キャピラリアレイユニット及びキャピラリ電気泳動装置
【課題】キャピラリアレイの装着作業が簡単となるように構成されたキャピラリアレイユニット及びキャピラリ電気泳動装置を提供する。
【解決手段】キャピラリアレイユニットは、キャピラリヘッドと検出部と備えたキャピラリを含むキャピラリアレイと、キャピラリアレイを支持するフレームと、キャピラリの陰極端を保持するロードヘッダと、を有する。フレームは、キャピラリを分離し且つ保持するセパレータを有する。キャピラリヘッド、検出部、及び、セパレータは1つの直線に沿って配置されている。
【解決手段】キャピラリアレイユニットは、キャピラリヘッドと検出部と備えたキャピラリを含むキャピラリアレイと、キャピラリアレイを支持するフレームと、キャピラリの陰極端を保持するロードヘッダと、を有する。フレームは、キャピラリを分離し且つ保持するセパレータを有する。キャピラリヘッド、検出部、及び、セパレータは1つの直線に沿って配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャピラリアレイユニット及びそれを用いるキャピラリ電気泳動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
キャピラリ電気泳動法は、デオキシリボ核酸(DNA)をはじめ、多くの生体試料を分離分析する技術として広く普及している。その技術的な利点の一つは、キャピラリの表面積対体積率から生まれる、優れた放熱特性である。この放熱特性が、高電圧を用いた電気泳動による、高速で高分解能な試料分離を実現している。
【0003】
特開2001−281221号公報には、分離媒体であるポリマをキャピラリに充填するためのポンプ機構が開示されている。更に、ポリマ充填のための圧力を発生させる手段として、モータの停動トルクを利用する手法が開示されている。
【0004】
特開2001−324473号公報には、分析の種類や、ユーザが必要とするスループットに応じて、長さ、あるいは本数の異なるキャピラリを収容可能なオーブンを備えた電気泳動装置が開示されている。更に、このオーブンは、熱源としてペルチェ素子を用い、室温以下の温度から50℃以上の温度まで設定できる。
【0005】
特開2001−324475号公報には、ユーザが交換できる形態のキャピラリアレイが開示されている。キャピラリアレイは、試料導入側端部、光学検出部、ポリマ溶液供給端部の3ヶ所で保持される構造となっている。キャピラリアレイのポリマ溶液供給端部は、電気泳動装置のポンプ機構に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−281221号公報
【特許文献2】特開2001−324473号公報
【特許文献3】特開2001−324475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
キャピラリ電気泳動装置では、試料やアプリケーションの種類が変化すると、それに応じて、キャピラリアレイを交換する。キャピラリアレイの交換は、ユーザが行う。キャピラリには、比較的剛性が強いタイプのものと、比較的柔軟性があるタイプのものがある。柔軟性があるタイプの場合、キャピラリの交換作業は比較的簡単である。
【0008】
しかしながら、剛性が強いタイプの場合、キャピラリの交換作業は困難である。キャピラリは、直線状の形態をとるか、付与されている部品の重力のため反った形態になる。キャピラリをオーブン等の所定の位置に装着するとき、キャピラリを変形しなければならない。キャピラリの変形作業が困難であるため、キャピラリの交換作業が困難となる。
【0009】
また、キャピラリの本数が多い場合にも、キャピラリアレイの剛性が強くなり、装着作業が困難となる。
【0010】
本発明は、キャピラリアレイの装着作業が簡単となるように構成されたキャピラリ電気泳動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、キャピラリアレイユニット及びそれを用いるキャピラリ電気泳動装置に関する。キャピラリアレイユニットは、キャピラリヘッドと検出部と備えたキャピラリを含むキャピラリアレイと、キャピラリアレイを支持するフレームと、キャピラリの陰極端を保持するロードヘッダと、を有する。フレームは、キャピラリを分離し且つ保持する少なくとも1つのセパレータを有する。キャピラリがセパレータの貫通することによって、キャピラリアレイは一定の形状に保持される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、キャピラリアレイの装着作業が簡単となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明によるキャピラリ電気泳動装置の基本的構成を示す図である。
【図2】本発明によるキャピラリアレイの基本的構成を示す図である。
【図3】本発明によるキャピラリ電気泳動装置のロードヘッダの装着部を示す図である。
【図4】本発明によるキャピラリ電気泳動装置のロードヘッダ装着後のキャピラリアレイを示す図である。
【図5】本発明によるキャピラリ電気泳動装置のキャピラリヘッドの装着部を示す図である。
【図6】本発明によるキャピラリ電気泳動装置の検出部の装着部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、キャピラリ電気泳動装置の基本的構成を示す概略図である。キャピラリ電気泳動装置は、1又は複数のキャピラリを含むキャピラリ電気泳動部1、キャピラ内の電気泳動媒体によって分離された試料を光学的に検出する光学検出部2、キャピラリに電気泳動媒体である高粘性ポリマ溶液(以下、ポリマと称す)を注入するポリマ注入機構3を有する。
【0015】
キャピラリ電気泳動部1は、キャピラリアレイ110、オーブン(恒温槽)115、バッファリザーバ(バッファ容器)112、及び、高電圧電源114を有する。
【0016】
キャピラリアレイ110は、1又は複数のキャピラリを含むが、ここでは、16本又は24本のキャピラリを含むものとする。キャピラリは、石英パイプであり、外被はポリイミド樹脂でコーティングされている。キャピラリには、径が比較的大きい剛性が強いタイプと、径が比較的小さい柔軟性があるタイプがある。剛性が強いタイプの例として、キャピラリの外径が320μm、内径が50μmのものがある。ポリイミドコーティングの厚さは、20μmである。従って、ポリイミドコーティングの外径は、360μmである。柔軟性があるタイプの例として、キャピラリの外径が125μm、内径が50μmのものがある。ポリイミドコーティングの厚さは、12.5μmである。従って、ポリイミドコーティングの外径は、150μmである。
【0017】
本例によると、キャピラリアレイ110、径が比較的大きい剛性が強いタイプのキャピラリを含むものとする。キャピラリの外径は、0.3〜0.7mm、内径は、0.02〜0.2mm程度である。
【0018】
キャピラリアレイ110の一端は、キャピラリを束ねて接着したキャピラリヘッド203となっている。キャピラリアレイ110の他端は、ロードヘッダ202に保持されている。ロードヘッダ202はオーブン115に固定されている。
