説明

キャビネットボックス

【課題】 本発明は、スロット台等に設けられるリールユニット等の重量物が背面板に固定される場合であっても簡単な構成で背面板の十分な強度を確保出来るキャビネットボックスを提供することを可能にすることを目的としている。
【解決手段】 天板2と側板3,4と背面板5と底板6とを有し、前面側が開口した略矩形箱状に形成されたキャビネットボックス1の背面板5をプレス成形して該背面板5の一部に該背面板5の上端部5aから下端部5bに亘って上下方向に断面凹凸形状となる補強線条部8を設け、該補強線条部8の上端面8aを天板2の下面に当接すると共に、該補強線条部8の下端面8bを底板6の上面に当接した構成であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板と側板と背面板と底板とを有し、前面側が開口した略矩形箱状に形成されたパチンコ台やスロット台等の遊戯機の筐体として使用されるキャビネットボックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のキャビネットボックスでは筐体本体を補強するために例えば、実公平04−013030号公報(特許文献1)に記載されたように側板間に補強板を設けたり、特開2002−126297号公報(特許文献2)及び特開2007−175387号公報(特許文献3)に記載されたように側板に補強リブを設けたものが提案されている。また、特開2001−212287号公報(特許文献4)には前扉の上下左右に枠板金を取り付けて補強したものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平04−013030号公報(第4図)
【特許文献2】特開2002−126297号公報
【特許文献3】特開2007−175387号公報
【特許文献4】特開2001−212287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、スロット台等に設けられるリールユニット等の重量物は背面板に固定される場合があり、背面板の補強構造が望まれていた。
【0005】
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、スロット台等に設けられるリールユニット等の重量物が背面板に固定される場合であっても簡単な構成で背面板の十分な強度を確保出来るキャビネットボックスを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための本発明に係るキャビネットボックスの第1の構成は、天板と側板と背面板と底板とを有し、前面側が開口した略矩形箱状に形成されたキャビネットボックスであって、前記背面板をプレス成形して該背面板の一部に該背面板の上端部から下端部に亘って上下方向に断面凹凸形状となる補強線条部を設け、前記補強線条部の上端面を前記天板の下面に当接すると共に、前記補強線条部の下端面を前記底板の上面に当接したことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係るキャビネットボックスの第2の構成は、前記第1の構成において、前記補強線条部の前記キャビネットボックスの内面側に突出する平坦部に部材取付用の雌ねじ部を設けたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るキャビネットボックスの第3の構成は、前記第1、第2の構成において、前記補強線条部の前記キャビネットボックスの内面側に突出する平坦部の背面側に電気ケーブル等を拘束する拘束部材の脚部を収容したことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るキャビネットボックスの第4の構成は、前記第1〜第3の構成において、前記背面板をプレス成形して前記補強線条部に並行して該背面板の上下方向に断面凹凸形状となる補強凹凸部が設けられたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るキャビネットボックスの第5の構成は、前記第1〜第4の構成において、前記補強線条部または前記補強凹凸部の断面凹凸形状は、直角または所定の傾斜角度を有する断面ハット型、湾曲面を有する断面ハット型、断面W字型、断面U字型、断面V字型のうちの少なくとも何れか1つで形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るキャビネットボックスの第1の構成によれば、背面板をプレス成形して該背面板の一部に該背面板の上端部から下端部に亘って上下方向に断面凹凸形状となる補強線条部を設け、該補強線条部の上端面を天板の下面に当接すると共に、該補強線条部の下端面を底板の上面に当接したことで補強線条部により背面板の上下方向の強度を確保出来、しかも背面板は補強線条部により天板及び底板に対して面で当接されるため安定して支持できる。これにより、スロット台等に設けられるリールユニット等の重量物が背面板に固定される場合であっても簡単な構成で背面板の十分な強度を確保出来る。
【0012】
また、本発明に係るキャビネットボックスの第2の構成によれば、補強線条部のキャビネットボックスの内面側に突出する平坦部に部材取付用の雌ねじ部を設けたことで、該雌ねじ部に部材取付用の雄ねじを螺合締結して部材を補強線条部により支持することが出来る。
