説明

キャパシタの評価装置及びその方法

【課題】大容量のキャパシタの等価直列抵抗、キャパシタンス及び自己放電抵抗を自動的に測定することのできるキャパシタの評価装置に関する。
【解決手段】本発明のキャパシタの評価装置は、充電及び放電を制御する充放電制御部100と、測定対象であるキャパシタCSPと電源供給部50との間の連結またはキャパシタCSPと放電部300との間の連結を選択する充放電スイッチ200と、キャパシタCSPの放電のための放電抵抗を提供する放電部300と、キャパシタCSPの電圧を測定する電圧測定部400と、キャパシタCSPの充電電流または放電電流を測定する電流測定部500と、充電及び放電過程においてキャパシタCSPの電圧と充電電流及び放電電流とに基づいて、等価直列抵抗Res、キャパシタンスC及び自己放電抵抗Rsdを求めるメイン制御部600とを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車や風力発電等に適用できる大容量のキャパシタの評価装置及びその方法に関し、特にキャパシタの等価直列抵抗(ESR)、キャパシタンス及び自己放電抵抗を自動測定することができ、また、測定作業を迅速に行うことができるキャパシタの評価装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、ハイブリッドカー、風力発電等では高い出力を求める大容量キャパシタの必要性が増大している。このような大容量のキャパシタは作製時や使用中にその特性を評価する必要がある。
【0003】
図1は測定対象であるキャパシタの等価回路図であり、図1を参照すると、大容量のキャパシタCSPは等価的に等価直列抵抗(Res,ESR:Equivalent Series Resistance)、キャパシタンスC及び自己放電抵抗Rsdで表すことができる。
【0004】
従来のキャパシタの測定は、既存の小容量のキャパシタンスと自己放電率を測定することを基本とするが、その理由は出力電流が小さく等価直列抵抗による影響が無視してよいほど小さい値であるためである。
【0005】
しかし、大容量のキャパシタは数アンペアから数百アンペアまで電流を出力するため、等価直列抵抗による電圧降下が無視できず、従来の小容量のキャパシタの測定方法では大容量のキャパシタを評価することができないという問題点がある。
【0006】
また、大容量のキャパシタは、一回の充電または充電された電圧を放電させるのに長時間(例えば、2−4時間)がかかるという特性があり、キャパシタの容量が増加するにつれ、小容量のキャパシタに比べて、良否を判定するための測定評価時間が必然的に増加するという問題点がある。
【0007】
このように、キャパシタの測定に長時間がかかり、大容量のキャパシタを大量生産するのに妨げになるという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記の従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、キャパシタの等価直列抵抗(ESR)、キャパシタンスC及び自己放電抵抗Rsdを自動測定することができ、また、測定作業を迅速に行うことができるキャパシタの評価装置及びその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の本発明の目的を達成するための本発明の第1技術的側面は、充電及び放電を制御する充放電制御部と、前記充放電制御部の充電及び放電制御により、測定対象であるキャパシタと電源供給部との間の連結または前記キャパシタと放電経路との間の連結を選択する充放電スイッチと、前記放電経路に連結され、前記キャパシタの放電のための放電抵抗を提供する放電部と、前記キャパシタの電圧を測定する電圧測定部と、前記キャパシタの充電電流または放電電流を測定する電流測定部と、前記充放電制御部によって充電及び放電を制御しながら、充電及び放電過程において前記キャパシタの電圧と前記充電電流及び前記放電電流とに基づいて、等価直列抵抗、キャパシタンス及び自己放電抵抗を求めるメイン制御部とを含むことを特徴とするキャパシタの評価装置を提案する。
