説明

キースイッチ、入力装置、接点パターン

【課題】方向入力検出のための固定接点間の押圧に係る入力をより確実に検出できるキースイッチおよび接点パターンを提供すること。
【解決手段】キートップの中心からみて各方向に分散して配置される複数の導電部と、プリント基板上において該導電部に対向する接点パターンを備えたキースイッチであって、導電部の対向領域において少なくとも4つの離間したランドを有し、当該4つのランドは、キートップ中心の対向位置から導電部対向領域の中心に伸びる線を第1基準線として、当該第1基準線上に設けられる第1空隙において離間する第1ランドおよび第2ランドと、当該第1基準線から一方方向に離れた位置に設けられる第2空隙において当該第1ランドと離間する第3ランドと、当該第1基準線から他方方向に離れた位置に設けられる第3空隙において当該第2ランドと離間する第4ランドとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置等に用いられるキースイッチに関し、より特定的には、キースイッチのプリント基板に設けられた接点パターンに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器のリモートコントローラやコンピュータゲーム機のコントローラの十字キースイッチは、可動ゴム接点を用いたものが多い(例えば、特許文献1)。図21は、従来の十字キースイッチの可動ゴム接点91を示す図であり、(a)は平面図、(b)は底面図、(c)は断面図である。可動ゴム接点91は、ベース部92の中央から上方へ突出するトップ部93を十字キー形状としてあり、十字キー形トップ部93の周縁下端部は薄いスカート部94を介してベース部92に連続している。十字キー形トップ部93の裏面には揺動支点となる中央軸95と、XY四方向のそれぞれの先端部位に凸部96を形成して下方へ突出させ、四個の凸部96の下端面に導電ゴム接点97を一体成形してある。
【0003】
図22は、可動ゴム接点91を組み込んだコントローラの部分断面図である。また、図23は、回路基板98上に設けられている固定接点99を示す図である。図23において、一つの固定接点99は、2つの電極パターン99a、99bからなり、これらが離間して形成されている。上記導電ゴム接点97がこの2つの電極パターンを跨って接触したとき、固定接点99が導通し、当該固定接点99のスイッチがONとなる。回路基板98上に載置した可動ゴム接点91の四個の導電ゴム接点97は、それぞれ回路基板98の四組の固定接点99に対向している。十字キー形トップ部93の上にはスカート部94やベース部92に指が触れないように丸形キートップ100が載置されており、キートップ100の上面の上下左右いずれかの部位を押圧すれば、キートップ100と十字キー形トップ部93が中央軸95を支点として一体に揺動し、先端の導電ゴム接点97が回路基板98の一組の固定接点99に接触してその固定接点99を導通させる。図24は、固定接点99の導通の仕組みを示す図である。上述のように、導電ゴム接点97が回路基板98の一組の固定接点99に跨って接触することで、電極パターン99aと99bとが電気的に導通される。そして、このように固定接点99を導通させることによって、方向入力を検出し、カーソルのXY座標制御や、ディスプレイ画面の垂直・水平スクロール等が行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−308141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような上記特許文献1に開示された十字キースイッチにおいては、以下に示す問題点があった。例えば、ゲームパッド等では、キートップが固定接点99間の斜め45度方向で押圧された場合、その方向の両側の固定接点99のスイッチが同時にON入力されたことを検出して、その斜め方向データを出力するようにしている。図25は、左斜め上45度方向でキートップを押圧した場合の、固定接点99と導電ゴム接点97の接触範囲との一例を示す図である。キートップの押圧力が十分な場合は、図25に示すように、上方向の固定電極99、左方向の固定電極99のそれぞれについて、導電ゴム接点97がその電極パターンを跨って接触し、双方の固定接点共にスイッチはオンとなる。
【0006】
