説明

キャリブレーション装置、キャリブレーション方法、及び電子機器の製造方法

【課題】一定の回転速度での回転制御を実現可能なモーターの数をセンサが回転速度を検出する基準軸の数よりも減らしつつ、複数の基準軸のそれぞれを回転中心として電子機器を一定速度で回転させることのできるセンサのキャリブレーション装置を提供する。
【解決手段】電子機器2が固定されるホルダーと、第1回転軸を中心としてホルダーを回転させる第1モーターと、第1回転軸と直交する第2回転軸を中心としてホルダーを回転させる第2モーターと、ホルダーの第2回転軸回りの回転位置を、基準位置と、当該基準位置から90度回転した直交位置と、の間に制限するストッパーと、を備え、第1モーターは、電子機器2が固定されたホルダーの第2回転軸回りの回転位置が、基準位置にある状態、及び直交位置にある状態のそれぞれにおいて、ホルダーを所定の回転速度で回転させるキャリブレーション装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転速度を検出するセンサのキャリブレーションに使用するキャリブレーション装置、当該センサのキャリブレーション方法、及び当該キャリブレーション方法を利用した電子機器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話や家庭用ゲーム機のコントローラなど、回転速度を検出するセンサ(ジャイロセンサ等)を備えた各種の電子機器が提案されている。このような電子機器によれば、ユーザが電子機器の向きを変化させるなどの動作を行った際に、センサの出力を用いてその動作を検出することができる。
【0003】
このようなセンサは、個々のセンサの個体差によってその出力特性が異なる。そのため、センサを内蔵する個々の電子機器に対して、工場出荷時などに、センサの出力特性を調べるキャリブレーションが行われる。具体的に、例えば互いに直交する3つの基準軸それぞれを中心とした回転の角速度を検出する3軸ジャイロセンサの場合、これらの基準軸のそれぞれを中心として電子機器を一定の回転速度で回転させ、そのときのジャイロセンサの出力値を取得することによって、キャリブレーションが行われる。このようなキャリブレーションを行うために、電子機器を保持して、一定速度で回転させることのできるキャリブレーション装置が提供されている(例えば非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】"1573P Series Three-AxisPosition and Rate Table System"、[online]、2010年、[2010年10月25日検索]、インターネット<http://www.ideal-aerosmith.com/motion/1573P.aspx>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したキャリブレーション装置が、電子機器を一定の回転速度で回転させることのできるモーターを1つしか備えていない場合、センサの複数の基準軸のそれぞれについてキャリブレーションを行うためには、モーターによる回転の回転軸とセンサの複数の基準軸のそれぞれとが一致するように電子機器をキャリブレーション装置に固定する際の向きを変えながら、複数回繰り返して測定を行う必要があり、手間がかかる。一方、非特許文献1のように、キャリブレーション装置が電子機器を一定の回転速度で回転させることのできるモーターを複数備えている場合、センサの複数の基準軸がキャリブレーション装置の複数の回転軸と一致するような向きで電子機器をキャリブレーション装置に固定すれば、その後に電子機器を固定し直すことなく、複数の回転軸のそれぞれを中心として電子機器を一定の回転速度で回転させ、キャリブレーションを行うことができる。しかしながら、このように一定の回転速度での回転制御を精度よく実現できるモーターは、そのような制御を行えないモーターと比較して高価、かつ大型となる傾向があるため、このようなモーターを複数用意することは、キャリブレーション装置の製造コストの増大や装置の大型化などを招くことになる。
【0006】
本発明は上記実情を考慮してなされたものであって、その目的の一つは、一定の回転速度での回転制御を実現可能なモーターの数をセンサが回転速度を検出する基準軸の数よりも減らしつつ、複数の基準軸のそれぞれを回転中心として電子機器を一定速度で回転させることのできるセンサのキャリブレーション装置、センサのキャリブレーション方法、及び当該キャリブレーション方法を用いた電子機器の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るキャリブレーション装置は、複数の基準軸のそれぞれを中心とした回転速度を検出するセンサのキャリブレーションのために、当該センサを備える電子機器を回転させるキャリブレーション装置であって、前記電子機器が固定されるホルダーと、所定の第1回転軸を中心として前記ホルダーを所定の回転速度で回転させる第1モーターと、前記第1回転軸と直交する第2回転軸を中心として前記ホルダーを回転させる第2モーターと、前記ホルダーの前記第2回転軸回りの回転位置を、第2回転軸基準位置と、当該第2回転軸基準位置から90度回転した第2回転軸直交位置と、の間に制限する第2回転軸ストッパーと、を備え、前記第1モーターは、前記電子機器が固定された前記ホルダーの前記第2回転軸回りの回転位置が、前記第2回転軸基準位置にある状態、及び前記第2回転軸直交位置にある状態のそれぞれにおいて、前記ホルダーを前記所定の回転速度で回転させることを特徴とするキャリブレーション装置である。
【0008】
前記キャリブレーション装置は、前記第2回転軸と直交する第3回転軸を中心として前記ホルダーを回転させる第3モーターと、前記ホルダーの前記第3回転軸回りの回転位置を、第3回転軸基準位置と、当該第3回転軸基準位置から90度回転した第3回転軸直交位置との間に制限する第3回転軸ストッパーと、をさらに備え、前記第1モーターは、前記電子機器が固定された前記ホルダーの前記第3回転軸回りの回転位置が、前記第3回転軸基準位置にある状態、及び前記第3回転軸直交位置にある状態のそれぞれにおいて、前記ホルダーを前記所定の回転速度で回転させることとしてもよい。
【0009】
また、前記キャリブレーション装置は、前記ホルダーの前記第2回転軸回りの回転位置が、前記第2回転軸基準位置及び前記第2回転軸直交位置のそれぞれにある状態で、前記ホルダーが前記第2回転軸回りに回転しないよう固定するロック制御部をさらに備えることとしてもよい。
【0010】
また、前記キャリブレーション装置において、前記電子機器は、互いに直交する3つの基準軸のそれぞれに印加される重力加速度の大きさを検出する加速度センサをさらに備え、前記第1モーターは、前記電子機器が固定された前記ホルダーの前記第2回転軸回りの回転位置が、前記第2回転軸基準位置にある状態において、前記ホルダーの前記第1回転軸回りの回転位置を、前記3つの基準軸のうちの2つの基準軸のそれぞれが鉛直方向と一致する向きに位置決めするとともに、前記ホルダーの前記第2回転軸回りの回転位置が、前記第2回転軸直交位置にある状態において、前記ホルダーの前記第1回転軸回りの回転位置を、前記3つの基準軸のうち前記2つの基準軸を除いた1つの基準軸が鉛直方向と一致する向きに位置決めすることとしてもよい。
【0011】
