説明

キャパシタモジュールおよびその製造方法

【課題】機械的強度を高めるとともに軽量化し、放熱性を高める。
【解決手段】少なくとも2つのキャパシタ(キャパシタ4−1、4−2、4−3、4−4、4−5、4−6)の外装部材(外装ケース6)の表面に沿って樹脂(50)により形成された樹脂被覆部(8)を備え、前記樹脂被覆部が、前記キャパシタ間を連結する連結部(112、123、134、145、156)と、前記キャパシタの外部端子(陽極端子20、陰極端子22)と前記外装部材の一部を露出させる非被覆部(14、16)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の電気二重層キャパシタなどのキャパシタを備えたキャパシタモジュールの連結構造に関し、外装部材の外面に樹脂被覆を備えたキャパシタモジュールおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のキャパシタを搭載するインバータ、電源ユニットなどでは、複数のキャパシタを直列接続、並列接続または直並列接続などにより連結し、所望の容量や耐電圧を実現している。車載装置にあっては、各キャパシタに対し耐振動性や固定強度の強化、さらには固定構造の軽量化の要求がある。
【0003】
複数のキャパシタの設置に関し、特許文献1にはインバータユニットのカバー内に複数の凹部に複数のキャパシタを設置するとともに、樹脂を充填して固定する構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−14085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、複数のキャパシタを直列接続、並列接続または直並列接続する場合には、キャパシタの外部端子間をバスバーにより接続する。また、併置される複数のキャパシタは、ケースに収容して固定し、または既述のように(特許文献1)、封止樹脂を併用し、固定を強化する方法が用いられている。固定強度を高めるために、固定構造を複雑化すれば、その分だけ部品点数が増加するし、金属ケースと封止樹脂とを併用すれば、固定強度が高くなるものの、加工工数の増加、キャパシタの放熱性を悪化させ、軽量化を妨げることになる。放熱性の悪化はキャパシタの寿命や電気的な特性に影響する。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記課題に鑑み、キャパシタモジュールの固定強度、機械的強度を高めるとともに軽量化し、キャパシタの放熱性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のキャパシタモジュールは、少なくとも2つのキャパシタの端子位置を同一面上に揃えて連接配置し、前記キャパシタの外装部材の表面に沿って樹脂を被覆した樹脂被覆部で前記キャパシタを連結させている。
【0008】
上記目的を達成するため、前記キャパシタモジュールにおいて、好ましくは隣接する前記キャパシタ間の前記樹脂被覆部に跨がって成形された単一または複数の補強部を備えていても良い。
【0009】
上記目的を達成するため、前記キャパシタモジュールにおいて、好ましくは前記補強部が前記キャパシタを連結させる前記樹脂被覆部の連結部と交差方向に立設され且つ前記樹脂被覆部に跨がって成形されたリブであっても良い。
【0010】
上記目的を達成するため、前記キャパシタモジュールにおいて、好ましくは前記キャパシタの外装部材の表面の一部に一以上の凹部を設け、前記樹脂で前記凹部を被覆しても良い。
【0011】
上記目的を達成するため、前記キャパシタの外部端子と前記外装部材の一部を露出させる非被覆部を備えても良い。
【0012】