【0010】
前記メイン制御部は、前記キャパシタの満充電時の満充電圧と充電終了後の前記キャパシタの初期電圧との間の差電圧に該当する第1誤差電圧を、前記放電電流で割って前記等価直列抵抗を求めることを特徴とする。
【0011】
前記メイン制御部は、前記初期電圧と既設定の設定電圧との間の差電圧に該当する第2誤差電圧を、前記放電電流で割って放電抵抗を求め、前記キャパシタの電圧が前記初期電圧から前記設定電圧に変わるのにかかる放電時間を求めることを特徴とする。
【0012】
前記メイン制御部は、前記放電時間を前記放電抵抗で割って前記キャパシタンスを求めることを特徴とする。
【0013】
前記メイン制御部は、前記キャパシタの満充電時の満充電圧を、満充電後の既設定の自己放電基準時間後の電流で割って前記自己放電抵抗を測定することを特徴とする。
【0014】
前記メイン制御部は、満充電後の既設定の自己放電基準時間後の放電電圧と前記キャパシタの満充電時の満充電圧との割合で自己放電率をさらに測定することを特徴とする。
【0015】
前記自己放電基準時間は、正常態において前記キャパシタが完全に放電した後、電流が流れなくなる時間と設定することを特徴とする。
【0016】
前記メイン制御部は、放電開始後、既設定の一定の時間間隔で既設定の回数だけ前記初期電圧から下降する電圧を検出して電圧放電の線形近似式を求め、前記電圧放電の線形近似式を利用して前記放電時間を求めることを特徴とする。
【0017】
前記放電部の複数の並列抵抗を含む並列抵抗回路部と、前記並列抵抗回路部の複数の並列抵抗のそれぞれに設置されて選択する複数のスイッチを含むスイッチ回路部とを含むことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の第2技術的側面は、測定対象であるキャパシタを充電する充電段階と、前記キャパシタの充電が完了すると満充電圧及び電流を測定する第1測定段階と、前記充電が完了した後に放電する放電段階と、前記放電開始時の初期電圧及び放電電流を測定する第2測定段階と、前記初期電圧及び前記放電電流を利用して等価直列抵抗を計算する第1計算段階と、前記初期電圧から既設定の設定電圧に変わるのにかかる放電時間を計算する第2計算段階と、前記初期電圧、前記既設定の設定電圧、前記放電電流及び前記放電時間を利用してキャパシタンス及び自己放電抵抗を計算する第3計算段階とを含むことを特徴とするキャパシタの評価方法を提案する。
【0019】
前記第1計算段階は、前記キャパシタの満充電時の満充電圧と充電終了後の前記キャパシタの初期電圧との間の差電圧に該当する第1誤差電圧を、前記放電電流で割って前記等価直列抵抗を求めることを特徴とする。
【0020】
前記第2計算段階は、前記初期電圧と既設定の設定電圧との間の差電圧に該当する第2誤差電圧を、前記放電電流で割って放電抵抗を求め、前記キャパシタの電圧が前記初期電圧から前記設定電圧に変わるのにかかる放電時間を求めることを特徴とする。
【0021】
前記第3計算段階は、前記放電時間を前記放電抵抗で割って前記キャパシタンスを求めることを特徴とする。
【0022】
前記第3計算段階は、前記キャパシタの満充電時の満充電圧を、満充電後の既設定の自己放電基準時間後の電流で割って前記自己放電抵抗を測定することを特徴とする。
【0023】
前記第3計算段階は、満充電後の既設定の自己放電基準時間後の放電電圧と前記キャパシタの満充電時の満充電圧との割合で自己放電率をさらに測定することを特徴とする。
【0024】
前記自己放電基準時間は、正常態において前記キャパシタが完全に放電した後、電流が流れなくなる時間と設定することを特徴とする。
【0025】
前記第3計算段階は、放電開始後、既設定の一定の時間間隔で既設定の回数だけ前記初期電圧から下降する電圧を検出して電圧放電の線形近似式を求め、前記電圧放電の線形近似式を利用して前記初期電圧から前記設定電圧に変わるのにかかる放電時間を求めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
