キャピラリー・アレイ・シートホルダ
【課題】反応処理、洗浄処理、検出時等において、表面に露出した繊細なゲル部を損傷しないよう保護すると共に、組立てが容易で、短時間で効率よく確実な洗浄が可能なキャピラリー・アレイ・シートホルダを提供すること。
【解決手段】本発明によれば、高分子ゲルが充填された複数の貫通孔4が形成された貫通孔形成部を備えたキャピラリー・アレイ・シート1の周縁部を、挟持部によって挟持することにより、貫通孔形成部6が露出した状態でキャピラリー・アレイ・シートを保持するキャピラリー・アレイ・シートホルダであって、挟持部が、キャピラリー・アレイ・シートの周縁部との間に、少なくとも一端が外部に向かって開放された流路24が形成された状態で、キャピラリー・アレイ・シートの周縁部を挟持するキャピラリー・アレイ・シートホルダが提供される。
【解決手段】本発明によれば、高分子ゲルが充填された複数の貫通孔4が形成された貫通孔形成部を備えたキャピラリー・アレイ・シート1の周縁部を、挟持部によって挟持することにより、貫通孔形成部6が露出した状態でキャピラリー・アレイ・シートを保持するキャピラリー・アレイ・シートホルダであって、挟持部が、キャピラリー・アレイ・シートの周縁部との間に、少なくとも一端が外部に向かって開放された流路24が形成された状態で、キャピラリー・アレイ・シートの周縁部を挟持するキャピラリー・アレイ・シートホルダが提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャピラリー・アレイ・シートホルダに関し、詳細には、ハイブリダイゼーション等の反応処理、洗浄処理、検出時においてキャピラリー・アレイ・シートを保持するキャピラリー・アレイ・シートホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
多数の遺伝子の一括発現解析を行う方法として、DNAマイクロアレイ法(DNAチップ法)と呼ばれる分析法が知られている。この分析法として、例えば、多数のDNA断片が高密度に整列して固定されたマイクロアレイに、蛍光色素等で標識した研究対象の細胞の発現遺伝子等を含むサンプルを供し、ハイブリダイゼーションを行わせて互いに相補的な核酸同士を結合させ、ハイブリットを形成した区画を検出装置で読み取ることにより、核酸検出及び定量を行う方法がある。
【0003】
このような分析法などに用いられるマイクロアレイとして、高分子ゲルが充填された複数の貫通孔が形成されたキャピラリー・アレイ・シートがある。
【0004】
キャピラリー・アレイ・シートは、シート表面にキャプチャープローブが固定化された高分子ゲルが露出しているため、反応処理、洗浄処理、検出において、表面に露出した繊細なゲル部を損傷しないように十分注意して取り扱う必要がある。
このため、例えば、特許文献1に記載されているような、シートホルダが提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2005−121606号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されているホルダでは、キャピラリー・アレイ・シートとホルダとの接触面が、洗浄時に洗浄され難く、洗浄されずに接触面に残留していた蛍光色素で標識されたサンプル等が流れ出し、検出の精度を低下させる場合があるという問題があった。
【0007】
キャピラリー・アレイ・シートとホルダとの接触面を面積を小さくすれば、洗浄不良の問題は解決できるが、キャピラリー・アレイ・シートの反りを抑えて正確な検出を行うため、ある程度の接触面の大きさを確保しなければならないという要請もある。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、反応処理、洗浄処理、検出時等において、表面に露出した繊細なゲル部を損傷しないよう保護すると共に、組立てが容易で、短時間で効率よく確実な洗浄が可能なキャピラリー・アレイ・シートホルダを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、
高分子ゲルが充填された複数の貫通孔が形成された貫通孔形成部を備えたキャピラリー・アレイ・シートの周縁部を、挟持部によって挟持することにより、前記貫通孔形成部が露出した状態で前記キャピラリー・アレイ・シートを保持するキャピラリー・アレイ・シートホルダであって、
前記挟持部が、前記キャピラリー・アレイ・シートの周縁部との間に、少なくとも一端が外部に向かって開放された流路が形成された状態で、前記キャピラリー・アレイ・シートの周縁部を挟持する、
ことを特徴とするキャピラリー・アレイ・シートホルダが提供される。
【0010】
このような構成によれば、キャピラリー・アレイ・シートが挟持される部分(すなわち、ホルダとキャピラリー・アレイ・シートの接触部分)に、外部に向かって開放された流路が設けられているので、洗浄時に、洗浄液がこの流路を流れる。流路を流れる洗浄液は、ホルダとキャピラリー・アレイ・シートとの接触部分に進入するので、この接触部分が洗浄され、接触部分に蛍光色素で標識されたサンプル等が残留し難くなる。
