説明

キャリアの選択方法、及び、キャリア選択装置

【課題】
作業効率を向上できるキャリアの選択方法、及び、キャリア選択装置を提供する。
【解決手段】
キャリアの選択方法は、ウェハを格納するキャリアをコンピュータが選択するキャリアの選択方法であって、前記コンピュータは、前記ウェハに半導体素子を形成する製造条件又は製造実績に基づき、前記ウェハを格納するキャリアの使用時間を予測する予測工程と、前記ウェハを格納する前記キャリアの洗浄期限に基づき、前記キャリアの残使用時間を求める残使用時間演算工程と、前記残使用時間が前記使用時間よりも長いキャリアのうち、前記残使用時間と前記使用時間との差が所定時間以下のキャリアを前記ウェハの移載先として選択するキャリア選択工程とを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリアの選択方法、及び、キャリア選択装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、製品の材料を複数の容器に充填する充填工程、容器に充填された材料を用いて複数の生産設備で複数製品を生産する生産工程、及び、材料使用後に前回の材料と異なる材料を容器に充填する際に容器を洗浄する洗浄工程を有し、容器の運用計画を行う材料容器運用計画システムがあった。
【0003】
このシステムは、生産時間、容器洗浄時間、容器への材料充填時間、製品の残生産数量等に基づき、空容器の洗浄を効率良く行えるように各容器への材料の充填順序と空容器の洗浄順序を含めた各生産設備の生産工程計画を作成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−154972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の材料容器運用計画システムは、例えば、空容器が使用される使用時間、又は、次の洗浄までに使用可能な空容器の残使用時間を考慮していないため、作業効率が悪いという問題があった。
【0006】
このため、ウェハを格納するキャリアを効率よく選択することにより、作業効率の向上を図ることが望まれていた。
【0007】
そこで、作業効率を向上できるキャリアの選択方法、及び、キャリア選択装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施の形態のキャリアの選択方法は、ウェハを格納するキャリアをコンピュータが選択するキャリアの選択方法であって、前記コンピュータは、前記ウェハに半導体素子を形成する製造条件又は製造実績に基づき、前記ウェハを格納するキャリアの使用時間を予測する予測工程と、前記ウェハを格納する前記キャリアの洗浄期限に基づき、前記キャリアの残使用時間を求める残使用時間演算工程と、前記残使用時間が前記使用時間よりも長いキャリアのうち、前記残使用時間と前記使用時間との差が所定時間以下のキャリアを前記ウェハの移載先として選択するキャリア選択工程とを実行する。
【発明の効果】
【0009】
作業効率を向上できるキャリアの選択方法、及び、キャリア選択装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】比較例の半導体装置の生産システムにおけるパイロット処理によるウェハの流れを示す図である。
【図2】比較例の半導体装置の製造工程に含まれるエッチング工程、CMP工程、及び拡散工程におけるウェハとキャリアの流れを示す図である。
【図3】半導体装置の製造工程1〜3の平均所要時間の一例を示す図である。
【図4】実施の形態のキャリア選択装置が適用されるコンピュータシステムの斜視図である。
【図5】コンピュータシステム10の本体部11内の要部の構成を説明するブロック図である。
【図6】実施の形態のキャリア選択装置を含む半導体装置の生産システムの一部の構成を示すブロック図である。
【図7】実施の形態のキャリア選択装置を含む半導体装置の生産システムが用いるデータのデータ構造を示す図である。
【図8】実施の形態のキャリア選択装置を含む半導体装置の生産システムにおいて、キャリアを選択する処理を示すフローチャートである。
【図9】実施の形態のキャリア選択装置を含む半導体装置の生産システムにおいて、キャリアを選択する処理を示すフローチャートである。
【図10】実施の形態のキャリア選択装置のキャリア選択部が演算する残使用時間(Nokori_time)とキャリアID(Carrier_ID)を関連付けたデータ構造を示す図である。
【図11】実施の形態のキャリア選択装置100が次のキャリアとして選択するキャリアの次キャリアID(Carrier_ID_next)を含むデータ構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のキャリアの選択方法、及び、キャリア選択装置を適用した実施の形態について説明する。
【0012】
実施の形態のキャリアの選択方法、及び、キャリア選択装置について説明する前に、まず、図1乃至図3を用いて、比較例のキャリアの選択方法の問題点について説明する。
【0013】
<比較例>
図1は、比較例の半導体装置の生産システムにおけるパイロット処理によるウェハの流れを示す図である。
【0014】
図1に示す半導体装置の生産システムは、ソーター1、露光機2、検査装置3、及びソーター4を含む。ソーター1、露光機2、検査装置3、及びソーター4は、半導体装置の製造工程における露光工程に用いられる。
【0015】
ここで、半導体装置の製造工程で用いられるウェハ5は、例えば、シリコンウェハであり、露光工程を含む種々の半導体素子を形成する製造工程が行われ、最後に個片化が行われることにより、半導体装置(例えば、半導体チップ)になる。
【0016】
半導体装置としては、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、又は、種々の用途に応じた組み合わせ回路等が挙げられる。ウェハ5の直径は、例えば、8インチ、12インチ等、種々の大きさのものがある。
【0017】
ソーター1は、複数のウェハ5を格納したキャリア6と、ウェハ5を格納していない空キャリア7とに対して、キャリア6に格納された複数のウェハ5のうちの一枚のウェハ5Aを空キャリア7に移載する。
【0018】
ソーター1において移載が完了した状態では、空キャリア7であったキャリア7Aには一枚のウェハ5Aが格納され、キャリア6には残りのウェハ5Bが格納された状態になる。
【0019】
キャリア7Aは、ウェハ5Aの先行処理を行うために露光機2に搬送される。このとき、残りのウェハ5Bを格納したキャリア6は、図示しないストッカー(保管装置)に搬送され保管される。
【0020】
露光機2では、キャリア7Aに格納されたウェハ5Aに回路パターン等が投影されて露光が行われる。ウェハ5Aへの露光処理が終わると、キャリア7Aは検査装置3に搬送され、ウェハ5Aに露光された回路パターン等の検査が行われる。検査が終了すると、キャリア7Aはウェハ5Aを格納した状態で図示しないストッカー(保管装置)に搬送され保管される。
【0021】
先行処理が行われたウェハ5Aの検査装置3での検査結果が合格である場合、ストッカーで待機していたキャリア6が本処理のために露光機2に搬送され、残りのウェハ5Bに回路パターン等が投影されて露光が行われる。すべてのウェハ5Bへの露光が終わると、キャリア6は検査装置3に搬送され、ウェハ5Bに露光された回路パターン等の検査が行われる。検査が終了すると、キャリア6はウェハ5Bを格納した状態でソーター4に搬送される。また、キャリア7Aもウェハ5Aを格納した状態でソーター4に搬送される。
【0022】
そして、ソーター4では、キャリア7Aに格納されたウェハ5Aがキャリア6に移載され(戻され)、複数のウェハ5(ウェハ5Aと残りのウェハ5B)を格納したキャリア6は、次の工程(例えばエッチング工程)に搬送される。
【0023】
また、ソーター4でウェハ5Aが抜き取られて再び空になった空キャリア7は、図示しないストッカー(保管装置)に搬送され保管され、上述の動作を繰り返し行うために、空キャリア7は再利用される。
【0024】