【0019】
ロードヘッダ202には、管状の陰極電極204が設けられている。キャピラリは、陰極電極204を貫通して、陰極電極204の下端より突出している。こうして、キャピラリ陰極端206は、バッファリザーバ112内のバッファ溶液に漬かっている。
【0020】
オーブン115はキャピラリアレイ110を収容し、キャピラリアレイ110の温度を調節する。オーブン115の熱源にはペルチェ素子が使用され、室温より低い温度から50℃以上の高温まで温度設定が可能である。
【0021】
ポリマ注入機構3は、プランジャを有するポンプ103、内部に流路を備えるブロック104、ポリマを貯蔵するポリマボトル101、及び、バッファ溶液を貯蔵するバッファ容器107を有する。バッファ容器107のバッファ溶液には、陽極電極106が漬かっている。ブロック104内の流路の内径は0.5〜2mmであり、キャピラリの内径よりも数〜数十倍大きい。これは、電気泳動の際に電圧ロスの発生を回避するためである。
【0022】
ブロック104には、ポンプ103、キャピラリヘッド203、及び、2つの管104a、104bが接続されている。ポンプ103、キャピラリヘッド203、及び、2つの管104a、104bは、ブロック104の内の流路によって互いに接続されている。第1の管104aは、ブロック104とポリマボトル101内のポリマの間を接続している。第1の管104aには、逆止弁102が設けられている。第2の管104bは、ブロック104とバッファリザーバ107内のバッファ溶液の間を接続している。第2の管104bには、電動のバッファバルブ105が設けられている。
【0023】
ポリマボトル101には、連続運転に必要十分な容量のポリマが貯蔵されている。ポリマボトル101からポリマを吸入してもポリマボトル内が負圧にならないように、ポリマボトル101には排気弁が設けられ、又は、チューブ挿入口に十分な隙間が設けられている。ポリマボトル101はバッファ容器107よりも低い位置に配置されている。高低差による圧力でポリマボトル101からバッファ容器107にポリマが逆流することを回避するためである。逆に、ポリマボトル101へポリマもしくはバッファ液の逆流は、逆止弁102によって阻止される。2つのバッファリザーバ112、107内のバッファ液の液面は同一の高さに保持される。
【0024】
キャピラリアレイ110のキャピラリにポリマを注入するときには、電動のバッファバルブ105を閉じる。それによって、キャピラリアレイ110とバッファリザーバ107間の流路が閉鎖される。ポンプ103を駆動することによって、ポリマボトル101内のポリマをキャピラリに注入する。電気泳動を行うときには、バッファバルブ105を開き、キャピラリアレイ110とバッファリザーバ107間の流路を接続する。
【0025】
光学検出部2は、光源111と光学検出器108を有する。光学検出部2は、キャピラリアレイ110に設けられた検出部205に配置される。検出部205は、検出部ホルダ116に装着されている。光源111は励起光としてレーザ光を発生する。検出部205では、キャピラリのコーティングが除去されており、石英パイプが露出している。光源111からの励起光は、検出部205において、キャピラリ内を電気泳動する検出対象を照射する。検出対象から蛍光が発生する。この蛍光は、光学検出器108によって検出される。
【0026】
電気泳動方法を説明する。図1では省略されているが、サンプルトレイやバッファ容器112を搬送するオートサンプラが備えられている。オートサンプラによって、キャピラリの陰極端206に、サンプルトレイを配置する。先ず、キャピラリの陰極端206の下に、サンプルトレイを配置し、次に、サンプルトレイを上昇させる。サンプルトレイは、多数のウエルを有しており、各ウエルには、蛍光標識されたDNA等の検査対象を含むサンプルが収納されている。キャピラリ201の陰極端206は、サンプルトレイのウエルのサンプルに漬かる。次に、陽極電極106と陰極電極204の間に高電圧電源114による数kV程度の高電圧を印加する。蛍光標識されたDNA等の検出対象物は、キャピラリの陰極端206を介してキャピラリ内に導入される。その後、キャピラリの陰極端206は、図1に示すようにバッファ容器112に浸けられる。検出対象は、キャピラリ内を移動する間に、分離される。蛍光標識された検出対象が検出部205を通過するとき、光源111からの励起光が照射される。励起光によって、検出対象は蛍光を発生する。この蛍光は、光学検出器108によって検出される。
【0027】
ポリマ注入機構の動作を説明する。ポンプ103において、プランジャをチャンバ内に押し込む方向をモータの正転、プランジャを引き込む方向をモータの反転として説明を行う。まず初めに、バルブ105を閉じる。次に、モータを反転する。プランジャが引き込まれ、ポンプ103のチャンバ内にポリマボトル101内のポリマは、ブロック104内の流路を経由して、ポンプ103のチャンバ内に吸入される。次に、モータを正転する。プランジャが押し込まれ、ポンプ103のチャンバ内のポリマは、ブロック104内の流路に押し込まれる。このとき、逆支弁102の作用により、ポンプ103のチャンバ内のポリマが、ポリマボトル101へ逆流することが防止される。従って、ポリマはブロック104内の流路を経由してキャピラリに流れ込み、キャピラリの陰極端206から流出する。最後に、バルブ105を開けて電気泳動に備える。
【0028】
図2A及び図2Bを参照して、本発明のキャピラリアレイユニットの例を説明する。図2Aは、本例のキャピラリアレイユニットの正面構成を示し、図2Bは、その側面構成を示す。本例のキャピラリアレイユニットは、キャピラリアレイ110とそれを保持するフレーム300を有する。図2Aに示すように、フレーム300は、第1の足301、第1の支持部302、第2の足303、第2の支持部304、及び、第1及び第2のブリッジ305、306を有する。フレーム300は、キャピラリアレイ110を1平面上に保持するように構成されている。2つの足301、303は、ロードヘッダ202に固定されている。2つの支持部302、304は、接続部307によって接続されている。第1のブリッジ305は、第1の足301と第1の支持部302の接続点と第2の足303を架橋している。第2のブリッジ306は、第1の支持部302と第2の足303を架橋している。
【0029】
第1の支持部302には、2つの軸311、312が設けられている。第2の足303には、軸313が設けられている。
【0030】
図2Bに示すように、これらの軸311、312、313は、フレーム300を構成する面に対して直交するように延びている。これらの軸311、312、313には、セパレータ321、322、323が装着されている。セパレータは、フィルム又は板状で、キャピラリの本数と同一数の孔が形成されている。孔の内径はキャピラリの外径よりやや大きく、例えば、φ1mm程度である。各孔に1本のキャピラリが貫通する。こうして、全てのキャピラリは、セパレータの孔を貫通することによって、保持される。
【0031】
