51に供給してもよい。この場合、キャップ装着装置1にコンプレッサなどの圧縮空気発生源を設ける必要がない。図5に示したように吸着カップ26はエジェクタ51の吸引口51cと接続されている。吸着カップ26とエジェクタ51との間の空気吸引経路には、吸着カップ26とエジェクタ51とが連通する連通位置とその連通を阻止する遮断位置とに切り替え可能な切替バルブ52が設けられている。この切替バルブ52は、吸着カップ26が吸着位置P2に駆動された際に連通位置に切り替えられ、吸着カップ26が後退位置P1に駆動されると遮断位置に切り替えられるようにアクチュエータ27の動作と連動して制御される。切替バルブ52の制御は、カム機構などによって行われてもよいし、ハードウェア制御回路によって実現されてもよい。また、ソフトウェアによる制御が可能なコンピュータユニットによって実現されてもよい。これにより、キャップホルダ25に積み重ねて載置された複数のキャップCPからその先頭のキャップCPを取り出して搬送通路24に移動させることができる。
【0022】
キャッピング装置20の説明に戻る。キャッピング取り出し機構21によってキャップホルダ25から取り出されたキャップCPは、搬送通路24に沿って移動し、装着機構22に送られる。図1及び図4に示したように搬送通路24は、搬送中にキャップCPが途中で反転するように曲げられているため、キャップCPは天面Uが上を向いた状態で装着機構22に送られる。装着機構22は、先端にキャップCPを保持する保持部22aを備えている。この保持部22aは、ガイド11によって搬送コンベア10の中央に位置が調整されたビール樽100の口金部101に接触してその口金部101に保持しているキャップCPを装着する装着位置P3と、搬送コンベア10にて搬送されているビール樽100の高さよりも高い退避位置P4との間で揺動可能なように設けられている。
【0023】
密栓装置23は、搬送コンベア10によって搬送されているビール樽100のキャップCPを加熱する加熱部23aを備えている。加熱部23aには例えば電気ヒータや熱風発生器が設けられ、これらによってキャップCPの周囲のみを加熱する。上述したようにキャップCPは熱を加えることによって縮むため、このように加熱部23aでキャップCPを加熱することにより、キャップCPをビール樽100の口金部101に密着させることができる。
【0024】
図1に戻り診断装置30について説明する。診断装置30は、キャップ検知装置31、キャップ種別検査装置32、及びキャップ取付角度検査装置33を備えている。キャップ検知装置31は、搬送コンベア10にて搬送されているビール樽100の口金部101の天面101bに離して設けた一対の電極31aを接触させ、これらの電極31a間で導通があるか否かで口金部101にキャップCPが装着されているか否か判断するものである。一対の電極31aは、ビール樽100の口金部101に接触する検査位置と搬送コンベア10上のビール樽100との接触を回避可能な回避位置との間で駆動可能に設けられている。そして、ビール樽100がキャップ検知装置31の下に搬送されてきたときのみ検査位置に駆動され、それ以外の時期は回避位置に維持される。上述したように口金部101の中央にはメインシールパッキン101aが設けられているため、一対の電極31aは口金部101のうちメインシールパッキン101a以外の部分にそれぞれが接触するように所定の間隔を離して設けられている。上述したように口金部101はステンレス鋼などの金属製であるため電気が通る。一方、キャップCPは樹脂製であるため電気が遮断される。そのため、一対の電極31aを口金部101の天面101bに接触させた際に導通が無ければ、キャップCPが口金部101に装着されていると判断できる。
【0025】
キャップ種別検査装置32は、搬送コンベア10にて搬送されているビール樽100の口金部101の天面101bを撮像するためのカメラ32aと、カメラ32aによって撮像された画像に基づいてビール樽100にビール樽100に充填されている飲料の名称が表示されているキャップCP(以下、正しいキャップCPと称することがある。)が装着されているか否か判断する診断部32bとを備えている。診断部32bとしては、例えばマイクロプロセッサ及びその動作に必要なRAM、ROM等の周辺機器を含んだコンピュータユニットが使用される。カメラ32aは、ビール樽100の搬送経路の上方に、ビール樽100の口金部101の天面101bの少なくとも一部をほぼ垂直上方から撮像するように設けられる。
【0026】