なお、検査装置3においてウェハ5Aの検査結果が不合格だった場合は、露光機2に異常が生じている可能性があるため、残りのウェハ5Bに対しては露光処理は行われず、露光機2のメンテナンス等が行われる。
【0025】
このようなパイロット処理は、複数のウェハ5のすべてに対して一度に露光処理を行うのではなく、先行処理で一枚のウェハ5Aに対してだけ露光処理を行い、検査結果が合格だった場合に、残りのウェハ5Bに対して本処理による露光処理を行う。このように先行処理と本処理とに分けることにより、半導体装置の製造工程における生産性を向上させている。
【0026】
以上のようなパイロット処理を行うためには、ソーター1において空キャリア7を用意し、キャリア6に格納された複数のウェハ5の中から、一枚のウェハ5Aが空キャリア7に移載されることになる。
【0027】
なお、ここでは半導体装置の製造工程のうちの露光工程を例として説明を行ったが、パイロット処理に伴うウェハの移載は、エッチング工程、CMP(Chemical Mechanical Polishing)工程、又は拡散工程等、半導体装置の種々の製造工程において行われる。
【0028】
また、以上ではパイロット処理に伴うウェハの移載について説明したが、ウェハの移載はパイロット処理に限られず、例えば、製造工程の終了後に、一部のウェハを検査する場合等においても行われる。
【0029】
図2は、比較例の半導体装置の製造工程に含まれるエッチング工程、CMP工程、及び拡散工程におけるウェハとキャリアの流れを示す図である。
【0030】
ウェハ5は、エッチング工程(Etching工程)用のキャリア6Aに格納され、キャリア6Aに格納されたウェハ5にはエッチング処理が行われる。
【0031】
エッチング工程が終了すると、CMP工程用の空のキャリア6Bが用意され、ウェハ5は、矢印Aで示すようにキャリア6Aからキャリア6Bに移載される。エッチング工程用のキャリア6Aと、CMP工程用のキャリア6Bは、製造工程毎に使い分けられている。
【0032】
キャリア6Bに格納されたウェハ5には、CMP工程で研磨処理が行われる。CMP工程が終了すると、拡散工程(Diffusion工程)に移行すべく、拡散工程用の空のキャリア6C1が用意され、ウェハ5は矢印Bで示すようにキャリア6C1に移載される。拡散工程用のキャリア6C1は、エッチング工程用のキャリア6A及びCMP工程用のキャリア6Bは、製造工程毎に使い分けられている。
【0033】
以上のように、半導体装置の製造工程では、パイロット処理のための移載処理、エッチング工程、CMP工程、及び拡散工程の変わり目における移載処理等が行われる。各移載処理では、空のキャリアが用意される。
【0034】
ところで、キャリア(6A、6B、6C1、7)は、定期的に洗浄する必要があるため、洗浄期限が設けられている。洗浄期限が切れたキャリアは、再び洗浄が行われるまで使用禁止になる。
【0035】
ここで、拡散工程の途中でキャリア6C1の洗浄期限が切れると、別の空のキャリア6C2が用意され、ウェハ5は矢印Cで示すように拡散工程の途中でキャリア6C1からキャリア6C2に移載される。キャリア6C2に移載されたウェハ5は、拡散工程が終了すると、さらに後の工程へと搬送される。
【0036】
このように製造工程の途中でキャリアの洗浄期限が来ると、製造工程の途中でウェハを移載する必要が生じ、生産性が低下する。
【0037】
製造工程の途中でキャリアの洗浄期限が切れてウェハの移載処理が必要になることは、拡散工程に限らず、露光、エッチング、CMP、拡散等の様々な製造工程で生じうる。
【0038】
製造工程の途中でキャリアの洗浄期限が切れてウェハの移載処理が必要になることは、例えば、キャリアの洗浄期限までの残り時間(残使用時間)を考慮せずに空のキャリアを選択していることによって生じていた。
【0039】
また、製造工程の途中でのウェハの移載処理を避けるために、残使用時間の長い空キャリアを優先的に選択すると、残使用時間が短いがまだ利用可能な空キャリアが選択されずに放置され、使用されないまま洗浄期限を迎えるという事態が生じうる。このため、空キャリアの使用効率が低下するという問題があった。
【0040】
また、残使用時間の長い空キャリアを優先的に選択すると、製造工程全体で必要なキャリアの数が増大してキャリアの保管場所が増え、また、キャリアの洗浄回数も増大するため、全体的なキャリアの使用効率が低下するという問題があった。
【0041】
これらの理由によるキャリアの使用効率の低下は、半導体装置のコストアップに繋がるという問題もあった。
【0042】
図3は、ある一週間における半導体装置の製造工程1〜3の平均所要時間の一例を示す図である。
【0043】
図3は、X月1日からX月7日までの一週間における製造工程1、2、3に要した平均所要時間を表形式にまとめたものである。図3には、一週間の各日における製造工程1、2、3のそれぞれの平均所要時間と、各日における製造工程1〜3の合計の平均所要時間を示す。
【0044】
図3に示すように、各製造工程1〜3の平均所要時間は、日にちによってばらつきがある。これは、例えば、日によって一部の製造装置のメンテナンスが行われていたりすること等により、半導体装置の製造を行う環境が異なるためである。また、ここには示さないが、製造工程の所要時間には、一日の中でも時間帯によってばらつきが生じることがある。日にちによるばらつきと同様に、一日の中でも半導体装置の製造を行う環境が異なる場合があるためである。
【0045】
ここで、キャリアの洗浄期限は14日(336時間)であり、キャリアは、使用の有無に拘わらず14日周期で洗浄されることとする。また、ここで、キャリアの洗浄期限までの残り時間である残使用時間が平均分布になると仮定する。
【0046】
図3に示す各製造工程の平均の所要時間は36.37時間である。このため、図3に示すように所要時間が必要な場合は、10.8%(=36.37/336)の確率で、製造工程の途中でウェハの移載が必要になることが分かる。
【0047】
従って、製造工程の途中におけるウェハの移載を抑制できれば、半導体装置の製造工程における作業効率を向上させることができる。
【0048】
このため、以下で説明する実施の形態では、上述の問題点を解決したキャリアの選択方法、及び、キャリア選択装置を提供することを目的とする。
【0049】
以下、実施の形態のキャリアの選択方法、及び、キャリア選択装置について説明する。
【0050】
<実施の形態1>
図4は、実施の形態のキャリア選択装置が適用されるコンピュータシステムの斜視図である。図4に示すコンピュータシステム10は、本体部11、ディスプレイ12、キーボード13、マウス14、及びモデム15を含む。
【0051】
本体部11は、CPU(Central Processing Unit:中央演算装置)、HDD(Hard Disk Drive:ハードディスクドライブ)、及びディスクドライブ等を内蔵する。ディスプレイ12は、本体部11からの指示により表示画面12A上に解析結果等を表示する表示部であり、例えば、液晶モニタであればよい。キーボード13は、コンピュータシステム10に種々の情報を入力するための入力部である。マウス14は、ディスプレイ12の表示画面12A上の任意の位置を指定する入力部である。モデム15は、外部のデータベース等にアクセスして他のコンピュータシステムに記憶されているプログラム等をダウンロードする。
【0052】
コンピュータシステム10にキャリア選択装置としての機能を持たせるプログラムは、ディスク17等の可搬型記録媒体に格納されるか、モデム15等の通信装置を使って他のコンピュータシステムの記録媒体16からダウンロードされ、コンピュータシステム10に入力されてコンパイルされる。
【0053】
