説明

キャラクタ画像修整機能付きゲーム

【課題】 そこで,本発明は,キャラクタの変化に,オリジナリティや個性を持たせることができるゲームシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明の対戦ゲームシステムは,プレイヤIDを記憶するプレイヤID記憶部11,キャラクタ画像記憶部12,画像修整部13,パーツ画像記憶部14,キャラクタ基本情報記憶部15,及びユーザ情報記憶部16をさらに有する。画像修整部13は,入力情報に基づいて複数のシチュエーションに応じたキャラクタの画像をカスタマイズする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,キャラクタ画像修整機能付きゲームに関する。
【背景技術】
【0002】
プレイヤが操作するプレイヤキャラクタ(PC)と,あらかじめ設定されたキャラクタであるノンプレイヤキャラクタ(NPC)とが存在するビデオゲームがある。そして,ビデオゲームには,複数のパーツを選択することでプレイヤキャラクタの画像を選択できるものがある。
【0003】
例えば,特開2009−45091号公報には,プレイヤにより選択されたパーツごとのテクスチャを用いて合成テクスチャを生成して,プレイヤキャラクタの画像を生成する方法が開示されている。このように,オリジナルなPCを作成させることで,ゲームへの愛着を高めることができる。また,特開2009−45091号公報では,ゲームのシーンにあわせてプレイヤキャラクタの描画方法を変えることで,画像処理の高速化を図る(段落「0006」)。
【0004】
特開2003−117242号公報には,アイテムを取得するイベントが発生すると,取得したアイテムに応じた着せ替えをプレイヤキャラクタに施す着せ替えゲームプログラムが開示されている。
【0005】
国際公開2005−058441号パンフレットには,対戦ゲームにおいて負けと判定されたキャラクタの画像を変化させる対戦ゲームシステムが開示されている。また,このゲームシステムは,キャラクタが攻撃する際に,攻撃種に応じてキャラクタの画像を変化させるほか,キャラクタの特性に応じてキャラクタの画像を変化させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−45091号公報
【特許文献2】特開2003−117242号公報
【特許文献3】国際公開2005−058441号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の公報に開示された技術を用いれば対戦ゲームにおいて,プレイヤキャラクタの画像を変化させることができる。しかしながら,いずれの技術も,プレイヤキャラクタの画像の変化は,ゲーム機側が一方的に決めたものである。このため,プレイヤキャラクタの画像の変化にオリジナリティを持たせることができない。また,プレイヤキャラクタ以外のキャラクタの画像を変化させることは意図されていない。
【0008】
さらに,従来の技術では,プレイヤキャラクタの画像の変化が一義的なので,当たり障りのない変化しかもたらすことができない。このため,ユーザの嗜好性に訴えることができない。
【0009】
そこで,本発明は,キャラクタの変化にオリジナリティや個性を持たせることができるゲームシステムを提供することを目的とする。
【0010】
特に本発明は,ゲーム中のカードの属性の一つである「キャラクタ画像」をユーザが自由に改変できるようにしてオリジナリティや個性を持たせ,これによりユーザの興味を惹くことができるゲームシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は,基本的には,基本となるキャラクタの画像のみならず,さまざまなシチュエーションにおけるキャラクタの画像についてもユーザの嗜好に合わせてカスタマイズさせることで,ユーザに対し,ゲームに深い興味と愛着をもたらすことができるという知見に基づく。
【0012】