上述したようにキャップCPの天面Uには、飲料の名称及びメーカー名などが印刷されている。そして、一般にこのキャップCPの天面Uの模様は、飲料毎にそれぞれ異なる。そこで、診断部32bにおいては、所定の処理としてまずカメラ32aが撮像した画像に対して2値化処理が行われる。その後、この2値化処理した画像の黒又は白の面積を算出する処理が行われる。診断部32bのRAMには、予め正しいキャップCPを撮像し、その後2値化処理した画像の黒又は白の面積を基準値として記憶させておく。そして、カメラ32aで撮像し、2値化処理した画像の黒又は白の面積がこの基準値に対して許容範囲内に収まっているか否かの判断処理が行われる。この判断処理で、黒又は白の面積が許容範囲内であれば、正しいキャップがビール樽100に装着されていると判断され、黒又は白の面積が許容範囲外であれば間違ったキャップがビール樽100に装着されていると判断される。なお、診断部32bにおける所定の処理は上述した処理に限定されない。例えば、予め正しいキャップCPの画像を基準画像として診断部32bのRAMに記憶させておき、この基準画像とカメラ32aが撮像した画像とを比較してビール樽100に装着されているキャップCPが正しいキャップか判断する、いわゆるパターンマッチング処理を行ってもよい。
【0027】
キャップ取付角度検査装置33は、レーザ光を測定対象に向かって射出するとともに測定対象からの反射光を受光する距離測定手段としての変位センサ33aと、診断手段としての情報処理部33bとを備えている。情報処理部33bには、例えばマイクロプロセッサ及びその動作に必要なRAM、ROM等の周辺機器を含んだコンピュータユニットが用いられる。変位センサ33aは、搬送コンベア10にて搬送されているビール樽100の口金部101の天面101bに測定点が設定されるように搬送コンベア10の上方に設けられる。情報処理部33bは、変位センサ33aから射出されたレーザ光と反射光との相関関係に基づいて所定の測定基準位置から測定点、すなわちレーザ光の反射点までの距離を求める。
【0028】
口金部101の天面101bを覆うようにキャップCPが装着されていない場合や口金部101とキャップCPとの間に異物がある場合は、図6に一例を示したようにキャップCPは口金部101に対して傾いて装着される。そのため、ビール樽100の口金部101が変位センサ33aの下を通過する際に変位センサ33aによって測定される距離が徐々に増加又は減少する。一方、図7に一例を示したようにキャップCPが口金部101に正常に装着されている場合は、キャップCPの天面Uがほぼ水平になるため、変位センサ33aはほぼ同じ距離を測定する。そこで、まず変位センサ33aの下方をビール樽100が通過する際、そのビール樽100のキャップCPの天面Uの高さを変位センサ33aによって複数回測定する。これによりビール樽100の搬送方向に沿って設定された複数の測定点におけるキャップCPの天面Uの高さを測定できる。そのため、この手順が本発明の天面高さ取得工程に相当する。次に、これら測定したキャップCPの天面Uの高さに基づいてキャップCPが正常に装着されているか否か診断する。診断方法としては、例えば測定した複数の高さの最大値と最小値の差Δh(図6参照)を算出し、この差Δhが予め設定した許容範囲内であるか否か判断する。この差Δhが許容範囲内であれば、キャップは正常に装着されていると診断され、差Δhが許容範囲外であればキャップに異常があると診断される。そのため、この手順が本発明の診断工程に相当する。
【0029】
次に排除装置40について説明する。排除装置40は、搬送コンベア10の搬送経路上に設定された排除位置Peにあるビール樽100を搬送コンベア10上から排除する排除位置P5と搬送コンベア10にて搬送されるビール樽100に干渉しない退避位置P6との間で移動可能なプッシャー部材41と、プッシャー部材41を排除位置P5と退避位置P6との間で駆動するアクチュエータ42と、プッシャー部材41により搬送コンベア10上から排除されたビール樽100が送られる排除通路43とを備えている。
【0030】