このような本発明によれば、大容量のキャパシタの等価直列抵抗(ESR)、キャパシタンスC及び自己放電抵抗Rsdを自動的に測定することができ、且つ放電電圧の線形近似式を利用することにより迅速に測定することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】測定対象であるキャパシタの等価回路図である。
【図2】本発明に係るキャパシタの評価装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明における測定対象であるキャパシタの充放電特性を示す曲線図である。
【図4】本発明の測定対象であるキャパシタの放電電圧の線形特性グラフである。
【図5】本発明に係るキャパシタの評価装置の放電部の構成を示す回路図である。
【図6】本発明に係るキャパシタの評価方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施例を添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0029】
本発明は、説明する実施例に限定されず、本発明の実施例は本発明の技術的思想に対する理解を助けるために使用されるものである。本発明では、参照図面において実質的に同じ構成と機能を有する構成要素は同じ符号を使用する。
【0030】
図2は、本発明に係るキャパシタの評価装置の構成を示すブロック図である。図2を参照すると、本発明に係るキャパシタの評価装置は、充電及び放電を制御する充放電制御部100と、充放電制御部100の充電及び放電制御によって測定対象であるキャパシタCSPと電源供給部50との間の連結またはキャパシタCSPと放電経路DPとの間の連結を選択する充放電スイッチ200と、放電経路DPに連結されてキャパシタCSPの放電のための放電抵抗を提供する放電部300と、キャパシタCSPの電圧を測定する電圧測定部400と、キャパシタCSPの充電電流または放電電流を測定する電流測定部500と、充放電制御部100によって充電及び放電を制御しながら充電及び放電過程におけるキャパシタCSPの電圧を求め、充電電流及び放電電流に基づいて等価直列抵抗Res、キャパシタンスC及び自己放電抵抗Rsdを求めるメイン制御部600とを含むことができる。
【0031】
図3は、本発明における測定対象であるキャパシタの充放電特性を示す曲線図であり、図3におけるVedisは放電完了電圧、Vtcは設定電圧、Ichgは充電電流、Vcは初期電圧、Vrateは満充電圧、Iechgは充電完了電流、Vdは第1誤差電圧、Idisは放電電流、Trは充電時間、Tdは充電保持時間、Tdsは放電開始時点、Tfは既設定の放電終了時間、Tcは放電時間である。
【0032】
メイン制御部600は、キャパシタCSPの満充電時の満充電圧Vrateと充電終了後のキャパシタCSPの初期電圧Vcとの間の差電圧に該当する第1誤差電圧Vdを放電電流Idisで割って等価直列抵抗Resを求めるように構成されている。
【0033】
図2及び図3を参照すると、メイン制御部600は、初期電圧Vcと既設定の設定電圧Vtcとの間の差電圧に該当する第2誤差電圧Vd2を放電電流Idisで割って放電抵抗Rtcを求め、キャパシタCSPの電圧が初期電圧Vcから設定電圧Vtcへ変化するのにかかる放電時間Tcを求めるように構成されている。
【0034】
メイン制御部600は、放電時間Tcを放電抵抗Rtcで割ってキャパシタンスCを求めるように構成される。
【0035】
メイン制御部600は、キャパシタCSPの満充電時の満充電圧Vrateを満充電後の既設定の自己放電基準時間後の電流Idisで割って自己放電抵抗Rsdを求めるように構成されている。
【0036】
メイン制御部600は、既設定の自己放電基準時間後の放電電圧VdisとキャパシタCSPの満充電時の満充電圧Vrateとの割合で自己放電率を求めるように構成してもよい。
【0037】
このとき、自己放電基準時間は、正常態においてキャパシタCが完全に放電した後、電流が流れなくなる時間と設定することができる。
【0038】