本発明の第1の側面は,コンピュータを用いた対戦ゲームシステムに関する。そして,この対戦ゲームシステムは,プレイヤIDを記憶するプレイヤID記憶部11,キャラクタ画像記憶部12,及び画像修整部13を有する。キャラクタ画像記憶部12は,プレイヤIDと関連して,ゲーム上の複数のシチュエーションに応じたキャラクタの画像を記憶する記憶部である。画像修整部13は,入力情報に基づいて複数のシチュエーションに応じたキャラクタの画像をカスタマイズするための要素である。キャラクタの例は,プレイヤキャラクタ又は対戦ゲームにおいて対戦を行うキャラクタである。例えば,ゲームのストーリー上,主人公が複数のカードを有しており,それぞれのカードにより具現化される対象をキャラクタとしてもよい。
【0013】
本発明では,画像修整部13が,入力情報に基づいて複数のシチュエーションに応じたキャラクタの画像をカスタマイズする。これにより,さまざまなシチュエーションにおけるキャラクタの画像についてもユーザの嗜好に合わせてカスタマイズさせることで,ユーザに対し,ゲームに深い興味と愛着をもたらすことができる
【0014】
本発明の第1の側面の好ましい態様は,キャラクタの複数種類のパーツのそれぞれについて複数のパーツ画像を記憶するパーツ画像記憶部14をさらに有する。そして,画像修整部13は,入力情報に従って,パーツ画像記憶部14からプレイヤIDと関連して記憶する1又は複数のパーツ画像に関する情報を選択することで,キャラクタの画像をカスタマイズする。
【0015】
本発明の第1の側面の好ましい態様は,プレイヤIDと関連したキャラクタの名前,レベル,攻撃力及び守備力を含むキャラクタ情報を記憶するキャラクタ基本情報記憶部15をさらに有する。そして,画像修整部13は,レベル,攻撃力及び守備力のいずれかが所定の閾値を超えた場合,キャラクタの画像を変化させる。
【0016】
本発明の第1の側面の好ましい態様は,入力情報は,携帯電話又はウェブサイトから対戦ゲームシステムに入力される絵文字である。ユーザが日常的に使用している絵文字をキャラクタの画像に組み込むことで,ゲームに親密度を持たせることができる。
【0017】
本発明の第1の側面の好ましい態様は,プレイヤIDと関連して,ユーザに関する情報を記憶するユーザ情報記憶部16をさらに有する。そして,画像修整部13は,ユーザ情報記憶部16に記憶されたユーザに関する情報を用いて,キャラクタの画像をカスタマイズする方式を変化させる。これにより,キャラクタの変化に,オリジナリティや個性を持たせることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば,キャラクタの変化に,オリジナリティや個性を持たせることができるゲームシステムを提供することができる。
【0019】
特に本発明によれば,ゲーム中のカードの属性の一つである「キャラクタ画像」をユーザが自由に改変できるようにしてオリジナリティや個性を持たせ,これによりユーザの興味を惹くことができるゲームシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は,本発明の対戦ゲームシステムのブロック図である。
【図2】図2は,本発明の対戦ゲームシステムのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図3】図3は,キャラクタ画像のカスタマイズの例である。
【図4】図4は,戦闘時のキャラクタ画像のカスタマイズ処理を示す図である。
【図5】図5は,絵文字を用いてキャラクタ画像がカスタマイズされる例である。
【図6】図6は,対戦ゲームの対戦の様子を示す図である。
【図7】図7は,図6において相手プレイヤが必殺技を発動した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下,発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する実施態
様に限定されるものではない。本発明は,以下に説明する実施態様から当業者に自明な範
囲で適宜修正される範囲を含む。
【0022】
図1は,本発明の対戦ゲームシステムのブロック図である。この対戦ゲームシステムは,スタンドアロンのゲーム機でもよいし,パーソナルコンピュータを用いたクライアント−サーバシステムでもよい。また,この対戦ゲームシステムは,アーケードゲームであってもよいし,カードゲームであってもよい。カードゲームの例は,特開2009−45369号公報に開示されるものである。