アクチュエータ42は、制御装置44にて制御される。制御装置44には、キャップ検知装置31、キャップ種別検査装置32、及びキャップ取付角度検査装置33がそれぞれ接続されている。制御装置44は、これら装置31、32、33の検査結果に基づいてアクチュエータ42の動作を制御する。すなわち、制御装置44は、キャップ検知装置31から導通が確認されたという信号が発せられた場合、キャップ種別検査装置32から2値化した画像の黒又は白の面積が許容範囲外であったという信号が発せられた場合、又はキャップ取付角度検査装置33からキャップCPの天面Uの高さが許容範囲以上に変化したという信号が発せられた場合、これらの検査結果の少なくともいずれか一つが検出されたビール樽100が排除位置Peに到達するとプッシャー部材41が排除位置P5に駆動されるようにアクチュエータ42の動作を制御する。そして、そのとき以外は、プッシャー部材41が退避位置P6に駆動されるようにアクチュエータ42の動作を制御する。なお、制御装置44は、ハードウェア制御回路によって実現されてもよいし、ソフトウェアによる制御が可能なコンピュータユニットによって実現されてもよい。
【0031】
図1及び図2を参照してキャップ装着装置1におけるビール樽100へのキャップCPの装着手順について説明する。キャップ装着装置1には、図1に左側から飲料が充填されたビール樽100が供給される。供給されたビール樽100は搬送コンベア10によってキャッピング装置20に送られる。キャッピング装置20では、すでに装着機構22の保持部22aにキャップCPが保持されており、ビール樽100の口金部101が装着機構22の保持部22aと接触すると保持部22aに保持されていたキャップCPがその口金部101に装着される。その後、ビール樽100は密栓装置23に送られ、キャップCPの加熱が行われる。これにより、口金部101にキャップCPを密着させる。
【0032】
保持部22aに保持されていたキャップCPがビール樽100に装着されると、上述したようにアクチュエータ27によって吸着カップ26が吸着位置P2に駆動され、キャップホルダ25から新たなキャップCPが取り出されて装着機構22に送られる。
【0033】
口金部101にキャップCPが装着されたビール樽100は、搬送コンベア10によってキャップ検知装置31、キャップ種別検査装置32、及びキャップ取付角度検査装置33の下を通過する。この際、各装置31、32、33は上述した方法でビール樽100に正しいキャップCPが正常に装着されているか否か検査する。その後、ビール樽100は、排除位置Peに搬送される。各装置31、32、33の検査結果が全て異常なしであった場合は、そのまま搬送コンベア10によって次の工程に搬送される。一方、各装置31、32、33の検査結果のうち少なくともいずれか一つで異常があると判断された場合は、その異常があると判断されたビール樽100がプッシャー部材41によって搬送コンベア10上から排除される。
【0034】
以上に説明したように、本発明のキャップ装着装置1によれば、吸着カップ26に作用させる吸引力の発生源としてエジェクタ51を使用したので、キャップ装着装置1を迅速に起動することができる。そのため、キャップ装着装置1の稼動時間を短縮し、装置で消費されるエネルギを低減できる。また、エジェクタ51に供給する圧縮ガスとして工場内で使用する圧縮空気の一部を利用することにより、装着装置1自体に圧縮ガスを発生させるためのコンプレッサなどを設ける必要がなくなるため、さらに消費エネルギを低減できる。また、エジェクタ51は真空ポンプなどと異なり吸引力を発生させるための回転体を有していないため、回転体の回転ムラによる吸引力の変動がない。そのため、ほぼ同じ吸引力を発生させることができる。従って、吸着カップ26にキャップCPを確実に吸着保持させてビール樽100にキャップCPを安定的に供給することができる。
【0035】
また、本発明のキャップ装着装置1は、キャップ種別検査装置32及びキャップ取付角度検査装置33を備えるので、キャップCPの有無のみではなく、ビール樽100に正しいキャップCPが正常に装着されているか否か検査できる。キャップCPが正常に装着されているか否かは、キャップ取付角度検査装置33の下をビール樽100が通過する際のキャップCPの天面Uの高さの変化に基づいて判断するので、容易にその診断を行うことができる。キャップCPの天面Uの高さの測定はレーザ光を使用して非接触で行うので、ビール樽100に装着したキャップCPに汚れが付着したり、このキャップCPが外れたりすることを防止できる。そして、診断装置30のいずれかの装置31、32、33において異常ありと診断されたビール樽100は排除装置40によって搬送コンベア10上から排除されるので、キャップCPに異常があるビール樽100がキャップ装着装置1よりも下流の工程に送られることを防止できる。
【0036】
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施してよい。例えば、本発明のキャップ装着装置が適用される容器はビール樽に限定されない。口金部にキャップを装着する種々の容器に適用してよい。