図4は本発明に係る放電電圧の線形特性グラフであり、図1から図4を参照すると、メイン制御部600は放電開始後、既設定の一定の時間間隔で既設定の回数だけ初期電圧Vcから下降する電圧を検出して電圧放電の線形近似式を求め、電圧放電の線形近似式を利用して放電時間Tcを求めるように構成してもよい。
【0039】
図5は本発明に係るキャパシタの評価装置の放電部の構成を示す回路図であり、図5を参照すると、放電部300は、複数の並列抵抗を含む並列抵抗回路部310と、並列抵抗回路部310の複数の並列抵抗R1〜Rnのそれぞれに設置されて選択する複数のスイッチSW1〜SWnを含むスイッチ回路部320とを含むことができる。
【0040】
図6は本発明に係るキャパシタの評価方法のフローチャートである。図6を参照すると、本発明に係るキャパシタの評価方法は、測定対象であるキャパシタCSPを充電する充電段階S100と、キャパシタCSPの充電が完了すると満充電圧Vrate及び電流Iechgを測定する第1測定段階S200と、充電が完了した後に放電をする放電段階S300と、放電開始時の初期電圧Vc及び放電電流Idisを測定する第2測定段階S400と、初期電圧Vc及び放電電流Idisを利用して等価直列抵抗Resを計算する第1計算段階S500と、初期電圧Vcから既設定の設定電圧Vtcに変わるのにかかる放電時間Tcを計算する第2計算段階S600と、初期電圧Vc、既設定の設定電圧Vtc、放電電流Idis及び放電時間Tcを利用してキャパシタンスC及び自己放電抵抗Rsdを計算する第3計算段階S700とを含むことができる。
【0041】
第1計算段階S500は、キャパシタCSPの満充電時の満充電圧Vrateと充電終了後のキャパシタCSPの初期電圧Vcとの間の差電圧に該当する第1誤差電圧Vdを放電電流Idisで割って等価直列抵抗Resを求める。
【0042】
第2計算段階S600は、初期電圧Vcと既設定の設定電圧Vtcとの間の差電圧に該当する第2誤差電圧Vd2を放電電流Idisで割って放電抵抗Rtcを求め、キャパシタCSPの電圧が初期電圧Vcから設定電圧Vtcに変わるのにかかる放電時間Tcを求める。
【0043】
第3計算段階S700は、放電時間Tcを放電抵抗Rtcで割ってキャパシタンスCを求める。
【0044】
また、第3計算段階S700は、キャパシタCSPの満充電時の満充電圧Vrateを満充電後の既設定の自己放電基準時間後の電流Idisで割って自己放電抵抗Rsdを求める。
【0045】
第3計算段階S700は、既設定の自己放電基準時間後の放電電圧VdisとキャパシタCSPの満充電時の満充電圧Vrateとの割合で自己放電率を求めてもよい。
【0046】
このとき、自己放電基準時間は、正常態においてキャパシタCが完全に放電した後、電流が流れなくなる時間と設定することができる。
【0047】
また、第3計算段階S700は、放電開始後、既設定の一定の時間間隔で既設定の回数だけ初期電圧Vcから下降する電圧を検出して電圧放電の線形近似式を求め、この線形近似式を利用して初期電圧Vcから設定電圧Vtcに変わるのにかかる放電時間Tcを求めてもよい。
【0048】
以下、本発明の作用及び効果を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0049】
図2及び図5を参照して本発明に係るキャパシタの評価装置について説明すると、先ず図2における本発明のキャパシタの評価装置の充放電制御部100は、本発明のメイン制御部600の制御によって充電を制御する。
【0050】
充放電スイッチ200は、充放電制御部100の充電制御により、測定対象であるキャパシタCSPと電源供給部50との間の連結を選択する。
【0051】
これにより、電源供給部50から供給される電源によってキャパシタCSPは充電され、このような充電過程において、本発明の電圧測定部400はキャパシタCSPの電圧を測定してメイン制御部600に提供する。また、本発明の電流測定部500はキャパシタCSPの電流を測定してメイン制御部600に提供する。
【0052】
メイン制御部600は、電圧測定部400からの電圧と電流測定部500からの電流を監視しながらキャパシタCSPが満充電されたか否かを判断する。キャパシタCSPが満充電されたと判断すると、満充電圧Vrate及び電流Iechgを保存する。