しかし、例えば、対戦格闘ゲーム等においては、必殺技を出すために、複雑な方向入力操作を瞬時に行うことをプレイヤに要求する場合がある。このような素早い操作を行ったとき、斜め方向への入力におけるキートップの押圧力が十分ではないという場合がある。図26は、左斜め上方向へ押圧した際に、押圧力が十分でない場合の固定接点99と導電ゴム接点97の接触範囲との一例を示す図である。図26では、押圧力が弱い分、導電ゴム接点97の接触範囲が図24に比べて狭くなっている。そのため、導電ゴム接点97が電極パターン99a、99bに跨って接触しておらず、その結果、固定接点99のスイッチはオンにならない。そのため、プレイヤは斜め方向への入力を行っているにもかかわらず、その入力が検知されないという結果になる。つまり、プレイヤの意図した入力がゲームパッド等の入力装置において検知されないという問題がある。
【0007】
それ故に、本発明の目的は、方向入力検出のための固定接点間の押圧に係る入力をより確実に検出できるキースイッチおよび接点パターンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下のような構成を採用した。
【0009】
第1の発明は、キートップ(2)と、該キートップの中心からみて各方向に分散して配置される複数の導電部(31)と、プリント基板上において、各導電部の対向領域である導電部対向領域(426)にそれぞれ設けられた複数の接点パターン(41)とを備え、該接点パターンと該接点パターンに対向する該導電部との接触による導通を検出するキースイッチであって、各接点パターンは、導電部対向領域において少なくとも4つの離間したランド(411a〜411d)を有し、当該4つのランドは、キートップ中心の対向位置から当該導電部対向領域の中心に伸びる線を第1基準線として、当該第1基準線上に設けられる第1空隙(421)において離間する第1ランド(411a)および第2ランド(411b)と、当該第1基準線から一方方向に離れた位置に設けられる第2空隙(422)において当該第1ランドと離間する第3ランド(411c)と、当該第1基準線から他方方向に離れた位置に設けられる第3空隙(423)において当該第2ランドと離間する第4ランド(411d)とを含む。
【0010】
第1の発明によれば、弾性体導電部が接点パターンに接触する範囲が狭い場合でも、当該接点パターンにおける回路を導通させることができる。その結果、十字キーの斜め方向入力等、複数の接点パターンを同時に押圧するような方向入力を行う場合に、当該方向入力をより確実に検出することが可能となる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、導電部対向領域の中心において第1基準線と30度から60度の間の所定角度を成す方向に伸びる第2基準線として、第2空隙は、第2基準線上に設けられる。
【0012】
第2の発明によれば、押圧力が弱いために弾性体導電部が接点パターンに接触する範囲が狭い場合であっても、当該接点パターンにおける回路をより確実に導通させることができ、その結果、複数の接点パターンを同時に押圧するような方向入力をより確実に検出できる。
【0013】
第3の発明は、第2の発明において、所定角度は45度である。
【0014】
第4の発明は、第1の発明において、第1空隙は、第1基準線に沿って延伸する領域である。
【0015】
第5の発明は、第1の発明において、第2空隙は、第2基準線に沿って延伸する領域である。
【0016】
第6の発明は、第1の発明において、各ランドは、少なくとも、導電部対抗領域のうちの、キートップ中心の対向位置から見て遠い側にある外側領域を4つに分割するように形成される。
【0017】
第7の発明は、第1の発明において、第2空隙および第3空隙は、第1基準線を基準として対称位置に設けられる。
【0018】
第3乃至第7の発明によれば、上記第1および第2の発明と同様の効果が得られる。
【0019】
第8の発明は、キートップ(2)と、該キートップの中心からみて各方向に分散して配置される複数の導電部(31)と、プリント基板上において、各導電部の対向領域である導電部対向領域にそれぞれ設けられた複数の接点パターン(41)とを備え、該接点パターンと該接点パターンに対向する該導電部との接触による導通を検出するキースイッチを有する入力装置であって、各接点パターンは、導電部対向領域において少なくとも4つの離間したランドを有し、当該4つのランドは、キートップ中心の対向位置から当該導電部対向領域の中心に伸びる線を第1基準線として、当該第1基準線上に設けられる第1空隙(421)において離間する第1ランドおよび第2ランドと、当該第1基準線から一方方向に離れた位置に設けられる第2空隙(422)において当該第1ランドと離間する第3ランドと、当該第1基準線から他方方向に離れた位置に設けられる第3空隙(423)において当該第2ランドと離間する第4ランドとを含むキースイッチを備える。