【0023】
図1に示されるように,本発明の対戦ゲームシステムは,プレイヤIDを記憶するプレイヤID記憶部11,キャラクタ画像記憶部12,画像修整部13を有する。また,この対戦ゲームシステムは,パーツ画像記憶部14,キャラクタ基本情報記憶部15,及びユーザ情報記憶部16をさらに有する。なお,本発明の対戦ゲームシステムは,ゲームシステムが一般的に備える各種要素を適宜備える。このような要素の例は,表示画面,及び入出力装置である。
【0024】
プレイヤID記憶部11は,プレイヤIDを記憶するための記憶部である。対戦ゲームシステムがスタンドアロンタイプであれば,プレイヤIDは,例えば,セーブされているデータのIDであってもよい。一般的なテレビゲームは,プレイデータを複数記憶できる。そして,例えば,セーブデータ1,セーブデータ2のようなID付されてセーブデータが記憶される。対戦ゲームシステムがある会員制ウェブサイトと関連したものである場合は,そのウェブサイトの会員番号をプレイヤIDとして用いてもよい。また,対戦ゲームシステムがクライアントサーバシステムの場合は,例えば,入会順に割り振られるプレイヤIDを用いてもよい。この場合,通常サーバのデータベースの一部がプレイヤID記憶部11として機能する。対戦ゲームシステムが,カードゲームである場合は,プレイヤIDを示すカードに割り当てられたIDをプレイヤIDとして用いてもよい。
【0025】
キャラクタ画像記憶部12は,プレイヤIDと関連して,ゲーム上の複数のシチュエーションに応じたキャラクタの画像を記憶するための記憶部である。キャラクタの画像の例は,キャラクタを示す画像と,キャラクタの背景を示す画像があげられる。キャラクタの背景の例は,カード又はカードの枠画像である。すなわち,本発明の対戦ゲームにおけるキャラクタの例は,カード上に存在するキャラクタである。対戦ゲーム中に存在するカードの属性の一つとして記憶されるキャラクタ画像は,初期値が画像なしといったものであってもよい。
【0026】
複数のシチュエーションの例は,平常時(アイドリング状態),戦闘時,必殺技発動時,敗北時,敵キャラクタを倒した際,及び瀕死状態である。複数のシチュエーションは,例えば,これらのシチュエーションのうち2つ以上があげられる。複数のシチュエーションの具体例は,平常時,戦闘時,及び必殺技発動時である。
【0027】
複数のシチュエーションに応じたキャラクタの画像は,プレイヤIDと,画像を読み出すための画像IDとがデータベースに記憶され,複数のキャラクタの画像が,画像IDと関連して記憶されてもよい。この場合,シチュエーションが変化すると,プレイヤIDと関連して画像IDがデータベースから選択され,その画像IDを用いてシチュエーションに応じたキャラクタの画像が読み出されることとなる。
【0028】
画像修整部13は,入力情報に基づいて複数のシチュエーションに応じたキャラクタの画像をカスタマイズするための要素である。入力情報の例は,対戦ゲームシステムの入力部から入力されたユーザによる選択情報である。選択情報の例は,左右上下,選択,及びキャンセルである。入力情報の別の例は,ユーザが描画した絵である。入力情報の別の例は,携帯電話又はウェブサイトから対戦ゲームシステムに入力される絵文字である。
【0029】
パーツ画像記憶部14は,キャラクタの複数種類のパーツのそれぞれについて複数のパーツ画像を記憶する記憶部である。パーツ画像記憶部14は,キャラクタの種別ごとにパーツ分けされたデータベースを有してもよい。キャラクタの種別の例は,人間,エルフ,ドワーフ,ハーフエルフ,ゴブリン及び妖精である。キャラクタの種別の別の例は,人獣,神族,魔種,海族,及び不死である。また,キャラクタの性別を設定する場合は,性別に応じてパーツ画像が記憶されてもよい。
【0030】
パーツの種類のうち,キャラクタ本体の例は,顔型,肌の色,目,目の位置,目の色,鼻,鼻の位置,口,口の位置,口の色,髪型,髪の色,眼鏡,体格,及び腕の数のいずれか1つ以上である。キャラクタ本体のパーツ画像は,例えば,本発明の対戦ゲームの初期値として,設定されてもよい。この場合,例えば,画像修整部13は,入力情報に従って,パーツ画像記憶部14からプレイヤIDと関連して記憶する1又は複数のパーツ画像に関する情報を選択することで,キャラクタの画像をカスタマイズする。これらのパーツ画像は,パーツの種類を示すIDと,パーツの種類の中の順番を示すIDとを合わせたID番号と関連して,記憶されることが好ましい。