上記目的を達成するため、前記キャパシタモジュールにおいて、好ましくは前記樹脂被覆部の一部に1つ以上の孔を有しても良い。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明のキャパシタモジュールの製造方法では、少なくとも2つのキャパシタの端子位置を同一面上に揃えて連接配置し、樹脂成形によって、前記キャパシタの外装部材の表面に沿って被覆する樹脂成形部を形成し、前記キャパシタを連結させている。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明のキャパシタモジュールの製造方法において、好ましくは、隣接する前記キャパシタ間の前記樹脂被覆部に跨がって成形された単一または複数の補強部と前記樹脂被覆部を同時に形成しても良い。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明のキャパシタモジュールの製造方法において、好ましくは、前記キャパシタの外装部材の表面の一部に一以上の凹部を設け、前記凹部に樹脂が注入されるように樹脂被覆部を形成しても良い。
【0016】
上記目的を達成するため、本発明のキャパシタモジュールの製造方法で、好ましくは、少なくとも2つのキャパシタの端子位置を同一面上に揃えて連接配置し、
樹脂成形によって、前記キャパシタの外装部材の表面に沿って樹脂を被覆する樹脂被覆部形成と、前記キャパシタの外部端子と前記外装部材の一部を露出させる非被覆部形成を同時に行っても良い。
【発明の効果】
【0017】
本発明のキャパシタモジュールによれば、次のいずれかの効果が得られる。
【0018】
(1) キャタモジュールに併置されるキャパシタはキャパシタの外装部材に沿って形成された樹脂被覆部で一体化されるので、各キャパシタを固定する固定強度を高めることができるとともに、キャパシタモジュールの機械的強度を高めることができる。このため、キャパシタの外部端子間の接続部分に加わる応力を軽減でき、接続構造に過大な強度を求める必要がなく、接続構造の軽量化に寄与することができる。
【0019】
(2) 隣接するキャパシタ間の樹脂被覆部に跨がって成形された単一または複数の補強部を備えることで、樹脂被覆部の機械的脆弱部となる連結部が、補強部によって強固なものとなり、キャパシタモジュールの機械的強度を向上させることができる。
【0020】
(3) 特に補強部として、連結部と交差方向に立設され且つ樹脂被覆部に跨がって成形されたリブとすることで、各リブは、各連結部と交差方向に立設されていること、さらに樹脂被覆部に形成された凹部である谷部に跨がって成形されていることにより、キャパシタモジュール全体として機械的脆弱部となる連結部に加わる外部応力を各リブで効率的に受け止めることとなり、簡易な構成でキャパシタモジュールの機械的強度の向上を図ることができる。
【0021】
(4) キャパシタの外装部材の一部に凹部を設け、樹脂で凹部を被覆しているので、樹脂被覆部からキャパシタが脱落することを防止でき、各キャパシタの固定強度を向上させることができる。
【0022】
(5) 樹脂被覆部から各キャパシタの外部端子を露出させているので、キャパシタ間や他の電子部品との接続を妨げることがない。さらに、外装部材の一部を樹脂被覆部から露出させると、キャパシタモジュールの軽量化が図れるとともに、各キャパシタの放熱性を高めることができるので、過熱による劣化や電気的特性の悪化を防止できる。
【0023】
本発明のキャパシタモジュールの製造方法によれば、次のいずれかの効果が得られる。
【0024】
(1) 少なくとも2つのキャパシタの端子位置を同一面上に揃えて連接配置し、樹脂成形によって、前記キャパシタの外装部材の表面に沿って被覆する樹脂被覆部を形成し、キャパシタを連結させるため、複数のキャパシタを簡易な方法で連結して固定したキャパシタモジュールを作成することができる。特に、従来のキャパシタモジュールのように、金属ケースに収容して固定する場合や、さらに封止樹脂を併用するなど手段で固定を強化する方法を用いた場合と比べ、固定構造が簡易であり、部品点数も少なくなる。
【0025】
(2) 前述したような樹脂成形によって、隣接するキャパシタを固定する場合には、各キャパシタの間の樹脂被覆部に跨がって単一または複数の補強部と樹脂被覆部を同時に形成することができ、複数の工程を経ずに1つの工程で、キャパシタを連結して固定することと、キャパシタモジュールの機械的強度の向上を図ることができる。
【0026】