セパレータは、キャピラリを互いに分離し、キャピラリが互いに絡み合うこと、及び、密集して束状になることを防止する。セパレータの数はキャピラリの長さに応じて増減してよい。通常、キャピラリが長いほどセパレータの数を増やす。
【0032】
キャピラリアレイ110は複数のキャピラリ201を有する。本例のキャピラリアレイ110は24本のキャピラリ201を有する。本例によると、キャピラリアレイ110、径が比較的大きい剛性が強いタイプのキャピラリを含むものとする。キャピラリの外径は、0.3〜0.7mm、内径は、0.02〜0.2mm程度である。
【0033】
キャピラリアレイ110の一端は、キャピラリを束ねて接着したキャピラリヘッド203となっている。キャピラリアレイ110の他端、即ち、陰極端は、ロードヘッダ202に設けられた管状の電極によって保持されている。
【0034】
本例のキャピラリは比較的剛性が大きいから、外力及び拘束力を加えない限り、直線状の形状を有する。本例では、キャピラリアレイは、ロードヘッダ202とフレーム300によって拘束されている。図示のように、キャピラリアレイは、直線状の部分110Aと湾曲した部分110Bを有する。直線状の部分110Aは、フレーム300から突出しており、フレーム300によって拘束されていない。直線状の部分110Aには、キャピラリヘッド203と検出部205が含まれる。キャピラリヘッド203と検出部205の重さにも拘らず、この直線状の部分110Aは、略直線状の形態を保持している。
【0035】
湾曲した部分110Bは、ロードヘッダ202とセパレータによって拘束されている。キャピラリアレイの形状は、キャピラリアレイに外力を加えないとき、ロードヘッダ202とセパレータの位置によって決まる。
【0036】
次に、キャピラリアレイの形状について説明する。本例によると、キャピラリアレイの直線状の部分110Aは、フレームの第1の支持部302に沿って配置されている。キャピラリヘッド203、検出部205、及び、軸311に装着されたセパレータ321は、一直線上に配置されている。こうして本例のキャピラリアレイユニットによると、キャピラリアレイの略半分は、略直線状に配置されている。
【0037】
キャピラリヘッド203に、矢印Aにて示す方向の外力を加える。すると、直線状の部分110Aは、矢印Aにて示す方向に沿って移動する。それによって、キャピラリは、セパレータ321、322の孔内をスライドする。こうして、キャピラリヘッド203は、矢印Aにて示す方向に移動する。
【0038】
図2Aは、キャピラリアレイに外力を加えないとき、本例のキャピラリアレイの形状を示す。本例のキャピラリアレイユニットを電気泳動装置に装着すると、キャピラリアレイは、図2Aに示す形状に保持される。即ち、本例のキャピラリアレイユニットを、電気泳動装置に装着しても、キャピラリアレイの形状は、図2Aに示す形状を保持する。
【0039】
従って、図2Aに示すキャピラリアレイにおける、キャピラリヘッド203、検出部20及びロードヘッダ202の間の相対的な位置関係は、電気泳動装置に装着されたキャピラリアレイにおけるキャピラリヘッド203、検出部205及びロードヘッダ202の装着位置の間の相対的は位置関係に等しい。
【0040】
本例によると、セパレータの位置は、キャピラリアレイが、図2Aに示す形状となるよに、選択する。このように、セパレータの位置を選択することによって、キャピラリアレイ110を、電気泳動装置に装着するときに、キャピラリアレイに外力を印加する必要がない。従って、キャピラリアレイを変形することなく、装着することが可能になる。
【0041】
本例によると、図2Aに示すように、キャピラリヘッドが下方に配置され、キャピラリアレイの直線部110Aは、傾斜して配置されている。これについて説明する。図1に示したキャピラリ電気泳動装置では、ポリマの使用量を低減するためには、ブロック104に接続された管104bを短くしたほうがよい。管104bを短くすると、ポリマの使用量を低減させることができるばかりでなく、管104bの材料費が低減される。管104bを短くすると、ブロック104を下降させるか、又は、バッファリザーバ107を上昇させる必要がある。一方、バッファリザーバ107の液面とバッファリザーバ112の液面を同一レベルにする必要がある。従って、バッファリザーバ107を上昇させることはできない。そこで、ブロック104を下降させる。即ち、ブロック104をできるだけ低い位置に配置する。ブロック104を下降させると、キャピラリヘッドの装着位置も低くなる。そのため、図2Aに示すように、キャピラリアレイの半分は、傾斜する。
【0042】
次に、図3、図4、図5及び図6を参照して、本発明によるキャピラリアレイの装着手順を説明する。最初に、ロードヘッダ202をオーブン115に装着する。図3を参照して説明する。図3は、オーブン115の下端の一部とロードヘッダ202を示す。ロードヘッダに装着されたキャピラリアレイの図示は省略されている。ロードヘッダ202にはグリップ202aが設けられている。ユーザは、グリップ202aを掴んで、ロードヘッダ202をオーブン115の凹部に挿入する。ロードヘッダ202の両側面には溝が設けられており、オーブン115の凹部の内側には突起が設けられている。ロードヘッダ202をオーブン115の凹部に挿入すると、ロードヘッダ202の溝とオーブン115の凹部の突起が係合する。
【0043】
図4はロードヘッダ202をオーブン115に装着した状態を示す。図2Aに示したキャピラリアレイ110の形状がそのまま保持されている。本例では、キャピラリヘッド203は、ポリマ注入機構3のブロック104の装着部の近傍に配置されている。また、検出部205は検出部ホルダ116の装着部の近傍に配置される。
【0044】
次に、キャピラリヘッド203をポリマ注入機構3のブロック104に装着する。図5を参照して説明する。ブロック104の穴にフェラル501を装填し、そのフェラル501にキャピラリヘッド203を貫通させる。又は、フェラル501にキャピラリヘッド203を貫通させ、次に、キャピラリヘッド203をフェラル501と共に、ブロック104の穴に挿入してもよい。このとき、図2を参照して説明したように、小さな力によって、キャピラリヘッド203を前後方向に移動させることができる。次に、押しねじ502をねじ込んでフェラル501を押し潰す。それによって、キャピラリヘッド203とブロック104の間がシールされ、キャピラリヘッド203はブロック104に固定される。
【0045】
図4に示したように、キャピラリヘッド203は、ポリマ注入機構3のブロック104の装着部の近傍に配置されている。従って、この作業は、キャピラリヘッド203を僅かに前後方向に移動させるだけであり、容易である。
【0046】
最後に、検出部205を検出部ホルダ116に装着する。図6を参照して説明する。検出部ホルダ116に備えられた枠に検出部205を嵌め込む。次に、蓋を閉じる。
【0047】
図4に示したように、検出部205は検出部ホルダ116の装着部の近傍に配置されている。従って、この作業は、検出部205を僅かに横方向に移動させるだけであり、容易である。
【0048】