【0053】
図2及び図3を参照し、メイン制御部600はキャパシタCSPの充電電圧がそれ以上高くならず一定時間の間保持された場合に満充電と判断する。
【0054】
その後、メイン制御部600は充放電制御部100によって放電を制御し、充放電制御部100が充放電スイッチ200に放電を命令する。これにより、充放電スイッチ200が放電経路DPを通じてキャパシタCSPと放電部300とを連結すると、放電部300を通じてキャパシタCSPに充電された電圧が放電される。
【0055】
このような放電過程において、本発明の電圧測定部400はキャパシタCSPの電圧を測定してメイン制御部600に提供し、また本発明の電流測定部500はキャパシタCSPの放電過程における電流を測定してメイン制御部600に提供する。
【0056】
これにより、放電開始時点において、瞬間的に満充電圧が初期電圧Vcに落ちるが、メイン制御部600は電圧測定部400によって測定した初期電圧Vcを保存し、電流測定部500によって測定した放電電流Idisを保存する。
【0057】
メイン制御部600は、電圧測定部400からの放電電圧と電流測定部500からの放電電流を監視しながらキャパシタCSPの電圧が既設定の設定電圧Vtcに到達したか否かを判断する。メイン制御部600がキャパシタCSPの電圧が既設定の設定電圧Vtcに到達したと判断すると、放電開始時点Tdsから設定電圧Vtcに到達するのにかかる時間に該当する放電時間Tcを保存する。
【0058】
次いで、メイン制御部600は、キャパシタCSPの電圧と、充電電流及び放電電流に基づいて等価直列抵抗Res、キャパシタンスC及び自己放電抵抗Rsdを求める。
【0059】
より具体的に説明すると、先ずメイン制御部600はキャパシタCSPの満充電時の満充電圧Vrateと充電終了後のキャパシタCSPの初期電圧Vcとの間の差電圧に該当する第1誤差電圧Vdを、放電電流Idisで割って等価直列抵抗Resを下記数式1のようにして求めることができる。
[数1]
【0060】
Res[等価直列抵抗=ESR]=(Vrate−Vc)/Idis=Vd/Idis
【0061】
次に、メイン制御部600は、初期電圧Vcと既設定の設定電圧Vtcとの間の差電圧に該当する第2誤差電圧Vd2を、放電電流Idisで割って放電抵抗Rtcを求め、キャパシタCSPの電圧が初期電圧Vcから設定電圧Vtcに変わるのにかかる放電時間Tcを求める。
【0062】
メイン制御部600は、放電時間Tcを放電抵抗Rtcで割ってキャパシタンスCを下記数式2のようにして求めることができる。
[数2]
【0063】
C[キャパシタンス] = Tc/[(Vc−Vtc)/Idis] = Tc/(Vd2/Idis) = Tc/Rtc
【0064】
次に、メイン制御部600は、キャパシタCSPの満充電時の満充電圧Vrateを満充電後の既設定の自己放電基準時間後の電流Idisで割って自己放電抵抗Rsdを下記数式3のようにして求めることができる。
[数3]
【0065】
Rsd[自己放電抵抗]=Vrate/Idis
【0066】
また、メイン制御部600は、既設定の自己放電基準時間後の放電電圧VdisとキャパシタCSPの満充電時の満充電圧Vrateとの割合で自己放電率を下記数式4のようにして求めることができる。
【0067】
このとき、自己放電基準時間は、正常態においてキャパシタCが完全に放電した後、電流が流れなくなる時間と設定することができる。
[数4]
【0068】
RTsd(自己放電率)=(Vrate/Vdis)×100(%)
【0069】
図2、図3及び図4を参照すると、メイン制御部600は、放電開始後、既設定の一定の時間間隔で既設定の回数だけ初期電圧Vcから下降する電圧を検出して電圧放電の線形近似式を下記数式5のようにして求めることができ、電圧放電の線形近似式を利用して放電時間Tcを求めることができる。
[数5]
【0070】
Y=A・X+B
【0071】
上記数式5におけるYは電圧であり、Xは時間であり、Aは傾きであり、BはY軸の切片である。上記数式5を参考にすると、放電電圧の線形近似式からVcからVtcに変わるのにかかる放電時間Tcを類推することができる。