【0020】
第9の発明は、キートップと、該キートップの中心からみて各方向に分散して配置される複数の導電部(31)と、プリント基板上において、各導電部の対向領域である導電部対向領域にそれぞれ設けられた複数の接点パターン(41)とを備え、該接点パターンと該接点パターンに対向する該導電部との接触による導通を検出するキースイッチであって、各接点パターンは、導電部対向領域のうち、少なくとも、キートップ中心の対向位置から見て遠い側にある外側領域において、複数の空隙(421,422,423)を設けて、当該空隙において互いに離間する複数のランドを有する。
【0021】
第8乃至9の発明によれば、第1の発明と同様の効果を得ることができる。
【0022】
第10の発明は、第9の発明において、各接点パターンは、少なくとも3つの空隙を設け、キートップの中心の対向位置から当該導電部対向領域の中心にむけて伸びる線を第1基準線として、第1空隙を、第1基準線を挟んで離間するように設け、当該第1空隙の両側にそれぞれ第2空隙および第3空隙を設ける。
【0023】
第10の発明によれば、押圧力が弱いために弾性体導電部が接点パターンに接触する範囲が狭い場合であっても、当該接点パターンにおける回路をより確実に導通させることができ、その結果、複数の接点パターンを同時に押圧するような方向入力をより確実に検出できる。
【0024】
第11の発明は、キートップと、キートップの中心からみて各方向に分散して配置される複数の導電部(31)と、プリント基板上において、各導電部の対向領域である導電部対向領域にそれぞれ設けられた複数の接点パターン(41)とを備え、接点パターンと該接点パターンに対向する導電部との接触による導通を検出するキースイッチである。そして、各接点パターンは、キートップのうち導電部の存在する位置を押し下げしたときに導電するように離間するランド組と、キートップのうち複数の導電部の間の位置を押し下げしたときに導電するように離間するランド組を有する。
【0025】
第12の発明は、キートップの中心からみて各方向に分散して配置される複数の導電部の対向領域である導電部対向領域にそれぞれ設けられた接点パターンであって、導電部対向領域において少なくとも4つの離間したランド(411a〜411d)を有する。当該4つのランドは、キートップ中心の対向位置から当該導電部対向領域の中心に伸びる線を第1基準線として、当該第1基準線上に設けられる第1空隙において離間する第1ランド(411a)および第2ランド(411b)と、当該第1基準線から一方方向に離れた位置に設けられる第2空隙において当該第1ランドと離間する第3ランド(411c)と、当該第1基準線から他方方向に離れた位置に設けられる第3空隙において当該第2ランドと離間する第4ランド(411d)とを含む。
【0026】
第11乃至第12の発明によれば、第1の発明と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、方向入力検出のための固定接点間の押圧にかかる入力を、より確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施形態のキースイッチ入力装置に使用するキー接点部の基本構成を示す断面図
【図2】キートップ2の詳細を示す図
【図3】キーラバー3の詳細を示す図
【図4】接点パターン41を示した図
【図5】接点パターン411の構成を示した図
【図6】接点パターン411の構成を説明するための図
【図7】キースイッチ回路の構成を示す図
【図8】キースイッチ回路の構成を示す図
【図9】導電ラバー31の接触範囲を示す図
【図10】接点パターンの一例を示した図
【図11】キースイッチ回路の構成を示す図
【図12】接点パターンの一例を示した図
【図13】接点パターンの一例を示した図
【図14】接点パターンの一例を示した図
【図15】キースイッチ回路の構成を示す図
【図16】キースイッチ回路の構成を示す図
【図17】キースイッチ回路の構成を示す図
【図18】キースイッチ回路の構成を示す図
【図19】キートップの一例を示す図
【図20】キートップの一例を示す図
【図21】従来の十字キースイッチの可動ゴム接点を示す図
【図22】可動ゴム接点を組み込んだコントローラの部分断面図
【図23】固定接点を示す図
【図24】固定接点の導通の仕組みを示す図