(3) キャパシタの外装部材の一部に一以上の凹部を設けた後に、凹部に樹脂が注入されるように樹脂成形により樹脂被覆部を形成することで、キャパシタの凹部に樹脂が入り込み、樹脂被覆部からキャパシタが脱落することを防止でき、各キャパシタの固定強度を向上させることができるとともに、複数の工程を経ずに1つの工程で、このような脱落防止機能を実現することができる。
【0027】
(4) キャパシタの外装部材の表面に沿って樹脂を被覆させる樹脂被覆部形成工程と、キャパシタの外部端子、外装部材の一部を露出させる非被覆部形成工程を同時に行うことで、軽量かつ放熱性に優れたキャパシタモジュールを複数の工程を経ずに1つの工程で実現することできる。
【0028】
そして、本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付図面及び各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1の実施の形態に係るキャパシタモジュールを示す平面図である。
【図2】キャパシタモジュールを示す側面図である。
【図3】図1のIII −III 線断面を示す断面図である。
【図4】図2のIV−IV線断面を示す断面図である。
【図5】キャパシタモジュールを示す分解斜視図である。
【図6】キャパシタモジュールの製造工程の一例を示す図である。
【図7】第2の実施の形態に係る、キャパシタモジュールの一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
〔第1の実施の形態〕
【0031】
図1、図2、図3および図4は第1の実施の形態に係るキャパシタモジュールを示し、図1はその平面、図2はその側面を示し、図3は図1のIII −III 線断面、図4は図2のIV−IV線断面を示している。
【0032】
このキャパシタモジュール2は本発明のキャパシタモジュールの一例である。このキャパシタモジュール2には少なくとも2つのキャパシタとして6個の電気二重層キャパシタ(以下「キャパシタ」と称する。)4−1、4−2、4−3、4−4、4−5、4−6が備えられている。各キャパシタ4−1〜4−6はたとえば、電気二重層キャパシタまたは電解コンデンサのいずれか、または他のキャパシタで構成してもよい。この実施の形態では、6個のキャパシタ4−1〜4−6を備えているが、キャパシタモジュール2を構成するキャパシタの個数は任意であり、6個に限定されるものではない。
【0033】
各キャパシタ4−1〜4−6の形状は断面円形の柱状体であって、配列形態は封口側を上にして外装部材としての外装ケース6を底面側にして併置されている。このキャパシタ4−1〜4−6の併置の際には、封口部18側に形成された外部端子(陽極端子20、陰極端子22)が同一面上となるように併置する。外部端子が同一面に位置していないと、外部端子同士をバスバーで接続できない。または、段差を形成した特殊な形状のバスバーでの接続が必要となり、作業の煩雑を招く。なお、外部端子同士を接続するバスバーは、後に説明する樹脂被覆部8の形成前に取り付けておいても良く、樹脂被覆部8を形成した後に取りつけても良い。
【0034】
各キャパシタ4−1〜4−6は、各外装ケース6の一部が樹脂により形成された樹脂被覆部8で被覆され、この樹脂被覆部8で連結されている。樹脂はポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ナイロンなど、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれを用いてもよい。熱硬化性樹脂を使用した場合、一度成形すると高温になっても軟化しないので、耐熱性の高い樹脂被覆部8により各キャパシタ4−1〜4−6を強固に固定することができ、固定強度の向上を図ることができる。一方で、熱可塑性樹脂を使用した場合、樹脂の熱硬化工程が不要になるなど、熱硬化性樹脂を用いた場合に比べ製造工程が簡略なものとなる。従って、キャパシタモジュールの用途に応じて樹脂を選択することが可能である。
【0035】