コンピュータシステム10にキャリア選択装置としての機能を持たせるプログラムは、コンピュータシステム10をキャリア選択装置として動作させる。このプログラムは、例えばディスク17等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納されていてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、ディスク17、ICカードメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク等の磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM等の可搬型記録媒体に限定されるものではない。コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、モデム15又はLAN等の通信装置を介して接続されるコンピュータシステムでアクセス可能な各種記録媒体を含む。
【0054】
図5は、コンピュータシステム10の本体部11内の要部の構成を説明するブロック図である。本体部11は、バス20によって接続されたCPU21、RAM又はROM等を含むメモリ部22、ディスク17用のディスクドライブ23、及びハードディスクドライブ(HDD)24を含む。実施の形態では、ディスプレイ12、キーボード13、及びマウス14は、バス20を介してCPU21に接続されているが、これらはCPU21に直接的に接続されていてもよい。また、ディスプレイ12は、入出力画像データの処理を行う周知のグラフィックインタフェース(図示せず)を介してCPU21に接続されていてもよい。
【0055】
コンピュータシステム10において、キーボード13及びマウス14は、キャリア選択装置の入力部である。ディスプレイ12は、キャリア選択装置による選択結果等を画面12A上に表示する表示部である。
【0056】
なお、コンピュータシステム10は、図4及び図5に示す構成のものに限定されず、各種周知の要素を付加してもよく、又は代替的に用いてもよい。
【0057】
図6は、実施の形態のキャリア選択装置を含む半導体装置の生産システムの一部の構成を示すブロック図である。
【0058】
図7(A)〜(E)は、実施の形態のキャリア選択装置を含む半導体装置の生産システムが用いるデータのデータ構造を示す図である。
【0059】
以下で本実施の形態のキャリア選択装置を含む半導体装置の生産システムについて説明するにあたり、比較例の図1を援用する場合がある。なお、以下ではウェハとキャリアについては符号を付さずに説明を行う。以下で説明するウェハ及びキャリアは、比較例の図1、図2で説明したウェハ及びキャリアと同様である。
【0060】
図6に示す半導体装置の生産システム30は、実施の形態のキャリア選択装置100、生産管理システム40、スケジューラ50、キャリア管理部60、及び搬送システム70を含む。
【0061】
実際の半導体装置の生産システム30は、これらの他に、露光機、エッチング装置、研磨装置、及び拡散装置等を含むが、図6には、本実施の形態のキャリア選択装置100に直接的に関わる部分のみを示す。
【0062】
生産管理システム40は、ウェハ及びキャリア等のID(Identifier:識別子)を用いて半導体装置の生産管理を行うシステムであり、例えば、図4及び図5に示すコンピュータシステム10を含む。生産管理システム40は、生産管理に用いる生産管理データを格納するデータベース41を有する。
【0063】
図7(A)に示すように、生産管理データは、ウェハのロットID(Lot_ID)に、製品種別(Seihin)、現キャリアID(Carrier_ID_current)、次キャリア使用開始工程名(Step_start)、次キャリア使用終了工程名(Step_finish)、次キャリア形式(Carrier_type)、及びソーターID(Sorter_ID)を表すデータを関連付けたデータ構造を有する。
【0064】
ウェハのロットID(Lot_ID)は、ウェハが含まれるロットの識別子である。同一のロットIDを有するウェハは、同一のキャリアに格納され、同時期に製造工程が行われる。製品種別(Seihin)は、ウェハから生産される製品の種類を表すデータである。製品の種類は、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、又は、種々の用途に応じた組み合わせ回路等である。
【0065】
現キャリアID(Carrier_ID_current)は、ロットID(Lot_ID)で特定されるウェハが現在格納されているキャリアの識別子である。
【0066】
次キャリア使用開始工程名(Step_start)は、ロットID(Lot_ID)で特定されるウェハを現キャリアID(Carrier_ID_current)で特定されるキャリアから次のキャリアに格納するための移載工程の種別を表すデータである。
【0067】
次キャリア使用終了工程名(Step_finish)は、ロットID(Lot_ID)で特定されるウェハが次のキャリアで露光又はエッチング等の処理が行われた後にウェハをさらに別の次のキャリアに移載する移載工程の種別を表すデータである。
【0068】
ここで、例えば、製造工程が露光工程である場合には、例えば、次キャリア使用開始工程名(Step_start)のStep_P1が表す処理は、露光工程の最初に次のキャリアにウェハを格納するために行われる移載工程である。また、製造工程が露光工程である場合の次キャリア使用終了工程名(Step_finish)のStep_P2が表す処理は、ウェハに対して露光処理が行われた後に、露光工程の最後にウェハをさらに別の次のキャリアに移載するために行われる移載工程である。
【0069】
また、例えば、製造工程がエッチング工程である場合には、例えば、次キャリア使用開始工程名(Step_start)のStep_E1が表す処理は、エッチング工程の最初に次のキャリアにウェハを格納するために行われる移載工程である。また、製造工程がエッチング工程である場合の次キャリア使用終了工程名(Step_finish)のStep_E2が表す処理は、ウェハに対してエッチング処理が行われた後に、エッチング工程の最後にウェハをさらに別のキャリアに移載するために行われる移載工程である。
【0070】
ここで、露光工程とエッチング工程を連続的に行う場合は、次キャリア使用終了工程名(Step_finish)のStep_P2と次キャリア使用開始工程名(Step_start)のStep_E1とが同一の移載工程になる。
【0071】
なお、ここでは次キャリア使用開始工程名(Step_start)と次キャリア使用終了工程名(Step_finish)として移載工程の名称を用いるが、露光工程又はエッチング工程等の名称、又は、露光工程又はエッチング工程等の製造工程に含まれる工程の名称を用いてもよい。
【0072】
次キャリア形式(Carrier_type)は、次キャリア使用開始工程名(Step_start)での移載時にロットID(Lot_ID)で特定されるウェハが移載されて次に格納されるキャリアの形式を表すデータである。
【0073】
なお、次キャリア形式(Carrier_type)は、キャリアが用いられる製造工程の種類に対応している。例えば、次キャリア形式(Carrier_type)が2のキャリアはエッチング工程に用いるキャリアであり、次キャリア形式(Carrier_type)が3のキャリアは研磨工程に用いるキャリアである。ここでは製造工程の種類によってキャリアを使い分ける形態について説明するが、キャリアを複数の製造工程で横断的に用いるようにしてもよい。
【0074】
使用ソーターID(Sorter_ID)は、次キャリア使用開始工程名(Step_start)で特定される移載工程でウェハを次のキャリアに移載するソーターの識別子である。
【0075】
実施の形態のキャリア選択装置100を含む半導体装置の生産システム30によって生産されるすべてのウェハは、生産管理システム40によって生産管理が行われる。
【0076】
スケジューラ50は、実施の形態のキャリア選択装置100を含む半導体装置の生産システム30においてウェハに対して行われるすべての製造工程等の予定を管理する装置であり、例えば、図4及び図5に示すコンピュータシステム10を含む。スケジューラ50は、スケジュール管理用のプログラムを実行することにより、すべて又は一部の製造工程について次キャリア使用開始予定時刻と次キャリア使用終了予定時刻を計算する。
【0077】