【0037】
吸着カップの吸引通路には、エジェクタに加えて真空ポンプを接続してもよい。この場合、通常はエジェクタを吸着カップの吸引力発生源として使用し、エジェクタが故障した場合に真空ポンプを吸着カップの吸引力発生源として使用する。このようにエジェクタに加えて真空ポンプを設けることにより、エジェクタが故障してもキャップ装着装置を稼動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一形態に係るキャップ装着装置を示す図。
【図2】図2のキャップ装着装置を上から見た図。
【図3】ビール樽を示す図。
【図4】キャップ取り出し機構を拡大して示す図。
【図5】吸引力発生装置を示す図。
【図6】キャップに異常があるビール樽の一例を示す図。
【図7】正常にキャップが装着されているビール樽の一例を示す図。
【符号の説明】
【0039】
1 キャップ装着装置
10 搬送コンベア(搬送手段)
21 キャップ取り出し機構
22 装着機構(装着手段)
26 吸着カップ
33a 変位センサ(距離測定手段、天面高さ取得手段)
33b 情報処理部(診断手段)
40 排除装置(排除手段)
51 エジェクタ
51c 吸引口
100 ビール樽(容器)
101 口金部
CP キャップ
U 天面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の搬送経路に沿って容器を搬送する搬送手段と、積み重ねて載置された複数のキャップの先頭のキャップに吸着カップを真空吸着させて前記複数のキャップから前記先頭のキャップを取り出すキャップ取り出し機構と、前記キャップ取り出し機構が取り出したキャップを前記搬送手段にて搬送されている容器の口金部に装着する装着手段と、を備えたキャップ装着装置において、
吸引力発生源としてエジェクタを備え、
前記エジェクタの吸引口が前記吸着カップと接続されていることを特徴とするキャップ装着装置。
【請求項2】
前記所定の搬送経路において前記装着手段の下流であり、かつ前記搬送手段にて搬送されている容器の上方に位置するように前記搬送手段の上方に設けられ、前記装着手段により容器の口金部に装着されたキャップの天面の高さを取得する天面高さ取得手段と、前記搬送手段にて搬送されている容器が前記天面高さ取得手段の下方を通過しているときに前記天面高さ取得手段が取得したキャップの天面の高さの変化に基づいて容器にキャップが正常に装着されているか否か判断する診断手段と、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のキャップ装着装置。
【請求項3】
前記天面高さ取得手段として、所定の基準高さから前記装着手段により容器の口金部に装着されたキャップの天面までの距離を測定する非接触式の距離測定手段が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のキャップ装着装置。
【請求項4】
前記所定の搬送経路において前記天面高さ取得手段の下流に設けられ、前記診断手段によりキャップに異常があると判断された容器を前記所定の搬送経路から排除する排除手段をさらに備えることを特徴とする請求項2又は3に記載のキャップ装着装置。
【請求項5】
所定の搬送経路に沿って搬送されている容器の口金部に装着されているキャップの異常の有無を診断するキャップ診断方法において、
前記容器の口金部に装着されているキャップの天面の高さをその容器の搬送方向に沿って設定された複数の測定点において取得する天面高さ取得工程と、前記天面高さ取得工程において取得した前記複数の測定点におけるキャップの天面の高さに基づいてそのキャップが容器の口金部に正常に装着されているか否か診断する診断工程と、を備えることを特徴とするキャップ診断方法。
【請求項6】
前記天面高さ取得工程では、非接触式の距離測定手段を利用して前記複数の測定点におけるキャップの天面の高さを取得することを特徴とする請求項5に記載のキャップ診断方法。
【請求項7】
前記診断工程においてキャップが正常に装着されていないと診断された容器を前記所定の搬送経路から排除する排除工程をさらに備えることを特徴とする請求項5又は6に記載のキャップ診断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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