樹脂被覆部8の形状としては、被覆する各キャパシタ4−1〜4−6の外周面に沿って、ほぼ一定の厚みの樹脂で被覆することで、各キャパシタの周面の外観形状が表出する程度の厚さに成形されている。すなわち、隣接するキャパシタ同士の間には、樹脂被覆部8の谷部29が形成されている。この樹脂被覆部8での樹脂の厚さは、キャパシタモジュールに求められる機械的強度と、選択した樹脂の特性に応じて、必要な厚さに設定すれば良い。しかし、樹脂被覆部8に谷部29が形成されていないと、求められる機械的強度に対し、必要以上に樹脂を使用することとなり、キャパシタモジュールの重量化を招くばかりか、コストも向上してしまう。
【0036】
樹脂被覆部8は、図2および図3に示すように、被覆部8−1、8−2、8−3、8−4、8−5、8−6と、連結部112、123、134、145、156とを備えるとともに補強部12を備えている。被覆部8−1、8−2、8−3、8−4、8−5、8−6は各キャパシタ4−1、4−2、4−3、4−4、4−5、4−6の円周側面を一定の厚さで被覆している。なお、キャパシタの円周側面同士を接触させて配置した場合には、各キャパシタの間には樹脂が入り込まず、連結部112、123、134、145、156が形成されない場合もある。従って、連結部は必須ではないもの、連結部112、123、134、145、156があることで、キャパシタを挟んで対向した樹脂被覆部8同士を連結させることとなり、キャパシタモジュール全体としての機械的強度の向上を図ることができる。さらに、樹脂被覆部8の機械的強度が増加することで、各キャパシタを固定する固定強度の向上を図ることができる。このため、連結部を有する構成である方が好ましい。この樹脂被覆部8から各キャパシタ4−1〜4−6やその接続部を露出させるため、非被覆部14、16が備えられている。
【0037】
各被覆部8−1、8−2、8−3、8−4、8−5、8−6は、各キャパシタ4−1〜4−6の各外装ケース6を個別に覆う部分である。各被覆部8−1、8−2、8−3、8−4、8−5、8−6には図3の部分拡大に示すように、外装ケース6の封口側の加締め部7が包含されている。この加締め部7は、キャパシタの外装部材の表面に形成した凹部の一形態であり、この実施の形態で示すように、凹部は加締め部7を利用したものでも良く、加締め部7以外に新たに凹みを設けたものであってもよい。なお、この加締め部7は外装ケース6に封口部材を位置決めする径小部分であり、外装ケース6の外周囲に径小部分を形成している。この実施の形態では、被覆部8−1、8−2、8−3、8−4、8−5、8−6を形成する封止樹脂が加締め部7に入り込み、被覆部8−1、8−2、8−3、8−4、8−5、8−6と各外装ケース6との固定強度を高め、且つ、抜け止め機能を果たしている。各連結部112、123、134、145、156は、隣接するキャパシタ4−1とキャパシタ4−2、キャパシタ4−2とキャパシタ4−3、キャパシタ4−3とキャパシタ4−4、キャパシタ4−4とキャパシタ4−5、キャパシタ4−5とキャパシタ4−6とを樹脂被覆部8により連結する部分である。
【0038】
樹脂被覆部8は各外装ケース6を部分的に覆っており、非被覆部14が外部端子側に形成され、非被覆部16が外装ケース6の底面側に形成されている。つまり、非被覆部14は、各キャパシタ4−1〜4−6の上部側の一部の一例として、封口部18、陽極端子20、陰極端子22、外装ケース6の一部を露出させた部分を指す。また、非被覆部16は、各キャパシタ4−1〜4−6の外装ケース6の側面部の一部および底面部を露出させた部分を指す。
【0039】
補強部12は、各連結部112、123、134、145、156を補強する手段であって、複数のリブで構成され、この実施の形態では、補強部12の長さ方向に一定の間隔で形成された3対のリブ24、26、28で構成されている。各リブ24、26、28は各連結部112、123、134、145、156と一体であるとともに、各被覆部8−1と8−2、被覆部8−2と8−3、被覆部8−3と8−4、被覆部8−4と8−5、被覆部8−5と8−6で形成された凹部である谷部29に跨がって断面扇形を成している。キャパシタ4−1〜4−6を一定の厚さで被覆している樹脂被覆部8はキャパシタ4−1〜4−6間を補強する補強部としてリブ24、26、28を備えて既述の谷部29を橋絡している。つまり、各リブ24、26、28が各連結部112、123、134、145、156と交差方向に立設されているので、樹脂被覆部8の直径幅より小さい範囲でキャパシタ4−1〜4−6間の樹脂被覆部8を補強している。