スケジュール管理用のプログラムは、例えば、キャリア選択装置100を含む半導体装置の生産システム30におけるすべての製品種別、製造条件、製造量等の条件を用いて、製造工程の順番、キャリア使用開始予定時刻、キャリア使用終了予定時刻等を計算するためのプログラムである。
【0078】
スケジューラ50は、製造工程の順番、次キャリア使用開始予定時刻、次キャリア使用終了予定時刻等を含むスケジュールデータを格納するデータベース51を有する。図7(B)にスケジュールデータの一部分を示す。図7(B)に示すスケジュールデータでは、ウェハのロットID(Lot_ID)と、次キャリア使用開始工程名(Step_start)、次キャリア使用終了工程名(Step_finish)、次キャリア使用開始予定時刻(Time_start)及び次キャリア使用終了予定時刻(Time_finish)を表すデータとが関連付けて管理される。
【0079】
次キャリア使用開始工程名(Step_start)は、ロットID(Lot_ID)で特定されるウェハを次のキャリアに格納するための移載工程の種別を表すデータである。次キャリア使用終了工程名(Step_finish)は、ロットID(Lot_ID)で特定されるウェハを、製造工程の最後にさらに別の次のキャリアに格納するための移載工程の種別を表すデータである。
【0080】
次キャリア使用開始予定時刻(Time_start)は、製造工程の最初にウェハを次のキャリアに移載する移載工程を開始する予定時刻であり、次のキャリアの使用を開始する予定時刻を表す。また、次キャリア使用終了予定時刻(Time_finish)は、製造工程の最後にウェハをさらに別のキャリアに移載する移載工程を開始する予定時刻であり、次のキャリアの使用を終了する予定時刻を表す。
【0081】
図7(B)には、一例として、ロットID(Lot_ID)が001のウェハについて、次キャリア使用開始工程名(Step_start)がStep_P1、次キャリア使用終了工程名(Step_finish)がStep_P2で、次キャリア使用開始予定時刻(Time_start)と次キャリア使用終了予定時刻(Time_finish)がそれぞれ10時01分と12時23分のスケジュールデータを示す。
【0082】
ここで、図7(B)には一つのロットIDについて次キャリア使用開始工程名、次キャリア使用終了工程名、次キャリア使用開始予定時刻、及び次キャリア使用終了予定時刻をそれぞれ1つずつ示すが、実際の半導体装置の生産システムでは、複数のロットIDで特定されるウェハに対して、複数の製造工程が行われる。
【0083】
このため、実際のスケジュールデータは、一つのロットIDについて複数の次キャリア使用開始工程名(Step_start)と使用終了工程名(Step_finish)を含み、各次キャリア使用開始工程名(Step_start)と使用終了工程名(Step_finish)について次キャリア使用開始予定時刻(Time_start)と次キャリア使用終了予定時刻(Time_finish)が決められている。
【0084】
また、実際のスケジュールデータは、複数のロットIDのウェハについての製造工程を含むため、複数のロットIDについての次キャリア使用開始工程名(Step_start)、次キャリア使用終了工程名(Step_finish)、次キャリア使用開始予定時刻(Time_start)、及び次キャリア使用終了予定時刻(Time_finish)を含む。
【0085】
また、図7(B)には、スケジュールデータのうちのロットID(Lot_ID)、次キャリア使用開始工程名(Step_start)、次キャリア使用終了工程名(Step_finish)、次キャリア使用開始予定時刻(Time_start)、及び次キャリア使用終了予定時刻(Time_finish)だけを示すが、スケジュールデータは、図7(B)に示すデータ以外に、製造工程の順番等の種々のデータを含む。
【0086】
キャリア管理部60は、実施の形態のキャリア選択装置100を含む半導体装置の生産システム30において用いられるすべてのキャリアの形式、洗浄期限、空状況、及び所在場所を管理する装置であり、例えば、図4及び図5に示すコンピュータシステム10を含む。
【0087】
キャリア管理部60は、キャリア管理に用いるキャリア管理データを格納するデータベース61を有する。キャリア管理データは、図7(C)に示すように、キャリアID(Carrier_ID)に、キャリア形式(Carrier_type)、洗浄期限(Senjou_time_limit)、使用状況(Use_status)、及び所在場所(Location)を表すデータを関連付けたデータ構造を有する。
【0088】
キャリアID(Carrier_ID)は、搬送システム70がウェハの搬送に用いるすべてのキャリアに付与される識別子である。
【0089】
キャリア形式(Carrier_type)は、生産管理データに含まれる次キャリア形式(Carrier_type)と同様に、製造工程の種類に対応している。例えば、キャリア形式(Carrier_type)が1のキャリアは露光処理に用いるキャリアであり、キャリア形式(Carrier_type)が2のキャリアはエッチング処理に用いるキャリアである。ここでは製造工程の種類によってキャリアを使い分ける形態について説明するが、キャリアを複数の製造工程で横断的に用いるようにしてもよい。
【0090】
洗浄期限(Senjou_time_limit)は、キャリアの洗浄期限の日時を西暦/月/日/時刻(時:分)(YYYY/MM/DD/Time)で表すデータである。
【0091】
使用状況(Use_status)を表すデータは、キャリアの使用状況を表すデータであり、使用状況(Use_status)が"1"のキャリアはウェハを格納しており、使用状況(Use_status)が"0"のキャリアはウェハを格納しておらず、空いている(空キャリアである)ことを表す。
【0092】
所在場所(Location)は、各キャリアが現在存在する場所を表すデータである。本実施の形態では、搬送システム70(図6参照)内でキャリアを保管するストッカー、露光機2(図1参照)、検査装置3、又はエッチング装置等のすべての装置にIDが割り振られている。
【0093】
所在場所(Location)は、ストッカー又は装置等のIDを用いて、キャリアの現在位置を表している。図7(C)には、キャリアを保管するストッカータイプのIDとして、stocker_1, stocker_2を表し、装置のIDとしてapparatus_1を表す。また、例えば、搬送システム70によってキャリアが搬送されているような場合には、キャリアの所在場所を正確に特定できない場合があるため、このような状態にあるキャリアの所在場所については、unknownと表すことにする。
【0094】
なお、図7(C)に示すキャリア管理データは一例に過ぎず、実際のキャリア管理データは多数のキャリアID(Carrier_ID)についてのキャリア形式(Carrier_type)、洗浄期限(Senjou_time_limit)、使用状況(Use_status)、及び所在場所(Location)のデータを含む。
【0095】
搬送システム70は、キャリアを搬送するシステムであり、例えば、図4及び図5に示すコンピュータシステム10を含む。搬送システム70は、ソーター、露光機、エッチング装置、研磨装置、及び拡散装置等の間でキャリアを移動させることにより、ウェハを搬送する。
【0096】
キャリア選択装置100は、主制御部110、予測部120、余裕時間演算部130、記憶部140、残使用時間演算部150、及びキャリア選択部160を含む。
【0097】
キャリア選択装置100のうち、記憶部140以外の主制御部110、予測部120、余裕時間演算部130、残使用時間演算部150、及びキャリア選択部160は、コンピュータシステム10(図4参照)がキャリア選択プログラムを実行することによって実現される機能ブロックである。記憶部140は、コンピュータシステム10の本体部11内のメモリ部22(図5参照)によって実現される。
【0098】