【図25】固定接点と導電ゴムの接触範囲との一例を示す図
【図26】固定接点と導電ゴムの接触範囲との一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。尚、この実施例により本発明が限定されるものではない。
【0030】
図1は、本実施形態のキースイッチ入力装置に使用するキー接点部の基本構成を示す断面図である。図1において、キー接点部は、キートップ2と、当該キートップ2の下面に配置され、このキートップ2の押し下げに追従して下方向に移動するキーラバー3と、当該キーラバー3と一体的に形成されている導電ラバー31とで構成されている。更に、その下方にはプリント基板4が配置され、当該プリント基板4上の上記導電ラバーと対向する位置に、複数の電極ランドで構成された接点パターン41が形成されている。
【0031】
図2は、上記キートップ2の詳細を示す図である。図2(a)はキートップ2の平面図であり、図2(b)は右側面図、(c)は正面図である。キートップ2は、十字型の形状であり、例えば樹脂で形成される。また、キートップ2の裏面には揺動支点となる中央軸21を形成して下方へ突出させている。
【0032】
図3は、図1で示したキーラバー3の詳細を示す図である。図3(a)は平面図、(b)は右側面図、(c)は正面図、(d)は底面図である。また、図3(e)はキーラバー3を正面側からみた斜視図であり、(f)は底面側からみた斜視図である。キーラバー3は、シリコンゴム等の非導電性の合成ゴムにて成型されキートップ2に装着される。また、キーラバー3には、円形の導電ラバー31が複数設けられている。当該導電ラバー31は、上記キートップ2が装着された際の当該キートップ2の4方向の先端部位に対向する位置に設けられている。また、導電ラバー31は、適度な弾性を有する導電性ゴムで形成されている。そのため、キートップ2の上面の中心以外の部位(例えば、4方向の先端部位)を押圧することにより、キートップ2が中央軸21を支点として揺動し、押圧部分にある導電ラバー31がプリント基板4上の接点パターン41に接触して接点パターンの回路が導通する(オン入力する)構成となっている。また、例えば、キートップ2の上と左の双方の位置を同時に押圧(つまり、左斜め上方向の入力)することにより、上方向に配置されている接点パターンと左方向に配置されている接点パターンの双方にそれぞれ導電ラバー31が接触し、上方向と左方向との2つの接点パターンの回路が同時に導通する構成になっている。また、押圧が取り除かれれば、キートップは元の位置に復帰し、当該接点パターンの導通が解除される。
【0033】
図4は、プリント基板4上に形成されている接点パターン41を示した図である。図4では、上下左右の4方向に対応した4組の接点パターン411〜414が示されている。上述のように、各接点パターンは、上記導電ラバーに対向する位置に形成されている。接点パターン411は、後述する回路構成をとることで、上方向への入力を検出できる(つまり、上方向入力のスイッチ回路となる)。また、接点パターン412は右方向への入力を、接点パターン413は下方向への入力を、接点パターン414は左方向への入力を検出できる。更に、本実施形態では、上下左右の4方向に加え、更に、各接点パターン間の斜め方向への入力も検出できる。例えば、接点パターン411および414が同時にオン入力になったときは、左斜め上方向への入力が検出できる。また、接点パターン412および413が同時にオン入力になったときは、右斜め下方向への入力が検出できる。
【0034】
ここで、従来の十字キースイッチは、図23で示したように、プリント基板上の2つの電極ランド(固定接点99)に対して、導電体である導電ゴムが接触することにより、対向する電極ランドが導通し、オン入力を出力する。これに対し、本実施形態では、1組の接点パターンについて電極ランド(以下、接点ランドと呼ぶ)を4つ設ける構成としている。以下、上方向への入力を検出するための接点パターン411を例として、接点パターンの詳細構成を説明する。
【0035】