【0013】
また、本発明に係るキャビネットボックスの第3の構成によれば、補強線条部のキャビネットボックスの内面側に突出する平坦部の背面側に電気ケーブル等を拘束する拘束部材の脚部を収容したことで、木質材の筐体と比較して、薄板で強度が得られ、板厚分のスペースの余裕が確保できるためキャビネットボックス内での電気ケーブル等の引き回しが容易となり、補強線条部のキャビネットボックスの内面側に突出する平坦部の背面側に形成されるスペースを利用して電気ケーブル等を拘束する拘束部材の脚部を収容することが出来る。
【0014】
また、本発明に係るキャビネットボックスの第4の構成によれば、背面板をプレス成形して補強線条部に並行して該背面板の上下方向に断面凹凸形状となる補強凹凸部を設けたことで背面板の強度が更に向上する。
【0015】
また、本発明に係るキャビネットボックスの第5の構成によれば、補強線条部または補強凹凸部の断面凹凸形状はプレス成形により直角または所定の傾斜角度を有する断面ハット型、湾曲面を有する断面ハット型、断面W字型、断面U字型、断面V字型に容易に成形出来、強度的にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a),(b)は本発明に係るキャビネットボックスの構成を示す前面斜視図及び背面斜視図である。
【図2】(a),(b)は背面板の構成を示す正面図及び断面図、(c),(d)は背面板の他の構成を示す模式断面図である。
【図3】(a),(b)は背面板に設けた補強線条部の上下端面が天板の下面及び底板の上面に当接する様子を示す背面図及び断面説明図である。
【図4】(a)は補強線条部のキャビネットボックスの内面側に突出する平坦部の背面側に電気ケーブル等を拘束する各種の拘束部材の脚部を収容した様子を示す斜視説明図、(b),(d),(e)は各種の拘束部材の構成を示す斜視図、(c)は(b)に示す拘束部材の断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図により本発明に係るキャビネットボックスの一実施形態を具体的に説明する。
【0018】
図1において、1はパチンコ台やスロット台等の遊戯機の筐体として使用され、例えば厚さ0.8mm程度のメッキ鋼板やアルミニウム板等の金属板をプレス成形により作成されたキャビネットボックスであり、天板2と側板3,4と背面板5と底板6とを有し、前面側が開口した略矩形箱状に形成される。尚、本実施形態では、天板2と左右側板3,4とは連続した金属板をコの字形状に折り曲げて構成された一例である。キャビネットボックス1の開口した前面側には図示しないヒンジ部材により開閉可能な図示しないフロントパネルが取り付けられる。
【0019】
図2及び図3に示すように、背面板5はプレス成形により作成され、該背面板5の一部には該背面板5の上端部5aから下端部5bに亘って上下方向(図2の上下方向)に断面凹凸形状となる補強線条部8が設けられている。また、補強線条部8に並行して背面板5の上下方向(図2の上下方向)に断面凹凸形状となる補強凹凸部10が設けられている。補強線条部8及び補強凹凸部10の断面凹凸形状は、それぞれ図2(b)に示すように、所定の傾斜角度(例えば15度の傾斜角度)を有する断面ハット型であっても良いし、図2(c)に示すように、直角の断面ハット型でも良いし、図2(d)に示すように、所定の湾曲面を有する断面ハット型であっても良い。他に断面凹凸形状としては、図示しない断面V字型、断面W字型、断面U字型等の種々の形状で形成されても良い。
【0020】
そして、図3に示すように、背面板5の上端部5aを天板2の下面に当接すると共に、該背面板5の下端部5bを底板6の上面に当接した状態で天板2、側板3,4、背面板5及び底板6がそれぞれリベット止め等により接合される。これにより、背面板5の補強線条部8の上端面8aを天板の下面に面で当接すると共に、該補強線条部8の下端面8bを底板6の上面に面で当接することで、補強構造が上下の端面まで続くことで強度が確保できる。
【0021】
補強線条部8のキャビネットボックス1の内面側に突出する断面ハット型の平坦部8cには部材取付用の雌ねじ部8dが設けられ、図1(a)に示すように、該雌ねじ部8dに雄ねじ11を螺合締結してリールユニット支持部材12等が支持されている。
【0022】
補強線条部8のキャビネットボックス1の内面側に突出する断面ハット型の平坦部8cには所定の貫通穴8c1が形成されており、該貫通穴8c1に電気ケーブル等を拘束する拘束部材9の脚部9aが挿通されて、該平坦部8cの背面側に拘束部材9の脚部9aが収容される。尚、図4(a)〜(c)に示すように、補強凹凸部10の平坦部10aにも貫通穴10a1が形成されており、該貫通穴10a1に電気ケーブル等を拘束する拘束部材9の脚部9aが挿通されて、該平坦部10aの背面側に拘束部材9の脚部9aが収容される。
【0023】