【0011】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記キャピラリー・アレイ・シートホルダが、本体部と、該本体部に着脱可能に構成された蓋部分とを備え、
前記挟持部が、前記本体部と蓋部分によって形成され、
前記流路が、前記本体部および蓋部分の前記挟持部を形成する部分に設けられた溝によって構成されている。
【0012】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記キャピラリー・アレイ・シートホルダが、本体部と、該本体部に着脱可能に構成された蓋部分とを備え、
前記挟持部が、前記本体部と蓋部分とによって構成され、
前記流路が、前記本体部または蓋部分の前記挟持部を厚さ方向に貫通する貫通孔によって構成されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、反応処理、洗浄処理、検出時等において、表面に露出した繊細なゲル部を損傷しないよう保護すると共に、組立てが容易で、短時間で効率よく確実な洗浄が可能なキャピラリー・アレイ・シートホルダが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。
図1は、本発明の好ましい実施態様のキャピラリー・アレイ・シートホルダによって保持されるキャピラリー・アレイ・シート1の概略的な平面図である。
キャピラリー・アレイ・シート1は、公知のキャピラリー・アレイ・シートであり、矩形状のシート本体2の中央に、高分子ゲルが充填された多数の貫通孔4が形成された区画である貫通孔形成部6が設けられている。
【0015】
図2は、本発明の好ましい実施態様のキャピラリー・アレイ・シートホルダ(以下、単に「ホルダ」という。)を構成するホルダ本体8の平面図であり、図3は、ホルダを構成し、ホルダ本体8に着脱自在に取付られる蓋部分10の平面図である。
【0016】
ホルダ本体8は、矩形の板状部材であり、保持するキャピラリー・アレイ・シートの貫通孔形成部6を露出されることができる寸法の矩形の本体開口部12を備えている。開口部12の周囲には、蓋部分10に形成された4本のピン14を受け入れ可能な4つのピン孔16が形成されている。
【0017】
ホルダ本体8の本体開口部12の周囲には、キャピラリー・アレイ・シート1を収容可能な外形寸法を有する枠状の凹部Rが形成されている。凹部Rは、ホルダが保持するキャピラリー・アレイ・シート1の外形と略等しい外形形状を有し、且つ、キャピラリー・アレイ・シート1を収容したとき、キャピラリー・アレイ・シート1の貫通孔形成部6を本体開口部12の上方に配置した状態で、キャピラリー・アレイ・シート1を保持することができるように構成されている。
【0018】
一方、蓋部分10は、図2に示されているように、一部が切り欠かれた矩形の枠形状を有する板状部材である。蓋部分10の中央には、本体開口部12と同一形状の蓋部開口18が形成されている。
【0019】
蓋部分10は、各ピン14をホルダ本体8の対応するピン孔16に嵌合させることによって、蓋部分10の蓋部開口18がホルダ本体の本体開口部12と整合した状態で、ホルダ本体8に取付けられるように構成されている。
【0020】
蓋部分10の取付けに先立ってキャピラリー・アレイ・シート1を、ホルダ本体8の凹部Rに収容しておくと、キャピラリー・アレイ・シート1を、ホルダ本体8と蓋部分10の間に固定し、キャピラリー・アレイ・シート1をホルダ本体8と蓋部分10を備えたホルダ20によって保持することができる(図4)。
【0021】
このときキャピラリー・アレイ・シート1の貫通孔形成部6の外方に位置する周縁部は、ホルダ本体8の凹部Rの底部と、蓋部分10の蓋部開口12の周辺部分との間で挟持される。即ち、ホルダ本体8の凹部Rの底部と、蓋部分10の蓋部開口12の周辺部分とが、キャピラリー・アレイ・シート1の周縁部を挟持する挟持部となる。
【0022】
ホルダ本体8および蓋部分10の材料は、ハイブリダイゼーション反応、抗原抗体反応等を阻害する物質を含むものでなければ、特に限定されない。例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネイト等の熱可塑性樹脂材料を材料として用いることでき、このような材料によれば、ホルダを、射出成形で安価に製造することができる。
【0023】
蛍光を用いた検出を行う場合、ホルダの自家蛍光が大きいと検出のS/N比が低下し、精度の高い検出ができなくなるため、このような用途に用いる場合には、自家蛍光が小さな素材を選択することが必要である。自家蛍光が大きい材料を使用する場合には、自家蛍光を吸収する添加剤、例えばカーボンブラックが添加される。
【0024】
本実施態様のホルダ20では、図2、図3、および図4のV−V線に沿った断面図である図5に示されているように、ホルダ本体8および蓋部分10には、断面矩形の溝22、24がそれぞれ形成されている。