【0031】
パーツの種類のうち,キャラクタの装備品の例は,武器,鎧(服),盾,兜(帽子),及びアクセサリーである。武器の種類の例は,剣,レイピア,斧,槍,杖,ハンマー,弓,銃,鎖鎌,布,本,ブーメラン及び刀である。これらのパーツ画像は,パーツの種類を示すIDと,パーツの種類の中の順番を示すIDとを合わせたID番号と関連して,記憶されることが好ましい。また,キャラクタの装備品は,キャラクタの職業と関連して記憶されていてもよい。
【0032】
キャラクタ基本情報記憶部15は,プレイヤIDと関連したキャラクタの名前,レベル,攻撃力及び守備力を含むキャラクタ情報を記憶する記憶部である。キャラクタ基本情報記憶部15は,キャラクタの属性,及び種別を記憶してもよい。
【0033】
また,キャラクタ基本情報記憶部15が,キャラクタのレベルを記憶する場合,記憶した情報が所定の閾値を超えた場合,キャラクタの画像を変化させてもよい。例えば,レベルが第1の閾値以下の場合は,装備品の基本色がブロンズ色,第1閾値以上第2閾値以下の場合装備品の基本色が銀色,第2閾値以上の場合装備品の基本色が金色というものである。このような処理は,閾値を記憶し,レベルが変化した際に記憶した閾値とレベルとを比較する。そして,該当する基本色を読み出す。その上で,装備本の基本色を変化させる。このようにしてレベルに応じた装備品の色変化を実現できる。
【0034】
ユーザ情報記憶部16は,プレイヤIDと関連して,ユーザに関する情報を記憶する記憶部である。ユーザに関する情報の例は,ユーザの年齢,性別,会員サイトの会員ID,ブログアドレス,携帯電話のアドレス,PCのIPアドレス,パスワード,電子メールのアドレス,地域,及びユーザの種別である。ユーザの種別の例は,ゲーム作成者,ユーザ,及びゲストである。ユーザの種別の別の例は,無料会員,有料会員,及び特別会員であってもよい。ユーザ情報記憶部16は,プレイヤIDと関連して,プレイヤキャラクタの持ち物,ゲームの進行情報,所属村,所属ギルド,過去の対戦相手,過去の対戦相手との対戦状況,勝敗,プレイヤキャラクタのレベル,ランク,称号レベル,称号,プレイ回数,塁計プレイ時間,及びプレイ場所のいずれか1つ以上の情報をさらにプレイヤIDと関連して記憶してもよい。称号とは,ある条件を満たした場合に称号レベルとは別に与えられるプレイヤの肩書である。
【0035】
図2は,本発明の対戦ゲームシステムのハードウェア構成例を示すブロック図である。この対戦ゲームシステムは,入力装置21,CPU22,演算装置23,記憶装置24及び画像処理ブロック25を有する。そして,各要素はバス26により情報の授受ができるように接続されている。また,この対戦ゲームシステムは,バス26を介してインターフェース(I/F)27と接続されている。このため,例えばこの対戦ゲームシステムは,I/F27を介して,プログラムを格納した情報記録媒体28と接続することができる。このプログラムは,コンピュータや画像処理装置を,所定の手段として機能させるためのものである。また,このプログラムは,コンピュータや画像処理装置に所定のステップを実行させるためのものである。なお,I/F27を介して接続されるメモリが,記憶装置24の全部又は一部として機能してもよい。
【0036】
画像処理ブロック25は,グラフィック処理ユニット(GPU)22及びビデオRAM(VRAM)30を有する。そして,GPU29及びVRAM30は,情報の授受を行うことができるように接続されている。図中符号31は表示画面(モニタ)を示し,符号32はスピーカを示す。
【0037】
この実施態様では,例えば,CPU22,演算装置23,記憶装置24の作業空間,及び情報記録媒体28に格納されたゲーム用プログラムが,プレイヤID記憶部11,キャラクタ画像記憶部12,画像修整部13,キャラクタ基本情報記憶部15,及びユーザ情報記憶部16として機能する。そして,記憶装置24及び情報記録媒体28の記憶領域が,パーツ画像記憶部14及び作業領域として機能する。入力装置21から操作情報が入力された場合,操作情報はバス26を介してCPU22へ伝えられる。すると,CPU22は,情報記録媒体28に格納されるプログラムを読出し,所定の処理を行う。CPU22は,プログラムからの指令に従って,記憶装置24や情報記録媒体28に記憶される各種情報を読出し,演算装置23において所定の演算を行う。CPU22は,演算結果を適宜記憶装置24に記憶し,演算結果を用いてモニタ31やスピーカ32から適切な情報を出力する。