上記構成によれば、背面板5をプレス成形して該背面板5の一部に該背面板5の上端部5aから下端部5bに亘って上下方向に断面凹凸形状となる補強線条部8を設け、該補強線条部8の上端面8aを天板2の下面に当接すると共に、該補強線条部8の下端面8bを底板6の上面に当接したことで補強線条部8により背面板5の上下方向の強度を確保出来、しかも背面板5は補強線条部8により天板2及び底板6に対して面で当接されるため安定して支持できる。これにより図1(a)に示すように、スロット台等に設けられるリールユニット等の重量物が背面板5の補強線条部8に設けられた雌ねじ部8dに雄ねじ11を螺合締結して固定されるリールユニット支持部材12に固定して支持される場合であっても簡単な構成で背面板5の十分な強度を確保出来る。
【0024】
また、補強線条部8のキャビネットボックス1の内面側に突出する平坦部8cに部材取付用の雌ねじ部8dを設けたことで、該雌ねじ部8dに部材取付用の雄ねじ11を螺合締結して各種部材を補強線条部8により支持することが出来る。
【0025】
また、補強線条部8のキャビネットボックス1の内面側に突出する平坦部8cの背面側に電気ケーブル等を拘束する拘束部材9の脚部9aを収容したことで、木質材の筐体と比較して、金属製の薄板で強度が得られ、板厚分のスペースの余裕が確保できるためキャビネットボックス1内での電気ケーブル等の引き回しが容易となり、補強線条部8のキャビネットボックス1の内面側に突出する平坦部8cの背面側に形成されるスペースを利用して電気ケーブル等を拘束する拘束部材9の脚部9aを収容することが出来る。
【0026】
また、背面板5をプレス成形して補強線条部8に並行して該背面板5の上下方向に断面凹凸形状となる補強凹凸部10を設けたことで背面板5の強度が更に向上する。尚、補強線条部8の加工としては、NCベンダー(ベンディング)マシン、プレスブレーキ等の加工機を用いて金属板を曲げ加工するベンダー加工や、複数のコマが並んだローラ間に金属板を通すことにより鋼板を変形加工するロールフォーミング加工等により製作することが出来る。
【0027】
また、補強線条部8または補強凹凸部10の断面凹凸形状はプレス成形により図2(b)に示すように、所定の傾斜角度を有する断面ハット型、図2(c)に示すように、直角の断面ハット型、或いは図2(d)に示すように、湾曲面を有する断面ハット型、或いは、図示しない断面W字型、断面U字型、断面V字型に容易に成形出来、強度的にも優れる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の活用例として、天板と側板と背面板と底板とを有し、前面側が開口した略矩形箱状に形成されたパチンコ台やスロット台等の遊戯機の筐体として使用されるキャビネットボックスに適用可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 …キャビネットボックス
2 …天板
3,4 …側板
5 …背面板
5a …上端部
5b …下端部
6 …底板
8 …補強線条部
8a …上端面
8b …下端面
8c …平坦部
8c1 …貫通穴
8d …雌ねじ部
9 …拘束部材
9a …脚部
10 …補強凹凸部
10a …平坦部
10a1 …貫通穴
11…雄ねじ
12 …リールユニット支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と側板と背面板と底板とを有し、前面側が開口した略矩形箱状に形成されたキャビネットボックスであって、
前記背面板をプレス成形して該背面板の一部に該背面板の上端部から下端部に亘って上下方向に断面凹凸形状となる補強線条部を設け、
前記補強線条部の上端面を前記天板の下面に当接すると共に、前記補強線条部の下端面を前記底板の上面に当接したことを特徴とするキャビネットボックス。
【請求項2】
前記補強線条部の前記キャビネットボックスの内面側に突出する平坦部に部材取付用の雌ねじ部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のキャビネットボックス。
【請求項3】
前記補強線条部の前記キャビネットボックスの内面側に突出する平坦部の背面側に電気ケーブル等を拘束する拘束部材の脚部を収容したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のキャビネットボックス。
【請求項4】
前記背面板をプレス成形して前記補強線条部に並行して該背面板の上下方向に断面凹凸形状となる補強凹凸部が設けられたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のキャビネットボックス。
【請求項5】
前記補強線条部または前記補強凹凸部の断面凹凸形状は、直角または所定の傾斜角度を有する断面ハット型、湾曲面を有する断面ハット型、断面W字型、断面U字型、断面V字型のうちの少なくとも何れか1つで形成されたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のキャビネットボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−85911(P2012−85911A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236660(P2010−236660)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(310021342)
【Fターム(参考)】