ホルダ本体8に形成された溝22は、凹部Rを横断し、一端が本体開口12の内方の空間に、他端がホルダ本体8の外方側の空間に開放(連通)している(図2)。
蓋部分10に形成された溝24は、一端が蓋部開口18の内方の空間に、他端が蓋部分10の外方側の空間に開放(連通)している(図3)。
即ち、本実施態様では、ホルダ20の挟持部がキャピラリー・アレイ・シート1を挟持したとき、挟持部とキャピラリー・アレイ・シート1の周縁部との間に、両端が外部に向かって開放された流路が溝22、24によって形成される。
【0025】
このような構成を有するホルダ1によれば、溝22、24が外部の空間に開放(連通)しているので、洗浄時に、溝22、24が洗浄液の流路となり、洗浄液が、溝22、24の中を流れることになる。溝22、24を流れる洗浄液は、キャピラリー・アレイ・シート1と、ホルダ本体8または蓋部分10との接触面26、28にも浸透する。この結果、これら接触面26、28に蛍光色素で標識されたサンプル等が入り込んでいた場合であっても、接触面26、28に浸透する洗浄液によって、この様なサンプル等を効率良く除去することができる。
【0026】
本発明の前記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内で種々の変更、変形が可能である。
【0027】
上記実施態様では、流路が、ホルダ本体8、蓋部分10に形成された溝22、24によって構成されているが、図6に示されているように、ホルダ本体8、または蓋部分10の内縁部を厚さ方向に貫通して延びる貫通孔30、32によって、流路が形成される構成でもよい。
このような構成においては、ホルダ20の挟持部がキャピラリー・アレイ・シート1を挟持したとき、挟持部とキャピラリー・アレイ・シート1の周縁部との間に、両端が外部に向かって開放された流路が貫通孔30、32によって形成される。
【0028】
又、図7ないし図9に示されている他の実施形態のホルダ40のように、ホルダ本体42と蓋部分44のキャピラリー・アレイ・シート1を挟持する部分(挟持部)に、多数の半球状の突起46を設け、両端が外部に向かって開放された流路を形成する構成でもよい。
【0029】
ここで、図7はホルダ40のホルダ本体40の模式的な平面図、図8はホルダ40の蓋部分44の模式的な平面図、図9は、キャピラリー・アレイ・シート1を挟持した状態のホルダ40の一部分を示す模式的な断面図である。
【0030】
これらの図面から明らかなように、ホルダ40でキャピラリー・アレイ・シート1を保持する際、キャピラリー・アレイ・シート1の周縁部は、ホルダ本体42と蓋部分44の挟持部に設けられた半球状の突起46の先端によって両側から挟持される。このため、隣接する突起46とキャピラリー・アレイ・シート1の周縁部の表面との間に空間が形成される。
この結果、ホルダ本体42と蓋部分44の挟持部が、キャピラリー・アレイ・シート1の周縁部との間に、一端が外部に向かって開放された流路が形成された状態で、キャピラリー・アレイ・シート1の周縁部を挟持することになる。
また、ホルダ本体42の周囲に、複数の円柱状突起48が形成されている。
【実施例】
【0031】
以下、本発明の実施例を説明する。
実施例中、0.12M Tris・HCl/0.12M NaCl/0.05% Tween-20溶液をTNTバッファ溶液、0.12M Tris・HCl/0.12M NaCl溶液をTNバッファ溶液とする。
【0032】
(実施例1)
図1に示す上記実施態様のホルダ20に、三菱レイヨン(株)製のDNAチップを収納した。このホルダは、カーボンブラックを添加したポリカーボーネート樹脂製であり、流路を形成する溝は、幅1mm、深さ0.1mmである。また、DNAチップは、幅12mm、高さ7mm、厚さ0.25mmである。
【0033】
サンプルは、マウスの腎臓由来total RNA 1μgを用いて、DNAチップにハイブリダイゼーションさせるBiotin標識aRNAを調製した。Biotin標識aRNAの調製はMessage Amp II Biotin Enhanced Kit (Ambion社製)を用い、キット付属の方法に従って実施した。取得したaRNAは、実験に用いるまで−80℃で保存しておいた。
【0034】
これらのaRNA 5μgをキット付属の断片化Bufferで断片化した。断片化は94℃、7.5分間で行った。断片化後、バッファ溶液類を混合した。サンプル溶液の終濃度は、0.12M Tris・HCl/0.12M NaCl/0.05% Tween-20であった。
【0035】
ハイブリダイゼーション溶液と断片化後aRNAの混合
1M Tris/HCl(pH7.5) 18μl
1M NaCl 18μl
0.5% Tween−20 15μl
滅菌水 79μl
断片化後aRNA 5μg 20μl
合計 150μl
【0036】
図10に示す容器50にサンプル溶液36を150μリットル注入し、そこに、上記DNAチップを収納したホルダ20を差込み、65℃で16時間ハイブリダイゼーションを行った。