また、本発明に係るキャリブレーション方法は、複数の基準軸のそれぞれを中心とした回転速度を検出するセンサを備える電子機器を、互いに直交する第1回転軸及び第2回転軸を中心として回転させるキャリブレーション装置を用いた、前記センサのキャリブレーション方法であって、前記電子機器の前記第2回転軸回りの回転位置が、所定の第2回転軸基準位置にある状態において、前記ホルダーを前記第1回転軸回りに所定の回転速度で回転させ、当該回転中の前記センサの出力値を取得する第1ステップと、前記電子機器の前記第2回転軸回りの回転位置を、前記第2回転軸基準位置から90度回転した第2回転軸直交位置に位置決めする第2ステップと、前記電子機器の前記第2回転軸回りの回転位置が、前記第2回転軸直交位置にある状態において、前記ホルダーを前記第1回転軸回りに前記所定の回転速度で回転させ、当該回転中の前記センサの出力値を取得する第3ステップと、前記第1ステップ及び前記第3ステップで取得された前記センサの出力値を用いて、前記センサのキャリブレーションデータを算出する第4ステップと、を含むことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る電子機器の製造方法は、複数の基準軸のそれぞれを中心とした回転速度を検出するセンサを備える電子機器の製造方法であって、前記キャリブレーション方法により算出したキャリブレーションデータを、前記電子機器が備える不揮発性メモリに書き込むステップを含むことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係るキャリブレーション装置がキャリブレーション対象とする電子機器の外観の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るキャリブレーション装置の外観を示す斜視図である。
【図3】ステージユニットの構成を示す斜視図である。
【図4】ステージとパン軸固定部の構成を示す分解斜視図である。
【図5A】パン軸回転位置が基準位置にある状態での、位置決めブロックとストッパーとの位置関係を示す平面図である。
【図5B】パン軸回転位置が直交位置にある状態での、位置決めブロックとストッパーとの位置関係を示す平面図である。
【図6A】ロック制御部の動作を説明する図である。
【図6B】ロック制御部の動作を説明する図である。
【図7】チルト軸回転部とチルト軸固定部の構成を示す分解斜視図である。
【図8】ロール軸回転位置の位置決め方法を説明する図である。
【図9A】ハッチが閉じられた状態を示す図である。
【図9B】ハッチが開かれた状態を示す図である。
【図10A】ハッチ開放時のレバーアームの位置を示す図である。
【図10B】ハッチ閉鎖時のレバーアームの位置を示す図である。
【図11】ジャイロセンサのキャリブレーションの手順を説明する図である。
【図12A】電子機器のY軸がロール軸と一致する状態を示す図である。
【図12B】電子機器のZ軸がロール軸と一致する状態を示す図である。
【図13】加速度センサのキャリブレーションの手順を説明する図である。
【図14A】ジャイロセンサと加速度センサ双方のキャリブレーションを一度に行う場合の手順を説明する図である。
【図14B】ジャイロセンサと加速度センサ双方のキャリブレーションを一度に行う場合の手順を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係るキャリブレーション装置1がキャリブレーションの対象とする電子機器2の外観の一例を示す斜視図である。本実施形態において、電子機器2はジャイロセンサ3及び加速度センサ4を内蔵しており、キャリブレーション装置1は、電子機器2の姿勢を変化させながら、ジャイロセンサ3及び加速度センサ4のキャリブレーションに必要なセンサ出力値の取得を行う。ここでは一例として、電子機器2は家庭用ゲーム機のコントローラであることとしているが、これに限らず、例えば携帯型ゲーム機や携帯電話など、当該機器の姿勢や動きを検知するセンサを内蔵する各種の機器であってよい。
【0016】
ジャイロセンサ3は、電子機器2の回転速度を検出するセンサの一種である。本実施形態では、ジャイロセンサ3は3軸ジャイロセンサであるものとする。すなわち、ジャイロセンサ3は、互いに直交する3つの基準軸のそれぞれを回転中心とした回転の角速度を検出し、その検出結果を示す3つの出力値を出力する。
【0017】
また、加速度センサ4は、電子機器2に生じる加速度を検出するセンサである。加速度センサ4は、重力加速度を検出することによって、電子機器2の鉛直方向に対する傾きを検出するセンサとして機能する。本実施形態では、加速度センサ4は3軸加速度センサであるものとする。すなわち、加速度センサ4は、互いに直交する3つの基準軸のそれぞれに平行な方向に生じた加速度の大きさを検出し、その検出結果を示す3つの出力値を出力する。
【0018】
本実施形態では、ジャイロセンサ3の3つの基準軸と加速度センサ4の3つの基準軸は互いに一致しているものとする。具体的に、ジャイロセンサ3、及び加速度センサ4は、いずれもその基準軸が、電子機器2の高さ方向(以下、X軸方向とする)、幅方向(以下、Y軸方向とする)、及び奥行き方向(以下、Z軸方向とする)に一致するように電子機器2の筐体内に配置されている。
【0019】
図2は、キャリブレーション装置1の外観を示す斜視図である。同図に示されるように、キャリブレーション装置1は、電子機器2が固定されるステージユニット10と、主軸モーター11と、メカニカルカップリング12と、駆動回路13と、ロータリーエンコーダー14と、支持部15と、ハッチ16と、レール17と、レバーアーム18と、を含んで構成されている。また、キャリブレーション装置1には、その動作を制御する制御装置5が接続される。
【0020】
主軸モーター11は、所定の回転軸(以下、ロール軸Rという)を中心としてステージユニット10の全体を回転させる駆動制御を行う。この主軸モーター11は、例えばステッピングモーターやACサーボモーター、DCサーボモーターなどであって、その回転軸は、メカニカルカップリング12を介してステージユニット10と連結されている。主軸モーター11は、駆動回路13が出力する駆動信号に応じて、一定の回転速度でステージユニット10を回転させる等速回転制御を行う。また、主軸モーター11は、駆動回路13が出力する駆動信号に応じて、ステージユニット10のロール軸R回りの回転位置(以下、ロール軸回転位置という)を所定の位置に合わせる位置決め制御を行う。なお、キャリブレーション装置1はロール軸Rが水平面に平行になるように設置される。
【0021】
駆動回路13は、制御装置5からの制御信号に基づいて、主軸モーター11、後述するパン軸モーター30、及び後述するチルト軸モーター40に対して、それぞれのモーターを駆動させる駆動信号を出力する。
【0022】
ロータリーエンコーダー14は、主軸モーター11によるステージユニット10のロール軸R回りの回転角及び回転速度をリアルタイムで計測する。ロータリーエンコーダー14の計測結果を駆動回路13にフィードバックすることで、駆動回路13は、主軸モーター11によってステージユニット10を一定の回転速度で回転させる等速回転制御や、ステージユニット10の回転位置を任意の位置に合わせる位置決め制御を精度よく行うことができる。
【0023】
支持部15は、主軸モーター11が接続されている側と反対側から、ステージユニット10を回転可能に支持する。なお、後述するように、支持部15には、貫通孔15aが設けられている。
【0024】
ハッチ16、レール17、及びレバーアーム18は、安全機構を構成している。この安全機構の詳細については、後述する。
【0025】