【0040】
また、樹脂被覆部8の始端および終端側には、ブラケット部30が形成されている。このブラケット部30は、樹脂被覆部8を媒介としてキャパシタモジュール2を固定する手段の一例である。この実施の形態では、ブラケット部30がキャパシタモジュール2の並列方向に突出する板状部材であり、ブラケット部30にも既述のリブ24、26、28を備えて補強されている。各ブラケット部30には固定ねじを取り付ける複数の貫通孔32が形成されている。各貫通孔32は各リブ24、26、28の間に形成されている。
【0041】
隣接するキャパシタ4−1〜4−6は、図5に示すように、陽極端子20と陰極端子22とを連結部材の一例であるバスバー34および固定ねじ36によって接続されている。この実施の形態では直列接続であるが、接続形態は並列接続、直並列接続のいずれであってもよい。各バスバー34には回路基板38が固定ねじ40によって取り付けられている。
【0042】
つぎに、図6は樹脂被覆部の成形方法を示している。図6の構成は一例であり、斯かる構成に本発明は限定されるものではない。
【0043】
この樹脂被覆部8の成形方法は、本発明のキャパシタモジュールの製造方法の一例である。この製造方法には完成品であるキャパシタ4−1〜4−6が用いられる。
【0044】
各キャパシタ4−1〜4−6の樹脂被覆部8の成形には成形型42、44が用いられる。成形型42、44には図6の(A)および(B)に示すように、樹脂を注入するポート48から流動性のある樹脂を流して樹脂被覆部8を形成するキャビティ46とキャパシタの外部端子、底面、円周側面の一部の型に沿って掘られており、樹脂で被覆されないようポート48から切り離される成形型で構成されている。各キャパシタ4−1〜4−6はこれに設置され、閉じられたポート48から流動性のある樹脂50を充填し、この樹脂50を硬化させる。この硬化により、樹脂が流し込まれて出来る樹脂被覆部8と樹脂が流れ込んでいないキャパシタの外部端子側の非被覆部14、キャパシタの外装ケース6の底面部及び円周側面の一部から成る非被覆部16が同時に形成され、各キャパシタ4−1〜4−6は樹脂被覆部8によって一体化される。同時というのはキャパシタを樹脂で被覆する部分と被覆しない部分を1つの工程で形成することを意味する。また、成形型42、44には樹脂被覆部8の補強部としてリブ24、26、28の形状、さらにブラケット部30の形状に合致した型を備えており、樹脂50を充填した際に、各リブ24、26、28およびブラケット部30も同時に樹脂成形で形成することが可能である。
【0045】
この樹脂被覆部8の形状は、既述した通りであるので、その説明を割愛する。
【0046】
また、各リブ24、26、28は樹脂被覆部8と同様、キャビティ46の型に沿って樹脂が流し込まれて硬化されている。各リブ24、26、28と樹脂被覆部8が一体で成形することで繋ぎ目がなくなるため、機械的強度を強くすることが出来る。さらにブラケット部30についても、樹脂被覆部8との繋ぎ目がないため、同様に機械的強度を強くすることができる。
〔第1の実施の形態の効果〕
【0047】
(1) 樹脂被覆部8は各キャパシタ4−1〜4−6の外装ケース6の外表面部を覆う被覆部8−1〜8−6に成形されている。つまり、被覆部8−1〜8−6はキャパシタ4−1〜4−6の外装ケース6の外観形状が表出する程度の厚さに成形されている。しかも、非被覆部14、16を設けて各キャパシタ4−1〜4−6の一部を樹脂被覆部8から露出させている。したがって、このような樹脂被覆部8によれば、樹脂被覆の軽量化を図ることができる。
【0048】
(2) 既述のように、各キャパシタ4−1〜4−6を樹脂被覆部8で被覆しながら、非被覆部14、16としてキャパシタ4−1〜4−6の一部を露出させており、その露出した封口部18や外装ケース6は外気に触れさせて放熱させることができ、キャパシタモジュール2の放熱性を高めることができる。つまり、各キャパシタ4−1〜4−6の過熱を防止でき、特性劣化を防止できる。