【0037】
ハイブリダイゼーションの後、図11に示す構成で、容器50を65℃に保ち、注入ノズル54から、TNTバッファ溶液を1000μリットル、送液速度500μリットル/秒で8回、3分40秒間隔で注入しながら排液ノズル56から排液し、洗浄を行った。
さらに、容器50を65℃に保ち、注入ノズル54から、TNバッファ溶液を1000μリットル、送液速度500μリットル/秒で4回、3分40秒間隔で注入しながら排液ノズル56により排液し、洗浄を行った。
【0038】
洗浄の後、容器50を25℃に保ち、Cy5-ストレプトアビジン染色液を注入ノズル54から600μリットル、送液速度500μリットル/秒で4回、3分40秒間隔で注入しながら、排液ノズル56から排液して、Cy5-ストレプトアビジン染色液を置換し、置換後、30分間静置し、染色を行った。
【0039】
Cy5-ストレプトアビジン染色液の作製方法は以下の通りである。
Streptavidin-Cy5(1 mg GEヘルスケア#PA45001)に滅菌水1mlを加え、あわ立たないようにゆっくりと溶解した後、102μlずつ8本に分注し、残液を廃棄した。使用する前遮光状態で、−20℃に保存した。使用時、前述の8本の内の1本から100μlとり、50mlの0.12M Tris・HCl/0.12M NaCl溶液に混合した。
【0040】
染色後、容器50を25℃に保ち、注入ノズル54から、TNTバッファ溶液を1000μリットル、送液速度500μリットル/秒で8回、3分40秒間隔で注入しながら排液ノズル56から排液し、洗浄を行った。さらに、容器50を25℃に保ち、注入ノズル54から、TNバッファ溶液を1000μリットル、送液速度500μリットル/秒で3回、3分40秒間隔で注入しながら排液ノズル56から排液し、洗浄を行った。
【0041】
容器50から、ホルダ20を取出し、三菱レイヨン(株)製の検出器により検出した。その結果を図12に示す。図12に示す通り、三菱レイヨン(株)製のDNAチップは綺麗に洗浄されており、正確な検出結果を得ることが出来た。
【0042】
(比較例1)
図1に示す実施態様のホルダ20に三菱レイヨン(株)製のDNAチップを収納した。このホルダは、実施例1と同様に、カーボンブラックを添加したポリカーボーネート樹脂製であるが、流路を構成する溝を備えていないものである。
【0043】
実施例1と同一のサンプルを用い、同一の条件で処理を行った後、実施例1と同一の検出条件にて三菱レイヨン(株)製の検出器により検出した。その結果を図13に示す。図13の矢印で示す部分に、Cy5-ストレプトアビジン染色液の染み出しが見られ、正確な検出結果を得ることが出来なかった。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の好ましい実施態様のキャピラリー・アレイ・シートホルダによって保持されるキャピラリー・アレイ・シートの概略的な平面図である。
【図2】本発明の好ましい実施態様のキャピラリー・アレイ・シートホルダを構成するホルダ本体の平面図である。
【図3】ホルダを構成する蓋部分の平面図である。
【図4】キャピラリー・アレイ・シートを挟持したホルダの平面図である。
【図5】図4のV−V線に沿った断面図である。
【図6】本発明の他の好ましい実施態様を説明する図5と同様の断面図である。
【図7】本発明の他の実施態様のホルダのホルダ本体の模式的な平面図である。
【図8】本発明の他の実施態様のホルダの蓋部分の模式的な平面図である。
【図9】キャピラリー・アレイ・シートを保持した本発明の他の実施態様のホルダの一部分を示す模式的な断面図である。
【図10】本発明の実施例の処理を説明する図面である。
【図11】本発明の実施例の処理を説明する図面である。
【図12】本発明の実施例の測定結果を示す写真である。
【図13】本発明の比較例の測定結果を示す写真である。
【符号の説明】
【0045】
1:キャピラリー・アレイ・シート
2:シート本体
4:貫通孔
6:貫通孔形成部
8:ホルダ本体
10:蓋部分
12:本体開口部
18:蓋部開口
22、24:溝
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャピラリー・アレイ・シートホルダに関し、詳細には、ハイブリダイゼーション等の反応処理、洗浄処理、検出時においてキャピラリー・アレイ・シートを保持するキャピラリー・アレイ・シートホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
多数の遺伝子の一括発現解析を行う方法として、DNAマイクロアレイ法(DNAチップ法)と呼ばれる分析法が知られている。この分析法として、例えば、多数のDNA断片が高密度に整列して固定されたマイクロアレイに、蛍光色素等で標識した研究対象の細胞の発現遺伝子等を含むサンプルを供し、ハイブリダイゼーションを行わせて互いに相補的な核酸同士を結合させ、ハイブリットを形成した区画を検出装置で読み取ることにより、核酸検出及び定量を行う方法がある。