以上のように、本例によると、キャピラリアレイを、電気泳動装置に装着する作業を行っているとき、キャピラリアレイを変形させる必要がない。そのため、キャピラリアレイの装着作業を容易に行うことができる。従って、キャピラリアレイの交換作業が容易となる。
【0049】
以上本発明の例を説明したが、本発明は上述の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲にて様々な変更が可能であることは当業者に容易に理解されよう。
【符号の説明】
【0050】
101…ポリマボトル、102…逆止弁、103…ポンプ、104…ブロック、105…バッファバルブ、106…電極、107…バッファ容器、108…光検出器、110…キャピラリアレイ、111…光源、112…バッファ容器、113…電極、114…高電圧電源、115…オーブン、116…検出部ホルダ、201…キャピラリ、202…ロードヘッダ、202a…グリップ、203…キャピラリヘッド、204…電極、205…検出部、205a,205b…開口、300…フレーム、301…足、302…支持部、303…足、304…支持部、305,306…ブリッジ、307…接続部、311,312,313…軸、321,322,323…セパレータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャピラリアレイユニット及びそれを用いるキャピラリ電気泳動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
キャピラリ電気泳動法は、デオキシリボ核酸(DNA)をはじめ、多くの生体試料を分離分析する技術として広く普及している。その技術的な利点の一つは、キャピラリの表面積対体積率から生まれる、優れた放熱特性である。この放熱特性が、高電圧を用いた電気泳動による、高速で高分解能な試料分離を実現している。
【0003】
特開2001−281221号公報には、分離媒体であるポリマをキャピラリに充填するためのポンプ機構が開示されている。更に、ポリマ充填のための圧力を発生させる手段として、モータの停動トルクを利用する手法が開示されている。
【0004】
特開2001−324473号公報には、分析の種類や、ユーザが必要とするスループットに応じて、長さ、あるいは本数の異なるキャピラリを収容可能なオーブンを備えた電気泳動装置が開示されている。更に、このオーブンは、熱源としてペルチェ素子を用い、室温以下の温度から50℃以上の温度まで設定できる。
【0005】
特開2001−324475号公報には、ユーザが交換できる形態のキャピラリアレイが開示されている。キャピラリアレイは、試料導入側端部、光学検出部、ポリマ溶液供給端部の3ヶ所で保持される構造となっている。キャピラリアレイのポリマ溶液供給端部は、電気泳動装置のポンプ機構に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−281221号公報
【特許文献2】特開2001−324473号公報
【特許文献3】特開2001−324475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
キャピラリ電気泳動装置では、試料やアプリケーションの種類が変化すると、それに応じて、キャピラリアレイを交換する。キャピラリアレイの交換は、ユーザが行う。キャピラリには、比較的剛性が強いタイプのものと、比較的柔軟性があるタイプのものがある。柔軟性があるタイプの場合、キャピラリの交換作業は比較的簡単である。
【0008】
しかしながら、剛性が強いタイプの場合、キャピラリの交換作業は困難である。キャピラリは、直線状の形態をとるか、付与されている部品の重力のため反った形態になる。キャピラリをオーブン等の所定の位置に装着するとき、キャピラリを変形しなければならない。キャピラリの変形作業が困難であるため、キャピラリの交換作業が困難となる。
【0009】
また、キャピラリの本数が多い場合にも、キャピラリアレイの剛性が強くなり、装着作業が困難となる。
【0010】
本発明は、キャピラリアレイの装着作業が簡単となるように構成されたキャピラリ電気泳動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、キャピラリアレイユニット及びそれを用いるキャピラリ電気泳動装置に関する。キャピラリアレイユニットは、キャピラリヘッドと検出部と備えたキャピラリを含むキャピラリアレイと、キャピラリアレイを支持するフレームと、キャピラリの陰極端を保持するロードヘッダと、を有する。フレームは、キャピラリを分離し且つ保持する少なくとも1つのセパレータを有する。キャピラリがセパレータの貫通することによって、キャピラリアレイは一定の形状に保持される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、キャピラリアレイの装着作業が簡単となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明によるキャピラリ電気泳動装置の基本的構成を示す図である。
【図2】本発明によるキャピラリアレイの基本的構成を示す図である。
【図3】本発明によるキャピラリ電気泳動装置のロードヘッダの装着部を示す図である。
【図4】本発明によるキャピラリ電気泳動装置のロードヘッダ装着後のキャピラリアレイを示す図である。
【図5】本発明によるキャピラリ電気泳動装置のキャピラリヘッドの装着部を示す図である。
【図6】本発明によるキャピラリ電気泳動装置の検出部の装着部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、キャピラリ電気泳動装置の基本的構成を示す概略図である。キャピラリ電気泳動装置は、1又は複数のキャピラリを含むキャピラリ電気泳動部1、キャピラ内の電気泳動媒体によって分離された試料を光学的に検出する光学検出部2、キャピラリに電気泳動媒体である高粘性ポリマ溶液(以下、ポリマと称す)を注入するポリマ注入機構3を有する。
【0015】
キャピラリ電気泳動部1は、キャピラリアレイ110、オーブン(恒温槽)115、バッファリザーバ(バッファ容器)112、及び、高電圧電源114を有する。
【0016】
キャピラリアレイ110は、1又は複数のキャピラリを含むが、ここでは、16本又は24本のキャピラリを含むものとする。キャピラリは、石英パイプであり、外被はポリイミド樹脂でコーティングされている。キャピラリには、径が比較的大きい剛性が強いタイプと、径が比較的小さい柔軟性があるタイプがある。剛性が強いタイプの例として、キャピラリの外径が320μm、内径が50μmのものがある。ポリイミドコーティングの厚さは、20μmである。従って、ポリイミドコーティングの外径は、360μmである。柔軟性があるタイプの例として、キャピラリの外径が125μm、内径が50μmのものがある。ポリイミドコーティングの厚さは、12.5μmである。従って、ポリイミドコーティングの外径は、150μmである。
【0017】