図5は、接点パターン411の構成を上面から示した図である。図5において、接点パターン411は4つの接点ランド411a〜411dからなり、これらが離間して形成されている。また、当該接点パターン411は、全体として円の形状をなす。この円の中心は、上記円形の導電ラバー31の中心と対向する位置となるよう形成されている。次に、4つの接点ランド411a〜411dの形成位置(すなわち、接点パターンの形状)について説明する。まず、当該接点パターンにおける検出方向(図5の場合は上方向)の軸方向(図5では、Y軸方向)に沿って隙間(接点ランドが形成されない部分、つまり、非導電部分)421(以下、第1空隙と呼ぶ)ができるように接点ランド411が形成されている。本実施形態では、当該第1空隙421の幅は、0.6mmであるとする。更に、当該接点パターンにおける検出方向(図5では上方向)を基準として両側45度の位置に隙間422(以下、第2空隙と呼ぶ)および隙間423(以下、第3空隙と呼ぶ)ができるように接点ランドが形成されている。より正確には、当該45度の位置を中心とする0.6ミリ幅の隙間がそれぞれできるように形成されている。更に、第1空隙421、第2空隙422、第3空隙423が、当該接点パターン411の中心部分(導電ラバー31の中心に対向する位置)で繋がるように接点ランドが形成されている。換言すると、全体として円形である接点パターンについて、当該接点パターンにおける検出方向(図5の場合は上方向)の軸方向(図5では、Y軸方向)を中心として2つに分割されるように接点ランドが形成されており、かつ、検出方向側の半分(図5では上半分)の接点ランドについては、それぞれ更に45度の角度で分割された形状になるように形成されている。
【0036】
図6を用いて、上記接点パターンの形状について更に説明すると、図6において、各接点パターンは、導電ラバー31の対向領域となる導電部対向領域426において、4つの離間したランド411a〜411dを有している。そして、当該接点パターンには、キートップ中心の対向位置から当該導電部対向領域の中心に伸びる線を第1基準線として、当該第1基準線上に設けられる第1空隙421において離間する接点ランド411a(以下、第1ランドと呼ぶ)および接点ランド411b(以下、第2ランドと呼ぶ)が設けられている。また、導電部対向領域426の中心において第1基準線と30度から60度の間の所定角度(本実施形態では45度)を成す方向に伸びる第2基準線上に第2空隙422が設けられている。同様に、第1基準線を基準とする対称位置に第3空隙423が設けられている。そして、当該第2空隙422において、第1ランド411aと離間する接点ランド411c(以下、第3ランドと呼ぶ)411cが設けられている。更に、上記第3空隙423において第2ランド411bと離間する接点ランド411d(以下、第4ランドと呼ぶ)が設けられている。つまり、各ランドは、導電部対抗領域426のうちの、キートップ中心の対向位置から見て遠い側にある外側領域427を4つに分割するように形成されている。
【0037】
図7は、図5および図6に示した接点パターン411の構成を用いたキースイッチ回路の構成を示す図である。図5および図6の接点パターン411をキースイッチとして用いるときには、プリント基板4上に形成される第1ランド411aおよび第4ランド411dに1つの抵抗Rを接続する。そして、第1ランド411aの電圧レベルを図示しないCPUで監視し、電圧レベルの変化を検出することによりスイッチのオン・オフを認識するように構成している。具体的にはオフの場合電圧レベルはVcであり、オンの場合は0となる。
【0038】
図7に示した回路構成では、第1ランド411aと第4ランド411bに跨って導電ラバー31が接触すれば、接点パターン411にかかる回路が導通するように構成されている。その結果、接点パターン411にかかる回路のスイッチ状態はオンとして検出される。また、第1ランド411aと第3ランド411cに跨って導電ラバー31が接触したときも、当該回路が導通し、スイッチ状態がオンとなるように構成されている。また、第2ランド411bと第4ランド411dに跨って導電ラバー31が接触したときも導通して、スイッチ状態がオンとなるように構成されている。そして、このような回路構成が、図4で示したような各接点パターン41それぞれについてとられる。図8に、図4に示した4組の接点パターン41の構成を用いたキースイッチ回路の構成を示す。図8に示すような構成をとることよって、斜め方向入力の検出をより確実に行うことが可能となる。例えば、左斜め上を押圧したとき、その押圧力が弱い場合は、接点パターンへの導電ラバー31の接触範囲が狭くなる。図9に、押圧力が弱い場合の導電ラバー31の接触範囲の一例を示す。このような場合であっても、本実施形態の構成をとれば、接点パターン411、および接点パターン414にかかる回路はそれぞれ導通する状態となる。その結果、双方の接点パターンの回路においてオン入力が検出され、上方向への入力と左方向への入力が同時に検出される。これによって、左斜め上方向への入力を検出することが可能となる。