制御装置5は、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置であって、そのメモリに記憶された制御プログラムに従って、キャリブレーション処理を実行する。具体的に、制御装置5は、キャリブレーションの実行時に、電子機器2を回転させる動作を指示する制御信号をキャリブレーション装置1の駆動回路13に対して出力する。制御装置5によるキャリブレーション装置1の制御内容については、後述する。
【0026】
また、制御装置5は、有線又は無線により電子機器2と通信可能に接続されており、キャリブレーションの実行中にジャイロセンサ3及び加速度センサ4のそれぞれが出力する検出結果を電子機器2から取得する。そして、取得した検出結果の値を用いて、これらのセンサの出力値を補正するための補正パラメタを算出し、算出した補正パラメタを電子機器2内の不揮発性メモリに書き込む処理を行う。
【0027】
次に、ステージユニット10の構成について説明する。ステージユニット10は、図3に示すように、ステージ(ホルダー)20と、サポート部材21と、パン軸固定部22と、内側アーム23と、チルト軸回転部24と、チルト軸固定部25と、外側アーム26と、を含んで構成されている。
【0028】
ステージ20は円盤状の形状をしており、キャリブレーションを行う際には、サポート部材21を介してこのステージ20に電子機器2が固定される。そして、ステージ20は、所定の回転軸(以下、パン軸Pという)を中心としてパン軸固定部22に対して相対的に回転するよう構成されている。本実施形態では、パン軸Pはステージ20の上面に直交し、ステージ20上面の中心を通る回転軸である。
【0029】
また、パン軸固定部22は、ステージ20より一回り大きな円盤状の形状をしており、内側アーム23を介してチルト軸回転部24に固定されている。チルト軸回転部24はステージ20などと同様に円盤状の形状をしており、パン軸Pに直交する回転軸(以下、チルト軸Tという)を中心としてチルト軸固定部25に対して相対的に回転するように構成されている。この回転に伴って、ステージ20もチルト軸Tを中心として回転する。なお、チルト軸Tは、ステージ20の上面に平行な向きの回転軸である。
【0030】
さらに、チルト軸固定部25は2本の外側アーム26と接続されており、一方の外側アーム26にはメカニカルカップリング12が取り付けられている。これにより、主軸モーター11は、前述したようにロール軸Rを中心としてステージユニット10の全体を回転させることができる。なお、ロール軸Rはチルト軸Tと直交する回転軸となっている。主軸モーター11がステージユニット10全体を回転させることにより、ステージ20もロール軸Rを中心として回転することになる。
【0031】
すなわち、ステージユニット10及び主軸モーター11は3軸ジンバル機構を構成しており、これによりキャリブレーション装置1はパン軸P、チルト軸T、及びロール軸Rのそれぞれを回転中心としてステージ20に固定された電子機器2を回転させることができる。なお、本実施形態では、図2及び図3に示すようにステージ20の上面が水平面と平行な状態において、パン軸P、チルト軸T、及びロール軸Rは互いに直交し、パン軸Pは鉛直方向に沿った向きになり、チルト軸T及びロール軸Rは水平面と平行な向きになる。
【0032】
さらに本実施形態において、パン軸Pを回転中心としたステージ20の回転は、90度の範囲に規制されている。より具体的に、ステージ20のパン軸P回りの回転位置(以下、パン軸回転位置という)は、所定の位置を0度として、そこから所定方向に90度回転した位置までの範囲に制限される。以下、このような制限を可能にするステージ20及びパン軸固定部22の構成について、説明する。
【0033】
図4は、ステージ20とパン軸固定部22の構成を示す分解斜視図である。同図に示されるように、パン軸固定部22の中心近傍には、パン軸モーター30が配置されており、その駆動力によってパン軸固定部22の中心位置に配置された回転軸30aが回転する。この回転軸30aの回転がステージ20に伝達されることにより、ステージ20はパン軸Pを回転中心としてパン軸固定部22に対して相対的に回転する。
【0034】
ステージ20の底面(すなわち、パン軸固定部22と対向する面)には、その外周に沿って、2つの位置決めブロック(以下、第1パン軸位置決めブロック31及び第2パン軸位置決めブロック32という)が突出して設けられている。これらの位置決めブロック31及び32は、ステージ20の中心から見て90度の角度をなすように、ステージ20の外周に沿って1/4周だけ離れて配置されている。なお、位置決めブロック31及び32のそれぞれには、凹テーパー形状のキー溝31b及び32bが設けられている。また、ステージ20の底面には、被検出体33も突出して設けられている。
【0035】
一方、パン軸固定部22の上面(すなわち、ステージ20と対向する面)には、その外周に沿って、2つのストッパー(以下、第1パン軸ストッパー34及び第2パン軸ストッパー35という)が突出して設けられている。これらのストッパー34及び35は、パン軸固定部22の外周に沿って、パン軸固定部22の中心から見て略180度の角度をなすように配置されている。また、パン軸固定部22の外周に沿って、ストッパー34及び35の中間の位置(すなわち、第1パン軸ストッパー34及び第2パン軸ストッパー35の双方と90度の角度をなす位置)には、ロック制御部36が配置されている。ロック制御部36は、凸テーパー形状のキー36aと、キー36aを駆動するロックモーター36bと、を含んで構成される。また、パン軸固定部22の上面には、フォトインタラプタ37及び38が配置されている。フォトインタラプタ37及び38は、パン軸固定部22の中心から見て90度の角度をなすように配置されており、それぞれの検出位置に被検出体33が移動してきたときに、その存在を検出する。
【0036】
以上の構成により、ステージ20がパン軸P回りに回転可能な範囲は、0度から90度の範囲に制限される。具体的に、パン軸モーター30によってステージ20を上方から見て時計回りに回転させ続けると、第1パン軸位置決めブロック31の面31aが第1パン軸ストッパー34に当接し、それ以上ステージ20が時計回りに回転できない状態に達する。以下では、この状態になったときのステージ20のパン軸回転位置を、パン軸Pの基準位置という。なお、この状態において、被検出体33はフォトインタラプタ37の検出位置に移動している。図5Aは、ステージ20のパン軸回転位置が基準位置にある状態での、位置決めブロック31及び32とストッパー34及び35との位置関係を示す平面図である。ここでは、両者の位置関係を明確にするために、ステージ20の底面側に配置された位置決めブロック31及び32と、被検出体33と、を実線で示している。
【0037】
このパン軸Pの基準位置から、パン軸モーター30によってステージ20を上方から見て反時計回りに回転させ続けると、ステージ20が90度回転したところで、第2パン軸位置決めブロック32の面32aが第2パン軸ストッパー35に当接し、それ以上ステージ20が反時計回りに回転できない状態に達する。以下では、この状態になったときのステージ20のパン軸回転位置を、パン軸Pの直交位置という。なお、この状態において、被検出体33はフォトインタラプタ38の検出位置に移動している。図5Bは、ステージ20のパン軸回転位置が直交位置にある状態での、位置決めブロック31及び32とストッパー34及び35との位置関係を示す平面図である。図5Aと同様に、この図においても、位置決めブロック31及び32、並びに被検出体33は、実際にはステージ20の底面側に配置されているが、実線で示されている。