【0072】
図5を参照すると、放電部300のスイッチ回路部320の複数のスイッチSW1〜SWnにより並列抵抗回路部310の複数の並列抵抗R1〜Rnから少なくとも1つを選択することができる。
【0073】
これにより、本発明では放電部300の放電に寄与する抵抗値を選択することができるため、検査対象であるキャパシタの特性により放電速度を適切に調節することができる。
【0074】
以下、図2、図3、図4及び図6を参照して本発明に係るキャパシタの評価方法を説明する。
【0075】
先ず、図6において、本発明に係るキャパシタの評価方法における充電段階S100は、測定対象であるキャパシタCSPを充電する。
【0076】
即ち、本発明のメイン制御部600の制御によって充放電制御部100が充電を制御すると、充放電スイッチ200が測定対象であるキャパシタCSPと電源供給部50との間の連結を選択する。これにより、電源供給部50から供給される電源によってキャパシタCSPは充電される。
【0077】
次に、本発明の第1測定段階S200では、キャパシタCSPの充電が完了すると満充電圧Vrate及び電流Iechgを測定する。
【0078】
即ち、メイン制御部600は、電圧測定部400からの電圧と電流測定部500からの電流を監視しながらキャパシタCSPが満充電されたか否かを判断する。キャパシタCSPが満充電されたと判断すると、満充電圧Vrate及び電流Iechgを測定して保存する。
【0079】
このとき、上述したように、メイン制御部600は、キャパシタCSPの充電電圧がそれ以上高くならず、一定時間の間保持された場合に満充電と判断する。
【0080】
次に、本発明の放電段階S300では充電が完了した後に放電を行い、第2測定段階S400では放電開始時の初期電圧Vc及び放電電流Idisを測定する。
【0081】
即ち、メイン制御部600の制御によって充放電制御部100が充放電スイッチ200に放電を命令すると、充放電スイッチ200は放電経路DPを通じてキャパシタCSPと放電部300とを連結し、放電部300によってキャパシタCSPの電圧を放電させる。
【0082】
このとき、放電開始時点において、瞬間的に満充電圧から初期電圧Vcに落ちるが、メイン制御部600は電圧測定部400によって測定された初期電圧Vcを保存し、電流測定部500によって測定された放電電流Idisを保存する。
【0083】
次に、本発明の第1計算段階S500では、初期電圧Vc及び放電電流Idisを利用して等価直列抵抗Resを計算する。
【0084】
例えば、キャパシタCSPの満充電時の満充電圧Vrateと充電終了後のキャパシタCSPの初期電圧Vcとの間の差電圧に該当する第1誤差電圧Vdを、放電電流Idisで割って数式1のようにして等価直列抵抗Resを求めることができる。
【0085】
次に、本発明の第2計算段階S600では、初期電圧Vcから既設定の設定電圧Vtcに変わるのにかかる放電時間Tcを計算する。
【0086】
また、本発明の第3計算段階S700では、初期電圧Vc、既設定の設定電圧Vtc、放電電流Idis及び放電時間Tcを利用してキャパシタンスC及び自己放電抵抗Rsdを計算する。
【0087】
例えば、第3計算段階S700は、初期電圧Vcと既設定の設定電圧Vtcとの間の差電圧に該当する第2誤差電圧Vd2を放電電流Idisで割って放電抵抗Rtcを求め、キャパシタCSPの電圧が初期電圧Vcから設定電圧Vtcに変わるのにかかる放電時間Tcを求めることができる。
【0088】
これにより、放電時間Tcを放電抵抗Rtcで割ってキャパシタンスCを数式2のようにして求めることができる。
【0089】
次いで、第3計算段階S700では、キャパシタCSPの満充電時の満充電圧Vrateを満充電後の既設定の自己放電基準時間後の電流Idisで割って自己放電抵抗Rsdを数式3のようにして求めることができる。
【0090】
即ち、理想的には満充電時に充電電流が0に減少しなければならないが、自己放電抵抗Rsdにより自己放電が発生し、一定値以上が流れるようになるため、特定の時間が経過した後、充電電流と放電電流を測定し、オームの法則によって抵抗を求めると自己放電抵抗Rsdを計算することができる。