本例によると、キャピラリアレイ110、径が比較的大きい剛性が強いタイプのキャピラリを含むものとする。キャピラリの外径は、0.3〜0.7mm、内径は、0.02〜0.2mm程度である。
【0018】
キャピラリアレイ110の一端は、キャピラリを束ねて接着したキャピラリヘッド203となっている。キャピラリアレイ110の他端は、ロードヘッダ202に保持されている。ロードヘッダ202はオーブン115に固定されている。
【0019】
ロードヘッダ202には、管状の陰極電極204が設けられている。キャピラリは、陰極電極204を貫通して、陰極電極204の下端より突出している。こうして、キャピラリ陰極端206は、バッファリザーバ112内のバッファ溶液に漬かっている。
【0020】
オーブン115はキャピラリアレイ110を収容し、キャピラリアレイ110の温度を調節する。オーブン115の熱源にはペルチェ素子が使用され、室温より低い温度から50℃以上の高温まで温度設定が可能である。
【0021】
ポリマ注入機構3は、プランジャを有するポンプ103、内部に流路を備えるブロック104、ポリマを貯蔵するポリマボトル101、及び、バッファ溶液を貯蔵するバッファ容器107を有する。バッファ容器107のバッファ溶液には、陽極電極106が漬かっている。ブロック104内の流路の内径は0.5〜2mmであり、キャピラリの内径よりも数〜数十倍大きい。これは、電気泳動の際に電圧ロスの発生を回避するためである。
【0022】
ブロック104には、ポンプ103、キャピラリヘッド203、及び、2つの管104a、104bが接続されている。ポンプ103、キャピラリヘッド203、及び、2つの管104a、104bは、ブロック104の内の流路によって互いに接続されている。第1の管104aは、ブロック104とポリマボトル101内のポリマの間を接続している。第1の管104aには、逆止弁102が設けられている。第2の管104bは、ブロック104とバッファリザーバ107内のバッファ溶液の間を接続している。第2の管104bには、電動のバッファバルブ105が設けられている。
【0023】
ポリマボトル101には、連続運転に必要十分な容量のポリマが貯蔵されている。ポリマボトル101からポリマを吸入してもポリマボトル内が負圧にならないように、ポリマボトル101には排気弁が設けられ、又は、チューブ挿入口に十分な隙間が設けられている。ポリマボトル101はバッファ容器107よりも低い位置に配置されている。高低差による圧力でポリマボトル101からバッファ容器107にポリマが逆流することを回避するためである。逆に、ポリマボトル101へポリマもしくはバッファ液の逆流は、逆止弁102によって阻止される。2つのバッファリザーバ112、107内のバッファ液の液面は同一の高さに保持される。
【0024】
キャピラリアレイ110のキャピラリにポリマを注入するときには、電動のバッファバルブ105を閉じる。それによって、キャピラリアレイ110とバッファリザーバ107間の流路が閉鎖される。ポンプ103を駆動することによって、ポリマボトル101内のポリマをキャピラリに注入する。電気泳動を行うときには、バッファバルブ105を開き、キャピラリアレイ110とバッファリザーバ107間の流路を接続する。
【0025】
光学検出部2は、光源111と光学検出器108を有する。光学検出部2は、キャピラリアレイ110に設けられた検出部205に配置される。検出部205は、検出部ホルダ116に装着されている。光源111は励起光としてレーザ光を発生する。検出部205では、キャピラリのコーティングが除去されており、石英パイプが露出している。光源111からの励起光は、検出部205において、キャピラリ内を電気泳動する検出対象を照射する。検出対象から蛍光が発生する。この蛍光は、光学検出器108によって検出される。
【0026】
電気泳動方法を説明する。図1では省略されているが、サンプルトレイやバッファ容器112を搬送するオートサンプラが備えられている。オートサンプラによって、キャピラリの陰極端206に、サンプルトレイを配置する。先ず、キャピラリの陰極端206の下に、サンプルトレイを配置し、次に、サンプルトレイを上昇させる。サンプルトレイは、多数のウエルを有しており、各ウエルには、蛍光標識されたDNA等の検査対象を含むサンプルが収納されている。キャピラリ201の陰極端206は、サンプルトレイのウエルのサンプルに漬かる。次に、陽極電極106と陰極電極204の間に高電圧電源114による数kV程度の高電圧を印加する。蛍光標識されたDNA等の検出対象物は、キャピラリの陰極端206を介してキャピラリ内に導入される。その後、キャピラリの陰極端206は、図1に示すようにバッファ容器112に浸けられる。検出対象は、キャピラリ内を移動する間に、分離される。蛍光標識された検出対象が検出部205を通過するとき、光源111からの励起光が照射される。励起光によって、検出対象は蛍光を発生する。この蛍光は、光学検出器108によって検出される。
【0027】
ポリマ注入機構の動作を説明する。ポンプ103において、プランジャをチャンバ内に押し込む方向をモータの正転、プランジャを引き込む方向をモータの反転として説明を行う。まず初めに、バルブ105を閉じる。次に、モータを反転する。プランジャが引き込まれ、ポンプ103のチャンバ内にポリマボトル101内のポリマは、ブロック104内の流路を経由して、ポンプ103のチャンバ内に吸入される。次に、モータを正転する。プランジャが押し込まれ、ポンプ103のチャンバ内のポリマは、ブロック104内の流路に押し込まれる。このとき、逆支弁102の作用により、ポンプ103のチャンバ内のポリマが、ポリマボトル101へ逆流することが防止される。従って、ポリマはブロック104内の流路を経由してキャピラリに流れ込み、キャピラリの陰極端206から流出する。最後に、バルブ105を開けて電気泳動に備える。
【0028】
図2A及び図2Bを参照して、本発明のキャピラリアレイユニットの例を説明する。図2Aは、本例のキャピラリアレイユニットの正面構成を示し、図2Bは、その側面構成を示す。本例のキャピラリアレイユニットは、キャピラリアレイ110とそれを保持するフレーム300を有する。図2Aに示すように、フレーム300は、第1の足301、第1の支持部302、第2の足303、第2の支持部304、及び、第1及び第2のブリッジ305、306を有する。フレーム300は、キャピラリアレイ110を1平面上に保持するように構成されている。2つの足301、303は、ロードヘッダ202に固定されている。2つの支持部302、304は、接続部307によって接続されている。第1のブリッジ305は、第1の足301と第1の支持部302の接続点と第2の足303を架橋している。第2のブリッジ306は、第1の支持部302と第2の足303を架橋している。
【0029】
第1の支持部302には、2つの軸311、312が設けられている。第2の足303には、軸313が設けられている。
【0030】