【0038】
次に,本発明の対戦ゲームシステムの動作例について説明する。この対戦ゲームの例は,プレイヤキャラクタが1又は複数のカードを有しており,対戦するプレイヤのカード又はNPCのカードと対戦させるものである。以下では,キャラクタのカスタマイズ処理を中心に説明を進める。キャラクタのカスタマイズ処理及び対戦シーン以外のシーンについては,通常のゲームと同様に処理を行えばよい。
【0039】
ユーザがカードを入手する。カードは,オンラインで購入することにより入手してもよい。この場合,システムにあるユーザがあるカードを購入したことに関する情報が入力される。すると,システムは,そのカードに関する属性情報を記憶部から読み出す。そして,プレイヤIDと関連して,そのカードに関する情報をキャラクタ基本情報記憶部15に記憶させる。このようにして,ユーザがカードを購入した場合,そのユーザの対戦ゲームシステムにおけるプレイヤが,カードを入手し,対戦ゲームシステムにおいてそのカードに応じたイベントを進行できるようになる。また,プレイヤキャラクタが,対戦ゲームにおける所定のイベントをクリアすることでカードを入手してもよい。さらに,プレイヤキャラクタが,対戦ゲームにおけるショップにてカードを購入する動作を行うことで,カードを入手してもよい。
【0040】
対戦ゲームにおいて,カードに具現化されるキャラクタのカスタマイズが行われる。図3は,キャラクタ画像のカスタマイズの例である。カードを入手した場合,例えば,カードにはキャラクタの種類を示す情報が記憶されている。対戦ゲームシステムは,キャラクタの種類(例えば,キャラクタであるオーディンのID)に応じてキャラクタの初期画像を記憶している。すると,対戦ゲームシステムにおいて,キャラクタのカスタマイズ処理を行う場合,キャラクタの種類に関する情報を用いて,キャラクタの初期画像が読み出される。そして,読み出されたキャラクタの初期画像が,表示部に表示される。キャラクタの初期画像は,なし(表示するキャラクタがない状態)であってもよい。そのようなキャラクタ画像が全く存在しない状態であっても,システムにはカードと関連した属性(攻撃力,防御力,種族,弱点)が記憶されているため,カード同士による対戦を行うことができる。なお,この場合,カード同士の対戦時に一方のカードはカードの枠のみが表示される。
【0041】
ユーザは,表示された初期画像に基づいてキャラクタをカスタマイズすることができる。カスタマイズ処理の例は,キャラクタの装備品を変化させる画像処理である。また,カスタマイズ処理の別の例は,キャラクタの表情,大きさなどを変化させる画像処理である。また,キャラクタの種類と関連して複数の初期画像の候補が対戦ゲームシステムに記憶されている場合,初期画像の候補自体を変更してもよい。図3に示す例では,キャラクタの初期画像がウサギであり,次の初期画像が猫であり,次の初期画像がネズミである。これは,カードに関連して記憶されたキャラクタの種類がウサギの場合である。そして,システムの記憶部は,ウサギに関して,図3の左に示す画像を記憶している。そこで,システムは,ウサギの識別情報に基づいて,記憶部からウサギの画像を読み出し,出力する。次に,ウサギの次の識別番号と関連して,猫が記憶され,その次の識別番号と関連してネズミが記憶されている。そこで,システムは,記憶部から猫の画像及びネズミの画像を読み出して出力する。このようにして初期画像の候補が表示される。ユーザが入力装置を用いて,キャラクタの画像を選択した場合,選択情報がシステムに入力される。システムは,入力された情報を用いて選択されたキャラクタ画像を把握する。そして,ユーザIDと関連して選択されたキャラクタ画像を記憶する。システムは,さらにカスタマイズのためのパーツ画像の候補を提示してもよい。
【0042】