主制御部110は、キャリア選択装置100の処理を統括するメインの制御部であり、予測部120、余裕時間演算部130、記憶部140、残使用時間演算部150、及びキャリア選択部160の間におけるデータの伝送を管理する。また、主制御部110は、生産管理システム40、スケジューラ50、キャリア管理部60、及び搬送システム70のコンピュータシステムとの間におけるデータ通信も行う。
【0099】
予測部120は、ウェハに半導体素子を形成する製造条件に基づき、キャリアの使用時間を予測する。
【0100】
予測部120は、ウェハに半導体素子を形成する製造条件として、スケジューラ50のデータベース51に格納されるスケジュールデータに含まれる次キャリア使用開始予定時刻(Time_start)及び次キャリア使用終了予定時刻(Time_finish)を用いる。
【0101】
予測部120は、スケジュールデータに含まれる次キャリア使用開始予定時刻(Time_start)及び次キャリア使用終了予定時刻(Time_finish)のうちの次キャリア使用終了予定時刻(Time_finish)を用いて、次キャリアの使用時間(予測時間)を予測する。
【0102】
予測部120は、以下の(1)式を用いて、予測時間(Yosoku_time)を求める。なお、Now_timeは予測部120が計算を行う時点の時刻である。
【0103】
Yosoku_time = Time_finish - Now_time ・・・(1)
予測時間は、次キャリア使用終了予定時刻(Time_finish)から計算時の現在時刻(Now_time)を減算することによって求められる。
【0104】
余裕時間演算部130は、キャリア選択部160が後述する基準時間を演算する際に用いる余裕時間の演算を行う。余裕時間演算部130は、記憶部140に記憶された差分データから余裕時間を演算する。
【0105】
余裕時間は、図7(D)に示す差分データから求められる。差分データは、過去に製造工程が行われたウェハについて予測部120が演算した予測時間と、実際に製造工程に要した時間との差分の時間を表すデータを蓄積したデータである。
【0106】
図7(D)に示すように、差分データは、ロットID(Lot_ID)に、製品種別(Seihin)、キャリア使用開始工程名(Step_start)、キャリア使用終了工程名(Step_finish)、実績予測時間(Yosoku_time_j)、実績時間(Jisseki_time)、及び差分時間(Sabun_time)を表すデータが関連付けられたデータ構造を有する。
【0107】
ロットID(Lot_ID)、製品種別(Seihin)、キャリア使用開始工程名(Step_start)、キャリア使用終了工程名(Step_finish)は、生産管理データに含まれる各データと同様であり、それぞれ、過去に実際に製造が行われたウェハに対応するデータが格納される。
【0108】
また、実績予測時間(Yosoku_time_j)は、過去に実際に製造が行われたウェハに対して予測部120で演算された予測時間を表すデータが格納される。
【0109】
実績予測時間は、それぞれの実績予測時間が過去に予測された際の次キャリア使用開始予定時刻(Time_start)及び次キャリア使用終了予定時刻(Time_finish)を用いて下記の式で計算される。
【0110】
Yosoku_time_j=Time_finish−Time_start ・・・(2)
実績時間(Jisseki_time)は、過去に実際に製造工程が行われたロットID(Lot_ID)で指定されたウェハについて、実際にキャリアの使用開始からキャリアの使用終了までに要した時間である。
【0111】
本実施の形態のキャリア選択装置100の主制御部110は、予測時間を演算する度に実績時間のカウントを開始するとともに、製造工程が終了する度に予測時間と実績時間とを差分データに格納する。そして、余裕時間演算部130が予測時間及び実績時間に基づいて、差分時間を演算する。差分時間は、予測時間から実績時間を減算して求まる時間である。差分時間が負の値を有する場合は、予測時間の方が実績時間よりも短かった場合に相当する。
【0112】
例えば、図7(C)に示すように、ロットID(Lot_ID)が101のウェハの場合、実績予測時間(Yosoku_time_j)が12時間23分(12H23M)であり、実績時間(Jisseki_time)が14時間24分(14H24M)であるため、差分時間(Sabun_time)は+2時間1分(+2H01M)となる。
【0113】
本実施の形態では、差分データに蓄積されるすべての差分時間(Sabun_time)は、正規分布に従うものとして取り扱う。
【0114】
余裕時間演算部130は、差分データに蓄積されるすべての差分時間の正規分布における平均値に2σ(+2σ)を加えた値を余裕時間として演算する。
【0115】
例えば、図7(E)に示す余裕時間(Yoyuu_time)を表すデータは、製品種別Aのキャリア使用開始工程名Step_P1からキャリア使用終了工程名Step_P2までについては、+1時間30分(+1H30M)となっている。これは、図7(D)に示す差分時間(Sabun_time)から得られた値である。
【0116】
図7(E)に示す余裕時間を表す余裕時間データ(Yoyuu_time)と、図7(D)に示す差分データとは、記憶部140に格納される。
【0117】
記憶部140は、差分データ、余裕時間データ、及びその他のデータ(本実施の形態のキャリア選択装置が演算過程で利用するデータ)を記憶する。
【0118】
残使用時間演算部150は、キャリア管理データに含まれる洗浄期限を表すデータ(Senjou_time_limit)を用いて、キャリアの残使用時間を演算する。
【0119】
キャリアの残使用時間は、キャリアの洗浄期限まで使用可能な残りの時間をいい、残使用時間演算部150が残使用時間を計算する時から洗浄期限までの時間である。洗浄期限は、キャリアを前回洗浄した日時からの所定の日数(例えば、14日間(二週間))に設定されており、時刻まで含む時間として表される。
【0120】
ここでは、キャリアの使用の有無に関係なく、キャリアの残使用時間は時間経過とともに減って行くものとする。すなわち、キャリアがウェハを格納せずに、キャリアがストッカー等に保管されている状態においても、残使用時間は減って行く。
【0121】
残使用時間演算部150は、以下の(3)式に従い、洗浄期限(Senjou_time_limit)を用いて残使用時間(Nokori_time)を演算する。
【0122】
Nokori_time = Senjou_time_limit - Now_time ・・・(3)
残使用時間演算部150は、キャリア管理データに含まれる使用状況(Use_status)のデータに基づいて空キャリアであるか否かの判別を行い、すべての空キャリアに対して残使用時間(Nokori_time)の演算を行う。
【0123】
キャリア選択部160は、次キャリア使用開始工程(Step_start)においてウェハを移載する次の別のキャリアの選択を行う。本実施の形態でのキャリア選択部160によるキャリアの選択方法については後述する。
【0124】
本実施の形態のキャリア選択装置100は、次キャリア使用開始工程Step_start)においてウェハを移載する次の別のキャリアの選択を最適化する。
【0125】
キャリア選択部160は、以下の(4)式に従い、予測部120が演算した予測時間(Yosoku_time)に、余裕時間演算部130が演算した余裕時間データ(Yoyuu_time)を加算することにより、キャリアを選択する基準になる基準時間(Kijun_time)を演算する。
【0126】
Kijun_time = Yosoku_time + Yoyuu_time ・・・(4)
そして、キャリア選択部160は、残使用時間演算部150がすべての空キャリアに対して演算した残使用時間(Nokori_time)の中から、基準時間(Kijun_time)以上の残使用時間(Nokori_time)のうち、残使用時間が最も短い空キャリアを選択する。
【0127】