【0003】
このような分析法などに用いられるマイクロアレイとして、高分子ゲルが充填された複数の貫通孔が形成されたキャピラリー・アレイ・シートがある。
【0004】
キャピラリー・アレイ・シートは、シート表面にキャプチャープローブが固定化された高分子ゲルが露出しているため、反応処理、洗浄処理、検出において、表面に露出した繊細なゲル部を損傷しないように十分注意して取り扱う必要がある。
このため、例えば、特許文献1に記載されているような、シートホルダが提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2005−121606号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されているホルダでは、キャピラリー・アレイ・シートとホルダとの接触面が、洗浄時に洗浄され難く、洗浄されずに接触面に残留していた蛍光色素で標識されたサンプル等が流れ出し、検出の精度を低下させる場合があるという問題があった。
【0007】
キャピラリー・アレイ・シートとホルダとの接触面を面積を小さくすれば、洗浄不良の問題は解決できるが、キャピラリー・アレイ・シートの反りを抑えて正確な検出を行うため、ある程度の接触面の大きさを確保しなければならないという要請もある。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、反応処理、洗浄処理、検出時等において、表面に露出した繊細なゲル部を損傷しないよう保護すると共に、組立てが容易で、短時間で効率よく確実な洗浄が可能なキャピラリー・アレイ・シートホルダを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、
高分子ゲルが充填された複数の貫通孔が形成された貫通孔形成部を備えたキャピラリー・アレイ・シートの周縁部を、挟持部によって挟持することにより、前記貫通孔形成部が露出した状態で前記キャピラリー・アレイ・シートを保持するキャピラリー・アレイ・シートホルダであって、
前記挟持部が、前記キャピラリー・アレイ・シートの周縁部との間に、少なくとも一端が外部に向かって開放された流路が形成された状態で、前記キャピラリー・アレイ・シートの周縁部を挟持する、
ことを特徴とするキャピラリー・アレイ・シートホルダが提供される。
【0010】
このような構成によれば、キャピラリー・アレイ・シートが挟持される部分(すなわち、ホルダとキャピラリー・アレイ・シートの接触部分)に、外部に向かって開放された流路が設けられているので、洗浄時に、洗浄液がこの流路を流れる。流路を流れる洗浄液は、ホルダとキャピラリー・アレイ・シートとの接触部分に進入するので、この接触部分が洗浄され、接触部分に蛍光色素で標識されたサンプル等が残留し難くなる。
【0011】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記キャピラリー・アレイ・シートホルダが、本体部と、該本体部に着脱可能に構成された蓋部分とを備え、
前記挟持部が、前記本体部と蓋部分によって形成され、
前記流路が、前記本体部および蓋部分の前記挟持部を形成する部分に設けられた溝によって構成されている。
【0012】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記キャピラリー・アレイ・シートホルダが、本体部と、該本体部に着脱可能に構成された蓋部分とを備え、
前記挟持部が、前記本体部と蓋部分とによって構成され、
前記流路が、前記本体部または蓋部分の前記挟持部を厚さ方向に貫通する貫通孔によって構成されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、反応処理、洗浄処理、検出時等において、表面に露出した繊細なゲル部を損傷しないよう保護すると共に、組立てが容易で、短時間で効率よく確実な洗浄が可能なキャピラリー・アレイ・シートホルダが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。
図1は、本発明の好ましい実施態様のキャピラリー・アレイ・シートホルダによって保持されるキャピラリー・アレイ・シート1の概略的な平面図である。
キャピラリー・アレイ・シート1は、公知のキャピラリー・アレイ・シートであり、矩形状のシート本体2の中央に、高分子ゲルが充填された多数の貫通孔4が形成された区画である貫通孔形成部6が設けられている。
【0015】
図2は、本発明の好ましい実施態様のキャピラリー・アレイ・シートホルダ(以下、単に「ホルダ」という。)を構成するホルダ本体8の平面図であり、図3は、ホルダを構成し、ホルダ本体8に着脱自在に取付られる蓋部分10の平面図である。
【0016】
ホルダ本体8は、矩形の板状部材であり、保持するキャピラリー・アレイ・シートの貫通孔形成部6を露出されることができる寸法の矩形の本体開口部12を備えている。開口部12の周囲には、蓋部分10に形成された4本のピン14を受け入れ可能な4つのピン孔16が形成されている。