【0039】
このように、本実施形態によれば、斜め方向入力等の2つの接点パターン間の押圧操作を、より確実に検出することができる。すなわち、従来では検出が困難であったような、押圧力が弱いときの斜め方向入力についても、より確実に検出することが可能となる。
【0040】
なお、接点パターンの形状については、図4〜図6に示したような形状に限らない。例えば、図10に示すような、接点パターンの検出方向側のみに接点ランドが設けられるような形状でもよい。この場合、検出方向を基準に両側45度の位置に隙間ができるように構成することが好ましい。また、図11に、図10に示した接点パターンを用いたキースイッチ回路の構成を示した。接点パターンの形状が異なる事を除いて、回路構成は図8で上述した回路構成と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0041】
また、各接点パターンにおける検出方向軸に沿った1つの空隙と、当該空隙の両側(好ましくは、検出方向を基準に45度の位置)に上述したような空隙ができるようにすれば、図12や図13、図14に示すような形状でもよい。図12〜図14に示すいずれの接点パターンも、上述したような斜め方向への押圧入力を検出しやすい。図15〜図17に、図12〜図14に示した接点パターンを用いたキースイッチ回路の構成を示した。接点パターンの形状が異なる事を除いて、基本的な回路構成は図8を用いて上述した回路構成と同様であるので、詳細な説明は省略する。更に、図5に示したような第1ランド411aと第4ランド411dが繋がっており、かつ、第2ランド411bと第3ランド411cが繋がっている形状でもよい。図18に、このような形状の接点パターンおよびその回路構成の一例を示す。
【0042】
また、キートップ2の形状についても、十字形状だけに限るものではない。図19に示すように、上下左右の各方向について独立した方向入力ボタンを設けるような形状でもよい。また、図20に示すような、略円形の形状であってもよい。
【0043】
また、上述の実施形態では、キースイッチの例として、4点スイッチ回路を用いたキースイッチを例として説明した。これに限らず、3点スイッチ(3方向スイッチ)や8点スイッチ(8方向スイッチ)回路を用いたキースイッチに、上述したような接点パターンを適用しても良い。この場合であっても、各接点間にかかる方向入力についてより確実に検出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明にかかるキースイッチ、入力装置および接点パターンは、入力方向検出用の固定接点間にかかる押圧入力をより確実に検出することができ、ゲームパッド、リモコン、携帯型ゲーム装置や携帯電話のキースイッチ部などに有用である。
【符号の説明】
【0045】
1 キースイッチ
2 キートップ
3 キーラバー
4 プリント基板
21 中央軸
31 導電ラバー
41 接点パターン
411 上方向入力検出用の接点パターン
412 右方向入力検出用の接点パターン
413 下方向入力検出用の接点パターン
414 左方向入力検出用の接点パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キートップと、該キートップの中心からみて各方向に分散して配置される複数の導電部と、プリント基板上において、各導電部の対向領域である導電部対向領域にそれぞれ設けられた複数の接点パターンとを備え、該接点パターンと該接点パターンに対向する該導電部との接触による導通を検出するキースイッチであって、
前記各接点パターンは、前記導電部対向領域において少なくとも4つの離間したランドを有し、当該4つのランドは、前記キートップ中心の対向位置から当該導電部対向領域の中心に伸びる線を第1基準線として、当該第1基準線上に設けられる第1空隙において離間する第1ランドおよび第2ランドと、当該第1基準線から一方方向に離れた位置に設けられる第2空隙において当該第1ランドと離間する第3ランドと、当該第1基準線から他方方向に離れた位置に設けられる第3空隙において当該第2ランドと離間する第4ランドとを含む、キースイッチ。
【請求項2】
前記導電部対向領域の中心において前記第1基準線と30度から60度の間の所定角度を成す方向に伸びる第2基準線として、前記第2空隙は、第2基準線上に設けられる、請求項1に記載のキースイッチ。
【請求項3】
前記所定角度は45度である、請求項2に記載のキースイッチ。
【請求項4】