図2Bに示すように、これらの軸311、312、313は、フレーム300を構成する面に対して直交するように延びている。これらの軸311、312、313には、セパレータ321、322、323が装着されている。セパレータは、フィルム又は板状で、キャピラリの本数と同一数の孔が形成されている。孔の内径はキャピラリの外径よりやや大きく、例えば、φ1mm程度である。各孔に1本のキャピラリが貫通する。こうして、全てのキャピラリは、セパレータの孔を貫通することによって、保持される。
【0031】
セパレータは、キャピラリを互いに分離し、キャピラリが互いに絡み合うこと、及び、密集して束状になることを防止する。セパレータの数はキャピラリの長さに応じて増減してよい。通常、キャピラリが長いほどセパレータの数を増やす。
【0032】
キャピラリアレイ110は複数のキャピラリ201を有する。本例のキャピラリアレイ110は24本のキャピラリ201を有する。本例によると、キャピラリアレイ110、径が比較的大きい剛性が強いタイプのキャピラリを含むものとする。キャピラリの外径は、0.3〜0.7mm、内径は、0.02〜0.2mm程度である。
【0033】
キャピラリアレイ110の一端は、キャピラリを束ねて接着したキャピラリヘッド203となっている。キャピラリアレイ110の他端、即ち、陰極端は、ロードヘッダ202に設けられた管状の電極によって保持されている。
【0034】
本例のキャピラリは比較的剛性が大きいから、外力及び拘束力を加えない限り、直線状の形状を有する。本例では、キャピラリアレイは、ロードヘッダ202とフレーム300によって拘束されている。図示のように、キャピラリアレイは、直線状の部分110Aと湾曲した部分110Bを有する。直線状の部分110Aは、フレーム300から突出しており、フレーム300によって拘束されていない。直線状の部分110Aには、キャピラリヘッド203と検出部205が含まれる。キャピラリヘッド203と検出部205の重さにも拘らず、この直線状の部分110Aは、略直線状の形態を保持している。
【0035】
湾曲した部分110Bは、ロードヘッダ202とセパレータによって拘束されている。キャピラリアレイの形状は、キャピラリアレイに外力を加えないとき、ロードヘッダ202とセパレータの位置によって決まる。
【0036】
次に、キャピラリアレイの形状について説明する。本例によると、キャピラリアレイの直線状の部分110Aは、フレームの第1の支持部302に沿って配置されている。キャピラリヘッド203、検出部205、及び、軸311に装着されたセパレータ321は、一直線上に配置されている。こうして本例のキャピラリアレイユニットによると、キャピラリアレイの略半分は、略直線状に配置されている。
【0037】
キャピラリヘッド203に、矢印Aにて示す方向の外力を加える。すると、直線状の部分110Aは、矢印Aにて示す方向に沿って移動する。それによって、キャピラリは、セパレータ321、322の孔内をスライドする。こうして、キャピラリヘッド203は、矢印Aにて示す方向に移動する。
【0038】
図2Aは、キャピラリアレイに外力を加えないとき、本例のキャピラリアレイの形状を示す。本例のキャピラリアレイユニットを電気泳動装置に装着すると、キャピラリアレイは、図2Aに示す形状に保持される。即ち、本例のキャピラリアレイユニットを、電気泳動装置に装着しても、キャピラリアレイの形状は、図2Aに示す形状を保持する。
【0039】
従って、図2Aに示すキャピラリアレイにおける、キャピラリヘッド203、検出部20及びロードヘッダ202の間の相対的な位置関係は、電気泳動装置に装着されたキャピラリアレイにおけるキャピラリヘッド203、検出部205及びロードヘッダ202の装着位置の間の相対的は位置関係に等しい。
【0040】
本例によると、セパレータの位置は、キャピラリアレイが、図2Aに示す形状となるよに、選択する。このように、セパレータの位置を選択することによって、キャピラリアレイ110を、電気泳動装置に装着するときに、キャピラリアレイに外力を印加する必要がない。従って、キャピラリアレイを変形することなく、装着することが可能になる。
【0041】
本例によると、図2Aに示すように、キャピラリヘッドが下方に配置され、キャピラリアレイの直線部110Aは、傾斜して配置されている。これについて説明する。図1に示したキャピラリ電気泳動装置では、ポリマの使用量を低減するためには、ブロック104に接続された管104bを短くしたほうがよい。管104bを短くすると、ポリマの使用量を低減させることができるばかりでなく、管104bの材料費が低減される。管104bを短くすると、ブロック104を下降させるか、又は、バッファリザーバ107を上昇させる必要がある。一方、バッファリザーバ107の液面とバッファリザーバ112の液面を同一レベルにする必要がある。従って、バッファリザーバ107を上昇させることはできない。そこで、ブロック104を下降させる。即ち、ブロック104をできるだけ低い位置に配置する。ブロック104を下降させると、キャピラリヘッドの装着位置も低くなる。そのため、図2Aに示すように、キャピラリアレイの半分は、傾斜する。
【0042】
次に、図3、図4、図5及び図6を参照して、本発明によるキャピラリアレイの装着手順を説明する。最初に、ロードヘッダ202をオーブン115に装着する。図3を参照して説明する。図3は、オーブン115の下端の一部とロードヘッダ202を示す。ロードヘッダに装着されたキャピラリアレイの図示は省略されている。ロードヘッダ202にはグリップ202aが設けられている。ユーザは、グリップ202aを掴んで、ロードヘッダ202をオーブン115の凹部に挿入する。ロードヘッダ202の両側面には溝が設けられており、オーブン115の凹部の内側には突起が設けられている。ロードヘッダ202をオーブン115の凹部に挿入すると、ロードヘッダ202の溝とオーブン115の凹部の突起が係合する。
【0043】
図4はロードヘッダ202をオーブン115に装着した状態を示す。図2Aに示したキャピラリアレイ110の形状がそのまま保持されている。本例では、キャピラリヘッド203は、ポリマ注入機構3のブロック104の装着部の近傍に配置されている。また、検出部205は検出部ホルダ116の装着部の近傍に配置される。
【0044】
次に、キャピラリヘッド203をポリマ注入機構3のブロック104に装着する。図5を参照して説明する。ブロック104の穴にフェラル501を装填し、そのフェラル501にキャピラリヘッド203を貫通させる。又は、フェラル501にキャピラリヘッド203を貫通させ、次に、キャピラリヘッド203をフェラル501と共に、ブロック104の穴に挿入してもよい。このとき、図2を参照して説明したように、小さな力によって、キャピラリヘッド203を前後方向に移動させることができる。次に、押しねじ502をねじ込んでフェラル501を押し潰す。それによって、キャピラリヘッド203とブロック104の間がシールされ、キャピラリヘッド203はブロック104に固定される。
【0045】
図4に示したように、キャピラリヘッド203は、ポリマ注入機構3のブロック104の装着部の近傍に配置されている。従って、この作業は、キャピラリヘッド203を僅かに前後方向に移動させるだけであり、容易である。
【0046】
最後に、検出部205を検出部ホルダ116に装着する。図6を参照して説明する。検出部ホルダ116に備えられた枠に検出部205を嵌め込む。次に、蓋を閉じる。