残使用時間(Nokori_time)が基準時間(Kijun_time)以上であるか否かは、例えば、残使用時間(Nokori_time)と基準時間(Kijun_time)を比較することによって行えばよい。また、残使用時間が最も短い空キャリアの選択は、例えば、複数の空キャリアの残使用時間(Nokori_time)を比較し、残使用時間が最も短い空キャリアのキャリアIDを選択することによって行えばよい。
【0128】
キャリア選択部160によって選択された空キャリアのキャリアIDは、主制御部110によって搬送システム70に伝達される。この結果、搬送システム70は、次キャリア使用開始工程(Step_start)においてウェハを移載する次の別のキャリアとして、キャリア選択装置100の主制御部110から伝送されたキャリアIDで特定されるキャリアを選択し、ソーターに搬送する。
【0129】
次に、図8及び図9に示すフローチャートと図10に示すデータ構造図を用いて、実施の形態のキャリア選択装置100を含む半導体装置の生産システム30において、キャリアを選択する方法について説明する。
【0130】
図8及び図9は、実施の形態のキャリア選択装置100を含む半導体装置の生産システム30において、キャリアを選択する処理を示すフローチャートである。図8には、左側にキャリア選択装置100の内部での処理を表すフローチャートを示し、右側にキャリア選択装置100、生産管理システム40、スケジューラ50、キャリア管理部60、及び搬送システム70の間でのデータの流れを示す。
【0131】
図10は、実施の形態のキャリア選択装置100のキャリア選択部160が演算する残使用時間(Nokori_time)とキャリアID(Carrier_ID)を関連付けたデータ構造を示す図である。
【0132】
図11は、実施の形態のキャリア選択装置100が選択するキャリアの次キャリアID(Carrier_ID_next)を含むデータ構造を示す図である。次キャリアID(Carrier_ID_next)は、現キャリアIDで特定されるキャリアの次にウェハを移載するキャリアとして実施の形態1のキャリア選択装置100が選択するキャリアの識別子である。
【0133】
ここで、本実施の形態のキャリア選択方法は、図8及び図9に示すフローチャートによって実現されるキャリアを選択する方法であり、本実施の形態のキャリア選択装置100によって実行される方法である。また、本実施の形態のキャリア選択プログラムは、本実施の形態のキャリア選択装置100によって実行されることにより、図8及び図9に示すフローチャートによって表される処理を実現するプログラムである。
【0134】
図8に示すように、まず、フローがスタートすると、キャリア選択装置100の主制御部110(図6参照)は、生産管理システム40から生産管理データ(図7(A)参照)を取得する(ステップS10)。
【0135】
生産管理データは、ウェハのロットID(Lot_ID)に、製品種別(Seihin)、現キャリアID(Carrier_ID_current)、次キャリア使用開始工程名(Step_start)、次キャリア使用終了工程名(Step_finish)、次キャリア形式(Carrier_type)、及び使用ソーターID(Sorter_ID)を表すデータを関連付けたデータである。
【0136】
キャリア選択装置100の主制御部110は、生産管理システム40から取得した生産管理データを記憶部140に格納する。
【0137】
次に、主制御部110は、スケジューラ50(図6参照)にロットID(Lot_ID)と次キャリア使用終了工程名(Step_finish)を通知する(ステップS20)。
【0138】
この結果、スケジューラ50は、DB51に格納してあるスケジュールデータ(図7(B)参照)から、ロットID(Lot_ID)と次キャリア使用終了工程名(Step_finish)に対応する次キャリア使用終了予定時刻(Time_finish)を読み出してキャリア選択装置100に通知する。
【0139】
次に、主制御部110は、スケジューラ50から次キャリア使用終了予定時刻(Time_finish)を取得する(ステップS30)。予測部120が(1)式を用いて予測時間(Yosoku_time)を求めるのに、次キャリア使用終了予定時刻(Time_finish)を用いるからである。
【0140】
次に、予測部120は、(1)式を用いて予測時間(Yosoku_time)を演算する(ステップS40)。ここで、Now_timeは予測部120が計算を行う時点の時刻であり、主制御部110から取得する。
【0141】
Yosoku_time = Time_finish - Now_time ・・・(1)
予測部120は、演算した予測時間(Yosoku_time)を記憶部140に格納する。
【0142】
次に、余裕時間演算部130は、余裕時間を演算する(ステップS50)。このステップS50の内容については、図9を用いて説明する。
【0143】
図9に示すように、余裕時間演算部130は、記憶部140に格納されている生産管理データから、製品種別(Seihin)、キャリア使用開始工程名(Step_start)、及びキャリア使用終了工程名(Step_finish)を取得する(ステップS51)。
【0144】
次に、余裕時間演算部130は、記憶部140に格納されている差分データ(図7(D)参照)から、ステップS51で取得した製品種別(Seihin)、キャリア使用開始工程名(Step_start)、及びキャリア使用終了工程名(Step_finish)に対応するすべての差分時間(Sabun_time)を読み出す(ステップS52)。過去に実際に行われた製造工程における差分時間を読み出すためである。
【0145】
次に、余裕時間演算部130は、ステップS52で読み出したすべての差分時間から余裕時間を演算する(ステップS53)。具体的には、余裕時間演算部130は、ステップS52で読み出したすべての差分時間の正規分布における平均値に正側の2σ(+2σ)加えた時間を余裕時間として演算する。余裕時間演算部130は、余裕時間(Yoyuu_time)を記憶部140に格納する。
【0146】
ステップS51〜S53により、図8に示すステップS50の処理が完了する。
【0147】
次に、図8に示すように、キャリア選択部160は、記憶部140に格納された余裕時間(Yoyuu_time)と、予測時間(Yosoku_time)とを用いて、基準時間(Kijun_time)を演算する(ステップS60)。基準時間(Kijun_time)の演算には(4)式を用いる。
【0148】
Kijun_time = Yosoku_time + Yoyuu_time ・・・(4)
キャリア選択部160は、(4)式に従い、予測時間(Yosoku_time)に余裕時間データ(Yoyuu_time)を加算することにより、キャリアを選択する基準になる基準時間(Kijun_time)を演算する。
【0149】
次に、主制御部110は記憶部140に格納された生産管理データから次キャリア形式(Carrier_type)を読み出し、キャリア管理部60に通知する(ステップS70)。空キャリアの所在と洗浄期限を取得するためである。
【0150】
キャリア管理部60は、主制御部110から次キャリア形式(Carrier_type)が通知されると、次キャリア形式(Carrier_type)に合致するキャリアのうち、使用状況(Use_status)が"0"(空キャリア)で、所在場所(Location)のタイプが"stocker"であるキャリアを選択する。キャリア管理部60は、選択したキャリアのキャリアID(Carrier_ID)、所在場所(Loation)、及び洗浄期限(Senjou_time_limit)を主制御部110に通知する。
【0151】
主制御部110は、キャリア管理部60から空キャリアのキャリアID(Carrier_ID)、所在場所(Loation)、及び洗浄期限(Senjou_time_limit)を取得し、記憶部140に格納する(ステップS80)。
【0152】
次に、残使用時間演算部150は、記憶部140に格納された洗浄期限を表すデータ(Senjou_time_limit)を用いて、キャリアの残使用時間(Nokori_time)を演算する(ステップS90)。
【0153】