【0038】
以上のように、第1パン軸ストッパー34及び第2パン軸ストッパー35がステージ20の回転を規制することによって、ステージ20のパン軸回転位置は、機械的にこの基準位置と直交位置との間に制限され、それを超える範囲でステージ20をパン軸P回りに回転させることはできなくなっている。
【0039】
本実施形態では、キャリブレーションにおける各センサの出力値の取得は、ステージ20のパン軸回転位置が基準位置及び直交位置のいずれかにある状態でしか行わないこととする。すなわち、キャリブレーションにおいて、ステージ20のパン軸回転位置が基準位置と直交位置との間にある状態におけるジャイロセンサ3や加速度センサ4の出力値をキャリブレーションに用いることはない。そのため、パン軸モーター30の制御によって、ステージ20の回転位置を精度よく位置決めしたり、ステージ20をパン軸P回りに等速回転させたりする制御を行う必要はない。このことから、本実施形態に係るキャリブレーション装置1においては、パン軸モーター30として大型のサーボモーター等を採用したり、パン軸P回りの回転量や回転速度を精度よく検出するためのロータリーエンコーダー等を配置したりする必要はないことになる。
【0040】
ただし、本実施形態でも、ステージ20のパン軸回転位置を0度(基準位置)及び90度(直交位置)に精度よく位置決めする必要はある。この位置決め精度は、機械加工の精度に依存することになるが、以下に説明するように、ロック制御部36によるステージ20のロック制御を行うことで、通常の機械加工精度でも例えば角度誤差0.001度以下という十分に高精度な位置決め制御を行うことができる。
【0041】
具体的に、ステージ20のパン軸回転位置が基準位置にある状態(すなわち、第1パン軸位置決めブロック31が第1パン軸ストッパー34に当接した状態)では、第2パン軸位置決めブロック32はロック制御部36に対応する位置に存在することになる。フォトインタラプタ37がこの状態を検知すると、ロックモーター36bがキー36aを押し出す駆動制御を行う。これによって、キー36aが第2パン軸位置決めブロック32に設けられたキー溝32bに嵌合し、ステージ20のパン軸P回りの回転が規制される。図6A及び図6Bはロック制御部36の動作を説明する図であって、図6Aは、キー36aがキー溝32bに嵌合する前の状態(すなわち、ステージ20が固定されていない状態)を示し、図6Bは、キー36aがキー溝32bに嵌合してステージ20が固定された状態を示している。なお、キー36aはバネ(不図示)によってキー溝32bに嵌合する方向に付勢されており、これによってキー36aとキー溝32bとがガタつきなく嵌合する。
【0042】
また、ステージ20のパン軸回転位置が直交位置にある状態(すなわち、第2パン軸位置決めブロック32が第2パン軸ストッパー35に当接した状態)では、第1パン軸位置決めブロック31がロック制御部36に対応する位置に存在することになる。基準位置の位置決めの場合と同様に、この状態をフォトインタラプタ38が検知すると、ロックモーター36bがキー36aを第1パン軸位置決めブロック31に設けられたキー溝31bに嵌合させる制御を行う。
【0043】
このように、ステージ20のパン軸回転位置が基準位置にある状態、及び直交位置にある状態のそれぞれにおいて、ロック制御部36がステージ20をロックすることにより、ステージ20のぐらつきを抑え、ステージ20のパン軸回転位置を精度よく基準位置及び直交位置に位置決めすることができる。さらに本実施形態では、パン軸固定部22の外周に沿って3箇所にローラー39a、39b及び39cが配置されており、これらのローラー39a、39b及び39cがステージ20の側面を押さえている。これにより、ステージ20のぐらつきがさらに抑えられている。
【0044】
パン軸Pと同様に、チルト軸Tを回転中心としたステージ20の回転も、90度の範囲に規制されている。より具体的に、ステージ20のチルト軸T回りの回転位置(以下、チルト軸回転位置という)は、所定の位置を0度として、そこから所定方向に90度回転した位置までの範囲に制限される。このような制限を実現するために、チルト軸回転部24はステージ20と、チルト軸固定部25はパン軸固定部22と、それぞれ略同等の構造を備えている。
【0045】
図7は、チルト軸回転部24とチルト軸固定部25の構成を示す分解斜視図である。同図に示されるように、チルト軸固定部25の中心近傍には、チルト軸モーター40が配置されており、その駆動力によってチルト軸固定部25の中心位置に配置された回転軸40aが回転する。この回転軸40aの回転がチルト軸回転部24に伝達されることにより、チルト軸回転部24はチルト軸Tを回転中心としてチルト軸固定部25に対して相対的に回転する。これにより、パン軸固定部22及び内側アーム23を介してチルト軸回転部24に連結されたステージ20も、チルト軸Tを回転中心として回転する。
【0046】
また、チルト軸回転部24のチルト軸固定部25と対向する面には、その外周に沿って、90度の角度をなすように2つの位置決めブロック(以下、第1チルト軸位置決めブロック41及び第2チルト軸位置決めブロック42という)が突出して設けられている。また、同じ面に被検出体43も突出して設けられている。そして、チルト軸固定部25のチルト軸回転部24と対向する面には、その外周に沿って、2つのストッパー(以下、第1チルト軸ストッパー44及び第2チルト軸ストッパー45という)が互いに対向するように突出して設けられており、チルト軸固定部25の外周に沿って、ストッパー44及び45の中間の位置には、ロック制御部46が配置されている。また、チルト軸固定部25のチルト軸回転部24と対向する面には、チルト軸固定部25の中心から見て90度の角度をなすように、フォトインタラプタ47及び48が配置されている。
【0047】
以上の構成により、チルト軸回転部24がチルト軸T回りに回転可能な範囲は、0度から90度の範囲に制限される。具体的に、チルト軸モーター40によってチルト軸回転部24をステージ20側から見て反時計回りに回転させ続けると、第1チルト軸位置決めブロック41が第1チルト軸ストッパー44に当接し、それ以上チルト軸回転部24が反時計回りに回転できない状態に達する。以下では、この状態になったときのステージ20のチルト軸回転位置を、チルト軸Tの基準位置という。なお、この状態において、被検出体43はフォトインタラプタ47の検出位置に移動している。
【0048】
このチルト軸Tの基準位置から、チルト軸モーター40によってチルト軸回転部24をステージ20側から見て時計回りに回転させ続けると、チルト軸回転部24が90度回転したところで、第2チルト軸位置決めブロック42が第2チルト軸ストッパー45に当接し、それ以上チルト軸回転部24が時計回りに回転できない状態に達する。以下では、この状態になったときのステージ20のチルト軸回転位置を、チルト軸Tの直交位置という。なお、この状態において、被検出体43はフォトインタラプタ48の検出位置に移動している。
【0049】
以上のように、第1チルト軸ストッパー44及び第2チルト軸ストッパー45がチルト軸回転部24の回転を規制することによって、ステージ20のチルト軸回転位置は、機械的にこの基準位置と直交位置との間に制限され、それを超える範囲でステージ20をチルト軸T回りに回転させることはできなくなっている。
【0050】