【0017】
ホルダ本体8の本体開口部12の周囲には、キャピラリー・アレイ・シート1を収容可能な外形寸法を有する枠状の凹部Rが形成されている。凹部Rは、ホルダが保持するキャピラリー・アレイ・シート1の外形と略等しい外形形状を有し、且つ、キャピラリー・アレイ・シート1を収容したとき、キャピラリー・アレイ・シート1の貫通孔形成部6を本体開口部12の上方に配置した状態で、キャピラリー・アレイ・シート1を保持することができるように構成されている。
【0018】
一方、蓋部分10は、図2に示されているように、一部が切り欠かれた矩形の枠形状を有する板状部材である。蓋部分10の中央には、本体開口部12と同一形状の蓋部開口18が形成されている。
【0019】
蓋部分10は、各ピン14をホルダ本体8の対応するピン孔16に嵌合させることによって、蓋部分10の蓋部開口18がホルダ本体の本体開口部12と整合した状態で、ホルダ本体8に取付けられるように構成されている。
【0020】
蓋部分10の取付けに先立ってキャピラリー・アレイ・シート1を、ホルダ本体8の凹部Rに収容しておくと、キャピラリー・アレイ・シート1を、ホルダ本体8と蓋部分10の間に固定し、キャピラリー・アレイ・シート1をホルダ本体8と蓋部分10を備えたホルダ20によって保持することができる(図4)。
【0021】
このときキャピラリー・アレイ・シート1の貫通孔形成部6の外方に位置する周縁部は、ホルダ本体8の凹部Rの底部と、蓋部分10の蓋部開口12の周辺部分との間で挟持される。即ち、ホルダ本体8の凹部Rの底部と、蓋部分10の蓋部開口12の周辺部分とが、キャピラリー・アレイ・シート1の周縁部を挟持する挟持部となる。
【0022】
ホルダ本体8および蓋部分10の材料は、ハイブリダイゼーション反応、抗原抗体反応等を阻害する物質を含むものでなければ、特に限定されない。例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネイト等の熱可塑性樹脂材料を材料として用いることでき、このような材料によれば、ホルダを、射出成形で安価に製造することができる。
【0023】
蛍光を用いた検出を行う場合、ホルダの自家蛍光が大きいと検出のS/N比が低下し、精度の高い検出ができなくなるため、このような用途に用いる場合には、自家蛍光が小さな素材を選択することが必要である。自家蛍光が大きい材料を使用する場合には、自家蛍光を吸収する添加剤、例えばカーボンブラックが添加される。
【0024】
本実施態様のホルダ20では、図2、図3、および図4のV−V線に沿った断面図である図5に示されているように、ホルダ本体8および蓋部分10には、断面矩形の溝22、24がそれぞれ形成されている。
ホルダ本体8に形成された溝22は、凹部Rを横断し、一端が本体開口12の内方の空間に、他端がホルダ本体8の外方側の空間に開放(連通)している(図2)。
蓋部分10に形成された溝24は、一端が蓋部開口18の内方の空間に、他端が蓋部分10の外方側の空間に開放(連通)している(図3)。
即ち、本実施態様では、ホルダ20の挟持部がキャピラリー・アレイ・シート1を挟持したとき、挟持部とキャピラリー・アレイ・シート1の周縁部との間に、両端が外部に向かって開放された流路が溝22、24によって形成される。
【0025】
このような構成を有するホルダ1によれば、溝22、24が外部の空間に開放(連通)しているので、洗浄時に、溝22、24が洗浄液の流路となり、洗浄液が、溝22、24の中を流れることになる。溝22、24を流れる洗浄液は、キャピラリー・アレイ・シート1と、ホルダ本体8または蓋部分10との接触面26、28にも浸透する。この結果、これら接触面26、28に蛍光色素で標識されたサンプル等が入り込んでいた場合であっても、接触面26、28に浸透する洗浄液によって、この様なサンプル等を効率良く除去することができる。
【0026】
本発明の前記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内で種々の変更、変形が可能である。
【0027】
上記実施態様では、流路が、ホルダ本体8、蓋部分10に形成された溝22、24によって構成されているが、図6に示されているように、ホルダ本体8、または蓋部分10の内縁部を厚さ方向に貫通して延びる貫通孔30、32によって、流路が形成される構成でもよい。
このような構成においては、ホルダ20の挟持部がキャピラリー・アレイ・シート1を挟持したとき、挟持部とキャピラリー・アレイ・シート1の周縁部との間に、両端が外部に向かって開放された流路が貫通孔30、32によって形成される。
【0028】
又、図7ないし図9に示されている他の実施形態のホルダ40のように、ホルダ本体42と蓋部分44のキャピラリー・アレイ・シート1を挟持する部分(挟持部)に、多数の半球状の突起46を設け、両端が外部に向かって開放された流路を形成する構成でもよい。
【0029】