【0049】
(3) 樹脂被覆部8は各キャパシタ4−1〜4−6の外装ケース6を周回して外表面部を覆う被覆部8−1〜8−6を備え、この被覆部8−1〜8−6を連結部112、123、134、145、156で連結する場合には、各キャパシタ4−1〜4−6を強固に固定することになり、各キャパシタの固定強度の向上を図ることができる。
【0050】
(4) キャパシタの外装部材の一部に凹部を設けた後、樹脂で被覆しているので樹脂からのキャパシタが脱落することを防止でき、各キャパシタの固定強度の向上を図ることができる。
【0051】
(5) 連結部112、123、134、145、156によって連結された樹脂被覆部8の被覆部8−1〜8−6は、連結部112、123、134、145、156と隣接する各被覆部8−1〜8−6間に跨がる補強部12により補強され、強化されている。この実施の形態では、各補強部12が複数のリブ24、26、28で構成され、各リブ24、26、28が樹脂被覆部8の幅方向に所定間隔で形成されている。このため、樹脂被覆部8の機械的強度を補強部12で形成することのみで実現することができ、モジュール全体を方形状に樹脂被覆した場合と比べ、はるかに軽量化が図れる。また、連結部112、123、134、145、156における機械的強度も強化でき、堅牢性に優れたキャパシタモジュール2が得られている。
【0052】
(6) 特に各リブ24、26、28は、連結部112、123、134、145、156と交差方向に立設され且つ各被覆部8−1と8−2、被覆部8−2と8−3、被覆部8−3と8−4、被覆部8−4と8−5、被覆部8−5と8−6で形成された凹部である谷部29に跨がって成形されているので、キャパシタモジュール全体として機械的に脆弱な部分となる連結部112、123、134、145、156に加わる外部応力を、各リブ24、26、28で受け止めることとなり、簡易な構成で機械的強度の向上を図ることができる。
【0053】
(7) 非被覆部14として樹脂被覆部8から各キャパシタ4−1〜4−6の外部端子である陽極端子20や陰極端子22を露出させているので、これら陽極端子20や陰極端子22に対する電気的な接続や接続部材の接続固定を妨げることがない。つまり、良好な接続形態が得られ、接続にはバスバーや任意の接続部材を選択できる。
【0054】
(8) キャパシタの外装部材の表面に沿って樹脂を被覆させる工程と、キャパシタの外部端子、底面、円周側面の一部を被覆しない工程を1つの工程で成形することで、複数の工程を設けずに軽量かつ放熱性に優れたキャパシタモジュールを実現できる。
【0055】
(9) 樹脂被覆部8の形成と同時に一つ以上の孔を有するブラケット部30を形成しているので、キャパシタモジュールを外部に固定するための固定部材を別途用意すること無く、あるいは、キャパシタモジュールに固定部材を別途形成すること無く、キャパシタモジュールを作成することができるため、工程の簡略化を図ることができる。
【0056】
〔第2の実施の形態〕
【0057】
図7は第2の実施の形態に係るキャパシタモジュールを示している。第1の実施の形態では、補強部12の各リブ24、26、28の厚みを同一に設定しているが、図7に示すように、リブ26を厚く構成してもよい。また、リブ26以外のリブ24、28のいずれかまたは双方を厚く形成してもよい。
【0058】
斯かる構成とすれば、樹脂被覆部8を重量化することなく、機械的強度をより高めることができる。
【0059】
〔他の実施の形態〕
【0060】
(1) 樹脂被覆部8の一部に単一または複数のスリットを設け、スリットから外装ケース6を外気に触れさせることにより、キャパシタの放熱性を高めてもよい。
【0061】
(2) 上記実施の形態では、樹脂被覆部8をキャパシタ4−1〜4−6の封口部側に設置しているが、外装ケース6の底面側に設置することにより、封口部側の非被覆部14の面積を拡大し、非被覆部16側の面積を縮小した形態としてもよい。
【0062】