【0091】
また、第3計算段階S700では、既設定の自己放電基準時間後の放電電圧VdisとキャパシタCSPの満充電時の満充電圧Vrateとの割合で自己放電率RTsdを数式4のようにして求めることができる。
【0092】
ここで、自己放電基準時間は、正常態においてキャパシタCが完全に放電した後、電流が流れなくなる時間と設定することができる。
【0093】
このとき、設定された時間の間にキャパシタンスの電圧が満充電圧Vrateに到達しないか、または充電電流Ichgが設定値以下に減少しない場合は、自己放電率が大きいとみなし、キャパシタンス不良と判定することができる。
【0094】
一方、図4を参照すると、第3計算段階S700では、放電開始後に既設定の一定の時間間隔で既設定の回数だけ初期電圧Vcから下降する電圧を検出して電圧放電の線形近似式を数式5のようにして求め、この線形近似式を利用して初期電圧Vcから設定電圧Vtcに変わるのにかかる放電時間Tcを求めることができる。
【0095】
一方、等価直列抵抗ESRを測定する他の方式としては放電中に、放電部とキャパシタとの連結を切るとキャパシタの電圧が上昇する。これはキャパシタから電流が出力されず、等価直列抵抗ESRによる電圧降下が発生しないために発生する現象である。
【0096】
これから電圧上昇分を電流変化量で割って抵抗値を類推することができ、この抵抗値が等価直列抵抗ESRとなる。
【符号の説明】
【0097】
100 充放電制御部
200 充放電スイッチ
300 放電部
310 並列抵抗回路部
320 スイッチ回路部
400 電圧測定部
500 電流測定部
600 メイン制御部
CSP キャパシタ
Res 等価直列抵抗
Rsd 自己放電抵抗
Vc 初期電圧
Vtc 設定電圧
Idis 放電電流
Rtc 放電抵抗
Vrate 満充電圧
Vdis 放電電圧
Tc 放電時間
Tds 放電開始時点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電及び放電を制御する充放電制御部と、
前記充放電制御部の充電及び放電制御により、測定対象であるキャパシタと電源供給部との間の連結または前記キャパシタと放電経路との間の連結を選択する充放電スイッチと、
前記放電経路に連結され、前記キャパシタの放電のための放電抵抗を提供する放電部と、
前記キャパシタの電圧を測定する電圧測定部と、
前記キャパシタの充電電流または放電電流を測定する電流測定部と、
前記充放電制御部によって充電及び放電を制御しながら、充電及び放電過程において前記キャパシタの電圧と前記充電電流及び前記放電電流とに基づいて、等価直列抵抗、キャパシタンス及び自己放電抵抗を求めるメイン制御部と
を含むことを特徴とするキャパシタの評価装置。
【請求項2】
前記メイン制御部は、
前記キャパシタの満充電時の満充電圧と充電終了後の前記キャパシタの初期電圧との間の差電圧に該当する第1誤差電圧を、前記放電電流で割って前記等価直列抵抗を求めることを特徴とする請求項1に記載のキャパシタの評価装置。
【請求項3】
前記メイン制御部は、
前記初期電圧と既設定の設定電圧との間の差電圧に該当する第2誤差電圧を、前記放電電流で割って放電抵抗を求め、前記キャパシタの電圧が前記初期電圧から前記設定電圧に変わるのにかかる放電時間を求めることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のキャパシタの評価装置。
【請求項4】
前記メイン制御部は、
前記放電時間を前記放電抵抗で割って前記キャパシタンスを求めることを特徴とする請求項3に記載のキャパシタの評価装置。
【請求項5】
前記メイン制御部は、
前記キャパシタの満充電時の満充電圧を、満充電後の既設定の自己放電基準時間後の電流で割って前記自己放電抵抗を測定することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のキャパシタの評価装置。
【請求項6】
前記メイン制御部は、