ユーザは,また,自作したキャラクタ画像を対戦ゲームシステムに入力し,入力したキャラクタ画像を用いるようにカスタマイズしてもよい。例えば,対戦ゲームシステムの表示部がタッチパネルになっており,タッチパネル上をユーザがなぞると,なぞった軌跡に基づいたキャラクタ画像がシステムに入力されてもよい。そして,入力されたキャラクタ画像が,カードの属性の一つとしてキャラクタ画像記憶部12に記憶されればよい。なお,タッチパネルをなぞった軌跡が入力情報となり,あらかじめシステムが記憶していたキャラクタ画像を読み出すようにしてもよい。すなわち,システムに,複数のキャラクタ画像の初期値がIDとともに記憶されている。そして,ユーザのタッチパネル上の入力に基づいて,IDを演算する。そして,演算して求められたIDを用いて,システムの記憶部からキャラクタ画像を読み出し,プレイヤIDと関連してキャラクタ画像を記憶させればよい。タッチパネルの入力情報に基づくID演算は,たとえば,最初にタッチパネルが入力された位置を入力情報として用いて,ID演算を行ってもよい。また,タッチパネルの入力位置と,IDとの関係をランダム演算子を用いてランダムに設定しておき,タッチパネルからの入力を受けてランダムに設定したIDを読み出すことで,ID演算を行ってもよい。
【0043】
さらに,対戦ゲームシステムの入力装置を用いて,ユーザが自由にキャラクタ画像を描画できるようにしてもよい。この場合,入力装置からキャラクタ画像が入力されると,入力されたキャラクタ画像をキャラクタ画像記憶部12にプレイヤIDとともに記憶すればよい。もっとも,ユーザが自由に描画したキャラクタ画像をそのまま対戦ゲームに用いると,適切な画像処理を行うことができない,画像メモリが大きいといった問題が生じうる。よって,対戦ゲームシステムは,1キャラクタ画像当たりの画像容量の閾値に関する情報を記憶するものが好ましい。そして,キャラクタ画像が入力された場合に,キャラクタ画像の容量を求める。そして,記憶部から1キャラクタ画像当たりの画像容量の閾値を読み出す。その上で,対戦ゲームシステムは,入力されたキャラクタ画像の容量と,上記した画像容量の閾値を比較する。そして,入力されたキャラクタ画像の容量が,上記した画像容量の閾値より大きい場合は,入力されたキャラクタ画像の容量を軽減する演算処理を行う。入力されたキャラクタ画像の容量を軽減する演算処理の例は,フィルタリングである。入力されたキャラクタ画像の容量が,上記した画像容量の閾値の4倍以内であれば,4画素ごとに画素値を平均化するフィルタリング処理を行うことで上記した画像容量の範囲内に収めることができる。
【0044】
また,たとえば,ユーザにカードに対応したキャラクタ画像を自由に描画させた結果,必殺技発動といった画像処理を行うことができない場合も想定される。このように,あるシチュエーションに応じた画像処理を行えない場合であっても,対戦ゲームの進行をスムーズに行えるような演算処理プログラムを,本発明の対戦ゲームシステムが実装していることが好ましい。たとえば,本発明の対戦ゲームシステムは,キャラクタIDと関連して記憶されたキャラクタ画像を読み出す。そして,あるシチュエーション(たとえば必殺技発動)に対応したキャラクタ画像を生成しようとする。しかしながら,対戦ゲームシステムを動作させても,リアルタイムにキャラクタ画像を読み出せない又は生成できない事態も生じうる。その場合であっても,対戦ゲームの進行をスムーズに進めることができるように,対戦ゲームシステムはカードに関係しないシチュエーション毎に応じた画像データを記憶していることが好ましい。このような画像データの例は,「必殺技発動!!」といった文字を中心に有する画像である。また,このような画像データの別の例は,必殺技発動中に関連して,キャラクタ画像の枠内部を点灯させるような画像である。このような画像表示データを記憶しているため,対戦ゲームシステムは,キャラクタ画像を表示する処理がうまく動作しない場合であっても,臨場感を損なわずに,表示作業を遂行することができる。
【0045】