パン軸Pの場合と同様に、本実施形態では、キャリブレーションにおける各センサの出力値の取得は、ステージ20のチルト軸回転位置が基準位置及び直交位置のいずれかにある状態でしか行わないこととする。そのため、チルト軸モーター40についても、ステージ20のチルト軸回転位置を精度よく位置決めしたり、ステージ20をチルト軸T回りに等速回転させたりする制御が可能なモーターである必要はない。
【0051】
なお、ステージ20のチルト軸回転位置についても、パン軸Pの場合と同様に、ロック制御部46によるロック制御によって、0度(基準位置)及び90度(直交位置)に精度よく位置決めすることができる。また、チルト軸回転部24のぐらつきを抑えるために、チルト軸固定部25の外周に沿って3箇所にローラー49a、49b及び49cが配置されている。
【0052】
本実施形態では、パン軸モーター30及びチルト軸モーター40と異なり、主軸モーター11は任意の回転位置での位置決め制御が可能だが、この位置決め制御の目標位置は初期位置に対する相対的な回転角で決定される。一方、加速度センサ4のキャリブレーションを行う際には、重力が働く鉛直方向に対する電子機器2の傾きが重要となる。そのためキャリブレーション装置1は、ロール軸回転位置の初期位置を、鉛直方向に対する傾きが予め分かっている位置に精度よく設定できる必要がある。そこでキャリブレーション装置1は、ステージ20のロール軸回転位置を、チルト軸Tが鉛直方向と一致するような向きに精度よく位置決めするための機構を備えている。
【0053】
図8は、このようなロール軸回転位置の位置決め方法を説明する図である。同図に示されるように、支持部15には貫通孔15aが設けられており、支持部15側の外側アーム26にも、貫通孔26aが設けられている。そして、これらの貫通孔15a及び26aは、その両者が一致した際に、チルト軸Tが鉛直方向と一致するような位置に設けられている。そのため、貫通孔15a及び26aの位置を一致させるようステージユニット10をロール軸R回りに回転させ、両者が一致した状態で貫通孔15a及び26aを通るようにテーパー状のガイドピン50を挿入すれば、ステージ20のロール軸回転位置を位置決めすることができる。ただし、以下では説明の便宜のために、ロール軸回転位置の基準位置は、このようにして位置決めされた初期位置ではなく、この初期位置からステージユニット10を90度回転させた位置(すなわち、チルト軸Tが水平面と平行になる回転位置)であるものとする。
【0054】
次に、ハッチ16、レール17、及びレバーアーム18によって構成される安全機構について、説明する。ハッチ16は、レール17上を移動可能になっており、ステージユニット10側に移動した際には、ステージユニット10を覆って外部と隔てる役割を果たす。図9A及び図9Bは、ハッチ16の移動を示す図であって、キャリブレーション装置1を上方から見た斜視図である。図9Aは、ハッチ16が閉じられた状態を示している。一方、キャリブレーション装置1の操作者が電子機器2をステージ20に固定したり、ステージ20から取り外したりする際には、ハッチ16を主軸モーター11側に移動させることにより、操作者はステージユニット10にアクセスすることができる。図9Bは、このようにハッチ16が開かれた状態を示している。なお、ハッチ16にはステージユニット10を外部と隔てる隔壁が設けられているが、図1、図9A、及び図9Bではこの隔壁は透明に描かれている。
【0055】
さらに、レバーアーム18は、ハッチ16を開いた状態では、ステージユニット10側にせり出してステージユニット10の回転を阻害する。図10A及び図10Bは、このレバーアーム18の動きを示す図であって、いずれもキャリブレーション装置1の部分平面図である。図10Aがハッチ16開放時のレバーアーム18の位置を、図10Bがハッチ16閉鎖時のレバーアーム18の位置を、それぞれ示している。図10Aに示されるように、レバーアーム18の一端に設けられた干渉部18aは、ステージユニット10側にせり出しており、ステージユニット10がロール軸回りに回転しようとすると、主軸モーター11側の外側アーム26がこの干渉部18aと干渉して、ステージユニット10の回転が停止するようになっている。なお、レバーアーム18は主軸モーター11の左右両側に配置されているので、ステージユニット10がどちらの方向に回転しても、ステージユニット10の回転は最大でも半回転するまでの間に停止することになる。
【0056】
ハッチ16閉鎖時には、図10Bに示されるように、ハッチ16に設けられた突起部16aが、レバーアーム18の干渉部18aと逆側の端部18bを前方に押し込む。これにより、レバーアーム18の干渉部18aは後方に移動し、ステージユニット10が干渉部18aと干渉しないようになる。すなわち、レバーアーム18の作用によって、ハッチ16を閉鎖した状態ではステージユニット10が回転可能になり、ハッチ16を解放した状態ではステージユニット10が回転不能になる。
【0057】
なお、レバーアーム18は、これに取り付けられたバネ(不図示)によって、ステージユニット10側にせり出してその回転を妨げる方向に付勢されている。このバネの弾性力によって、ハッチ16を閉鎖しても、そのままではハッチ16が主軸モーター11側に引き戻され、レバーアーム18がステージユニット10の回転を妨げることになる。そのため、キャリブレーション装置1の操作者は、キャリブレーションを実行する際には、ハッチ16を閉じた状態でクランプによってハッチ16の位置を固定する必要がある。逆に、クランプによる固定が外されると、直ちにレバーアーム18の干渉部18aがせり出してステージユニット10の回転が停止する。そのため、例えば誤ってステージユニット10の回転動作中に操作者がハッチ16を開放しようとした場合、ステージユニット10の回転はすぐに停止することになる。
【0058】
次に、キャリブレーション装置1を用いた電子機器2のキャリブレーション方法のいくつかの具体例について、説明する。これらの具体例に示されるキャリブレーション方法は、例えば電子機器2の製造時に、個々の電子機器2に内蔵されたジャイロセンサ3や加速度センサ4の出力特性を反映したキャリブレーションデータを算出し、個々の電子機器2に書き込むために行われる。
【0059】
まず第1の例として、ジャイロセンサ3のキャリブレーションだけを行う場合のキャリブレーション処理の手順について、図11のフロー図を用いて説明する。
【0060】
ジャイロセンサ3のキャリブレーションにおいては、3つの基準軸のそれぞれを回転中心として、所定の回転角速度rで電子機器2を等速回転させた際のジャイロセンサ3の測定結果を取得する。なお、rは例えば540度/秒などの値であってよい。以下では、X軸、Y軸、及びZ軸のそれぞれを回転中心として回転角速度rで電子機器2を等速回転させた際のジャイロセンサ3によるセンサ出力値を、G,G及びGと表記する。これらの出力値は、いずれもX軸、Y軸、Z軸それぞれの基準軸についての測定結果を示す3つの出力値の組によって構成され、
【数1】

のように表される。
【0061】
以下、具体的なジャイロセンサ3のキャリブレーション手順について説明する。最初に、パン軸回転位置及びチルト軸回転位置をそれぞれの基準位置に移動させた状態で、電子機器2をステージ20に固定する(S1)。このとき、電子機器2は、そのセンサ基準軸がキャリブレーション装置1の回転軸と一致するようにステージ20に固定される。以下では具体例として、電子機器2のX軸がロール軸Rと、Y軸がチルト軸Tと、Z軸がパン軸Pと、それぞれ一致するように電子機器2が設置されるものとする。なお、図2及び図3は、このように電子機器2が設置された状態を示している。