前記第1空隙は、前記第1基準線に沿って延伸する領域である、請求項1に記載のキースイッチ。
【請求項5】
前記第2空隙は、前記第2基準線に沿って延伸する領域である、請求項1に記載のキースイッチ。
【請求項6】
前記各ランドは、少なくとも、前記導電部対抗領域のうちの、前記キートップ中心の対向位置から見て遠い側にある外側領域を4つに分割するように形成される、請求項1に記載のキースイッチ。
【請求項7】
前記第2空隙および前記第3空隙は、前記第1基準線を基準として対称位置に設けられる、請求項1に記載のキースイッチ。
【請求項8】
キートップと、該キートップの中心からみて各方向に分散して配置される複数の導電部と、プリント基板上において、各前記導電部の対向領域である導電部対向領域にそれぞれ設けられた複数の接点パターンとを備え、該接点パターンと該接点パターンに対向する該導電部との接触による導通を検出するキースイッチを有する入力装置であって、
前記各接点パターンは、前記導電部対向領域において少なくとも4つの離間したランドを有し、当該4つのランドは、前記キートップ中心の対向位置から当該導電部対向領域の中心に伸びる線を第1基準線として、当該第1基準線上に設けられる第1空隙において離間する第1ランドおよび第2ランドと、当該第1基準線から一方方向に離れた位置に設けられる第2空隙において当該第1ランドと離間する第3ランドと、当該第1基準線から他方方向に離れた位置に設けられる第3空隙において当該第2ランドと離間する第4ランドとを含むキースイッチを備える、入力装置。
【請求項9】
キートップと、該キートップの中心からみて各方向に分散して配置される複数の導電部と、プリント基板上において、各導電部の対向領域である導電部対向領域にそれぞれ設けられた複数の接点パターンとを備え、該接点パターンと該接点パターンに対向する該導電部との接触による導通を検出するキースイッチであって、
前記各接点パターンは、前記導電部対向領域のうち、少なくとも、前記キートップ中心の対向位置から見て遠い側にある外側領域において、複数の空隙を設けて、当該空隙において互いに離間する複数のランドを有する、キースイッチ。
【請求項10】
前記各接点パターンは、少なくとも3つの空隙を設け、
前記キートップの中心の対向位置から当該導電部対向領域の中心にむけて伸びる線を第1基準線として、第1空隙を、前記第1基準線を挟んで離間するように設け、当該第1空隙の両側にそれぞれ第2空隙および第3空隙を設ける、請求項9に記載のキースイッチ。
【請求項11】
キートップと、前記キートップの中心からみて各方向に分散して配置される複数の導電部と、プリント基板上において、各前記導電部の対向領域である導電部対向領域にそれぞれ設けられた複数の接点パターンとを備え、前記接点パターンと該接点パターンに対向する前記導電部との接触による導通を検出するキースイッチであって、
前記各接点パターンは、
前記キートップのうち前記導電部の存在する位置を押し下げしたときに導電するように離間するランド組と、
前記キートップのうち複数の前記導電部の間の位置を押し下げしたときに導電するように離間するランド組を有する、キースイッチ。
【請求項12】
キートップの中心からみて各方向に分散して配置される複数の導電部の対向領域である導電部対向領域にそれぞれ設けられた接点パターンであって、
前記導電部対向領域において少なくとも4つの離間したランドを有し、当該4つのランドは、前記キートップ中心の対向位置から当該導電部対向領域の中心に伸びる線を第1基準線として、当該第1基準線上に設けられる第1空隙において離間する第1ランドおよび第2ランドと、当該第1基準線から一方方向に離れた位置に設けられる第2空隙において当該第1ランドと離間する第3ランドと、当該第1基準線から他方方向に離れた位置に設けられる第3空隙において当該第2ランドと離間する第4ランドとを含む、接点パターン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2012−129214(P2012−129214A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−83527(P2012−83527)
【出願日】平成24年4月2日(2012.4.2)
【分割の表示】特願2007−217084(P2007−217084)の分割
【原出願日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(000233778)任天堂株式会社 (1,115)
【Fターム(参考)】