また,ユーザがコンピュータ画像を作成した場合,コンピュータからシステムに画像情報が入力され,入力された画像情報をキャラクタ画像としてもよい。その場合,ユーザのIDと関連して,入力されたキャラクタ画像が記憶される。なお,この場合も上記と同様に対戦ゲームシステムで適切に動作するように画像容量が調整されてもよい。入力されたキャラクタ画像は,さらに対戦ゲームシステムを用いてパーツをカスタマイズしてもよい。カスタマイズされたキャラクタ画像を,キャラクタ画像記憶部12が,プレイヤIDと関連して記憶する
【0046】
次に,ユーザは,例えば戦闘時のキャラクタ画像についてカスタマイズ処理を行う。図4は,戦闘時のキャラクタ画像のカスタマイズ処理を示す図である。戦闘時のキャラクタは,通常武器や防具を装備している。戦闘時のキャラクタの初期画像がシステムのデータベースに記憶される。そして,入力装置から,例えば,槍を別の武器に修正するよう指示が入力されたとする。その場合,本発明のシステムは,パーツ画像記憶部14から別の武器である剣の画像の候補を読み出して,表示部に表示し,ユーザの選択を促す。ある画像を選択したという情報がシステムに入力された場合,選択された画像をキャラクタ画像と合成する処理を行う。盾や鎧も同様である。このようにして,戦闘時のキャラクタ画像がカスタマイズされる。
【0047】
複数のシチュエーションに応じたキャラクタの画像は,プレイヤIDと,画像を読み出すための画像IDとがデータベースに記憶され,複数のキャラクタの画像が,画像IDと関連して記憶されてもよい。この場合,シチュエーションが変化すると,プレイヤIDと関連して画像IDがデータベースから選択され,その画像IDを用いてシチュエーションに応じたキャラクタの画像が読み出されることとなる。
【0048】
キャラクタ基本情報記憶部15が,キャラクタのレベルを記憶する場合,記憶した情報が所定の閾値を超えた場合,キャラクタの画像を変化させてもよい。例えば,レベルが第1の閾値以下の場合は,装備品の基本色がブロンズ色,第1閾値以上第2閾値以下の場合装備品の基本色が銀色,第2閾値以上の場合装備品の基本色が金色というものである。このような処理は,閾値を記憶し,レベルが変化した際に記憶した閾値とレベルとを比較する。そして,該当する基本色を読み出す。その上で,装備本の基本色を変化させる。このようにしてレベルに応じた装備品の色変化を実現できる。
【0049】
ユーザ情報記憶部16が,ユーザの年齢を記憶するとする。そして,システムは,ユーザの年齢に関連してパーツ画像を記憶してもよい。また,システムは,ユーザの年齢に応じて,対戦に敗れた際の画像を選択してもよい。たとえば,ユーザの年齢が一定値以下の場合について考える。ユーザの年齢が一定値以下かどうかは,たとえば,年齢の閾値を記憶部に記憶させ,ユーザ情報記憶部16からユーザの年齢を読み出して,演算部に閾値とユーザの年齢を比較させればよい。そして,ユーザの年齢が一定値以下の場合は,比較的ソフト画像を有するパーツからパーツ画像の候補として読みだして,表示部に出力すればよい。また,ユーザの年齢が一定値以下の場合は,キャラクタが戦闘に敗れた場合も,血液の描画を控えるような画像処理を行えばよい。
【0050】
また,絵文字を用いてキャラクタ画像がカスタマイズされるものであってもよい。図5は,絵文字を用いてキャラクタ画像がカスタマイズされる例である。たとえば,携帯電話には,複数の絵文字が登録されている。図5の左図に示されるように,ユーザが携帯電話の絵文字を指定する。そして,ユーザが絵文字を選択した電子メールを,システムサーバに送信したとする。すると,サーバは,電子メールのアドレスからユーザを判別する。そして,そのユーザと関連した画像として,受信した絵文字を記憶する。ユーザが,キャラクタ画像をカスタマイズする際,たとえば,送信した絵文字を選択する。絵文字を選択した情報は,システムの入力装置から入力される。すると,システムは,記憶部に記憶した絵文字を読み出して,キャラクタ画像に重畳する。キャラクタ画像に絵文字を重畳する位置は,システムへの入力情報に応じて調整される。図5の右図に示されるように,キャラクタの盾に絵文字画像が重畳された。
【0051】
図6は,対戦ゲームの対戦の様子を示す図である。図6に示す例では,手前側の猫戦士がプレイヤの操作するキャラクタである。そして,犬の魔法使いが,相手プレイヤのキャラクタであるか,又はNPCのキャラクタである。図6に示す例では,相手の体力値が約半分になっている。その時,相手プレイヤが必殺技を発動したとする。