【0062】
この状態で制御装置5は、ジャイロセンサ3の各基準軸の出力値を取得する(S2)。この出力値は、バイアス出力(各基準軸に角速度が印加されていない状態の出力)を示す値である。行列表現によれば、このジャイロセンサ3のバイアス出力B
【数2】

と表される。
【0063】
次に制御装置5は、ステージユニット10をロール軸R回りに所定の回転角速度rで等速回転させる指示を行う(S3)。これにより、電子機器2はX軸を回転中心として一定速度で回転する。制御装置5は、この回転制御中のセンサ出力値Gを取得する(S4)。
【0064】
次に制御装置5は、パン軸モーター30を動作させてパン軸回転位置を直交位置に移動させる(S5)。図12Aは、この状態の電子機器2の向きを示しており、同図に示されるように、この状態では電子機器2のY軸がロール軸Rと一致する。その後、制御装置5は、S3と同様にステージユニット10を所定の回転角速度rで回転させる指示を行う(S6)。これにより、電子機器2はY軸を回転中心として一定速度で回転する。制御装置5は、この回転制御中のセンサ出力値Gを取得する(S7)。
【0065】
続いて制御装置5は、パン軸モーター30を動作させてパン軸回転位置を基準位置に戻すとともに、チルト軸モーター40を動作させてチルト軸回転位置を直交位置に移動させる(S8)。図12Bはこの状態の電子機器2の向きを示しており、同図に示されるように、この状態では電子機器2のZ軸がロール軸Rと一致する。その後、制御装置5は、S3及びS6と同様にステージユニット10を所定の回転角速度rで回転させる指示を行う(S9)。これにより、電子機器2はZ軸を回転中心として一定速度で回転する。制御装置5は、この回転中のセンサ出力値Gを取得する(S10)。
【0066】
以上説明した処理によって、ジャイロセンサ3の3つの基準軸のそれぞれを回転中心として所定の回転角速度rで電子機器2を回転した際のジャイロセンサ3のセンサ出力値G〜Gが得られたことになる。ジャイロセンサ3の感度係数(単位角速度あたりのセンサ出力)Sは、これらのセンサ出力値を用いて、行列表現により
【数3】

と表される。ジャイロセンサ3の出力が線形であると仮定した場合、任意の回転角速度が電子機器2に対して与えられた際には、そのときのジャイロセンサ3の出力値と、これまで説明した処理によって得られた値と、を用いて電子機器2の回転角速度を算出できる。具体的に、ある角速度Vの回転が電子機器2に生じた場合のジャイロセンサ3のセンサ出力値Gを
【数4】

とすると、角速度Vの値は、
【数5】

という計算式によって算出できる。
【0067】
そこで制御装置5は、以上説明した処理によって得られるジャイロセンサ3の感度係数及びバイアス出力を示す情報を、キャリブレーションデータとして電子機器2内の不揮発性メモリに書き込む(S11)。これにより、ジャイロセンサ3のキャリブレーション処理が完了する。このようなキャリブレーション処理は、例えば電子機器2の製造時(すなわち、工場出荷前)に、量産される電子機器2のそれぞれに対して行われる。これにより、出荷される電子機器2のそれぞれは、S11で書き込まれたキャリブレーションデータを使用することで、自分自身が内蔵するジャイロセンサ3の出力特性を考慮して補正された角速度の測定結果を得ることができる。
【0068】
以上説明したように、本実施形態に係るキャリブレーション装置1によれば、パン軸モーター30及びチルト軸モーター40自体は回転速度の制御を精度よく行えない場合であっても、一度電子機器2をステージ20に対して固定させた後、改めて電子機器2のステージ20に対する向きを手作業で変更してステージ20に固定させ直す必要なしに、電子機器2の3つのセンサ基準軸のそれぞれを回転中心として、一定の回転速度での回転制御を行うことができる。
【0069】
なお、以上の例では各センサ基準軸について、1つの回転角速度rで等速回転させた際のセンサ出力値を取得することとしたが、例えば複数の回転角速度の値のそれぞれで電子機器2を等速回転させ、その際のセンサ出力値を取得してもよい。こうすれば、より精度よくキャリブレーションを行うことができる。また、センサの温度ドリフトを補正するために、センサの温度が互いに異なる状況で、複数回電子機器2を等速回転させてセンサの出力値を取得してもよい。また、以上の説明では出力値G〜Gをこの順に取得することとしたが、この取得順序は一例であって、これとは異なる順序で各出力値を取得してもよい。
【0070】
次に、第2の例として、加速度センサ4のキャリブレーション処理だけを行う場合の手順について、図13のフロー図を用いて説明する。なお、以下では説明の便宜のために、ステージ20のロール軸R、チルト軸T、パン軸Pそれぞれの回転位置を、各軸の基準位置からの所定方向への回転角を示す3つの数字の組によって表すこととする。例えば、全ての回転軸の回転位置が基準位置にある状態は、(0,0,0)で表される。また、ロール軸回転位置及びチルト軸回転位置が基準位置にあり、パン軸回転位置が直交位置にある状態は(0,0,90)で表され、ロール軸回転位置及びパン軸回転位置が基準位置にあり、チルト軸回転位置が直交位置にある状態は(0,90,0)で表される。なお、ここでは主軸モーター11側から見て時計回りに回転する方向を、ロール軸回りの回転の正方向とする。
【0071】
加速度センサ4のキャリブレーションにおいては、電子機器2に対して働く重力加速度の大きさを正確に検知するために、加速度センサ4の3つの基準軸のそれぞれに対して、+1g、及び−1gの重力加速度が印加された状態でのセンサ出力値を取得することとする。ここで、gは重力加速度であって、通常は9.8m/sの値をとる。すなわち、加速度センサ4のキャリブレーションでは、3つの基準軸それぞれの正負方向(つまり、合計6つの方向)が鉛直方向に一致する状態で、加速度センサ4の出力値を取得する。以下では、X軸負方向、X軸正方向、Y軸負方向、Y軸正方向、Z軸負方向、及びZ軸正方向のそれぞれが鉛直方向に一致する状態で取得された加速度センサ4の出力値を、A,A,A,A,A及びAと表記する。これらのセンサ出力値は、いずれもX軸、Y軸、Z軸それぞれについて生じた加速度を示す3つの出力値の組によって構成され、
【数6】

のように表される。
【0072】
以下、具体的な手順について説明する。まず、電子機器2をステージ20に固定して、ステージ20の回転位置を(0,0,0)の状態に位置決めする(S21)。なお、ここでは、ステージ20の回転位置が(0,0,0)に位置決めされた状態において、電子機器2のX軸がロール軸Rと、Y軸がチルト軸Tと、Z軸がパン軸Pと、それぞれ一致するように、電子機器2はステージ20に固定されるものとする。なお、図2及び図3は、このように電子機器2が設置された状態を示している。この状態で、Z軸には−1gの重力加速度が印加される。そして、制御装置5は、このときのセンサ出力値Aを取得する(S22)。
【0073】
次に制御装置5は、主軸モーター11によってステージユニット10を回転させて、ステージ20を(180,0,0)の状態に位置決めする(S23)。この状態で、Z軸には+1gの重力加速度が印加される。制御装置5は、このときのセンサ出力値Aを取得する(S24)。
【0074】
次に制御装置5は、ステージ20を(90,0,0)の状態に位置決めして(S25)、センサ出力値Aを取得する(S26)。このとき、Y軸には−1gの重力加速度が印加されている。さらに制御装置5は、ステージ20を(−90,0,0)の状態に位置決めして(S27)、センサ出力値Aを取得する(S28)。このとき、Y軸には+1gの重力加速度が印加されている。こうして、主軸モーター11を用いた位置決め制御によって、制御装置5は、同一平面上で互いに直交するY軸及びZ軸それぞれの正負方向を鉛直方向とした場合のセンサ出力値を取得することができる。