ここで、図7はホルダ40のホルダ本体40の模式的な平面図、図8はホルダ40の蓋部分44の模式的な平面図、図9は、キャピラリー・アレイ・シート1を挟持した状態のホルダ40の一部分を示す模式的な断面図である。
【0030】
これらの図面から明らかなように、ホルダ40でキャピラリー・アレイ・シート1を保持する際、キャピラリー・アレイ・シート1の周縁部は、ホルダ本体42と蓋部分44の挟持部に設けられた半球状の突起46の先端によって両側から挟持される。このため、隣接する突起46とキャピラリー・アレイ・シート1の周縁部の表面との間に空間が形成される。
この結果、ホルダ本体42と蓋部分44の挟持部が、キャピラリー・アレイ・シート1の周縁部との間に、一端が外部に向かって開放された流路が形成された状態で、キャピラリー・アレイ・シート1の周縁部を挟持することになる。
また、ホルダ本体42の周囲に、複数の円柱状突起48が形成されている。
【実施例】
【0031】
以下、本発明の実施例を説明する。
実施例中、0.12M Tris・HCl/0.12M NaCl/0.05% Tween-20溶液をTNTバッファ溶液、0.12M Tris・HCl/0.12M NaCl溶液をTNバッファ溶液とする。
【0032】
(実施例1)
図1に示す上記実施態様のホルダ20に、三菱レイヨン(株)製のDNAチップを収納した。このホルダは、カーボンブラックを添加したポリカーボーネート樹脂製であり、流路を形成する溝は、幅1mm、深さ0.1mmである。また、DNAチップは、幅12mm、高さ7mm、厚さ0.25mmである。
【0033】
サンプルは、マウスの腎臓由来total RNA 1μgを用いて、DNAチップにハイブリダイゼーションさせるBiotin標識aRNAを調製した。Biotin標識aRNAの調製はMessage Amp II Biotin Enhanced Kit (Ambion社製)を用い、キット付属の方法に従って実施した。取得したaRNAは、実験に用いるまで−80℃で保存しておいた。
【0034】
これらのaRNA 5μgをキット付属の断片化Bufferで断片化した。断片化は94℃、7.5分間で行った。断片化後、バッファ溶液類を混合した。サンプル溶液の終濃度は、0.12M Tris・HCl/0.12M NaCl/0.05% Tween-20であった。
【0035】
ハイブリダイゼーション溶液と断片化後aRNAの混合
1M Tris/HCl(pH7.5) 18μl
1M NaCl 18μl
0.5% Tween−20 15μl
滅菌水 79μl
断片化後aRNA 5μg 20μl
合計 150μl
【0036】
図10に示す容器50にサンプル溶液36を150μリットル注入し、そこに、上記DNAチップを収納したホルダ20を差込み、65℃で16時間ハイブリダイゼーションを行った。
【0037】
ハイブリダイゼーションの後、図11に示す構成で、容器50を65℃に保ち、注入ノズル54から、TNTバッファ溶液を1000μリットル、送液速度500μリットル/秒で8回、3分40秒間隔で注入しながら排液ノズル56から排液し、洗浄を行った。
さらに、容器50を65℃に保ち、注入ノズル54から、TNバッファ溶液を1000μリットル、送液速度500μリットル/秒で4回、3分40秒間隔で注入しながら排液ノズル56により排液し、洗浄を行った。
【0038】
洗浄の後、容器50を25℃に保ち、Cy5-ストレプトアビジン染色液を注入ノズル54から600μリットル、送液速度500μリットル/秒で4回、3分40秒間隔で注入しながら、排液ノズル56から排液して、Cy5-ストレプトアビジン染色液を置換し、置換後、30分間静置し、染色を行った。
【0039】
Cy5-ストレプトアビジン染色液の作製方法は以下の通りである。
Streptavidin-Cy5(1 mg GEヘルスケア#PA45001)に滅菌水1mlを加え、あわ立たないようにゆっくりと溶解した後、102μlずつ8本に分注し、残液を廃棄した。使用する前遮光状態で、−20℃に保存した。使用時、前述の8本の内の1本から100μlとり、50mlの0.12M Tris・HCl/0.12M NaCl溶液に混合した。
【0040】
染色後、容器50を25℃に保ち、注入ノズル54から、TNTバッファ溶液を1000μリットル、送液速度500μリットル/秒で8回、3分40秒間隔で注入しながら排液ノズル56から排液し、洗浄を行った。さらに、容器50を25℃に保ち、注入ノズル54から、TNバッファ溶液を1000μリットル、送液速度500μリットル/秒で3回、3分40秒間隔で注入しながら排液ノズル56から排液し、洗浄を行った。
【0041】
容器50から、ホルダ20を取出し、三菱レイヨン(株)製の検出器により検出した。その結果を図12に示す。図12に示す通り、三菱レイヨン(株)製のDNAチップは綺麗に洗浄されており、正確な検出結果を得ることが出来た。
【0042】
(比較例1)
図1に示す実施態様のホルダ20に三菱レイヨン(株)製のDNAチップを収納した。このホルダは、実施例1と同様に、カーボンブラックを添加したポリカーボーネート樹脂製であるが、流路を構成する溝を備えていないものである。