【0047】
図4に示したように、検出部205は検出部ホルダ116の装着部の近傍に配置されている。従って、この作業は、検出部205を僅かに横方向に移動させるだけであり、容易である。
【0048】
以上のように、本例によると、キャピラリアレイを、電気泳動装置に装着する作業を行っているとき、キャピラリアレイを変形させる必要がない。そのため、キャピラリアレイの装着作業を容易に行うことができる。従って、キャピラリアレイの交換作業が容易となる。
【0049】
以上本発明の例を説明したが、本発明は上述の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲にて様々な変更が可能であることは当業者に容易に理解されよう。
【符号の説明】
【0050】
101…ポリマボトル、102…逆止弁、103…ポンプ、104…ブロック、105…バッファバルブ、106…電極、107…バッファ容器、108…光検出器、110…キャピラリアレイ、111…光源、112…バッファ容器、113…電極、114…高電圧電源、115…オーブン、116…検出部ホルダ、201…キャピラリ、202…ロードヘッダ、202a…グリップ、203…キャピラリヘッド、204…電極、205…検出部、205a,205b…開口、300…フレーム、301…足、302…支持部、303…足、304…支持部、305,306…ブリッジ、307…接続部、311,312,313…軸、321,322,323…セパレータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に電気泳動媒体を充填することができる一本以上のキャピラリを含むキャピラリアレイと、少なくとも1つのセパレータを有し前記キャピラリが該セパレータを貫通することによって前記キャピラリを分離し且つ一定の形状に保持するフレームと、前記キャピラリの陰極端を保持するロードヘッダと、を有するキャピラリアレイユニットにおいて、
前記キャピラリアレイは、
前記陰極端と反対側の端部に形成されたキャピラリヘッドと、
前記陰極端と前記キャピラリヘッドの間に設けられた検出部と、
を有し、
前記キャピラリアレイは、
前記フレームより突出した直線状の部分と前記フレームに保持された残余の湾曲状の部分とからなり、前記直線状の部分は先端に前記キャピラリヘッドを有し、前記湾曲状の部分は一端に前記陰極端を有する
ことを特徴とするキャピラリアレイユニット。
【請求項2】
請求項1記載のキャピラリアレイユニットにおいて、
前記フレームは、
前記ロードヘッダに固定された第1及び第2の足と、
前記第1及び第2の足にそれぞれ接続された第1及び第2の支持部と、
前記第1及び第2の支持部を接続する接続部と、
前記第1及び第2の足の間を架橋する第1のブリッジと、
前記第1及び第2の支持部の間を架橋する第2のブリッジと、
を有し、
前記キャピラリアレイを1平面上に保持するように構成されている
ことを特徴とするキャピラリアレイユニット。
【請求項3】
内部に電気泳動媒体を充填することができる一本以上のキャピラリを含むキャピラリアレイと前記キャピラリアレイを支持するフレームと前記キャピラリの陰極端を保持するロードヘッダとを有するキャピラリアレイユニットと、前記キャピラリアレイを一定の温度に保持するオーブンと、前記キャピラリに電気泳動媒体を注入するための注入機構と、励起光を照射するための光源と蛍光を検出するための受光部を備えた光学検出部と、を有するキャピラリ電気泳動装置において、
前記キャピラリアレイは、
前記陰極端と反対側の端部に形成されたキャピラリヘッドと、
前記陰極端と前記キャピラリヘッドの間に設けられた検出部と、
を有し、前記キャピラリヘッドは、前記注入機構に接続されており、
前記フレームは、
前記キャピラリを分離し且つ保持する少なくとも1つのセパレータを有し、
前記キャピラリが前記セパレータの貫通することによって、前記キャピラリアレイは一定の形状に保持され、
前記キャピラリアレイは、
前記フレームより突出した直線状の部分と前記フレームに保持された残余の湾曲状の部分とからなり、前記直線状の部分は先端に前記キャピラリヘッドを有し、前記湾曲状の部分は一端に前記陰極端を有する
ことを特徴とするキャピラリ電気泳動装置。
【請求項4】
請求項3記載のキャピラリ電気泳動装置において、
前記フレームは、
前記ロードヘッダに固定された第1及び第2の足と、
前記第1及び第2の足にそれぞれ接続された第1及び第2の支持部と、
前記第1及び第2の支持部を接続する接続部と、
前記第1及び第2の足の間を架橋する第1のブリッジと、
前記第1及び第2の支持部の間を架橋する第2のブリッジと、
を有し、前記キャピラリアレイを1平面上に保持するように構成されている
ことを特徴とするキャピラリ電気泳動装置。
【請求項5】
内部に電気泳動媒体を充填することができる一本以上のキャピラリを含むキャピラリアレイと前記キャピラリアレイを支持するフレームと前記キャピラリの陰極端を保持するロードヘッダとを有するキャピラリアレイユニットと、前記キャピラリアレイを一定の温度に保持するオーブンと、前記キャピラリに電気泳動媒体を注入するための注入機構と、励起光を照射するための光源と蛍光を検出するための受光部を備えた光学検出部と、を有するキャピラリ電気泳動装置において、
前記キャピラリアレイは、
前記フレームより突出した直線状の部分と前記フレームに保持された残余の湾曲状の部分とからなり、前記直線状の部分は先端にキャピラリヘッドを有し、前記湾曲状の部分は一端に前記陰極端を有し、前記直線状の部分は更に前記光源からの励起光が照射されるための検出部を有し、
前記キャピラリヘッドは、
前記検出部より低い位置に配置されるように、前記直線状の部分は傾斜して配置されている
ことを特徴とするキャピラリ電気泳動装置。
【請求項6】
請求項5記載のキャピラリ電気泳動装置において、
前記フレームは、前記キャピラリを分離し且つ保持する少なくとも1つのセパレータを有し、
前記キャピラリヘッド、前記検出部、及び、前記少なくとも1つのセパレータは、1つの直線に沿って配置されている
ことを特徴とするキャピラリ電気泳動装置。
【請求項7】
請求項5記載のキャピラリ電気泳動装置において、
前記キャピラリアレイユニットを電気泳動装置に装着した後の前記キャピラリヘッドと前記検出部の間の相対的な位置は、前記キャピラリアレイユニットを電気泳動装置に装着する前の前記キャピラリヘッドと前記検出部の間の相対的な位置と同一となるように構成されている
ことを特徴とするキャピラリ電気泳動装置。
【請求項8】
請求項6記載のキャピラリ電気泳動装置において、
前記キャピラリアレイユニットを電気泳動装置に装着した後の前記キャピラリアレイの形状は、前記キャピラリアレイユニットを電気泳動装置に装着する前の前記キャピラリアレイの形状と同一となるように構成されている
ことを特徴とするキャピラリ電気泳動装置。
【請求項9】
請求項5記載のキャピラリ電気泳動装置において、
前記フレームは、
前記ロードヘッダに固定された第1及び第2の足と、