【0075】
その後、制御装置5は、主軸モーター11によってロール軸回転位置を基準位置に戻すとともに、チルト軸モーター40によってチルト軸回転位置を直交位置に遷移させることにより、ステージ20を(0,90,0)の状態に位置決めする(S29)。この状態で、X軸には+1gの重力加速度が印加されていることになる。制御装置5は、このときのセンサ出力値Aを取得する(S30)。さらに制御装置5は、主軸モーター11によってステージユニット10を半回転させて、ステージ20を(180,90,0)の状態に位置決めする(S31)。この状態で、X軸には−1gの重力加速度が印加されていることになる。制御装置は、このときのセンサ出力値Aを取得する(S32)。このように、チルト軸回転位置を直交位置に遷移させることで、制御装置5はX軸正負方向を鉛直方向とした場合のセンサ出力値も取得することができる。
【0076】
以上説明した処理によって取得された加速度センサ4の出力値A〜Aを用いることによって、加速度センサ4のバイアス出力(加速度が印加されていない状態の出力)B、及び感度係数(単位加速度あたりのセンサ出力)Sを算出することができる。具体的に、バイアス出力Bは、
【数7】

で計算され、感度係数S
【数8】

で計算される。加速度センサ4の出力が線形であると仮定した場合、任意の加速度が電子機器2に対して与えられた際には、そのときの加速度センサ4の出力値と、これまで説明した処理によって得られた値と、を用いて電子機器2に印加された加速度を算出できる。具体的に、ある加速度Vが印加された際の加速度センサ4の出力値Aを
【数9】

とすると、加速度Vの値は、
【数10】

という計算式によって算出できる。
【0077】
そこで制御装置5は、以上説明した処理によって得られる加速度センサ4の感度係数及びバイアス出力を示す情報を、キャリブレーションデータとして電子機器2内の不揮発性メモリに書き込む(S33)。これにより、加速度センサ4のキャリブレーション処理が完了する。
【0078】
以上の説明から明らかなように、主軸モーター11が0度、90度、−90度、180度の4つの回転位置に位置決めすることができるとともに、この主軸モーター11の回転軸(ロール軸R)と直交する回転軸(チルト軸T)について、0度、90度の2つの回転位置に位置決めすることができさえすれば、3軸の加速度センサ4をキャリブレーションするために必要な情報を取得することができる。そのため、加速度センサ4のキャリブレーションを行うだけであれば、パン軸P回りの回転機構は不要となる。なお、本実施形態では主軸モーター11の回転軸が鉛直方向と直交しているために、主軸モーター11を用いてセンサ基準軸のそれぞれを鉛直方向と一致させるような位置決め制御が可能になっている。
【0079】
なお、制御装置5は、以上説明した計算方法に限らず、例えば最小二乗法を用いてバイアス出力を算出するなどして、キャリブレーションの精度を向上させてもよい。また、センサの温度ドリフトを補正するために、センサの温度が互いに異なる状況で、複数回以上説明したようなセンサ出力の測定を行ってもよい。また、以上の説明における各センサ出力値の取得順序は一例であって、これとは異なる順序でセンサ出力値の取得を行ってもよい。
【0080】
次に、第3の例として、ジャイロセンサ3と加速度センサ4両方のキャリブレーションを行う場合の手順について、図14A及び図14Bのフロー図を用いて説明する。
【0081】
ジャイロセンサ3と加速度センサ4両方のキャリブレーションが必要な場合、例えば上述した図11のフローの制御と、図13のフローの制御を、互いに独立に順に実行してもよい。しかしながら、ステージ20の回転と位置決めには、一定の時間が必要となるため、キャリブレーションの時間を短縮するためには、ステージ20の姿勢の変化が少なくなるような手順でキャリブレーション処理を行うことが望ましい。そこで、以下に例示するように、加速度センサ4のキャリブレーションに必要な出力値を取得するためにステージ20の向きを変化させる途中に、一定速度での回転を行い、その間のジャイロセンサ3の出力値を取得することによって、キャリブレーションの手順を簡略化でき、時間短縮を図ることができる。
【0082】
具体的に、まず図13のフローの場合と同様に、ステージ20の回転位置を(0,0,0)の状態とし、センサ基準軸がキャリブレーション装置1の回転軸と一致するように電子機器2をステージ20に固定する(S41)。そして、このときの加速度センサ4のセンサ出力値A、及びジャイロセンサ3のバイアス出力Bを取得する(S42)。
【0083】
次に、制御装置5は、ステージ20を(90,0,0)に位置決めして(S43)、加速度センサ4のセンサ出力値Aを取得する(S44)。さらに、ステージ20を(180,0,0)に位置決めして(S45)、加速度センサ4のセンサ出力値Aを取得する(S46)。続いて制御装置5は、ステージ20を(−90,0,0)に位置決めして(S47)、加速度センサ4のセンサ出力値Aを取得する(S48)。ここまでの位置決め制御は、ステージ20をロール軸R回りに同じ回転方向で回転させ続けることで実現できる。
【0084】
その後、制御装置5は、ロール軸Rを所定の回転角速度rで回転させる(S49)。このとき、ロール軸Rは電子機器2のX軸と一致しているので、回転中のジャイロセンサ3の出力をサンプリングすることで、センサ出力値Gが得られる(S50)。
【0085】
次に制御装置5は、ステージ20を(0,0,90)に位置決めする(S51)。このとき、電子機器2のY軸がロール軸Rと一致する。そして、制御装置5は、S49及びS50と同様に、ロール軸Rを所定の回転角速度rで回転させ(S52)、回転中のジャイロセンサ3のセンサ出力値Gを取得する(S53)。
【0086】
次に制御装置5は、ステージ20を(0,90,0)に位置決めして(S54)、加速度センサ4のセンサ出力値Aを取得する(S55)。さらに、ステージ20を(180,90,0)に位置決めして(S56)、加速度センサ4のセンサ出力値Aを取得する(S57)。その後、制御装置5は、ロール軸Rを所定の回転角速度rで回転させる(S58)。このとき、電子機器2のZ軸がロール軸Rと一致している。制御装置5は、この回転中のジャイロセンサ3のセンサ出力値Gを取得する(S59)。
【0087】
以上説明した手順により、ジャイロセンサ3のキャリブレーションデータ生成に必要なセンサ出力値G〜G、及び加速度センサ4のキャリブレーションデータ生成に必要なセンサ出力値A〜Aが得られたことになる。そこで、制御装置5は、前述した計算式によってキャリブレーションデータを算出し、電子機器2の不揮発性メモリに書き込む(S60)。こうして、自分自身が内蔵するジャイロセンサ3及び加速度センサ4の出力特性を反映したキャリブレーションデータが書き込まれた、電子機器2が完成する。
【0088】
以上説明した本実施形態に係るキャリブレーション装置1によれば、パン軸モーター30及びチルト軸モーター40は位置決め制御や等速回転制御の機能を持つ必要がなく、またそれぞれ基準位置及び直交位置への位置決めができさえすればよいので、ステージ20を高速に回転させる必要もない。そのため、これらのモーターを小型化することができる。また、パン軸モーター30及びチルト軸モーター40を小型化することができれば、ステージユニット10全体を軽量化することができる。そのため、ステージユニット10の位置決め制御や等速回転制御を行う主軸モーター11についても、従来のものより低トルクのモーターを採用することができる。