(3) 上記実施の形態では、キャパシタを1列に配列しているが、マトリックス状に配列した形態としてもよい。
【0063】
(4) 上記の実施の形態では、キャパシタの外装部材の表面の一部に形成した凹部として、加締め部7を利用しているが、加締め部7の他に外装ケース6の高さ方向に延びる溝部を形成し、この溝部を樹脂で被覆する構成であっても良い。このような溝部を形成すると、樹脂被覆部8に保持された各キャパシタの回転を防止することができ、より固定強度の向上を図ることができる。
【0064】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明のキャパシタモジュールおよびその製造方法によれば、複数のキャパシタを熱硬化性樹脂からなる樹脂被覆部で一体化し、しかも、一部を露出させているので、固定強度、機械的強度を高めるとともに軽量化や放熱性を高めたキャパシタモジュールを実現でき、有用である。
【符号の説明】
【0066】
2 キャパシタモジュール
4−1、4−2、4−3、4−4、4−5、4−6 キャパシタ
6 外装ケース
8 樹脂被覆部
8−1、8−2、8−3、8−4、8−5、8−6 被覆部
112、123、134、145、156 連結部
12 補強部
14、16 非被覆部
18 封口部
20 陽極端子
22 陰極端子
24、26、28 リブ
30 ブラケット部
32 貫通孔
34 バスバー
36 固定ねじ
38 回路基板
40 固定ねじ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのキャパシタの端子位置を同一面上に揃えて連接配置し、
前記キャパシタの外装部材の表面に沿って樹脂を被覆した樹脂被覆部で前記キャパシタを連結させる、
キャパシタモジュール。
【請求項2】
隣接する前記キャパシタ間の前記樹脂被覆部に跨がって成形された単一または複数の補強部を備える、
請求項1に記載のキャパシタモジュール。
【請求項3】
前記補強部は、前記キャパシタを連結させる前記樹脂被覆部の連結部と交差方向に立設され且つ前記樹脂被覆部に跨がって成形されたリブである、
請求項2に記載のキャパシタモジュール。
【請求項4】
前記キャパシタの外装部材の表面の一部に一以上の凹部を設け、
前記樹脂で前記凹部を被覆した、
請求項1〜3に記載のキャパシタモジュール。
【請求項5】
前記キャパシタの外部端子と前記外装部材の一部を露出させる非被覆部を備えた、
請求項1〜4に記載のキャパシタモジュール。
【請求項6】
前記樹脂被覆部の一部に1つ以上の孔を有する、
請求項1〜5に記載のキャパシタモジュール。
【請求項7】
少なくとも2つのキャパシタの端子位置を同一面上に揃えて連接配置し、
樹脂成形によって、前記キャパシタの外装部材の表面に沿って被覆する樹脂被覆部を形成し、前記キャパシタを連結する、
キャパシタモジュールの製造方法。
【請求項8】
隣接する前記キャパシタ間の前記樹脂被覆部に跨がって成形された単一または複数の補強部と前記樹脂被覆部を同時に形成する、
請求項7に記載のキャパシタモジュールの製造方法。
【請求項9】
前記キャパシタの外装部材の表面の一部に一以上の凹部を設け、
前記凹部に樹脂が注入されるように樹脂被覆部を形成する、
請求項7、8に記載のキャパシタモジュールの製造方法。
【請求項10】
少なくとも2つのキャパシタの端子位置を同一面上に揃えて連接配置し、
樹脂成形によって、前記キャパシタの外装部材の表面に沿って樹脂を被覆する樹脂被覆部形成と、前記キャパシタの外部端子と前記外装部材の一部を露出させる非被覆部形成を同時に行う、
請求項7に記載のキャパシタモジュールの製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−89735(P2013−89735A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228315(P2011−228315)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000228578)日本ケミコン株式会社 (514)