残使用時間演算部150は、(3)式に従い、洗浄期限(Senjou_time_limit)を用いてすべての空キャリアの残使用時間(Nokori_time)の演算を行う。
【0154】
Nokori_time = Senjou_time_limit - Now_time ・・・(3)
残使用時間演算部150は、残使用時間(Nokori_time)を表すデータを図10に示すようにキャリアID(Carrier_ID)と関連付けて記憶部140に格納する。
【0155】
図10には、一例として、キャリアID(Carrier_ID)がc001のキャリアの残使用時間(Nokori_time)が252時間23分であり、キャリアID(Carrier_ID)がc003のキャリアの残使用時間(Nokori_time)が147時間24分である場合のデータを示す。なお、実際には多数の空キャリアがストッカー内に存在するため、実際には多数のキャリアID(Carrier_ID)と残使用時間(Nokori_time)が含まれることになる。
【0156】
次に、キャリア選択部160は、記憶部140に格納されたすべての残使用時間(Nokori_time)の中から、ステップS60で演算した基準時間(Kijun_time)以上の残使用時間(Nokori_time)のうち、残使用時間が最も短いキャリアのキャリアIDを選択する(ステップS100)。
【0157】
残使用時間(Nokori_time)が基準時間(Kijun_time)以上であるか否かは、例えば、残使用時間(Nokori_time)と基準時間(Kijun_time)を比較することによって行えばよい。また、残使用時間が最も短い空キャリアの選択は、例えば、複数の空キャリアの残使用時間(Nokori_time)を比較し、残使用時間が最も短い空キャリアのキャリアIDを選択することによって行えばよい。
【0158】
ステップS100で選択されたキャリアの識別子を表す次キャリアID(Carrier_ID_next)は、現キャリアIDで特定されるキャリアの次にウェハを移載するキャリアとして実施の形態1のキャリア選択装置100が選択するキャリアの識別子である。
【0159】
最後に、主制御部110は、次キャリアID(Carrier_ID_next)と、次キャリアID(Carrier_ID_next)で特定されるキャリアに格納するウェハのロットID(Lot_ID)に生産管理データ内で関連付けられた現キャリアID(Carrer_ID_current)及び使用ソーターID(Sorter_ID)を搬送システム70に通知する(ステップS110)。ステップS110で主制御部110から搬送システム70に通知されるデータは、図11に示すように、次キャリアID(Carrier_ID_next)に、ロットID(Lot_ID)、現キャリアID(Carrer_ID_current)、及び使用ソーターID(Sorter_ID)を関連付けたデータである。
【0160】
この結果、搬送システム70は、図11に示すデータに基づき、次キャリア使用開始工程Step_start)においてウェハを移載する次の別のキャリアとして、主制御部110から伝送されたキャリアID(Carrier_ID_next)で特定されるキャリアを選択する。搬送システム70は、次キャリアID(Carrier_ID_next)で特定されるキャリアと現キャリアID(Carrer_ID_current)で特定されるキャリア(現在ウェハが格納されているキャリア)を生産管理データの使用ソーターID(Sorter_ID)で特定されるソーターに搬送する。ソーターでは、現キャリアID(Carrer_ID_current)で特定されるキャリアから次キャリアID(Carrier_ID_next)で特定されるキャリアにウェハが移載される。以上で、一連の処理が終了する。
【0161】
以上、本実施の形態のキャリア選択装置100によれば、キャリアを使用する時間を予測時間として予測し、予測時間に余裕時間を加えた基準時間を用いて空キャリアを選択する。
【0162】
また、空キャリアを選択する際には、各空キャリアの残使用時間を演算し、基準時間よりも残使用時間が長い空キャリアを抽出する。基準時間よりも残使用時間の短い空キャリアは、製造工程の途中でウェハを移載する必要が生じる可能性があるため、排除している。
【0163】
そして、基準時間よりも残使用時間の長い空キャリアのうち、最も残使用時間の短いキャリアを次にウェハを移載するキャリアとして最終的に選択している。
【0164】
このため、製造工程の途中におけるウェハの移載を抑制でき、キャリアの残使用時間を有効的かつ効率的に使用することができる。
【0165】
また、キャリアの残使用時間を有効的かつ効率的に使用することにより、残使用時間が短く残っているキャリアを使用しないまま洗浄に回すようなことを抑制できるため、キャリアの数を増やすことなく、より少ない数のキャリアで効率的に半導体装置を製造できる。また、キャリアの数を増やさなくても効率的に半導体装置を製造できるため、キャリアを保管しておくスペースもより少ないスペースで足りる。
【0166】
以上より、本実施の形態のキャリア選択装置100によれば、半導体装置の製造工程における作業効率を向上させることができる。
【0167】
また、比較例で説明したように、半導体装置の製造工程の所要時間は、日にちによってばらつきがあり、また、一日の中でも時間帯によってばらつきがある場合がある。
【0168】
しかしながら、本実施の形態では、キャリアを使用する時間を予測時間として予測する際に、スケジューラ50がスケジュール管理用のプログラムを実行することによって作成されるスケジュールデータを利用している。
【0169】
スケジュール管理用のプログラムは、キャリア選択装置100を含む半導体装置の生産システム30におけるすべての製品種別、製造条件、製造量等の条件を用いて、製造工程の順番、キャリア使用開始予定時刻、キャリア使用終了予定時刻等を計算するプログラムである。
【0170】
すなわち、スケジュールデータは、スケジューラ50がスケジュール管理用のプログラムを用いて行うシミュレーションによって作成されるデータである。
【0171】
このように、本実施の形態では、製造条件等を用いたシミュレーションによって得られるキャリア使用終了予定時刻を用いて予測時間を求めており、信頼性の高い予測時間のデータを用いて、キャリアの選択を行っている。信頼性の高い予測時間のデータを用いることにより、例えば、製造工程の途中におけるウェハの移載の発生が抑制され、作業の安定性が向上する。
【0172】
従って、半導体装置の製造工程における作業効率を向上させることに加えて、半導体装置の製造工程における作業の安定性を向上させることができる。
【0173】
また、本実施の形態のキャリア選択装置100によれば、予測時間に余裕時間を加えて得る基準時間を用いて、空キャリアの選択を行っている。
【0174】
そして、余裕時間は、過去の製造工程における予測時間と実績時間との差分である差分時間の正規分布における平均値に2σ(+2σ)を加えた値である。このようにして得る余裕時間は、予測時間と実績時間との差分を表す時間として非常に精度の高い値を有する。
【0175】
従って、半導体装置の製造工程における作業の安定性をより向上させることができる。
【0176】
なお、以上では、基準時間よりも残使用時間が長い空キャリアのうち、最も残使用時間の短いキャリアを次にウェハを移載するキャリアとして最終的に選択する形態について説明した。
【0177】
しかしながら、本実施の形態のキャリア選択装置100は、最も残使用時間の短いキャリアを選択する形態に限定されるものではなく、基準時間よりも残使用時間が長い空キャリアのうち、基準時間との差が所定時間より短いキャリアを選択するようにしてもよい。
【0178】
例えば、基準時間との差を実験データ等で求まる比較的短い時間に設定しておき、残使用時間が短い上位1割又は2割に入るキャリアを選択するようにしてもよい。
【0179】
このようにキャリアを選択する場合であっても、残使用時間が比較的短いキャリアから選択することになるので、キャリアの残使用時間を有効的かつ効率的に使用することができる。
【0180】