【0089】
なお、本発明の実施の形態は、以上説明したものに限られない。例えば、キャリブレーションの対象となるジャイロセンサ3が2軸ジャイロセンサの場合、キャリブレーション装置1は、パン軸の回転機構を備える必要はなく、チルト軸回転位置を基準位置及び直交位置に位置決めするとともに、ロール軸R回りの等速回転制御が可能であれば、2軸それぞれの等速回転制御を行うことができる。
【0090】
また、以上の説明においては、円盤状のステージに電子機器2を固定することとしたが、電子機器2を固定するのはこのような形状のものに限らず、電子機器2を保持する各種の形状のホルダーであってよい。
【0091】
また、以上の説明においては、ステージ20やチルト軸回転部24を基準位置及び直交位置で固定するために、キー溝と嵌合するキーを備えるロック機構を採用しているが、これに限らず、例えばガイドピンやプランジャーなど、その他の機構によってステージ20やチルト軸回転部24を固定してもよい。
【符号の説明】
【0092】
1 キャリブレーション装置、2 電子機器、3 ジャイロセンサ、4 加速度センサ、5 制御装置、10 ステージユニット、11 主軸モーター、12 メカニカルカップリング、13 駆動回路、14 ロータリーエンコーダー、15 支持部、16 ハッチ、17 レール、18 レバーアーム、20 ステージ、21 サポート部材、22 パン軸固定部、23 内側アーム、24 チルト軸回転部、25 チルト軸固定部、26 外側アーム、30 パン軸モーター、31 第1パン軸位置決めブロック、32 第2パン軸位置決めブロック、33 被検出体、34 第1パン軸ストッパー、35 第2パン軸ストッパー、36 ロック制御部、37,38 フォトインタラプタ、39a,39b,39c ローラー、40 チルト軸モーター、41 第1チルト軸位置決めブロック、42 第2チルト軸位置決めブロック、43 被検出体、44 第1チルト軸ストッパー、45 第2チルト軸ストッパー、46 ロック制御部、47,48 フォトインタラプタ、49a,49b,49c ローラー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基準軸のそれぞれを中心とした回転速度を検出するセンサのキャリブレーションのために、当該センサを備える電子機器を回転させるキャリブレーション装置であって、
前記電子機器が固定されるホルダーと、
所定の第1回転軸を中心として前記ホルダーを所定の回転速度で回転させる第1モーターと、
前記第1回転軸と直交する第2回転軸を中心として前記ホルダーを回転させる第2モーターと、
前記ホルダーの前記第2回転軸回りの回転位置を、第2回転軸基準位置と、当該第2回転軸基準位置から90度回転した第2回転軸直交位置と、の間に制限する第2回転軸ストッパーと、
を備え、
前記第1モーターは、前記電子機器が固定された前記ホルダーの前記第2回転軸回りの回転位置が、前記第2回転軸基準位置にある状態、及び前記第2回転軸直交位置にある状態のそれぞれにおいて、前記ホルダーを前記所定の回転速度で回転させる
ことを特徴とするキャリブレーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のキャリブレーション装置において、
前記第2回転軸と直交する第3回転軸を中心として前記ホルダーを回転させる第3モーターと、
前記ホルダーの前記第3回転軸回りの回転位置を、第3回転軸基準位置と、当該第3回転軸基準位置から90度回転した第3回転軸直交位置との間に制限する第3回転軸ストッパーと、
をさらに備え、
前記第1モーターは、前記電子機器が固定された前記ホルダーの前記第3回転軸回りの回転位置が、前記第3回転軸基準位置にある状態、及び前記第3回転軸直交位置にある状態のそれぞれにおいて、前記ホルダーを前記所定の回転速度で回転させる
ことを特徴とするキャリブレーション装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のキャリブレーション装置において、
前記ホルダーの前記第2回転軸回りの回転位置が、前記第2回転軸基準位置及び前記第2回転軸直交位置のそれぞれにある状態で、前記ホルダーが前記第2回転軸回りに回転しないよう固定するロック制御部をさらに備える
ことを特徴とするキャリブレーション装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のキャリブレーション装置において、
前記電子機器は、互いに直交する3つの基準軸のそれぞれに印加される重力加速度の大きさを検出する加速度センサをさらに備え、
前記第1モーターは、前記電子機器が固定された前記ホルダーの前記第2回転軸回りの回転位置が、前記第2回転軸基準位置にある状態において、前記ホルダーの前記第1回転軸回りの回転位置を、前記3つの基準軸のうちの2つの基準軸のそれぞれが鉛直方向と一致する向きに位置決めするとともに、前記ホルダーの前記第2回転軸回りの回転位置が、前記第2回転軸直交位置にある状態において、前記ホルダーの前記第1回転軸回りの回転位置を、前記3つの基準軸のうち前記2つの基準軸を除いた1つの基準軸が鉛直方向と一致する向きに位置決めする
ことを特徴とするキャリブレーション装置。
【請求項5】
複数の基準軸のそれぞれを中心とした回転速度を検出するセンサを備える電子機器を、互いに直交する第1回転軸及び第2回転軸を中心として回転させるキャリブレーション装置を用いた、前記センサのキャリブレーション方法であって、
前記電子機器の前記第2回転軸回りの回転位置が、所定の第2回転軸基準位置にある状態において、前記ホルダーを前記第1回転軸回りに所定の回転速度で回転させ、当該回転中の前記センサの出力値を取得する第1ステップと、
前記電子機器の前記第2回転軸回りの回転位置を、前記第2回転軸基準位置から90度回転した第2回転軸直交位置に位置決めする第2ステップと、
前記電子機器の前記第2回転軸回りの回転位置が、前記第2回転軸直交位置にある状態において、前記ホルダーを前記第1回転軸回りに前記所定の回転速度で回転させ、当該回転中の前記センサの出力値を取得する第3ステップと、
前記第1ステップ及び前記第3ステップで取得された前記センサの出力値を用いて、前記センサのキャリブレーションデータを算出する第4ステップと、
を含むことを特徴とするセンサのキャリブレーション方法。
【請求項6】
複数の基準軸のそれぞれを中心とした回転速度を検出するセンサを備える電子機器の製造方法であって、
請求項5に記載のキャリブレーション方法により算出したキャリブレーションデータを、前記電子機器が備える不揮発性メモリに書き込むステップを含む
ことを特徴とする電子機器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【公開番号】特開2012−112789(P2012−112789A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261785(P2010−261785)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(310021766)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (417)
【Fターム(参考)】