【0043】
実施例1と同一のサンプルを用い、同一の条件で処理を行った後、実施例1と同一の検出条件にて三菱レイヨン(株)製の検出器により検出した。その結果を図13に示す。図13の矢印で示す部分に、Cy5-ストレプトアビジン染色液の染み出しが見られ、正確な検出結果を得ることが出来なかった。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の好ましい実施態様のキャピラリー・アレイ・シートホルダによって保持されるキャピラリー・アレイ・シートの概略的な平面図である。
【図2】本発明の好ましい実施態様のキャピラリー・アレイ・シートホルダを構成するホルダ本体の平面図である。
【図3】ホルダを構成する蓋部分の平面図である。
【図4】キャピラリー・アレイ・シートを挟持したホルダの平面図である。
【図5】図4のV−V線に沿った断面図である。
【図6】本発明の他の好ましい実施態様を説明する図5と同様の断面図である。
【図7】本発明の他の実施態様のホルダのホルダ本体の模式的な平面図である。
【図8】本発明の他の実施態様のホルダの蓋部分の模式的な平面図である。
【図9】キャピラリー・アレイ・シートを保持した本発明の他の実施態様のホルダの一部分を示す模式的な断面図である。
【図10】本発明の実施例の処理を説明する図面である。
【図11】本発明の実施例の処理を説明する図面である。
【図12】本発明の実施例の測定結果を示す写真である。
【図13】本発明の比較例の測定結果を示す写真である。
【符号の説明】
【0045】
1:キャピラリー・アレイ・シート
2:シート本体
4:貫通孔
6:貫通孔形成部
8:ホルダ本体
10:蓋部分
12:本体開口部
18:蓋部開口
22、24:溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子ゲルが充填された複数の貫通孔が形成された貫通孔形成部を備えたキャピラリー・アレイ・シートの周縁部を、挟持部によって挟持することにより、前記貫通孔形成部が露出した状態で前記キャピラリー・アレイ・シートを保持するキャピラリー・アレイ・シートホルダであって、
前記挟持部が、前記キャピラリー・アレイ・シートの周縁部との間に、少なくとも一端が外部に向かって開放された流路が形成された状態で、前記キャピラリー・アレイ・シートの周縁部を挟持する、
ことを特徴とするキャピラリー・アレイ・シートホルダ。
【請求項2】
前記キャピラリー・アレイ・シートホルダが、本体部と、該本体部に着脱可能に構成された蓋部分とを備え、
前記挟持部が、前記本体部と蓋部分によって形成され、
前記流路が、前記本体部および蓋部分の前記挟持部を形成する部分に設けられた溝によって構成されている、
請求項1に記載のキャピラリー・アレイ・シートホルダ。
【請求項3】
前記キャピラリー・アレイ・シートホルダが、本体部と、該本体部に着脱可能に構成された蓋部分とを備え、
前記挟持部が、前記本体部と蓋部分とによって構成され、
前記流路が、前記本体部または蓋部分の前記挟持部を厚さ方向に貫通する貫通孔によって構成されている、
請求項1に記載のキャピラリー・アレイ・シートホルダ。
【請求項1】
高分子ゲルが充填された複数の貫通孔が形成された貫通孔形成部を備えたキャピラリー・アレイ・シートの周縁部を、挟持部によって挟持することにより、前記貫通孔形成部が露出した状態で前記キャピラリー・アレイ・シートを保持するキャピラリー・アレイ・シートホルダであって、
前記挟持部が、前記キャピラリー・アレイ・シートの周縁部との間に、少なくとも一端が外部に向かって開放された流路が形成された状態で、前記キャピラリー・アレイ・シートの周縁部を挟持する、
ことを特徴とするキャピラリー・アレイ・シートホルダ。
【請求項2】
前記キャピラリー・アレイ・シートホルダが、本体部と、該本体部に着脱可能に構成された蓋部分とを備え、
前記挟持部が、前記本体部と蓋部分によって形成され、
前記流路が、前記本体部および蓋部分の前記挟持部を形成する部分に設けられた溝によって構成されている、
請求項1に記載のキャピラリー・アレイ・シートホルダ。
【請求項3】
前記キャピラリー・アレイ・シートホルダが、本体部と、該本体部に着脱可能に構成された蓋部分とを備え、
前記挟持部が、前記本体部と蓋部分とによって構成され、
前記流路が、前記本体部または蓋部分の前記挟持部を厚さ方向に貫通する貫通孔によって構成されている、
請求項1に記載のキャピラリー・アレイ・シートホルダ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−288166(P2009−288166A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−143110(P2008−143110)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】
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