また、以上では、製造条件等を用いたシミュレーションによって得られるキャリア使用終了予定時刻を用いて予測時間を求める形態について説明した。しかしながら、予測時間として、例えば、過去に実際の製造工程においてキャリアを使用した使用時間(実績値)の平均値を用いてもよい。この場合は、製造条件ではなく、過去の製造実績に基づいて予測時間を求めることになる。
【0181】
また、以上では、余裕時間演算部130が差分時間の正規分布における平均値に2σ(+2σ)を加えた値を余裕時間として演算する形態について説明したが、余裕時間は差分時間の正規分布における平均値に2σ(+2σ)を加えた値として求める形態には限られない。余裕時間はすべての差分時間の平均時間であってもよい。
【0182】
また、以上では、洗浄期限は、キャリアを前回洗浄した日時からの所定の日数(例えば、14日間(二週間))に設定されており、残使用時間は、キャリアの使用の有無に関係なく、時間経過とともに減って行く形態について説明した。
【0183】
しかしながら、洗浄期限は、キャリアの使用時間の累積時間で管理してもよい。この場合は、キャリアを使用していない場合には洗浄期限は進行しないことになる。そして、このような場合には、残使用時間についても同様に、キャリアの使用時間の累積時間で計算を行えばよい。この場合には、(1)式におけるNow_timeを実際にキャリアの使用を開始する時間に置き換えて予測時間(Yosoku_time)を求めるとともに、(3)式におけるNow_timeを実際にキャリアの使用を開始する時間に置き換えて残使用時間(Nokori_time)を演算すればよい。
【0184】
また、洗浄期限は、キャリアに格納されるウェハに行われる製造工程の種類によって異なるように設定されていてもよい。
【0185】
以上、本発明の例示的な実施の形態のキャリアの選択方法、及び、キャリア選択装置について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
以上の実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
ウェハを格納するキャリアをコンピュータが選択するキャリアの選択方法であって、
前記コンピュータは、
前記ウェハに半導体素子を形成する製造条件又は製造実績に基づき、前記ウェハを格納するキャリアの使用時間を予測する予測工程と、
前記ウェハを格納する前記キャリアの洗浄期限に基づき、前記キャリアの残使用時間を求める残使用時間演算工程と、
前記残使用時間が前記使用時間よりも長いキャリアのうち、前記残使用時間と前記使用時間との差が所定時間以下のキャリアを前記ウェハの移載先として選択するキャリア選択工程と
を実行する、キャリアの選択方法。
(付記2)
前記予測工程は、前記半導体素子の製造条件を用いたシミュレーションによって求まる製造スケジュールに基づき、前記キャリアの使用時間を予測する工程である、付記1記載のキャリアの選択方法。
(付記3)
前記キャリア選択工程は、前記使用時間に所定の余裕時間を加算した時間よりも前記残使用時間が長いキャリアのうち、前記使用時間に前記所定の余裕時間を加算した時間と前記使用時間との差が前記所定時間以下のキャリアを前記ウェハの移載先として選択する工程である、付記1又は2記載のキャリアの選択方法。
(付記4)
前記キャリア選択工程は、前記残使用時間が前記使用時間よりも長いキャリアのうち、前記残使用時間が最も短いキャリアを選択する工程である、付記1又は2記載のキャリアの選択方法。
(付記5)
前記キャリア選択工程は、前記使用時間に所定の余裕時間を加算した時間よりも前記残使用時間が長いキャリアのうち、前記残使用時間が最も短いキャリアを選択する工程である、付記4記載のキャリアの選択方法。
(付記6)
前記余裕時間は、過去に前記半導体素子を形成する工程で要した実績使用時間と、当該半導体素子を形成する工程について予測された使用時間との差に基づいて求められる、付記3又は5記載のキャリアの選択方法。
(付記7)
前記洗浄期限は、前記キャリアに格納されるウェハに形成される半導体素子を形成する工程の種類によって異なる、付記1乃至6のいずれか一項記載のキャリアの選択方法。
(付記8)
ウェハに半導体素子を形成する製造条件又は製造実績に基づき、前記ウェハを格納するキャリアの使用時間を予測する予測部と、
前記ウェハを格納する前記キャリアの洗浄期限に基づき、前記キャリアの残使用時間を求める残使用時間演算部と、
前記残使用時間が前記使用時間よりも長いキャリアのうち、前記残使用時間と前記使用時間との差が所定時間以下のキャリアを前記ウェハの移載先として選択するキャリア選択部と
を含む、キャリア選択装置。
(付記9)
付記8に記載のキャリア選択装置と、
前記キャリア選択装置が選択したキャリアを用いて前記ウェハを搬送する搬送システムと
を含む、半導体装置の生産システム。
【符号の説明】
【0186】
10 コンピュータシステム
30 半導体装置の生産システム
40 生産管理システム
50 スケジューラ
60 キャリア管理部
70 搬送システム
100 キャリア選択装置
110 主制御部
120 予測部
130 余裕時間演算部
140 記憶部
150 残使用時間演算部
160 キャリア選択部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハを格納するキャリアをコンピュータが選択するキャリアの選択方法であって、
前記コンピュータは、
前記ウェハに半導体素子を形成する製造条件又は製造実績に基づき、前記ウェハを格納するキャリアの使用時間を予測する予測工程と、
前記ウェハを格納する前記キャリアの洗浄期限に基づき、前記キャリアの残使用時間を求める残使用時間演算工程と、
前記残使用時間が前記使用時間よりも長いキャリアのうち、前記残使用時間と前記使用時間との差が所定時間以下のキャリアを前記ウェハの移載先として選択するキャリア選択工程と
を実行する、キャリアの選択方法。
【請求項2】
前記予測工程は、前記半導体素子の製造条件を用いたシミュレーションによって求まる製造スケジュールに基づき、前記キャリアの使用時間を予測する工程である、請求項1記載のキャリアの選択方法。
【請求項3】
前記キャリア選択工程は、前記使用時間に所定の余裕時間を加算した時間よりも前記残使用時間が長いキャリアのうち、前記使用時間に前記所定の余裕時間を加算した時間と前記使用時間との差が前記所定時間以下のキャリアを前記ウェハの移載先として選択する工程である、請求項1又は2記載のキャリアの選択方法。
【請求項4】
前記キャリア選択工程は、前記残使用時間が前記使用時間よりも長いキャリアのうち、前記残使用時間が最も短いキャリアを選択する工程である、請求項1又は2記載のキャリアの選択方法。
【請求項5】
前記キャリア選択工程は、前記使用時間に所定の余裕時間を加算した時間よりも前記残使用時間が長いキャリアのうち、前記残使用時間が最も短いキャリアを選択する工程である、請求項4記載のキャリアの選択方法。
【請求項6】
前記余裕時間は、過去に前記半導体素子を形成する工程で要した実績使用時間と、当該半導体素子を形成する工程について予測された使用時間との差に基づいて求められる、請求項3又は5記載のキャリアの選択方法。
【請求項7】
ウェハに半導体素子を形成する製造条件又は製造実績に基づき、前記ウェハを格納するキャリアの使用時間を予測する予測部と、
前記ウェハを格納する前記キャリアの洗浄期限に基づき、前記キャリアの残使用時間を求める残使用時間演算部と、
前記残使用時間が前記使用時間よりも長いキャリアのうち、前記残使用時間と前記使用時間との差が所定時間以下のキャリアを前記ウェハの移載先として選択するキャリア選択部と
を含む、キャリア選択装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−4818(P2013−4818A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135768(P2011−135768)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)