【0052】
図7は,図6において相手プレイヤが必殺技を発動した例を示す図である。図7に示すように,この例では,相手キャラクタが猛獣のライオンに変化した。すなわち,相手方プレイヤキャラクタのIDと関連して,犬の魔法使いが記憶され,戦闘時の画像として図6に示すものが,必殺技発動時の画像として図7に示すものが記憶される。そして,相手方ユーザが必殺技発動ボタンを押す。すると,相手方のシステムに,必殺技発動指示が入力される。システムは,相手方の状況が必殺技の発動条件を満たしているか否か判断する。システムが,発動条件を満たすと判断した場合,記憶部から図7に示すライオンの画像を読み出して出力する。すると図7に示されるように,必殺技発動時の画像が表示される。
【0053】
本発明は,コンピュータを,プレイヤIDを記憶するプレイヤID記憶部と,プレイヤIDと関連して,ゲーム上の複数のシチュエーションに応じた前記キャラクタの画像を記憶するキャラクタ画像記憶部と,入力情報に基づいて複数のシチュエーションに応じた前記キャラクタの画像をカスタマイズするための画像修整部(13)として機能させるためのプログラムをも提供する。このプログラムは,先に説明した対戦ゲームシステムの各種要素を取り込むことができる。本発明はまた,そのようなプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な情報記録媒体をも提供する。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は,ゲーム機器,及びソフトウェアの産業において利用されうる。
【符号の説明】
【0055】
11 プレイヤID記憶部
12 キャラクタ画像記憶部
13 画像修整部
14 パーツ画像記憶部
15 キャラクタ基本情報記憶部
16 ユーザ情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレイヤIDを記憶するプレイヤID記憶部(11)と,
前記プレイヤIDと関連して,ゲーム上の複数のシチュエーションに応じた前記キャラクタの画像を記憶するキャラクタ画像記憶部(12)と,
を有する,コンピュータを用いた対戦ゲームシステムであって,
入力情報に基づいて前記複数のシチュエーションに応じた前記キャラクタの画像をカスタマイズするための画像修整部(13)を有する,
対戦ゲームシステム。
【請求項2】
前記キャラクタの複数種類のパーツのそれぞれについて複数のパーツ画像を記憶するパーツ画像記憶部(14)をさらに有し,
前記画像修整部(13)は,
前記入力情報に従って,前記パーツ画像記憶部(14)から前記プレイヤIDと関連して記憶する1又は複数のパーツ画像に関する情報を選択することで,前記キャラクタの画像をカスタマイズする,
請求項1に記載の対戦ゲームシステム。
【請求項3】
前記プレイヤIDと関連した前記キャラクタの名前,レベル,攻撃力及び守備力を含むキャラクタ情報を記憶するキャラクタ基本情報記憶部(15)をさらに有し,
前記画像修整部(13)は,
前記レベル,攻撃力及び守備力のいずれかが所定の閾値を超えた場合,前記キャラクタの画像を変化させる,
請求項1に記載の対戦ゲームシステム。
【請求項4】
前記入力情報は,携帯電話又はウェブサイトから前記対戦ゲームシステムに入力される絵文字である,
請求項1に記載の対戦ゲームシステム。
【請求項5】
前記プレイヤIDと関連して,ユーザに関する情報を記憶するユーザ情報記憶部(16)をさらに有し,
前記画像修整部(13)は,前記ユーザ情報記憶部(16)に記憶された前記ユーザに関する情報を用いて,前記キャラクタの画像をカスタマイズする方式を変化させる,
請求項1に記載の対戦ゲームシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−189060(P2011−189060A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59382(P2010−59382)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(308033283)株式会社スクウェア・エニックス (173)
【Fターム(参考)】