満充電後の既設定の自己放電基準時間後の放電電圧と前記キャパシタの満充電時の満充電圧との割合で自己放電率をさらに測定することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のキャパシタの評価装置。
【請求項7】
前記自己放電基準時間は、正常態において前記キャパシタが完全に放電した後、電流が流れなくなる時間と設定することを特徴とする請求項5または請求項6に記載のキャパシタの評価装置。
【請求項8】
前記メイン制御部は、
放電開始後、既設定の一定の時間間隔で既設定の回数だけ前記初期電圧から下降する電圧を検出して電圧放電の線形近似式を求め、前記電圧放電の線形近似式を利用して前記放電時間を求めることを特徴とする請求項3に記載のキャパシタの評価装置。
【請求項9】
前記放電部の複数の並列抵抗を含む並列抵抗回路部と、
前記並列抵抗回路部の複数の並列抵抗のそれぞれに設置されて選択する複数のスイッチを含むスイッチ回路部と
を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のキャパシタの評価装置。
【請求項10】
測定対象であるキャパシタを充電する充電段階と、
前記キャパシタの充電が完了すると満充電圧及び電流を測定する第1測定段階と、
前記充電が完了した後に放電する放電段階と、
前記放電開始時の初期電圧及び放電電流を測定する第2測定段階と、
前記初期電圧及び前記放電電流を利用して等価直列抵抗を計算する第1計算段階と、
前記初期電圧から既設定の設定電圧に変わるのにかかる放電時間を計算する第2計算段階と、
前記初期電圧、前記既設定の設定電圧、前記放電電流及び前記放電時間を利用してキャパシタンス及び自己放電抵抗を計算する第3計算段階と
を含むことを特徴とするキャパシタの評価方法。
【請求項11】
前記第1計算段階は、
前記キャパシタの満充電時の満充電圧と充電終了後の前記キャパシタの初期電圧との間の差電圧に該当する第1誤差電圧を、前記放電電流で割って前記等価直列抵抗を求めることを特徴とする請求項10に記載のキャパシタの評価方法。
【請求項12】
前記第2計算段階は、
前記初期電圧と既設定の設定電圧との間の差電圧に該当する第2誤差電圧を、前記放電電流で割って放電抵抗を求め、前記キャパシタの電圧が前記初期電圧から前記設定電圧に変わるのにかかる放電時間を求めることを特徴とする請求項10または請求項11に記載のキャパシタの評価方法。
【請求項13】
前記第3計算段階は、前記放電時間を前記放電抵抗で割って前記キャパシタンスを求めることを特徴とする請求項12に記載のキャパシタの評価方法。
【請求項14】
前記第3計算段階は、
前記キャパシタの満充電時の満充電圧を、満充電後の既設定の自己放電基準時間後の電流で割って前記自己放電抵抗を測定することを特徴とする請求項10乃至請求項13のいずれか1項に記載のキャパシタの評価方法。
【請求項15】
前記第3計算段階は、
満充電後の既設定の自己放電基準時間後の放電電圧と前記キャパシタの満充電時の満充電圧との割合で自己放電率をさらに測定することを特徴とする請求項10乃至請求項14のいずれか1項に記載のキャパシタの評価方法。
【請求項16】
前記自己放電基準時間は、正常態において前記キャパシタが完全に放電した後、電流が流れなくなる時間と設定することを特徴とする請求項14または請求項15に記載のキャパシタの評価方法。
【請求項17】
前記第3計算段階は、
放電開始後、既設定の一定の時間間隔で既設定の回数だけ前記初期電圧から下降する電圧を検出して電圧放電の線形近似式を求め、前記電圧放電の線形近似式を利用して前記初期電圧から前記設定電圧に変わるのにかかる放電時間を求めることを特徴とする請求項12に記載のキャパシタの評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−119637(P2011−119637A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96813(P2010−96813)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】