前記第1及び第2の足にそれぞれ接続された第1及び第2の支持部と、
前記第1及び第2の支持部を接続する接続部と、
前記第1及び第2の足の間を架橋する第1のブリッジと、
前記第1及び第2の支持部の間を架橋する第2のブリッジと、
を有し、前記キャピラリアレイを1平面上に保持するように構成されている
ことを特徴とするキャピラリ電気泳動装置。
【請求項1】
内部に電気泳動媒体を充填することができる一本以上のキャピラリを含むキャピラリアレイと、少なくとも1つのセパレータを有し前記キャピラリが該セパレータを貫通することによって前記キャピラリを分離し且つ一定の形状に保持するフレームと、前記キャピラリの陰極端を保持するロードヘッダと、を有するキャピラリアレイユニットにおいて、
前記キャピラリアレイは、
前記陰極端と反対側の端部に形成されたキャピラリヘッドと、
前記陰極端と前記キャピラリヘッドの間に設けられた検出部と、
を有し、
前記キャピラリアレイは、
前記フレームより突出した直線状の部分と前記フレームに保持された残余の湾曲状の部分とからなり、前記直線状の部分は先端に前記キャピラリヘッドを有し、前記湾曲状の部分は一端に前記陰極端を有する
ことを特徴とするキャピラリアレイユニット。
【請求項2】
請求項1記載のキャピラリアレイユニットにおいて、
前記フレームは、
前記ロードヘッダに固定された第1及び第2の足と、
前記第1及び第2の足にそれぞれ接続された第1及び第2の支持部と、
前記第1及び第2の支持部を接続する接続部と、
前記第1及び第2の足の間を架橋する第1のブリッジと、
前記第1及び第2の支持部の間を架橋する第2のブリッジと、
を有し、
前記キャピラリアレイを1平面上に保持するように構成されている
ことを特徴とするキャピラリアレイユニット。
【請求項3】
内部に電気泳動媒体を充填することができる一本以上のキャピラリを含むキャピラリアレイと前記キャピラリアレイを支持するフレームと前記キャピラリの陰極端を保持するロードヘッダとを有するキャピラリアレイユニットと、前記キャピラリアレイを一定の温度に保持するオーブンと、前記キャピラリに電気泳動媒体を注入するための注入機構と、励起光を照射するための光源と蛍光を検出するための受光部を備えた光学検出部と、を有するキャピラリ電気泳動装置において、
前記キャピラリアレイは、
前記陰極端と反対側の端部に形成されたキャピラリヘッドと、
前記陰極端と前記キャピラリヘッドの間に設けられた検出部と、
を有し、前記キャピラリヘッドは、前記注入機構に接続されており、
前記フレームは、
前記キャピラリを分離し且つ保持する少なくとも1つのセパレータを有し、
前記キャピラリが前記セパレータの貫通することによって、前記キャピラリアレイは一定の形状に保持され、
前記キャピラリアレイは、
前記フレームより突出した直線状の部分と前記フレームに保持された残余の湾曲状の部分とからなり、前記直線状の部分は先端に前記キャピラリヘッドを有し、前記湾曲状の部分は一端に前記陰極端を有する
ことを特徴とするキャピラリ電気泳動装置。
【請求項4】
請求項3記載のキャピラリ電気泳動装置において、
前記フレームは、
前記ロードヘッダに固定された第1及び第2の足と、
前記第1及び第2の足にそれぞれ接続された第1及び第2の支持部と、
前記第1及び第2の支持部を接続する接続部と、
前記第1及び第2の足の間を架橋する第1のブリッジと、
前記第1及び第2の支持部の間を架橋する第2のブリッジと、
を有し、前記キャピラリアレイを1平面上に保持するように構成されている
ことを特徴とするキャピラリ電気泳動装置。
【請求項5】
内部に電気泳動媒体を充填することができる一本以上のキャピラリを含むキャピラリアレイと前記キャピラリアレイを支持するフレームと前記キャピラリの陰極端を保持するロードヘッダとを有するキャピラリアレイユニットと、前記キャピラリアレイを一定の温度に保持するオーブンと、前記キャピラリに電気泳動媒体を注入するための注入機構と、励起光を照射するための光源と蛍光を検出するための受光部を備えた光学検出部と、を有するキャピラリ電気泳動装置において、
前記キャピラリアレイは、
前記フレームより突出した直線状の部分と前記フレームに保持された残余の湾曲状の部分とからなり、前記直線状の部分は先端にキャピラリヘッドを有し、前記湾曲状の部分は一端に前記陰極端を有し、前記直線状の部分は更に前記光源からの励起光が照射されるための検出部を有し、
前記キャピラリヘッドは、
前記検出部より低い位置に配置されるように、前記直線状の部分は傾斜して配置されている
ことを特徴とするキャピラリ電気泳動装置。
【請求項6】
請求項5記載のキャピラリ電気泳動装置において、
前記フレームは、前記キャピラリを分離し且つ保持する少なくとも1つのセパレータを有し、
前記キャピラリヘッド、前記検出部、及び、前記少なくとも1つのセパレータは、1つの直線に沿って配置されている
ことを特徴とするキャピラリ電気泳動装置。
【請求項7】
請求項5記載のキャピラリ電気泳動装置において、
前記キャピラリアレイユニットを電気泳動装置に装着した後の前記キャピラリヘッドと前記検出部の間の相対的な位置は、前記キャピラリアレイユニットを電気泳動装置に装着する前の前記キャピラリヘッドと前記検出部の間の相対的な位置と同一となるように構成されている
ことを特徴とするキャピラリ電気泳動装置。
【請求項8】
請求項6記載のキャピラリ電気泳動装置において、
前記キャピラリアレイユニットを電気泳動装置に装着した後の前記キャピラリアレイの形状は、前記キャピラリアレイユニットを電気泳動装置に装着する前の前記キャピラリアレイの形状と同一となるように構成されている
ことを特徴とするキャピラリ電気泳動装置。
【請求項9】
請求項5記載のキャピラリ電気泳動装置において、
前記フレームは、
前記ロードヘッダに固定された第1及び第2の足と、
前記第1及び第2の足にそれぞれ接続された第1及び第2の支持部と、
前記第1及び第2の支持部を接続する接続部と、
前記第1及び第2の足の間を架橋する第1のブリッジと、
前記第1及び第2の支持部の間を架橋する第2のブリッジと、
を有し、前記キャピラリアレイを1平面上に保持するように構成されている
ことを特徴とするキャピラリ電気泳動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2012−98309(P2012−98309A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−34985(P2012−34985)
【出願日】平成24年2月21日(2012.2.21)
【分割の表示】特願2008−11382(P2008−11382)の分割
【原出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年2月21日(2012.2.21)
【分割の表示】特願2008−11382(P2008−11382)の分割
【原出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
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